Angel Beats! 星屑の記憶   作:刻焔

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三か月ぶりの更新です

6/16:あとがき修正


第36話 黒い塊と亀裂

ゆりと今後の行動について通信している時、ふと違和感を感じた。

 

「なぁ、最初に比べて通信が安定してきてないか?」

 

『確かにそうね。まだノイズ交じりだけど、はっきり聞こえるわ』

 

なぜ急に通信が安定したのだろう

こちらの世界と、元の世界が一つになろうとしているのだろうか

 

なんにせよ通信が安定したことは幸運だった

 

「じゃあ通信が安定してる今のうちに話をまとめるぞ」

 

通信が安定したとはいえ、いつまた通信状態が悪くなるかわからない

なので今のうちに話をまとめることにした

 

「――こんなところか

 それじゃあコッチでもどうにかそっちに戻れるよういろいろ探してみる」

 

『えぇお願い、コッチも引き続き校内をくまなく捜索してみるわ』

 

俺はゆりとの通信を終え、今後の行動の為にも一度入江のいる教室へと向かった

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「……入江のやつ、どこに行ったんだ?」

 

無事教室に戻ってこれたと思ったが、その教室に入江の姿はなかった

教室も3-Fで間違ってはいない

 

俺を探しに教室から出たのか?

いや、あの臆病な入江の事だ、まずありえないだろう

 

ならどこに消えた?

入江だけ元の空間へ帰れたのか

 

いや、それも違うだろうな

何も行動せず教室内にいるだけで元に戻れるとは思えない

 

ここまで考えたところで一つ、想像したくない可能性が出てきてしまった

 

そもそも入江は寝ていたはずだ、俺が放送室へ向かったのと同時に起きた可能性もあるが、それでも入江がこの空間で一人行動をとるとは思えない、かといってこの教室内でじっとしていただけで元の空間へ帰ったとも思えない

だとすれば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者が入江を連れ去った可能性

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この不思議な空間だ、他の誰とも会わなかっただけで実は他にも人がいたのかもしれない

 

その人物が俺達戦線メンバーの誰かならいいが、もしコッチの空間の人だとしたら

入江の身に何が起こるか分からない

 

そう考えるのと同時に、俺は教室を飛び出していた

 

「―――っ!?」

 

だが教室を飛び出し廊下に出た瞬間、俺の体は強い衝撃を受け吹き飛ばされた

 

 

 

 

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通信を終えたゆりは途方に暮れていた

 

二人の居場所が分かっても、そこが異世界とあっては手の出しようがない

 

戦線メンバーが全力で手掛かりの無いまま捜索を行ってくれてはいるが

 

正直なところ何か進展があるとは思っていなかった

 

「……やっぱり向こうから何かしてくれないと、コッチからは何もできないのかしら」

 

ゆりが諦めかけた時、本部の扉が勢いよく開けられた

 

「ゆりっぺ大変だ!!中庭に――」

 

本部に入ってきた戦線メンバーの説明は信じがたいものだった

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「…痛ってぇ」

 

強い衝撃を受け、俺は校舎の端の壁に叩き付けられた

 

何に吹き飛ばされたのか確認したかったが、思いのほかダメージが強く

 

なかなか起き上がれないでいた

 

「……くそ」

 

なんとか起き上がり正面を向く

 

「なん…だ……あれは」

 

俺の目の前にいたのは人ではなく、黒い塊だった

 

黒い塊といってもちゃんとした形があるのかは分からない

 

丸い形をしているようだが、固形ではなく気体の塊のといった方が正しいだろう

 

こいつが俺を吹き飛ばしたのだろうか

 

だが何のために?

