ブラック・ブレット -弱者と強者の境界線-   作:緑餅 +上新粉

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ここでは人物、用語紹介をしております。※先に人物紹介、後に用語紹介という順番です。

長らく作っては来なかったのですが、やはり原作未読者にも読みやすいようにと考えると、こういったものは必要だろうと思い至った次第です。
なるべく意図しないネタバレ等には気を付けて構成したつもりですが、喰らってしまった方、誠にすみません....

挿絵も挟んでありますが、原作のイメージを大切にしたい方などは、なるべく閲覧をお控え下さい。
大丈夫、という方は以降自己責任でお願いいたします。感想等での批判もお答えしかねます。

以上です。もっとブラブレ界隈賑やかにならないかなぁ。



人物紹介・用語辞典


─────────・序説・─────────

 

 

 

 

 

 生き残る種とは、最も強いものではない。

 

 最も知的なものでもない。

 

 それは、変化に最もよく適応したものである。

 

 ──チャールズ・ダーウィン───

 

 

 

 

 

 そう。

 ただ貪るだけでは生き残れない。強者となれない。

 正しき選択とは何だ。何をすれば命を失わずに済む。

 

 思考、施行、失敗、学習。思考、施行、失敗、学習。思考、施行────

 

 無限とも言える、そのサイクル。無駄とも取れる、その自然摂理への逆行。数多在る生物が生命を賭して繰り返し、導き出した答えは、即ち、

 

 ────適応せよ。順応せよ。地獄や煉獄に負けぬ意志を、そして屈強さを求めよ。

 さすれば、弱者の纏う襤褸(らんる)は脱げよう。昇華した力は、自ずと生存に最適な道を示すだろう。

 

 だが、決して慢心するな。己を絶対と過信するな。

 世界は何れの生命にも手心を加えぬ。結果に胡座をかいた者から命脈は絶たれる。

 

 嗚呼。だというのに、残念だ。

 結局、霊長類最強、『知恵のあるひと』と目された人類でさえ、戴天の敵一個に悉く殺された。

 

 何故か。その疑問こそ、堕落した元凶。

 

 人はいつしか、思考を止め、施行を辞め、失敗のみを繰り返した。

 己が築いた栄華に酔い、致命的な欠陥すら失念し続けた。

 

 ────ヒトは、根源的には弱者(愚か)であった。

 

 否、若しくは。ヒト『でさえ』弱者となり得るのであれば、或いはこの世の何処にも、そして未来永劫、真の強者など存在しえないのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────・人物紹介・────────

 

※一つめの項で全章共通の内容、それ以降は各章で明らかになっている情報を追加していきます。まだ本作を読み進めていない方は、前述の一項のみの文を閲覧ください。

※章ごと、登場する人物を紹介していきます。本作未読の方は、一章以降の人物紹介の閲覧を推奨いたしません。

 

 

 

 

 

【一章 『弱者・美ヶ月樹万』 登場人物】

 

 

美ヶ月(みかづき) 樹万(たつま) 

【挿絵表示】

 

 本作、『弱者と強者の境界線』のオリジナルキャラクター兼主人公。黒髪黒目。23歳、男性。民警。イニシエーターは高島飛那。初期の序列は約15万位。

 

 美ヶ月民間警備会社社長。社員は己を除くとイニシエーターである高島飛那しかいないので、社長職と民警職の二足のわらじを履いてやりくりしている。とはいえ、依頼など滅多に来ないので、別段忙しいというわけでは全くない。

 

 一章時点では争いごとを好まず、基本外周区近くの事務所でぐーたれる毎日を送る。また、日々の仕事は高島飛那とともに生活できる、ごく最低限の分のみ行っている。それ故に序列は全く上がっておらず、民警としてのランクは下位中の下位。 

 

 

 

 

 

────ここからは二章既読後閲覧推奨────

 

 

 二章で驚異的な自己再生能を持つことが判明。通常であれば致命傷であるはずの傷も瞬く間に修復する。ただ、樹万は人間としての有り様に拘りがあり、積極的にこの能力を使いたがらない節がある。

 

 大戦時、大型ガストレアに故郷を滅ぼされた過去を持つ。当時は樹万自身も重傷を負ったが、偶然その場に居合わせた謎の神父の男、『オッサン』に助けられる。その後は原因不明の高い再生能力に興味を持たれ、ガストレア大戦時代を共に生き延びた。

 

 二章中盤以降は、里見蓮太郎に引っ張られる形で東京エリア内の事件に巻き込まれていく。樹万は血液中のガストレアウイルスを操るという特異体質を利用し、指定した生物の因子を持つウイルスのみを動かし、自在に体内組成を変化させて戦闘を行う。

 

 ステージごとに強化のレベルを上げることが可能で、外見の変質(形象崩壊)もある程度ならコントロールができる。単因子と複合因子とを分けて発現させたり、主因子を指定し、それに他の生物の特徴を付属させるという細かい指示も実行可能。

 

 発動時はイニシエーターと同様に赤目となるが、室戸菫製の特殊コンタクトレンズで、発光する赤い目を覆い隠すことができている。

 以下にステージごとの特徴を示す。

 

 

ステージⅠ:自身の身体の一部を指定した生物因子で強化。基本単因子。形象崩壊を完全抑制可能だが、逆に形象崩壊を作為的に起こすことはできない。

 

ステージⅡ:自身の身体の複数部位を同時多発的に変異・強化。単因子、複合因子双方指定可能。形象崩壊を完全抑制可能。手足など、身体を作為的に形象崩壊させることも可能。

 

ステージⅢ:自身の身体の複数部位を同時多発的に変異・強化。基本、単因子は指定不可能。防御や攻撃といった方面に秀でた変異体、特化型複合因子を発現可能。形象崩壊抑制可能。ただし、発現因子の数によっては抑制不可。

 

ステージⅣ:自身の身体の一部、または全てを変異・強化。単因子も可能だが、その場合は主因子を指定した後、複数の生物因子で強化を施す特化型単因子を使用する。複合因子選択時、形象崩壊抑制不可能。

 

ステージⅤ:?

 

 

 これに合わせ、『オッサン』直伝の戦闘技術を駆使し立ち回る。この技はどれも大威力で、会得してからは素手でガストレアを殺すことも可能になった。しかし、発動前に行う動作はどれも意味不明なものが大半で、また攻撃に全く関連しないことから、謎が非常に多い。

 以下は判明しているオッサン直伝技の名称と特徴を示す。

 

 

当たって砕けろ(タケミカヅチ)

 背負い投げに近いモーションで敵を捕捉、亜音速で障害物に激突させる。その衝撃は一切外に漏れず、内部に無理矢理押し込められる。外皮や装甲の厚さ堅さを無視できるため、ガストレアには致命的な一撃となる。

 

天の岩戸粉砕突き(アメノウズメ)

 作中でも屈指の使用頻度を誇る拳技。ただの正拳突きでも十分な威力を発揮するが、しっかりと意味不明な予備動作を行った後に発動した場合は、二つの技の段階がある。一段目は普通の正拳突き。二段目は一段目に放った拳を真横にスライドすることで発生し、任意で『衝撃の全てを無効化する』か、『障害物の全てを破壊する』というトンデモない効力を発揮する。

 

日出は瞬きの間(アメノオシホミミ)

 通称絶対回避。未知の部分が多いが、敵の認識をどうこうすることにより絶対回避は演出されるらしい。連続使用は不可。

 

嵐が来れば大火は収まる(スサノヲノカミ)

 拳を作った腕を上方へ垂直に立てたあと、片膝をついて地面にその拳を落とし、力を込めながら反時計回りに腕を回す。これで発動する技。

 その威力は非常に高く、拳を置いた地点から扇状に大気の断層が20cm間隔で発生。断層では気圧が急激に上昇し、瞬間的に千m級の深海と同様のものとなる。

 広範囲に渡って破壊をもたらし、ガストレアが綺麗にカッティングされる光景を見ることができる。

 

五月蠅けりゃ青い鳥も撃たれる(アメノワカヒコノカミ)

 手に何らかの物体を持つ場合のみ使用可能。腕を後ろに引くモーションだけで発動できるため、即時使用したい場合に最適。

 手中にある物体を音速近い速度で射出。撃ち出された物体は質量や体積の大小にかかわらず等速直線運動をするため、障害物に衝突したりしない限り速度は緩まない。

 

蛇に睨まれた蚤(ヤマタノオロチ)

 自身に纏わせた『圧』を飛ばす。視界に映らずとも、当たりさえすれば効果を発揮する。喰らった相手は長時間に渡り行動不能となり、事実上置物状態にすることが可能。

 『一対一』、『二対一』(最上位で八対一)とレベルを設定でき、ガストレアの再生レベルに合わせて使用する。また、行動を止めるだけでなく、殺害することも可能。

 例えば、ステージⅠガストレアに対して使用する場合、通常なら『一対一』で行動は停止させることが可能だが、二つ上の『三対一』をすると、運動機能だけでなく臓器の活動までをも停止させてしまうため、撃破ができる。

 

一を窮めて全を成す(ゾウカサンジン)

 右中指を二度折り、左の親指と人差し指の腹同士を三度叩き、続けて中指、薬指、小指を一度ずつ親指の腹と合わせ、発動。効果は、使用者の意図することを、大体上手く叶えてくれる。という技。言葉だけでは分かりにくいので、以下に例を示す。

 仮に目前のガストレアを倒すために使用したとすれば、何の前触れもなく頭が消し飛んだり、空中から岩石が落ちて来たり、爆発したりする。結果、相手は死ぬ。

 現実では事が起こるにあたり、必ず原因が存在し、複数の過程を踏んで結果に結びつくものだが、これはそういったものをすっ飛ばし、結果へ直結するという性質を持つ。

 非常に強力な技だが、かなりの制約がある模様。

 

 

 以降、新規に判明し次第更新。

 

 また、ガストレア大戦を生き抜き、世界各地の戦場を点々としたため、鹵獲した銃火器の数は大量。それら全ては旧事務所の地下に保管しており、必要になればそこから調達している。

 

 過去、多くの人々を助け、また救えなかった樹万だが、彼の名は殆どの人間に知られていない。

 ただ、室戸菫からは『英雄』と呼ばれ、ステージⅤを討伐したともされるが、詳細は不明。

 

 

 

 

 

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高島(たかしま) 飛那(ひな) 

【挿絵表示】

 

 本作、『弱者と強者の境界線』オリジナルキャラクター兼ヒロインの一人。銀髪蒼眼。10歳、女性。

 

 美ヶ月樹万のイニシエーターとして、美ヶ月民間警備会社の社員に属している。鉄面皮、愛想無し、怜悧な面持ち、これらの要素から非常にとっつきにくいイメージを持たれがちだが、素の彼女は割とコミカルで残念。

 

