ぃえすっ←
まあ、ちょっといいこと言ってみたり
ーーーーさっさと起きろ、このグズが‼︎
「っあっ⁈」
「青木さん‼︎」
目が覚めると、目一杯に音無さんが映った。私は肩で息しながら、ガタッと立ち上がり、心配そうな表情をしている音無さんを見下ろす。
今の声……夢……? あの声は……。
「大丈夫ですか、青木さん‼︎」
「ぁ…………は、はい…………」
夢か……良かった…………。私はフゥと一息つき、また座席に座り直した。音無さんの横から、風丸さんが声をかける。
「大丈夫か……? あれからずっと気を失っていたんだぞ」
「はい……もう大丈夫です、心配かけて申し訳ありません……」
私は頭を下げ、たい焼きを風丸さんに渡した。風丸さんは少し戸惑いながらも、たい焼きを受け取った。
「青木」
風丸さんの後ろにいた鬼道さんが私の目を真っ直ぐ見つめて私を呼ぶ。私もその視線に合わせる。赤い視線が2人の間を交えた。
「教えてくれ。お前に一体何があったんだ?」
質問に、息が詰まる。自分の過去を洗い出すのが、こんなに苦しいことだなんて、思いもしなかった。私は俯いたまま、目を伏せる。
「知ってどうするのです」
「そもそもの俺の用件がこれだ。真・帝国学園の時から、お前のことが気になっていた。お前は一体、何を抱えている? 話せるなら、話して欲しい」
「…………なら、今は話せません」
私は目を開け、鬼道さんに視線を戻した。さらに私は続ける。
「私の抱えているものは、一言で言えば闇。貴方方が知って得するものではありません。まさか、私のことを知れるだなんてくだらない理由で聞くワケではありませんよね? 言っておきますが、私は誰にも心を許すつもりはありません。もちろん、貴方方にも。貴方方が何と言おうと、これが私です。どうぞ、ご理解をお願いしたい」
私はそこまで言うと、窓の外を眺めた。もういい。こいつらが私をどう思おうと知ったことじゃない。
と、突然円堂さんの声が聞こえた。
「そっか。じゃあ、俺は無理には聞かない。お前が話してくれるのを待つよ」
ああ。この人は……。
なんて、優しい人なんだろうか。
「着いたはいいけど……ここが奴らのアジト⁉︎」
エイリア学園のアジトがあるという情報を聞き、大阪にやってきた私達。しかし、情報の場所は、なんと遊園地、と呼ばれる所だった。改めて連絡を取っていた瞳子監督が、理事長に再度確認して、私達を振り返った。
「間違いないわね。再度確認してもらったけど、奴らのアジトがあるのは、このナニワランドのどこかよ」
「……つってもなぁ……」
「どう見てもただの遊園地にしか見えないでヤンス……」
「とにかく、手分けして探すわよ。ここでじっとしてても仕方ないわ」
土門さんと栗松さんが肩を竦めるのを、雷門さんが諌める。吹雪さんがまた女の子達に案内してもらっているのを見たけど、私はただたい焼きを頬張っていた。
ナニワランドを手分けして歩き回る。私の隣には、何故か風丸さんがいる。まあ、誰だっていいけど。私達は互いに会話もせず、ただ肩を並べて歩くだけ。
ふと、風丸さんが私に手を差し伸べてきた。
「……そのたい焼きの袋、俺が持つから。だから……その…………」
「? どうしたのです、風丸さん」
「その…………手、繋がないか…………?」
風丸さんは俯きながら、私に手を差し出し続ける。前髪であまり見えなかったが、少し顔が赤くなっていた。
私はその手を見ていた。風丸さんにたい焼きの袋を手渡し、差し出された手を握った。風丸さんは驚いたように顔をこちらに向ける。あ、耳まで真っ赤だ。
「何です? 貴方が手を繋げと言ったので繋いだまでです。どうしました? 熱でもあるのですか?」
「へっ⁉︎ ぁ、いや、だ、大丈夫だ! い、行こう!」
風丸さんはさらに顔を赤くし、グイッと私の手を引っ張った。風丸さんは止まることなくグイグイ引っ張る。一体何なんだ、と思いながらも私はそのままにしていた。
結局何も見つからず、私達は一旦集まった。木暮さんと音無さんは遊びまわっていたらしい。微笑ましいものだ。だが、ここで木野さんがある人がいないことに気付いた。
「あれ? 一之瀬くんは?」
確かに、一之瀬さんだけがこの中にいなかった。迷子にでもなったか? いや、まさかとすぐに考えを捨てる。木野さんの問いに答えたのは、吹雪さんだった。
「一之瀬くんなら外みたいだよ? この子達が出て行くのを見たんだって」
視線を向けると案の定、吹雪さんの周りには女の子が2人ほど。まあ、安定だな、と私は一人そう思った。
大阪来ましたね!
作者は力尽きたのでここらで失礼致します。
それではっ←