ジョジョの奇妙な学園 ~stardust stratos~   作:エア_

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くまもん探して熊本へ。結局会えませんでした。エアです。


さて、後半頑張ったよ。わし超頑張った。


あ、戦闘描写は酷いので堪忍してつかあさい


第十一話~実力

 

 

「つまり、鈴達は出場出来ないってことですか?」

 

「そういう事だ。本人のやる気は買うが、専用機が酷い損傷を受けている。最悪本部に送り、メンテナンスを受けなくてはならんほどにな」

 

あれからすこしたった。容態を確認しに来た千冬は、その場にいた一夏達にラウラの現状とこれからのことを話した。ラウラは今、反省室なるところで一人拘束されている。精神的にも時折安定してないことがあるらしい。もっとも、それは一夏との対戦時のみ確認されただけに過ぎないが。そのような状態で試合に出すのはもちろん反対だが、彼女も一応ドイツの面目というものもある。よって苦渋の決断だが彼女の面子を守る為に試合には出場してもらうことになったらしい。

 

「その間に、空条。お前にはボーデヴィッヒのパートナーとなりストッパーを担ってもらう」

 

「端からそのつもりだ」

 

千冬の提案に、肯定の意を見せる承太郎。彼自身彼女以外をパートナーと認めていないため、ラウラと組まなければ試合に出場する気はなかったほどだ。

 

「そういや、承太郎は大丈夫なのかよ。ボーデヴィッヒは鈴達を簡単に」

 

そんな中、一夏は疑問を持っていた。以前鈴とセシリアとの2対1の実践訓練では結局引き分けだった。それ故なのか、その二人を圧倒していたラウラを止められるか心配だったのだ。

 

「そのことか、安心しろ。実力はお前らが逆立ちしたとしても勝てん」

 

承太郎の代わりに千冬が質問に答える。その答えは身内など一切関係なく、当然だと言った感じで返答した。しかし、流石に聞き捨てならないと思った一夏だったが、そういえばドイツで承太郎は無敗だった事を思い出すと、なんとなく理解した。

 

「実際この学園の生徒会長はロシア代表だが、そいつとの戦闘で空条は勝利しきっている。何なら観てみるか?」

 

まさかの千冬から敵になり得る承太郎の戦闘データを薦められるとはそれほど強いということだろうか。承太郎自身、何故自分が引き合いに出されなくてはならないのかと考えていたが、面倒になりその思考を止めた。

 

「まぁ一度見ればいい。空条。かまわんだろ?」

 

「・・・・・・やれやれだぜ」

 

否定はしない。つまりはOKなのだろう。千冬は専用機を持っている一夏とシャルロット、そして承太郎を呼び、映写室へと向かった。

 

 

 

 

映写室とは、IS学園では会議などを行う場所の事を指し、基本教師達のISに関しての会議はそこで行う。普通の会議室もあるが、そちらは外部からの御偉いさまとの交渉用に使われており、基本はこの映写室で行われている。

 

「これからみるのは学園生徒最強と男子最強の公式映像だ。これは一応出回ってはいないが、授業の一環としてみることは許されている。つまり今からお前達はIS学園の生徒ではなく、代表候補生の訓練プログラムの一環を教授する訓練生として見ろ」

 

『は、はい』

 

声を揃え、二人は返事をした。承太郎はと言うとドア付近の壁に背中を預け、彼らを見ていた。千冬はそれを確認すると映写機を起動させ、映像を流す。

 

そこに映るのは水色のボブカットヘアの女性と、学ラン姿の承太郎の姿。互いにISは身に纏っていない。だが、今すぐにでも戦いが始まりそうな雰囲気を漂わせている。

 

[じゃあ承太郎。始めるわよ]

 

[・・・・・・]

 

無反応の承太郎に対して苦笑いをする女性。アリーナよりも広いフィールドで、二機のISが姿を現す。

 

水色の女性は、水色を基点色としたスマートなフォルム。他のISよりも装甲が少ない。その代わりというのか、左右に浮遊する水でコーティングされているナニカ。その手に持つ槍が彼女の最高の武器であることを物語っている。

 

もう一人、承太郎は至ってシンプル。スター・プラチナが彼の背後からスゥッと浮き上がるように現れ、そして彼の後ろで腕を組み仁王立ちをする。承太郎自身は少し苛立ちを見せながらもタバコをふかし、両手をポケットに入れ、時折そのタバコをつまんでは口方はなし大きく息を吐く。

