Angel Beats! 星屑の記憶   作:刻焔

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第15話 ギルド到達!天使迎撃戦

 

ゆりの過去を聞いた後、燕達はトラップに引っ掛かる事無くギルドの入り口まで来ていた。

 

「この下にギルドがあるのか?」

 

燕は足元にあるギルド最深部へ繋がる扉を見ながらそう聞いた。

 

「そうよ、開けるから手伝って」

 

三人がかりで扉を開け、梯子を下りて行くと徐々に光が強くなりギルド全体が姿を現した。

 

「ここがギルドか」

 

燕は目の前の光景に驚きが隠せなかった。

音無も同じようで、声をあげて驚いていた。

 

――――ギルド最深部――――

 

「ゆりっぺだ!」

「ゆりっぺの他に二人いるぞ!」

「無事だったぁ!」

 

ゆりを先頭に梯子を降り切ると、このギルドの作業員たちが燕達の元へ集まってきた。

 

「こいつらが、ここで武器を造ってるのか」

 

燕の隣で音無がそうつぶやいた。

 

その間にも、ゆりと作業員たちの話は続いており、このギルドのリーダーだと思われる人物もその場にいた。

 

「なぁゆり、こいつは? あからさまにおっさんなんだが」

 

「ちょっと月斑君、チャーはこれでもあたし達と同じ高校生よ」

 

「これでもは余計だ。 俺の事はチャーと呼んでくれ」

 

「俺は月斑燕、こいつは音無だ」

 

お互いに自己紹介が済んだ瞬間、地響きが鳴り響く

 

「……近い」

 

「ゆりっぺ…」

 

作業員の一人が不安気な声をあげ、他のメンバーもゆりを見る

ゆりは上を見上げ沈黙していたが、意を決したようにこちらを向き

 

「ここは破棄するわ」

 

そう告げてきた。それに対し作業員たちは騒ぎ始めた。

 

「そんな、正気かゆりっぺ」

「そうだぜ武器が造れなくなってもいいのかよ!?」

 

中には反対する声もあったが、ゆりはこの決断を変えるつもりはないらしい

 

「大切なのは場所や道具じゃない、記憶よ。 貴方達それを忘れたの?」

 

「あ、いや…」

 

「記憶が大切?どういう事だゆり」

 

ゆりの言葉に疑問を持った燕が質問する。

 

「この世界では命あるものは生まれない。 けど、形だけの物なら生み出せる。 それを合成する仕組みと作り出す方法さえ知っていれば、本来何も必要ないのよ。 土塊からだって生み出せるわ」

 

「だが、いつからか効率優先となり、こんな工場でレプリカばかりを作る仕事に慣れきってしまった」

 

――――どうやって土塊を物に変えることが出来るのか気になるが、今はそれを聞いている暇はなさそうだな

 

チャーはゆりの決断に賛成のようだった。

 

「本来あたし達は形だけの物に記憶で命を吹き込んできたはずなのにね」

 

何か懐かしむようにゆりはそう言った。

 

「ならオールドギルドへ向かおう、長く捨て置いた場所だ。 あそこには何もないが

 …ただ土塊だけなら山ほどある。 あそこからなら、地上へも戻れる」

 

「ここは?」

 

「爆破だ」

 

『えぇっ!?』

 

チャーの決断に作業員たちが再び騒ぎ始める。

 

「天使はオールドギルドへは渡らせん。 あそこは俺達が帰れる唯一の場所だ」

 

「しかし――」

 

作業員の一人が何かを言おうとしたが、二度目の地響きによりさえぎられてしまう。

 

「さっきよりも近いな」

 

「持っていくべきものは記憶と、職人としてのプライド、それだけだ。

 …違うか、お前ら!!!」

 

『……はいっ!!』

 

地響きにも動じる事無く、作業員たちに活を入れた。

 

「よーし、爆薬を仕掛けるぞ。 チームワークを見せろ!!」

 

『おぉー!!』

 

チャーの指示により各自持ち場へと走って行った。

それを確認したゆりは身を翻し梯子の方へと走って行く。

 

「ゆり!?どこへ!」

 

「時間稼ぎよ!」

 

ゆりが梯子を上り始めると同時に、音無もそれについていく。

 

「……俺も行かなきゃダメかな?」

 

ちょっとめんどくさそうに二人の後を追おうとするが、視界の隅にある物が移り

燕の意識はそちらに向いた。

 

「チャー、あれ使ってもいいか?」

 

燕はそこにある物を指さしながらそう聞いた。

 

「ん?それを使うのか?別にかまわないが、うちの若い奴が造ったなまくらだぞ」

 

「…構わない、一度試してみたかったんだ」

 

燕は迷うことなくそれを取り、ゆり達を追いかけて行った。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

燕が梯子を上り終えると、既に天使との戦闘が始まっており

ゆりと天使の激しい近接戦が行われていた。

 

そしてその光景を銃を構えた音無が見ている状況だった。

 

「音無!」

 

「っ!月斑か、って何持ってるんだ」

 

「これか?さっきギルドで見つけたから借りてきた。 もちろんチャーの許可は取ってある。

 さて、…行くぜ!」

 

燕は持ってきたものを腰に構え、ゆりと天使の方へと走り始めた。

 

――――天使の奴変な動きをしてるな、だけど見えないわけじゃない

   確信があるわけじゃない、だけどいけそうな気がする。

 

燕は腰に構えた日本刀の柄を握り、一気に引き抜き

ゆりに止めを刺そうとしている天使の剣?を止めた。

 

「間一髪だな、ゆり」

 

「あ、あなたそれどうしたの!」

 

ゆりも音無と同じ質問をしてきた。

 

「今はそれ聞いてる場合じゃないだろ」

 

「…………」

 

天使は黙ったまま燕の刀を両手の剣で受け止めている。

 

――――こっちは全力だってのに、なんて涼しい顔して受け止めてんだコイツは

 

燕は一度離れ、再度刀を振り下ろすが

今度は片方の剣のみで受け流された。

 

「……くそっ」

 

そして受け流した剣とは反対の剣で反撃されるも、燕はギリギリのところで躱し

また刀を振るう

 

――――……っ!捕えた!!

