なんでこんなことになったんだ!?   作:サイキライカ

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皆もちつけじゃなかった落ち着け!?


ど、どういうことだ!?

「こいつはまた派手にやったものだね」

 

 チビ姫の艤装に上がると待っていた明石に問答無用でドラム缶に放り込まれ大量の修復剤が掛けられた。

 物凄い勢いで蒸発する修復剤と比例して治っていく身体が訴える言葉にしがたいむず痒さに、多用する生活から早く脱却したいなとそう思った。

 いやホントに、なんでこんなになるまで戦ってたんだ?

 アルファも反応が無いし本当に何があったんだろうか?

 

「明石、俺も補給頼んでいいか?」

「勿論さ」

 

 俺の補修を確認した木曾がそう言うと、千代田とワ級が燃料と弾薬を渡す。

 

「木曾、どうしてお前は無事だったんだ?」

 

 ドラム缶から顔を出してそう尋ねると燃料を干してから木曾は言った。

 

「お前のお陰だよ」

「俺の?」

「ああ。

 あの時、お前が明石に預けていた応急修理女神を俺が持っていたんだ」

 

 あ。

 そういや俺、まだ女神を残してたんだった。

 なんだかんだですっかり忘れてた。

 だが、それだと一個引っ掛かる。

 

「じゃあ、なんであきつ丸は…」

「あいつは発動を拒否していた。

 だから…」

「……そうか」

 

 いくら女神でも発動を拒否されたら何も出来ないのか。

 

「その回収は?」

「島風に救助されたんだ。

 それで、あの泊地で改修して島に戻ってみたら逗留していた氷川丸からお前達がアレと戦うって聞いてな。

 急いで駆け付けたんだ」

「そうだったのか」

 

 もしかしたらその島風はアルファにバイドの切れ端を渡したのと同一人物なのかもしれない。

 だとしたら何の目的があってなんだ?

 何か聞いていないか尋ねようとするが、そこに軽い調子で北上が帰頭した。

 

「また戻ったよ。

 魚雷ちょーだい」

「ア、ハイ」

 

 ワ級が艤装から弾薬を取り出して北上はそれを装填する。

 

「で、さあ。なんで黙ってたの?」

「…何をだ?」

 

 魚雷を詰めながらの北上の問いの意味がわからず問い返してしまう。

 

「アレだよアレ。

 実物を見たのは初めてだけどさ、アレって超重力砲でしょ?」

 

 はい?

 

「超重力砲だって?」

 

 え?

 なにその反則兵器。

 流れからしてまるで俺が装備しているみたいなんだけど?

 

「いや待て北上。

 なんの話だ?」

「……あれだけ派手にやらかしといてしらばっくれるの?」

 

 そう俺を睨む北上。

 いや、しらばっくれるも何も意味がわからん。

 というかさ、そんな疑いの目を本気でやらないでほしい。

 

「すまんが本当に解らないんだよ。

 信じないとは思うんだが、眼帯を焼かれてから記憶がはっきりしなくて覚えてないんだよ」

「なにそれ?」

 

 俺の言い分に北上だけじゃなく全員が疑いの目で見てくる。

 ワ級と木曾からもそんな目をされると本気で泣きたくなるんだぞ?

 

「というかだ。

 そんな超兵器があるならなんで今まで使わなかったんだよ?

 今回は当然として、今までだってあったら使ってるような場面はいくらでもあったじゃねえか?」

「それは、私達を信じてなかったから?」

 

 ……おい。

 

「次それ言ったらマジでキレるぞ」

 

 俺は深海棲艦だから艦娘に裏切られても仕方ないと思うが、俺から裏切るなんて絶対したくねえんだ。

 本気で怒ったのが通じたらしく空気の温度が下がり誰となく謝罪の声が漏れた。

 

「…すまん。

 少しムキになりすぎた。

 それはそれとしてアルファはまだ戦ってるのか?」

「アルファハヤマトニオトサレタワ」

 

 リ級の答えに俺は歯を噛む。

 

「クソッ、大和め。

 今度会ったら爆雷とファランクスのフルコースを叩き込んでやる」

「「「「……」」」」

 

 あれ?

 俺、なんか変な事言ったか?

