Angel Beats! 星屑の記憶   作:刻焔

19 / 45
第18話 迷子!?

「……なぁ、俺達どこ歩いてるか分かるか?」

 

突然日向が燕にそんな質問をしてきた。

 

「……わかってたら苦労はしねぇよ。 つか、ホントどこだよここ」

 

現在燕たち一行は、起動していなかった落とし穴トラップにはまり

別の通路へと放り出されてしまっていた。

 

――――太刀を貰って帰るだけのはずだったのに、気が付いたら迷ってるし

  日向はこの道は初めてだっていうし、入江に至っては俺の服の裾を握ったまま震えてるし

  さて、この状況をどうやって切り抜けようか

 

燕が今後の事を考えていると、突然カチッっというスイッチ音が聞こえてきた。

 

「…なぁ今のスイッチ音はなんだ?」

 

燕は先頭を歩いていた日向に話しかける。

 

「…スマン、地面にあったスイッチを踏んじまったみたいだ」

 

視線を落とし日向の足元を見ると、確かに左足部分の地面が不自然に沈んでいるのが見えた。

 

「いいか日向よく聞け、俺は一先ず入江を安全な場所に連れて行く。 それからその足のトラップをどうにかするから、しばらくそこを動くなよ」

 

「分かった。 早く戻ってきてくれよ」

 

燕は一度来た道を少し戻り、入江を安全そうな岩場で待機させる。

 

「いいか、絶対に動くなよ。 俺たちの悲鳴が聞こえても絶対に動くなよ」

 

「わ、分かりました」

 

心細いのか声に元気がなかったが、燕は日向救出に戻った。

 

「さて、この部分だよな」

 

燕は沈んだ地面を見て考える。

 

「定番としては重たい石をゆっくりずらしながら足を離すんだが」

 

「それ成功例ってなかったよな」

 

「あぁ、ないな」

 

燕は再度、なにか方法はないものかと考え始める

が、いいアイディアが思い浮かばなかったのか、とんでもないことを言い始めた。

 

「よし、いっそのこと離しちまうか」

 

「何言ってんだお前!」

 

「仮に死んでもしばらくしたら復活するんだ、我慢しろ」

 

「何気ヒデェな! あぁクソッ!離せばいいんだろ離せば!」

 

日向は諦めたのか、スイッチを踏んでいた足を思いっ切り離した。

 

すると突然壁と天井の一部が開き、そこから巨大な斧が目の前を通過していった。

 

『うおぉぉあああああ!?』

 

「あぶねぇ!!」

 

「オイオイオイ、今まではハンマーだったのにここにきて斧の登場かよ!!」

 

今二人の目の前には巨大な斧が五つ、振り子のように揺れている。

しかもそれは、それぞれがバラバラに動いているため突破が難しそうだった。

 

――――さて、こっからどうするか

 

「てかさ、これ気づかずに進んでたら俺の身体って」

 

「ものの見事に真っ二つだっただろうな」

 

その状況を思い浮かべてしまったのか、日向の顔は真っ青になっていた。

 

「おい大丈夫か?」

 

「あ、あぁ何とかな」

 

「とりあえず俺は入江を呼び戻してくるから、その間にほかのスイッチがないか調べてみてくれ」

 

「分かった探しとく」

 

燕は一度日向と別れ、入江の所まで戻った。

 

「入江、安全じゃないけどもうこっちに来ても……って、なにやってんだ?」

 

燕が見た光景は、岩の間にしゃがみこんで耳をふさいでぶるぶる震えている入江の姿だった。

 

「おい入江、聞こえてるのか?」

 

そう話しかけながら燕が入江の肩を掴むと

 

「ひゃぁああああああ!!」

 

「うぉ!?」

 

「…え?あ、月斑先輩」

 

「驚きすぎだろ、まぁいい安全じゃないけど進むしかないからな、怖いかもしれないが行くぞ」

 

燕は座り込んでいる入江に手の手を取り引っ張り起こす。

 

「…あ」

 

「ん?痛かったか?」

 

「い、いえ、大丈夫です」

 

燕はなぜか目を逸らし頬を赤らめている入江に首をかしげるが、気にせず日向の元へと足を向けた。

 

「おい日向、何か見つけたか?」

 

