現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版) 作:Amber bird
第42話
「レコンキスタ対策本部トリステイン支部」
このネーミングセンスは毎回どうかと思う、しかも毛筆で書いてあります。
おはようございます。今朝は何故かソフィアが隣に寝ていました、メイド服姿のままで!
思わずその双子山をパフパフしてしまった僕は巨乳教教祖としては悪くない筈。
「あん!」とか鳴かれてしまい思わずハッスルしてしまいました!
しかし厳重に鍵を掛けていた筈なのですが……
本人曰く『専属メイドですから合鍵を持ってます。起こしに来たのですがまだ時間も有り、ツアイツ様があまりに気持ち良さそうに寝ていたので起こすのも忍びなく。
隣で私も寝てしまいました……テヘ(ウィンク+舌出し付き)』だそうです。
いや別に良いけどね、休日だし久々にオッパイ成分を補給出来てスッキリ目が覚めたから。
「ソフィア、今日は来客が有るので準備をして欲しい。メンバーはワルド子爵にミス・タバサとロングビルさんに……」
「……?まだ何方かいらっしゃいますか?」
「うん、ガリア王からの使者が来るんだ。内密で」
「まぁ!それは凄いメンバーですね。分かりました、その様に致します」
さて今後の方針だが……
先ずはレコンキスタの動きをロングビルさんに調べて貰おうと思う、原作で言えば殆どのアルビオン貴族は敵側に廻った。
普通は有り得ない事態だが「アンドバリの指輪」の効果と虚無神話のなせる業……
序に利権だろう。
こじ付けだが指輪による虚無の証明と聖地奪還と言う大義名分を携え利権をチラつかせて勢力拡大を図ったと思う。
だが今回は違う……
「美乳派」と言う何とも定義の定まらない微妙な教義を広めている、これと指輪がどうリンクし勢力拡大するんだろう?
まさかブリミルは美乳派だったのだ!聖地に行けば全て解決だ!皆の者我に続け……とか?
その辺の内情と指輪の有無はシェフィールドさんに聞けばいいや。
次はイザベラさんの動きの意味と牽制……
これはミス・タバサに任せよう、あのデコ姫ちゃんがジョゼフ王の意向に逆らってまで僕らにチョッカイ出す意味が知りたい。
ワルド子爵は出来れば遍在でロングビルさんの護衛とトリステイン王国がアルビオンの異変に気付いているか対処をどうするかを調べて欲しいんだけど……
この国の貴族達じゃ重い腰を上げない気がする、つまり取り返しの付かない局面まで動かない。
そして自分の役割だが現アルビオン王及びウェールズ殿下は巨乳派、レコンキスタは美乳派。
普通なら巨乳側に協力だが、敢えてしない。
ロングビルさんにクロムウェルが取り込み予定の貴族の趣味を調べさせ貧だろうが巨だろうが構わずその趣味本を贈る。
そして少しでもレコンキスタの勢力拡大を遅らせる。
出来れば今まではゲルマニアと一部トリステインでしか流通させてない男の浪漫本をアルビオンでも流したいな……
その辺の方法を今日の議題にしよう、自慢じゃないが乳を語らせて僕と比肩する相手が居るなら連れて来いって感じだ!
美乳派など中途半端な教義は父上とも連携し潰してしまえば良い、女性達には常に現状でも大丈夫、美乳は全てのサイズでも美しく成れる!
などと言わずに是非サイズアップに励んで欲しい。
そこから巨乳の中に貧乳の中に更に形を美しく保つという部分を盛り込めば良いのだから……
オッパイで戦乱を起こそうというならその理由の根本を潰してしまえば良い、そうして建前を無くし本音は唯の利権争いをして滅べば良い。
良し!方針は決まった。
「ソフィアーお腹空いた。ゴハンまだー!」
「はい、今日はサンドイッチにしてみました」
最近、僕の部屋を執務室化された為に簡単なキッチンが備え付けられたのでこんな事も出来る。
「お早う御座います、ツアイツ様」
申し合わせたタイミングでロングビルさんが現れ三人で応接セットで朝食を食べる。
この部屋では皆同じ物を一緒に食べる様にしている、さて今日は忙しくなるぞ!