 

「どうした?」

「いや、本当に記憶が無いって理解しただけだ」

「?」

 

 信じてもらえたのは良いんだがなんか腑に落ちねえ。

 そこに呆れた様子で傍観していた南方棲戦姫が口を挟む。

 

「残念だけどそれは叶わないわね」

「え?」

 

 ダメコンを持っているはずだから撤退ぐらいは叶うはずだと問うと、南方棲戦姫は哀れみを含めた表情を作る。

 

「あの戦艦は妖精さんの加護を失っているわ。

 そうなった艦娘がどうなるか知らないけど、艦娘として致命的な末路を辿るのは確かよ」

 

 

〜〜〜〜

 

 

 一時撤退を余儀なくされた大和は虎の子のダメコンを起動しながら通信を開いていた。

 

「どうイうコとデスか?」

 

 修復剤と補給物資の調達を申請するつもりだったのだが、通信役の大淀からの通達は大和にとって信じられないものであった。

 

『ですから大本営は今度の作戦から貴女を退らさせると決めました』

 

 大本営とていくら禁忌に至った大和が出ても一度で装甲空母ヲ級を撃破出来るとは考えていなかった。

 しかし、大和の撤退は彼等の思惑の外、一隻の駆逐イ級に固執した揚句の大破撤退と相成った。

 その上、装甲空母ヲ級に対し姫二体の到来と深海棲艦と艦娘が共同作戦を張って成果を出し始めているという事実は彼等にとって最大の誤算であり決して表に出してなはらない情報だった。

 既に鎮守府と泊地の多くは高い錬度を有した艦娘を失い疲弊。

 払った犠牲をこれ以上拡大させぬ賢明さと、なにより己の自尊心を取り戻すことを最優先とした大本営は深海凄艦とはぐれ艦娘を倒す事に固執した大和を退かせる事を決めた。

 

『貴女を失うことは則ち、人類の敗北そのものを意味します。

 悔しいでしょうが今は耐え難きを耐え、苦汁を糧とする時と理解してください』

 

 終わった後全てを抹消する準備に取り掛かっていることを伏せそう言う大淀の言葉に大和は顔を歪める。

 

(なにもかも失って尚、生き恥を晒せというの!?)

 

 大和にとって己を保つ縒り処であった容姿と力。

 艦娘としての容姿を球磨に奪われ、そしてあの駆逐イ級に戦艦としての力さえ否定された。

 そのどちらをも失った今の自分が生き延びようと、それはただ生きているだけの屍でしかない。

 妖精さんの力があれば時間は掛かっても容姿は取り戻せよう。

 だが、戦艦としての誇りは今しか取り戻す機会はない。

 あの駆逐イ級を自ら葬る以外、大和は先に進む手立ては無いのだ。

 

「……了カい」

 

 しかし、表立って逆らうことは出来ない。

 提督に不利益を齎す行為は決して出来ないのだ。

 例え堕ちるところまで堕ちようと、自分自身を裏切ってでも己の全てを捧げた提督を裏切ることは出来ない。

 撤収部隊を派遣したと言う大淀の言葉に通信を切る大和。

 

「可哀相な娘ね」

 

 自身を費えようとする大和に向け、そう哀れみの言葉を向ける声。

 

「っ、コのこエは!?」

 

 聞き覚えのある声に大和が砲を構えるが、突然その背を優しく抱きしめる柔らかい感触が襲った。

 

「私を殺し届かぬ愛に忠する姿は美しく、そしてとても可哀相」

 

 そう語りかける声に大和はその手を振りほどき砲を放った。

 

「ふふ…。

 そんなに毛嫌いしないでよ」

 

 見当違いの方向に放たれた砲撃を可愛い抵抗だとそう微笑む白い少女に大和は吠える。

 

「ヒ行ジョう姫!!??」

 

 深海棲艦は殺すと身構える大和に飛行場姫はクスクスと笑う。

 

「まるでハムスターのように怯えていては話も出来ないわ」

「ザれ事ヲ!!??」

 

 弱点である三式弾で先制を取ろうとする大和だが、水面から浮かび上がって来た浮遊砲台に阻まれ飛行場姫には届かなかった。

 

「ねぇ、大和。

 貴女はそれでいいの?」

「煩イ!!??」

 

 深海棲艦の話など聞く耳持たないと砲を撃つ大和だが、飛行場姫は浮遊要塞を盾につらつらと語りかける。

 

「貴女は艦娘として提督に愛を捧げているようだけど、それは本当に貴女の心なの?」

 

 聞きたくない。

 なのに、飛行場姫の言葉は46cm三連砲の轟音さえ阻めず大和の脳髄を突き刺す。

 

「人間が貴女をどうやって生み出したか忘れたの?

