青木「…………(メッシャァ」←踏み割
さーせんしたーーーーー‼︎ ふざけましたーーーーー‼︎
円堂「それではどうぞ‼︎」
あの少年は、しばらくすると、キャラバンを降りると言ってきた。
円堂さんが心配そうに少年に尋ねる。
「本当にここでいいのか?」
というのも、実はまだここは大雪原の中だ。
さっき遭難してたクセに……。
「うん。すぐそこだから」
「さっき遭難してたクセによく言う」
「あはは……でも大丈夫。それじゃ。ありがとうね」
彼が降りると、キャラバンは再び発進した。
彼……本当に、何者だったのだろうか。
私は疑問を頭の隅にやって、窓の外を見た。
白恋中に着き、私達がキャラバンを降りると、白恋中サッカー部の人達が、待っていた。白恋中サッカー部の人達は、日本一になった雷門サッカー部の皆に集まる。
皆人気ね……。ま、私には関係ないけど。
で、お目当ての吹雪士郎のことを、瞳子監督が切り出した。
「吹雪士郎くんは何処にいるのかしら?」
「吹雪くん? 今頃スキーじゃないかな。今年はジャンプで100m目指すって言ってたもん」
「いや、きっとスケートだよ。3回転半ジャンプが出来るようになったって言ってた」
「オイラはボブスレーだと思うな。時速100km越えたって言ってたよ」
……え、吹雪士郎って、サッカー選手じゃなかったの⁉︎
何でスキーやスケートやボブスレーが出てくるのよ……。
「彼……万能なんですね」
「そんなにスポーツが出来るなんて! 凄い奴だな! ますます会うのが楽しみになってきた!」
円堂さんがキラキラと目を輝かせる。おめでたいというか、何というか……。
私が内心呆れていると、廊下から微かだが、足音がした。
「? 誰か来る……」
「帰ってきたんじゃない?」
この足音は吹雪士郎のか。
やっとご対面ね。
「お客さん?」
ん? この声……何処かで聞いたことが……?
白恋中サッカー部の人達に囲まれている少年は、あの時会った少年だった。
「⁉︎ あ…………」
私だけでなく、皆も驚いていた。
「あれ? 君達?」
「貴方、さっきの……」
「吹雪士郎って……お前だったのか‼︎」
「お前が熊殺しか⁉︎」
円堂さんも染岡さんも、驚きを隠せない様子。
彼ーー吹雪士郎は、ニコッと微笑んだ。
「あ〜実物見てがっかりさせちゃったかな? 噂を聞いて来た人達は皆僕を大男と思っちゃうみたいで……これが本当の吹雪士郎なんだ。よろしく」
彼が本当に、吹雪士郎……?
すると、染岡さんが怒って私を押し退けて出て行った。すぐに秋さんが追いかけて行ったけど。
「あれ? 何か怒らせちゃったかな?」
「ごめん、でも染岡はいい奴なんだ」
円堂さんがすぐフォローする。
私には、あまりまだ仲良くできない人だけどね。
「気にしないで」
吹雪士郎はまたにこりと笑うと、今度は私に視線を投げた。
吹雪士郎は、私に近づき、手を握ってきた。
……ん? 何故手を握ったのかしら?
「さっきは本当にありがとう! 君のおかげで助かったよ」
「はぁ……? いえ、お礼なんていりません…………っくちゅん」
寒っ‼︎
忘れてた。ここは北海道だ。思わずくしゃみが出てしまった……。
「? 寒いの?」
「……寒いのは苦手です」
ガタガタと体が震える。
鬼道さんが、興味深く言う。
「ほう……なるほど、青木は寒いのが苦手なのか」
「んな興味深そうに言わないでください……くちゅんっ」
「大丈夫? 寒いなら僕が温めてあげるよ」
「え? 温めるってどうやって…………」
首辺りに絡められた腕、包まれる体、直に感じる体温…………。
「どう? こうしたら温かいでしょ?」
「……………………」
「? どうしたの?」
「…………ああああああああああっっっっ‼︎‼︎!」
抱き締められてるって分かった途端、離れて頂きました。
だって……こんなの生まれて初めてだったし……。
皆に私の恥ずかしいとこを見せてしまったけど、関係なかった。
ーーーーーエイリア学園本拠地、ヒロトside
俺は、エイリア学園マスターランクチームが集まる部屋に来ていた。
自分の椅子に座り、しばらくボーッと宙を眺める。ふと脳裏に、穂乃緒ちゃんが浮かんできた。
自然と、頬が緩む。
すると、俺を照らす白い光の他に、赤い光と青い光が現れた。
「…………俺に何の用? バーン、ガゼル」
「何の用? じゃねぇよ! てめえ、早速雷門に近づきやがって‼︎」
バーンが苛立って俺に噛み付くように言う。
「……俺は穂乃緒ちゃんに会いに行っただけだけど?」
「ホノオ? 誰だそいつ」
「雷門に新しく入った選手だよ。凄いスピードの持ち主なんだ。それに美人さんだし」
「最後の情報はいるのか……?」
俺が自慢気に言うと、ガゼルが呆れた顔で言った。
「貴様、そいつに近付いたのか? そいつは確か、父さんがこちら側に引き込もうとしている奴らしい……」
「……あぁ。だから彼女に近付いたんだ。どんな子なのか、見たくって」
「お前、エージェントから逃がしたんだろ⁉︎」
「何⁉︎ 貴様……何てことをしたのだ‼︎ グラン‼︎」
バーンとガゼルの目が、俺を睨みつける。
名を呼ばれた俺は、2人に負けないくらい冷たい目で見返した。
「俺はね、気に入ったんだよ。あの子のことがね。だから、こっちに引き込む。どんな手を使っても、彼女を手に入れる……!」
感情が高ぶるのと同じように、俺は拳を握り締めた。
うわぁぁぁぁぁ‼︎
何か凄い展開ーーーーー‼︎
穂乃緒ちゃんは一体どうなってしまうのか⁉︎
グラン「フフ……次回もお楽しみに……(ニヤッ」