◇◇◇◇◇◇
ツアイツ殿からの梟便を読み驚いてしまった。
流石は先生、まさかガリアのジョゼフ王までが作品の完成度を高める為に自分の腹心まで寄越すとは!
その意に反し刺客を送るとは噂通りジョゼフ王とイザベラ王女の仲は良くないか連携が取れていないのだな。
タバサ殿と会うセッティングまでしてくれるとはどれだけ恩を返せば良いのやら……
しかもタバサ殿に没収された「TO HEART」の代わりにと「ワルま第二巻嬉し恥ずかし初めての同棲生活」が入っていた。
これは今すぐ読みたいのだが、今日はタバサ殿と会う為にツアイツ殿の部屋を訪ねる予定だ。
先の失敗も踏まえ所持せず部屋に隠して行こう。
※尚、ワルま2巻については挿話9にて公開予定です。
そうだ……
前回はカフェという公共の場で読んでしまい思わず騒ぎになってしまったので新たな場所を探そう。
◇◇◇◇◇◇
ツアイツ執務室監視中……
ふーん、使用人と一緒に食事するんだ。あのメイド、目をうるうるさせながらツアイツ様に紅茶を注いで貰ってるわね。
敬愛する主人にそんな事をされれば忠誠心は凄い事になるわね……
私もジョゼフ様に……妄想中……妄想中……
さっ、さて効果的なタイミングで転移しましょうか、シェフィールドはツアイツをストーキングしながら出待ちしていた。
これがヤンデレクオリティ!
ツアイツ執務室レコンキスタ対策本部……
ワルド殿も到着し少し、遅れてミス・タバサも何故か窓から訪ねてきた。
曰くこの方が目立たず楽だそうだ、その際にワルド殿と無言で見詰めあっていたのだが……ご馳走様でしたもう満腹です。
その辺のすれ違いというか誤解の部分は後で話せば良いか、皆にソファを勧め、お茶の用意をさせる。
神出鬼没なあの人の事だ、多分タイミングを計っている筈……
「シェフィールドさんそろそろお願いします」
僕が誰もいない空間に向かって叫ぶと……
「ツアイツ様もお人が悪い、知っていらしたのですか?」
頬を赤く染めて転移してきたシェフィールドさんが居ました。
「いえ……お約束ですから」
「……?」
「えーと紹介します。ガリア王ジョゼフ様から直々に手伝いというか協力してくれる様に派遣されたシェフィールドさんです」
「おほほほ、よろしくね」
「こちらはご存知だと思いますがシャルロット姫殿下、そしてトリステイン王国魔法衛士隊グリフォン隊隊長ワルド子爵、それと僕の秘書のロングビルさん、の合計5人が今回のメンバーです」
「まぁ!錚々(そうそう)たるメンバーですわね」
僕は先程考えたプランを皆に話した。
「アルビオンに潜入捜査ですね。分かりました」
「彼女の護衛と王宮の調査は了解だが……美乳派か、僕の情報網ではまだ引っ掛からなかったのだが」
「……イザベラの件は了解。直ぐに止めさせる」
三人の了承を得た所で本日の本題に入る。
「シェフィールドさんに色々聞きたいのですが……」
「ええ……良いわよ」
「先ずレコンキスタ……クロムウェルの援助ってどれ位してるのかな?」
「主に金銭面ですね。大体30万エキュー位かしら最初に用意したのは」
30万エキューか……1エキュー2万として60億円か。多数の貴族の取り込みとしては少なくないかな?
