ジョジョの奇妙な学園 ~stardust stratos~ 作:エア_
いろいろな人に読んでいただけて嬉しいという反面、1や3といった表記あの方に何処が悪いのか教えてもらえず推敲のしようがないと悩んでいます。
まぁ、そんな事、今はどうでも言いのだァ―――――ッ!
SOUL'd OUTを聴きながら夜空を眺めながら散歩するとDIOになれた気がして気分が高揚しますね。俺は人間をやめるぞ―――ッ! WRYYYYYYYYYYYY
今回は少し短めです。すみませぬ
あぁ、お腹空いた。
第一話~準備と出会い
臨海学校へ行く一週間前、承太郎は一夏に捕まって水着を買わされることになった。彼自身泳ぐ気はさらさらない為、何故買わされるのかが良く分かっていなかった。そんな彼を他所に、一夏はショッピングモールへと先行して歩いていた。
「おい一夏」
「すまねぇ承太郎、後ろを確認すれば分かるんだ」
ついに承太郎が一夏に声をかける。すると彼は顔から多大な汗を掻きながら、見ることなく後ろを見るように言った。承太郎はわけも分からずチラッと後ろを見る。
するとそこには目に光が篭っていないにも関わらず鈍く輝く六つの光と三つの影。遠目でも分かる。シャルロットと鈴、そしてセシリアだった。流石の承太郎の驚きを隠せないでいる。余程のものがそこには存在したのだ。一言で言い表せられるシロモノじゃあない。もっと恐ろしいナニカを感じさせる凄みがそこには存在していたのだ。
「・・・・・・どういうことだ」
「・・・・・・簡潔にいうと、三人が買い物行くってせがんだんだよ。でも三人揃ったら何でか修羅場状態になってさ、そこで」
「俺を使ったら、あいつらが今にも殺しそうな視線を俺達に送ってるってぇことか・・・・・・勘弁してくれ」
一夏への思いを完全に切り捨てられた三人は恐ろしくも承太郎までターゲットに入れていたのだ。たぶん一夏と離れたら確実にやられる。最強のスター・プラチナを持っている今でも何故か今の三人を相手にすると確実に殺されてしまう。そんなヴィジョンが彼を襲っていたのだ。そんな理屈抜きの凄みが彼らを襲っていた。
承太郎はビルなどに表示された電子時計に目をやった。今は午前11時35分。そろそろ小腹が空いてくる時間帯だが、今昼食をとると必ず捕まるだろう。そう本能が理解していた。今捕まるとまずい。どうまずいかというと兎に角まずい。理由がほしい彼だがそんなこと言っている暇も猶予も無い。仕方なしに一夏の後を承太郎は追った。
「兎に角、今回ばかりは悪いと思ってる。だから助けてくれ承太郎」
「お前の所為で俺にまで
承太郎の返しに一夏の顔が笑顔になる。涙目なところを察すると、一人で今の彼女達から逃げるのは辛いのだろう。承太郎は口では面倒くさそうに言ったが、内心は激しく同情した。こいつも、やっぱり大変なんだな。それが彼の今を見た感想だとか。
「んで? 何処に行くんだ? モールか?」
「あぁ、あっこくらいだろうなぁ。いろんなもんが集まるのは」
「そうかい」
一夏の案内の元、承太郎は彼と共にショッピングモールへと歩みを進めた。少し体が前のめりなのは仕方が無いことだろう。
歩きながら何も喋らないのは流石にきついと一夏はラウラの事を聞いた。彼女が病室で話したことを考えると、どう思っているのか少し知りたかったのだ。あの鈍感で定評のある一夏だが、他人の恋話には鋭いのだ。おかげでラウラの気持ちをちゃんと理解していたのだ。
「ラウラか・・・・・・あいつは俺の最高の
「まじか、凄いんだなぁやっぱり」
「そりゃあな、あいつは軍人でもあるからポテンシャルは充分高ぇ。その上あいつ自身が
承太郎が彼女の話をすると心なしか嬉しそうに感じ取られた。そう、何というかまるで自慢をしているようにも見える。【俺の相棒は最高のパートナーだ】そう言いたそうにも伺える。彼の声も少し弾んで聴こえるのは確信してもいいのではないだろうか。
「でもよ。近接主体の承太郎に合わせられるって事は誰にでも相性は合うってことか?」
「だろうな。つまりは
「何か違和感が・・・・・・あぁ、AICで止めて殴らせるって事か?」
「その通り。つーか、お前の場合はそっちの方が断然良いだろ。言っちゃあ悪ぃが、現状シャルロットくらいだぜ? お前に合わせきれる器用貧乏は」
どこかで三つの矢が刺さる音がしたような気がする一夏と承太郎だったが気のせいかと無視して歩き続けた。まさか承太郎の言葉が心に刺さった等と彼ら自身も思っても見ないだろう。一夏は何故か罵倒を受けたような顔になったが深くは考えずにラウラって凄いんだなぁと思うばかりであった。
暫く話していると目の前に巨大なショッピングセンターが現れる。ここが一夏のいったモールなのだろう。承太郎が以前楯無と行ったところとはまた別のところらしく、珍しいものを見るように承太郎は辺りを視線だけで見回す。辺りを見回すと通行人が二人を見ていることに気がついた。承太郎はスター・プラチナを無意識のうちに起動し、周囲の音を聞いた。
[ねぇ見てあれ。もしかしてIS学園のじゃない?]
