ゴッドイーターになれなかったけど、何とか生きてます。   作:ソン

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 ついカッとなって書いた。反省はしている。


 信じられるか? 今までの話よりも文字数が一番多いんだぜコレ。
 色々なネタと悪乗りが入っています。頭を空にしてお読みください。


 ちなみに自分が読んだ感想としては。


 これは酷い。この一言に尽きる話でした。


小話1 誕生秘話

 

「おー! シプレだ、シプレ!」

 

 テレビモニターに映る金髪の少女。それを見るや否や、ロミオが興奮と共に立ち上がる。

 どうしてかは分からないけど、今僕の研究室にはブラッドの皆が勢揃いしていて、何故か昔の記録媒体―俗にいうDVD―を使用して、バラエティ番組を見ていたのである。そしてDVDを交換しようとした時に、CMにシプレが映ったのである。

 ちなみにロミオはシプレの大ファンらしい。

 そんなロミオを見て、ネルちゃんが僕に目線を合わせて来た。

 

「へー、フライアでも人気なんですか? センさん」

「あー、うーん。人気って言うか、そのー……」

「シプレはフライアで誕生したからな」

 

 ジュリウスの発言に、皆が驚いた。そりゃそうなるよね。

 シプレとフライアなんて中々組み合わさらないし。

 

「ご当地アイドルみたいな感じかなー。フライアの職員の人達は皆ファンみたいだし」

「そりゃそうだろー! このルックスにこの歌声! ユノさんと双璧を成すくらいだぜ!」

「……センさんもですか」

「僕は、何て言うか……えっとー」

「だってセンはシプレファンクラブの会長だもんな!」

 

 うん、ロミオ。お願いだから少し黙っていてくれ。ほら、ネルちゃんの目つきが険しくなった。何かビーム出しそうな勢いだよ。アラガミを一睨みで退散させそうな強烈さだよ。

 

「? どうしてセン博士が?」

「シエル、それはだな。センだけがシプレ本人と会えるからだ」

 

 うん、それには色々な裏話があるんだよね。僕がグレム局長に信頼されるようになったのはシプレのおかげだけど。

 そういえば、今からちょうど一年くらい前だったかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、楽にしてくれ」

 

 グレム局長の部屋には、僕とラケル博士にレア博士、そしてクジョウ博士がいる。何故か丸形のテーブルが用意されていて、その上には白紙とペンがおいてあった。

 ちなみに僕の事だけれど、未だにグレム局長には信頼されていない。まぁ、一年フライアにいたくらいじゃ当たり前だし、僕がここにいられるのはラケル博士のおかげもある。

 だから僕は少しグレム局長が苦手だ。

 

「さて、まず神機兵計画の進み具合だが――それよりも優先すべき問題がある」

 

 いつも踏ん反り返って葉巻を吸っていたはずのグレム局長が珍しく、今日は真剣だ。何かあったんだろうか。

 僕と同じことを考えたのか、レア博士が口を開いた。

 

「問題は特に見受けられないと思うのですが……。素材、コスト、時間共にまだ然程問題として取り上げる必要は無いかと……」

「違うのだ、レア博士。我々は重大な問題を見過ごしていた」

 

 頭を振りながら、グレム局長が立ち上がる。顔色を見ると少し悪く、何か落ち込んでいるように見えた。

 

「昨日な、昨日。ウチの娘にな、神機兵のファンになってもらおうと話をしたんだ。写真とか計画書とか一杯見せてな、興味持ってもらおうってね。お父さん努力したんだよ」

 

 グレム局長妻子持ちなんだよね。娘さんの写真みたけど凄く可愛らしかった。鳶が鷹を生むとはこの事だろうと、納得したくらいである。

 と言うか、何で娘に神機兵とか話したんですか、貴方。

 

「そしたらな、そしたらな……」

 

 段々声が涙ぐんで来てる。うん、何かこの先予測出来たぞ。

 