「えーと、それだけ?」
「……?何か気になる事でも有りますか?」
「その……言い難いんだけど……アンドバリの指輪とか?」
「ああ……これの存在もご存知でしたか。流石ですね」
シェフィールドさんはニッコリと左手の人差し指に嵌った指輪を見せてくれた。
「はぁ?本物?」
なんで騒乱のキーアイテムをそんな簡単に見せちゃうかなぁ……
◇◇◇◇◇◇
某金「あのツルペタ部屋に居ないわよ」
某桃「まさかツアイツの部屋に行ってるのでは?」
某赤「可能性は有るわね、しかしどうしましょう」
某金「私達が動いてるのをツアイツに知られては駄目よね」
某桃「じゃこのまま部屋で待ちましょう」
某赤&某金「「そうね、じっくりお話しなくちゃね」」
第43話
こんにちは、ツアイツです。
ちょっとショックな現実を突き付けられ逃避中です、今回の会議のメンバーを見る。
ロングビルさん……土くれのフーケ、破壊の杖を盗みルイズ達を苦しめた怪盗且つ女傑。
ワルド殿……原作ではトリステインを裏切りレコンキスタに参加してルイズやサイトを苦しめた中ボスたる人物。
シェフィールドさん……伝説の使い魔でジョゼフ王の為に暗躍し最後はジョゼフと無理心中をしたヤンデレな女傑。
どうみても原作の悪役一堂集まりましたヨロシク状態だ、しかも僕は彼らを率いてレコンキスタに挑まなくてはならない。
原作の正義側のメンバー皆無だよー!
さしずめ僕は悪の教団の教祖でラスボス?
さ・て・と・現実逃避はコレまでにして本題に戻ろう。
「シェフィールドさんその指輪本物なの?」
にっこりと微笑みを僕に向ける、この人は原作を知らなければ普通に良い女ですよね。
「この指輪の存在までご存知だったんですね。どこまでも底の知れないお方……ええ本物です」
「えーと、クロムウェルに渡すんですよね?その指輪は?」
「いえ。何故です?」
「いや……いくらレコンキスタでも資金だけじゃクーデターは無理じゃないかな?って思って」
「もう何を聞いても驚かない心算でしたが貴方は本当にビックリ箱ですね……当初は確かにその予定も有りました。
しかし私には此方に勝って貰わねばならない事情が有りますので回収してきました」
「その指輪譲って欲しいんですが……ラグドリアン湖の精霊の説得材料として必要になるので……駄目?」
「これを精霊に返すのですか?凄い力を秘めてますのよ?」
「そうですね。此方が使えば有利でしょうが相手に渡らないだけでも十分です。
それにラグドリアン湖の件ではミス・モンモランシが悲しい思いをしますので防ぎたいのです」
「無くてもレコンキスタに勝てるの?」
「ええ……このメンバーなら必ず勝ちますよ」
「なら良いわ……ハイ」
あっさりとシェフィールドさんは指輪を外し渡してくれた。
「対価に何を望みますか?」
「我が主の回春を!」
「分かりました。必ずジョゼフ王が貴女を襲うようにしてみせます」
「まぁ……」
シェフィールドさんはクネクネと妄想を開始した。
「他に何か有りますか?」
ミス・タバサがシェフィールドさんの奇行から目を逸らしすっと手を上げる。
「はい、ミス・タバサ」
「……ジョゼフ王から貴方の著書を集める様に言われている」
「著書?そこの本棚に有る奴じゃ駄目なの?」
「……男の浪漫本が一冊も無い」
「あー先日、オールドオスマンが全て没収していったんだけど……今は学院長室に有るよ」
「……そう、回収する」
「ジョゼフ王って「TO HEART」を読んだのかな?反応はどうだった?」
「……イザベラと2人で謁見した時に私達の前で熟読してた……マルチとセリオが気に入ったらしい」
「ジョゼフ王って、ソッチ系なんだ。マルチとセリオじゃ貧も巨も逝ける口か……それとも人外派かな?」
「シェフィールドさん、ジョゼフ王のトラウマと言うか例の件の原因って何なんだろう?」
シェフィールドさんが妄想の海から帰ってこない、肩を揺すって呼びかけたら漸く現世に復帰してくれた。
「こほん、それは我が主及びガリアと言う国の問題だから……皆の前では言えないわ」
