ブラック・ブレット -弱者と強者の境界線-   作:緑餅 +上新粉

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今回はお話ばっかです。


30.救済

 蓮太郎から貰った電話で病院まで急ぎ、俺は受付から面会の許可を得て()()の病室を探し歩く。しかし、それから数分とかからないうちに、扉の前で医師と会話をする蓮太郎と木更を発見した。

 俺は暫しその場で待つことにし、話が終わったところを見計らって二人に声を掛ける。

 

 

「あら、美ヶ月さん。怪我をしたって里見くんから聞いていたけど...壮健そうで何よりです」

 

「はは、この通りピンシャンしてるよ。蓮太郎は....やばいな、その顔」

 

「やっぱりそうか。いやでも、今は俺の身体より先に説明しなきゃならないことがある」

 

 

 蓮太郎は背後の病室の扉を開けると、中に入るよう促す。俺はそれに頷き、生唾を飲み込んでから扉を潜った。そして、その先にある白いベッドには――――――――――――――

 

 

「延珠は人間が持つ致死量の数十倍の麻酔を打たれて、廃墟の一室に寝かされてたらしい」

 

「それでも生きてるってことは、ガストレアウイルスが麻酔の効果を和らげたから、か」

 

 

 実は、延珠とティナの戦闘が行われたビルは建設途中であり、その階下をくまなく調べられたのだが...延珠は忽然と姿を眩ませており、夥しい血痕と、彼女のものと思われる服の切れ端ぐらいしか発見できなかった。

 警察の調べによると、銃撃に使われていたのはバラニウム混合の弾丸ではないらしく、彼女の生存率は極めて高かったはずなのだ。しかし、この場にいないのであれば、生きたまま何かしらの方法で移動した可能性が浮上してくる。となれば、推測される方法の中でもっとも信憑性が高いのは...延珠がティナに連れ去られた可能性だろう。

 

 

(いや、それより.....)

 

 

 これはその場にいた多田島警部から聞いた話だが、血痕が飛んだ方向、量などを調査してみたところ、複数個所から同時に狙撃された可能性が高かったらしく、不可解に思い周囲のビルも調査してみると、固定された重機関銃が三か所から発見されたらしい。

 常識的に考えれば、それぞれの機関銃に使い手がいるはずなのだが...

 

 

(おかしい。じゃあ何で延珠はここにいる)

 

 

 『延珠は強い。だからこそ確実に排除する』そう考えての作戦であったはずだ。

 ならば、一度手中にターゲットを収めて置いて、二日寝込むくらいの麻酔を打って帰すなどありえない。....あまりにも、甘すぎる。

 仮に狙撃手が複数いたとして、全員ティナのような考えの輩を固めて寄越すか?もしそれが正解だったとしたら、黒幕の頭は沸いているだろう。

 ならば――――――――

 

 

「蓮太郎。三回目の非公式会議は明日だったよな」

 

「あ、ああ」

 

「よし。お前はまず体裁を整えてこい。それが終わったら、聖天子様から渡されたティナの情報をくれ」

 

 

 

 ―――――一人だけでもそれを為せる、なんらかの方法を使っているはずだ。

 

 

 

          ****

 

 

 四賢人。

 それは、日本を含め、アメリカ、オーストラリア、ドイツの四か国に存在する、機械化兵士プロジェクトの元最高責任者たち。

 蓮太郎が関わったのは、日本の『新人類創造計画』。主導は室戸菫ドクターだ。

 そして、かつて東京エリア破滅を目論んだ男である蛭子影胤は、機械化兵士の計画そのものを統括するアルブレヒト・グリューネワルト教授が関わっている。

 そのほかにも、オーストラリア支部『オベリスク』の最高責任者アーサー・ザナック教授、アメリカ支部『NEXT』最高責任者エイン・ランド教授と並ぶが...