「『神機兵ってゴツゴツしてキモイ、コンゴウみたい、こんなのに守られたくない!』と言ってきてな……」

「あー……」

 

 思わず声が出た。うん、何か同情する。

 確かに僕も神機兵のデザインは少しゴツゴツしていると思う。何て言うかもう少しスマートな方がいいんじゃないかなって思ったけど、僕はデザインを実施できなかったから仕方ない。カメラアイにバイザーを加えた程度だ。

 ちなみに僕の考えたカッコイイ神機兵は、白をベースにしたスマートな体型で背部に翼を連想させるブースターがついている物だ。後両手にアサルトライフルと背中にミサイルもあったら完璧、ってそれもう神機兵じゃないや。別のナニカだ。

 

「ここまで話せばわかっただろう。我々がまず先に解決すべき問題はコストでも素材でも技術でも無い。神機兵のイメージアップなのだ!」

 

 それ貴方が娘に気に入られたいだけでしょう、って思ったけど確かに納得出来る。イメージアップは大切な事だ。それがどういった事をもたらすのかは、既に僕が身をもって体験している。

 

「各自、神機兵のイメージアップを考えろ。それまで神機兵計画は凍結とする!」

 

 もうやだ、この局長。

 

 

 

 

 

 そんな訳で僕はラケル博士と共に、僕の研究室まで戻って来た。僕としてもラケル博士と何か相談もしたいし、必要となればジェフサ博士を介しての説得も必要になるかもしれない。

 

「困った事になったわね」

「そうですね」

 

 ラケル博士の分のココア―砂糖ミルクアリアリ―を用意して、今後の事を話していた。

 本当にどうしようか。

 

「残念だけど、今回は頭脳で解決出来る問題じゃ無さそうよ」

「コレどっちかと言うと職員の人達に意見を求めるべきでしたよね」

 

 ラケル博士も今回ばかりは少し頭を抱えている。この問題に求められるのは純粋な閃きとインスピレーションだ。計算と予測と修正で何とかなる問題じゃ無い。

 

「言われたら仕方ないわ。センはどう?」

「うーん……」

 

 前の世界の記憶を引っ張り出す。

 とりあえず紙に考えた事を書き出してみた。

 

 

 

 

1,『アイドルに神機兵をPRしてもらう』

 

「アイドルってなぁに?」

「えーっと、歌って踊る人達の事です」

「そう。……お姉様は無理ね、駄肉ばかりだから人受けはしないわ。特に胸が」

 

 いや、レア博士って凄いモデル体型だと思うんですけど。

 でも確かにアイドル……永遠の十八歳とかで売り込めるかは怪しい。

 とりあえず保留。

 

2、『神機兵のデザインを変えてみる』

 

「デザインが格好良くか可愛くなれば人受けしますよね。で、人から人へ伝わっていくみたいな感じです」

「そう。確かに私もあのデザインは好きじゃないわ、コンゴウみたいだし」

 

 今、頭に提督とか浮かんだ僕は末期なんだろうか。まぁ、それは置いといて。

 

「それで、センの考えたデザインはどんなのがあるの?」

「……まだ思いつきません。多分、一部の男性には人気が出るかもしれませんけど、女性受けは余りよろしくないかなーって」

「?」

 

 戦う機械ってそんな物だし。

 

3、『いっそのこと評判を自演する』

 

「無いわね」

「ですね」

 

 

 

 

 その後、一時間くらい考えたけど結局いい案は浮かばず、僕は何かヒントが見つからないかとフライアのロビーへ降りてきていた。

 さて、一体どうしたものか。

 

「難しそうな顔をしているな」

「うん、色々とね」

 

 ミッションを終えた後らしく、ジュリウスが階段から降りて来る。

 ジュリウスに聞くのも一種の手立てかもしれないけど、生憎彼はそういった娯楽とは無縁そうな人物だ。休暇中にする事と言えば訓練と読書――どう考えても決定打にはならない。

