鎮守府の片隅で   作:ariel

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今回は久しぶりに、鳳翔さんのお店で提供される甘味の回にしました。という事で、今回の主役が駆逐艦になる事は、書く前から決まっていましたが、誰にするか…というのは、正直少し悩みました。『運良く』雪風が今回は甘味にありついた…ですと、前回の時雨と同じような形になってしまいますし、夕立や五月雨はもう登場しています。それに『主人公w』の吹雪さんで書くのもなんだかな…と考えた結果、最終的にはお気に入りの初霜にする事になりました。少し前に同じくお気に入りの利根も登場していますので、そろそろ駆逐艦のお気に入りも出したいな、と思った事が原因かもしれませんw。


第二八話 初霜と栗の茶巾絞り

「油断していた訳ではないのですが…今回は矢矧さんの所に完敗です。うちの陽炎さんが、もう少し慎重に戦っていたら…とは思いますが、結局は私が上手に統制出来なかった訳ですから…」

 

「能代の組も…今回は矢矧の組に完敗です。お恥ずかしい限りですが…時雨の不運な一発と、島風の暴走がなければ…しかし結局は神通さんと同じで、私の指揮能力の不足ですね…。」

 

「まぁまぁ。神通さんも、能代姉さんもそんなに凹まなくてもいいと思うけど。今回は運良く勝たせてもらったけど、実際は紙一重の差だったし…。いずれにせよ、これからもしっかり訓練をしないとね。」

 

今日はカウンター席に、第二水雷戦隊を主に率いている三人の軽巡洋艦の艦娘達が来ています。カウンター越しに話を聞いた限りでは、どうやら今日の訓練で、恒例の第二水雷戦隊内の模擬戦を行ったようで、矢矧さんの組が勝ったようです。現在この鎮守府の第二水雷戦隊に所属している駆逐艦達はかなりの大所帯になっていますが、大きく分けますと、先の大戦で、遙か南のソロモン海で激戦を繰り広げ、最強の水雷戦隊としてその名を轟かせた神通さんが率いるソロモン組。レイテ、そしてオルモック湾と地獄の戦場を駆け巡った能代さん率いる捷一号組。そして、それまで数々の戦場に投入され、生き残り続けた武勲艦と強運艦を文字通り掻き集めて編成し、大和さんと共に沖縄を目指した矢矧さん率いる天一号組。

 

神通さん達の話によれば、時々開催されるこの三組による模擬戦は、最下位には追加の猛訓練という罰則、そして一位の組には間宮さんの所のおやつ券の臨時支給という実益がかかっているようで、毎回熾烈な戦いが繰り広げられているようです。そして…。

 

「今回の演習のMVPの初霜さんですが…やっぱり、お願いはアレになりましたか…。まぁ、あれだけ今回頑張った訳ですから、仕方ないのですが…。能代さん、時雨さんにはあのお話をこれ以上するな…と口止めをした方が良さそうですね。」

 

「そうね神通さん。しかしあれだけ駆逐艦達の間で、あの話が広まってしまっていては、今更時雨に口止めをしても…。…はぁ、出費が…。」

 

「ごめんなさいね、神通さん、能代姉さん。まさか、あの初霜までこんなお願いをしてくるとは、私も考えていなかったから…。とはいえ、約束は約束だから、今更反故にも出来ないし。」

 

神通さん達の話では、その模擬戦で最も活躍した駆逐艦にMVPが与えられ、その賞品として神通さん達が叶えられる範囲でお願いを一つ聞いてもらえるという特典があるそうです。しばらく前までのMVPのお願いは、他の艦娘が訓練を行っている日に、一日完全休暇という物が多かったようですが、最近のお願いは、ほぼ決まっているようでして…。

 

「時雨さんが、鳳翔さんのお店で葛切りを食べさせてもらった話が広がってしまいましたので、最近はMVPを取った駆逐艦のお願いは毎回、『鳳翔さんのお店で甘い物が食べたい』ですからね…。困りました…。」

 

神通さんが嘆いているように、だいぶ前に時雨さんが私のお店で葛切りを食べた際、その味を物凄く気に入ってしまった時雨さんが、周りの駆逐艦の艦娘達にその事を話した結果…模擬戦が終わると毎回のように、神通さん達はMVPの子に、私のお店で甘い物を食べさせる事になってしまったそうです。私のお店の甘味はあまり安くないですし、結局は神通さん達三人もMVPの駆逐艦につられて甘味を食べてしまう事もあり…それがかなりの出費になっているようですね。