 艦娘として普通に産まれ祝福することを許さず、深海棲艦の腐肉を埋め込み砕けた艤装を砕いて貴女の艤装に混ぜ込み、それだけじゃ飽き足らず記憶を歪め逆らえないよう心まで縛り上げた。

 そうまでされて貴女が従う意義はあるの?」

「ダまれ!!??」

 

 そんな事は百も承知。

 それでも、だからって、

 

「提トクへノ想イはワタしだケのモノよ!!??」

 

 人として愛してもらえなくても、艦娘として信頼して貰えるから戦える。

 そう叫ぶ大和だが、飛行場姫は心底哀れむように首を横に振った。

 

「それも無駄よ。

 だって」

 

 きゅうと口角を上げ、飛行場姫は悪魔めいた笑みと共に絶望を告げた。

 

「貴女はもう、『深海棲艦』(私達の仲間)なんですから」

 

 その残酷な言葉に大和の思考が止まる。

 

「…ウ……そ…だ」

 

 否定したいのに、頭の片隅でそれを否定できず大和は恐怖から後ずさった。

 飛行場姫はそんな様子を哀れみながらゆっくりと諭すように優しく言う。

 

「認めなさい。

 そうでないと、いつまでも苦しいままよ」

「ダマレ!!??」

 

 砲を向ける大和だが、視界に過ぎった己の艤装に目を疑う。

 損傷が激しかった筈の艤装の傷が無くなっていた。

 それだけじゃない。

 鉄の塊だった筈の艤装からまるで獣のような乱喰歯が生え並び、獲物を探すケダモノのようにふしゅるふしゅると息を吐いていた。

 

「ヒッ!?」

 

 悲鳴を上げ大和は艤装を切り外そうとするが、意志とは裏腹に艤装の解除は叶わず、混乱からつい水面に視線を向けてしまった。

 

「ソン…ナ……」

 

 血の気の一切感じられない白い肌。

 肌と同じ一切の色を持たない白い髪。

 そして淡い緑の輝きを放つ瞳。

 それはまさしく『深海棲艦』(人類の敵)の姿だった。

 

「イヤ……イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!??」

 

 大和だった深海棲艦は泣き叫びながらその場を逃げ出した。

 何処へともなく逃げるその後ろ姿を飛行場姫は冷めた目で見送る。

 

「自業自得といっても流石に哀れね」

 

 そう嘯くと飛行場姫は踵返す。

 

「あれを放置したままでいいの?」

 

 そう尋ねたのは飛行場姫に「面白いものが見られるわ」と拉致された港湾棲姫だった。

 

「構う必要はないわ。

 アレは妖精さんからすら見捨てられた艦娘だもの」

 

 飛行場姫が知る限り艦娘が深海棲艦へとなった事例はない。

 普通の艦娘はその魂を妖精さんに守られているため、余程の真似をされ怨みの塊になろうとも深海棲艦になることは叶わないからだ。

 しかし、建造時に深海棲艦の肉体を使用されたあの大和には妖精さんの加護が効きづらく、その上、勝つために数多の艦娘を手に掛けた大和は妖精さんからも怨みを買っていた。

 故に加護を失い大和は深海棲艦に堕ちて(本来の姿を取り戻して)しまった。

 あの大和がいかなる結末を迎えるかは容易に察せられるが、いかなる末路であろうと暫くは海をさ迷い続けるだろう。

 

「さあて、いけない事を考える悪い子にはお仕置きしに行かなきゃね」

 

 大和への興味を打ち切りそう無邪気に笑うと巨大な艤装を呼び出す。

 愚かな人間のその愚かな目的を叩き潰すため、日本に攻撃を仕掛けるのだ。

 浮かび上がって来た艤装には深海棲艦が犇めき戦いの気配に活気づいている。

 