 だけど今は状況が状況だ。縋れる物なら何でも縋る。

 

「クジョウ博士から聞いた。何でも広告手段が必要らしいな」

「それでずっと考えてるんだけどいい案が浮かばなくて……。と言うかクジョウ博士行動が早いね」

 

 ジュリウスが手渡してきたのは一枚のディスクだった。少し汚れたケースの中に入っているけど、ディスク自体に問題は無い。

 これは僕の前の世界で言うCD的な存在だろう。もう裕福な人達ばかりが出来る娯楽になってしまったけど。

 

「ミッション中、ロミオが偶然見つけてな。奇跡的にアラガミの捕喰を免れていたらしく、保存状態も良好だ。内容は……俺には理解できない世界だったな」

 

 うん、絶対中身見ないよ。

 嫌な予感するし、何かそのディスク禍々しい雰囲気持ってるし。

 でもヒントにはなったかな。

 

「記録媒体、か。広告としては悪くないかな」

 

 人気が出ればCMとかに出るかもしれないし。

 

 

 

 

「と、言う訳なんだけど……」

「へへっ、それなら俺に任しときなって!」

 

 最後の最後で僕が強力な戦力(仮)として頼ったのが、ロミオである。彼ならば突破口を持っているはずだ……!

 そして相談するや否や自慢げに親指を立てる姿に、胸を撫で下ろした。うん、彼ならやっぱり何とかしてくれる。

 

「まずなー、そういうのはアイドルとか必要なんだよ」

「……アイドルか」

 

 ラケル博士との案でも出たが、問題は誰がアイドルをするかという事である。

 レア博士はそういうの苦手そうだし、ジュリウスはどちらかと言うと年上のお姉さま方ばかりが人気にしそうだし、ユノさんとはまだコンタクトを取る手段も無いし。

 

「それも考えたんだけど、アイドルになってくれる人がね……」

「? いないなら作ればいいじゃんか」

「だからそれが……」

 

 待て。今ロミオは何と言った?

 作る? ……アイドルを、作る?

 

「それだっ!」

「へへっ、それで歌とか作ってさ、グッズ展開もすればイメージアップなんて完璧だぜ!」

 

 そうだ! これならイケる!

 ならすぐに実行しないと!

 

「で、アイドルの特徴はどうするんだ?」

「へ?」

「だってよ、ただ作ればいいってモンじゃなくて、人気が出るポイントが必要だぜ」

「あ、そうか……」

 

 とは言ってもそういうのは個人差があるのだ。

 そこばかりはよく確認しないとどうしようもない。

 

「まず女の子だな。可愛い女の子は同性からも人気が出るんだ」

「……ふむ」

「次に可愛らしい事。露骨って所が必要だな」

「……へぇ」

「そして露出。肌を見せないアイドルなんていないぜ」

「……ほー」

「最後に踊れる事だ。歌って踊れるのが最低条件だからな」

「……うん、参考になったよ。ありがとうね、ロミオ」

「あぁ、またいつでも頼ってくれよー!」

 

 まずはモデルとなる人が必要だけど、どうしようか。

 レア博士は大人っぽいイメージがあるから、アイドルには向いていない。

 だとすれば消去法で残るのは、あの人だけど……。

 

「……話しても納得してくれないだろうな」

 

 うん、遠くから観察するしかないね。

 

 

 

 

 それで僕が実行したのは、モデルとなる人を隠れて観察する事である。要するに一日限定ストーカーだ。

 見つかれば即アウト。僕の評判は地に落ちるだろう。いや、もう落ちてるけど。チート仕様だけど人生ベリーハード的な。

 ちなみに僕の今の状況も中々にベリーハードである。

 

『ち、近いぞ! 離れろ!』

『そもそも二人一緒って言うのが無理だったんですよ!』

 

