ブラック・ブレット 転生者の花道   作:キラン

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お待たせしました。今回で一応は原作二巻は終了です。この後は間に数話挟んで三巻、四巻という感じです。では、本編をお楽しみください


第十六話 決着 世界を越えた日本一のヒーロー!?

「くっ!?次々とキリが無い!!」

 

 ブドウ龍砲で戦闘員を蹴散らす中、俺が叫ぶ。無数の戦闘員がまるで蟻の大群のように迫ってくる。一人一人は大したことはなく、数で押されても問題は無い。だが、そこに怪人が加われば話は別だ。

 

「蓮太郎!!」

 

 後ろの延珠が叫び、ある物を投げる。慌てて受け取ればそれはロックシードだ。

 

「お前、なんでコレを?」

 

「前にコウタにねだったら貰ったのだ」

 

 ドヤ顔で胸を張る事じゃないだろ。そう心の中で突っ込みをしつつ、錠前を掲げる。

 

【キウイ!!】

 

「サンキュ、延珠!!」

 

「もっと、感謝しても良いのだぞ?」

 

【ロック・オン!!】

 

 また後でな。

 

【ハイ~!!キウイアームズ!!撃・輪!!セイヤッハッ!!】

 

 ブドウとは違い、銃ではなく巨大な丸い刃。恐らくは【チャクラム】を両手に持つ。

 

「おら!!」

 

 気合いと共に投げればチャクラム、キウイ撃輪はエネルギーを纏って十数人の戦闘員を纏めて薙ぎ払う。

 

「これならやれる!!」

 

 戻ってきたキウイ撃輪を手に取り、回転しながら周囲の敵を攻撃、突撃する。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

【ソイヤッ!!スイカアームズ!!大玉・ビックバン!!】

 

 巨大なスイカの中に入り、まるで特撮のロボットを操作する様な感覚で腕を振るえば右手に装備した薙刀【スイカ双刃刀】を振るって戦闘員を薙ぎ倒し、その先に居るキノコの怪人へと突撃する。

 

「おのれ!!猪口才な!!」

 

 だが、対する怪人は素早く動き、こちらを撹乱するように移動する。そして背後に回った怪人が体当たりするも衝撃が全く来ない。

 

「な、なにぃ!?」

 

【ソイヤッ!!スイカスカッシュ!!】

 

「お前だけに構ってられないのでな!!」

 

 エネルギーを纏った薙刀で怪人を切り裂き、爆発させる。しかし、強力なのはいいが、取り回しが難しいな。

 

【レモン!!】

 

 巨大な鎧が消え、代わりに頭上にはレモンが現れる。

 

【ロック・オン!!】

 

「貰った!!」

 

 変身途中を好機と見たムササビの怪人が襲いかかる。

 

【カモンッ!!バナナスカッシュ!!】

 

「ハァッ!!」

 

 その怪人の頭上から奇襲した戒斗の一撃により、倒される。

 

【ソイヤッ!!レモンアームズ!!It’s Fighting Time!!】

 

「戒斗か、助かった」

 

「礼は後で纏めて貰います」

 

「ふ、そうだな」

 

 中世の騎士風の鎧を着た私はレイピアを構えながら、新たに取りだしたロックシードを戒斗に渡す。

 

「これは?」

 

「先日、凌馬経由で受け取った物だ」

 

【チェリー!!】

 

「ふん、渡すのなら直接渡せばいいものを」

 

【ロック・オン!!】

 

「仕方ないさ。彼には新しいロックシードを優先的に凌馬に渡す仕事がある」

 

【カモンッ!!チェリーアームズ!!The Immortal Hero!!】

 

 北欧のバイキングを模した様な鎧を纏った戒斗は専用武器である二本一対のモーニングスターを振りまわす。

 

「さぁ、片付けるぞ!!」

 

「了解だ!!」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「プロフェッサー!!此処は危険ですので、離れましょう」

 

「夏世君、もう少し待ってくれないか?今いい所なんだ。何故かって?此処まで複雑な乱戦は極めて稀だ。貴重なサンプルデータが取れるじゃないか」

 

 その言葉と共にプロフェッサーの頭上からムカデの怪人が襲いかかってくる。

 

「オラァッ!!」

 

【クルミアームズ!!Mister!!Knuckle Man!!】

 

 寸での所で変身した将監さんの一撃が怪人を吹き飛ばす。

 

「ブッ飛べ!!」

 

【クルミオーレ!!】

 

 両手の篭手に茶色のエネルギー溜まった瞬間、襲いかかる怪人にカウンターの拳を叩きこめば怪人が断末魔の悲鳴と共に爆発する。

 

「夏世!!援護しろ!!この変態はアッチの奴等が終わらない限り動かねえぞ?」

 