 

しかし、当時のことを考えると、未成年の喫煙はどうしたものかと考えてしまったのは一夏達が不良じゃないからだろう。

 

[いったい何時からタバコを吸うようになったのか。お姉ちゃんは心配だわ]

 

[・・・・・・]

 

[あー、これも無視? 流石にお姉ちゃんも傷つくわy――――]

 

[煩わしい。うっとおしいぜ]

 

敵には一切の躊躇はない。まるでそういうかのように承太郎は眼前の女性を睨み殺さんと見下ろすように怒りを露にしていた。対する彼女は何故ここまで言われるのか分からず若干涙目だった。これが例の、純粋太郎からグレ太郎になったころの事で、彼女は完全にその間を知っていなかった。

 

[私が勝ったらこの数年で何が起こったのか教えてもらうわ]

 

[・・・・・・]

 

女性はその槍を構える。隙のない構えは素人目でも明らかに分かった。それほど高い実力を持っているのだろう。武術を習っていた一夏は目を見開いていた。

 

ISを纏う事で隙という物は必ずしも生じる。しかし、彼女にその隙は今、この瞬間見られない。それこそ、彼女が代表であることを裏付けることの出来るものだった。代表とは国の中で最もIS操縦技術が高く、戦闘で最も強いと言っても過言ではない存在。一夏達は息を呑んだ。

 

対して承太郎は一切構えない。それどころかタバコを地面に吐き捨てそれを踏みつける。煙が少し出るが彼には関係なかった。一歩、また一歩。以前から見受けられる彼の行動だ。【引かば押せ、押さば押せ】それはまるで相撲のような戦い方だが、彼にとってはそれが最もな戦い方。遠距離武器を持たないスター・プラチナは、近づかなくては敵にダメージを当てられないのだから

 

[あら、何の策も無しに近づいて大丈夫なの?]

 

[生憎と、近づかなきゃ殴れねぇんでな]

 

鬼の形相と比喩されても可笑しくないほど、眉間にしわを寄せる承太郎。その凄みに流石の彼女も一瞬たじろぐ。しかし、彼女は国家代表。維持というものがある。水が螺旋状に槍の先端に集まっていく。それをまっすぐに構え、その槍に搭載されているガトリングガンを4機の銃口を彼に向ける

 

[ずっとこうしているのもなんだし、私から行くわよ]

 

[・・・・・・]

 

彼の返答はない。しかし彼女は無慈悲にもその銃の引き金を引いた。ガトリングガン特有のリズムを刻むような轟音が、観客席を巻き込みながらフィールド全体を支配する。打つたびにその砲身が若干ながらずれるのはISをもってしてもその威力に押されているからと考えていい。それほどの威力を放つ恐ろしい武器だった。

 

だが、彼に触れることはなかった。

 

[オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァアッ!]

 

スター・プラチナが全ての弾丸を殴りぬく、放たれた拳が、銃弾ごと破壊しているのだ。全ての弾丸はアルミホイルのように簡単にへしゃぎこみ、カランカランと重力に逆らうことなくその場に落下。弾かれるように地面に落ちれば、カランコロンと跳ねては転がる。

 

だが、彼女はそれでは終わらない。その槍を承太郎に向けながら高速で突撃(チャージ)をかけてくる。彼女の持つ槍は日本のような薙刀型ではなく、完全なランス型。傘のような円錐型のそれが承太郎目掛けて勢いよく向かってくる。

 

[・・・・・・]

 

スター・プラチナがその槍を止める。その両腕で止められると、まるで山を動かすようにびくともしない。それは彼のISがパワー最強を決定付けるには十分すぎるほどの力だった。だが、承太郎の顔は一向に代わることのない怒りの形相。女性も明らかに困っている。

 

[ならこれならどう?]

 

彼女は槍を右手で持つと、その左手に剣を出現させる。何の変哲もないその剣を見て、承太郎の顔はまた一段と怒りで濃くなっていった。

 

[・・・・・・てめぇ、嘗めてんのか?]

 

[何でこんなに嫌われてるのよ~!!!]