 

「という事で、明日初霜を連れて来るから、鳳翔さん何か甘い物出してあげてもらえない?この時期だと何が出来るの?出来れば安い物だと私達もありがたいのだけど…。私と能代姉さんは今そんなに懐に余裕ないし…神通さんもそれほど裕福ではないから…。あ~ぁ、こんな事なら、今度お金持ちの大和にお願いして、駆逐艦の子を従卒代わりに派遣してあげるから、少し援助してもらえるように頼んでみようかな。」

 

何か後半部分で、サラッと恐ろしい事を矢矧さんが言っていた気がしますが、あまり気にしない方が良さそうですね。…そうですね。秋のこの時期、甘味だけを目的として来るわけですから、果物以外となると…そろそろ栗が手に入りますから、栗で茶巾絞りでも作りましょうか。このお菓子は作る時に少し手間がかかりますが、栗や白餡から作られた非常に甘くて美味しい和菓子です。甘味を作る時は、赤城さんや瑞鶴さんには、主に摘み食い的な理由から手伝いをお願い出来ませんが、四人分程度でしたら、私一人でも問題ないでしょう。

 

 

「とりあえず今回は、栗の茶巾絞りを準備します。これはとても美味しい和菓子ですから、初霜ちゃんにも喜んでもらえると思いますよ。神通さん、これでよろしいですか?」

 

「栗ですか…。ちょっと値段が高くなりそうな気もしますが、それくらいなら大丈夫です。能代さんも矢矧さんもそれでいいですね?…それでは鳳翔さん、明日はよろしくお願いします。」

 

 

翌日

 

 

今日は神通さん達が、初霜ちゃんを連れて私のお店に甘味を食べに来る日です。前日考えたとおり、栗の茶巾絞りを作る予定ですが、まずは栗の準備…大丈夫ですね。今回のために、丹波の銀寄を仕入れています。この栗は、少し値段が高いのが欠点ですが、大きくて非常に甘い栗ですから、和菓子を作るためにはピッタリです。初霜ちゃんにとって折角のMVPのご褒美ですから、やはり美味しい物を食べてもらいたいですからね。…仕入値段については、私が少し補填すれば、神通さん達の負担も多少は軽くなるでしょう。

 

さて、それでは早速作りましょうか。まずは栗にしっかり火が通らなくてはいけませんので、30分くらいかけて、じっくり水で煮て中までしっかり火を通します。

 

 

そろそろ中まで火が通りましたね。それでは茹で上がった栗を取り出して、中身を皮から取り出すために、まずは包丁を使って真っ二つに切っていきます。この工程で手間がかかる訳ですが、真っ二つに切った栗からスプーンを使って丁寧に、栗の中身をほじくり出します。薄黄色の栗の実がどんどんボールの中で山になっていきますね。この栗ならば、このままでも十分美味しく食べられますが、今日はここにもう一手間かけて美味しい和菓子にしなくてはいけません。

 

次は最終的な茶巾絞りが滑らかな食感になるように、ほじくり出した栗の実を裏ごしします。わざと裏ごしをせずに栗の実の食感を少し残しても良いのですが、今回は白餡と混ぜて茶巾絞りを作る予定なので、滑らかな食感を作り出すためにもしっかり裏ごしをしておきましょう。大体これで大丈夫ですね。

 

それでは次に、栗と合わせる白餡も作っておきましょうか。小さいお鍋に白餡、そして砂糖と水を入れて、とろみが出るように弱火でゆっくり煮ていきます。そしてとろみが出た段階で、先程裏ごしした栗の実を鍋に投入し、さらに甘みを増すために少しだけ塩を入れたら、焦げないように弱火で練り、外に取り出して冷やします。…あぁ、薄い茶色の非常に滑らかな栗の茶巾絞りの素が出来上がりました。赤城さんではありませんが、私でもこの段階でつまみ食いがしたくなってしまいます。…それなりの量もありますし、少しだけなら…いえ、たぶんこれは一口では止まらなさそうですから、ここはグッと我慢しましょう。

 

