ゴッドイーターになれなかったけど、何とか生きてます。 作:ソン
次の章は「キュウビ編」。主人公はネルちゃんに交代します。
はっきり言って僕の学生時代とか黒歴史もいい所だった。
周囲から押し付けられる不当な扱いに屈してたまるかと、寮や図書館で死に物狂いで勉強し続けた日々。――まぁ、はっきり言ってそれしか無い。
ぶっちゃけ、友達とかいなかった。強いて言うなら、ブレン教官が時折僕の部屋に訪れて、ビールを飲んだりして荒らして帰る位だ。
まぁ、何が言いたいかと言うとあんまりいい記憶が無かったと言う事である。
「……はぁ」
ヘリの中で僕は溜息を零す。
フェンリル士官学校の講演会に僕と、ラケル博士。それも護衛にジュリウスとネルちゃんの二人を招集する時点で、嫌な予感しかしなかった。
「疲れてるわね」
「……まぁ、学生時代はあまり好きじゃなかったですし」
「私も、余り……。少し苦手でした」
「……そういえば、隊長も士官学校卒業だったな。
俺は分からないが、士官学校というのはそれほど窮屈なのか?」
ジュリウスの言葉に、僕は言葉を選ぶ。いや、反射的に返してもいいんだけど愚痴で話題が逸れそうだし。
「窮屈と退屈って所かな。結局、貴族メインの学校だからね。僕は……特殊な形で入学を許された感じだけど」
「? 入学にも違いが?」
「うん。貴族なら試験免除で、エスカレーター式入学。けれど、普通の人は入学試験で篩いにかけられる。後は教官からスカウトされるくらいだけど、よっぽどの理由が無い限りスカウトされない。
だからどうしても貴族が中心になる」
「……貴族、か」
ジュリウスも確か、名家の生まれだと聞いている。両親が無くなって、相続争いに巻き込まれ親戚を転々とする内に、ラケル博士が保護したと。
……そういえば、一つ気になったんだけど。
「ネルちゃんって、どうやって入学したの?」
「へっ?」
僕の言葉に、語尾が跳ね上がるネルちゃん。
あれ、何か変なこと聞いたかな。
「え、い、いやあのですね、私はそのー、スカウトされて入学なんですけど」
「なるほど、その教官も中々に見る目があるな」
「……えっと、その、あんまりいい話じゃないんですけど。
センさんの時代って、外部教育ってありましたか?」
「……うん、あったね」
外部教育――まぁ、一言で言うなら下々の世界を見学するようなモノ。教官が学生を連れて、地下街へ向かうと言う物だ。
そして、本物の暴漢に対して複数の学生で白兵戦を挑ませる。いざと言う時は教官も助太刀する。
この目的は、選民思想を植え付ける事。そして地下街の治安を維持と言う二つの目的がある。おまけに一年目の後半に行うから、中途半端な正義感を持ち始める。
要するに、フェンリルに忠実な人材を作ると言う意味があるのだ。
「私達の時は、外部教育が無くなっていたんです。理由がですね、私達が入学する前年に教官と学生が返り討ちにあったからなんですよ」
「まぁ、いつかはそうなると思ってたけどね。……ん?」
思わず声を挙げる。
ネルちゃんはスカウト――つまり教官と出会っていたと言う事だ。そしてネルちゃんが入学する前年度に、教官と学生が返り討ちにあった。さっきのネルちゃんの反応を見るに――あー、そういう事か。
「……あー、うん。やっぱりいい。大丈夫」
「で、ですよね!」
ジュリウスとラケル博士は首を傾げていたけど、それでいい。
だって、言えないじゃない。
――ネルちゃんが士官学校にスカウトされた理由が、教官と学生を返り討ちにしたからって。
ヘリが着陸態勢に入る。フェンリル士官学校は極めて大きな建物になっていて、その生徒数は益々増えているのだと感じられた。
扉を開けて、ヘリポートに足を下ろす。――懐かしさは感じなかった。