 

ついに半泣きになった女性はその剣を承太郎に勢いよく向ける。するとどうだ。その剣がまるで蛇のように彼に襲い掛かってきた。

 

【蛇腹剣】

 

それは刀身を鎖で繋ぎ合わせ蛇のようにくねらせ相手を翻弄し切り刻む武器だ。その武器自体が珍しく、初見の敵には効果が絶大な武器として名乗りを上げるほどのもの。いくら承太郎でも、その突拍子もない攻撃に一瞬翻弄されてしまう。

 

しかも、何故か水分を纏いながら、その蛇腹剣は彼を襲う。しかし、そこは流石のスター・プラチナ。横ばいから殴りつけ、剣の軌道を変える。直接的な攻撃に対しても弾き返し、間接的な攻撃にも対応できる。それはまるで迎撃基地のようだ。

 

しかし、承太郎もそれでは終わらない。陸上選手顔負けのスタートダッシュをきめ、女性の眼前にまで現れる。そしてその豪腕を振り絞り、彼女に叩き込む。だが、彼女のISの防御兵器アクアクリスタルから現れたナノマシンの集合体にその攻撃は緩和される。そう、それは水を殴っているような感覚になるのだ。

 

女性は蛇腹剣の切っ先から高圧水流を放つ。承太郎は首を軽く動かしそれを避ける。

 

[本気で来な。さもねぇと怪我するぜ?]

 

[言ってくれるじゃない]

 

承太郎の挑発に、彼女は少し向きになったのか、ISがその言葉に答えているのかは分からない。彼女を包んでいたナノマシンのヴェールが真っ赤に染まった。それは一瞬鮮血を想像させるような鮮やかな紅だった。翼が生えたような紅いその装飾品が取り付けられ、いよいよ彼女も本気らしい。

 

[行くわよ]

 

[・・・・・・]

 

再び女性の槍が承太郎を狙って突き出される。しかし、スター・プラチナがそれを弾く。蛇腹剣で側面から叩こうとする。しかし、スター・プラチナが蹴り飛ばす。

 

承太郎もスター・プラチナを使い、女性に攻撃する。しかし、やはりそのヴェールが彼女を護る。

 

攻防は未だ拮抗。闘いはもうすぐ一時間を迎える。

 

[ねぇ、今日はやけに蒸し暑くない?]

 

彼女が突然そんなことを言ってきた。しかし、承太郎は反応しない。そう、彼にも理解できているのだ。

 

自分の周囲が濃霧で埋め尽くされていることを。

 

彼女が指を鳴らす。それと同時に承太郎の周囲が大爆発を起こす。全てが飛び散るほどの暴風が映像の向こうから肌身に伝わってくる。

 

水蒸気爆発。ナノマシンで構成された水を強制的に高速振動させて行う爆発。その衝撃や熱は全てを破壊しつくしてしまうほど恐ろしい武器。当然、承太郎も無事ではないだろう。

 

そう思う専用気持ち。しかし、シールドが切れたというブザーの音は一切しない。

 

煙がだんだんと晴れてゆく、晴れていくにつれ、女性の顔が絶望の色を纏う。

 

そう、承太郎はスター・プラチナで己を覆うようにして、その爆風高熱から身を護ったのだ。しかし、それでもスタンドタイプはダメージを共有してしまう。いくら絶対防御を発動してある程度防いだとしてもだ。

 

しかし、そこにいたのは体のあらゆる所から血を流しながらも、平然と立っている承太郎のその姿があった。

 

帽子をくいっと上げながら女性を見据える。その目は先ほどから変わりはしない。怒りに満ちたものだ。

 

[ど、どうして]

 

[絶対防御ってのは、ON/OFFが利いてな]

 

その一言で全てを理解することが出来る。つまり彼は爆弾を間近、しかも生身で受けたのと同然のことを行ったのだ。ただスター・プラチナのパワーで吹き飛ばないようにしただけ。ただそれだけをしたのだ。

 

[てめぇのナノマシンはもうねぇ。今度はこっちの番だ]

 

[オラァッ!]