後は、完全に冷めた栗の茶巾絞りの素を布巾の上に適当な量乗せて、ねじる様な形で一つずつ丸い形を作り上げていきます。布巾から取り出しますと、布巾でねじった痕がしっかり栗の茶巾絞りに残り、この模様も見ていて楽しいものだと私は思います。間違いなく神通さんや能代さん、そして矢矧さんも、初霜さんと一緒に食べるでしょうから…一人四つずつと想定して、予備も含めて20個も作れば十分でしょうね。これで出来上がりです。後は初霜ちゃん達が来店するのを待ちましょう。

 

 

「いらっしゃい。待っていましたよ。昨日お願いされた甘い物ですが、昨日言っていたとおり、栗の茶巾絞りを用意しました。初霜ちゃん、折角のご褒美ですから、今日は楽しんでいってくださいね。」

 

開店と同時に、神通さん、能代さん、そして矢矧さんに連れられて初霜ちゃんが来店です。普段はどちらかというと物静かな初霜ちゃんですが、今日は満面の笑みを浮かべていますね。余程楽しみだったのだと思います。

 

「あの…鳳翔さん。今日は初霜、物凄く楽しみにしていました。それと皆さん、今日は本当にありがとうございます。前に時雨ちゃんから鳳翔さんのお店で甘い物を食べた話を聞いてから、私も一度食べてみたかったので、今回は本当に嬉しいです!」

 

初霜ちゃんの言葉を聞いて、引率の神通さん達も嬉しそうですね。昨日は三人そろって困った…なんて言っていましたが、いざ目の前にこんなに嬉しそうな顔をした子を見れば、仕方ない…と思うのでしょうね。

 

「一応、四人分用意しましたが…神通さん達も食べますよね?」

 

私の言葉はあくまでも確認ですが、私の言葉に神通さんを始めとする軽巡洋艦三人は激しく頷いて同意しています。これまで何度か二水戦のMVP駆逐艦と一緒に、私のお店で甘味を楽しんでいる三人ですから、ここで自分達は食べない…なんて選択肢はないでしょう。ですから、その都度この三人は甘味を食べていますので、おそらく私のお店でもっとも甘味を食べているのは、この軽巡洋艦の三人ではないでしょうか。

 

ということで、四人とも甘味を注文する事を確認出来ましたので、早速準備していた栗の茶巾絞りをお出ししましょうか。まずは一人四つずつ栗の茶巾絞りを小皿に取り分けて…そして少しだけ渋目の熱いお茶、更に甘味を食べた後に舌をすっきりさせるために、少しだけ酸味が強めのキュウリの糠漬けを小皿に取り分けて…これで準備完了ですね。

 

「はい、初霜ちゃん。ご褒美の栗の茶巾絞りです。とても美味しいと思いますので、楽しんでいってくださいね。それでは召し上がれ。」

 

 

 

駆逐艦 初霜

 

 

まさか、私が今回の演習でMVPを取れるなんて思ってもいなかったですね。私が所属している矢矧さん率いる天一号組は、これまでの演習で一位を取る事は多かったけど、MVPはほとんど雪風ちゃんと霞ちゃんがとっているから、私にはMVPは関係ない物だと思っていたの。でも今回の演習戦、何故か知らないけど物凄く運が良くて…撃たれても全然弾が当たらないし、逆に私が打った弾は、まるで相手に吸い寄せられていくように当たったの。ひょっとしたら…とは思っていたけど、演習終了後の表彰式で、私がMVPに選ばれ事が分かった時は凄く嬉しかったわ。

 

MVPの特典は、神通さん達に一つだけお願いを聞いてもらえる事になっていたけど…私のお願いは勿論決まっていたわ。だいぶ前に時雨ちゃんが、山城さん達に奢ってもらった葛切り…そして、同じ組の雪風ちゃんや霞ちゃんから、いつもお話を聞かされる鳳翔さんのお店の美味しそうな甘味の数々。…今回やっと、私にも食べる機会が来たのね。夢にまで見た鳳翔さんのお店の甘い物…何が食べられるのか楽しみで、昨日の夜は全く眠れなかったの。

 

そして今日訓練が終わった後、矢矧さん達に連れられて鳳翔さんのお店に来たのだけど、もうお店に行く前から、ワクワクして自然に頬が緩んでしまったのよね。そしてついに私の目の前に並べられたお菓子…。薄い黄色の、上が少しだけ尖った、拳骨大の丸いお菓子が四つ。これが…MVPをとった雪風ちゃん達がこれまで自慢していた鳳翔さんの所のお菓子なのね。勿体無いから、まずは少しだけ食べてみましょう。