 

 今回の聖天子狙撃事件に一枚噛んでいるのは、驚くことにこの中の一人であった。

 

 

「エイン・ランド...アメリカの頭脳がティナのバックに着いていたとは」

 

「離せ樹万くん!あの阿呆は一度殴ってやらねば気が済まんッ!」

 

「だからってどうするんですか。今からアメリカへ飛んでいってケンカ売るんですか?」

 

「..............ハァ、すまない。取り乱した」

 

 

 何とか落ち着いてくれたドクターを羽交い絞め状態から解放し、俺は資料を拡げる。その紙には、イニシエーターであるティナの名前と、プロモーターであるエイン・ランドの名前、そして、ティナの強化兵士としてのスペックを数値で表したグラフが添付されていた。

 さきほど、この紙を見た瞬間に怒号を上げて暴れ出したドクターを見た蓮太郎は、今しがたようやく驚きから帰って来たらしく、多少居心地悪そうな表情をしながら聞いた。

 

 

「先生。なんであんなに怒ってたんだ?」

 

「.......君はガストレアに身体の大部分を喰われ、瀕死の重傷の中で手術を受けただろう?」

 

「そうだったな。受けなきゃ完璧に死んでた」

 

「そう、それだ」

 

 

 ドクターは蓮太郎の返答に頷くと、腕を組みながら続ける。

 

 

「それは、あの蛭子影胤も同じでね。内臓の障害があって、機械化兵士とならなければ死んでいたんだ。そして、彼は君と同じように生きることを望んで手術を受けた。...つまり私たち四賢人は、科学者である前に『医者』であろうとしたんだ。これは、計画が始まる前に立てた私たちの誓いなんだよ」

 

 そう。ドクターの言う通り、絶望的な状況に追いやられた人を救うための『治療』として、機械化兵士プロジェクトは存在した。

 手術の成功率は決して高いとは言えなかったが、それでも彼らは命に対して最大限の畏敬を持って接していたのだ。

 彼女はそこで一旦言葉を切り、腕を組み替えると下に向けていた視線を上げ、蓮太郎の方へ向けた。

 

 

「今の話を分かった上で聞こうか...君は、呪われた子どもたちが病に罹って死んだという話をきいたことはあるかい?」

 

「......いいや」

 

 

 ガストレアウイルスは宿主を守る働きがある。俺も経験したことではあるが、彼女たちはどんな環境であろうと、一切の病気や障害にかかることはない。具体的には、宿主の体内に侵入してきたもので生命維持に関わる異物を無毒化するように働く、ということだ。

 だとすれば、蓮太郎や影胤のように、彼女たちが衰弱してしまうことはありえない。

 

 

「『子供たち』をバラニウム器具で手術して、身体能力を向上させているんですか」

 

「そういうことだ。奴は医者として持つべき最低限の矜持さえゴミ箱へ投げ捨てた。人道的、道徳的とは実に名ばかりの世の中ではあるが、それらを牽引するべき私たちは無視することなど許されないんだよ」

 

 

 机を叩いて再度怒りを顕わにするドクター。蓮太郎も、エイン・ランドが行った手術がいかに酷いものか理解が及んだらしく、爪が食い込みそうなほど拳を握りしめていた。

 恐らく、彼の研究室は『失敗作』の山となっているはずだ。成功確率は人間がベースとなる通常の手術よりも確実に低くなるから、ティナのような完成体は数えるくらいしか存在しないだろう。...はた目から見れば、ただ殺してるようにしか見えないのではないか?

 

 

「―――――さて、話は変わるが、目下問題となっている敵の攻略法だ。と、その前に一つだけ話しておきたいことがある」

 

 

 ドクターは人差し指を立てると、資料が山積みとなった机に備え付けられた椅子へ腰を下ろす。

 

 

「エインのヤツに戦闘能力は無い。だから、ティナ・スプラウトとともに東京エリアへ潜伏はしていないだろう。きっと無線かなにかの通信手段で情報提供するにとどまっているはずだ」

 

「じゃあ、イニシエーターのティナは....」

 