「……そうですね」

 

 認めたくないけど、その通りだ。私は先日、プロフェッサーから受け取った量産型戦極ドライバーを【二つ】取り出す。

 

「延珠さん!!」

 

「ん?おぉ!?」

 

 驚きつつも、受け取った延珠さんに更にロックシードを投げる。

 

「使い方は?」

 

「蓮太郎が家で変身ポーズの練習をしていたから覚えているぞ!!」

 

 何をしているんですかあの人は。軽く頭痛がするが、無視して自身のロックシードを掲げる。

 

【ピーチ!!】

 

【マスカット!!】

 

 私の頭上にピーチが、延珠さんの頭上にマスカットが現れる。

 

【ロック・オン!!】

 

 私達のベルトからエレキギターの音が響く。

 

「「変身!!」」

 

【ピーチアームズ!!推参・戦姫!!】

 

【マスカットアームズ!!見参・猛虎!!】

 

 お互いに中華風の鎧を装備し、私は弓を、延珠さんは虎の顔を模した篭手と脚甲を装備している。

 

「ええい、次から次へと!!この世界は仮面ライダーのバーゲンセールでもやっているのか!?」

 

 そんな意味不明の言葉を叫びながら蟻地獄とモグラの怪人が襲いかかる。

 

「オラオラ、どうした!!」

 

 背後ではクラゲ、三葉虫、アリクイの怪人三体を相手に立ち回る将監さんがいる。同じ量産型、それも私達よりランクが低いロックシードなのに凄い。

 

(というか、さっきからプロフェッサーの視線が……研究の為なのは分かりますけど訴えたら勝てるレベルですね)

 

 そんな事を考えながら私は後退し、攻撃を避ける。

 

「ハァッ!!」

 

 空いた間合いに滑り込むように入った延珠さんが虎のエネルギーを纏った蹴りで怪人を浮かせる。その時には既に私もエネルギーの矢を番えて、同じくエネルギーの弦を引き絞っている。

 

「行け……!!」

 

 告げると同時に矢が放たれ、怪人の胸で爆発する。そして爆風から跳び出した延珠さんがもう一方の怪人へと跳びかかる。

 

【マスカットスカッシュ!!】

 

「ダァッ!!」

 

 エネルギーが虎の顔となって延珠さんを包み、怪人へと突撃して爆発する。

 

【ピーチスカッシュ!!】

 

 右手の手甲から溢れ出たエネルギーは先程の倍以上の大きさの矢を作り出す。ソレを私は同じように巨大化した弓を地面に突き刺して矢を番え、弦を思いっきり引っ張る。

 

「これで……終わり!!」

 

 弦を離せば思わず転んでしまいそうだったが何とか踏ん張る。そして放たれた弓は怪人を貫き、背後の戦闘員を巻き込んで爆発する。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「オラッ!!」

 

「グあ!?」

 

 ソニックアローと大橙丸の連続攻撃に保脇が倒れる。

 

「くぅ……何なンだ!!そノ姿ハ!?」

 

「見て分からないか?ヒーロー物でよくある強化フォームだよ」

 

「ふザけるナぁ!!!」

 

 叫び、襲いかかるがその一撃をソニックアローで受け、大橙丸で反撃して、距離を離す。

 

「そろそろ終わりにしようぜ。これ以上は時間の無駄だからな」

 

【ロック・オン!!】

 

「殺しテやル……!!」

 

 レモンエナジーをソニックアローにセットしてカッティングブレートを倒す。

 

【ソイヤッ!!フレッシュ!!オレンジスカッシュ!!】

 

 大橙丸を放り投げ、弦を引く。俺と保脇の間にレモンとオレンジの輪切りが交互に浮かぶ。

 

「死ネ!!葛葉コウタァァッ!!!!」

 

「俺が死ぬと泣く人がいるからな。死ねないよ」

 

【レモンエナジー!!】

 

 放たれた矢はレモンとオレンジを通過し、もう一方の矢を砕いて保脇にぶつかり、爆発。

 

「ぐぅあぁ!?」

 

 爆発によって吹き飛び、その衝撃で奴のベルトとロックシードが砕け散った。

 

「がぁっ!?」

 

「た、隊長!?」

 

 倒れた保脇に今まで遠巻きで眺めていた奴の部下が悲鳴を上げる。

 

「まぁ、保った方かな」

 

 そういって、ビデオカメラ片手にやってきたのは戦極さんだ。

 

「やっぱり、何か仕込んでたんですね」

 

「仕込んだのはデータを収集する為の発信機だ。尤も、先程までで充分にデータは取れたからもう不要だよ。アレは試作品だからね。なら、それに使う素材も既存の物とは違うのは君も分かるだろう?」

