青き炎、エイリアと戦う   作:支倉貢

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26話 vs真・帝国学園3・必殺技

後半。ボールを受けた私はパスを出すため、周りを見渡す。

 

「こっちだ!」

 

染岡さんの声を聞き、前を見る。しかし次の瞬間、2人のDFが立ちはだかる。

邪魔だ……。私はギリッと歯を食い縛り、睨みつける。

 

「邪魔です……どきなさい‼︎」

 

ググッと、足に力を込めて、私は停止する。そこを狙って駆け寄る相手の足音が聞こえた。私は更に足に力を込める。

 

「青木‼︎」

 

遠くから、円堂さんの声が飛ぶ。やっぱり貴方の声はよく響く。染岡さんも、私に心配そうな顔を向けた。でも、心配はいらない。

私はまた更に足に力を込める。地面が崩れるような音がした。

 

「ッはぁぁぁぁっ‼︎」

 

襲いかかるDFを一気に抜き去る。私が抜き去った軌跡に、風が吹き荒れた。DF達は私のスピードが巻き起こした風により、吹っ飛んだ。

 

「青木‼︎」

「すげーな、青木‼︎ 必殺技か‼︎ いっけー‼︎」

 

染岡さんの安堵の声に、円堂さんの応援が私の耳に届く。私は染岡さんにパスを出した。

しかし、問題は残っている。ゴールで構える源田さんだ。一体、どう得点するのか。私は染岡さんを見つめる。

だが次の瞬間、染岡さんは躊躇することなく、必殺技の体勢をとっていた。

 

「ワイバーンクラッシュ‼︎」

 

染岡さんの行動に、みんなの表情が強張る。私もそうだった。分かっているはず。源田さんの必殺技は、体を壊すものだと。なのに何で必殺技なんて……!

源田さんはシュートから目を逸らさず、構えをとる。だが、シュートはいきなり右に旋回していった。これには全員、染岡さんの意図を図りかねた。

シュートが飛んでいった先には、吹雪さんがいた。

 

「まさか、シュートではなくパス……⁉︎」

 

察した私が叫ぶ。源田さんも気付いたが時既に遅し。

 

「くっ! ビースト……」

「遅えよっ‼︎ エターナルブリザード‼︎ ッはああああ‼︎」

 

雄叫びを上げながら、吹雪さんがシュートを放つ。シュートは源田さんを通り過ぎ、ゴールネットを揺らした。

1対1。同点に持ち込んだ。私は得点したことよりも、いつの間にか仲良くなっていた2人に視線がいっていた。サッカーを通じて、心を開き合う。お互いを認め合う。この関係を何と言うのか、私には分からなかった。

とにかく、得点策は出来た。これなら、勝てる。少し、希望が見えた気がした。

 

まだ時間は充分にある。ここでもう1点を取れば、確実に活路が見出せたのも同然だ。

染岡さんが一気にゴールへと切り込む。しかし。

 

「喰らえっ‼︎」

「うおっ⁉︎」

 

スライディングを仕掛けた不動さんの足が、染岡さんの足を容赦無く打ち据えた。

これには審判がファウルとしてイエローカードを掲げる。倒れた染岡さんは足首を抑え、悲鳴を上げる。

 

「ぐぁぁあっ‼︎」

「ッ……染岡さん‼︎」

 

私はあの程度を避けられないとは情けない、と頭の隅で思いつつも、染岡さんに駆け寄り、抱き起こした。そこに不動さんが嫌味たっぷりに声をかける。

 

「悪い悪い。まさかこんなのも避けられないとはねぇ」

 

全く悪びれる様子も無く、謝りの言葉をかけてくる不動さん。私は確かに、とあいつの言うことにも一理あると考えてしまったが、言い方を聞いて確実にイラッときた。

そこに来た吹雪さんが怒り心頭で声を荒げて不動さんに殴りかかる。

 

「てっめえ、今のワザとだろ‼︎ こいつーーッ‼︎」

「やめろっ……」

 

私が制止しようとしたが、染岡さんの苦しそうな声が吹雪さんを制止させた。

 

「殴ったら、お前が退場になる、吹雪っ……!」

「ぐッ……!」

 

吹雪さんが悔しそうに顔を歪める。ここで吹雪さんが退場してしまえば、活路が完全に無くなってしまう。

私は染岡さんをベンチに運ぶため、染岡さんを背負って立ち上がった。染岡さんはまだ痛みが残るのか、時たま顔を歪める。

 

「ぅっ……あ、青木……」

「?」

「あり、がと……な……」

「!」

 

礼を、言われた。私はざわつく心を抑え、ボソリと答えた。

 

「……いえ」

 

 




あーーーーッ試合辛いーーーーッ‼︎
まだ続く……この辺り結構好きだったのに、まだあるとか辛いマジで……。
頑張ります。

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