「フェンリル極東支部、ブラッドの方々ですね! お待ちしておりました!」
そう言葉を上げたのは、恐らく警備を務めているであろう人。
僕の記憶にはいないから、結構最近なんだろう。
そうして警備の人に案内され、学校長室まで。――嫌な記憶ばかり蘇るなぁ。
――で、そのまま何故か
「セン博士。我が卒業生から貴方のような方が出てくださり光栄です」
白髪の老人――グレム局長以上に切れ者かもしれない。
フェンリル士官学校とはそう言う物だ。
「えぇ、僕も学校長にお会い出来て何よりです。――ここも僕の知る時と余り変わっていないようで、懐かしいですね」
「それは良い事です。士官学校での日々が卒業の教訓となっていると言う事ですから」
「――」
僕の背後にはジュリウスとネルちゃんが控えていて、隣にはラケル博士が座っている。
机の上には紅茶が三つ。テーブルを挟んで、学校長は微笑を浮かべていた。
「ところで、講演会では何を中心に話したらよいでしょうか。学校での日々は、今と変わらないようですので、卒業後の事を?」
「――そうですね、ですがやはり学校での日々をお話しして頂きたい所です。それがきっと、学生達への励みになります」
……と、まぁ。
一見すると人柄のよいおじいさんと言う感じだけれど。
この士官学校の学長を務めるだけあり、相当気を付けて話さないといけない。
一つ間違えれば、主導権を一気に持っていかれる。
「――分かりました。
後、士官学校内は自由にみてもよろしいでしょうか」
「えぇ、どうぞおかまいなく。学校の空気を懐かしんでください」
――そうして学校長との挨拶も終わり、僕は大きく息を吐いた。
部屋を出て、士官学校をぶらりと回る。
「……中々に曲者ね、あの老人」
「ですね……。今になってわかりましたけど、相当な切れ者です」
ラケル博士が言う程だ。僕が主導権を持つので精一杯だったのは当然なのかもしれない。
……これからもっと交渉が上手くならないと。
「セン、これは?」
「ん、あぁ、ここは食堂。昼休みとかに学生達が食事をする場所なんだ」
士官学校ともなれば、やはりそれなりの食事は約束される。僕もここの食事だけは士官学校生活の中でマシだと思う。
「私も食事は好きでしたね。意外においしいですし」
「僕は食材貰って自炊してたかな。食堂の職員さん凄く優しかったし」
僕の言葉に、ネルちゃんとジュリウスが僕を見る。あれ、何か変な事言った?
「センさん、料理できたんですか?」
「ええっと、まぁムツミちゃんには適わないけど、それなりにかな。気を紛らわす目的もあったからね」
フライア入ってからはやる機会無かったなぁ。
極東支部も忙しかったから余り時間も無かった。
「あら、意外。なら一つ作って貰えば良かったわ」
「極東支部に戻ったら、作りますよ」
談笑しながら歩く。今はまだ授業中だから生徒達の目には触れないのだろう。
懐かしい香りに見覚えのある風景。
「……」
ふと思いを馳せる。
数年前の士官学校の生活が、鮮明に蘇って来た。
「っと」
肩を僅かにずらす。聞こえて来る舌打ち。僕にわざと肩をぶつけて因縁でも付けようとしたのだろうが、そうは行かない。こちらはこちらなりの意地があるのだ。
フェンリル士官学校――僕は現在そこで学生生活を送っている。科目は一応整備課。機械とか弄るの好きだし。
「よお、無能君」
「どうも有能様」
掛けられた声を軽く流して目的の場所まで急ぐ。
目指すは職員室だ。
皮肉に一々反応してたらキリが無い。冷静さだけは僕の取り柄だ。
元々士官学校と名乗るだけあって、貴族の子供が異常に多い。アラガミを実際に見た事も無い者が、アラガミと戦うための組織に入り、裕福な暮らしを目指すと言うのだからある意味お笑い草だ。