 

俺は黒い塊を見ながら考えていると、そいつは突然俺に向かって腕のようなものを伸ばしてきた

 

「くっ!」

 

俺はとっさに左手で腰の刀を掴み、柄で黒い塊の攻撃を防いだ

 

「あっぶねぇな、いきなり何しやがる!」

 

椎名との特訓で変則ガードを覚えていなかったら、また壁に叩き付けられていたところだ

 

黒い塊は攻撃を防がれてもなお、両腕(?)で攻撃を仕掛けてくる

 

「チッ!入江を探すのはコイツをどうにかしてからだな」

 

俺は攻撃を避けながら刀を腰に差し、抜刀する

 

「さぁかかってこい、まっくろくろすけ!」

 

俺はそいつを連れ、中庭の方へと移動した

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「これは、一体…」

 

報告に来た戦線メンバーに連れられ中庭に来たゆりが見たものは

 

空中に浮かぶ1mほどの亀裂だった

 

亀裂の幅は50cmぐらいだろうか、亀裂の中を確認したいが中から出ている光のせいで確認できなかった

 

「ゆり、これってもしかして、向こうに繋がってるんじゃないか?」

 

音無が状況を見て推察したのだろう

 

「そうね、その可能性は高いと思う」

 

「ならこの亀裂をどうやって広げるかだな、この大きさでは誰も入れんぞ」

 

松下五段が亀裂の拡大を提案するが

 

「その亀裂の拡大方法が問題なのです」

 

高松が眼鏡を持ち上げた後、亀裂の反対側を指さした

 

そこには関節をあらぬ方向へ曲げ横たわっている野田がいた

 

「え、何で野田君があんなことになってるの?」

 

「ゆりっぺが来る前に野田君があの亀裂に攻撃したんだよ。そしたら急に吹き飛ばされて……」

 

一部始終を見ていた大山がゆりの質問に答えた

 

「なるほどね、銃は試した?」

 

「銃はまだ試してねぇ、アレを見ちまったからな…」

 

戦線メンバーは野田が吹き飛ばされた後、自分もああなりたくないと

 

亀裂には指一本触れてはいなかった

 

「全くしょうがない連中ね。死ぬわけじゃないんだから当たって砕けなさいよ」

 

「いやいくら死ななくても嫌だよ!」

 

当たって砕けろという言葉に日向が全力で否定する

 

「じゃあ全員一斉に撃つわよ、それで文句ないわね」

 

「文句あるに――」

 

バンッっとゆりが抗議する日向の顔すれすれに発砲する

 

「ん?」

 

「――なんでもありません」

 

「諦めるしかないな」

 

ゆりは戦線メンバーを配置に就かせ、射撃体勢に入る

 

「――撃てっ!」

 

ゆりの合図と共に亀裂に向かって銃撃が開始された

 

 

 

 

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戦線メンバーが亀裂に向かって銃撃が行われ

月斑が中庭で黒い塊と戦闘を行っている同時刻

 

入江を担いだ黒い塊がゆっくりととある場所へと向かっていた

 




ようやく時間が取れたぞーー!!

燕「テンション高いなオイ」

だって先月は仕事の引継ぎ、今月は引継ぎ+新しい仕事を覚えるのに必死でしたからね
引継ぎ相手がなかなか仕事を覚えてくれなくて自分の仕事ができなかったんだよ!

入「まぁ愚痴はそのくらいで、今回の話の見返りでもしましょうよ」

燕「そうだな。つかその前に今回で肝試し編は終了のハズじゃなかったのか?」

マジでごめんなさい
プロット見直してたら『コレゆり達の描写もないとおかしくね?』と思ってしまったので
予定の倍の量になってしまいました

燕「じゃあ次回で今度こそ終わるんだな」

その予定です

燕「そうか、んで結局あの空間は何だったんだ?それとゆり達が見つけたあの亀裂も気になるな」

そのことに関しては今後のお楽しみということで
あの隔離空間は終盤でまた出てきますから

入「黒い塊に連れていかれた私はどうなるんでしょうか…」

燕「まぁそれも含めて今後のお楽しみだな」

ですね
ちょうどいいのでそろそろ終わりますか

入「それでは皆さん!」

『また次回もお楽しみに~』

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