「察しがいいな、蓮太郎くん。そう、ティナ・スプラウトのIP序列...九十八という数字は、彼女自身の能力によって保たれている」

 

 

 蓮太郎は目を見開いたまま固まる。それはそうだろう。IPとはプロモーターとイニシエーターの頭文字をとり、二者の戦闘能力を総合した上で数値化しているのだ。個人の能力のみで二桁台に達するなど、彼にとってカルチャーショックにも等しい衝撃なはずだ。

 ドクターは蓮太郎の反応を華麗にスルーし、資料の山から一枚のディスクを取り出しながら口を開いた。

 

 

「では、本題だ。戦闘時に集めた君たちの情報を総合して見たところ、ティナ・スプラウトの能力...つまり、多方向からの同時射撃や、動作する標的への遠距離射撃を可能とする方法について心当たりが出てきた」

 

「やっぱり、あるんですね。そんなものが」

 

「あるにはある。だが、実現は不可能と言われていたものだ」

 

 

 PCへディスクを挿入し、すぐにデスクトップから表示されたフォルダに飛ぶ。すると、開いたデータの中には一つの動画があった。

 起動させる前に、ドクターは心底面倒そうな表情をしながらも机を漁り、一つのリモコンを掘り当てる。続けて、それを操作してスクリーンを降ろし、PCとプロジェクターを無線で繋いでから動画を再生させた。

 

 

「何だ...?」

 

 

 映し出されたのは、目隠しされた大柄な男性がハンドガンを一丁握って立っている映像だった。男と向かい合うように、大分離れたところへ射撃用ターゲットがある。これは、目隠しした状態の射撃訓練か?

 蓮太郎とともに、画像が荒く、碌なBGMすらない映像を訝しみながら見ていると、画面が男のやや背後に切り替わる。同時に、男はジャケットから妙な黒い球のようなモノを引っ張り出してきた。それは無造作に地面に向かって放られたが、接触することなくゆっくりと浮き上がり、男の周りを旋回し始める。

 そして、男が腕を振り下ろした瞬間、謎の黒い球体はターゲットに向かって素早く飛行していく。それからすぐに持っていた拳銃を発砲し、ターゲットの中心に穴をあけた。

 ......なるほど、理屈は分かった。

 

 

「せ、先生。これは...」

 

「思考駆動型インターフェース『シェンフィールド』。これは、ブレイン・マシン・インターフェースの理論を使ったものだ」

 

 

 ブレイン(B)マシン(M)インターフェース(I)。それは、かつて手足が不自由な人たちのために開発され、使用者の脳波をコンピュータが受け取り電気信号に変換することで、義手などを思った通りに動かし、近くの物を取ったり持ち上げたりできる技術だ。これを蓮太郎にそっくりそのまましたあと、説明する過程で浮かんだおかしな点について考える。

 ...あの映像で見た限りでは、男の頭に電極は一つもついておらず、部屋にパソコンなどの通信機器が一切見当たらなかった。

 

 

「BMI....俺は一応知っていますが、既存する理論をそっくりそのまま当てはめたのだとしたら、あの動画は良くできたCGか何かだと思います」

 

「ふははは!言ってくれるじゃないか。だが、残念ながらこれは現実で起こったものの記録さ。ただ、君の言った通り従来のBMI技術ではこんな芸当を為すのは不可能だろう。しかし、BMIは大幅な進歩を遂げたんだ。映像の男は脳内にニューロチップを埋め込まれていてね。あのビットに積まれた観測機器で、風速やら位置情報やらの詳細なデータを無線で使用者へ送っている」

 

「だから、目隠しした状態でもターゲットを撃ち抜けたんですか。でも――――っうお!蓮太郎、何で音を最大にしてんだ!?うるさいっての!」

 

 

 何故か動画をもう一度最初から再生し、かつ音を最大にするという訳の分からない行動をした蓮太郎を諌めるが、映像から響いてきた聞き覚えのある音に声を止めた。

 ...間違いない。これはビルを飛び移ってる最中、狙撃される前に聞こえた虫の羽音みたいな異音だ!