 

その腹に懇親の一撃が入る。肺と腹の空気が無理矢理吐き出され、一時的な呼吸困難になってしまう。シールドはその一撃で大幅に下がり、最初の3割にまで下がってしまった。しかし、女性の表情はそれだけの為に歪んでいるようには思えなかった。真っ向から叩き潰されたのだ。自分の全力も、策も一切彼には効かなかった。そして彼のその目、興味がうせたような、つまらなさそうな、失望したようなその目が彼女の顔を歪ませていた。

 

[・・・・・・終いだ]

 

[オラオラオラオラオラァッ!]

 

その呟きと共に、スター・プラチナの拳が彼女を襲い。シールドを削りきった。試合終了のブザーと共に、承太郎はその場を去った。そこには何の言葉もない。何もかける言葉は一つもない。彼女を見下ろし、何もなかったように歩むその姿に女性は握りこぶしを作る。

 

残されたのはナノマシンの水蒸気が雨となって降り注ぐなか、両膝をつき、涙かどうかも分からないほど雨にうたれる彼女の瞳は、苦しそうに悲しそうに空を恨むように見上げていた。

 

 

 

 

「これを観て感想はあるか?」

 

映像が終わり、千冬はそんな問いを彼らにかける。殴って捻り潰す。とてつもなくシンプル。しかしそれでいて至難と言われる戦闘スタイル。その光景に一夏は見覚えがあった。依然行われた第一回モンド・グロッソ世界大会で優勝をした織斑千冬の戦闘スタイルと酷似していたのだ。武器は確かに剣と拳、しかし、後退することのないその歩みはまさに彼女と同じだったのだ。

 

「お、織斑先生。絶対防御をON/OFF出来るものなんですか? いくら私達でも、コントロールにまで入る手段は」

 

「簡単なことだ。やつのISがスタンドタイプで、その上体内に存在している。つまりは、神経系とISがコネクトされており、やつ自身とISが融合しているも同然というわけだ。今のやつはブラックボックス以外のコントロール系統は全て手中に収めているだろう」

 

何やらよく分からない言葉が飛び交うな、と一夏は思いながら感覚で言葉を理解しようとした。

 

「織斑先生」

 

「なんだ、織斑」

 

「今のはどういう意味なんですか?」

 

「貴様みたいな脳みそでは理解できんものだ、気にしなくていい」

 

理不尽だった。目の前に理不尽の体現者がいる。そう一夏は涙を流しながら思った。流石にシャルロットも苦笑い。確かにあまり勉強は得意ではない一夏だが、ここまでとはおもわなんだ。だが、流石に千冬もドストレートすぎる。

 

「他に聞いておくことはないか? ないなら今日は解散だ」

 

結局二人はこの後聞くことも思い浮かばなかったようで、その場で解散となった。

 

一夏達は先に出て行った承太郎を追うようにその場を去った。残ったのは千冬だけだった。

 

「・・・・・・」

 

映像を思い出す。あの怒りに満ちたその姿。まさにあれは鬼だ。技量やら努力やらを全て上から叩き伏せる。天才凡夫など関係ない。承太郎はその全てを例外なく叩き伏せる力がある。

 

「本当に、末恐ろしいやつだよ。承太郎」

 

そう愚痴のように零すと、何事もなかったように彼女は映写室を出て行った。

 

 

 

 

IS学園の屋上、そこは夜になっても周囲を見渡せるベストスポットだった。承太郎はそこに寝転び、空に写る煌く星々に少々見とれながら、彼はラウラ達のことを考えていた。

 

「・・・・・・何をしているんだ?」

 

「・・・・・・篠ノ乃、だったか?」

 

突如現れたのは一夏の幼馴染であり、最近千冬に縛り上げられた箒の姿があった。彼女も何か考え事があったのだろう。少し思いつめたような表情をしていた。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

承太郎のそばに座る箒。そうしてひと時の静寂が訪れる。互いに何も語ろうとはせず、かといって聞くこともない。互いに思うことはあれど、干渉はしない。

 

承太郎はそんな箒の態度が案外気に入った。

 

無駄に騒ぎはしない。それだけでも彼にとっては好印象だった。だが、己と人との距離をちゃんと取れる人間と関心をしたのだ。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

二人して星空を眺める。黒い画用紙に白や青や赤、黄色などの点が広がっており、それは一つの絵画のようだった。

 

二人はそれに見惚れていた。空とはこんなにも美しいものなのだと改めて気づかされたのだ。人間関係など一切無視し、全てを忘れ去り、ただひたすらその夜景を眺める。夏頃だからだろう。天の川が空を覆い尽くしており、そこはそこで鮮やかな点が線となっていた。

