ジョジョの奇妙な学園 ~stardust stratos~   作:エア_

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こっちでは超お久しぶりです。エアです。

正直、DIO出すんやなかったとちょっと後悔しています。

何故か? それは簡単、至極簡単だよ。


描写が非常に面倒くさい。その一言に尽きる。



さて、新たな波乱はリベンジ戦の間に始まるもの(狂乱)



衝撃のラスト・・・・・・批判されそうで怖い(gkbr


第六話~超越者+克服者+吸血鬼=強い

「・・・・・・テメェは、いったい」

 

「ん? ・・・・・・なるほど、そういう事か。貴様は本能でこの私の正体を理解したか。流石はこのDIOに対しての唯一なる障害」

 

何かを理解したのか、海の上に立つ黄色に包まれた男は不敵に笑ってみせ、そしてその圧倒的存在を見せ付けた。相対した二人はその眼前に現れた謎の存在に、驚きを隠せずにいた。不意に承太郎は自分と同じ存在だと本能的に感じ取る。それがどう意味なのかすらも理解出来ない。だが、この目の前の存在は同じ部類の存在だと認識したのだ。

 

「“スタンド同士は惹かれあう”とはよく言ったものだ。このDIO直々に貴様の下へ行くことになるとはな・・・・・・それも、標的に会うために来たというのに」

 

男は束を見つめたまま、ゆっくりと海に波紋を作りながら近づいていく。歩む足を一歩ずつ出すたびに、その存在感が増して行き、周囲の存在をかき消す。そして全てを自分の存在へと塗り替えていった。束はその存在を恐怖のために理解できないでいた。この目の前の存在に、空条承太郎よりも恐ろしいナニカを感じ取っていたのだ。

 

「・・・・・・スタンド? もしかすると君もこの男と同じ憑依型のISを所持しているって言うの?」

 

「憑依型? ・・・・・・・・・・・・クックックックッ、クハハハハハハハハ。笑わせる。実に笑わせてくれるなぁ篠ノ乃束。孤高の存在を気取っている哀れな小娘かと思えば、ただの何処にでもいる道化と何ら変わりないとは・・・・・・非常につまらん」

 

束の問いを聞いた男は突如として笑い出した。高らかに笑う男のその声は、臨海学校全域を包み込むように響き渡った。彼の言葉に束は首を傾げる。まるで理解できていないように。そう、IS以上に異常な存在を彼女は知らないのだ。

 

「何れ分かるさ。まぁ、貴様の様な小娘には一生理解出来んようなものかも知れんが、な」

 

クククッと嘲笑う男に、二人は次第に苛立ちを覚える。何処までも見下した彼の態度、そしてその言葉に、怒りを覚えたのだ。

 

「まぁいい。今日は貴様に用があってだな篠ノ乃束。私の下で仕えないかというお誘いと言うものだ」

 

「帰ってくれない? この束さんを道化呼ばわりする世間知らずに構ってられないからさ」

 

そう束は目を細めながら言った。先ほど承太郎に浴びせた程の殺気を織り交ぜながら、彼女は男を見下すように言った。

 

おやおや、と手を広げ男は首を左右に振る。その仕草はそうだ、全く困った女だと言いたげな、そんなポーズだったのだ。

 

それが余計に束の怒りに触れた。それは仕方のないことだ。この目の前の仏頂面にはISを取られた上に自分のお気に入りの一夏よりも目立ち、今はこの謎の黄色い男に道化呼ばわり終いには餓鬼を扱うような態度をとられる始末。自分の立場を理解していない。自分は今、世界の誰もがその頭脳を欲していると言うのに。この目の前の男二人は何処吹く風と言いたげなまるで道端を歩いている時に無意識に蹴った小石と同等とでも思っているのではないか。

 

束の怒りは臨界点を越えようとしていた。

 

「私に永久の忠誠を誓えば今此処で死ぬことはなかっただろうに・・・・・・もう一度言うぞ? 篠ノ乃束、私に永久の忠誠を誓え・・・・・・そうだな。そうすれば貴様の妹くらいは助けてやっても構わんぞ?」

 

「テメェ、それは一体どういう事だ。篠ノ乃に何をしようってんだ」

 