 どうやら蓮太郎も聞いていたらしく、動画を止めて俺の方を見ると、少し口角を吊り上げた。ああ、ドンピシャだ蓮太郎!

 

 

「ふむ、よくわからんが何か掴めたようだな。....しかし、エインの奴がこれの研究を続けていたことにも驚いたが、まさか完成させていたとは露程も思わなかった」

 

「完成させてた?...でも、あの映像じゃ完璧に使いこなしてたじゃねぇか」

 

「いいや、アレには欠点があってね。使い続けるとニューロチップが熱を持って、使用者の脳を焼いてしまうんだ。実際、動画に映っていた男はこの実験後に死亡している」

 

 

 やはりそうか。あれだけの精密射撃を為すほど情報処理を任せてるんだ。何のリスクも無しだとはおかしいと思っていた。だが、アメリカの頭脳、エイン・ランドはBMIの究極型を完成させた。証明はティナの狙撃で既にされている。

 ...目標をシェンフィールドで追い、その情報を下に寸分たがわぬ狙撃を可能とさせる。これなら、車や人間などの動く標的にも、自分が見えている限りいくらでも銃弾を叩き込める。しかし、それだけでは夜に行った遠距離からの狙撃は説明できない。暗視サイトだけでは、タイヤやガソリンタンクなどをピンポイントで狙えないからだ。

 

 この問題は、ティナの持っていたフクロウの因子が解決する。

 

 フクロウは夜目に優れ、かつ視力も人間とは比べようもないほど優れている。この二つの要因が重なり、ティナは人間離れした狙撃技術を演出していた。

 改めて考えると、噛み合いすぎて寒気がするほどだ。

 

 

「.....蓮太郎。お前はティナとの戦いから降りろ」

 

「なッ、一人で行くつもりかよ!」

 

「お前じゃティナに勝てない」

 

「っ...確かにそうだけどよ。それは樹万だって同じだろうが」

 

 

 そうだ。俺は彼女との戦闘に敗北している。いくらガストレアウイルスの驚異的な再生能力があろうと、腕や足が飛ばされれれば完全な修復には数十分かかるし、その間にハチの巣にされれば死ぬ。

 次は、きっとない。度重なる非公式会談もここ辺りが引き際だろう。もし邪魔をすれば、今度こそ殺される。

 

 

「二人とも、今回は止めておきたまえ」

 

「先生まで!何でだ、蛭子影胤と戦うときは止めなかったじゃねぇか!」

 

「あの時は東京エリア全体が危機に陥っていた。だが、今回は違う。たった一人の犠牲で全てが丸く収まるものだ」

 

 

 俺はドクターの言に口を挟まず、目を背ける。この人は欲目無しに状況を評価して正論を突きつけて来るから、聞き手にはダメージ大だ。

 それに対し、蓮太郎は尚も反論を繰り返す。

 

 

「まさか先生....聖天子様を見殺しにしろっていうのかよ」

 

「そのまさかさ。確かに、彼女が持つ人としての価値は相当なものだ。だがな、それは統治者としての価値だろう?統治する場所が、民衆がいなければそれは全く意味を為さなくなる。天秤が圧倒的に釣り合わない。言っておくが、彼女は神ではないんだぞ?」

 

 

 蓮太郎は何かを言いかけるが、歯を噛み締めてしまう。

 ドクターはそんな蓮太郎を見ながら真摯な表情で言った。

 

 

「君たちは強い。そして、多くの人の心の支えにもなっている。無論私もだ。...だから思いとどまれ。二人とも今死ぬべきではない」

 

 

 聖天子様を失うわけにはいかない。だが、彼女を狙うティナと俺たちが戦って、勝てるという確証がない。つまり、聖天子様を守れず俺も蓮太郎も殺されるという結末もあるということだ。ドクターはそれを危惧している。

 最小限の犠牲で事を終える。それは確かにハッピーエンドなのだろう。しかし、俺はそれで納得しない。

 全員救って全員笑顔。それこそが、本当のハッピーエンドだ。

 