 とはいえ、これまでに心を完全に開いたプロモーターは美ヶ月樹万ただ一人であり、それまでの人間とは前述した見た目通りの意思疎通しかしていない。そのため、彼女の持つ身体的性質もあり、大抵のプロモーターは一か月もしないうちに、すぐに他のイニシエーターと再契約をしている。

 

 

 

 

 

────ここから一章既読後閲覧推奨────

 

 

 飛那はモデル・ホークとモデル・イーグルの両方を持つ、複合因子(ダブルファクター)のイニシエーター。

 

 当初はどちらかを単一で発現することができず、また双方を同時発現させるとガストレアウイルスによる体内侵食が平時の5~6倍上昇してしまうことから、戦闘を真面に行うことが出来なかった。

 

 本来なら民警の社員として採用できるようなポテンシャルではないのだが、東京エリアはイニシエーター含め、呪われた子どもたちの人権はある程度保証されている。なので、身体的、もしくは精神的に問題があっても、このことに予め同意した者であれば、東京エリアの民警限定で、基本的に契約は可能だった。

 

 そんな背景を余所に、飛那は他のイニシエーターと比べても雰囲気やプロポーションは別格であり、それを目当てに契約を持ちかけるプロモーターが多くいたため、ハンデを加味しても通常のイニシエーターより需要は寧ろ高かった。が、そういう人間は全て彼女の『今すぐガストレアになって貴方を喰い殺しますよ?』という発言によりトラウマを植え付けられている。

 

 現在は樹万の奮闘により因子の単一発現に成功し、戦闘時はどちらか一方を選択している。それまでの間は室戸菫に依頼し、本来なら液化型の侵食抑制剤を錠剤型に加工してもらっており、戦闘前に服用することで侵食率の上昇を抑え、イニシエーターとして活動はできていた。

 

 戦闘スタイルは主に視力の良さを生かした狙撃。運動能力も高いため、本来なら近接戦闘もある程度できるが、樹万はその方面を伸ばそうとはしなかった。理由は単純に、可能な限り敵から遠ざけた状態で戦って欲しいからである。

 

 己が抱えていた闇の全てを消し去り、また戦う理由をくれた樹万に対し、飛那はこの上ない好意を寄せている。世界と樹万を天秤に乗せても、彼一人に傾くほどだ。

 

 

 

 

 

 

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・オッサン

 本作、『弱者と強者の境界線』オリジナルキャラクターの一人。茶髪に神父服を着こみ、長剣やガトリングを使用する男。

 

 見た目は美ヶ月樹万の言によりある程度判明しているが、その素性は定かではない。ガストレア大戦初期に故郷を奪われた樹万を救っており、その後は彼とともに行動したが、その目的や理由も胡乱で、はっきりとしていない。

 

 樹万を東京エリアへ住まわせた張本人。また、バレットナイフの元持ち主。生きているのに死んでいる人間、つまり惰性と諦観混じりで生きる人間が殺したいほど嫌いな人物。

 

 戦闘能力に関しては、樹万によれば大戦中も傷付いた姿を一切見たことがないという。ガストレアとの交戦時は常に一方的で、百だろうが万だろうが、その気になれば集ったガストレアを一瞬で消し飛ばしているらしい。

 

 樹万と共に世界各国のガストレア交戦地域へ足を運び、多くの人々を救ってきたが、両名の記録はほとんど残っていない。

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 ガストレア大戦終了後、作中には二度だけ表に顔を出している。

 

 一度目は天童木更をJNSC会議室まで導く案内役として登場。その後、がなり立てる轡田防衛大臣を蹴り飛ばした。更には、刀ではなく無手とはいえ、天童菊之丞の攻撃を防ぐなど、やりたい放題した挙句、勝手に姿を消した。当時の本人の発言から、かなり踏み込んだ知識量を持つことが予想される。

 

 二度目は美ヶ月樹万の新居訪問。樹万が高島飛那、千寿夏世へ初めて自身の秘密を打ち明ける場面に立ち会う。彼が居るだけで盗聴や立ち聞きといった小細工をほぼ無効にできるという。

 

 いずれも物語の中核あたりで登場しているが、そこまで大きな影響を残してはいない。

 

 これ以降、現在も行方は様として知れない。たまに樹万の携帯電話へ非通知で通話を掛けて来ていることから、生存は確認できている。とはいえ、少なくとも安全なエリアに身は置いていないようで、ガストレア犇めく未踏査領域を闊歩していると思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【二章 『強者・蛭子影胤』 登場人物】

 

 

里見(さとみ) 蓮太郎(れんたろう) 

【挿絵表示】

 

 原作、『黒の銃弾』の主人公。東京エリアの勾田高校へ通う高校二年生。16歳、男性。序列は初期時点で12万3452位。木更大好き。

 

 天童民間警備会社の社員。イニシエーターは藍原延珠。相当な不幸顔らしく、他人が抱く第一印象は最悪と言っていい。とはいえ、根は善良で思いやりはあり、口調は乱暴ながらも端々からその()が出ている。

 

 会社からの収入が少なく、オンボロアパートで延珠と二人暮らしをしている。日々の良心は特売日で買ったモヤシ。そして、そんな粗末な食材からでも彼は上手い飯を作る。こういう生活をしているからか、料理だけでなく家事スキルも総じて高い。

 

 また、幼少の頃に図書館に籠って読んでいたファーブル昆虫記の影響で、生き物にはとても詳しい。

 

 本作の主人公、美ヶ月樹万とは一章以降に出会うこととなり、東京エリア内で起こる数々の戦いに立ち向かっていく。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後閲覧推奨────

 

 

 蓮太郎は六歳のころにガストレア大戦で両親を亡くし、あらゆる戦闘術の流派を持つ名家、天童家に引き取られている。そこでは政治家へ仕立て上げようと目論んだ天童菊之丞により、著名人らが出席する催し物に連れ回されたり、仏師の修行を受けさせられたりしていた。その過程で天童木更とは顔見知りになり、やがて仲良くなった。

 

 ある日、唐突に屋敷へ侵入したガストレアにより、天童木更を庇って右腕右足、そして左目を失う重傷を受けた。瀕死状態の彼が運び込まれたのは、室戸菫が執刀医のセクション22。そこで『新人類創造計画』の手術を受けることで機械化兵士となり、命を繋ぎとめた。後に木更とともに天童家を出奔し、民間警備会社を設立し、社員となった。

 

 失った右腕右足には超バラニウムという、通常のバラニウムより純度の高い素材が使われており、カートリッジを撃発させれば高速移動、そして高威力の一撃を可能とできる。カートリッジの弾数は、腕に10、足に15となっている。菫曰く『君は100億円の人間だ』。

 

 また左目は『二一式黒膂石義眼』という、視神経と直結し、内蔵された演算装置により思考回転数の増加を行える機器を備える。それに合わせ、会得した天童式戦闘術を振るうことで高次の戦闘能力を発揮可能。

 

 天童式戦闘術は、拳を元に技を繰り出す『一の型』、足を元に技を繰り出す『二の型』、そのどれにも属さない技の『三の型』で構成されている。また、技の流れや精度、威力を上げる術の一つとして『構え』という型も存在する。

 

 二章で同じ機械化兵士である蛭子影胤、小比奈と戦い、そして勝利した『蛭子影胤追撃作戦』後は、序列1000位まで引き上げている。

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 三章でのティナ・スプラウト戦勝利時は、序列300位となっている。

 

 ガストレア戦争後、自身の大切なものの全てを奪っていったガストレアを憎んでいたが、藍原延珠と出会い、憎悪の渦から救われた。このことから、彼は延珠の幸せを心から望んでいる。また、彼女も同様に蓮太郎の幸せを心から願っている。

 

 蓮太郎の最終目標は、自身の肉親である里見高春、里見舞風優のことを知り、そして己のルーツを知ること。

 

 

 

 

 

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藍原(あいはら) 延珠(えんじゅ) 

【挿絵表示】

 

 原作、『黒い銃弾』の登場人物の一人。長い橙色の髪を兎柄のヘアピンでツインテールに纏めた少女。10歳。

 里見蓮太郎のイニシエーターにして、自称婚約者(ふぃあんせ)。蓮太郎に『女性として』恋心を抱いており、木更を目の敵にしている。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後閲覧推奨────

 

 

 明るく闊達な少女だが、児童養護施設に居た頃に、給付金目的で虐待を受けた暗い過去を持っており、人を信じることを忘れたこともあった。

 

 現在は蓮太郎から貰える給料を元手に、『天誅ガールズ』というアニメグッズを揃えることを趣味としている。たまにコスプレするらしい。

 

 モデルはラビット。素早い動きと強烈な蹴りが特徴。ステージⅠ程度の体躯なら蹴り一発で軽々と吹き飛ばせる。また膂力も相当で、蓮太郎を肩に乗せて走り回ることも可能。

 

 移動速度や動体視力も凄まじく、接近戦では並大抵のイニシエーターでは敵わないだろうとされる蛭子小比奈の攻撃をいなしている。なお、彼女には勝手にライバル視されている模様。

 

 高いポテンシャルを持つイニシエーターではあるが、同時に高い体内侵食率という問題も抱える。三章にて判明している時点で40%となっており、この事実を知る蓮太郎や菫は延珠に伝えられずにいる。

 

 

 

 

 

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天童(てんどう) 木更(きさら) 

【挿絵表示】

 

 原作、『黒の銃弾』のヒロイン。蓮太郎とは同い年の16歳だが、通う学園は美和女学院という屈指のお嬢様学校。黒い長髪に、高校生とは思えない胸部の戦闘力を誇る女性。

 

 天童民間警備会社の社長を務める。しかし、一階がゲイバーで二回がキャバクラと言う立地条件の悪さ故か、本人が直接事務所に足を運んでの依頼は極端に少ない。というか無い。なので収入が少なく、学院に通うための高い学費を自身で捻出していることもあり、極貧生活を余儀なくされている。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 司馬重工の社長令嬢、司馬未織とは犬猿の仲。羽振りの良さを暗に見せつけられている、という面も嫌う要因だろうが、何より蓮太郎へ必要以上にスキンシップを求めるのが大層気に入らないらしい。その蓮太郎曰く『水と油どころか、天と地ほどに相容れないと言っていい』。

 

 甲斐性無しだおバカだ何だといいながらも、蓮太郎には少なからず好意を寄せている。だが、持ち前のプライドの高さと暗い過去とが邪魔をし、想いを伝える道は辛く困難な様相を呈している模様。

 

 天童式抜刀術の免許皆伝。その剣閃は光の如く鮮烈で、刀身が触れずとも対象を別つ離れ業すら会得している。また、情報収集能力も極めて高く、標的の足取りを高い精度で掴むことができる。

 