「口を慎めよ承太郎。このDIOが言葉を送ったのは貴様ではなくこの小娘だ。それで篠ノ乃束。貴様はどうする? 妹を見殺しにしたいと言うのなら別だが」

 

男の表情を見て束は嫌になるほど吐き気を催した。これほどの邪悪となると流石の自分でも反吐が出てしまう。彼女は自身のISを探査機だけを展開し、自身の妹の箒の居場所を確認した。

 

ちょうど本部へ戻ってきている。どうやら銀の福音は倒したようだ。その成長に安堵すると同時に、本部から少しずつずれてこちらへ近づいていることに焦った。今来ればこの目の前の男と相対してしまう。先ほどの脅しがどうであれ自分の妹を危険にさらすことなど彼女が許すはずもない。

 

「私の大事な大事な箒ちゃんと交渉材料に使う時点で君に勝ち目はないんだよ。足元見てると思ったら大間違いだよ。よくもまぁそんな小物がするような事が出来るね。まるでそうだね。君は帝王の素質は全くもってゼロ。君こそ道化を演じているようで片腹痛いね」

 

「ほぅ。それは残念だ。ならば妹とはお別れだな」

 

「スター・プラチナッ!」

 

男が動きを見せようとした瞬間、タイミングを見計らったように承太郎がスター・プラチナを駆使し二人の間に割って入った。

 

「てめぇ。脅しに家族を使うたぁ、いい度胸じゃあねぇか。巷じゃあ不良で通っている俺だがなぁ。こうハッキリとした悪は俺でもわかる。悪とは弱者を利用すること。テメェ自身のためだけに利用し踏み倒す野郎の事だ。無意識なんてもんじゃあねぇ。テメェみてーに理解しながら利用するなんざ、救いようのねぇ悪そのものだ! ましてや、女を使うだと―! 鶏冠に来たとはこの事だろうよッ! テメェは、この空条承太郎がじきじきにぶちのめしてやらぁ!」

 

承太郎が駆けた。砂地であるそこをまるで競技場のトラックを蹴り上げるように、陸上選手の走りを思わせるほどの速度を出しながらスター・プラチナと共に拳を構えた。

 

「無駄だよ。無駄無駄ぁっ!」

 

すると突如、承太郎の目の前にナニカが現れ二人の行く手をさえぎった。黄色い鎧を身にまとい。背中にはタンクのようなナニカを背負った灰色の巨人。特徴すべき点はその両肘両膝そして顎につく緑色のハート。そしてそれは男の中から現れたのだ。

 

「っ!? テメェも憑依型のISを!」

 

「フッ、貴様も所詮は道化と同じか。死ねぃ承太郎!!」

 

灰色のナニカが拳を振るった。負けじとスター・プラチナも拳を振るう。互いの拳がぶつかり合い、そこには一瞬衝撃波が生まれた。本気でないとはいえそれでも今出せる全力を拳で叩き込んだはずなのに、目の前のナニカと拮抗する形になる。

 

つまり彼のISもパワータイプと言うことだろうか。承太郎は瞬時に男についての仮定に急いだ。

 

「どうした。このDIO、力の【ち】の字も使用しておらんぞ?」

 

「てめぇ」

 

「ちょっと何してんのよこのスカタン! 何で何もないところ(・・・・・・・)を攻撃してるのよ!」

 

後ろで文句を言う束の声に承太郎は動きを止めた。そう、彼女の言った言葉に驚愕したのだ。

 

「何も・・・・・・ない所だと? ふざけてるんじゃあねぇぞ篠ノ乃束! 今此処に奴のISがいるじゃあねぇか!」

 

「はぁ!? 何を言って・・・・・・おいおいおいおい! 嘘うそウソっ!? どういうことよ!」

 

ナニカが蹴りを放ってきたため、承太郎は後ろへ跳躍し、束の下まで戻る。相変わらず男は仁王立ちをやめずにニヤリとこの場を己の存在で圧倒していた。

 

「何が分かったってんだ」

 

「何で肉眼で確認出来ないのに【ISのハイパーセンサーを通して見たら】あんな化け物が映るのよー!」

 

「ハイパーセンサーを通してだと?」

 

