Angel Beats! 星屑の記憶   作:刻焔

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第40話 テストと飛行

―――テスト当日

 

俺はゆりに呼ばれて本部に来ていた

 

「今日のテストだけど、ここにいるメンバーにテストと並行してあるオペレーションを行ってもらうわ」

 

現在本部にいるのは、ゆり・俺・音無・日向・大山・竹山・岩沢の7人だ

 

「オペレーションって何やらせる気なんだ?」

 

「まぁ詳しいことは教室で話すから、全員移動」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

俺たちはゆりに連れられテストを受ける教室まで来た

 

「見ての通り、テストを受ける席はくじ引きで決められることになってる

 これで天使の近くの席を取らないと細工は一気に困難になるわ」

 

ゆりは天使の席を指さし

 

「あの席の前を引き当てなさい」

 

「んな無茶言うなよ」

 

音無があきれたように言うが、どのみち引かないといけないのでくじ引きの列に並ぶ

 

結果がどうなったのかというと、竹山が天使の前の席を獲得した

 

他のメンバーは結構バラバラの位置になった

 

因みに俺はゆりの列の一番後ろと、一番遠い位置を引いてしまった

 

これを引いた瞬間「なんてところ引き当ててんだゴラァ!」っと

飛び蹴りを食らうほどの怒りを買ってしまった

 

好きで引いたわけでもないのに……

 

「で、何をすればいいんですか?」

 

「答案用紙が配られる際、二枚持っておきなさい

 その一方を回収するときに天使の物とすり替える」

 

つまり天使の点数を全て0点にしてやろうという作戦か

 

……あまり乗り気になれない作戦だな

 

回答なしでは怪しまれるからという理由で、おかしな回答を書かせようとしてるし

 

「なぁ、なにもそこまでしなくてもいいんじゃないか?」

 

「何言ってるの、相手は天使よ?遠慮なんていらないわ!」

 

ゆりにそう言われ、何を言っても無駄かと思いしぶしぶ引き下がると

 

「あ、でも名前の欄はなんて書けばいいんでしょう?」

 

思い出したかのように竹山が質問すると、その場が凍り付いた

 

誰も天使の本名を知らなかったのか

 

「天使」

 

「アホか!」

 

高松の言葉に間髪入れず日向がツッコミを入れた

 

「生徒会長で通るんじゃないか?」

 

「天使と同様それもどうかと思うぞ、流石に名前くらいは書けるだろ」

 

「でも回答欄にイルカの飼育員って書くんだよな」

 

岩沢よ、どんなアホでも流石に名前くらいは書くと思うぞ…

 

「いやいや、流石に自分の名前が書けないとかアホすぎるだろ!

 つか、お前らが名前知らないのが驚きだよ!」

 

「知る機会なんてなかったのよ」

 

知る機会なんていくらでもあると思うんだが、少なくとも俺と音無以上に時間はあったはずだ

もう何年も此処の生徒らしいからな

 

「よく無かったな!」

 

音無も俺と同意見らしい

 

「じゃああんた調べてきてよ、職員室行って名簿見てきて」

 

「チッ、たく」

 

おいおい、今から職員室まで行ってたら流石にテストに間に合わないんじゃないか?

 

と思っていたら音無が天使に呼び止められ、数回言葉を交わした後

すぐに戻ってきた

 

「立華奏」

 

「あぁ、そんな名前だったわね」

 

「「知ってたのかよ!」」

 

「忘れてただけよ、って月斑君も同じ疑問持ってたのね」

 

「当たり前だ」

 

俺がゆりにそういうと同時に教師が入ってきた

一限目のテストでの陽動は日向が担当だったな、何をしてくれるのやら

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

思いのほかペンが進むな…

もちろん答えられない部分もあるが、これが俺の実力か

現世での記憶って孤児院に行ってるものばかりで、他の記憶が薄いんだよな

 

別に思い出せていないわけではない、ちゃんと学校にも行ってたしバイトもしてた

だけどどの記憶も楽しそうにはしていない

 

ふと周りに目をやってみると、意外そうな顔をしながらペンを走らせている音無や

頭を抱えている日向、大山はまじめに解いている様子だ

岩沢と竹山は既に解き終えたのか、のんびりしている

ゆりは俺の列の一番前にいるから何をしているのか、ここからは見えない

 

天使もまじめに解いているな

 

……あんなにまじめに答えても、これから俺たちが邪魔するせいで0点になるのか

いや、もっとひどい事にも

 

俺はちょっと複雑な気持ちになった

 

初めて天使と出会った時に感じたのは、ただの幼げな少女の印象だった

廊下で突然話しかけられたときは流石に驚いたけどな

 

ただ、あの時かけられた言葉には、どこか心配してくれているようにも感じ取れた

 

……いやいや、もう考えるな

俺はまだ、自分の記憶を取り戻していない

何が原因でここに来たのか、何が未練なのかを知らない

 

そんな状況で消えれるか!

 

 

 

 

…いや、記憶を完全に取り戻せた時、俺はどうするんだろうか

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「はい、じゃあ後ろから集めて」

 

終了のチャイムと共に教師が声を上げた

周りではその指示に従い、次々と答案用紙が前に運ばれていく

 

その中で日向は両肩を少し震わせ、何か吹っ切れたかのように立ち上がると

 

「な、なんじゃありゃあっ!?