 木更は、父と母、また蓮太郎がガストレアに襲われている現場を見たショックで、腎臓の機能が大きく失われており、定期的な人工透析を強いられている。これが原因で、高い戦闘能力を持っているにもかかわらず、事務が大半の社長と言う職務につかざるを得ない現状となった。

 

 このガストレアによる天童家襲撃事件だが、同じ天童の家の者の(はかりごと)である可能性が高く、それを知った木更は復讐の鬼となり、狂ったように剣へと打ちこんだ。それで身に着けた技は全て、天童の人間を殺し尽すためのもの。

 

 普段はこのような側面は見せないが、内に秘めるその憎悪は人をして抱えられるものとは思えないほどに淀み、濁り切っている。もしそれを吐き出せるような人間、つまり天童の者が現れ、そして戦闘に持ち込むことが出来れば────恐らく、彼女は迷うことなく『ソレ』を行うだろう。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 四章では緊急事態のため、急きょ聖天子に掛け合い、序列剥奪中であったティナ・スプラウトとペアを組んだ。序列は9200位。

 

 

 

 

 

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千寿(せんじゅ) 夏世(かよ) 

【挿絵表示】

 

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。また本作のヒロインの一人。伊熊将監のイニシエーター。碧がかったショートボブに左右から下げる三つ編みが特徴。序列は1584位。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 表情の起伏が少なく、穏やかな性格。元々は将監のイニシエーターとして三ヶ島ロイヤルガーターに所属していたが、二章の『蛭子影胤追撃作戦』にて戦闘中に将監が右腕を失う重傷を負い、作戦終了後に民警を辞退。それによりフリーとなった夏世は、同作戦中に共に行動し、また胸の内をぶつけ合った美ヶ月樹万とのペア結成を志願し、それが認められた。

 

 だが、その後に帰ってきた高島飛那により猛反発を受け、結果ペアは即日解消。代わりにIISOのイニシエーター登録を自ら抹消依頼し、美ヶ月民間警備会社のいち社員として雇われ、現在は東京エリア第一区の新事務所に居住中。主に家事やお茶出し等の仕事をしている。

 

 モデル・ドルフィン、イルカの因子を持つイニシエーターのため、高い思考能力を持つ。十代前半の少女とは思えない落ち着いた判断力と、戦況の分析力は後方支援に適している。とはいえ、直接的な戦闘面はあまり得意ではなく、攻撃は主に銃器に依存。愛用しているのはG11突撃銃。

 

 

 原作準拠であれば、夏世は二章にて死亡している。

 影胤との戦闘に向かう道すがら、蓮太郎と延珠の後方から迫った大量のガストレアと必死の戦闘を繰り広げ、結果全ての敵を打倒。蓮太郎は影胤とステージⅤガストレア・スコーピオンを撃破した後に、ガストレアの死骸に沈む彼女を発見する。生存はしていたが、既に体内侵食率は50%以上を割っており、それを理解した夏世自身も『人のまま死にたい』という懇願を申し出る。

 XD拳銃を構えつつも躊躇う蓮太郎だが、彼女の後押しで未来に進む決意をし、その責務を全うした。

 

 

 

 

 

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聖天子(せいてんし) 

【挿絵表示】

 

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。白いセミロングの髪に白い肌、白いドレスという純白で彩られた穢れ無き少女。16歳。現東京エリア国家元首。

 

 まだ若いが、強い信念を持った少女。齢16にして、国にとって必要なものは手繰り、不必要なものは吟味した上で切り捨てるという、難しい判断ができる。それに合わせて行動力もあり、東京エリアの国家元首としての器はあるように思える。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 年相応の部分も無論あり、特に自分にとって初対面時から遠慮のなかった蓮太郎に対しては特別な想いを抱いている。どうにかして彼を助けようと私欲で動きかけることも。

 

 また、他国ではまず見られない呪われたこどもたちに対し一定の地位を与える政策を行う。だが、批判は根強く、蓮太郎のようにガストレアによって親族や友人が被害を受けた民衆からは軒並み嫌悪感を抱かれている。

 

 二章から物語に主要人物として介入し始める。天童菊之丞を補佐官とし、国家元首の執務を行う傍ら、突発的な緊急事態に対する対応も見られる。

 

 

 原作では最新刊まで存命。三章のようにあからさまに命を狙われることは以降なく、基本聖居にいることもあり、生命の危機は無い....ように思える。

 

 

 

 

 

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天童(てんどう) 菊之丞(きくのじょう) 

【挿絵表示】

 

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。武士の如く後頭部で纏めた白髪に同色の顎鬚。普段から袴を身に着け、只者ではない雰囲気を湛えた妙齢の男性。聖天子の補佐官にして、里見蓮太郎の祖父にあたる。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 東京エリアの政治や経済を裏で牛耳る。その影響力は絶大であり、剣士としての腕前でも、政治の手腕でも東京エリア内では彼の右に出る者はいないといっていい。

 

 天童家現当主。抜刀術免許皆伝。戦争時は只の一刀でステージⅣを斬り殺し、生きる意志を失いかけた蓮太郎へ『死にたくなければ生きろ』という言葉をかけた。菊之丞はガストレアに関係するすべてを憎んでいるため、呪われた子どもたちに対しても容赦はない。故に蓮太郎とは明確に敵対しているが、彼に対して一定の評価は持っている。

 

 他の何をおいてもガストレアを駆逐する。それのみを目的に生きる鬼。愛妻を殺されてからは、人であるための感情のほとんどは失ってしまった。故に、呪われた子どもたちに一般人と同様の人権を与えんとする聖天子に並みならぬ怒りを抱える。が、それと同じくらいの忠誠心も確かに存在し、彼の中は混沌の様相を呈している。

 

 二章では蛭子影胤を利用して、呪われたこどもたちの地位獲得を促す『ガストレア新法』賛同者の意見を覆そうと画策。本作では最初からステージⅤ召喚計画を施行せず、強力なステージⅣガストレアのエリア内侵入、という事件で目的を達成しようと目論んだ。

 

 しかし、期せずしてそれに巻き込まれた美ヶ月樹万の手によって件のガストレアは討伐される。その中で樹万は重傷を負い、使用を禁じていたガストレアウイルスの自己再生能力を発動させるに至った。

 

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 

 三章で判明するが、暴君と名高い大阪エリアの国家元首、斉武宗玄とは腐れ縁らしい。ガストレア大戦以前から政敵として関係はあったというが、具体的な繋がりは不明。

 

 

 原作でも同様に影胤と共謀し、呪われた子どもたちの地位失墜を企む。だが、蓮太郎によって計画は阻まれ、失敗に終わる。何者かにこれが露見した場合でも足がつかないよう、同じ派閥の轡田防衛大臣らを蜥蜴の尻尾きりよろしく、あっさりと見捨てている。

 

 

 

 

 

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蛭子(ひるこ) 影胤(かげたね) 

【挿絵表示】

 

 原作、『黒い銃弾』の登場人物の一人。元民警、序列は134位。ワインレッドの燕尾服、そしてシルクハットに笑顔を象った白貌の仮面を身に付ける奇怪な男。イニシエーターは蛭子小比奈。

 

 美ヶ月樹万、里見蓮太郎曰く『手遅れ』。思考や言動は狂気に染まっており、気まぐれで人を殺し、愉しいから戦争を起こし、目的のためであれば怪物だろうと利用する怪人。平和と安寧を嫌悪し、戦乱と恐慌を望む。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 元自衛隊員。ガストレア大戦時に致命傷を負ったが、四賢人の一人である『アルブレヒト・グリューネワルト』の手で機械化兵士となり、内部を含めた身体の殆どを機械へと換装した。そのため、蓮太郎と同様に高い戦闘能力を持ち、主に防御面へ特化している。

 

 斥力フィールドと呼ばれる強固な透明のバリアを展開可能。銃弾は当然、対戦車ライフルや工事用クレーンの鉄球すら弾く。これを応用し、対象を障害物と斥力フィールドとで板挟みし圧殺したり、凝縮して撃ち出し、刺突するなど攻撃にも使用できる。

 

 愛銃は二挺のベレッタを改造した『スパンキング・ソドミー』、『サイケデリック・ゴスペル』。CQC用のマズルスパイク、格納式の銃剣、刻印やらと、やたらゴテゴテとした装飾を付属している。原作者である神崎紫電様曰く、『史上最低の二挺拳銃』。

 

 一章で美ヶ月樹万とエンカウント。彼らは天童菊之丞の依頼で行動していたが、彼の技量を見抜いた影胤は強い興味を示し、一時とはいえ仕事を失念していた。

 

 二章ではステージⅤガストレア・スコーピオン召喚の元凶として登場。多数の民警を悉く殺害し、蓮太郎ら三人も追い詰める。だが、彼の実力を見誤ったか、最終的には斥力フィールドを貫通するほどの一撃を喰らい、海中へと沈んだ。

 

 事件後の公式発表では死亡とされているが、命を救われた借りのある美ヶ月樹万により海から引き上げられており、その後は小比奈とともに姿を消した。

 

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 三章後半で再登場。東京エリアへ侵入したガストレア討伐の任を受ける民警数人を殺した。当人は二章で受けた傷の回復を確かめるため、準備運動を目的にしていたとのこと。

 

 そして、同様の依頼を受けてやってきた樹万を襲撃するが、撃破される。その後は意味深な台詞を残して立ち去った。

 

 

 原作での立ち回りは本作とほぼ変わりない。美ヶ月樹万関連を抜けば、殆ど彼の動向は同じである。現状最新話まで存命。

 

 

 

 

 

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蛭子(ひるこ) 小比奈(こひな) 

【挿絵表示】

 

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。闇色のクセ毛を短めで纏め、髪色とほぼ同色のドレスを着た少女。蛭子影胤のイニシエーター。

 

 二本の小太刀を腰に差し、無邪気に人を殺す人格破綻者。プロモーターである蛭子影胤をパパと呼び、実際血縁関係にある。

 

 基本他者には無関心だが、強い人間には相応の興味を示す。また、影胤の命令は大抵なんでも聞く。ただし、自身の意図とは違った命令にはこれ見よがしに不満を露わにしている。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 モデル・マンティス。蟷螂(かまきり)の因子を持つイニシエーター。

 

 長い刀を持たせれば接近戦においてはほぼ無敵と評されるほどで、素早い動作と、高速移動する対象物を捕捉し続ける動体視力の良さは群を抜き、銃弾を斬り伏せることも可能。

 

 二章での『蛭子影胤追撃作戦』の折、高島飛那、藍原延珠二人の猛攻を容易く凌ぎ、また飛那を戦闘不能にしている。

 

 剣の技術はそこまで高くは無く、見えさえすれば回避は可能とのこと。それに合わせ、敵の策や道具なども『取りあえず斬って解決』という単純な考えが原因となり、蓮太郎の投げた焼夷手榴弾を真面に受けてしまい、バラニウム義肢を解放した彼によって撃破されている。

 