「姫はどうする?」

「……帰る」

 

 それだけ言うと港湾棲姫はとぷんと海中に没していった。

 

「淡泊ね。

 娘の顔ぐらい見ていけばいいのに。

 まあ、艦娘を母と慕う姿なんて見たくもないかな?」

 

 そう言うと飛行場姫は大量の深海棲艦を満載した艤装を横須賀へと向かわせた。

 

 

〜〜〜〜

 

 

 あの大和ともう会うことはないと言い切る言葉に俺は修復を終えてドラム缶を這い出す。

 

「……そうか」

 

 姫の言う末路は多分、深海棲艦化なのだろう。

 妖精さんが艦娘を憎むということは俄かに信じられないが、あの大和ならそれもあるのかもしれない。

 

「とりあえず大和の事は置いといてだ。

 俺の主砲が超重力砲らしいって問題だよな」

 

 そんな反則兵器が本当に搭載されているならアルファが欠けた現状にもまだ勝ち目はある。

 だけど、それ以前に一つ、最も大事な前提が足りないのだ。

 

「俺の火力と雷撃値が0ってのが気にかかるんだよ」

 

 超重力砲がいくら強力でもそれを使う俺の元々の火力が無いからどれだけ威力が出るのか解らない。

 

「火力0って潜水艦より酷い数値だね」

 

 プギャーとでもいいたげに笑う北上。

 やべえ。素でイラッとした。

 爆竹爆雷ぶん投げてやろうかとそう考えていると突然リ級が大声を上げた。

 

「ッテ、ナニコレ!?」

「どうしたりっちゃん?」

 

 残りの資材を南方棲戦姫が喰っちまったのかと見ると、リ級はなにやらホログラムディスプレイみたいなSFちっくなスクリーンを展開していた。

 

「クチクノセイノウガキニナッテシラベタンダケド…」

「ああ、そういうことか」

 

 頭のおかしい性能だから驚いたんだなと何気なくスクリーンを覗き込む。

 

艦名【駆逐イ級】

Lv【65】

装備1【CIWCファランクス】

装備2【OPS−28D 水上レーダー】

装備3【SPY−1D 対空レーダー】

装備4【九三式爆雷投射器】

装備5【超重力砲】

耐久【50】

装甲【50】

回避【0】

搭載【1】

速力【超高速】

射程【超超】

火力【−】

雷装【0】

対空【1500】

索敵【150】

運【1】

 

 

「……パラメータが変わってる?」

 

 あの、なにこれ?

 

「これ、マジで俺のパラメータなのか?」

「ソノハズヨ」

 

 最初に見た時と全っ々違うんだけど。

 つか、火力が数値化不能ってありえるのかよ!!??

 

「ちょっ、妖精さん説明してくれ!!??」

 

 事情を知っているとしたらこいつらしかいないと急いで呼び立てると、身体から一体の妖精さんが出て来て説明した。

 曰、俺の身体には二つの形態があるという。

 一つはアルファを運用するために対空と回避に特化した防空護衛艦モード。

 そしてアルファを運用するために封印した超重力砲を使用する殲滅モード。

 

「形態が二つって、イ級は本当に深海棲艦なの?」

「寧ろ俺が知りたいよ」

 

 そうごちる間に妖精さんが更なる解説をする。

 殲滅形態はアルファがいない状態でのみなることが出来、更に超重力砲だけでなくクラインフィールドも使えるようになるそうなんだが、このモードにはとてつもないリスクがあるらしい。

 一つは消費資材が洒落じゃ済まないこと。

 超重力砲一発撃つために燃料弾薬鋼材ボーキサイトを各一万消費し、補給するまで殆どの機能が停止してしまう。

 そしてもう一つ。

 こちらは更にタチが悪い事に、使った反動に俺が耐えられず轟沈してしまうとのこと。

 

「そのための女神だったのか…」

 

 1スロットに複数の女神なんておかしいとは思ったんだよ。

 だけど、使う度に消費するから纏めさせていたってことだったんか。

 そういうことはちゃんと説明しとけ糞野郎!!??

 声に出さず諸悪の根源に呪いを吐いていると木曾が言う。

 

「明石、ダメコンは無いよな?」

 

 使えと申しますか木曾?