 

「……わざと脆く作ったのか?」

 

「さぁ?それはどうだろうね」

 

 こちらの反応を楽しむ様な言葉に思わずため息を吐き、同時に身体から力が抜ける。

 

「コウタさん!?」

 

「だ、大丈夫だ。少し目眩がしただけだから」

 

 駆け寄る聖天子に声を掛ければ戦極さんが聖天子の腕を掴む。

 

「聖天子様、まだ終わってませんよ?」

 

「え?」

 

「ほら、本命がまだそこに居ますし」

 

「ふふふ、面白い物だな」

 

 ゾクリと背中に氷塊を当てられた様な悪寒が奔る。

 

「ハァッ!!」

 

【レモンエナジー!!】

 

 反射的に振り向くと同時に矢を放つ。だが、その矢はソイツに当たる瞬間に弾かれて、道路を破壊する。

 

「破壊力も申し分ないようだ。成る程、興味深い」

 

 そこに居たのは白いスーツに黒いマントを羽織った老人。

 

「お前は……死神博士」

 

「如何にも。こうやって直に話すのは二度目だな。とはいえ、今日の私は別の仕事があるのだよ」

 

 そういって、視線を向けるのは呻く保脇とその部下たち。そして完全に壊れたゲネシスドライバーとレモンエナジーロックシードだ。

 

「ふむ、君達の発明には興味があったのだが……使い手が悪かったようだな。正直、拍子抜けだ」

 

 そういって、指を鳴らせば戦闘員達が保脇の部下たちを拘束して無理矢理立たせる。

 

「な、何をする!?」

 

「何を?可笑しなことを聞くのだな。最初に言った筈だ」

 

 そういって、死神博士は部下に告げる。その眼はまるで奈落の底のように暗い。

 

「我等【大ショッカー】に失敗は許されない。本来ならば貴様等は此処で処分するのだが、今は少しでも素材が欲しいのでな」

 

「へぇ、随分と優しいんだな。何か良い事でもあったのか?」

 

 そう告げれば死神博士は口端を持ち上げる。

 

「まぁ、それなりにね。楽しみかね?」

 

「まぁ、少しはな。だが、何が来ようとブッ倒してやるさ」

 

 身体に渇を入れ、ソニックアローを杖代わりに立ち上がる。

 

「ふふふ、仮面ライダーはこうでなくてはな。ならば、最初は彼の相手をしてもらおうか」

 

 そういって、取り出したのは小型のリモコンだ。そのボタンをゆっくりと押し込む。

 

「う……!?ぐゥあア亜ぁ亞ァッ!!!!!!!!」

 

 今まで倒れ伏していた保脇が物理法則を無視したかのように立ち上がり【変形】し始める。

 

「聖天子!!」

 

 慌てて、聖天子を背中に隠す。コレを見せる訳にはいかない。

 

「成る程、既に改造済みか。まぁ、当然だね」

 

「その通り。仲間にするのはいいが、裏切られた場合は面倒なのでな。彼だけは寝ている間に改造しておいた。まぁ、突貫作業故に雑な仕事なのは許してくれ。私も歳には勝てないのだ」

 

 苦笑と共に告げられた言葉は【変形】を繰り返す保脇の潰れる肉の、砕ける骨の音がBGMとなって俺達に届く。

 

「プロフェッサー、聖天子を連れて下がってくれ」

 

「分かった。いいデータを頼むよ」

 

 その言葉と共に戦極さんと聖天子が下がる。そして【変形】を終えた保脇だったモノが立ち上がる。

 

「……蟹とは、随分と可哀想な姿になったな」

 

 三メートル近い巨躯。分厚く、ゴツイ装甲。そして両手には身体よりも巨大な鋏が地面に突き刺さっている。強いて例えるなら【ボルキャンサー】と【カニロイド】を合体させたような感じだ。

 

「さて、試作の性能を確かめるとしようか」

 

 言葉と共にコンクリートが鞭によって砕かれ、ソレが合図となって保脇が雄叫びを上げながら突進してくる。

 

「っと、危ない、な!!」

 

 振るわれた一撃を避け、脇腹に至近距離で矢を放つ。脇腹に当たった矢は爆発し、ダメージを与えるモノの、奴の装甲を削るだけに留まる。

 

「これは……面倒だな」

 

 ジンバー形態でも削る事しか出来ないその装甲に内心で舌打ちする。

 

「とはいえ、やらなくちゃ駄目だよな!!」

 

 叫びと共に振るわれた一撃を跳んで避け、奴の目に向けて矢を放つ。

 

「ほほう?やるな、確かに頭部は他の場所と違って装甲が薄い。だがな」

 

 瞬間、腹部に衝撃が来た。

 

「がっ!?」

 