「そうなんだ……それが分かれば進展するんだけど……」
「……では後で教えるわ。でも絶対に他言無用よ」
「僕は父上……と言うかハーナウ家に掛け合ってアルビオンに流通の伝があるか聞いてくる。それと直接今回の件を報告しないといけないから一度ゲルマニアに帰るよ」
「それは危険だ。イザベラを抑える迄は単独行動は控えた方が良い。それと確認だが本当にアルビオン王家には接触しないのかい?」
「うん。これはアルビオンの内戦だから……僕はレコンキスタを弱体化はさせるけど決戦はアルビオン王家にして貰う。
このチャンスにアンリエッタ姫が、婚姻と言う形でトリステイン王国を巻き込む様に唆す事はしてもこのメンバーを死地には送らないよ。
彼らには乳とは他の件で争い結果を見せて貰う」
「何と言うか、乳を争いに巻き込もうとする相手には厳しいですな」
「僕がする事は貧と巨の信者をアルビオンと言う新天地に広めるだけさ。美乳という建前を無くしたクロムウェルが、アルビオン王家に牙を向けてもそれは乳とは別問題だよね?」
「アンリエッタ姫を唆す意味は?」
「トリステイン王国って実際ヤバイじゃない、王位を継がないマリアンヌ様にアーパーアンリエッタ姫で王位は長らく空位でしょ?
そろそろちゃんとしたトップを据えないと空中分解しても可笑しくない国ですよ。
アンリエッタ姫をアルビオンに嫁がせマリアンヌ様が女王となり、アルビオンと連携してトリステインを導いていく……
後は生まれた子供が継げば問題ないと思いますよ」
「他国の貴族にまで心配されるとは、本当にどうしようもないですな」
「ワルド子爵もウチに来ちゃうし碌な貴族が残らないよ王宮には……
ヴァリエール家とド・モンモランシ家とは長い付合いになるから、少しでも改善しておかないと僕にも被害が出るからね」
全くの慈善事業じゃないよ!と締めくくった。
「だから早めに実家に帰りたいんだけど……」
「では私が同行します、なに風使いには遍在が居ますから本体が居なくても仕事は進みます。それにどちらが重要など分かり切った事」
「貧乳教の教祖サムエル殿ですか、興味が有りますので私も同行しますわ」
「えっと……過剰戦力じゃないかな?」
「貴方は自身が思っている以上に重要なお立場なのです。コレぐらい普通ですわ」
皆がうんうんと頷いている、そんなに大した者じゃないんだけど……
「では皆さんお願いします」
第1回レコンキスタ対策委員会はお開きとなった。
さて……
「ワルド殿、ミス・タバサと共にオールドオスマンの所に行って下さい。女性一人では持ち切れぬ量ですよ」
「なっ……ツアイツ殿」
「ミス・タバサもそれで良いよね?」
「……行こう。時間が無い」
先に部屋を出て行くミス・タバサを慌てて追いかけるワルド殿、一瞬振り向いてこちらを見た時に親指を突き出して見せた。
「頑張れ隊長!」
◇◇◇◇◇◇
「タバサ殿……先日の本は……」
「……良い。効果は有ったから」
「効果?それはどんな?」
「……イザベラと和解出来た」
エロ本で和解できたイザベラ様とは?
「……?それは良かったですね」
「……イザベラが言ってた。ヤリ逃げは駄目、責任取らせろって」
「誰ですか?タバサ殿をヤリ逃げした相手とは?」
「……ん」
可愛くワルドに向かって指を指す!
「……僕が?」
「……ん。しっかり捕まえていて責任取らせろって」
ワルドは直立したまま90度後ろに倒れた。
彼の頭の中にはウェデングドレスを纏ったタバサが「責任とってね?」と可愛く話しかける姿を捏造しリフレインしていた。
「……サムエル殿、立会人をお願いします。ツアイツ殿、是非ドレスのデザインを……グリフォン隊の皆、式には出てくr……」
鼻血を噴出し痙攣するワルドを見て軽くパニックになり慌ててツアイツの部屋に駆け込んで来たのはまた別のお話。
そして余りの奇態に竜騎士達の事を思い出し少しワルド殿の事が苦手になってしまったタバサであった。
ワルド殿……ドンマイ!