[何言ってんのよ。あそこには例の織斑何とかって言うのの弟だけでしょ? コスプレイヤーじゃないの?]
[男二人・・・・・・捗るわぁ]
[何よあんなに白昼同道と中央を歩くなんて、自分達の立場を分からないのかしら]
などとよく聞こえるといったものだ。周りにいるやつを確認した。怪訝そうにみる女性。何故か顔が少し赤く息が荒い女性。こちらを嫌そうに見る女性。何故か殆どというかこちらを見ているのが女性だけなのだ。承太郎は制服で来た自分が間違っていたかとため息を吐く。というか、最後に聞こえた女性の所為でイライラが相当に溜まっていた。彼自身、女性を差別しているわけではない。煩いのは中学から煩かったからイライラしているだけで、前行ったパーティーでは一度たりとも怒鳴ってはいない。ただ煩いから注意する。承太郎の場合はそれだけの理由だった。だがまぁそれを棚に上げなくとも、何故か見た瞬間自分に立場を求める輩に対して怒りをもたないわけが無い。何故知り合うことも無い人間にいきなり悪態を疲れなくてはならないのか。[酷い]の一言だろう。殴ってしまいそうになるがしかし、ここは公共の場で、面倒ごとを起こせば千冬に小言を言われてしまう。それだけは避けねばならない。そう思うと余計その悪態をついた女に苛立ちを覚えながらも少し周りを見渡した。こちらを見てくる周りの人間など気にもせず、大きな舌打ちをすると承太郎はモールの中へと入っていった。一夏もその後を追う形で中へと入っていった。
★
「何よあの態度、これだから男ってのは最悪ね。特にあの白い奴は最低。死ねばいいのに」
先ほど悪態をついていた女性は今も依然変わりなく承太郎に対して文句、いや男に対して文句を言っていた。このご時世こんな女性は数多く存在するが、こんな表ざたで堂々という人間など一握りしか存在しないだろう。自分が使えるわけでもないのにISが女性優位の世界に変えたと本当に思っているのだから。未だ重役といった古参が男性であり、その古参の中に女性がいるのもまた事実。世界の一般ではどうかは知らないが、重役の中に女性がいなかった例が無い。確かに政治に関しては意見が弱い国もあるだろう。だが情報社会において、企業での活躍に男も女もあるわけが無い。
例えるならばSPW財団だ。
これはISなど一切関係ない上、未だIS産業などを寄せ付けないほどの巨大企業。医療方面では医者が自分から売りに来るほどの医療に力を注いでいる財団だったのだ。そのトップはロバート=E=O=スピードワゴンの意思を尊重し、これまで財団に尽くした人間が重役として社長を支えていくシステムになっており、そこに男女など一切関係ない。むしろ女性の視点で考えられると優遇までされているのだ。そしてこの重役の中の三分の一が女性であるのは全くの事実。こんな巨大産業でさえも女性とはちゃんと生きてきたというのに、女尊男卑などと言う風評被害のせいでその重役も申し訳なさそうに会議に出ているのだ。社長を含め男性重役は気にしていないというが、同じ女性として恥ずかしいと女性重役の全員が辞表を出しかけるという謂わば財団崩壊の危機になりそうだったこともある。企業のトップ達の間ではすでにそのような風潮などゴミ以下と考えられており、依然として男女良好な関係を結んでいた。
国でいえば日本などどうだろうか。
昔の日本では女性は家事をし、子を産み、子を育てるのが仕事。そう漠然と解釈されていましたが考え方が違えばそれは【男が帰ってくる家を守り、自分達の繋いだ命を守り育み立派な大人にする】と考えられるものだ。女性は男性よりも基礎筋力の違いから弱い。確かに例外(千冬、ALS○K)なども存在するが、基本的には戦う面においては劣っている。それは男が女を守るために筋力を長い年月でつけてきたからであり、女性が弱いというわけではなかった。故に日本では女性は男の斜め後ろを歩く姿などをよくいろいろな情報源で知ることはあるが、それは【前から、そして横からきた危険から女性を守るため】なのである。昔の日本は刀の帯刀を許されていた。つまりはいつ斬られるか分かりはしない。そこで男という生き物は本能的に女を自分の背中に隠すように前に出て歩くのだ。むしろ男尊女卑などといわれる時代でも、本能的に男性は女性を優遇し、守っていたのだ。