「いいや、何にもねぇ。 戻ろうにも道が分からないんじゃしょうがないしな。 先に進むしかないだろ」

 

日向は両手をあげ首を振り、お手上げという合図をした。

 

「仕方がない、俺が剣を使って斧を止めるから、その隙に進んでくれ」

 

「ちょっと待て、それはいくらなんでも危険すぎるぞ!」

 

「そうですよ、他の方法を考えましょうよ!」

 

燕の意見に二人は反対した。

 

「他の方法を考えてたらいつ出られるか分からないだろ。 ここは強行突破するべきだと思う」

 

――――それに休暇は今日だけだからな、今日中に出てやる

 

「おい月斑、何をあせt「行くぞ!」聞けよ!」

 

日向の言葉を遮り燕は腰の刀に手を添え、一つ目の斧へと突っ込んでいった。

 

「ハッ!」

 

ガキィンという金属のぶつかり合う音と共に斧の動きが止まる。

 

「よし行けっ!二人とも!!」

 

「行くしかねぇのかよ。 ほら入江!」

 

日向と入江は燕の後ろを通り過ぎ、それを確認した燕は受け流すように体を滑らせ、斧の先へと移動する。

 

「何とかなるもんだろ」

 

「……あぁ分かった。 もう文句は言わねぇ、あと四つこのまま進むぞ」

 

「んじゃさっさと突破するか」

 

その後三つ目を突破するまではなんの問題もなく進んだ

 

 

 

 

 

 

 

そう、三つ目までは

 

四つ目の斧を受け止めた瞬間ピシッと燕の耳に嫌な音が響いた。

 

「――っ!?ほら行け二人とも」

 

二人は燕の合図と共に四つ目の斧を通り抜け、燕も後に続く

 

――――五つ目か、この刀も限界が来てしまったみたいだし、あと一個持つかどうか

 

「月斑?どうした」

 

考え込む燕を不思議に感じたのか、日向が声をかけた。

 

「いや、なんでもない、さぁ最後行くぜ!」

 

燕はもう何も考えず最後の斧を止めに走った。

 

「セイッ!!」

 

最後の斧を受け止め、燕の後ろを二人が通り過ぎる。

ここまでは先程からの光景だった。

 

二人が通り過ぎ、自分も移動しようとした時、突然バキンという嫌な音がした。

 

「やべっ!」

 

ついに限界を超えた刀が折れてしまった。

 

『月斑(先輩)!!』

 

「くっ」

 

燕は何とか体を逸らし斧を躱そうとしたが、斧は左腕を切り裂いていった。

 

「大丈夫か!?」

 

「あぁ、何とかな。 ただ左腕の傷はヤバいな」

 

「それは大丈夫とは言わねぇぞ!」

 

日向の言葉を聞きつつ、燕はブレザーを破り傷口を縛った。

 

「この世界じゃ傷も早く治るんだろ、だったら問題ないさ」

 

「問題ないじゃねぇだろ」

 

「そうですよ。 早く地上に――あっ」

 

「地上に戻れるのならすぐにでも戻るさ、正直俺もこの傷でオールドギルドに向おうなんて思わないさ。

 だけど今は地上に戻る術がない、だったら無理してでも進むしかないだろ」

 

燕は折れてしまった刀を鞘に戻し、立ち上がった。

 

「さぁ、先は長いんだ。 早く進もうぜ」

 





投稿が一週間以上遅れてしまいすみません!

燕「今回は何があった?」

最近仕事が回らず残業が増え、その疲れのせいか風邪をひいてしまい
しばらく寝込んでました。

入「頑張るのもいいですけど、体調管理には気を付けてくださいね」

はい、今後は気を付けます。

燕「さて今回の話だが、前回出さなかったトラップの一つらしいな」

日「俺達はこんなのにぶち当たる予定だったのか」

トラップを考えたまでは良いんですけどね、どうやって突破しようかと

燕「悩んだ挙句PCがフリーズしたからお蔵入りになったんだよな」

そうなんですよね。

日「つまりちょうどいい多イニングでPCのフリーズが起こったのか」

いやぁ、だってここのトラップ微妙でしょ?
今回は状況との組み合わせで採用しましたけど、正直使いたくなかったってのが本音です。

さて、今回のあとがきコーナーはこのあたりで締めますか

入「それでは皆様!」

『また次回もお楽しみに~』

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。