青き炎、エイリアと戦う   作:支倉貢

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こないだ、パンパンのファイルを机から出そうとしたら、ファイルの中のプリントが落ちた。どばーって。…皆さん、ファイルの整理はキチンとしましょう。

これホント大変ですからね。皆さん、気を付けましょう。
あと、試合完全に飛ばします。すみません。
それではどうぞ。


19話 裏切られた

イプシロンの力は凄かった。

吹雪さんのエターナルブリザードは片手で止められるし、円堂さんが守るゴールも破られるし……。

でも、一つ収穫はあった。木暮さんが才能の片鱗を見せたこと。あの動きなら、きっと力になるだろう。

音無さんはあれこそが木暮さんの本当の実力だと言っていたが……。

イプシロンは本当に3分経ったらいなくなっていた。

だが、デザームは意味深な言葉を残して消えた。

「生き残っていれば」。

一体、何の意味だろうか……。

私はどうしてもその意味が分からなかった。

 

 

 

学校は取り敢えず守られた。もう、ここに用は無い。

私たちは、漫遊寺中サッカー部とお別れをしていた。

皆別れを惜しんでいたが、私は少し皆と離れてたい焼きを食べていた。

その中、漫遊寺中サッカー部の監督が私に向かって言った。

 

「青髪のお嬢さん、あんたは、一体何を隠しとるんかね?」

「⁉︎」

 

図星を突かれた。

何で、その事を……。

私は内心驚いていたものの、なるべく表情には出さないようにしていた。

そんな私に悟るように、監督が言う。

 

「此のままでは、何れあんたは壊されてしまう。其の前に、ちゃんと逃げるんじゃぞ」

「っ…………は、い……」

 

まるで、心を見透かされた気分だ。

少し、動揺を隠せないでいた。

私のキャラバンへ向かう足取りは、どこか重かった。

 

 

その途中、誰かの話し声がした。

盗み聞きなんて悪趣味だなぁ……と思いつつ木に隠れて耳を傾けると、声の主は音無さんと木暮さんだった。

 

「私も親居ないから」

「⁈」

 

衝撃の言葉に、思わず耳を疑った。

音無さん、親がいないなんて……知らなかった。

今までそんな感じ、全然しなかったのに……。

私の衝撃など知らず、木暮さん達は話を続ける。

 

「裏切られたのか?」

「ううん。お父さんには会ったこと無いけど、お母さんは事故で」

「じゃあ、俺と違う! いいか? 裏切られたってのは……捨てられたってことだよ‼︎」

 

木暮さんが叫ぶ。

裏切られた……親に捨てられたのが裏切られたというのなら、私の場合は……?

音無さんは黙ってしまい、木暮さんが続けて言う。

 

「大好きな人に裏切られた俺の気持ちなんか、お前には分からないよ。……あれから俺、決めたんだ……人の言う事なんか、まともに信じちゃダメだって」

「でも木暮くん、信じたいって思ってる」

「ばか‼︎ んなわけねえよ‼︎」

「いいかげん認めたらどうです、木暮さん」

 

音無さんと木暮さんの表情が驚愕に変わる。

当然だ。いきなり私が出て来たんだから。

構わず私は話す。

 

「さっきから聞いて居ましたが……木暮さん、貴方はこのように自分の気持ちを誰かに話したことがありましたか? 人相手に、信じちゃダメだと言ったことがありましたか? 無いでしょう。貴方はやはり、心のどこかで人を信じたいと思っているのですよ。そこは認めたら如何ですか?」

「ぅっ……あんただって、一体何なんだよ‼︎ 俺の事幸せだって言ったり……お前なんかに、俺の気持ちが分かるかよっ‼︎」

 

キッと、木暮さんが私を睨む。

睨まれる覚えは無いけれど、言葉を続ける代わりに、ハァと溜息をついた。

音無さんが私達の間に割って入るように、さよならを言った。

 

音無さんとキャラバンに戻る途中。

盗み聞きをしたのは事実なので、取り敢えず謝っておいた。

 

「……勝手にお二人の話を聞いてしまって……すみませんでした」

「え? あ、いえ……。でも、木暮くんに自分のこと気付かせようとしてくれたんですよね。ありがとうございます」

「別に、私は……。あの、音無さんの事も聞いてしまって……」

「あ、いえいえ! 私はもういいんです。お兄ちゃんもいますし!」

「……鬼道さんのことですか」

「はい‼︎」

 

ニコッと笑い、兄である鬼道さんの事を楽しそうに話す音無さん。私は時々相槌を打ちながら、話を聞いていた。

少しだけ、打ち解けられたような気がして、嬉しかった。

 

 

キャラバンに戻り、漫遊寺中を離れた所で、何と木暮さんが私たちについて来ていた事が分かった。結局、ついて来たらしい。

だったら素直に言えば良いのに……。

木暮さんも改心したみたいだし、これで一安心……と思った私の安息は一瞬にして崩れる事となる。

 

「あーーー‼︎ 僕のレイナちゃんが‼︎」

「俺の雑誌が‼︎」

「ウッシッシッ」

 

改心の欠片もしていなかった。

また悪戯をしまくっては、皆に怒りの矛先を向けられ、音無さんにも怒られ、逃げる。

ていうか何で私の元に来るのよ……。

 

「木暮さん」

「ぅっ……ご、ごめん」

「まあ、本人も謝ってるんだからさ」

 

木暮さんが謝り、円堂さんが場を諌めた。

キャラバンが発進する、座ろうと自分の席まで歩こうとしたその時。

 

「あら?」

 

ドテッと、円堂さんが転んだ。

円堂さんの靴紐が2足共結ばれていたのだ。

犯人は勿論……木暮さん。

 

「木暮〜〜〜〜〜〜‼︎」

 

円堂さんの叫び声は、虚しくキャラバン内に響いていた。




次回から真・帝国‼︎ シリアス警報発令!
苦手な方はバックして下さい。

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