そんな日本でも、こうやって女性は今の風潮に流されるように承太郎に悪態をついた。
次の瞬間、女性は裏通りへ何者かに後ろから連れて行かれた。そこには承太郎を追っていた鈴やセシリアなど居らず、彼女はただ一人その裏通りに連れて行かれたのだ。連れてかれるやいなや、女性は思い切り背中を壁に叩きつけられた。あまりの痛さに声も出ない。そしてその髪を無理矢理握り持ち上げられた。
そこには銀髪の眼帯娘、ラウラ=ボーデヴィッヒの姿があった。
額の青筋が彼女の機嫌を伺えるだろう。彼女は非常に怒っていた。
「おい貴様、全て聞こえていたぞ。貴様があの方に言った失礼な言葉を全部だ」
あまりの形相に女性は混乱をしていた。まさかいきなり拉致紛いな事を受けるとは思っても見なかっただろう。ラウラは殴りたい手を押さえながら、女性を睨みつける。
「貴様が失礼を働いたあのお方はな、世界に名高いSPW財団所属の最重役の一人。今貴様らの調子に乗った風潮で有名なISの世界でたった“二人”の男性操縦者であられる空条承太郎殿だ。もしこれ以上あのお方を侮辱してみろ? あの人の国籍は現時点でドイツだ。国際問題にしてでも貴様を社会的に葬ってやる」
あの事件以降、いろいろ箍が外れた彼女はいろいろと承太郎に関して積極的な行動をとるようになっていた。彼が朝起きて食堂へむかおうと扉を開けば彼女が常に待っているのだ。授業が終われば必ず授業に関しての疑問を聞いたり、IS訓練なら放課後一緒しようと毎日の如く提案したりと、相当なまでに承太郎への執着を見せている。彼女自身その感情がなんなのか理解できておらずそれ自体が疑問のままだが、自分のことよりも承太郎という選択さえも彼を優先しているため、いまだ理解をしようともしていなかった。
「わかったら首を縦にふれ、横に振ってもいいぞ? その時はその息の根をとめ――」
「何やってやがるッ!」
次の瞬間、大きな打撃音が裏通りに響いた。突然の頭への衝撃に悶えてしまうが、何者と思い切りラウラは振り向いた。
そこに待っていたのは、先ほどの苛立ちを隠せないでいた我らが承太郎の姿があった。
「し、承太郎殿」
「一体何してやがる。お前は国際問題を起こしてぇのか?」
「いえっ、自分は承太郎殿を侮辱した輩を社会的に葬ってやろうと」
「お前はあの事件以降から過保護すぎだ。
そう言って、承太郎はラウラを女性からはがした。実はあの舌打ちは承太郎達に関して言ってきたことに対しての舌打ちだけではなく、シャルロットと同じくラウラまで現れたのを確認したからでもあった。最近の過保護さにすこし面倒(でも嫌とは言わない)だと思っていた彼からすれば十中八九こうなるだろうと予測し、さっさとその区域から離れこちらに誘導しようと考えたのだ。しかし、結局ラウラは女性を裏通りまで拉致してしまった。
「すまねぇが、文句言った分でチャラにしてくれ」
承太郎はそう言うとラウラを抱えながらその場を去った。女性は唐突な事に理解が追いついておらず暫くの間裏通りでへたり込んだままになった。
☆
「すみませんでした」
モール内の水着売り場にてラウラは承太郎から説教を食らった。文句を言い終わるとそこにはシュンとしょげた顔がそこにあった。良かれと思ってした事が裏目に出たのだ。そりゃあ落ち込んでしまうのは分かりきったことだろう。承太郎はやれやれと小さく呟きながら、ラウラに一緒に回るかどうか聴いた。どうせこのまま別れるのも気まずくなる一方。それならばとここで元のラウラに戻ってほしいと彼なりの考えだったのだ。
「よ、よろしいのですか?」
「別にかまわねぇ」
「では、お供させてください!」
ラウラの返事を聴き、承太郎は改めて一夏と合流した――