「弱点をわざと晒しておくほど、私も愚かではないさ」

 

 だったら、ヒトデンジャーの弱点直してやれよ。そう言いたいが、余りの衝撃に身動きが取れない。

 

「それと、目に攻撃された場合、奴は私の制御下から外れ、独自に動きだす。気を付けたまえ」

 

「それを……早く言え!!」

 

 叫び、矢を放って俺に標的を絞らせる。振り向いた奴の腹の中心に連続で矢を放つ。

 

「ったく、やりにくいな」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「ふむふむ、成る程ね~。ほほう?これは面白い」

 

「あ、あのプロフェッサー?コウタさんの援護はしなくていいんでしょうか?」

 

「え?いやいや、冷静に状況見ましょうよ。私は非戦闘要員。且つ貴女はこの場では一番に狙われてもおかしくない立場のお方だ。加えて、後方の彼等もまだ怪人達を一掃できていない。この状況では彼に頑張ってもらうしか方法はありませんよ」

 

「けれど……」

 

 そう呟き、視線を戻す。そこには怪人となった保脇の攻撃を紙一重で避けながらも攻撃を加えるコウタさんがいる。

 

「しかし、彼は何故、あれほどの連続攻撃を……?あぁ!!成る程。そういう事か。ふふ、やはり彼は面白いね」

 

「あの、一体何の話をしているのですか?」

 

 何か一人で盛り上がっているプロフェッサーに問いを投げる。

 

「おや?気付いていないのですか?まぁ、直ぐに分かりますよ」

 

 ニヤリ、と笑うプロフェッサーに思わずイラッと来ましたが、我慢です。

 

「しかし、そうなると決め手に欠けるね。どうするのだろうか」

 

 そんな事を呟きながら嬉々としてビデオカメラで戦っているコウタさんを撮っている。その横では良く分からない機械が音を鳴らしていたりする。

 

(あれ?録画……?)

 

 ふと、嫌な予感が頭を過る。

 

「あの……プロフェッサー?先程の私と保脇さんとの会話は……勿論、撮ってませんよね?」

 

 そう聞くと、プロフェッサーはキョトン、と不思議そうな顔をする。

 

「何を言っているんですか、聖天子様」

 

「そ、そうですよね!!撮ってませんよね!!」

 

 そう言うと、プロフェッサーは笑顔でサムズアップする。あぁ、良かった。プロフェッサーもちゃんと常識あるようだ。

 

「勿論、録画しているに決まってるじゃないですか。見たいのなら、高画質で見れますよ♪」

 

 今度こそ、私はプロフェッサーを張り倒した。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「なんか、後ろが賑やかだな」

 

 後ろを盗み見れば、聖天子がいやに腰の入ったビンタを戦極さんにお見舞いしている。だがしかし、戦極さんは満更でもなさそうである。

 

(まぁ、ある意味ご褒美でもある……のか?)

 

 美少女というカテゴリより上位に位置する聖天子の一撃だ。痛いには痛いが、それでも一部の人間にはご褒美以外の何物でもないだろう。

 

「おっと、今のは危なかったな」

 

 そう告げるも相手は奇声を上げながら襲いかかる。あぁ、何と言うか、コイツはもうヒトじゃないんだな。

 

「仕込みは済んだし、とっとと、終わらせて楽にしてやるよ」

 

【ソイヤッ!!フレッシュ!!オレンジスカッシュ!!】

 

 充分に距離を取った後、弦を引く。相手は爪でコンクリートを抉りながら進んでくる。

 

「行け!!」

 

 言葉と共に矢を放つ。放たれた矢は寸分違わず、先程から続けざまに攻撃し、焦げた腹部にぶつかり、爆発する。

 

「戒斗!!」

 

「分かっている!!」

 

【カモンッ!!バナナスパーキング!!】

 

 俺の言葉にすぐ横で返事した戒斗がバナスピアーにエネルギーを蓄えながら突っ込む。その先には矢が当たった腹部に罅が入った奴の姿がある。

 

「今まで殺した子供たちの痛みを思い知れ!!」

 

 叫び、繰り出した一撃は罅を貫き、奴の腹部に深々と突き刺さる。同時に奴の背中から巨大なバナナが突き抜ける。

 

「葛葉!!」

 

【ロック・オン!!】

 

「了解!!」

 

【ソイヤッ!!フレッシュ!!オレンジオーレ!!】

 

「くたばれ!!」

 

 叫びと同時に矢を放つ。レモンとオレンジの輪切りを通過する度に加速する矢は奴の腹部、空いた穴にぶつかり、爆発。保脇を完全に倒す。

 

「ふぅ、助かったぜ、戒斗。まさか、本当に来てくれるとはな」

 