 

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 三章後半では、影胤について美ヶ月樹万と戦闘を行う。苛烈な高速攻撃で彼を追い詰めるが、『目』を強化していたことにより剣閃を視認され、やはり軌道を読まれてしまい敗北。小太刀を折られて涙目になった。

 

 

 原作では常に影胤に着いてまわり、一人でいることは現状無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

室戸(むろと) (すみれ) 

【挿絵表示】

 

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。伸ばし放題の黒髪に床まで届く白衣、常時不健康そうな顔色の女性。死体愛好家。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 四賢人の一人。法医学教室室長。世界トップクラスの頭脳を持つ天才医師だが、現在は病院の地下に籠って死体を弄繰り回す頭のおかしい人。菫自身も己をそう評しており、外に出ることを拒んでいる。

 

 ひきこもってやることといえば、時たまやってくる蓮太郎をからかったり、映画を鑑賞したり、18禁ゲームをやったりなど。

 

 落ちる所まで落ちたかと思いきや、スナック菓子感覚で懸賞問題などに手を出し、さらりと答案を出すなど、天才性は健在。こういったことをしているからか、菫の所持金は相当な額になっているのだが、極度の出不精が災いし、度々地下で行き倒れる。

 

 これを防止するために、よく美ヶ月樹万が名義を伏せて食料などを送ったりしているのだが、ごちゃごちゃした部屋のため、どこに何があるのかを忘れがち。見つけた時には腐ってることもよくある。

 

 彼女の持つ資金の大半は、美ヶ月樹万のバラニウムナイフ、そして里見蓮太郎を含めた、彼女自身が手術を施し、機械化兵士となった人間のメンテナンスに使用される。菫は今でも『新人類創造計画』を発足していた過去を悔いており、人命を救う為とはいえ、彼らが歩んで来たそれまでの人生を180度変えてしまったことは許されないと、自分を責めている。

 

 普段の冷たい態度から誤解されやすいが、蓮太郎や樹万に的確な助言を授けたり、無謀な行いに対して声を荒げて引き止めたりなど、彼らには親身に接する。よく皮肉や毒舌も混じる。

 

 初登場時以前の美ヶ月樹万を知る数少ない人物。彼自身も長い付き合いになると言っていることから、両者にはそれなりの確執がある模様。

 

 

 原作では知識量に磨きがかかる。とはいえ基本的な構図は同じで、思い悩む蓮太郎に回りくどい助言を与え、前に進む勇気と、これから歩むことになる現実の両方を提示する。最新話まで存命。

 

 

 

 

 

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伊熊(いくま) 将監(しょうげん)

 原作『黒の銃弾』の登場人物の一人。金髪に髑髏柄のフェイスマスク、バラニウム製の大剣を背負う大柄の男性。民警。イニシエーターは千寿夏世。序列は1584位。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 誰かれ構わず苛立たし気に突っかかり、下手をすればその場で己の武器を抜きかねない危険な男。三ヶ島ロイヤルガーター所属。民警の中でも大手の有名会社であるらしく、社長である三ヶ島影以は将監以上の高位序列者を抱えるという。

 

 二章『蛭子影胤追撃作戦』に参加。初登場は里見蓮太郎と天童木更が防衛省へ赴いた際、真っ先に喧嘩を吹っかけてきた場面。

 

 作戦中に美ヶ月樹万と出会うが、邪魔者と断じて斬りつけようとする。それを難なく躱され、更には周囲に集まりつつあった大量のガストレアたちにも気付けないという失態を犯した。

 

 これだけ聞くと、実力が序列に見合っていないと思われがちだが、再起した瞬間に一刀でガストレア数体をねじ伏せたり、急所を狙ったはずであるガストレアの音速近い不意打ちを直感で回避し、右腕の欠損だけで済ませるなど、冷静であればそれなりの実力を発揮する。

 利き手である右腕を失ったことにより、蛭子影胤追撃作戦以降の民警活動を断念。現在は病院内にて療養中。

 

 

────以降はオリジナル設定────

 

 

 将監は幼い時分、ガストレア大戦にて一家全ての人間を怪物に殺される現場を目撃した事、安全な場所を求めて戦地を飛び回る過程で夥しい数の死者を見たことで、価値観に大きな歪みを来している。これが原因で彼は生者に対し嫌悪感を抱くようになり、過去に殺人未遂を数度起こした。

 

 事件となり、大人が彼に介入するようになって初めて、これが『やってはいけないこと』であることを知った将監は、民警となってガストレアを殺すことにより、殺人衝動を抑えた。

 

 現在は、右手を失って死の淵まで行ったことから、『生者』の存在に寛容となりだしている。

 

 

 原作でも同じく初出は防衛省での会談時。その後『蛭子影胤追撃作戦』に参加している。戦時中、他の民警らと結託して影胤に挑むも、自身の大剣で背中を穿たれ死亡している。

 

 

 

 

 

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多田島(ただしま) 茂徳 (しげとく)

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。短めの茶髪をオールバックにした強面の男性。警視庁捜査一課所属。警部。

 

 里見蓮太郎、美ヶ月樹万双方と面識がある(蓮太郎は二章序盤時点)。煙草を吹かしながら東京エリアの現状を嘆く、ごく善良で一般的な人間。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 二章の序盤に登場し、天童民間警備会社にガストレア討伐を依頼する。ガストレアに対し通常の銃弾をぶっ放すなど、警察組織の知識不足と対応力の低さをまざまざと見せつけてくれる。

 

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 三章にも登場。藍原延珠がティナ・スプラウトと交戦、敗北した後に行方不明となった現場を調査し、蓮太郎に報告している。

 

 本作では具体的な現場の状況は描写されていないが、肉片や骨片等が飛び散る凄惨な有様だった。にもかかわらず平然としていた事から、それなりの修羅場は潜ってきている模様。

 

 

 原作でも登場タイミングは同じ。現場の状況を詳らかに教えてくれる。

 

 

 

 

 

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・アルブレヒト・グリューネワルト

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。外見、年齢不明。男性。『グリューネワルト翁』と呼ばれる。

 

 

 

 

 

────ここから二章既読後推奨────

 

 

 四賢人の一人。機械化兵士計画元統括責任者。出身はドイツであるが、拠点は日本、オーストラリア、アメリカの三つに置いている。四賢人の中でもトップの天才と謳われ、彼の描いた図面には室戸菫をして『理解できない』と目される箇所が散見されるほど。

 

 蛭子影胤を機械化兵士として新生させた張本人。しかし、四賢人の中では最も人の命を尊ぶ人物であり、彼の実験は紛れもなく人命を救うためという基礎の上にあったという。

 

 

 原作では時折室戸菫の口から語られる程度で、いまだ能力の本質は未知数。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【三章 『弱者・ティナ・スプラウト』 登場人物】

 

 

・ティナ・スプラウト 

【挿絵表示】

 

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。また、本作のヒロインの一人。クセのある長い金髪に碧眼。アメリカ人の少女だが、日本語は堪能。

 

 聖居前で出会った当初は、朝起きてそのまま外出したようなパジャマ姿にスリッパ、そして三輪車という珍妙な出で立ちで、しかも会話中に船を漕ぎ始めるという訳の分からない人物だった。

 

 しかし、数多くの奇人変人と相対してきた美ヶ月樹万は、出会って直ぐティナに対し親身に相談に乗る。そのお蔭か、それとも天性の幼い少女限定たらしの為せる技か、速攻で彼に懐いたティナは連絡先を交換。以降は時間を縫っては連絡を取り合って外出し、お互いの素状を知らぬまま東京エリアを練り歩いた。

 

 

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 彼女、ティナ・スプラウトの正体は四賢人の一人、機械化兵士計画アメリカ支部『NEXT』元最高責任者、エイン・ランドの創り出した強化兵士。聖天子暗殺の任を受け、東京エリアへ秘密裏に潜入した殺し屋。モデルはオウル、梟の因子である。

 

 序列は98位。それも、この数字はプロモーターを含まない、イニシエーター単体の戦闘能力でのみ評価、算出されたもの。

 

 その前提通り、凄まじいスペックを誇る。菫が実現不可能と語っていたBMIを運用し、小型偵察機や遠隔操作モジュールを搭載した狙撃銃を用い、蓮太郎は二回、樹万ですら一度敗北を余儀なくされた。

 

 基本的な戦闘スタイルは、視力に特化した梟の能力を遺憾なく発揮できる狙撃。であれば、近接戦に持ち込めば勝てる。と思いきや、蓮太郎でも全く相手にならないほどの卓越したCQC技術も併せ持っており、死角は殆ど皆無に等しい。また、強化兵士としての完成度も高く、身体の一部をスーパー繊維、メタルスキンなどで強化し、代替臓器も取り入れている。

 

 三章では樹万と正面からの戦闘を行い、予想も出来ない動きをされたことから敗北。ただ、作中ではステージⅢの複合因子発現状態、かつ現時点では人に向かって放つことが一切なかったオッサン直伝技をぶつけ、ようやく勝てているのが現状。樹万に対人戦の経験が全くない事を裏付けるシーンとなった。

 

 その後は聖天子の取り計らいもあり、序列は剥奪されたが、本来なら死罪は免れない罪を背負いつつも無罪放免。美ヶ月民間警備会社に雇われている。

 

 本作のヒロインの中でも特段に樹万への親愛度が高く、隙あらばくっついてくる。当人を含め、飛那と夏世とで痴話喧嘩が始まった場合、大体は彼女が発端であるといっても過言ではない。曰く、美ヶ月樹万は『私のすべて』。

 

 家事方面では夏世に劣るが飛那よりできる、というレベル。調理技術はピザのみが限界突破しており、他は一切作れない。

 

 

 原作では同様にエイン・ランドから派遣され、東京エリア国家元首の聖天子を暗殺する殺し屋として同時期に登場し、蓮太郎、延珠ペアと激闘を繰り広げた。

 

 三十九区の廃ビル群の中で戦闘を行い、フクロウの弱点である強烈な光を不発と思われた焼夷手榴弾により受けてしまい、前後不覚となっていたところへ連続攻撃を叩き込まれ、蓮太郎に敗北。その後は保脇卓人の謀略に嵌められそうになるが、聖天子の介入により事なきを得る。

 

 命を救われ、そしてエイン・ランドの魔手より逃れたティナは、以降天童民間警備会社に雇われて働いている。

 

 

 

 

 

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司馬(しば) 未織(みおり)

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。長い黒髪に和服が特徴の美しい少女。日本屈指の巨大会社である司馬重工社長令嬢。勾田高校生徒会長。

 

 司馬重工は兵器製作会社であり、世界各国に通常の武器からバラニウム製武器までを各種販売している。そのシェアは相当なものらしい。

 