「それで? 女物の水着売り場で馬鹿騒ぎしている男と女が合計四人。しかも誰かと思えばIS学園の生徒と・・・・・・覚悟はいいか? 私はもう出来た」
『すみませんでした』
――かったが、そうも言ってられない状況だった。何故か一夏は男性水着売り場の向かい側にある女性水着売り場にてシャルロット率いる専用機持ち三人と共に真耶と千冬に捕まっていたのだ。遠目からも分かる。近づけば面倒だということがはっきりと。
「しかたねぇ。別の水着売り場に行くか」
「は、はい! お供します!」
敬礼をするラウラにここは軍じゃないぞと言いたくなる承太郎だが、言っても変わらないだろうなと自己完結させて、その場を去った。面倒ごとに巻き込まれるのは勘弁願いたい承太郎の行動はある意味正しかっただろう。結局そのあと一時間は真耶の説教を受ける羽目になる四人がそこにいたからだ。
「そう言えば、承太郎殿は水着を買わないのですか?」
「俺が泳ぐ柄に見えるか?」
「それはわかりません。私は承太郎殿の泳いでいる姿を見たことがありませんので」
「つまりそういう事だ」
どういうことなのだろうか。承太郎の言葉にラウラは首をかしげる。ちなみにいうと、承太郎は泳ぐのが苦手というわけじゃない。人前でそういう事をするのが少し苦手なのであった。それに彼は海に行くならば必ずやっておかなければならない事がある。
「では、何をするんですか?」
「海洋生物を見て回る」
これに限るのだった。もともとイルカやらヒトデやらに大変興味を持っている承太郎は図鑑だけでは飽き足らず、この臨海学校を使って本物を見ようと考えていたのだった。IS学園周辺の海辺があるじゃないかと思われる人はいるだろう。そんな所で一人ポツンと観察でもしていれば怪しまれるに違いない。そう感じた承太郎は今回の臨海学校はすこし楽しみにしているのだった。
「俺の事は別にいい。お前は自分の水着を見つけな」
「はい! 期待に副えるよう全力を尽くします!」
どう期待に副えるのだろうか。承太郎は何故か今も敬礼する相棒に疑問を持たずにはいられなかった。彼女が去ると、近くでベンチを見つけ、深く腰を下ろした。ふぅっ、とため息がこぼれる。一夏の巻きぞいから始まったこの騒動に対しての疲れ、そしてこれからについて考えるとため息が出ないわけが無い。
(タッグマッチ・・・・・・確かにあの時俺は“視られていた”。観られていたわけじゃあない。他の奴も視ていたのかも知れねぇが、一つだけ俺を、俺だけを視ていた。あれはまるで、俺を――――)
「ちょっと、聞いてるの!? そこの男!!」
突如思考が中断された。気がつくと何故か女性物の下着をもつ見ず知らずの女性がこちらに向かって怒鳴っていたのだ。解せない。
見るからにその顔は先ほどラウラに裏通りに連れてかれた女性と同じタイプだと感じ取った承太郎は面倒なのに絡まれたと深くため息を吐くのだった。
「それで? 何のようだ」
「この下着を戻しておきなさい」
「何で見ず知らずの女が持ってるような下着を戻さなきゃなんねぇ。理由が思いつかねぇな」
「あらそう、警備員を呼ぶわよ?」
まるで自分が優勢で、男が劣勢だと言わんばかりなしたり顔。終には怒る気力すらなくなった承太郎はベンチに上半身を預けて天井を見ながら再びため息をついた。
「確かに、今は女尊男卑な風潮で女は実質男よりも上位に存在して、こうやって道端の男を駒使いにしても誰も咎めはしない。むしろ拒否をすればこうやって警備員を呼んで痴漢だの何だのと適当に理由をつけりゃあ警察の元へ直行だろうよ」
「あら、ちゃんと理解してるんじゃない。ならとっととこの下着戻してきなさい」
「あぁ・・・・・・だが断る」
「っ!?」
下着を承太郎に渡そうと近づいた女性を前に承太郎は否定をした。理解したうえのこの否定に女性は驚きを隠せないでいた。そして承太郎は立ち上がり、その身長195cmを充分に生かして上から見下すように睨み付ける。