 

一瞬の隙を見つけ刀を振るう

が、そこに天使の姿はなかった。

 

「なにっ!?」

 

燕は一瞬何が起こったのかわからなかったが、即座にゆりと交戦していた時の事を思い出し

即座に後ろを向き、防御の体制をとった。

 

ガキィンという鈍い音がしたが、天使からの一撃はどうにか防げたようだ。

 

――――これじゃなぶり殺しだ、どうにかして状況を変えねぇと

 

天使の連撃により、燕は防戦一方になってしまった。

だが

 

「三人ともどけぇ!!」

 

燕の後ろにある最深部入り口の方から作業員と思われる声が聞こえてきた。

その声に反応し振り向くと、巨大な大砲が鎮座していた。

 

「あんた達やれば出来るじゃない!」

 

ゆりが歓喜の声をあげ、音無を退路へ誘導する。

 

燕は二人が退路に入るのを確認し、天使の剣を弾き後ろに飛び退いて距離をとった。

そして急いで二人が入っていった退路へと非難する。

 

「総員退避!…撃てぇ!!」

 

直後洞窟内に爆音が響き渡り、砂埃がたち視界を遮られてしまった。

 

「……やったの?」

 

ゆりが辺りを確認するが、砂埃がひどく何も見えなかった。

すると砲台のあった方から声が聞こえてきた。

 

「砲台……大破……」

「ちっ、やっぱ記憶に無い物は適当には造れねぇか」

 

「適当に造るな!!」

 

何時の間に移動したのか、ゆりが作業員の腹に肘を打ち付けていた。

 

「天使が起きるぞッ!」

 

砲台が爆発した時の爆風で倒れていたらしく、天使がゆっくりと立ち上がる。

 

「お前たちっ!これでなんとかしろっ!!」

 

爆薬の設置が完了したのか、チャーがギルド最深部から出てきていた。

大量の手榴弾と共に

 

作業員達は手榴弾を手に取り、次々と天使へ投げ込んでいく

その隙にシェルターへと逃げ込んでいく作業員たち

 

燕はゆり・音無と共にチャーのすぐ傍で待機していた。

 

「全員退避完了!」

 

最後に逃げ込んできた作業員がそう報告しながら奥へと走って行った。

 

「よし、ギルドを爆破する。 いいな?」

 

「やって」

 

チャーは再度ゆりに確認を取り、ゆりは何の躊躇もなく即答した。

そして「爆破!」という掛け声と共にスイッチを入れた。

 

直後足元の方で轟音が鳴り響く。

 

燕達はそれに構わず、オールドギルドへ続く道を走り続けた。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――――オールドギルド――――

 

「何年振りだろうな?本当に何もありゃしない」

 

オールドギルドへ着いたチャーの第一声が響く

 

「壁を突いたらどれだけでも土塊は落ちてくるわよ」

 

「ヒデェ塒だよ」

 

「また一つよろしく」

 

「あぁ」

 

ゆりとチャーの会話はそこで終了し、チャーは作業員たちに指示を出し始め仕事に取り掛かった。

そしてゆりは無線機を取出し、トラップに引っ掛かって行ったメンバー達に呼びかけ始めた。

 

「なぁ月斑」

 

「ん?」

 

ボンヤリ突っ立っていた燕の下にチャーがやってきた。

 

「何か用か?」

 

「…お前は今後もそれを使い続けるのか?」

 

チャーは燕が持っている刀を指さしながらそう聞いてきた。

 

「……あぁ、俺の銃の腕は皆無だからな」

 

少し考えるそぶりを見せるが、笑いながらそう答えた。

 

「なら、新しいヤツが出来たらすぐにお前に渡してやろう」

 

「…じゃあ太刀で頼む、流石にこれじゃ短すぎる」

 

燕が手にしていた刀は脇差程度の長さしかなかった。

 

「了解だ、すぐに準備しよう」

 

そう言ってチャーは作業に戻って行った。

 

――――もっと鍛えないとダメだな……

 

燕はそう心に決め、オールドギルド内の作業風景を見つめていた。





せ、戦闘シーンが上手く書けない

燕「ま、誰もが通る道だな(多分)」

入「月斑先輩はついに近接武器を手にしましたね」

燕「そだな、銃が苦手だから仕方ないっちゃ仕方ないけどな」

主人公に弱点は付き物、射撃を苦手にしたのはその為でもあるんですけどね

燕「傍迷惑な設定だな、そのせいで俺がどれだけ苦労する事に――」

入「ストップ!ストップです先輩!それ以上はネタバレになりかねません!!」

はいはい、これ以上しゃべらせるとまずいのでこのあたりで締めますよ。

入「は~い、それでは皆さん」

『また次回もお楽しみに~』


*アンケート回答未だなし、同票の場合の結果で構わないのだろうか

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