 クジョウ博士である。

 何故か僕がモデルとなる人を観察しようとした所、顔を紅くしながら『つ、付き合ってやらんでもないぞ』と言われた。男のツンデレとか誰得。

 そんなクジョウ博士と二人でゴミ箱の中に入り、隙間から部屋を覗くと言う訳だ。

 

『! 私のセンサーが反応している! 来るぞ!』

『いや、センサーって何ですか……』

『静かに! 声が大きい!』

 

 声が大きいのは貴方です。

 隙間から見ると、金髪の少女が入室してきていた。ラケル博士である。

 そう、僕がモデルとして選んだのはラケル博士なのだ。見つかれば、ナニされるか分かったもんじゃない。

 ちなみにクジョウ博士はうっとりしながら、メモ帖に何かを書き込んでいる。暗いのに凄いですね。

 

「さて、どうしましょうか」

 

 うん、こうしてみるとやっぱりラケル博士って上品な声をしてる。

 アイドルとするには、綺麗すぎるかもしれないけど背は腹には変えられないのだ。

 今の内に特徴を見てみよう。

 金髪の長い髪、華奢な手足、白い肌、低い身長――アイドルの条件としてはパーフェクトである。

 だけど問題が一つ。

 

『……うーん』

 

 車椅子なのだ。

 聞いた話によるとラケル博士は幼い頃に大けがをしたらしくその時に脊椎損傷を受けて、足が動かなくなってしまったらしい。

 昔話を聞いた時、微笑みながら僕にそう話してくれたけど、話を聞いていた身としては何とも言えなかった。

 アイドルとしてはどうにもね。……やっぱりそこはレア博士を参考にするしかないか。

 

『あぁ、ラケル博士……! 本日も美しい……! えぇい、近すぎだ貴様!』

『ちょ、どこ触ってるんですか!』

『近い貴様が悪い! 離れろ! その腰のポーチが邪魔だ!』

『だから無理ですって! それポーチじゃないです!』

 

 っと、暗いはずの視界が急に明るくなった。

 ギギギ、と顔を上げてみれば微笑んだラケル博士が立ってる。

 うん、詰んだわコレ。

 

「は、はは。ラケル博士、本日もお美しいです……」

「あら、ありがとうございます。クジョウ博士」

「どうも、現在フィールドワーク中です。ラケル博士」

「えぇ、楽しそうな声だったわセン。クジョウ博士との二人きりは随分とご満足だったようね」

 

 どう考えても違います。

 場所を移動したラケル博士が車椅子のスイッチを押した。

 

「いっ!?」

 

 青白く見えた光線――タイルとタイルの間から見えたソレが何なのか、嫌でも分かった。

 ――レーザーである。

 そう、某生物兵器映画でトラウマを持つ人を続出させたあのレーザーである。

 それが僕達目掛けて飛来し、入っていたゴミ箱を両断する。クジョウ博士は無事。僕は少し掠ったくらい。うん、白衣が焦げたくらいだ大丈夫。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

 突然、タイルに穴が開いてクジョウ博士が落ちていく。……うわ、やばい。ここってバイオ系の部屋だったっけ。多分、ゲームだったら今頃コマンドで□+×かL1+R1とか出てる時だ。

 

「ふふふ、さぁセン。逃げられると思わない事ね」

「……逃げようとして、ドアに触れたら感電か爆破ですか?」

「あら、よくわかったわね」

 

 鍵じゃねぇのかよ!

 バックドラフトより酷いわ!