 

あっ…これ栗で出来たお饅頭なのね。一つ目のお饅頭を取り分けて、一欠けらだけ口に運ぶ時に、私の鼻に入ってきた甘い栗の匂い…。思わず口に入れる前に、手を止めてしまったわ。でもここで時間をかけても仕方ないわ。早速お口に…あ…甘い!でも、凄く落ち着く甘さ…。この栗のお饅頭凄く滑らかな食感で、少し噛んだ瞬間、まるでお饅頭が自分から壊れてしまうようにホロッと口の中で崩れて…それがまるで溶けてしまうような感じね。そして口の中で栗の甘い香りが広がって…このお饅頭、普段私が食べる栗よりもずっと甘いの。…幸せね。

 

これまでMVPを取った子達は、こんなに甘くて美味しい物を食べていたのね。だから次の日、みんな物凄く自慢していたのね。時雨ちゃんや雪風ちゃんが、物凄く興奮してその時のお話をしていた理由、今なら私も良く分かるわ。本当に夢のような時間…。私がいつも食べている間宮さんの所のお菓子も大好きだけど…これは別格。…こんな美味しいお菓子、皆にも食べさせてあげたいわ。でもこんな美味しいお菓子、私のお小遣いでは絶対に買えない事も分かっているの…。あっ…そうだ!

 

 

 

鳳翔

 

 

私の目の前で初霜ちゃんが、それはそれは嬉しそうに、私が作った栗の茶巾絞りを食べています。最初に茶巾絞りを口に入れた瞬間、うっとりとしたような表情を初霜ちゃんは浮かべましたので、とても気に入ってもらえた…と思うのですが…。初霜ちゃんは、最初の一つを食べただけで、手が止まってしまい、口直しの糠漬けを食べてお茶を飲み始めてしまいました。どうしたのでしょうか。時々、食べるのがもったいない…と感じる駆逐艦の子達もこれまでに居ましたが、それでも手が止まるのは最後の一つになった時です。少なくとも最初の一つで手が止まった子はこれまで見た事がありません。一緒に食べている神通さん達は、もう最後の一つに手をつけようとしているのですが…。しかし神通さん達も、流石に少し気になったのか、最後の一つを食べるのを止めて、初霜ちゃんを心配そうに見ていますね。

 

「初霜ちゃん…どうしたのですか?あまり美味しくなかったですか?」

 

「あっ…そんな事はないわ。鳳翔さん。…その、こんなに美味しいお菓子だから、私だけじゃなくて、雪風ちゃん達にも持って帰ってあげたいな…と思っただけなの。だから、残りの三つは持って帰ろうかな…と。」

 

まぁ、そういう事だったのですね。私がいつも面倒を見ている赤城さん達にも聞かせてあげたい台詞です。しかし、初霜ちゃんが何人の友達に配るのかは分かりませんが、自分は一つだけしか食べられないというのも少し可哀想ですから、予備として作り置きしていた四つも一緒に包んであげましょうか。

 

「初霜ちゃん、良かったら予備の栗の茶巾絞りがありますから、それも一緒に持って帰りなさい。折角なら皆で食べた方が美味しいでしょうから。」

 

「はい!鳳翔さん、ありがとうございます。天一号組のみんなで美味しくいただきますね。」

 

たしかに、一人で独占するよりは、皆で楽しく食べた方が美味しく食べられるでしょう。…あら?私と初霜ちゃんの会話を聞いていた神通さんが、目をつぶって手をワナワナさせていますね。いえ…何を考えているかは分かりますが、そこまで葛藤するものなのでしょうか。

 

「初霜さん…。私の残っている一つも…も…持って帰っていいですよ。…だ…断腸の思いですが、仲間の子に持って帰るのでしたら、私からも一つどうぞ…。」

 

やっぱりそうなりますよね。ご褒美のために連れてきた子が、一つだけ食べて残りは友達に持って帰ると言っている隣で、引率する軽巡洋艦が四つ全部を一人で食べる…というのは、流石に心苦しかったのだと思います。神通さんの言葉を皮切りに、能代さんや矢矧さんも残りの一つを初霜ちゃんに渡す事を決めたようですね。かなり後ろ髪を引かれる思いなのは、顔の表情を見ればよく分かりますが…。

 

