ジョジョの奇妙な学園 ~stardust stratos~   作:エア_

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どうも、読者=サン。エアです。

前振りなんて何もないよ。




次にお前は「またこいつか」という


























かも


星を持つ青年
第一話~ISにとりつかれた男


「さて、世話になったな。ジジイ」

 

「まったく、SPW財団のお陰じゃぞ? 向こうにも感謝するんじゃぞ」

 

「わかってる」

 

とある空港にて、一人の若い青年が元気の良い老人と何か話をしていた。青年の容姿は完全に日本男児そのもの。着ている服は学ラン。キャップも学生用のキャップと来た。しかし、この空港は外国なのだろう。来る人来る人ブロンドだったりブラウンレッドだったりと、ゲルマン人特有の髪色の人が多くいた。ここはもしかするとドイツなのかもしれない。

 

「しかし、本当にいいのか? お前さん、女は苦手だったろう」

 

「うるせぇのが嫌なだけだ。別に苦手ってわけじゃあねぇ」

 

青年はそう言うと、キャップを深く被り、目を合わせないようにした。老人には、それが別れを惜しんでいるようにも見えた。

 

「さて、お前のお供にわしの友人のとこの人間をパートナーに選んで呼んでおる。朗報じゃぞ? なんせお前の知り合いだからな」

 

老人の配慮が嬉しかったのか、すまし顔で顔を背けた。老人にもそれが満更でないい事は見抜けていた。

 

 

「・・・・・・やれやれだぜ」

 

 

青年は口癖のようになれた口調でそうつぶやいた。しかし、それは様になっており、その光景が行く人来る人皆が見惚れてしまうほどだ。容姿端麗なことから、それは見る者の心をつかんだ。

 

「さぁて、そろそろあの子も来るじゃろうっとと、来た来た」

 

老人が腕時計を確認していると周囲の音から特別聴こえるこちらにむかって走ってくる足音、その足音を聞きなれているのか老人は見ずともそう言ってのけた。青年は足音のするほうへと目をむけ、そして一瞬見開いた。少し眉を寄せたが、ため息を吐き穏やかな顔をし、その足音の現況を見据えた。

 

そこには銀髪の少女がいた。見た目年端も行かない少女だが、年齢は青年と同じ。眼帯をしていて、特徴的だが、それに負けない赤い瞳が幻想的。それはまるで白銀の世界に住む一羽のウサギのようだった。制服なのだろうか、白を下地とした、黒と赤のラインが特徴的な服で、某起動戦士などで見かける軍服にも似ている。そんな服もさらに少女を引き立てており、一種の感動を感じずにはいられない。

 

少女が老人等の目の前まで走ると、その場で静止し、敬礼を取った。息を切らすことなく堂々としたそれから、彼女が軍人であると言うのが理解できるのではないだろうか。老人はその行動に敬意を称すように敬礼を返した。青年は敬礼をしないが、よぅ、っと小さく挨拶をし、頭をほんの少しだけ立てに振り、簡単な会釈をした。

 

「さて、知っていると思うが改めて紹介する。お前のパートナーとしてこれから三年間日本にある“IS学園”に滞在することとなった」

 

「ラウラ=ボーデヴィッヒであります! 承太郎殿」

 

凛としたその立ち振る舞いには、天晴れと賞したいほどの優雅さを感じ取れた。軍人でありながら、最低限でありながらも最高の一輪の華と比喩しても比喩しきれないほどの優美さに青年も驚きを隠せないでいた。

 

「・・・・・・おいジジイ。てめぇ、狙ったわけじゃあねぇだろうな」

 

先ほどの穏やかな顔から打って変わり、青年は老人を睨みつけた。その目は“余計なことするな。自分で出来る"と言いたげだった。老人は老人でサプライズ成功と内心相当喜んでおり、今もなお笑顔を絶やさずにいた。

 

「お前のISは特殊すぎるからのぅ。唯一お前のISを理解してそのうえで暴走しても止められる存在の中から彼女に白羽の矢が建ったのじゃ。いやなら他のものを呼ぶが」

 

「じょ、承太郎殿。私では不服で御座いますか?」

 

「な、おいジジイ! ・・・・・・はぁ。別にてめぇが悪ぃって訳じゃあねぇ。断じてだ」

 

ばつが悪いのか、青年は今にも泣きそうな顔をする少女に弁解をしていた。その光景を端から見物する老人は嬉しそうだった。とても嬉しそうだった。素晴らしいほど嬉しそうだった。

 

「で、では、自分でもよろしいのですか?」

 

「あぁ。てめぇには数え切れねぇぐらいに恩もあるしな。むしろ他の奴だったら無視して一人で日本に帰ってたぜ?」

 

言いたいことが言えてスッキリしたのか、ふぅ、と深呼吸をした。青年にとって、少女は掛け替えのない者なのだろうか。老人への態度と少女への態度がまるで違うのだからそう考えても可笑しいところは何もない。

 

青年は旅行鞄の上においていたジュースを口に付け喉を潤す。その姿は“凄く落ち着いている”を表現し体現していた。

 

「で、では。不束者ですが。末永くよろしくお願いします」

 

が、次の瞬間に虹を出現させた。その光景は彼らしからぬ光景ともいえよう。少女は豆鉄砲と食らったような顔になり、老人は腹を抱えて大笑いをするという、端から見れば後ろ指を刺されても可笑しくない光景がそこに繰り広げられていた。