「ふん、俺を誰だと思っている」

 

 素でこういう台詞が出るのは一種の才能だと思う。

 

「大丈夫か?って、なんだ、その姿!?」

 

「ん?あぁ、蓮太郎か。こっちは終わったぞ」

 

 どうやら後ろの怪人軍団は全て片付いたらしい。そう思っていると拍手が響き渡る。

 

「お見事。やはり、仮面ライダーはこうでなくてはな。せめて、これくらいの能力が無ければ張り合いがない」

 

 そう上機嫌に告げる死神博士は手を振って、戦闘員を下がらせる。

 

「さて、私はこれでお暇しよう。ではな、仮面ライダー。また会おう」

 

 そういって、死神博士は高笑いと共に消えていった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「おぉ、戻ったか死神博士」

 

 暗闇の奥からライトに照らされて、死神博士が帰還した。

 

「今回と前回で随分と怪人が減らされてしまったな」

 

 私の言葉に博士は小さく頷く。

 

「しかしながら、収穫はあった」

 

「ほう、収穫とは?」

 

 ブラック将軍の言葉に博士は懐から二つの錠前と鎧武達の使うベルトを取り出す。

 

「鎧武のベルトに着いていた物と此方は施設に潜り込ませた者達が持ってきた物だ。尤も、潜り込ませたものは軒並み、誰かに倒されたようだがな。火事場泥棒の様な真似だが。まぁ、問題ないだろう」

 

「ふむ、ソレがロックシードか」

 

 血の様に紅いモノと骸骨状のモノ。

 

「コレを使うと?」

 

「無論、我々は必要ない。【新たな同志】に渡そうと思ってね」

 

「成る程、あの二人か。それで?あの二人の【修復】は終わったのかね?」

 

 ゾル大佐の言葉に戦闘員から端末を受け取った博士が頷く。

 

「うむ、どうやら終わったようだ。どうかね、地獄大使。彼らにこれらを渡してくれないかね?」

 

「構わんよ。私も彼等の真意を知りたいのでね」

 

 とはいえ、真意も何もないと思うがな。そう小さく笑い、私は受け取った物を戦闘員に渡し、廊下を歩く。そして一つの扉の前で止まる。

 

「開けろ」

 

「イーッ!!」

 

 戦闘員が扉を開ける。同時に戦闘員の首が跳び、鮮血が舞う。

 

「こらこら、お嬢さん。やんちゃはいけないな」

 

「あれ……?」

 

 流れる様な動作の斬撃を避け、襲撃者である幼き狂戦士の肩を優しく叩く。少女はその赤き瞳で不思議そうに私を見る。

 

「君のお父さんに話をしたいのだが?」

 

「小比奈、控えなさい」

 

「はい、パパ」

 

 部屋の奥から声が響く。その言葉に少女、小比奈が扉の奥へと消える。私はベルトとロックシードを消滅する戦闘員から回収してから部屋へと目を向ける。

 

「具合はどうかね?」

 

「あぁ、大分いい」

 

 そこにはマスケラを付け、簡素な服を着た男性が簡易ベッドに腰掛けている。

 

「瀕死の私を救い、あまつさえ更なる闘いへと踏み出せる【力】を与えてくれた事に感謝しよう」

 

「気にしなくて良い。永遠に戦い続ける。それはこの【大ショッカー】が掲げる【異世界侵略】の一助になるからと我々が考えた故だ。その考えは今も変わっていないかな?」

 

 私の言葉に彼はくつくつと喉の奥で笑う。

 

「無論ですとも。私はナニに成ろうとも闘いが出来ればそれで」

 

「宜しい。では、君達にコレを与えよう」

 

 そういって、私は小比奈にベルトとロックシードを渡す。彼女は瞳を輝かせる。

 

「パパ、パパ!!コレ、鎧武が使っているのと同じ!!」

 

「分かったから、落ち着きなさい。ふむ、コレを何処で?」

 

「奴等から奪って来たのだ。先ずはコレのデータが欲しい。それに君達も新たな力に慣れるまでの間は必要な物だろう」

 

「成る程……では、有難く使わせて貰おう」

 

「私、こっちの骸骨がいい!!」

 

「おやおや、ならば私はコッチだね」

 

 仲睦まじい親子のようでいて、爪を砥ぐ獣の様な二人に私は良い拾い物をしたのだと改めて実感した。

 

「では、私はこれで失礼しよう」

 

 そういって、私は部屋から出て行く。彼、蛭子影胤の肉体にはこの世界特有の技術が利用されていた。その技術は死神博士には古過ぎて興味がないようで、彼の肉体を強化する為に丸々改造したようだ。本来ならばその時点で精神が崩壊してもおかしいのだが、彼はソレに適応した。

