Angel Beats! 星屑の記憶   作:刻焔

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第31話 日向チームvs生徒会チーム!

 

生徒会チームが参戦してからというもの、我ら戦線チームは次々と潰されていった。

 

「竹山に高松のチームもやられて、俺ら以外全滅か」

 

俺はトーナメント表を眺めながら思ったことを口にした。

 

「何しみじみしてんだ!さっさと整列するぞー」

 

……ちょっとはのんびりさせてくれよ

 

なんて言ってられないな

 

さぁ、今から生徒会チーム戦だ!

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ついに来てやったぜ」

 

整列すると同時に日向が天使に挑発する。

 

が、それを無視して生徒会チームは自分たちのベンチへ向かってしまった。

 

「ちぇ、可愛くねぇな」

 

挑発を無視されたせいか、日向が愚痴をこぼす。

 

「人間性が薄いんだから仕方ないんじゃねぇのか?」

 

「そうかもしんねぇけど、ちょっとは挑発のひとつでもしてみろって」

 

「そうですよね!アタシなら容赦なく挑発しかえしてやりますけどね!」

 

俺と日向の会話にユイが割って入る。

 

「テメェは少しは自重しろ!さっきから何回ドスきかせてんだよ!」

 

「ギブギブギブーッ!!」

 

日向がユイに卍固めを決める。

この光景も試合前には見てきたので見慣れてしまった。

 

音無も無視してバッターボックスに入っている。

 

「…まあまあ」

 

『プレイボール!』

 

そんなこんなしている内に試合が始まったようだ。

 

打順と作戦も変更無くこれまで通り、音無・日向・椎名が出塁し野田が返すというパターンだ

そして今回もこれで四点獲得した。

 

その後ユイは呆気なく三振、岩沢は内野ゴロでアウトになってしまった。

かく言う俺もヒットは出すが後続の二人がアウトになり本塁に戻れずじまいで居る

 

攻守交替し、音無が善戦するも流石野球部

あっさりボールを外野へ飛ばしていく

 

ボールが飛んだ先の外野にはNPCの女の子が守っている。

よし、これならアウトでk「キャアッ!」って避けるのかよ!

 

とっさにカバーに入り落ちたボールを投げるが

流石に間に合わず、点を取られてしまう

 

「す、すみません」

 

「いやいいよ、ドンマイドンマイ」

 

ボールを怖がってしまったNPCが誤ってくる。

しかし、センターを守っていたから良かったものの

これが続くとなるとちょっと厳しいな

 

その後何とか三点に抑え一回を終えた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

その後、激しい点の取り合いが繰り広げられ

現在九回表、ツーアウト一・三塁

 

まさかこの場面で俺の打順が回ってくるとは

荷が重いぜまったく

 

「ここで月斑が点を取れば、勝利がグッと近づく!

 たのむぜ月斑」

 

「ああ、まかせろ」

 

俺はバットを持ち、バッターボックスへ立つ

 

…とは言ったものの、さっきから言いとこないんだよなぁ

まぁなんとしてもここで俺が出ないと負け確だからな

 

ん?なんかあのピッチャー、俺のこと睨んでないか?

 

なんか殺気立ってる感じが「―――って、うおぉ!?」

 

相手ピッチャーが投げた球が俺の頭があった位置を通っていった。

 

そしてその球をなんの疑問も無くキャッチャーが取った。

 

「きったねぇーぞ!ワザと狙いやがって!」

 

ベンチからチームメンバーが叫ぶ

 

が、審判は何も気にすることなく「ボール!」と、冷静にジャッジをしている。

 

こいつらグルか

 

しかし俺が恨まれるようなことをした覚えが無い

 

「おい」

 

そう思っているとキャッチャーから声をかけられた。

 

「ガルデモの雑用係だかなんだか知らないが、ガルデモの傍に居られるからっていい気になるなよ」

 

ああなるほど、野球部もミーハーだって事か

今まで何も仕掛けてこなかったくせに、ピンチになったらこれかよ

てか天使も何も言わないのな!って副会長と何か話しててこっち見てねぇ

 

「そんな気になってねぇから、安心しr「あ~いたいた!月斑せんぱーい!」「「っ!?」」

 

俺とキャッチャーが同時に声の方を向くと

そこにいたのはなぜかチアガールの姿をしたひさ子・入江・関根の三人だった。

 

「ホントにこの格好で応援するのかよ」

「は、恥ずかしいよぉ~」

「二人とももっとテンションあげないとダメっすよー

 ほら、日向チームファイトォー!!」

 