承太郎はスター・プラチナのハイパーセンサーを起動していたか確認していた。普段360°も視界が見えるのは気分が悪いため、意図的にセンサーを切っていたのだ。遠くを見るのにはスター・プラチナ自身のセンサーだけで充分見通せるからであり、あまり実用されていなかった。

 

自分のISのハイパーセンサーがオフであることを確認し、起動させた。

 

するとどうだ。ハイパーセンサーに映ったのは灰色一色の輪郭が黒い巨大なナニカが映っているだけだった。顔やらなんやらは一切見えない。それはまさに灰色のペンキをぶちまけられたままの人物絵のようになっていたのだ。

 

「クックック、理解したか? 篠ノ乃束。貴様にもこのDIOのスタンドが見えたか?」

 

「ありえない。姿を消す憑依型IS? それだけならまだしも、ハイパーセンサーでさえ輪郭しか捉えられないなんて。束さん以上の天才でも出来るはずがない! そもそもステルス技術はまだそこまで進歩していない! ありえない! ありえなさ過ぎる!」

 

「おい篠ノ乃束。落ち着きやがれ。相手のペースに乗せられているんじゃあない! テメェが冷静じゃあなきゃ今この場を乗り切れねぇんだ!」

 

承太郎の叫びに何とか我に戻った束は未知の存在である男とナニカを見据えながら、頭の中をフル回転させた。今逃げれば百パーセント妹を殺される。ならばここで返り討ちにしなくてはいけない。だが相手のナニカはハイパーセンサーでさえも輪郭が見えるだけ、正確に捉えられなければ弱点を見つけることは不可能。必然的に負けてしまう。ならば今この状況どうすればいいのだろうか。

 

千冬を呼ぶか? いや、それは得策ではない。何故なら今の千冬は自分用のISを持っていない。つまりは彼女の実力を100%以上引き出せてやれないのだ。つまりはその時点で彼女には悪いが完全に足手纏い。今現役で実力が専用機の千冬と同程度の承太郎しか使えない。他の教師など生身での千冬よりも弱い(偏見)だろうからこの状況は1対1(タイマン)しか勝機はない。いや、それしか活路を見出せない。

 

「どうした? 固まっていては何も運命は変わらんぞ? まぁ、運命を乗り越えたこのDIOに現代の甘いスープに溺れている貴様らなんぞに敗北するなど・・・・・・そんな未来を妄想しようが、無駄無駄無駄ァ!!」

 

灰色のナニカがありえない速度で承太郎達に突っ込んできた。スター・プラチナも負けじと承太郎達の間に割って入り、互いのこぶしを突き出した。連続して放たれるその突きは軽く音速を超えたように音が遅れてを打撃音を大気にばら撒く。ラッシュとラッシュがぶつかり合い。速すぎるためなのか、その拳がひどく硬く金属製なのかは分からないが、火花を散らしていた。

 

[オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!]

 

[無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!]

 

スター・プラチナの咆哮とナニカの咆哮が拳と共に口から吐き出された。打撃音と金属音とその咆哮が混ざり、その空間を音が支配した。打撃音が空気を裂き、金属音が火花をちらつかせ、咆哮が大気を震わせた。まさに強者同士のぶつかり合い。

 

互いに強者。圧倒的強者。引かない。どちらも一歩すら引かない。前に出ることしか考えていないように、そのラッシュの途切れは見当たらない。威力が落ちることなんかない。ずっとずっと平行線。何処よりも長く何処よりも続く。終わりない地球誕生の物語のように、終わりの見えない水平線のように、彼等の拳のぶつかり合いは続いていた。

 

何分もの間その拳のぶつかり合いは起こっていた。すると不意に二人は何かに吹き飛ばされるように後ろに跳んだ。承太郎は肩で息をしながらもその瞳を死なす事無く男を睨み付けていた。

 

対する男はどうだ? 一切息を切らしてところが見受けられない。まるで[今までのはウォーミングアップですらない。ただの呼吸と同じだ]と言いたげなその表情は二人の殴り合いを見続けていた束にとっては恐怖でしかなかった。彼女のISが承太郎達のラッシュを観測しており、今その拳の力を数値化していた。

 

いや、訂正がある。数値化しようとした。が正しかった。

 

