「……な、え…………?」
唐突過ぎて、言葉が出ない。
エイリア学園?
何故基山さんが、そんな事を……?
体が自分でも分かるくらい、震えていた。
この人は……エイリアと繋がりがある……⁉︎
私は基山さんを突き飛ばし、彼と距離をとった。
戦闘態勢を取り、基山さんを睨みつける。
「……貴方、まさかエイリア学園……⁉︎」
「さあ? どうかな」
「答えて下さい‼︎」
この人、一体何なの……?
何かを隠している不思議な雰囲気は、私はどうも苦手だ。
それに、私はこうして話をはぐらかされるのが大嫌い。
こうなったら何が何でも聞き出してやる!
「答えて下さい、基山さん‼︎」
もう一度声を張り上げて、噛み付くように叫ぶ。
相変わらず基山さんは変わらない笑みを浮かべていたが、考えるそぶりを見せた。
「んー……別にいいよ」
「は⁈」
あっさり過ぎる。
いいなら何故さっき話をはぐらかしたんだ⁉︎
思わずマヌケな声を出してしまった。
と、同時に私のポーカーフェイスも崩れる。
「へぇー、穂乃緒ちゃんってそんな顔するんだね。いっつもむすっとしてたからかな? 凄く可愛いよ」
「ッ…………話を逸らさないで下さい。貴方は本当にエイリア学園なのですか?」
「…………………違うよ?」
クスッと基山さんは微笑んだ。
その後すぐに、申し訳なさそうな表情をして、基山さんは私から目を逸らさずに口を開いた。
「ごめんね、ちょっと言ってみたかっただけなんだ。これを言ったら、君がどんな反応をするか見てみたくて……。びっくりさせたよね、あれは嘘だよ」
「本当にごめんよ」と言いながら、基山さんは手を合わせ、私に謝った。
そして、こう付け足した。
「あ、でも、君の瞳が綺麗だって言ったのだけは、嘘じゃないから。そこは信じて……?」
「ッ…………」
こくん、と首を傾げ、少し申し訳なさそうな笑顔の基山さんを見た途端、自然と頬が熱くなった。
しかも、胸の奥がきゅんとなる。
何だろう。
締め付けられた、という言葉が似合う。そんな感じ……。
「……そうですか。分かりました」
「本当⁉︎ 良かった……君に信じてもらえて」
ぱぁぁ、と効果音が付きそうな勢いで、今度は嬉しそうな笑顔に変わる。
ああ、まただ。
きゅんとなって苦しくなる。
貴方の顔を見られない……。
……どうしよう。このままここに居たら、私…………!
「わ、私……そろそろ戻りますね」
「? そう? 分かった。また君に会えてよかったよ」
「で、では……失礼、致します……」
ペコっと頭を下げて、その場から去る。
早く。とにかく早く。なるべく、あの人と離れる為に。
星空が煌めく中、私は走っていた。
外はマイナスを越えるくらい寒いはずなのに、私の体温は一向に下がらない。基山さんの笑顔を思い出すと、また体温が上がった。
どうしよう……。何か病気もらったかな……?
私はそんな事を考えながら、とにかく基山さんの事を忘れようとした。
翌日。吹雪さん達と一緒に特訓をしていた。
「今日は、青木はこっちなのか?」
円堂さんが目をキラキラさせて尋ねる。私は言葉で答える代わりに、頷いた。
そしたら円堂さんは、「ぃやったあー‼︎」と言いながらはしゃいでいた。まるで子供のように。
まあ確かに、私はいつも皆とは別で特訓してるものね。
でもそんなに嬉しがられると、ちょっと照れるというか……。
染岡さんと吹雪さんは相変わらず張り合ってるし。
エイリア学園の襲撃予告がきて少し経った。
皆力を付けて、自信もあるみたい。後は、どれだけ彼らに対抗出来るか……。
ふと、何かの気配を感じた。
空からだ。
私が空を仰ぎ見ると、私の異変に気付いた人が次々に空を見上げる。
空が段々と暗くなってきた。
この感じ、私達は前にも経験した事がある。
舞い降りてきたボールがカッと光を放ち、エイリア学園が現れた!
「……遂に来たか……!」
私も皆も、ごくりと唾を飲み込む。
その中で、円堂さんが先頭に立った。
「待ってたぜ、エイリア学園! 勝負だ! これ以上、サッカーを破壊の道具にはさせない‼︎」
円堂さんを、抹茶ソフトが横目で見る。
……そういえば私、あの人の名前知らなかったわ……。
ま、どうでもいいけど。
「お前達、雷門か? 何故ここに居る?」
「俺達が代わりに戦う!」
「地球人の学習能力は想像以上に低いな。お前達は我々には勝てない」
「宇宙人の想像力も対した事ないね。あたし達がパワーアップしたとは思わないの?」
塔子さんも負けじと、エイリア学園に言う。
この2人、雰囲気がそっくりなのは気のせいなのだろうか?
「いいだろう。地球にはこんな言葉がある。"二度ある事は三度ある"と!」
宇宙人はそう言って、ボールをこちらに蹴り出した。
つまり、相手も勝負を承諾した。
「上等。貴方達みたいな、学習能力が低い輩に馬鹿にされるのは気に食わないですからね。自分達がどれだけ自意識過剰だったか、分からない様子なので教えて差し上げますよ。貴方達の敗退でね」
私も、思う丈をぶつけた。
勝つ。
既にこの時、私は確信していた。
私は彼らーーーーエイリア学園と戦わなければならない。彼らが私に近付いてきた以上、私も彼らに報復しなければ。
「私は、貴方達の元へは行かない。例え、"あいつら"の元へ帰らなくてよくなっても……ーーーー」
私の呟きは、吹き付ける風に掻き消された。
は〜長かったなぁ!
お久しぶりです。最近なかなか更新できず、申し訳ありませんでした。
評価、感想等頂けると嬉しいです。切実に。