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 それほどの大手会社のバックアップを蓮太郎は受けている。理由は未織の『これは将来大物になる』という確信なのか予想なのか思い込みなのか怪しいところの評価による。ともあれ、彼女のお蔭で蓮太郎は基本的な武装を無償で司馬重工から仕入れており、財政事情の厳しい天童民間警備会社には救世主ともいっていい存在である。

 

 無論、その好待遇と引き換えに交換条件はある。自社プロデュースのCM出演や、新兵器開発支援、そして勾田高校への入学、これらの条件を蓮太郎が呑むことで成り立っている。

 

 民警とこういった兵器製造会社の提携は、そう珍しいことではない。主に序列の高い民警とスポンサー契約のようなものを結ぶと、自社製品の宣伝効果にもなり、彼らの使用する武具のプロトタイプやモデル製品といった幅広い開発も行える。民警側も広告収入や出演費用といった金銭面でのプラスもあり、上手くいけばWINWINの関係になれる。

 

 また、具体的な詳細は不明だが、司馬流という戦闘技法を習得しているようで、自前の鉄扇を武器に殺り合いは出来るらしい。天童流という由緒ある流派を『にわか』と評し、超常的な剣の技法を持つ天童木更とも拮抗できている(?)辺り、相当な手合いだと予想される。

 

 そして、前述の文からある程度察せるように、木更とは壊滅的なほど仲が悪い。

 

 三章にて登場。美ヶ月樹万と電話越しに初めて接触する。蓮太郎が気にかけているということもあって、すぐさま興味を抱いた彼女はコンタクトを試みている。近々、対面しての話し合いの場を設けたいと思っているらしい。

 

 

 原作ではもう少し登場の頻度は高い。作中のバックアップはかなりのレベルで、蓮太郎が次々序列を上げる中での、室戸菫に次ぐ影の功労者といえる。

 

 

 

 

 

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・エイン・ランド

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。外見や年齢は不明。男性。

 

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 四賢人の一人。機械化兵士計画アメリカ支部『NEXT』元最高責任者。

 

 ティナ・スプラウトという強化兵士を『造った』天才。ティナの他にも成功例となる強化兵士が多数存在するようだが、詳細は不明。彼女の言から察するに、自身より実力的に上の人物も数人いる模様。

 

 手術方法から、呪われた子どもたちを大量に殺害していることが判明。同じ四賢人である室戸菫からはひどく嫌悪されている。

 

 三章でティナとともに東京エリアで暗躍。主に情報提供役を務める。彼個人に戦闘能力は無く、作戦中も本国にある研究所から指示を飛ばしていたと予想される。

 

 ティナ撃破後はあっさりと雲隠れし、彼女との繋がりを一切絶っている。しかし、ティナが自分を少なからず知っている人物であることは変わりないため、保険として彼女より高位の強化兵士を秘密裏に派遣し、始末しようと目論んでいる。

 

 

 原作でも同様にティナの補佐役兼プロモーターとして聖天子暗殺を指示。彼女が蓮太郎に撃破された後は、やはり諸々のつながりは絶っている。

 

 

 

 

 

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保脇(やすわき) 卓人(たくと)

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。目にかかる程度の長さの茶髪に、白い外套を着こむ男性。聖室付護衛隊隊長。階級は三尉。防衛大学主席卒業。

 

 学もあり、人当たりもよく、『高級の人間たち』からの評判も良い。六人ほどいる他の聖室付護衛隊隊員をまとめる隊長。作中では常に隊服となる外套を纏い、腰に拳銃を差している。

 

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 しかし、彼の本性は聖天子を我が物とするために、東京エリアを支配しようと企む外道。そのため、蛭子影胤の撃破、そしてスコーピオンの撃滅といった絶大な功績を残し、聖天子から信頼を得ている里見蓮太郎に殺意まじりの嫉妬を持っている。

 

 本作では登場時から蓮太郎に剥き出しの敵愾心を露わにし、それを軽くあしらわれたことから更に敵意に磨きがかかっている。依頼遂行中のどさくさに紛れて始末するための方策を優先的に練っていたお蔭で、肝心の聖天子護衛が蔑ろになっていた。

 

 ティナ戦終了後、蓮太郎や美ヶ月樹万の功績を横取りするために再度現れる。樹万を不意打ちで銃撃し行動不能に、既にティナ戦で重傷の体であった蓮太郎はこれに対応できず他の隊員に捕縛。事態は最悪の結末を迎えようとしていた。

 

 そこへ突如、撃ち殺されたと思われた樹万からの支援が入り、縛を抜けた蓮太郎によって頭部を銃撃され、死亡する。その一部始終を見ていた聖天子は、彼の本性を知り自省している。

 

 

 原作では本性を表すのが少し遅れる。蓮太郎との初顔合わせでは、聖天子の御前であることもあって極丁寧な対応をしており、彼の言動に何となく嫌なものを感じていた蓮太郎だが、最終的には気のせいという結論を出している。

 

 のちに本作と同様の行動を見せる。VSティナの終盤に蓮太郎を嵌め、ティナ共々殺害しようと画策するが、その一歩手前で聖天子に介入され、国家元首の特権を行使し蓮太郎の序列を三百位に上昇、保脇より階級の高い二尉となる。恐怖に慄く彼は右肩と左脇、そして親指を蓮太郎に銃撃され、戦意を完全に喪失した。

 

 その後、度を過ぎた恐慌状態により精神を病み、精神病院に入院している。

 

 

 

 

 

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松崎(まつざき)

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。眼鏡をかけ、優しそうな笑顔が特徴の初老の男性。

 

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 第三十九区のマンホール下にある拠点で、呪われた子どもたちを保護している。そこはかつて美ヶ月樹万が整備、拡張しており、マンホールの直下とは思えない構造と良好な衛生環境になっている。

 

 彼は主に呪われた子どもたちの小・中等教育のほか、因子の発現による能力拡張、昂ぶる感情のコントロールを自発的に引き受けている。

 

 無辜であるはずの幼い少女たちが迫害され続ける世の現状を憂い、志を共にする樹万と結託して多くの子どもたちを救ってきた。彼女たちからは長老という愛称で親しまれている。

 

 本作では三章で登場。樹万がティナをマンホールへ案内した際、彼女と出会ってすぐにその苦悩を見抜いた。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 四章にも登場。樹万の提案により、彼が普段から行っている学校教育を蓮太郎や木更が代替した。

 

 

 原作でも同様に三十九区の呪われた子どもたちを保護。しかし、本作の四章にあたる内容で、暴徒と化した東京エリア住民による攻撃を受け、子どもたちの多くを亡くしてしまう。しかし、蓮太郎の彼女たちに対する真摯な姿勢を見た松崎は、ある程度持ち直してきている。

 

 

 

 

 

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斉武(さいたけ) 宗玄(そうげん)

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。獅子のような面持ちの高齢の男性。齢65。現大阪エリア国家元首。

 

 

 

 

 

────ここから三章既読後推奨────

 

 

 独裁的な政治や重税などで批判を浴び、過去17回に渡り暗殺されかけた。その中でも当人はどこ吹く風と体制を改めるつもりはない。

 

 天童菊之丞とは旧知の間柄。ガストレア戦争以来からの政敵であるらしく、波風を立てない意図からか、彼の不在時に聖天子との会談を行っている。

 

 三章にて登場。名前のみで直接的な描写は無いが、聖天子との会談の際、蓮太郎と顔を合わせるなり口汚く罵り合った。

 

 そんな口上に見合った過激な思想の持ち主で、線形超電磁投射装置、『天の梯子』を月に移送し、抑止力として運用する計画も飛び出している。しかし、スコーピオン撃滅の際に無理な動作で行使したため故障。以後の使用は絶望的となっている。

 

 

 原作では会談の様子が描かれている。傍若無人で傲慢極まりない態度のまま、蓮太郎や聖天子と接する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【四章 『識別不能・S-Ⅳガストレア・アルデバラン』 登場人物】

 

 

片桐(かたぎり) 玉樹(たまき)

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。くすんだ金髪に時代錯誤なパンクファッション、アメリカ被れな口調が特徴。イニシエーターは妹の片桐弓月。序列は初期時点で1850位。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 自宅と事務所兼用のボロ屋で、妹の弓月とともに暮らしている。四章にて彼の家を訪問した里見蓮太郎は、自分たちの事務所より酷いところがあるとは、と戦慄していた。一方、中の環境も劣悪で、床に溢した牛乳を拭いたあと、丸一週間ほど放置した雑巾のような悪臭がする。また埃だらけで、ゴミも散乱している。

 

 序列から見て分かる通り、実力は確か。バラニウム製のナックルダスターを拳に巻き、決して素人ではない踏み込みと殴打で敵を粉砕する。また、ブーツにもバラニウムチェーンソーを仕込んでおり、その鍛え抜かれた体幹から繰り出される攻撃はどれも強力。中距離戦では愛銃のマテバを使用。

 

 また、蜘蛛の因子を持つ弓月との相性もよく、タッグを組んで戦うと、途端にパワータイプとは思えないテクニカルな戦闘法を見せる。常人には弓月の張る糸を視認することはできないが、普段からつけている飴色のサングラスを通すと可視化することができるため、彼自身が罠にかかることはない。

 

 実は二章の『蛭子影胤追撃作戦』に参加しており、一度里見蓮太郎とは輸送ヘリ内で出会っている。その時に互いに顔見知りとなったからか、四章にて対アルデバラン用のアジュバントを組む際、何とか彼を頼れないかと蓮太郎は思っていた。結果は散々であったが(既に弓月からの印象は最悪という有様)。

 

 弱者にはつかないというモットーの元、美ヶ月樹万、ティナ・スプラウトの即興ペアと戦い、結果彼らの実力を認めた玉樹は、蓮太郎率いるアジュバントへ参入。後に出会った天童木更に一目惚れし、使い走りのような真似をして得点稼ぎをしている。

 

 

 二章の蛭子影胤追撃作戦への参加も含め、現状弓月ともども原作通りの動向。

 

 

 

 

 

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片桐(かたぎり) 弓月(ゆづき)

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。兄である片桐玉樹と同じ金髪にパンクファッションが特徴の少女。蓮太郎をロリコンと詰り、顔を合わせれば敵意をむき出しにしている。

 

 作中で初登場した際にはランドセルを背負っており、学校に通っていることが伺える。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 モデル・スパイダー、蜘蛛の因子を持つ。高い跳躍力と瞬発力、粘度の高い蜘蛛糸といった要素を活かし、素早くテリトリーを作って敵の身動きを封じ、確実に倒すという戦法を取る。

 

 戦闘を行う場合、弓月の素性を知らない初見での対応は難しく、気づいたら不可視の蜘蛛糸に取り囲まれ、雁字搦めにされてお終い、というケースが多い。これに玉樹の援護が加わると更に強力な包囲網となり、並のペアでは太刀打ちできない。派手さには欠けるが、型に嵌まれば先ず負けることは無いといえる。