 

「それにあの娘も見事な逸材だ」

 

 そして特筆すべきはあの少女。既に肉体の侵食率が30%を越えていた為に博士が実験中の技術を利用して新たに生まれ変わった。彼女は我々の予想を遥かに上回る程の性能を見せた。

 

「そして仮面ライダーの力。くくく、これからが楽しみだ」

 

 巨大な空間の前で私は告げる。

 

「ステージⅣ【アルデバラン】よ。お前もそう思うだろう?」

 

 視線の先に居る巨大なガストレアへと。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「それにしても、会談蹴って本当に良かったのか?」

 

「構いません。あの方と話す事はもうありませんでしたし。無用なストレスを抱える必要もありませんので」

 

 そう笑顔で言われては、こちらは何も言えない。俺は紅茶を一口飲む。

 

「しかし、死んだ奴に全部押し付けるのも何か、後味悪い様な」

 

「でも、保脇さんとその配下が【大ショッカー】と繋がっていたのは事実ですし」

 

「まぁ、そうなんだよな」

 

 今回の聖天子暗殺事件は全て【大ショッカー】と結託した保脇以下、護衛官の所為という事になった。驚くべき事にこの報告に異議を唱える者はおらず、逆に納得した者が多かった。どんだけ人望無いんだよ、アイツ等。

 

「まぁ、取り敢えずは一件落着か」

 

「そうですね。大本は片付いていませんし、新しい問題も出てきましたが、取り敢えずは解決です」

 

 お互いにため息を吐いて、そう告げる。ふと、身体に痛みが奔る。

 

「辛いですか?」

 

「まぁ、これくらいは大丈夫と強がってみる」

 

「辛いんじゃないですか……」

 

 ジト目で睨まれ、苦笑する。あの戦いで入院とはいかないまでも、それなりに治療を受けた。とはいえ、民警御用達の医療グッズを体中に張り付けて一日療養という、物凄く大雑把な物だったが。お陰であれだけ痛みを訴えていた身体が六割方回復した。

 

「まぁ、まだ本調子じゃないから。暫くは平和でいて欲しいけどな」

 

「そうですね。束の間の平和、とは言いたくありませんが、しっかり休んで下さい」

 

「あぁ、了解だ」

 

 そういって、お互いに笑う。ふと、聖天子が思い出したかのように聞いてくる。

 

「そういえば、ティナさんは結局何処で暮らす事になったんですか?」

 

「あぁ、それなら」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「それじゃ、ティナちゃんの引越祝いに乾杯!!」

 

「乾杯……」

 

「乾杯」

 

 そうザックの楽しげな言葉と共にコップの軽い音がリビングに響く。

 

「それにしても、まさか戒斗が女の子と同棲するなんてな」

 

「誤解を招く様な言葉は止めろ。単に保護者が俺になっただけだ」

 

「ティナちゃん。基本、戒斗はこんな奴だからな。覚えておけよ?」

 

「大丈夫です。私、戒斗さんのこういう不器用な所も含めて、大好きですから!!」

 

「……逃げ場が無くなったな、戒斗」

 

 ニヤニヤと俺のコップに炭酸を注ぐザックに俺は視線を外す。

 

「それにしても、戒斗さんって大きな家に住んでいるんですよね」

 

「まぁ、コイツの場合、あんまり周りに金を使わないからな。この家だって昔、チームメイトの溜まり場として買った様なモンだしな」

 

 そういって、ザックは苦笑する。確かに俺は身の回りの物は食料と最低限の衣服のみだ。お陰で貯金が凄い事になっている。

 

「あの、チームっていうのは?」

 

「ザック、果物があった筈だ。持ってきてくれ」

 

「……分かった。悪いけど、ティナちゃんも手伝ってくれない?」

 

「え?あ、はい」

 

 そういって、二人がリビングを出て、階段を上がっていく。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「あの、ザックさん」

 

「ん?どうかした?」

 

「私、失礼なこと聞いちゃいましたか?」

 

 戒斗さんの遮る様な言葉を思い出して聞く。

 

「ん~、そういう訳じゃないんだよね。チームの事になるとペコを思い出しちゃうからな」

 

「ペコ……さん?」

 

 ザックさんは頷き、廊下の一角で止まる。そこは戒斗さんの部屋だ。

 

「もう三年も前になるかな。俺達はさ、ダンスやってたんだよ」

 

「ダンス、ですか?」

 

「そう、といってもストリートで踊る様な感じだけどね。俺と戒斗とペコと、後二人。チームバロンって名前で踊ってたんだ」

 

 そういって、部屋に入ったザックさんが手招きする。ちょっと、ドキドキしながら入る。

 

「えっと……あ、あった」

 