 超巨大な竹の子がにょきにょきとぉっ!!」

 

その言葉で俺達戦線メンバーは言葉を失ったが、一般生徒と教師は何事もなかったかのように気にしている様子はなかった

 

「っくそ!」

 

悔しがりながら日向が席に着くと突然、日向の座っていた椅子から煙が上がり

日向を乗せたまま勢いよく上昇し、そのまま日向は天上へ激突した

 

断末魔を上げ落下してくる日向を、流石の一般生徒や教師、天使までもが注目せざるおえなかった

 

視界の隅で竹山が急いで天使の答案を机に隠しているのが見えた

 

 

 

その衝撃的な出来事の後、俺たちは再びゆりの下へ集まっていた

 

「あなたがミスした時のために、椅子の下に推進エンジンを積んでおいたのよ

 どうだった?ちょっとした宇宙飛行士気分は」

 

「一瞬で天井に衝突して落下したよ!

 つか、推進エンジンなんてよく作れたなぁ!」

 

「フォローしたんだから感謝なさいよ」

 

アレをフォローと言っていいのか…

正直失敗者への罰ゲームなのではないか?

 

「月斑君、何か言いたげね?」

 

「いや、何もない…」

 

いい笑顔で人の心を見透かすな

 

「作戦成功ね竹山君」

 

「ぬかりありません。あと、クライス…」

 

「じゃあ次は月斑君ね」

 

最後まで言わせてやれよ、ってか!?

 

「もしやと思っていたが、やっぱ順番制か!」

 

「あら、察しが良いわね

 そ、みんなの気を引く役、よろしくね」

 

マジかぁ……

 

「頑張って飛べ、そして天井に激突しろ」

 

打ちひしがれている俺にとどめを刺すなよ日向

 

「で、次はなんて答えましょう」

 

「あ~あ、良いよなお前は小細工するだけで、飛ばないし」

 

「何言ってるんですか

 こっちも相当のリスクを負っているんですよ」

 

「よし竹山、変わってくれ」

 

「嫌ですよっ!あとクライストです!」

 

俺の言葉に全力で拒否してきたな

 

「やっぱりそっちの方がいいじゃねーか!くじ運が良くて良かったなぁ!?」

 

「これは僕にしか出来ない神経がいる作業なんだ!そっちは飛ぶだけで頭使わないで良いじゃないですか!」

 

「んだとぉ!?こっとはバカってか、ああっ!?」

 

竹山と日向が口喧嘩を始めてしまった

これは早いとこどうにかしないと―――

 

「こっらぁあああ!!喧嘩するなぁぁああああ!!」

 

ゆりの怒号が教室に響き渡り、一瞬で教室内が静かになってしまった

その怒号を注意しようと思ったのか天使が立ち上がってこちらを見ている

 

「やばっ!」

 

ゆりはとっさに自分の口をふさぐが、天使がこちらをじっと見ている

これは怒られるな、そう思っていたが

音無が勢いよく天使のところまで行って必死に弁解をし始め、なんとか事なきを得た

 

「で、次の回答は何と答えれば」

 

「教科なんだっけ?」

 

「世界史です」

 

「じゃ、地球は宇宙人に支配されていることにして、全問答えておいて」

 

やるしかないかと、俺たちは顔を見合わせ

自分達の席へ戻って行った

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「はい、じゃあ後ろから集めて」

 

さっきと全く同じセリフを別の教師がし、答案用紙が前に運ばれていく同じ光景が目に入った

 

よし、俺も覚悟を決めるか!

 

「――テストも終わったところで、俺の歌を聞けぇええええええっ!!」

 

どこからともなく取り出したギターをかき鳴らし始めると同時に

俺の尻に強烈な衝撃が走り、気が付くと教室全体が回転し始め

最終的に俺は天上へと激突した

 

 

 

「なんで急に歌い始めるのよ」

 

「これしか思いつかなかったんだ……」

 

「私は月斑の歌聞きたかったんだが」

 

「いや、今そういう状況じゃねぇだろ」

 

流石岩沢だ、こんな状況でも音楽キチの本領を発揮するとは

 

その後もオペレーションは続き

大山が天使に告白して振られ、日向が天井にめり込み

岩沢が俺の真似をして一般生徒の注目を集めたが、天使だけは興味がないように前を向いたままだったので、俺が大空へと飛び立つ羽目になった

 




テスト回終了~

入「月斑先輩は大丈夫だったんでしょうか」

推進燃料が切れて教室内からグラウンドへ落下する様子が見れたそうです

入「あ、あの墜落したのが月斑先輩だったんですね」

燕「見てたのかよ…」

テスト回という一つの区切りも終えましたし次回以降は
戦線の行動に若干疑問を覚え始めた燕君が今後どんな行動をとるのか
そんな感じが描かれていきます

燕「確かに今回の作戦はちょっとやりすぎな感じがしたからな」

入「一体何をしてきたんですか」

まぁその辺で感じた感情も次回以降の重要部分になりますからすぐに分かりますよ

入「そのためにも更新ペース上げてくださいね
  それではそろそろこの辺で!」

『また次回もおたのしみに~』

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