 いや、轟沈しても復活できるらしいし四の五の言わず使うつもりではあるよ?

 でもさ、少しぐらい躊躇してくんない?

 

「あのさ、」

「解ってる」

 

 …え?

 

「止めろと言っても使うんだろ?」

 

 はい?

 固まってる俺に向け木曾は言う。

 

「お前はいつだって自分を省みようとしないで俺達を助けようとしてきた。

 だから、今回もそうなんだろ?」

 

 違え!?

 木曾の奴俺が何を言おうが絶対使うもんだって考えてやがる!!??

 いや、確かに自分と艦娘だったら艦娘優先するよ?

 だけどさ、そんなどんな時だって我が身を省みない正義の味方よろしくなそんな自己犠牲精神の固まりなんかじゃないんですが?

 

「まぁ、イ級はそうだもんね〜」

 

 北上?

 

「だけどさ、もうちょっと自分を大切にしてもいいんだよ?」

 

 お ま え も か ! ?

 

「それに超重力砲は記憶も犠牲にするんだよね?」

「……え〜と」

 

 記憶がない理由をそう繋げられても困るんだけど。

 というか、周りがお通夜みたいな空気を醸してんだが、もしかして全員そんな風に見てたのかよ?

 いや待って!?

 俺はそんな高尚な生き物じゃねえよ!?

 

 なんでこんな事になったんだ!!??

 

「イ級。ダメコンは用意してないけど本気でやる気なの?」

 

 やりたくないよ!!??

 つうかさっきの説明聞いてたよね!?

 全資材各一万だぞ。

 戦艦棲姫から借りてる資材の内三分の一が吹っ飛ぶんだぞ。

 しかも使った分は稼いで返すよう言われてるんだぞ。

 借金地獄に堕ちろってのか!!??

 喚きたい気持ちを必死で抑えて我慢していると、妖精さんが更なる非道の通知をしてくれやがった。

 一発撃とうとしたから資材を補給してくれって…頼むから誰か本気で助けてくれ!!??

 

「残りはどれぐらいなのかしら?」

「どれも二万を切ってるよ」

「なら、次で決める必要があるわね」

 

 借金地獄はとっくに決まってたんですね。

 つかさ、燃料弾薬はまだしも鋼材は誰がそんなに消耗したんだ?

 ……俺とリ級と南方棲戦姫だろうな。

 こうなったらやるしかないよな。

 これで敗走しましたなんてなれば更なる資材の借金が積み重なる事は間違いない。

 借金を増やさないためにもここで絶対決着を着けてやる!!

 そう決めると次を最後の出撃と決め資材を馬鹿みたいに喰らう。

 

「準備完了。さぁ…」

「イ級…」

 

 鬨の声でも上げてやろうかと意気込む俺に、ワ級がそっと応急修理女神を差し出した。

 

「ワ級、これは?」

「ガンバッテタ時ニミツケタノ。

 イ級、スグ無茶スルカラ渡シタクナクテズット隠テタケド、コレガアレバ帰ッテキテクレルヨネ?」

 

 天使だ。

 この娘、本当に天使だよ。

 俺、これが終わったらワ級とケッコンカッコガチする。

 そんで小さな島で二人で静かに暮らすんだ。

 

「普通の深海棲艦が妖精さんを載せていたというの?

 これもイレギュラーの力なのか?」

「ねぇ木曾。意外な強敵が現れたよ」

「まだ勝負は始まっていない!」

 

 外野がうるさいというか聞き捨てならない台詞が混じってる気がするけど気にせず爆雷を外して応急修理女神を載せる。

 

「短い付き合いになるけど頼む」

 

 そう言うと女神の妖精さんは任せろと指を立てる。

 

「ありがとうワ級。

 必ず帰ってくるからな」

「待ッテル」

 

 約束を交わし、俺達は今度こそ終わりにするぞと海面を駆け出した。

 




 という事で爆弾発言満載回でした。

 深海棲艦化が起こらないのはあくまでこの話でのみで、自分はありえると考えているクチですす。
 後、大和は救う予定。
 どういう形かは言いませんが。
 そしてワ級は癒しであり天使。
 これは絶対譲らない。

 次回は決着までいけるといいな…

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