 

「ドクター、残念ながら俺は死にませんよ」

 

「いいや、樹万くん。君は『死に難い』だけでちゃんと死と直結している。相手は対人戦のプロフェッショナルだろう。分が悪すぎる」

 

「人生諦めが肝心。そんな事を抜かすオッサンと長い間一緒にいたから、俺は諦めるとか、妥協するとか言う言葉は大嫌いなんです。....だから、大事なものは全部一網打尽にしないと、気が済まない」

 

 

 俺はそれだけ言うと、研究室を後にしようとする。が、腕を捕られて足が止まった。背後には、何かを訴えかけるような強い意志を瞳に宿す蓮太郎の顔があった。....ああ、そうか。お前も諦めたくないのか。

 俺は一瞬だけ笑みを浮かべると、一回り成長した蓮太郎へ頷きかける。しかし、彼の背後で、世をいつも現実的に捉えて来たドクターが俺の考えを一蹴した。

 

 

「ふざけるな!君は何もかもを救うと、そう言っているのか!?この腐った世界に救いなど一片もないことは、地獄すら生ぬるい場所を生きて来たことで知ったはずだろうが!」

 

「ええ、知ってますよ。それくらい腐った世界だから、救いの無い世界だから.....俺は誰かを救おうと思えるんです」

 

 

 そうだ。何を俺は悩んでいたんだ。世界が誰かを救ってくれないなら、自分でその誰かを救えばいい。選択肢は必ずしも限られているわけではないのだから。

 どちらかを選んでどちらかを捨てるという覚悟を持てないのは、甘えなのかもしれない。でも、何も捨てずに全てを選び取るという覚悟が持てるのなら、それは強さだ。

 

 蓮太郎は、俺の言葉が終わった後にドクターの方へ振り返る。

 

 

 

「先生、俺は何もしないで諦めるのは嫌だ。だから、戦ってくる」

 

「何もしないのが最善だと言っているッ!君は聖天子とともに死にたいのか?!」

 

「聖天子様はまだなにも成し遂げてないッ。俺たちが絶対に死なせねぇよ」

 

 

 そう言うと、蓮太郎は俺の横を通り過ぎて研究室を出て行った。アイツも覚悟を決めたみたいだな。

 短く息を吐いてから、俺も御暇しようと扉に手を掛けた時、

 

 

「樹万くん。人間は、心臓を潰されれば死ぬんだ」

 

「....ええ、そうですね。一応、心臓を再生させることも出来ますが、終わる頃には脳が死んでるでしょう」

 

「――――――これが最後だ。ティナ・スプラウトとの戦闘を止めろ」

 

「それは無理です。ティナを放っておくことはできません。俺はアイツの事を知り過ぎましたから」

 

 

 俺は今度こそ立ち去ろうと扉を開けたが、ドクターの尚も俺の名前を呼ぶ声が聞こえ、眉を顰めながら振り返る。すると、突如大き目のプラスチックケースが前方から飛来し、自分の顔面へ衝突する前に片手で掴みとる。

 透明なケースの中には、赤い液体が入った十本以上の注射器が並んでいた。これは...見覚えがあるな。

 

 

「AGV試験薬だ。君はそれを何のリスクも無しに使えるだろう。きっと役に立つはずだ」

 

「ドクター...」

 

「感慨に耽るのは全て終わってからにしろ。私がここまで譲歩したんだ。二人とも五体満足で帰って来なければ、死体を弄繰り回してやるからな」

 

 

 捨て台詞のような事を吐くと、ドクターは肩を怒らせながら研究室の奥に引っ込んで行ってしまった。

 全く不器用な人だ。俺はそう思いながら、後腐れの無い気分で研究室を後にする。

 

 




次回はティナとの決戦。
本当は蓮太郎との共闘はナシにする予定だったんですが、彼の性格を考えると樹万一人に任せるのはおかしいかなと思ったので、結果こうなりました。

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