 

「センにはまだおしおきが必要みたいね」

 

 そう言って舌なめずりするラケル博士。

 うわぁ、今度こそヤバい。

 おしおきは前にも受けた事あるけど、今度はそれよりヤバい気がする。

 周囲を見る。窓無し、ドア使えない、換気扇天井、逃げようとしたらレーザー。

 もう一回言おう。

 詰んだわコレ。

 

「激しくと優しく、どちらが好き?」

「……もういっそのこと激しくでいいです」

「ふふっ、素直ね」

 

 そう言って僕に車いすごと近づいて来るラケル博士。

 もう逃げられないね、これは。

 

「何か言う事は?」

「お手柔らかにお願いします」

「無理、ね」

 

 死んだわコレ。

 

 

 

 

 後日、ラケル博士から奇跡的に生還した僕は早速アイドルの作成に取り掛かっていた。

 もうほとんど完成と言ってもいいが、僕は肝心の事を忘れてしまっていた。

 

「……曲、どうしよう」

 

 そう、そこが問題なのだ。アイドルらしい曲――言わば女の子らしい歌詞を用意しなければならないが、生憎僕にそこまで考える力は無い。

 しまった。完成を急ぎすぎる余り、肝心な所を忘れてしまっていた。

 

「セン、調子はどう?」

「ラケル博士、お疲れ様です」

 

 ラケル博士が僕の研究室に入ってきた。うん、もう何も怖くない。

 強いて言うならば、僕に恐怖なんてないのだ。ふはははは。

 まぁ、それは置いといて。

 

「一応完成する事はしたんですけど……肝心の曲が」

「センの事だからそうなるとは思ってたわ。ほら、これを使いなさい」

「?」

 

 ラケル博士が手渡してきたのは、一枚のノートだった。中身を見ると、女の子の字で詩が綴ってある。

 ……どうやって、コレを? まぁ、いいか。

 

「作詞はそれで大丈夫でしょう」

「はい、ありがとうございます。作曲なら何とかやれそうです」

「ふふっ、完成が楽しみね」

 

 そう言って、僕の部屋から出ていくラケル博士。

 さて、じゃあ作業に取り掛かろうか。

 

『ラケル! アレは、アレはどこ!』

『あら、お姉様。どうされたのですか?』

『ラケル、お願い! アレは、アレだけは返して頂戴!』

『ふふっ、心配ありませんわ。お姉様のお言葉は、きっと、未来永劫、語り継がれていく事でしょう』

『いやぁぁぁぁ!』

 

 あー、あー聞こえない聞こえない。

 何も聞こえない。僕には聞こえません。

 何も聞こえないアピールをするために、僕は歌を口ずさむ。

 

「How can I break the fall……」

 

 

 

 

 

 

「で、出来た……!」

「えぇ、ご苦労様。セン」

 

 僕とラケル博士が見つめるモニターの中では金髪の少女が空飛ぶ円盤に乗ってノリノリで歌いながら踊っている。

 無駄に背後で踊る神機兵は、モニタリング動作から拝借した。決して実際の神機兵を使ってはいない。限りなくアウトに近いセーフである。

 

「まさか、アイドルを作ってしまうなんて。貴方の可能性は無限大ね」

「……まぁ、色々な人からヒントを貰いましたから。僕一人の力じゃないです」

 

 ここでもう一度、金髪の少女の造形を見る。

 まず上半身はラケル博士をイメージして、作り上げた。金髪の長い髪にツインテール。笑顔がとても似合う表情。上品なイメージを持たせるために、あえて胸は小さくした。決しておしおきとかの恨みでは無い。決して。

 下半身はレア博士をイメージ。スラリとした長い足と絶対領域―ロミオのリクエスト―を意識。これでもかと色々詰めこんだ。

 ダンスモーションの方は、旧世代のイメージビデオを見ながら作成。僕としては神機兵のモーションを作る方が楽しかったですハイ。

 

「これで後はグレム局長に見せるだけなんですが……」

「私とお姉様は好評よ?」

 

 レア博士……。今度こそ弱み握られましたね。

 

「あー、疲れた」

 

 アイドル一人作るのにここまで大変とは思わなかった。

 神機兵作り終えたら皆にデータとして配布しよう。

 