「セン・ディアンス入ります」
「来たか、セン。時間通りだな」
職員室で待っていたのはブレン教官。僕と真っ向から向き合ってくれるたった一人の教官である。
教え方や知識、柔軟な思考にかなり頭が切れる。だから教官としては最も適役な人かもしれない。他の生徒からも人気があるし。
「さて、場所を移るぞ。講義は静かな環境が一番だからな」
――で、教官が案内してくれたのは使われていない教室。
机を簡単に並べて、教官はプリントを取り出した。
「セン、お前のレポートだがよく纏まっている。暇潰しには最適な量だ、酒を飲みながらつまみと共に読むと中々悪くなかった。いい肴だ」
それって誉めてるんですか、教官。
「神機とゴッドイーターの関係性の点だが、これは信じるな」
「信じるな?」
「未だにオラクル細胞は判明していない事も多い。教科書なんぞに書いてあるのは、頭の固い連中が体裁を整えるために作った詭弁だ。お前はそれを真に受け過ぎている」
「……」
「だが、忘れろと言う訳では無い。分かっていないとは、結局どちらでもないと言う事だ。
お前の文章から、どうにもそれを真実と捉えて推察している箇所がある。なぜそうなるかと言うのを、多角的に考えてみろ。そうすれば自ずと答えは開けて来る」
これがブレン教官の凄い所。ちゃんと自身の考えを持っていて、その理由を説明してくれる。
素直に凄い。こういった点は。
「セン、お前の思考と閃きに関しては時折俺ですら恐ろしいと感じる時がある」
「恐ろしい……ですか」
「もしお前にゴッドイーターの適性があれば世界に名を轟かす可能性だってゼロじゃない。俺はそう考えている。
――俺以上にお前は頭が切れる。その癖行動力もあり、身体能力も高い」
「身体能力、が?」
「あぁ、同じ人間での格闘戦ならばお前は充分フェンリルの警備兵と戦える。閉所ならば圧倒的にお前が有利だ。ゴッドイーターと言う存在がいる今では価値が低くなってしまったがな」
「えっと……」
「正直、お前にこの学校は向いていない。セン、お前はお前の価値を認めてくれる人と出会うべきだ。ここにいるべき人材では無い」
そう、なんだろうか。
と言うかこれ、人生相談みたいになってないかな。
僕、レポートの指導貰いに来ただけなんだけど。
「長くなった。一応レポート自体は文句無しだ。これなら中身を持つヤツは目を引くはずだ。まず間違いなくな」
「……中身を持つ人、か」
「あぁ、だがセン。お前にはその前にやるべき事がある」
「やるべき、事ですか」
「そうだ」
ブレン教官の目は極めて真剣なモノだった。
「――お前が、本当のお前を知る事だ」
「……」
「自分の無能さを噛み締めろと言う訳じゃない。だがお前は自身を過小評価し過ぎている。故に何も見えていない」
思わず奥歯を噛んだ。
図星だったからかもしれない。
「自身を振り返れ。そしてお前の力を知れ。それが今のお前には何よりも必要だ。
――お前が思考を続ける限り、お前は確かにそこにいる」
「……」
我思う故に我在り。
哲学者の言葉だっただろうか。
確かにそうかもしれない。
僕が自分自身を持てるように。
「分かりました、やってみます」
「あぁ、それでいい。それとだ、セン。今何かいい感じだからお前に謝っておく事がある」
「別にいいですよ、謝らなくても。そんなに大事な事じゃ……」
「計算が面倒だったから、お前の試験の点数をサイコロで決めた」
「――それは謝ってください」
――と、思い返していて気が付けば僕達は大ホールの舞台裏にいた。学生達には講演会自体は伝えているようだけれど、誰の講演会なのかまでは伏せているらしい。
何だろう、何て言うかこういう感じは結構楽しいと思ってしまう。
「よし」