 

「げほっ、げほっ。て、てめぇはどこでその言葉を覚えやがった」

 

「は、はい。クラリッサからですが」

 

その内容に老人の笑いはさらにボリュームを増した。それはまるでトラックのクラクションとためをはるくらいだろうか。いいや、それ以上かもしれない。少女は少女で何のことか理解できていなかった。

 

青年はプルプルと肩を震わせ、表情を怒りで曇らせた。

 

しかし、彼の後ろからはゴゴゴゴゴゴッと音にならない何かが感じ取れた。

 

「・・・・・・あの尼。次あった時覚えていやがれ」

 

青年は虚空を見つめながらそのような言葉を口からこぼした。とりあえず、クラリッサという者にご冥福を・・・・・・。

 

「久々に大笑いできたわい。さて、もう時間じゃからな。さっさと行って来い」

 

「・・・・・・気に食わねぇが今回は勘弁してやるぜジジイ。行くぞ、ラウラ。さっさと飛行機に乗るぜ」

 

青年はそう言うと踵を翻し航空機乗り場に進む。その顔は少しイラついているように見える。

 

「了解!」

 

少女は再び敬礼をし、青年の後ろを子犬の如く追いかける。その姿に、老人は笑みをこぼすのだった。

 

 

 

 

「日本とは一体、どのようなところなんでしょうか」

 

「・・・・・・ドイツとかわんねぇよ。女尊男卑で、めんどくせぇところはな。だがまぁ、それはおつむの悪ぃ奴らばっかがそうであって、全員が全員、そんな奴じゃあねぇ。俺の元いたとこは昔と変わらねぇ町だった・・・・・・今は知らねぇが」

 

離陸した飛行機の中、ラウラと承太郎は会話を交わしていた。ラウラは承太郎の故郷である日本に大変興味があるらしく、子供のようにはしゃいでいた。その姿に、承太郎はイラつくことなく、むしろいつも通りで助かるといったような、なんというか落ち着いた表情をしていた。

 

「そういやぁラウラ。IS学園ってぇのは一体どんなところだ? ジジイにいくら聴いても渋っちまってよぉ」

 

「ドイツよりは設備が整ってないですね」

 

「・・・・・・軍じゃねぇからじゃあないか?」

 

「確かに。学校ですからね。たぶんですがISを扱う以外は承太郎殿のいた学校と同じような所じゃないでしょうか」

 

それを聴き、承太郎の頭の中に高校のころの記憶が回想した。纏わりつく五月蝿い女子高生。下半身と脳みそが直結したような盆暗チンピラ。数少ない常識あるクラスメイト。生徒にまで手を出そうとする女教師・・・・・・あまりいい思い出とはいえないものだった。

 

「な、何か嫌な思い出があるのですか?」

 

表情に出ていたのか、ラウラは承太郎の顔を覗き込んでいた。

 

「いや、なんでもねぇ」

 

「そうですか。でも安心してください! 前の学校がどうだったかは知りませんが。今回は私もいます!」

 

胸を張りながらラウラはそう言ってのけた。その表情には自身が満ち溢れている。その小さいからだで威張る姿は見る人を笑顔にしている。

 

「・・・・・・そうかもな」

 

かく言う承太郎も内心喜んでいるようだった。それは絆と言うものが深く関わっているのかもしれない。

 

「俺は寝る。時差ぼけだけは勘弁してほしいからな」

 

「はい。私はもう少し起きています!」

 

窓側にすわる承太郎は窓からの眺めを少し楽しみながら、眠りについた。その姿はどこか安らかで、緊張が解けたようにも感じられた。そんな寝顔を、ラウラは心底嬉しそうに眺めていた。近づいたり少し離れたり、角度を変えて表情を詳しく見たり、目をまん丸に開いて覗き込むように観察したり・・・・・・。その様子は周りの老人は楽しそうに眺めていた。それは昔の自分たちと重なって見えるのだろう。あの若かった頃はあんなふうに覗き込んでいたなぁと。

 

ラウラは承太郎が起きるまで、飽きることなく嬉しそうに様子を眺めていた。

 

 

 

 

 

「・・・・・・体が疼く。この感じはやはり」

 

日本のとある場所、そこの一室で誰かがそのような言葉をこぼした。声質からして男なのだろうか。

 

暗闇に支配されたその部屋は、何ともおぞましく薄気味悪い部屋から男の声が聞こえた。

 

「やはり、あの一族・・・・・・ジョースター家か」

 

暗闇の中に潜むそれは忌々しそうに恨めしそうにこぼす。その声色から表情がはっきりと想像できる。怒りが、恨みが、妬みが、その不の感情の全てが感じられ。

 

怒り狂ったようで冷静で、それでいて表情が一切の無表情であるということが理解できる。

 

「さぁ来い。ジョースター家。今度こそこの運命を越える」

 

その声はそういうと、大きく叫んだ。それは普通の叫びではない。何ともいえない叫びが聞こえる。それは奇声にも感じられた

 

「WRYYYYYY」

 

これはいったい何を意味するのだろうかは全くの謎。ただ一つ感じられるとすれば。

 

 

これは、まさしく奇妙な冒険の始まりを意味するのかも知れない。

 

 

 




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