 

 アジュバント内のイニシエーター陣とは意識的に距離を取っていたが、藍原延珠の持ち前の快活さと容赦のなさから無理矢理輪の中に引っ張り込まれたが、既に馴染みつつある。

 

 

 

 

 

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我堂(がどう) 長正(ながまさ)

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。禿頭に年齢相応の厳つい面構え。日本鎧の姿が似合う男性。御年57歳。民警。序列は275位。イニシエーターは壬生朝霞。

 

 知勇兼備の英傑と呼ばれ、武のみではなく戦術眼にも長ける。高齢の身ではあるが実力は凄まじく、序列百番台にふさわしい剣術を備えた猛将。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 本作四章に登場。第三次関東会戦を迎えるにあたり、結成された民警軍団の団長を務める。その鋭い口調と不動の面持ちから、瞬く間に不良だらけの民警をまとめ上げた。

 

 しかし、自陣へ攻め込んで来たアルデバランの実力を計り違え、踏み込み過ぎた彼と、そのアジュバントのメンバーは逃げ場を失う。それでも自身を囮とし、メンバー全員を攻撃範囲から離脱させることに成功。その際に激しい攻撃を受けたことにより、致命傷を負っている。

 

 その状態でも朝霞を父心から逃がすため、尚も囮を続行。最終的には下半身を集中攻撃され、自立できなくなったところを拘束、四肢を貫かれる。

 

 最期は、戦場にかけつけた美ヶ月樹万の援護もあり、決死の特攻を試みてアルデバランに肉薄、その命と引き換えに頭部を吹き飛ばした。

 

 

────ここからオリジナル設定────

 

 

 学生時代から親交のあった女性と一度結婚しており、英彦という息子を持っているが、ガストレア大戦にて両親ともども彼女を失っている。その後は一度自衛隊に志願し、己を磨く過程で一人の女性と出会う。

 

 名を春歌。彼女は両親と兄をガストレア大戦で亡くし、失意の中で日々摩耗する精神に耐えきれず、モノリス外へ出て自ら命を絶とうとモノリスへ足を運んだ。

 

 当時、偶然そのモノリスの周辺警戒、管理の任に就いていた我堂長正は、春歌が外周区外へと直線に進む様子を目撃、間一髪で連れ戻すことに成功した。それ以来、何かと彼女の様子が気になっては顔を合わせるようになり、親交は深まっていった。その甲斐あってか、退院後に結婚している。

 

 長正はやがて自衛隊という組織で得られる自身の成長要素に限界を感じ、身勝手な戦闘行為や隊の規律を乱す訓練等を行うようになった。それらで発生した問題は全て、自身が強くなるためには仕方ないことだと歯牙にも掛けなかった。

 

 その中で、ひとつの事件が起きた。

 

 ある日、定期的に行うモノリスの警固の任に就く筈だった長正は、いつものようにそれを無視して自身の鍛錬に打ちこんでいた。基本的にモノリス拠点警護は二人組で行うため、既に相応の肩書きを得ていた彼は、自身より下位のペアが選出された場合、ほぼ全て相手方へ事前に口止めした上で横着していた。

 

 そこへ、運悪くモノリスを高飛びしてきたガストレアが突如として奇襲。入隊して一年と間もない隊員はこれを撃破できず死亡し、周辺市街への侵入を許した。唐突なことで対応が遅れたこともあり、犠牲者は数十人に上った。────そして、その中に春歌との間に生まれ、今年で8歳になる愛娘が、含まれていた。

 

 幸い、自衛隊内での責任の所在は長正ではなく、当時バラニウム銃器の支給を怠っていた『下』へ流れた。

 

 確かに、ただの銃弾では攻撃したところでガストレアを殺せはしない。だが、彼ほどの腕前であれば長時間の足止めは十分可能であり、その道のプロである民警が来るまで現場に縫い付けることはできた。

 

 そして、我堂長正は責任を取る意も込めて自衛隊を辞め、民警になった。また、彼は先の失態から何よりも規律を重んじ、和を乱すことを嫌うようになる。

 

 ────終始、何よりも求め続けた強さ。それは結局、彼をどこまでも弱者であると自覚させるためのものでしかなかったのかもしれない。

 

 

 原作では同じく第三次関東大戦で死亡している。

 作中でも示した通り、本作に登場するアルデバランは通常よりも強力で、本来なら二度目の交戦で命を落とすはずが、初戦での敗北を喫した。

 

 

 

 

 

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壬生(みぶ) 朝霞(あさか)

【挿絵表示】

 

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。艶やかな長い黒髪に、凛とした佇まいが特徴の少女。我堂長正のイニシエーター。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 長正ととともに第三次関東会戦に望む。交戦時は主に刀を使用して立ち回り、その矮躯からは想像もつかない程の速度と腕力の太刀筋で敵を両断する。

 

 普段から冷静で泰全自若としているが、不測の事態にめっぽう弱い。また義に厚く、礼節を重んじる気質。一度弱い部分を見せてしまったからか、美ヶ月樹万に対しては距離感を計りかねている。

 

 

────ここからオリジナル設定────

 

 

 一時、我堂長正、春歌との間の疑似的な娘役を演じた。そして、再び顔を合わせる資格はないという長正の代わりに、春歌の心へ一時とはいえ安息を取り戻した立役者。

 

 朝霞は誠実で実直な性分であるため、組んで来た民警との間の軋轢は絶えず、プロモーター候補となる我堂長正と初めて出会った当時は、重度の人間不信に陥りつつあった。

 

 それを見た長正により春歌と会うように強要され、さらには娘として振る舞えなどという無茶振りもされたことから、当初の彼への印象は最悪だった。

 

 だが、春歌と会話を重ねていく内に忘れかけていた母の暖かさを想起し始め、彼女に対する信頼を確たるものにしていく。そして、偽りとはいえ娘として在る自身を受け容れ始めた矢先、春歌を亡くす。

 

 そこでようやく、何故長正が春歌と出会うことを己に強要したのかを知り、同時に彼への忠誠を誓うに至った。

 

 

 原作では、アルデバラン戦を長正と共に試み、生存。しかし、プロモーターである長正は死亡したことから、アジュバントに属すことが出来ないという現状。

 

 

 

 

 

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我堂(がどう) 春歌(はるか)

 本作、『弱者と強者の境界線』オリジナルキャラクターの一人。長い黒髪のおっとりとした女性。43歳。我堂長正の妻。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 幼少の頃は負けん気が強く、周囲を進んで引っ張っていくような性格の少女だったが、ガストレア大戦で次々肉親や友人を亡くすにつれて精神を病んでいき、その頃の面影は完全になくなっている。

 

 最後の肉親であった兄を亡くし、天涯孤独の身となった折に自殺を決意。モノリスの外へ出ようとする。方法として、高所からの飛び降り等を選択しなかったのは、万が一ではあるが、ガストレアとなってしまった自分の親しいひとに殺して貰えるかもしれない、という一種の願望の表れである。

 

 結果から言うと、偶然その場に居合わせた我堂長正に救われ、酷く憔悴していたことから病院へ移送された。その後は何かと長正が顔を出しては語り合い、過去の境遇が似ていることから共感が多くかったため、互いを励まし合いながら少しずつ生気を取り戻していく。

 

 退院と同時に結婚。その三年後に出産し、朝香(あさか)と名付ける。春歌に似て綺麗な長い黒髪をしており、彼女の髪を梳かすのが毎日の楽しみだった。

 

 朝香が8歳になって間もなく、夕食の買い出しに行っていた最中に自宅をガストレアが襲撃。既に学校から帰っていた朝香はこれに巻き込まれ、死亡。その後、警報から異常を察知した春歌は急いで帰宅するが、変わり果てた娘の姿を発見する。直後に彼女は絶叫し、意識を失う。

 

 強烈な精神負荷により多臓器不全となった春歌は、余命一年と医師から宣告される。食事も少しずつとれなくなっていき、徐々に衰弱していくなかで、長正の計らいにより娘と瓜二つの少女、壬生朝霞と出会う。

 

 春歌は朝霞の姿を霞む意識の中で朝香と幻視したが、会話を重ねるうちに別人と気付く。にも拘らずこの逢瀬を続けたのは、朝霞が自分を必要としていることにも同時に気がついたからである。彼女のために母としての役目を最期まで全うしようと、春歌は生存を望み始めた。

 

 しかし、既に生命維持機能の多くを失いつつあった春歌は、ついに死神の足音を聞く。意識混濁状態に陥りながらも、一度奇跡的な回復を遂げ、朝霞の来訪まで命を繋ぎ続けた。

 

 そして、ずっと告げたかったその言葉と、自身の手で渡したかったお守りを朝霞に握らせた春歌は、その期を見計らったかのように黄泉へと攫われていった。

 

 

 

 

 

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薙沢(なぎさわ) 彰磨(しょうま)

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。色素の抜けた白髪に切れ長の瞳。長いコートとバイザーを身に付ける青年。イニシエーターは布施翠。序列は970位。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 美ヶ月樹万からして、『隙の無い男』と言わしめた実力未知数の人物。細めとはいえ樹木を拳打で叩き折っている。また、SIG SAUER P226も腰に帯銃し、戦闘ではケースバイケースで扱うと思われる。

 天童の持つ流派の一つである天童式戦闘術を修める。段数は八。同じ道場で教えを受けていたため、里見蓮太郎とは兄弟子の関係。あの捻くれ者の蓮太郎が一切の皮肉なしに評価することから、人格的にも非常に秀でていることが伺える。

 

 本作四章にて初登場。第三次関東会戦間際にメンバー候補として現れ、参入を提案する。戦力不足どころか必要人数すら満たしていなかった蓮太郎はこれを快諾、大幅な戦力の増強を期待されている。

 

 

 原作でも同時期に登場。メンバー不足に悩む蓮太郎の救世主として現れた。

 

 

 

 

 

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布施(ふせ) (みどり)

 原作、『黒の銃弾』の登場人物の一人。長めの白髪を三つ編みにし後背で一つに纏め、魔女のような三角帽子を被った少女。薙沢彰磨のイニシエーター。

 

 重度の人見知りで、初対面の人との会話ではほぼ確実に噛む。噛むと照れ、彰磨の影に隠れる。しかし、人とのかかわり合い自体が嫌いという訳ではないらしい。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 モデル・キャット。猫の因子を持つ。素早い動きと鋭利な爪を組み合わせたコンビネーションで、敵を翻弄しながら切り刻む。猫特有の嗅覚も備わっており、これを活かした索敵などの情報収集も可能。また、匂い占いという技を持ち、人の持つ個々の匂いを嗅ぎ分け占いを行うことができる。

 