…………何かの見間違いだろうか

俺には三人のチアガールが俺たちのチームを応援していて

その嫉妬のせいか、相手チームの殺気が強くなっている。

 

……そしてその殺気を何故俺に向けるのだろうか

 

「…無事にベンチに帰れると思うなよ」

 

ここは戦場かよ…

 

などと思っていると、パァンッといい音を鳴らしボールがミットに収まる。

 

「流石にガルデモメンバーが見てる前じゃ、危険な球は投げられないってか

 真剣勝負できてうれしいよ」

 

俺はバットを構える

相手ピッチャーが振りかぶり、ボールを投げる。

 

「ストライークッ!!」

 

わずかに振り遅れてしまったか

 

『月斑、打てよー!』

『せんぱーい、頑張ってくださーい!』

『わたし達がついてますよー!』

 

ごめん応援はうれしいけど止めてもらえないかな?

敵の殺気が痛いんだ

 

殺気はすごいが、相手ピッチャーはデッドボールは狙っていないようだ

 

さぁもう後が無いんだ、これで打てなかったらこの試合が終わった後が怖いぞ

…主にゆりの制裁と野球部からの嫉妬の攻撃が

 

殺気が凄まじいピッチャーが大きく振りかぶり投げる。

 

なんか球威あがってねぇかっ!?

 

突然の球威の上昇に不意をつかれ反応が遅れてしまい、バットに当たりはしたものの

ピッチャーゴロになってしまった。

 

「クッソ!」

 

俺はバットを投げ一塁へ走る。

 

その間ピッチャーがボールを拾い一塁へ送球する。

 

「とどけぇえええ!!」

 

俺は一塁目掛けて飛び込んだ

それとほぼ同時にファーストのグローブにボールが収まった。

 

「……アウトッ!!」

 

きわどいタイミングだったがアウトになってしまった。

 

「くっそあと少しだったのに、すまん」

 

「いや良いって、ありゃしかたねぇ」

 

「俺がしっかり抑えるから安心しろ」

 

「お前ら…」

 

ベースに戻った俺を日向と音無が励ましてくれた。

だが、

 

「フン、あの程度のボールも打てないようでは話にならんな」

 

「おい野田!」

 

野田だけが反発してきた。

 

「あぁ、今のは俺が悪い。だから最後の守備で巻き返してやるよ」

 

「やれるものならやってみろ」

 

それだけ言うと野田はベンチを出て行った。

 

「嫌なヤツだな」

 

「あいつなりに月斑を炊きつけようとしたんじゃねぇの?」

 

「あれは素だと思うぞ」

 

後ろで音無と日向の会話が聞こえてくる。

もしそうなら不器用なヤツだな野田って

 

「なにボォっとしてるんですか先輩、早く守備につきますよ!」

 

「あぁ」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

九回裏、一点差、ツーアウト、ランナー2.3塁

あと一人抑えられたら俺たちの勝利だ。

 

そう考えていると音無がタイムをかけた。

 

日向のところへ向う

が、話しかけられた日向はどこか上の空だったので、俺も様子を見に行く。

 

「どうした?日向」

 

「…え、ああ、いや。昔、生きていた頃に似たような事があったっけなって」

 

「似たような事?」

 

「月斑?何でここに来たんだ?」

 

「なんか日向が上の空だったから、何かあったのかと思って

 で?どんな呆けるほどの事があったんだ」

 

日向はゆっくりと話し始めた。

 

 

日向は生きていた頃、野球部のメンバーで甲子園を目指していた。

それは最後の地方大会の最終回、一点差、ツーアウト、ランナー2.3塁と

今と同じ状況だったらしい。

 

日向はそのと時もセカンドを守っていたらしく、簡単なセカンドフライが上がった。

 

 

「それを取れたのか、落としちまったのか

 それだけは思い出せねぇんだ…

 …いや、きっと取れなかったんだ」

 

「……日向、ひとつ聞きたいんだが」

 

俺は日向の過去を聞いて、少し疑問に思ったことがあった。

それはゆりの時には無かった感情だ。

どうしてそう思ったのかは分からない。

 

ただなんとなくそう思った。

 

「この世界には現世で理不尽な人生を歩んだヤツが来るんだったよな」

 

「そうだけど、急に何の確認だ?」

 

「なら、もしこの世界で現世で出来なかったことが叶ったら、そいつはどうなるんだ?」

 

「え…」

 

想像したことが無かったのか、虚を突かれた表情になる。

 