◇◇◇◇◇◇
赤&桃&金「「「お待ちしてましたわ。ミス・タバサ」」」
「……なっ何か用?」
某赤「そうね……私達、ツアイツより貴女とお友達になる様に頼まれたの」
「……そっそう」
某桃「だからね、お互い秘密は良くないと思うの……ミス・タバサもそう思いません?」
「……わっ私は」
某金「私達、ガリアがツアイツに何をしようとしてるのか知りたいの?貴女……知ってるでしょ?」
「……それは言えない」
某赤「女の子はね、好きな男の為なら夜叉にもなれるの。やっておしまい!」
某桃&金「「アラホラサッサー」」
三人娘にベッドに押し倒されクスグリ攻撃を受けるタバサ……
「くっ……いやぁ……あっそこは……」
某桃「ふふっ可愛いわね、ここが良いのね?」
「きゃははははは……お願い……もぅ」
某金「んー?聞こえないわよ?」
「話す……話すから……許してぇ…あははは」
某赤「ふっ体は正直ね。良いわ、止めてあげて……さぁ全てを話すのよ?」
父親を殺され母親が壊され笑う事を忘れた少女は手段はアレだが再び笑顔を取り戻した。
服を乱して体を抱えて笑い転げる姿は年相応の可愛らしさが溢れている、彼女はこれから自分でも驚く位に友達?と話し合う事になる。
端からみれば尋問とも言えるかもしれないが、しかし終生の友達を得た瞬間でも有った!
第44話
学院に入学してまだ2ヶ月余りだが久々の里帰りに心が弾みます、何といってもロングビルさん抜きでテファニアに会う事が出来る!
しかも立場的には僕の婚約者だ、つまり夫婦になるんですよねー!
さて僕は今レンタルグリフォンに乗っています。勿論颯爽と操るのは……シェフィールドさんです。
僕は彼女の腰にしがみ付いて目を瞑って妄想してる最中です、いや30m以上の高度だと駄目なんですトラウマ的な何かで。
たまに恐怖で彼女のE89の巨乳を握ってしまうのですがシェフィールドさんは大人の女の余裕か笑って許してくれました……
でもヤンデレを甘く見ていない僕は本気で謝りましたよ。
幸いにして僕は彼女の中では仲間度の優先順位がかなり高いらしく原作のような怖い事はされていません。
そして盗聴の心配の無い空中という事で例のジョゼフ王のトラウマの秘密を聞きましたが……
長年のコンプレックスの相手であったシャルル殿下がまさか女装趣味でバイセクシャルの近親相姦希望者だと聞かされ呆然としてしまった……
うぁ……これは酷い。
原作では王位を巡って裏で色々と動いていた人物だった、だがこの世界では僕とは方向の違う突き抜けた変態だったとは。これは難しい。
近親相姦・両刀使い・女装……このキーワードでEDになった相手をハッスルさせる方法か……
本当は直接会って色々と相談した方が効率的なのだがジョゼフ王は試練を越えないと会わないって事なんだな。
それと視界の隅にドンヨリとして落ち込むワルド殿が見える。
折角ミス・タバサと2人きりにしたのだが、何が有ったか興奮しすぎて相手にドン引きされてしまったらしい。
彼女はどうも成人男性の奇態にトラウマが有りそうな感じだ……
まさか父親の奇態を薄々感じていた?と思ったが怯えながら竜騎士団がブツブツと言っていた?彼女もトラウマ持ちなのか……
※原因は貴方と男の浪漫本です。
前方に我がハーナウ領が見えてきた、僅か2ヶ月だが懐かしい気持ちで一杯になってきた……
ホームシック?まさかこの年で?