「それで、設定はどうするのかしら?」

「……え?」

「まさか合成アイドルなんて言う訳じゃないでしょう? 実在してこそアイドルは意味があるのよ」

「えー、あー、うーん……」

 

 どうする、どうする考えろ。

 バレない方法。誰にもバレない方法。

 

「……精神体」

「……えっ?」

「神機兵の精神体という事にしましょう。僕にしか見えないと言う設定で、僕がビデオを介して再生したら見えるとか言う感じで」

「……無理やりね」

 

 うん、だって急造だもん。仕方ない。

 

 

 

 

 と、そんな訳でグレム局長に見せたところ、姿と設定共に大好評を頂き娘さんからの評価も上がった事で、神機兵計画も再開。おまけにグレム局長の信頼を勝ち取る事に成功した。

 そしてこれまた意外なのが、シプレ―香水の香りから付けた―の人気がフライア内外で大きく広がり、グッズ展開も上々。お金ががっぽり入って来て、さらにグレム局長が大満足し、フライアの設備も拡張。まさかの良い事尽くめだった。

 強いて言うなら、レア博士の精神が日々マッハで削り取られていく事とシプレの人気が神機兵を大きく超えてしまった事くらい。

 

「あー、本当にシプレ可愛いなー。センもそう思うだろ!?」

「あー、うん、そーだね」

 

 世界中のモニターで、今日も少女は元気に問いかける。

 

 

 

 神機兵シルププレ?

 

 

 




カット及びネタ解説


>>ビーム出しそうな勢いだよ
武具など無粋……!

>>「『神機兵ってゴツゴツしてキモイ、コンゴウみたい
ここですが、最初はコンゴウをゴリラと書いてました。ですがいざ考え直したら「GE界にゴリラっているのか?」って思ったのでコンゴウと書き直してます。

>>ちなみに僕の考えたカッコイイ神機兵は
どう見てもホワイト・グリントです本当にありがとうございました。ちなみにHAL学園のCMでロボットが出ている時期があったと思いますがその時の白い機体がコレです。

>>ラケル博士の分のココア―砂糖ミルクアリアリ―
バトラー、バンホーテンのココアをよく練って持ってこい。

>>でも確かにアイドル……永遠の十八歳
中の人ネタです。ザ・ボス役の時は凄かったです。

>>今、頭に提督とか浮かんだ僕は末期
バアアアアニングゥ!ラアアアアブ!!
ちなみにサーバー一杯で入れません。誰か助けて。

>>内容は……俺には理解できない世界だったな
アラガミ「申し訳ないがホモはNG」

>>『だから無理ですって! それポーチじゃないです!』
修正前は最後に『それ俺のωです!』って書いてたんですが、露骨な下ネタだったんで修正しました。疲れてるんだ……俺。

>> そう、某生物兵器でトラウマを持つ人
合衆国エージェントなら回避できて当然みたいです。

>>ゲームだったら今頃コマンドで□+×かL1+R1とか出てる時だ
手口が古臭いんだよ!

>>バックドラフトより酷いわ!
USJのアトラクション……ではなく、火災の時にドアを開けたら火が迫って来るヤツです。作者はUSJでこれを知って、常に消火器を家に置くようにしました。

>>きっと、未来永劫、語り継がれていく事でしょう
逝くなぁぁぁぁっ!!

>>「How can I break the fall……」
ご存じNo way backの一つ目の歌詞です。最初は「あいむしんかーとぅーとぅーとぅーとぅとぅー」にしてたんですが、ACネタ入れすぎたから自重しました。

>>神機兵の精神体という事にしましょう
この世界はいつだってわがままで、理不尽な選択を迫り、それが現実として連綿と続いていく……。

>>レア博士の精神が日々マッハで削り取られていく
学校にテロリストが来たらとか言う妄想しましたよね、皆さん? その時の妄想がドラマで放映されてようなモンです。

>>神機兵シルププレ?
オゥメルシー!
俺、大きくなったら神機兵乗るんだ……。

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