ホールの舞台に繋がる通路から教員の声が聞こえる。
あぁ、何て言うかこういうのは余り慣れない。僕自身慣れていないのもあるからだろうけど。
と言うか何で引き受けたんだろう――と現実逃避はここまで。後は向き合うだけだ。
ジュリウス達と共に舞台へ上がり、教壇に上がる。息を吐いて心を整える。
勿論、生徒達は騒然としている。
人類最高の知能とも呼ばれるラケル・クラウディウス博士に、世界のアラガミ討伐記録を次々と更新し続けるブラッドの元隊長と現隊長であるジュリウス・ヴィスコンティにネルティス、そして世界中から注目されている螺旋の樹に大きく関与したとされているセン・ディアンス。
そんな面子が揃っているのだから無理も無いだろう。僕だって学生時代に榊博士とかと出会ってたら、多分テンション上がってたし。
僕はマイクを手に取る。
――さて、どんな事を言おうかな。
で、講演会も無事に終わり僕らは校内を回っている。
何故か、僕とネルちゃんに。そしてジュリウスとラケル博士に別れて行動している。
僕はネルちゃんと学生時代使っていた部屋に訪れていた。
「ほとんど変わってないなぁ」
どうやら僕が使っていた部屋は現在、生徒がおらず空き部屋になっていると言う。
ベッドに座って、寝転がると懐かしい香りがした。
「センさん、自由時間の楽しみとかありました?」
「……無かったかな。部屋で一人だったし」
「そう……なんですか」
「うん。だからかな、極東支部にいるのが、皆で共に過ごすのが凄く楽しい」
思えばこんな未来が待っているなんて、学生の頃は思ってもいなかった。
ホント、生きていると何があるか分からない。
「――生きる、か」
一人で生きるのが楽しいなら、誰かと一緒に生きるのはもっと楽しいのだろう。
ネルちゃんを見ながら、僕はふとそう考えた。
「……私も、誰かを守れるのがこんなに嬉しいなんて初めてでした。センさんを、貴方を守ると思うだけで、力が湧いてきます」
「はは……ありがとうネルちゃん。僕もだよ、僕も大事な人達の為なら何度だって立ち上がれる。ゴッドイーターの皆が、ブラッドの皆が、ネルちゃんが、教えてくれたから」
手を強く握りしめる。
大丈夫。もう、迷わない。
ラケルはジュリウスを扉の前に残し、学長と向かい合っていた。
「これはこれは、ラケル博士。どうかいたしましたか?」
「いえ。少しばかり気になる事がありましたので」
「ほう、気になる事と。一体なんですかな?」
彼女の口元が僅かに笑った。
「アニーリング計画の総責任者である貴方が、一体何故士官学校の学長になってるのかと疑問を抱きまして」
「何、時のまぐれと言う物です。――私も少し気になる事がありましてな。
アニーリング計画の被検体に、ディアンス家の名を使用した偽名で入学させ常に奨学金と言う名の資金援助を行っている人物に興味があるのですよ」
「フフッ、マグノリア・コンパスは児童養護施設ですもの。可能性を潰したくはありませんわ」
「児童養護施設? ほう、養護と名乗るには亡くなる児童が多すぎるとは思いますが。児童処刑施設と言う名が正しいのでは?」
「そちらの学校では洗脳教育をしているのでしょう? どちらも人としてなくなる事にお変わりないと思いますが?」
それから僅かして、ラケルはクスリと笑ってから学長を見据える。
「――今後もセンの面倒は私が見る事に決まりました。彼は私の物です。彼の隣は私だけの物。
もしそちらが手出ししてきた場合、貴方を地獄の果てまで追い詰めて殺しに行きます。お忘れなきように」
「フッ、私とて茨の道を歩く趣味は無い。彼の事は専門家に任せよう。――彼はこの世界の切り札だ。私にカードを切る才能は無い」
そうしてラケルは一瞥もする事無く、ただ淡々と学長の下を去って行った。