 翠は作中に登場する複数のイニシエーターとは一風変わった特徴を持つ。それは頭頂部にある猫耳であり、ガストレア因子の強い影響により骨格が変化することで現れたとされる。彼女はこれに強いコンプレックスを持っており、普段はこの耳を隠す目的で帽子を被っている。

 

 だが、樹万の気遣いと思いやりに心打たれた翠は、清水の舞台から飛び降りる覚悟で自らの特徴をメンバーに開示する。この甲斐もあり、延珠を筆頭にイニシエーターたちからは軒並み羨ましがられ、彼女が当初抱いていた不安は杞憂に終わっている。

 

 

 原作でも同様に、プロモーターである薙沢彰磨とともに里見蓮太郎のアジュバントへ参入。匂い占い等の特技を活かし、チーム内には早々に解けこんでいる。

 

 

 

 

 

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我堂(がどう) 英彦(ひでひこ)

 原作『黒の銃弾』の登場人物の一人。眼鏡をかけ、いかにも戦場には不向きそうな体幹をした男性。民警。序列は2187位(※本作独自設定)。イニシエーターは心音。

 

 第三次関東会戦にて、里見蓮太郎率いるアジュバントが所属する一個部隊の中隊長を務める。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 父である我堂長正によって、半ば己の意志を無視された形で民警になっている。そのため、民警として踏んだ場数も数えるくらいで、戦闘行為に対しては全くと言っていいほど免疫がない。高めの序列も、全て長正による取り計らいから得ている。

 

 英彦がこうなるに至ったのは、長正の最初の妻、すなわち己にとっての母がガストレアに為す術もなく殺されてしまったところを目撃したことによる。元々は利発な少年であったが、それ以降はガストレアに対し過剰な恐怖を抱くようになり、民警発足以降も頑なにその道へすすむことを拒んだ。

 

 四章登場時、心音を胸に抱きながら自衛隊の勝利を祈り、自身に戦闘のお鉢が回ってくることを恐れた。が、その祈り届かず自衛隊は敗北し、ガストレアの大群と対することとなる。

 

 しかし、戦闘中に空から降り注いだ銀の槍によって戦意を喪失。砲撃に巻き込まれる一歩手前のところを蓮太郎と延珠に救われ、発破をかけられる。

 

 守るべきものが隣にいることを再確認した英彦は、再び戦場へと目を向ける。今度は逃げるためではなく、挑むために。

 

 原作でも同様に第三次関東会戦にて登場する。しかし、突如として降り注いだ銀の槍によって心音を失い、平静を失っていたところをガストレアにより襲撃され、死亡している。

 

 

 

 

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・モンスタア・イエローギフト

【挿絵表示】

 

 本作『弱者と強者の境界線』のオリジナルキャラクター。言うまでもなく偽名である。本名があるのかは不明。

 金髪碧眼。ボロボロのぬいぐるみを手に持つ片角少女。衣服は何故か非常に損傷している。

 

 

 

 

 

────ここから四章既読後推奨────

 

 

 IP序列第三位。モデル・アンノウン。

 

 人の形をした正真正銘の化物である。降り立っただけで地面を陥没させる、ガストレア数十体を一度に挽肉にするなど、強力なパワータイプ。二つ名は『虚の少女(イミテーション・テンプテーション)

 

 ガストレアを玩具と称し、戦闘に対しては積極的である節が伺える。また、無邪気な笑顔が印象的。何故か唐突に口が悪くなることがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────・用語紹介・────────

 

 

※人物紹介と同様に章ごと明らかとなった用語を解説していきます。予め指定されている章を閲覧した後、ご覧になることを推奨いたします。

 

 

 

 

 

【一章 『弱者・美ヶ月樹万』】

 

 

・ガストレアウイルス、ガストレア

 突如として出現し、瞬く間に世界に蔓延したウイルス性寄生生物。これに感染し、ウイルスの持つ特定の生物遺伝子情報を元にDNAを書き換えられ、姿が大きく変質した人間をガストレアと呼ぶ。

 現状、ガストレアウイルスは人間にのみ感染することが分かっている。感染経路は血液。ガストレアに直接ウイルスを注入されない限りはガストレア化することはないが、口内に入った場合でも決して無害という訳ではない。その最たる例として、妊婦に対する影響である。ガストレアウイルスに長期間曝されることで胎児の中にウイルスが蓄積し、『呪われた子どもたち(※後述)』として生まれる場合がある。

 量によって変化はするものの、ウイルスのDNA改変速度は常軌を逸しており、大量に血液へ投与されると数時間、もしくは数分の後に人の遺伝情報は完全に抹消され、異形へと変わる。その変異のラインが存在し、体内侵食率と呼ぶ。これが50%を超えると形象崩壊を起こし、突然変異と言った不確定要素はあるものの、大体はウイルスの持つ因子に則した外見へと変化する。

 こうして人からガストレアとなった怪物には、取り込んだ生物のDNAの量によってレベルが変動する。有効とされるバラニウム(※後述)に対する抵抗度合いも変化。以下にその例を示す。

 

 

ステージⅠ:基本単因子。身体のどこかにバラニウム製の銃弾を撃ち込むことができれば、その部位は再生不可能となるため、大きな行動制限を期待できる。バラニウム武具の斬撃・打撃なども非常に有効。急所を狙った場合はほぼ即死させることが可能。

 

ステージⅡ:複数因子により構成。特徴も二つほどの生物のものが混ざり始める。バラニウムの再生阻害効果をある程度無視できるが、攻撃されれば運動能力を十分に奪える。ステージⅠと同様に、急所を狙えば即死させることが可能。

 

ステージⅢ:多数の因子により構成。外見だけではどれほどの生物の遺伝子を取り込んでいるのか判別がつかない場合が多く、危険。足や手などを失っても再生が可能。急所以外の部位に傷をつけてもあまり効果的ではないため、心臓や脳を優先的に狙う必要がある。

 

ステージⅣ:無数の因子により構成。ガストレアの完全体。一個の民警ペアで挑むのは自殺行為。戦車や戦闘機などを動員して討伐するのが最も手堅い手段。個人が立ち向かうには対戦車ライフルやロケットランチャーなどが最低限必要となる。

 

ステージⅤ:通称、ゾディアック。ガストレアの変異体。災厄の具現。バラニウムの磁場を無効化し、モノリス(※後述)を破壊できる唯一の個体。対抗できる手段は片手で数えるほどしかなく、人類の九割が死に絶えた諸悪の根源と言われる。現在、世界で12体(原作では11体)確認されている。

 

 

 特に危険な特徴を持つステージⅣ、そしてステージⅤ全種には主に星座の名にちなんだ識別名が与えられ、畏怖されている。

 

 

 

 

 

・ガストレア大戦

 異形の怪物、ガストレアと人間の間で起きた全面戦争。西暦2021年に人類側が事実上の敗北宣言を行い、2031年時点で生き残っている世界人口は戦争前のおよそ一割ほど。それに止まらず、人間の活動領域もガストレアにその大半を侵略され、大幅に減退している。

 

 

 

 

 

・エリア

 日本を東京・大阪・札幌・仙台・博多の五つに分けた国家の総称。それぞれはガストレアの侵攻により居住地域を限定され、モノリス(※後述)という壁の内側に閉じこもって生活している。また、各エリアには民衆をまとめ上げ、法などを布く国家元首という人間が一人ずつ存在する。

 本作の舞台は東京エリア。前述のモノリスが、今でいう関東平野の東京都、神奈川県。千葉県、埼玉県の一部に点在し、ぐるりと取り囲むことによってガストレアの侵入を防いでいる。東京エリアは初代聖天子によって四十三区制に改称しており、聖居(※後述)が存在するのは第一区。エリア中心部に迫るにつれて数字は低くなっている。

 

 

 

 

 

・呪われた子どもたち

 ガストレアウイルスによって影響を受けた母体から生まれ落ちる嬰児の総称、または蔑称。人間がガストレアに対抗できる数少ない希望の一つを担う。

 呪われた子どもたちはその全てが女性。その理由は、ガストレアウイルスの影響で性別決定の段階に胚が何らかの異常を来し、男性へと分化しないからである。また、生まれたときは目が赤く光っているため、すぐに『どちらか』の判別がつく。

 ウイルスの抑制因子を生まれつき備える。完全に抑制は出来ないが、自身の体内に在るウイルスを使用して、その生物由来の能力を発現させること、そして高い自己再生機能を繰り返し使用しないことで、通常の人間と同様の寿命で生を全うできるという。

 

 

 

 

 

・民間警備会社

 作中では主に民警という。会社では基本的にイニシエーター(※後述)とプロモーター(※後述)両名のペアが社員として起用される。『民間』と称されるだけあり、その規模は大小さまざま。大手から零細までなんでもござれで、そういったことから貧富の差や人間性の差などが浮き彫りになっている。

 ガストレアに対する対策、抗戦を一手に引き受ける。当初は警察組織がその役目を担っていたが、人間の起こす乱痴気騒ぎとは一線を画し、若手から熟練まで対応が全く取れず、死亡率が凄まじい勢いで上昇したことから発足した背景を持つ。そのため、己の領分であったはずの案件を奪われた警察側は面白くなく、民警との関係は良好とは言い難い。

 ガストレア戦に置いての民警らの戦果は途方もないものであるが、それでも『呪われた子どもたち』というガストレアに極めて近しい存在であるイニシエーターを使役する彼らに対し、向けられる社会の目は厳しい。

 

 

 

 

 

・イニシエーター

 生物学でいうところの開始因子。ガストレアウイルスによって身体能力、再生能力を飛躍的に上昇させた『呪われた子どもたち』を、IISO(※後述)や国家が戦闘要員として運用する際に用いられる名。

 IISOにて専門の教育を受けた後に民警許可証(ライセンス)が交付され、必ずプロモーター(※後述)と契約する。イニシエーターとなった彼女たちには侵食抑制剤が支給され、毎日一度の投与が義務付けられている。これはガストレアの明確な対抗手段であるため、必然的に戦闘が多くなり、それに伴ってガストレアウイルスの持つ生物因子の力を引き出したり、大なり小なり怪我を負うことから、体内侵食率の上昇をウイルス抑制因子のみで抑えるのは難しいからである。

 現状、各国の世論やプロモーターの大半が不良気質であることも災いし、イニシエーターのほとんどは対ガストレア戦の道具、兵器扱いをされている。

 

 

 

 

 

・プロモーター

 生物学でいうところの加速因子。IISOが主導する必要な教育を受けたあとに適性試験を受け、民警許可証(ライセンス)を発行されることでイニシエーターとペアを組み、初めて民警として活動できる。

 民間警備会社に所属し、警察組織からの要請を受けて現場へ急行、適切な対応を取る。とはいえ、やることといえばチャカぶっぱなして怪物をぶち殺すことなので、頭の良さはあまり関係ない。そういった仕事柄が不良連中に好まれ、暴れたいだけの人間が多く参入しているのが現状。