音無も俺の質問を理解したのか

 

「…お前、消えるのか?」

 

俺の聞きたかった事を、代わりに聞いてくれた。

 

「この試合に勝ったら、消えるのか?」

 

「…き、消えねぇよ…ハハッ…こんな事で、消えるかよ」

 

俺と音無が見たのは不安の中、無理をする日向だった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「音無、絶対にアウト取れよ

 センカンドフライなんて打たせたら、本当に…」

 

―――消えるかもしれない。

その言葉は口に出来なかった。

それは音無も同じで、言いたいことを汲み取ってくれたようで

 

「…ああ」

 

そう答えてくれた。

 

俺はマウンドに戻った音無に、それだけ伝えセンターへと戻る。

戻る途中「余計な事言ったんじゃねぇだろうな」と日向に言われたが

 

「気楽に行こうぜって伝えといた!」

 

そう言って誤魔化した。

 

プレイは再開され、音無がさっきより力の篭ったフォームでボールを投げた。

 

しかし

 

 

 

 

―――――キィンッ!

 

 

 

 

聞きたくなかった音が、鳴り響いた。

 

俺と音無は同時に高く舞い上がったボールに目をやり

その軌道を確認する。

 

最悪のセカンドフライだ。

 

打たせてはならなかったセカンドフライ

 

『日向ぁ!!』

 

体が勝手に日向の元へ走り出す。

 

消えてしまうかもしれない、その不安が俺と音無を走り出させた。

 

日向はゆっくりと両手を上にあげ、ボールを取る姿勢に入っている。

 

やはりセンターからでは走っても間に合いそうにない、頼みの綱の音無も届きそうに無かった。

 

もう駄目か、そう思った瞬間

 

日向の脇腹に黒い影が突っ込んでいった。

 

「隙ありぃいい!!」

 

「ぐおあぁおおっ!!」

 

影の正体はユイで、後で聞いたら「試合中ずっと隙が無いか見張ってました!」とか言ってきたので制裁を加えてやったというのは別の話。

 

「よくも卍固めにしまくってくれたなこっのぉお!」

 

ともあれ、ユイが日向の妨害に入ったため、ボールはそのまま地面に落ちた。

 

『ホームイン』

 

ただ日向が消えなくて済んだのだが、その光景に呆然としていた俺たちは

試合のことなど忘れ、ただただ呆然としかできなかった。

 

「て、テメェこんな時に……なにキレてんだよぉ!!」

 

日向がユイに反撃する。

 

「す゛み゛ま゛せ゛ん゛、次は頃合を見計ります!」

 

「知るかぁああ!」

 

一体何をしているのやらと、俺と音無が顔を見合わせため息をついた。

 

『ホームイン』

『あぁ!もうクッソー!!』

『ゲームセット!』

 

あ、試合の真っ最中だったの忘れてた。

 

「テンメェ、今のだけは絶対に許さん!このっこのっ!」

 

「落ちる!落ちるー!」

 

試合の事を覚えているのか忘れているのか知らないが、日向とユイの叫び声だけが

ゲームの終了したファールドに響き渡っていた。





正直二分割すればよかったと思ってます!

燕「一話にまとめようとするからだ」

入「そうですよ!あれだけ引っ張っておきながら私の出番ほとんど無かったじゃないですかぁ!」

それに関しては本当に申しわけないと思っています!

燕「てか、俺のセリフも少なかった気がするぞ」

いやだって、今回そんなに喋る回でもないでしょう

燕「そうかもしれないが」

入「結構重要な事は喋ってたから良いじゃないですか
  私なんてちょろっと出てきただけですよ
  これじゃ本編同様脇役扱いじゃないですか!」

いやホントに申し訳ないと思ってるんです!
次からはオリジナルストーリーなのでもっと出番は増やせるハズです!

入「ハズっていうのが気に入りませんが…」

燕「まぁまぁ、で、次は具体的にどんな話なんだ?」

次回からは夏休み編となります。
コミック「ヘブンズドア」でも行われたあのオペレーションやその他イベントが待ってますよ。

入「あのオペレーションって事は………
  っ!じ、次回も私の出番ってありませんよね!?」

何を言ってるんですか、もちろん『ある』に決まってるでしょう

入「ええぇ~!!」

燕「うわー、作者が悪い顔になっている」

次回からは入江の出番も増えていくのでご安心ください!

それじゃあ今回はここまで!


『また次回もお楽しみに!』




入「いやぁあああ!参加したくないぃいいいい!!!」

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