何とか極東支部に帰還した後、僕は最早恒例となりつつある榊博士の呼び出しを受けていた。
けれどいつもと何か雰囲気が違う。
――何て言うか……今は。
「セン君、キミは世界最強のゴッドイーターと言えば誰だと思う?」
「世界最強……ですか」
ふと頭に過ぎるのはブラッドの面々。そして彼らを率いる一人の少女。
けれどもそんな彼女ですら、世界と比べればトップクラスの内の一人でしかない。
「……神薙ユウさん、でしょう」
「うむ、私もその通りだと思う」
神薙ユウ。極東支部で最初の新型神機適合者であり、今やその名を知らない者はいないと言われるゴッドイーター。
有名なのはアラガミ化したゴッドイーターを救出した、と言う逸話だろう。アラガミ化したゴッドイーターを助ける手段など不可能に等しい。けれどその不可能を打ち破ったのだ。
無数のアラガミを単独で交戦し殲滅した、と言う話など指で数えきれないくらい。
榊博士からすれば、自慢できる者の一人なのだろう。
「そのユウ君が、まもなく極東支部へと帰還する」
「!」
「リンドウ君にツバキ君も共に帰還する予定だ。極東支部は史上最強に近づきつつある。
――セン君、キミの力の見せ所だよ。最強とそれに最も近いゴッドイーターを、キミがオペレートするんだ」
「……それほど重要な作戦が?」
「そう。詳細は彼らが帰ってきてからにしよう」
――極東支部に最強が集う。そして彼らを僕がサポートする。
やるしかないんだ。無理だ、出来ないなんて、都合のいい言葉は使わない。
僕が僕に出来る事を、何とかしてこなしていく。それが僕の役目。
――けれど、迫りつつある異変に僕は気づけなかった。
PVを意識した結果↓
「彼女の血の力は喚起。そしてアニーリング計画によって得たもう一つの血の力『覚醒』。その力はいつか、ゴッドイーターの新たな可能性を切り開くでしょう」
最強が姿を現す。
「僕達クレイドルは、レトロオラクル細胞の入手すべくキュウビ討伐のために帰還した」
「極東支部及びブラッドの、協力を要請する。人類の未来が掛かっているんだ」
レトロオラクル細胞と言う人類の未来を左右する存在、最強と呼ばれるゴッドイーターの帰還はゴッドイーター達の心を歓喜させていた。
しかし――
「セン……さん?」
彼の体がゆっくりと倒れていく。まるでスローモーションのように、鮮明に彼女の瞳へと焼き付いた。
「――センさん!」
原因不明の病に倒れた一人の研究者。彼を中心として物語は加速する。
「これから話す事は、全て真実よ」
人類の未来か、それとも彼の命か。
「――このままだと、センは在るだけで全てを殺す大量殺戮兵器になる。
私達に残された選択は二つ」
いやだ。
「レトロオラクル細胞の目的を彼の生存のために変更する。けれどそれで彼が助かるかは分からない。博打に近いわ。レトロオラクル細胞が無駄になる可能性もある」
私が、私が守るんだ。
「――彼を一生外に出れない棺桶へ閉じ込めて、人類の未来の為にレトロオラクル細胞を入手するか。もう二度と彼とは会えない。彼の声を聞く事も出来ない。けれど人類の未来は約束される」
彼を守る。
そのために私は生きて来た。そのために戦ってきた。
「! この反応は、通常のキュウビ種じゃありません!」
「アレは……」
「おいおい、んなのありかよ……」
アイツを、アイツを倒す。
そうすればあの人は助かる。
「――ネル! 撤退するぞ、準備を……」
ここで退けば、もうあの人は助からない。
倒す。倒す。あの人を助ける。そのためなら、私は――
「こ、拘束フレームパージ!? 一体何を……!」
――如何なる誓約も受け入れる。
「私が、必ず助ける。だから、待っててくださいセンさん」
ブラッドレイジ、発動。