「俺はさっき言ったな。理由が思いつかねぇってよ。てめぇの独りよがりにつき合わされるほど俺も暇してるわけじゃねぇし、落ちぶれてもいねぇよ。それとも何か? 俺が警備員呼ばれて困るとでも思ったのか? なら今すぐ呼んで来い。まぁ俺にとっちゃあどうでもいいがな」
女性は承太郎の凄味に驚きを隠せないでいた。見た目が不良漢で、ただ見た目を悪そうにしただけだと思っていた存在が今自分を睨み殺さんと見下ろしているのだ。その人よりも太く発達した二の腕が未だポケットの中にあるのが幸いしただろう。もしその拳を見れば一目散に逃げたくなる。
しかし、思わぬところから援軍が現れた。
「ちょいと待ちなぼうや」
現れたのはレディーススーツを着こなした見た目麗しい女性の姿だ。口調とその獣のようにぎらつかせた目さえ良ければ、上流階級の食事会で見受けられるようなそんな気品溢れる姿の少し残念な女性が二人を止めたのだった。
「ここで暴力沙汰にするきかい? 言っとくけど、近くに警備員は10はいるんだぜ? 止めときな」
「そ、そうよ。大人しくこの下着を戻してきなさい」
思わぬ助け舟に女性は勢いを戻した。こちらには二人も人がいるのだ。直ぐにでも警備員を呼べば金はせしめられる上、男を咎められる。そう考えたのだ。
「あん? 誰がテメーみてぇな屑の味方すると思ってんだよ」
だが、期待は大きく破り捨てられた。その瞳が鋭く女性を射抜く。承太郎は世の中にはまだ
「あたしがいつテメーの味方をしたよ。あたしはこいつが“謂れのねぇ罪を着せられるのが我慢ならなかった”ただそれだけを言いに来ただけだぜ?」
「なっ!?」
「ほれ、さっさと消えな。じゃなきゃあテメーの頼みの綱をあたしが呼ぶぜ?」
そう言って、いつの間にか手に持っているボイスレコーダーを流し始めた。そこには先ほどの承太郎と女性の会話が録音されていた。見る見るうちに顔が青ざめていく女性にたいし、レディーススーツの女はさっさと消えろ。そう凄んで見せた。女性は青ざめたままその場を去っていく。その後姿は何ともいえない哀れにも思えるものだった。
「っと、すまねぇな。邪魔しちまってよ」
「いや、あんなのと関わるのは面倒で敵いやしねぇ」
承太郎はレディーススーツの女性に軽く会釈をした。女性は気にするなと男顔負けのガサツさを見せ付けた。そんな彼女の性格は承太郎の好きな部類であるのは確かだ。物事をちゃんとはっきりさせる。それは今の世の中を考えれば稀に見る珍しさじゃないだろうか。
暫く、彼女は待ち合わせだからと話し相手を務める。互いに今の世の中は女よりになって男が相当なまでに臆病になっている。そんな世界が嫌いだと語る女性と俺みたいなのはいると答える承太郎は今ベンチでそんな会話を交わしていたのだ。
「っと、もう約束の時間か。じゃあな承太郎。アンタみたいに真っ直ぐなのはあたしのタイプだぜ? せいぜいその性格をまげねぇようにな」
「あぁ、巻紙さんも、その性格でいな」
「分かってらぁ」
承太郎の方も、ラウラが戻ってきた。先ほどの騒動でも戻ってこなかったのだ、相当集中していたのだろう。ふと承太郎は巻紙と呼んだ先ほどのレディーススーツの女性に再び声をかけた。何故また声をかけられたのか分からなくなった巻紙だったが、改めて真正面から彼をみるとまさに巨漢だと改めて認識された。
「一度、あんたの素顔が見てみたいもんだな。好みの性格だしよ。もしかすれば恋に落ちるかもな」
そう言い残し、承太郎は何故かまた敬礼をするラウラに何ともいない表情をしながらその場を去る。最後、こちらに少しだけ顔を向けると、フッ、としたり顔をみせるのだった。
「・・・・・・あの野郎」
若干顔が赤くなりながらもまさか正面から言われる事があるとは思ってもみなかった巻紙はなりふり構わずその集合場所へと足早に歩いていくのだった。
例の台詞は巻紙さんに使わせていただきました。敵であるのにもかかわらずオータムネキは人気とり杉ィ! 男勝りなその性格なら・・・・・・仕方ないね♂
感想、コメント、指摘待ってます。