もうそろそろ、後半が開始される。そんなタイミングで、みんなは円陣を組んでいた。
「絶対に、勝つ‼︎」
「「「「おう‼︎」」」」
ここにきて、雷門は再び一つのチームとなった。私も表情を綻ばせて、ピッチに向かうみんなの背中を見送る。私は知っている。貴方方がどれほどお強いかを。だから、貴方方の勝利を信じてやまない。頑張れ、みんな。
後半がスタートされ、こちらからのキックオフで試合が始まる。立ち直った円堂さんが、早速相手陣営に切り込んでいく。彼の前に、グランが立ちはだかった。グランは円堂さんが前半のままだと思っているのか、余裕の表情だ。しかし。
「ーーッ⁉︎」
円堂さんはバックパスを出して、鬼道さんに後を託した。予想外だったのか、彼の顔が歪む。みんなの動きはとても良くなって、迫ってくる相手選手を次々抜いていく。当然だ。私は意地悪い笑みを浮かべた。
まったく、何のために私が円堂さんを叩いたと思っているの? この試合に勝って……貴方方の間違いを認めさせるため。私の最上級に苛つかせた、あの発言を撤回してもらうためなんだから。
そのためには……フィールドに出て戦うのが一番。だけれど、生憎今の私は足を軽く故障しているため、ピッチに立っても足手まといになるだけ。……それだけは、御免なのだ。だから、みんなに私の想いを託す。彼らなら、きっと私の願いを果たしてくれる。そう、確信しているから。
「俺には仲間がいる……! ここまで一緒に戦ってきた仲間がいる! 新しく加わった仲間がいる、いつも見守ってくれた仲間が……!」
繋がったパスは、再び円堂さんの元へ。そして、前線を走る鬼道さんと土門さんにボールを蹴る。
「俺達の強さは、そんな仲間達と共にあるんだ‼︎」
「「「デスゾーン2‼︎」」」
三人の同時蹴りが、一つのボールに集約される。絶大な威力を持ったボールは果たして。
「時空の壁‼︎ ……ッ、何っ⁉︎」
抗えない壁にぶつかったとしても、ボールはまるで円堂さん達のように止まらない。そして見事、ゴールをこじ開けてみせた。雷門、2点目。
ピッチもベンチも関係なく、歓声が上がる。私も心の中で、小さくガッツポーズをした。
「ジェネシスが……2点を失うなんて……‼︎」
「まだわからないのですか」
呆然と呟くグランに、私はベンチから立ち上がり、鋭く見据える。
「
「……⁉︎」
「私達は確かに、個々の力はそれぞれかもしれない……。でも、それがたくさん集まることで……仲間がいることで、強くなっているのです。仲間がいるから、心が支えられる。だから……私達は、貴方達に負けない!」
「そうだ! 仲間がいれば、心のパワーは100倍にも1000倍にもなる‼︎」
円堂さんも力強く叫び、私に笑いかけてくれた。私も頷いて応える。
……思えば、初めてかもしれない。私が、雷門の一員であるような発言は。雷門のことを、"私達"と言ったのは。私はガラにもなくフッと笑って、フィールドを見た。
既に試合は再開していて、グラン達がまたスーパーノヴァを放つ。立向居さんは歯が立たないと思いつつ、ムゲン・ザ・ハンドを繰り出すが……破られてしまい。しかしそこへ。
「メガトンヘッド‼︎」
円堂さんの必殺技が、威力の弱まったシュートを弾く。しかしさしもの円堂さんも、まだスーパーノヴァの力には打ち勝てなくて、よろめいた。ボールは再びグランの元に転がり……。
「これも……仲間を想う力だと言うのか! ありえない‼︎」
「「「スーパーノヴァ‼︎」」」
二人の体勢が戻る前に、グラン達のシュートが雷門ゴールを強襲する。私は咄嗟に叫んでいた。
「立って下さい、立向居さん‼︎ 雷門のゴールを守れるのは……キーパーは、貴方しかいない‼︎ 立って‼︎」
「あ……青木さん……!」
「そうだ、立て‼︎」
「立向居‼︎」
みんなの声が、立向居さんに届く。立向居さんが両手をフィールドについて、立ち上がった。
「みんなの、ゴールを……! 俺が、守るッ‼︎ ムゲン・ザ・ハンド‼︎」
雄叫びと共に、立向居さんは再び必殺技を放つ。彼の強い想いが神に届いたのか、ムゲン・ザ・ハンドは進化し、あのスーパーノヴァを食い止めた。
「何だと……⁉︎」
グランの表情が、驚愕に染まる。対して
よし、これなら行ける。これなら……きっと、勝てる!