「………すぅ………すぅ」
俺と入江は今、3-Fの教室で休んでいる。
不思議なことにあれだけ歩いたにも関わらず、3-Fの教室に戻ろうと振り返るとそこに3-Fの教室があったのだ。
入江は驚いていたが、俺はこの空間では常識なんてものはないんだろうなぁと諦めた。
他の教室同様、扉が開かないかもしれないと思ったが、そんなことはなくすんなり開いたのは幸いだろう。
一応教室の中を調べたが、札を探して入った時と変わらず何もなかった。
それで安心してしまったのか、入江は適当な椅子に座り眠ってしまった。
「さて、このまま教室に籠ってても仕方ないよな」
俺は入江をそのままにし、教室を出た。
どうせ廊下は永遠と続くし戻ろうと思えばいつでも戻れるだろうと、浅はかな考えだった。
この行動が最悪な事態を招くことになるとは微塵も思っていなかった。
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燕のいなくなった教室では入江の寝息が響いていた。
誰かが教室内に入ってくるまでは………
教室に入ってきた人物はゆっくりと入江に近づいて行った。
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「あれ?」
さっきとは逆方向へ歩いていた燕が見つけたのは、探していた階段だった。
「わけが分からねぇな此処は…
まぁいい、一度戻るか」
俺は入江を連れてくるために来た道を戻るが、階段を探していた時同様
一向に教室にたどり着かないでいた
それどころか、後ろを振り向くとすぐそこに階段がある
「……やばいなこれは」
ここにきて初めて焦りを覚えた俺は、置いてきてしまった入江を心配しつつ
出口を探すため階段を下りて行った。
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一方、元の天上学園では
肝試し大会が終了しても戻ってこない月斑・入江ペアを戦線メンバーが捜索に当たっていた。
「遊佐さん、最後に月斑君達を見たのはどこ?」
『申し訳ありませんが、私が最後に見たのは校舎に入るところです』
「そりゃそうよね、こんな事態になるとは思わないし、特別あの二人を監視する理由もなかったしね」
校舎で行われる肝試し大会で行方不明者が出ると誰が予想できただろうか
(二人とも、一体どこに行ったの…)
ゆりは二人の心配しか出来ず苛立ちを感じていた。
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階段を下りている最中、一つ思い出したことがあった
『なぁ遊佐、ゆりの無線機の周波数を教えてもらえないか?』
『どうしてでしょうか』
『急ぎの用がある時に本部へ向かうより放送室の無線機を使った方が手っ取り早いだろ』
『それでしたらゆりっぺさん本人に聞けばよろしいのでは?』
『ゆりに聞いてもいいが、ちょっと脅かしてみたいと思ってさ』
『……………』
『側近としては嫌か』
『……構いませんよ、私もゆりっぺさんが驚くところを見てみたいですし』
そういった経緯があって遊佐からゆりの無線機の周波数を教えてもらった事があった
まさかこんなところで使うことになるとは思ってもみなかったが
正直聞いておいてよかったと思う
「放送室にはたどり着けるのか」
さっきから目的のところにたどり着けないでいた為、少々不安はあったが無事放送室にたどり着き、中にも入れた。
「さて、無線機はっと」
俺は無線機を探し、周波数を合わせ連絡を試みる。
「ゆり聞こえるか?聞こえてたら返事してくれ!」
『……………』
「…無理か」
諦めかけた瞬間、スピーカーから微かに声が聞こえてきた。
『……むら…ん!ぁなた……こにいる…!』
「ゆりか!よかった通じたか」
『ゆ……!今す………送室に…な……君たちを…わせて!』
途切れ途切れだが何を言っているのかは大体わかった。
だが元の天上学園の放送室に俺はいないだろう
「ゆり、たぶんそっちの放送室に俺はいないと思う
それよりも現状の確認だが――」
俺は今起こってるすべての事をゆりに伝えた。
そして俺はこのとき、入江の身に何が起きているかなど微塵も考えもしなかった。
入江は今、3-Fの教室から姿を消していた。
大変申し訳ございませんが、今回はここまでとなります。
燕「今回で終了予定じゃなかったのか?」
そのつもりだったのですが、思いのほか考えがまとまらなくて
結局分割してしまいました。
燕「またか…」
入「最後私がどうなってるのか気になるんですけど…」
それに関しては次回判明するので、それまでお待ちください
燕「まさか考えてないとか言い出すんじゃないだろうな」
それはないです!話の流れはまとまってます!
ただ文にするのに慣れてないだけです!
入「その結果が分割ですか」
それに関してはホント申し訳ない!
なんか毎回誤ってる気がして説得力ないけど、本当に申し訳ないと思ってます!
燕「じゃあ次回でこの肝試し編は完結でいいのか?」
はい、次回で完結させます!
入「まだいろいろ気になることがありますけど今回はこの辺で終わりましょうか
それでは皆様!」
『また次回もお楽しみに~』