それでは、全員から回収した栗の茶巾絞り10個を小箱に入れて、風呂敷で包んで…初霜ちゃんが持って帰りやすいようにしてあげましょうか。こういう出来事がありますと、普段赤城さんや利根さんなど、食べ物に意地汚い子を数多く見ている私としては、心が洗われる思いです。今日も鎮守府は平和です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからはネタなので、本編とは関係ないです…たぶん。

 

 

ダークサイド HATSUSHIMO

 

 

うふふふ…計画通りね。私の手元にあの美味しい栗の茶巾絞りが10個。本来なら4個しか食べられなかった筈が、一気に倍以上に増えたわ。…でも、これをここで全部食べてしまったら、それで御終いだから、これを将来への投資に使わないと。

 

まずは、天一号組のMVP常連の雪風ちゃんと霞ちゃんに一つずつプレゼントね。こうやって渡しておけば、次に雪風ちゃん達がMVPを取った時に、御裾分けが期待出来そうだから。MVPを取る確率を考えれば、投資した分は直ぐに回収できるわね。だから今回は、きちんと恩を売っておかないと…うふふふ。

 

後は…大和さんね。折角、前回の大戦でお近づきになれたのだから、その縁は大切にしておかないと。それに、あの大和さんに私のような駆逐艦が美味しいお菓子を持っていけば、絶対に大和さんは私の事を覚えてくれると思うわ。お金持ちの知り合いは、百利あって一害なし…ううん、一害くらいあっても我慢出来ると思うの。だから、大和さんにはこのお菓子を持ってしっかり挨拶に行っておかないと…。後は…。

 

「ヘイ!初霜。楽しそうな悪だくみネ!私も初霜が持っている箱の中身が気になるネ!私にも箱の中身を分けてくれないと、私気になって気になって、鳳翔や提督にこの事を相談しちゃいそうデ~ス!」

 

あっ…思わず想像していた事が、声に出ていたのね。どうしよう…よりにもよって、あの金剛さんに知られるなんて…。計画の練り直しね。このままじゃ、私の『おやつ食べまくり計画』が…。




ネタの部分はあくまでもネタなので、本編とは関係ありませんから、気にしないでください。いや、実際に初霜がこんな事を考えていたら、私が寝込みそうです、いや本当にw。あと、天一号組のMVP常連になんで磯風がいないんだ!という方…私の鎮守府の事情をお察しくださいw。

さて栗の茶巾絞り、ある意味秋の甘味の定番中の定番かもしれません。トロッとした栗きんとんでも美味しいのですが、個人的にはこの茶巾絞りの方が好きです。これの作り方、栗の実と砂糖だけで作るやり方や、牛乳を混ぜてシットリさせるやり方など色々あるのですが、個人的には今回小説に出した白餡を混ぜるタイプが好きだったりします。

まだ私が学生だった遥か昔、遊学中に向こうの奴らに作ってやった思い出がありまして…。その結果大変な事になった苦い記憶がw。やつらの作る甘い物といえば、とっても甘いお菓子ばかり(それでも米国の甘さよりは、まだ控えめだ…と奴らは主張していましたが、私に言わせてみれば五十歩百歩です)。そのため私が日本のお菓子を作ってやるという事になりまして、当時現地で栗が手に入ったため、これと砂糖を用いて、ある意味典型的な栗の茶巾絞りを作ってやったのです。

こちらの思惑としては、どうせ奴らには薄味の甘さなど理解出来まい…だから、今回作った茶巾絞りの大多数は自分が食べられる筈…だったのですが、奴らが食うこと食うこと…お前等は一航戦かというくらい食い散らかされました。挙げ句の果てには、これは非常に美味いからもっと作ってくれとなり、大量の栗を私のアパートに持ち込まれた訳でして…。勿論その時は『作り方を教えてやるから、お前等が自分で作れ!』となった事は言うまでもありません。結論としては、和菓子は美味い!という訳ですがw

次回誰を主人公にしましょうかね…。料理の方は簡単に捻り出せるのですが、毎回登場する艦娘やその関係している子の選択にはいつも悩んでいます^^;

今回も読んでいただきありがとうございました。


栗の茶巾絞り(軽巡洋艦レベルで4人分 一航戦なら勿論一人分)

栗  300-350gくらい?(皮をむいた後の実で)
白餡 150g-170gくらい(栗:白餡=2:1くらいの比で大丈夫かと)
砂糖 100-120gくらい
塩  ひとつまみ
水  砂糖などを溶かせるくらい(100-150mLくらい?)

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