 

「・・・・・・綺麗だ」

 

「・・・・・・あぁ」

 

思わず零れ出る感嘆の声、つられて同意をしてしまうほど、この夜景は素晴らしかった。

 

このまま何も考えずに過ごすのも悪くない。何もかもを忘れ、何もかもを置き去りにして。

 

しかし、そう考えて、その思考すらも捨てて。

 

承太郎はその景色を目に焼きつけ、大地に身を任せ、眠るように空を見上げる。

 

箒もその景色に手を伸ばす。届かないと知っていながらも、それでもなお手を伸ばす。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

二人は語らない。二人は聞かない。ただただ居合わせた二人は、その空に一種の恋心を持ちつつ、その空へ語るように見つめる。

 

二人は一緒にいるようで一緒ではなかった。

 

互いの干渉を外れ、ただ自分とそこには空がある。そして無効のほうには同じようなやつがただ存在した。としか捉えはしなかった。

 

もう先ほどのような会話などもうここでは起こらないのだろう。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

誰も語りはしないそんな夜。二人は同じ星々を一人で眺めていた。

 

 

 

 

「DIO様、ご報告があります」

 

「クククッ、待っていたよ。それで? このDIOが送ったプレゼント。ジョースターは喜んだか?」

 

「はい、それはもう」

 

深淵が支配する世界。それは奇しくも承太郎達が眺める夜景と同じ。月夜に照らされたその美しく妖艶な体、DIOはそれを隠すようなことはせず、ただその光を浴びながら不敵に笑う。

 

「そうか、それはいい。さて、いつ戦うのだったか。私も見に行こうと思っている。どうだねスコール。君も」

 

「はい、DIO様。我が心は常に貴方様と共に」

 

彼の前に跪き、頭を垂れる女性。DIOのようにブロンドを靡かせ、女性特有のフェロモンを撒き散らすような、美しく、そして少し淫乱なものを想像させるような姿。DIOはスコールの顎に手を当てくいっとあげる。その表情を眺めた。

 

赤らめたその表情は、人であったDIOの心を揺るがすほどだ。100年まえに出会っていたなら必ず己の妃にした。それほどまでに目の前の女性は美しかった。

 

DIOの口が彼女の首筋に近づく。そしてその犬歯がカプリッと音を立てながら血を吸っていく。DIOの場合、その手でも血を吸え、基本手で吸っているのだが。特に気に入った女性に対しては口で吸っているらしい。それはまるで映画になったドラキュラそのものだった。

 

「・・・・・・ん、んぅ・・・・・・あ」

 

血を吸われる度に、体を電流が走る。その快楽に溺れるようにスコールは喘ぐ。目端は垂れて汗が流れ、体は火照り息が荒くなる。快楽が体全てを包み込み、悦という言葉が彼女を支配した。下腹部が少し湿ってくる。それすらもDIOにとっては愛らしいのか彼女を己がベッドへ誘う。端から抵抗をしない彼女は、その彼の好意に快感を覚えながら、その体をベッドへと落とす。

 

「DIO・・・・・・様ァ・・・・・・」

 

「流石だスコール。お前は今まで出逢った何よりも、美しい」

 

それは獣が貪りあうようで、それでいて神秘的な事だった。

 

一匹の獣が、もう一匹に貪り快楽を手に入れんと、その淫らな体を犯しつくす。

 

もう一匹はその快楽に溺れ、犬のように吼える。

 

それは獣の交尾のようにも見える。しかし、それでいてなんとも神秘的な空間がその場を覆い尽くした。

 

互いを愛し、互いを求め、互いを食らい、互いを奪い合う。

 

愛しいからこそ、DIOは、スコールは相手を奪い合う。互いを奪い合う。

 

彼らの夜は、とても長い夜になるだろう。

 

 

 




まさかの7777文字に驚いたね。

DIO様とスコールのイチャイチャシーン書いたらこれとかマジDIO様妖艶(ゲッペテーマソング

DIO様マジ妖艶!

さて、承太郎と楯無さんの戦いですが、

完全にロシアマジ絶許状態の承太郎とロシア代表になった事を褒めてほしかった楯無さん。

うわぁ、なんだこれ。

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