ぶらっく・ぶれっとif -転生した少年とIQ210の少女- 作:篠崎峡
これで更新頻度は上がるはず(震え声
元に戻れない? どういうことだ、お前――
「任せましたから。信じています」
「おう任せろ! ってそうじゃねえ待て待――」
響太郎が最後まで言い切る前に、夏世の目が赤く光り、そして彼女は次の瞬間消えた。
正しくは、消えたように見えた、だが。
「……消えろ」
響太郎は、その無造作な殺意に満ちた声が夏世のものだと、すぐに気づくことができなかった。
それは余りに低く、そして余りに冷たかったから。
「な……ッ!?」
動揺を含んだ天満の声が、耳に飛び込む。視線をやると、天満の懐に見慣れた姿を確認した。何が起きているのか響太郎には皆目わからなかったが、唯一わかったこと――それは夏世の目が赤くなっており、表情から感情が抜け落ちている、ということだけだった。
夏世の拳や蹴りが、斥力フィールドに叩きつけられる。
「やはり厳しいですか」
「邪魔だァッ」
当惑する響太郎をよそに、天満が再度『クリスタル・ナハト』を夏世に向かって叩きつける。身体を左へ捻り、それを回避する夏世は、まるで予測していたかのような動きだ。直後、夏世の目つきが更に暴力的なものに変化し、腹に掌底を打つ。その動きはあまりに素早く、響太郎には夏世が何をしたのか、天満が驚愕に目を見開きながら後ろへ吹き飛ぶ瞬間を見てもなお、わからなかった。
「……不可視の盾とは言え、展開していなければ、勝てる」
一語一語に重みを付与して夏世が喋る。彼女の表情に、薄気味悪い微笑が張り付く。暴力を愉しんでいるかのような、そんな笑みだった。響太郎は一抹の不安を覚えたが、それは現実の危機によって掻き消される。
「パパー? あいつ何? もう斬っちゃいたい!」
「……ふむ、そうだな。どうにも興が削がれる動きだ。小比奈、斬ってきなさい」
「やったー!」
「――ッ」
焦燥感に駆られ、声が漏れる。夏世の元へ行こうかとも思ったが、自身が丸腰であったことに気が付く。
あぁクソッ、俺は、俺は何も出来ねぇのかよ! アイツに、夏世一人だけに戦わせて――
「じゃあ、ねッ!」
「五月蝿い」
小比奈と呼ばれたイニシエーターが、瞬時に夏世へ詰め寄る。嬉々とした感情を含み二刀で斬りかかる小比奈に、夏世は一言だけ返した。
緊張が最大にまで達し、二つの剣戟音により開放される。
「斬れなかった?」
「……」
疑問符を浮かべる小比奈と、冷たく睨みつける無言の夏世。気づけば夏世の手には、大きなサムホールとダガーに似た形状が特徴の
相変わらず自身の動体視力を超えたままの事態に響太郎は唖然とするが、当然のように攻撃を防いだ夏世へ向ける感情が、揺らぎを見せる。
あいつ、あんな凍った目をする奴だったか?
「――おっと、時間のようだ。小比奈、行くよ」
「えー? こいつムカつくから斬りたい!」
「もう時間が無いからね。今日のところはここでお終いだ」
「うー。つまんないー」
小比奈が斬撃を繰り出し、夏世があしらう。小比奈の動きは捉えきれないが、それでも素人の響太郎にすら彼女の動きは確実に殺しに来ている者の動きだとわかった。そんな攻撃を行いながら呑気に話しているのだから、尚の事底がしれない。
しかし、ここで二人が退場することは、響太郎たちにとって都合の良い状態だった。響太郎は視線を夏世、その奥でよろよろと立ち上がる天満に向けつつ、耳はマスケラ男の方へ集中させる。
「さて、後は天満君に任せるがいいかね?」
「……ッ、当然だッ」
「では、私達はこれにて」
頭を抑えつつ立ち上がる天満の語気から漏れ出る、苛立ち。いつの間にか小比奈はマスケラ男の元へ戻っており、響太郎が天満の方へ意識を向けている間に二人ともどこかへ行ってしまった。今になって響太郎は、「取り逃がした」と言う気持ちよりも「助かった」と言う気持ちの方が大きいことを自覚する。
「夏世っ! 大丈夫か!?」
「ダメージは軽微」
「――ゴチャゴチャと五月蝿え……ぶち壊せ『クリスタル・ナハト』」
響太郎が夏世の返答に疑問を覚えるより時を早くして、天満が不可視の杭を多数、夏世へと撃ち込む。だが、撃ち込まれた先にあったのはただのコンクリートだった。右に旋回して回避、夏世はナイフを逆手に持ったまま右ストレートを叩き込むが、斥力フィールドに防がれる。力比べを瞬時に終えた彼女が蹴りを放つ。天満は斥力フィールドによって防いでこそいるものの、その表情からは余裕が失せかけていた。
「野蛮なガキめ……ッ。興が削がれるんだよ!」
夏世の膝蹴りを斥力フィールドで防ぎ、天満がバックステップ。拳銃を上着の中に戻し、そのまま右腕を引き絞る。
「ちょこまかと鬱陶しい! 『デビルズ・ジャッジメント』ッ!」
言い終えるや否や、天満の姿が霞み、夏世の目前へと迫る。咄嗟に回避行動に出ようとする夏世だが、間に合わない。これまでのあらゆる動きより速い、それこそイニシエーターと同速の――それほどまでに彼の拳は速く、響太郎の目では追えなかった――渾身のストレートが放たれる。苛立ちを全て前面に押し出すような、そんな印象だった。
「――ガ、ハッ」
「チッ、殺る気が失せたよ。――響太郎クン、いずれまた会おう」
衝撃で吹き飛ばされる夏世を尻目に、天満は歩き出す。響太郎に背を向ける彼は、一見無防備にこそ見える。しかし自分の今の力量では不意打ちをしたところで到底及ばないことは、響太郎自身が最もよく理解していた。
悔しさを堪えつつも、夏世に意識を切り替える。
「お前、何無茶してやがんだ!」
「ぁ……響、太郎……」
肩にストレートをモロに受けた夏世の目からは赤色の輝きが失せ、朦朧としていた。介抱する響太郎をよそに、夏世は安心したように漏らす。
「良かった、まだ、私が私でいられた……」
せっかく二次創作書いてるんだからさぁ・・・キャラ萌え書きたくない? 書きたいよね? ウン! って事で次回は恐らくキャラ萌え!
え、常にロリが可愛いだけ? 平常運転です(迫真
てか今回アレじゃん。ゴ○さんじゃん(震え声