「シェフィールドさん、あれが我が屋敷です。中庭に着陸して下さい」
「ワルド殿ー着きましたよー着陸しますよー」
フラフラとしながらも着陸態勢にはいるワルド殿……貴方は僕の護衛ですよね?
中庭には父上と母上がそれと少し後ろにティファニアが出迎えてくれました。
相変わらず見事な胸が母上の教育でより磨きが掛かって偉い事になっています。
「ただ今戻りました。父上、母上。そしてティファニア久し振りだね」
「ツアイツ、元気そうだな。ワルド殿経由で色々と聞いているがまた大変な事に巻き込まれたものだ」
「ツアイツ、テファさんを放ったらかしでしょうがない子ね。ちゃんと構ってあげるのよ……それと後ろの方は?」
「紹介します。彼女はシェフィールドさんでガリアのジョゼフ王の寵妃です」
「まぁ!」
「お前そんな人に手綱を取らせてたのか?」
「お気になさらず、我が主からもツアイツ様に仕えよと言われてますので」
「「……?」」
「まぁ立ち話もなんですから中に入って下さい。あら?ワルド様の様子が……」
「ちょっと意中の姫に距離を置かれまして……父上お願いします。再度教義を叩き込んで下さい」
「ほぅ?そのような相手が居たとは聞いてないぞ。よし分かった!暫らく待っておれ」
父上はワルド殿の首根っこを掴みズルズルと「サムエル愛の資料館」に連行していった。もう大丈夫だろう。
「ティファニアも元気だったかい?」
「はい。旦那様……それと私の事はテファって呼んで下さい。その……貴方のお嫁さんになるんですし、キャ!」
破壊力の有る台詞を最終兵器並みの胸の揺れと共に言ってくれました!
「ありがとう、テファ!では、母上中に入りましょう」
「ツアイツ……お父様とワルド様は良いのですか?」
「平気!2時間も有れば再教育出来るし……シェフィールドさんもどうぞ此方へ」
珍しくビックリしているシェフィールドさんを眺めつつ応接間に案内する。
「ツアイツ様は何時もあの様な感じでご家族と接していられるのですか?」
「ジョゼフ王も調べたって言ってたけど親子で貧と巨で争っているけど、元をただせば同じ乳の派生教義だから仲は良いですよ」
「住み分け……でしたっけ?それでも何と言うか……その」
「さぁさぁ入って入って……母上、オヤツ有りますかね?お腹空きました」
「まぁこの子は食いしん坊ね。テファさんが焼いたケーキが有りますよ」
息子と女性陣は和気あいあいとお茶をしに応接室に向かった。
応接室にて
テファ謹製のケーキは母上の指導か元々の才能か中々美味しかった。
「美味しかったよ、テファは料理が上手なんだね」
「「大分練習しました(させました)から……」」
「そうですか、今度また何か食べさせて下さい」
「テファさん、また特訓よ!」
「はい。お母様」
2人から変なオーラを感じます。しかし幼い感じで華奢な母上とおっぱいドーンなテファが並ぶと対極姉妹みたいだ。
「話は変わりますが母上。どうやらテファを諦め切れないアルビオン貴族が居るのです。防諜と警備を強化したいのですが父上に助言して欲しいのです」
「まぁそんな方が居るのですか、分かりました。それと心配なら早くテファさんをお嫁に貰ってあげなさい」
はっ!とテファと目が合いお互い真っ赤になって俯いてしまった。
「あらあら……ツアイツ様の本命は彼女なのですね?確かに……ご立派ですね」
テファのとある部分を凝視し自身の胸に目を落とし溜息を付きながらそう話すシェフィールドさんは……ヤバイ、ヤンデレの目だ!
