Angel Beats! 星屑の記憶   作:刻焔

15 / 45
第14話 ゆりの過去

 

――――ギルド連絡通路 B17――――

 

燕・音無・ゆりの三人は地下水路のような通路を歩いていた。

椎名がトラップに引っ掛かってからというもの、ゆりは沈黙したままギルドへ向かっていた。

 

――――なんか今のゆりに声かけづらいな

 

音無も同じ気持ちのようで、先程から一言も話していない

 

「残ったのは貴方達だけね」

 

何を話そうか悩んでいると、ゆりの方から沈黙を破ってきた。

 

「あぁ、そうみたいだな」

 

ゆりの問いに音無が答える。

 

その直後ゆりの方から鈍い音が聞こえてきたが、それは壁を殴った音だった。

 

「ホントの軍隊なら、みんな死んで全滅じゃない。 酷いリーダーね」

 

「仕方ないだろ、対天使用のトラップだ。 これぐらいじゃなきゃ意味ねぇよ」

 

壁を殴ってそのまま黙り込んだゆりに音無はそう話しかけるが、それでも返事はなかった。

 

「なぁ一つ提案があるんだがいいか?」

 

燕は片手をあげながら話し始めた。

 

「ここまでノーストップできて体力も消耗してる。 服も乾かしたいし休憩にしないか?」

 

「……そうね、少し休憩にしましょ」

 

燕の提案にゆりは同意し、三人は脇道に入った所で休憩を取ることになった。

 

「あんな連中をよく統率してられるな。 どうしてアンタがリーダーに選ばれたんだ?」

 

休憩中、音無がゆりに質問を始めた。

 

「初めに歯向かったから」

 

ゆりはそれだけ告げるとまた黙り込んでしまった。

 

「それって天使にか?」

 

「…そっ」

 

燕が続けて質問するが返事だけで終わってしまい、再び黙り込んでしまう

 

――――話が続かねぇ、気が重いな

 

話す話題が無くなったのか、音無まで黙り込んでしまった。

 

「…………兄弟がいたのよ」

 

すると今度はゆりの方から話を振ってきた。

 

「貴方達には無い記憶の話よ」

 

「この世界に来る前の、生きていた時の話か」

 

「そう――」

 

ゆりは生前の話を俺達に話してくれた。

それはとても辛い話だった。

ゆりは淡々と話をつづけ、俺達は黙って聞いていた。

 

――――もし俺も、同じ理由でここに来たんだったら……

 

燕はゆりの過去と、夢で見た施設の子供達の事を重ねると、自分が憎くなってしかたがなかった。

 

――――……いや、これ以上考えるのはよそう。 有りもしない事実を考えたってしょうがない

 

燕は考えるのをやめ、ゆりの話を黙って聞き続けた。

 

「――別にミジンコになったって構いはしないわ。 私は、本当に神がいるなら立ち向かいたいだけよ。 ……だって、理不尽すぎるじゃない。 悪いことなんて何もしていないのに、……あの日までは、立派なお姉ちゃんでいられた自身もあったのに、守りたい全てを三十分で奪われた。 そんな理不尽ってないじゃない、そんな人生なんて許せないじゃない」

 

全て言い切ったのか、ゆりは顔を伏せ黙り込んでしまった。

 

「……ゆりのその気持ち、分からない訳でもない」

 

燕の口から自然と言葉が出ていた。

 

「俺はこの間、多分だけど夢で昔の記憶を見た」

 

今度は燕がその時見た記憶の夢の事を話し始めた。

以前入江に話した時と同じように

 

「――その施設の子供達とゆりの過去を勝手に重ねちまって、あの子たちを守ることが出来なかったのなら、俺もこんな人生は許せないって思ったんだ」

 

「……そぅ」

 

ゆりはそうつぶやくとまた黙ってしまった。

 

「……強いな、お前達は」

 

不意に音無がそう言ってきた。

 

「俺の記憶がそんなのだったら、とっとと消えてしまいたくなるかもしれない。……でも、お前達は抗うんだな」

 

「そうよ」

 

「当たり前だろ、そんなの絶対に許せない」

 

ゆりは返事をすると立ち上がり、奥へ進もうとする。

 

「なぁゆり、一つ聞いていいか?」

 

「なに?」

 

「ゆりはどうして死んだんだ?」

 

それは燕も気になっていた事で、ゆりの返答を黙って聞いていた。

 

「あぁ、……馬鹿ね自殺なんかじゃないわよ。 自殺した人間が抗うわけないじゃない、それにこの世界には自殺した人間はいないわ。 さぁ、行きましょ。 貴方達は私が守るわ」

 

そう言いながらゆりは先へ進むのを再開した。

 

 





はい、予定より一日遅れで投稿です。

燕「なぁ、予定だと今回で原作第二話終了じゃなかったか?」

ちょっと予定が狂いまして、次回で原作第二話を終了させたいと思います。

燕「そうか、まぁ普段の文字数だしいいけどな」

入「いや、そこはよくないと思いますけど」

燕「……入江、そんなに出番が欲しいのか」

まぁ原作第三話に入る前に燕君と入江ちゃんの閑話を入れる予定でしたしね。

入「べ、別にそんなつもりで言ったんじゃ!」

燕「もうその話は良いよ。それよりアンケートがあるんだろ?早く発表しろ」

そんなにせかさなくてもちゃんと発表しますって、それでは入江ちゃんお願いします!」

入「え!?あ、そうか。 えっと、原作第三話では岩沢さんが成仏してしまいますが、それに対して岩沢さんが成仏しないストーリーがいいか、原作通り成仏してしまうストーリーがいいかアンケートで決めたいと思います」

燕「なるほど、岩沢の運命は読者にかかってるわけか」

入「後日活動報告でアンケートを作成するのでそちらに書き込みをお願いします。それからもう一つ、月斑先輩に関するアンケートです」

燕「え、俺に関するアンケートもあるのか」

入「月斑先輩に技術チートをつけても良いか否か」

僕的にはチートは無くても構わないんですが、一応聞いてみたかったのでアンケートに付け加えてみました。

燕「技術チートってどんなのだよ」

まぁガルデモに関する事しか出てこないんで、戦闘に対しては意味のない代物ですけどね。

入「正直チートが無くてもストーリー全体に影響は殆ど無いですしね」

それ言っちゃダメww
さて、そろそろ締めますか

入「分かりました。 それでは皆さん」

『また次回もお楽しみに~』


*アンケートは8/25 22:00頃を予定しています。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。