 そういって、箪笥の上に置いてある写真立てを見せてくれた。今よりちょっと幼い感じのザックさんや戒斗さん。そして満面の笑顔で映っている男の人とその人に頭を撫でられ、照れている様に笑う眼帯の女の子が映っていた。

 

「この照れてるのがイヴ。んで、撫でてるのがペコだ」

 

「ペコさん……優しそうですね」

 

「あぁ、優しい奴だったよ」

 

 そういって、ザックさんはベッドに座る。

 

「イヴはさ、ペコが連れて来たんだ。俺達はそこまで【呪われた子供たち】を毛嫌いしてなかったからトラブルは無かったんだけど。周りは違った」

 

 やっぱり、この子は私と同じ子なのだ。

 

「イヴは眼帯している目、右目だけ赤くてさ。ソレを隠す為にペコが自分で眼帯を作ったりとか、色々と世話してたんだ。きっと、死んだ妹をイヴに重ねてたんだと思う。まぁ、取り敢えずロリコンとかシスコンとか言われても違和感ない位に猫可愛がりしてたって訳だ」

 

 ニッと笑って告げるザックさんはだけど、と続ける。

 

「周りの大人は皆、イヴを異分子として扱っていた。俺達は元々アウトローな感じだったけど、イヴは完全に人じゃなくてガストレアとして扱われていた。身内がそう扱われたのを見て、随分と腹が立ったな。何度、イヴを罵倒した奴を殴ろうと思ったか」

 

 パン、と自分の拳を掌に当てて、そう呟いたザックさん。

 

「けど、そんな中でペコだけは違ったんだ。一人でもいい。イヴの事を理解し、認めてくれるように色んな大人たちを説得し始めたんだ」

 

「……凄い人ですね」

 

「あぁ、凄い奴だ。大切な家族を失くしたからってのもある。だから、今度こそは失くさないように頑張ったんだ。その結果……」

 

 そういって、ザックさんは悪いと断ってから窓を開けた。夜の風が冷たくて、少しだけ部屋の温度が低くなる。

 

「アイツは……大人たちに殺された」

 

「え……?」

 

 ザックさんは懺悔するように呟いた。

 

「俺達が見付けた時はもう遅かった。息をして、話が出来たのが奇跡だったよ」

 

 信じて、言葉を伝えて、その結果が理不尽な暴力。

 

「アイツ等の言い分はこうだ。『ガストレアを飼っている裏切り者を粛清した。俺達は正義の行いをしたんだ』ってな。驚いたのが、そいつ等。殺人を犯したのに罪の意識が全くないんだ」

 

「そ、その人たちは?」

 

「今ものうのうと生きてるよ。警察にも届は出した。けど、アイツ等は【呪われた子供たち】の事を話したら直ぐに掌返してきやがった」

 

 そういって、大きくため息を吐いたザックさんは外を見る。

 

「それで気付いたんだ。今この世界は間違っている。こんな理不尽が罷り通るなんて絶対に間違ってるってさ。だから、戒斗と俺は聖天子様が掲げる【ガストレア新法】を指示しているし、絶対に成功させてやるって決めたんだ」

 

 そういって、ザックさんは自分の手を見る。

 

「結局は力が全てなんだ。力が無い奴は何をやっても認められない。悪と言われれば、ソレを受け入れるしかない。それでもアイツは、戒斗はその力で世界を変えてやるって言ったんだ」

 

「そう……だったんですか」

 

 この前、私を救ってくれた戒斗さんの為に自分の命を捧げる。そう告げた時に見た戒斗さんの怒りが少しだけ理解出来た。

 

「戒斗さんは優しい人なんですね」

 

「まぁ、不器用だけどな」

 

 そういって、ザックさんはベッドから立ち上がる。

 

「まぁ、ティナちゃんの気持ちも分かるさ。けど、一緒にいることだって大切なことだ」

 

 そういって、ザックさんは私の頭を撫でる。

 

「ティナちゃんは今まで戦う以外の事は知らなかったんだろ?」

 

「はい、私に出来る事なんてそれぐらいですから」

 

「そんな事ないよ。一緒に居るだけで、帰りを待ってくれているって感じるだけで随分と違うもんさ」

 

 そうなんだろうか。今まで、そんな事は思った事なかった。けど、もしそうなら。

 

「戦わなくてもその人を支えられるんでしょうか?」

 

「むしろ、戦う以外で支える方が多い様な気がするな。まぁ、やっぱりそこはティナちゃん自身が決めないといけないから。俺や戒斗は口出しできないな」

 

 そう困った様に笑うザックさんと共に、ベランダに生っている果物を適当に持って、下に降りる。

 

「戒斗さん……」

 

 私はどうすればいいんでしょうか?