「ツアイツ様、我が主ももっと大きい方が良いのでしょうか?その手の育成資料も有るのですよね?そうですよね?」
凄い勢いで掴みかかってきた……
「落ち着いてください。ジョゼフ王が巨乳好きと決まった訳では有りませんから早まらないで下さい。だから……」
掴み掛っている手を叩きながら……
「……その手を離して下さい」
「あら?すみません」
やはり彼女は恐ろしい。首に両手の跡がクッキリと……
「旦那様、大丈夫ですか?いま治療を……」
彼女が水のルビーを使い治療を始めようとしたので「大丈夫。それは大切な物だから無闇に使っては駄目だよ」と、彼女の手を握ってやんわりと拒否する。
「大丈夫、僕だって水のトライアングルなんだよ。直ぐに治せるさ」
「メイドさんの持ってきた秘薬を使い首の痣を治す」
あの水の指輪……カトレア様かオルレアン公夫人を治せないかな?
そうだ!
ワルド殿に遍在でコピーして貰いテファに治療して貰えば上手く行くかも……
興味深そうに見ていたシェフィールドさんが「その指輪見せて貰えませんか?」と聞いてきた。
そうだよ!マジックアイテムの利用なら本家本元「神の頭脳・ミョズニトニルン」が居るじゃないか!
「テファ、彼女にその指輪を見せてあげてくれるかな?」
テファから指輪を受け取った彼女は目を瞑り指輪の機能をサーチしているみたいだ……
「どう?その指輪の効力ならオルレアン公夫人の精神異常が直るかな?」
「可能ね、私なら秘薬の誤作用を正し不要な部分の記憶を消せるわ」
「ヴァリエール公爵の次女の不治の病も治せるかな?」
「どんな病か知らないけど……これなら先天的に欠陥が有っても再生して治療は可能だから殆どの難病でも完治可能ね。
でもどちらも強い力を必要とするから1回が限度よ」
「遍在でコピーしたらどうかな?」
「そうね、それなら可能かもしれないわ」
「あの……記憶を消す魔法なら私も使えますけど?」
テファが何故か申し訳無さそうに言ってきた。そうか!でも細かい記憶操作や修正は出来るのかな?
記憶操作?アンドバリの指輪の力を合わせれば?同時制御出来れば?
不要な記憶を消して新しい記憶に置き換えれば完全に直るな……
「シェフィールドさん!これとアンドバリの指輪でジョゼフ王のトラウマを消せるかな?」
「我が主の?」
「そう。トラウマの部分をシェフィールドさんの都合の良い記憶に置き換えるとか、例えば早く王妃にすると約束したのに何だかんだとはぐらかす……とか?」
「あら?私は主に忠誠を誓っている使い魔なのですよ?」
「そしてジョゼフ王は僕にED治療を託した。その僕がこの方法が一番良いと言ったら?」
「この指輪単体でなくアンドバリの指輪も使えば或いは……いえ私が制御すれば成功率は高いわ」
「……もう待てません。クロムウェルは私が直ぐに暗殺しますから主の記憶を正しに向かいましょう」
「待ってください、ジョゼフ王の試練は正当にクリアしましょう。それからでないと彼も僕に会ってくれないでしょうし」
「私はもう待てません!」
「我慢です、そして最高の記憶操作のストーリーを練りましょう。ヒーローはジョゼフ王でヒロインは貴女で……」
「ふふふ……思った通り貴方は素晴らしいわ、私の最高の協力者ね」
「その分先程の2人の治療を頼みます」
「ふっふっふ……あーっはっはっは!私に任せてぇー!」
実の母親と婚約者の目の前で最大勢力のガリア王をどうにかする相談をしている2人に対し、アデーレもテファも我関せずとツアイツとの結婚式の話を進めていた。
天然さんを二乗すると大抵の事は気にならないらしい。
……補足……
今回の治療法について。
結構前からこのアイデアは考えてました、原作の登場人物とアイテムだけで可能かと?
ツアイツは医療などの専門知識も無いので独自な治療法は無理、ならば他人任せにするしかない。
そこで指輪の持ち主2人を攻略した結果と思って下さい。
テファルートからこのアイデアは考えつき結ばれずに本編まで引っ張ったのもこの為です。
シェフィールドをヤンデレ化したのも目的達成の協力者として認めさせる為。
結構長い話数を使って持ってきたんですが、強引でしたかね……