二人の拳は確かに拮抗していた。だからと言ってその二人の力がその辺の力と同等かと言われれば全くの嘘になる。

 

彼等の放った拳の速度は平均速度約680m/s 音速を遥かに超えた速度で二人は互いの拳を突き出しては戻していたのだ。

 

そして放たれた拳の衝撃はおよそ数十トン。そんな爆発的な力が今数分に亘って打ち続けられていたのだ。仮面ライダーも一歩引くほどのその殴打に、束は人としての申し訳程度の恐怖と科学者としての興味、そして天才としての絶望を感じていた。

 

自分は常に頂点に君臨していた。だからこそ、二人のISの殴り合いが非常に気に食わなかったのだ。自分が作ったISよりも速く、自分が作ったISよりもパワーがある。そして何よりも一夏の言っていた「第四世代ではないのか」という言葉。それが彼女の皆との特異点を脅かす存在だったのだ。

 

彼女が一人思考の世界に入っていると、承太郎が膝をついた。その顔色は優れない。何か痛みを堪えるように無理やり作られた憤怒の表情。束はその顔を視界に入れた瞬間思考の世界から出て、彼の両腕を見て驚愕した。

 

どれほど出せば止まるのだろうかといわれるほどに流れ出る血液。拳がつぶれているようにも見える彼の手は、真っ赤に染まりあがり、血管を浮き立たせていた。

 

「ち、ちょっと!? 大丈夫なの!?」

 

「・・・・・・これで無事なら世話ねぇ。あの野郎のISは俺のスター・プラチナとパワーは同等。いや、それ以上かも知れねぇ。こりゃあジリ貧だな」

 

無理やり腕を動かし、帽子を被りなおす承太郎はあのいつもの口癖を口ずさみながら、再び男と相対した。男はどうだ? 苦しむ顔など一切としてない。まるでそうだ。今までの攻撃で彼は傷ついていないように、相変わらずのしたり顔。

 

「クックックッ、後ろの女が邪魔で避けるに避けられんなぁ承太郎。わざわざ拳を多めに打って気づかれん様にしたのかも知れんが、このDIOを化かせるなどとつけあがるなよ? 貴様らは所詮モンキー。モンキーなのだよォッ!! URRRRRRRRRYYYYYYYYYY!!」

 

彼の言ったことが本当ならば、束の人としての感情が後悔を、いや、天才と言う名の仮面を被っていた彼女の本心が、後悔をしていた。この空条承太郎は自分を無視し、あまつさえ反抗し、自分の脅威となりかねない。それほど彼は自分に対して怒っていたと言うのに、今の彼はそんな怒りの対象であるはずの自分を守っていた。そうなってしまう。

 

「な、なんで私を。あんたは私の事どうでもいいって」

 

「テメェは餓鬼か。俺はなぁ後ろにいるテメェに死なれたら夢見が悪ィ。そう思っただけであり、その気になりゃああいつの横っ面に思い切りパンチを繰り出せたんだよ」

 

しかし、承太郎はそれを簡単に否定する。所詮はその程度としか見ていなかったのだと彼は言った。この場に千冬が居なくて良かっただろう。絶対に我等が千冬なら「不良のツンデレか。中々お目にかかれん事だ」と言ってくれるに違いない。

 

「ほぅ。自ら背水に立ち。己を奮い立たせるか。流石はジョナサン=ジョースターの曾孫なだけはある。だが、まぁそれでもその程度だ。この太陽を完全に克服したDIOの前に、貴様など取るに足らん存在だ。大人しくその命を終わらせろ!」

 

男がその手を手刀に構え、そのまま心臓を抉らんと突き出す。気がつけば一瞬で目の前に現れる。それはあのハイパーセンサーでも観測できないほどだ。

 

「死ねィ! 承太郎ッ!!」

 

「ッ!? チッ!(反応できなかった。俺のスター・プラチナでさえも認識出来ねぇスピードで、ハイパーセンサーでも追いつかねぇ速さで俺の心臓を狙ってきやがった。的確に殺しに来たな!?)」

 

彼の言葉よりも先に、男の手刀が彼の心臓を抉る――――

 

「・・・・・・何? それは本当か!?」

 