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「う~ん、やっぱり映司はんにこれ以上金貰うんは拙いな~」

 

 夜空を眺めながら呟いた言葉の主、手作り感MAXな鎧を身の纏った男性【がんがんじい】がバイクを走らせている。

 

「この世界に来てからというものの、映司はんの好意に甘えてばっか。この前なんてユーリはんに白い目で見られてワイはもう……」

 

 ず~ん、という効果音が聞こえそうな程に沈み込んだがんがんじいはふと、とある事に気付く。

 

「そういえば、此処何処や?」

 

 周囲を見れば、道路は舗装されているものの、何処からどう見ても廃墟が目の前に広がっている。

 

「あぁ、成る程。此処が外周区やな。しかし、本当に何もないんやな~」

 

 そうバイクを止めて、周囲を見回した時、彼はとある事に気付く。

 

「そういえば、外周区には夜な夜なガストレアが出るって話やったな」

 

 ガストレア。それはこの世界にとっての脅威。即ち悪、ならば退治するは正義の味方が順当だろうか。

 

「ま、まぁ、ワイならガストレアなんぞちょちょいのちょいやがな!!」

 

 ダッハッハッハ、と笑うがんがんじいの背後でコンクリート片が派手な音を立てて崩れ落ちた。

 

「ヒエ~!?ワイなんか食べたって腹壊すだけやで~!!」

 

 滂沱の涙を流し、情けなく近くのコンクリート片の壁に隠れるがんがんじい。何とも情けないが、彼は大体こんな感じだ。

 

「おじさん、だぁれ?」

 

「うひゃ~!?」

 

 突然、後ろから掛けられた声に素っ頓狂な声を上げて、崩れ落ちるがんがんじい。

 

「だいじょうぶ?」

 

「こ、子供……!?」

 

(あ、アカン!!完全に腰抜けてもうた)

 

 驚きつつも、自分の現状をしっかりと把握している辺り、中々肝が据わっているようだ。

 

「おじさん、どこから来たの?」

 

「ワイ?ワイはアッチの方からや」

 

「まちの人?ここは危ないよ?」

 

「それならお嬢ちゃんも同じやがな」

 

 そこまで話してふと気付く。

 

(もしかして、この子の迷子ちゃうんか?)

 

 こんな夜更けに子供が一人でこんな場所をうろついている。コレは間違いなく迷子だ。

 

「そういう事ならワイの出番や!!」

 

 そういって、立ち上がったがんがんじい。どうやら腰は治ったようだ。

 

「安心しい、お嬢ちゃん。ワイがいればもう安心やで!!」

 

「あんしんなの?」

 

「そうや。なんてったって、ワイはがんがんじい!!仮面ライダーの用心棒で最高の相棒やからな!!ガウトレアなんぞ、ワイに掛かればちょちょいのちょいやで!!」

 

 気分良く、自前の歌を披露するがんがんじいのテンションに呆気にとられていた少女は楽しげな歌を気に入ったのか、共に歌い始める。

 

「コラァ!!りん!!勝手にいなくなっちゃダメでしょ!!」

 

 そんな二人に怒声を掛けたのはコンクリート片の上に立った少女だ。りんと呼ばれた少女よりも年上で十代の中頃のようだ。

 

「って、そこの妙チクリンは誰よ!!」

 

「誰が、妙チクリンやねん。ワイはがんがんじいや!!」

 

 そういって、またもや自前の歌をりんと共に歌った後、少女にドロップキックを見舞われるがんがんじいであった。

 




スイカ「漸く俺の出番か。まぁ、出られただけで満足と言ってやるか」

マンゴー「新参者に出番取られた(´・ω・`)」

木の実組「俺たちの出番はしっかり取れてるから安心だな」

ドリアン「今後の出番次第だな」

大橙丸「やっぱり、俺はぞんざいに扱われるのか(´・ω・`)」

イチゴ「笑えよ」


Q影胤ってどんな改造受けたの?

Aライスピの三影みたいに全身の99%を大ショッカー由来の技術で改造な感じ。つまり魔改造♪



投稿完了!!今回で原作二巻は終了という感じですね。次回以降は徐々に戦力増強の部分を書きつつ、プロフェッサーの話や蓮太郎サイド等を加えつつ、アルデバランさんに頑張って貰いましょう。次回もお楽しみに




次回の転生者の花道は……



「……将監さんはチェリー」



「その通り、コレは【モデル・ヒューマン】のガストレアだ」



「その通りだ。どうやら里見蓮太郎君は私が君に実験と称してエッチな事をしていると考えたんだろう。しかし!!君を愛する彼はソレを許す筈もなく【延珠の身体を好きに出来るのは俺だけだ】と叫んで実験室に突入しようとしたんだろうね」

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