――――ことはなかった。寸での所、その手は止まり、男は攻撃を中断し、二人から距離を取った。明らかに男は焦っていた。まるでそうだ「予期せぬ事がたった今起きたような」顔をしていた。男はまるで先ほどまで優勢に立っていた人物とは大違いに、酷く戸惑っていた。それは承太郎達にとってはチャンスだったのかもしれない。

 

だが、そのチャンスを生かせる人間が今この場には存在していなかったのだ。

 

片や拳を潰され多量に血を流し、立つのがやっとな承太郎と、決定的に火力不足でそもそも攻撃用ISを持ってきていない束。これではどう足掻いても男を倒す手段は存在していなかった。

 

「・・・・・・運が良かったな承太郎。その命、何れ取らせて貰う。貴様もだぞ? 篠ノ乃束。この吸血鬼DIOが貴様等の血を吸い尽くし、人間を超えた存在であると言う事を証明してやろう」

 

狼狽した表情から一転。先ほどのように落ち着いたのか、余裕を取り戻した顔で、二人を見据えた。確かに焦りを見せていた男だったが、勝てる見込みは今のところ全く存在しなかった。現実承太郎は死すら覚悟していたのだから。

 

「ではな。我が宿敵。我が因縁の血筋の後継者。次見える時に墓になんぞ入ってるんじゃあないぞ?」

 

そう言うと男は忽然と姿を消した。まるで最初からいなかった様に不気味に消え去り、まるで物が重力で地面に落下するように当たり前の如く彼は消えうせたのだ。

 

スター・プラチナでさえも確認できない。束のISでさえも追いつかない。まるで種のない手品のようで、二人の緊張は今まで以上に高まり汗が滴るほどだ。

 

敵が消えた事による安堵が承太郎を襲ったのは男が姿を消して数分後、彼等のいる砂浜に一夏達が帰ってきたと同時だった。

 

 

 

 

承太郎は今、一夏と変わるように簡易医務室にて眠っていた。勿論その両腕からの大量出血が原因で、致死量ではないが安静にと再三注意を受けていたのだ。目を覚ました彼の表情は鬼のようで、あの男がまた攻めてきたと思ったのだろうか徐にスター・プラチナを起動しようとしていた。そこは献身的なラウラのお陰で事なきを得たが、再びの安堵に彼はまた眠りについたのだ。

 

そんな彼が眠る簡易医務室には二人の女性が彼の目覚めを待っていた。

 

一人は皆知ってる織斑千冬と、天災篠ノ乃束だった。

 

彼女達は今回あった出来事について千冬から尋問を受けていたのだ。普段なら此処でタワーブリッチとかアルゼンチンバックブリーカーとかスリーパーホールドやらを食らっているはずなのだが、状況が状況なため、そんな大事な場面をぶち壊しにするようなことは流石の千冬もしない。

 

「それで? その男は自分のことをDIOと言っていたんだな?」

 

「そうだよ。正直に言ったんだからそろそろこのアームロックを外してくれない? それ以上はいけない!」

 

と思ったがそんな事もなかった。千冬の綺麗に決まったアームロックが束の三角筋に酷いダメージを与え悶え苦しませていた。暫く堪能したのか、彼女はその手を離し開放した。

 

「まぁいいだろう。承太郎が起きてからいろいろ詳しく聞くか。勿論その、“肉眼では確認出来ずハイパーセンサーでのみ輪郭だけ見えるIS”そして何より空条のみ(・・・・)そのISを完全に(・・・)確認できている理由と言うものをな」

 

頭痛の種がまた増えてしまった。そう思ってしまうのも無理はないと流石に同情する束。新たな波乱の幕開けは承太郎の敗北と言う形でスタートを切っていた。

 

 

 




この描写は第六部の徐倫と承太郎のシーンをリスペクトしてます。

あの時は徐倫を優先してかばい死にましたが、こっちはまだ死にません。てか此処で主人公退場は流石につらい。僕虚淵さん見たく出来へんもん。

で、後ろにいる人を庇って敗北した承太郎さん。それは勝利よりも命を優先したと言うこと。DIOの勝利のために徹底するやり方とは違い彼の行動は尤も人間らしい(紳士と言う意味で)。

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