 しかし、プロモーターにはIISOの設定するIP序列(※後述)というシステムがあり、それを上昇させなければ民警として回ってくる仕事は皆無。そして、ただの暴漢如きでは高位序列に食い込むことはまず不可能である。

 

 

 

 

 

・バラニウム

 ガストレアに対し、人類が明確に対抗できる手段を担う要。黒い金属。通常は銃弾や武具に加工され、対ガストレア戦に組織された民警が使用する。

 ガストレアが嫌う磁場を発生させることから、超巨大なバラニウムの巨壁、モノリス(※後述)の加工に利用される。また人間の生体電気にも反応する特性から、機械化兵士計画(※後述)発足の要因となっている。

 主に火山列島に偏在していることが確認されており、日本はとりわけ埋蔵量が多い。そのためか、バラニウムの安定供給を求める各国は日本に目を向け始め、あらゆる手段をもって鉱脈を強奪するだろうと予想されている。

 このことから、バラニウムの所持量は即ち国力に比例すると考えられているが、世界各国の地中に眠る有限のバラニウム、その全てを用いたとしてもガストレア全てを絶滅させるには足らない、という試算が既に明らかにされている。

 

 

 

 

 

・モノリス

 ガストレアに対し嫌悪感を伴う磁場を発生させるバラニウム。これをブロック状に積み上げて、幅およそ1km、高度およそ1.6kmまで築いた漆黒の巨壁。

 通常、高度100mまで積み上がった時点でガストレアは侵入できなくなるという試算があったが、かつて超高高度から飛行型ガストレアが飛来したという過去があり、現在はそういった不測を可能な限り潰すため、1.6kmという高さになっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【二章 『強者・蛭子影胤』】

 

 

・IISO

 国際イニシエーター監督機構。呪われた子どもたちの志願を募り、イニシエーターとして教育、訓練を行うほか、身柄の管理も行っている。各民警ペアのIP序列勘案と決定、侵食抑制剤の支給も行う。

 

 

 

 

 

・IP序列

 イニシエータープロモーター序列。IISOが規定する民警ペアの実力指標。基本的に序列は両名の挙げた戦果により決定されるが、イニシエーター単独の数値で算出される場合もある。千番台、百番台という値毎の大台があり、その数字の端数帯に居るペアは先ずキリの良い概数帯を目指す。そして、百位以内から序列について『二つ名』が与えられるという。

 序列が上がるごとに機密アクセスキーという、世界が隠匿したガストレア関連の情報を一部閲覧できる権利を与えられる。千番台でレベル3。十番台となれば最高レベルの13となる。また、それに合わせて疑似階級と呼ばれるものも与えられ、軍人と同様に下位の人間に対し命令権を獲得することができる。しかし、これは政府による『首輪』の意味合いの方が強い。

 片方が死亡したり、重大な規則違反でペアの登録が抹消されたりした場合は、数値はリセットされる。

 

 

 

 

 

・ガストレア新法

呪われた子どもたちの基本的人権の尊重に関しての要項を審議し、改訂するという法案。これに対し、奪われた世代による反発は強い。

 

 

 

 

 

・七星の遺産

 謎に包まれた、ステージⅤガストレアを呼び寄せる『触媒』。その正体は壊れた三輪車。通常は未踏査領域の何処かに保管しているらしいが、具体的な居所は一切不明。

 『取り返しに来た』という聖天子の発言をそのまま鵜呑みにすれば、元々は彼等の持ち物、ということになるが、これも同様に一切不明。

 

 

 

 

 

・奪われた世代

 ガストレア大戦を生き抜いた人間。世界人口の八割方を占める。ほぼ全員が家族や親戚筋をガストレアにより殺害されているため、ガストレアに関する恐怖と憎悪は非常に高い。

 

 

 

 

 

・無垢の世代

 ガストレア大戦以降に生まれた人間。呪われた子どもたちの第一世代がガストレア大戦の渦中で生まれているため、これに当たる。

 

 

 

 

 

・未踏査領域

 モノリスの外側に広がる、かつて人間が住んでいた世界。現在はガストレアの侵攻により事実上人間の居住は不可能。ガストレア大戦から十年の歳月がたち、市街は既に荒廃、森に呑まれている。

 

 

 

 

 

・超バラニウム

 無重力状態でバラニウムをベースにレアメタルとコモンメタル数十種類を掛け合わせた、通常のバラニウム金属より数倍の硬度と融点を持つ次世代金属。作中ではこれより配合率を調整し、低純度で生成した超バラニウムも存在する。

 

 

 

 

 

・線形超電導投射装置

 レールガンモジュール。またの名を天の梯子。東京エリアにほど近い未踏査領域に鎮座する、『奪われた世代』の残した遺物。直径800mm以下の金属飛翔体を亜光速まで加速し、撃ち出せる兵器。

 完成後、ガストレア侵攻により放棄され、一度も使用されることないまま忘れ去られようとしていた。

 

 

 

 

 

・バレットナイフ

 謎の人物、『オッサン』が美ヶ月樹万へ譲渡した、銃とナイフ両方の役割を備えるタクティカルナイフ。

 ナイフはボタンロック式で、取り付け後にロックを掛けることでナイフとして運用できる。そして、ロックを解除し、また銃口から吐き出すものを銃弾ではなく炸薬にしている場合、引き金を引くことで前部のナイフを射出することが可能。それ以降は再びナイフを取り付けて戦うもよし、銃弾を詰めて戦うもよしという幅広い戦闘方式を取れる。

 初期時点では自動排莢を可能にするエキストラクターやエジェクター等は取り付けられておらず、装弾や排莢は一発ごとに手動で行わなければならなかったが、二章中盤以降は室戸菫の改造と改良を受けて、セミオートマチック方式の射撃が可能となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【三章 『弱者・ティナ・スプラウト』】

 

 

・機械化兵士計画

 オーストラリア支部『オベリスク』元最高責任者アーサー・ザナック、アメリカ支部『NEXT』元最高責任者エイン・ランド、日本支部『新人類創造計画』元最高責任者室戸菫、そして統括責任者であるアルブレヒト・グリューネワルトの以上四名、四賢人と言われる天才たちが集って立案した、機械化兵士と呼ばれる人間を生み出すプロジェクト。

 この計画は、今まさに死に向かう人間を救うために在る、という前提があり、そこからさらに患者に機械化兵士として新生する施術を受け容れるか否か問う、といった規則があった。しかし、思想の違いは各人激しく、それが四賢人たち全ての間で堅守されてきたのかは甚だ疑問である。

最終的には、手術成功率の低さ、そして莫大な経費、極めつけは何のリスクもなく自然発生的に生まれてくる『呪われた子どもたち』が、彼らの開発した機械化兵士に負けずとも劣らない能力を備えていた事から、ガストレア大戦終戦時に頓挫した。

市井では都市伝説の一つとして囁かれている。

 

 

 

 

 

・ゾーン

 イニシエーターが『成長限界点』を突破した先の姿。超高位序列者の大半はこれに至った者達で占められており、このことからゾーン到達者は途方もない能力を持つと予想される。数多いるイニシエーターの中でも、これを為せるのはほんの一握り。

 

 

 

 

 

・強化兵士

 四賢人の一人、エイン・ランドが実行した、呪われた子どもたちに対する機械化手術。通常の手術器具では傷が再生してしまうため、再生阻害効果のあるバラニウム製の器具を使用して施術する。

 人間を基礎(ベース)とした機械化兵士の手術でさえ成功率が低いにもかかわらず、自然治癒能力をほぼシャットアウトしてしまうことことから、その成功率は更に落ち込んでいる。

 

 

 

 

 

・BMI

 ブレイン・マシン・インターフェイス。手足等の一部が不自由となってしまった患者のために開発されたシステム。使用者の脳波をコンピュータが受け取り、電気信号に変換することで、義手などを思った通りに動かし、近くの物を取ったり持ち上げたりできる技術。

 これをティナ・スプラウトは応用し、脳にニューロチップを埋め込むことで複数の機器と交信を行い、ビットや遠隔操作モジュール等を操る。しかし、本来であればニューロチップが演算処理の過程で熱を持つため、使用者の脳を焼いてしまうことから、実現は不可能とされていた。

 四賢人の一人であるエイン・ランドはこれを実現しており、狙撃兵として超常的なポテンシャルを演出していた。それでも限界はあり、同時に操れるビットは三つまでと言われている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【四章 『識別不能・S-Ⅳガストレア・アルデバラン』】

 

 

・アジュバント・システム

 国内で異常事態が発生した場合にのみ発足するシステム。民警と自衛隊を一個の組織として運用し、その際に民警で部隊を構成し、分隊にする。この民警ペア数組で作られた隊をアジュバントと呼ぶ。最低構成人数は3組6人。

 また、複数分隊のまとめ役である中隊長、そして軍団全てをまとめる団長という存在もあり、基本的にソロプレイを好む民警をまとめるには、団長に相当なカリスマ性を求めることになる。

 

 

 

 

 

・第一次関東会戦

 ガストレアが出現し、日本が五つのエリアに別たれた時、関東地方で行われた抗戦のこと。自衛隊による防衛線が張られ、激しい戦いの末にガストレアを退けている。この戦争によって、現在の東京エリアまで人間の居住区は後退した。

 

 

 

 

 

・第二次関東会戦

 東京エリアに大挙したガストレアとの二度目の交戦。現時点でガストレアがバラニウムに弱いことは発表されていたため、これを銃器などの現代兵器に応用して戦ったこと、そしてバラニウムの巨壁であるモノリスを建設したことで自衛隊は快勝している。

 

 

 

 

 

・アルデバラン

 かつてステージⅤであるタウルスについて国々を破壊して回っていたステージⅣガストレア。灰色の非常に厚さのある外皮と、背の甲殻より伸びる無数の触椀、首長竜みたく変異した頭部が特徴的。主要なベースとなった生物は蜂。

 バラニウム侵食液を体内で生成し、口から吐き出すことが出来る。これを受けたバラニウムは白化し、やがて内部まで浸漬すると粉状に崩れる。また、バラニウムの再生阻害を押し退けるほどの再生力を持ち、研究文献によると頭部、心臓部を失っても再生するだろうという記述がある。

 多数のフェロモンを使い分け、ガストレアを統率する。人間より効率的に動く場面もあることから、複雑な命令系統を形成しているとされる。

 

 

 

 

・ステージⅤ

 ゾディアック。世界に12体存在する、ガストレアの中でも特に異質な存在。分子レベルの再生能力を持つほか、完全体のステージⅣが子どもに見えるほどの巨躯と、無数の生物因子を編み込んだことによる超常的な硬度と厚さを誇る外皮を持つ。識別名として、黄道十二星座の名で呼ばれる。

 以下に判明しているゾディアック・ガストレアの特徴と経歴を示す。

 

【スコーピオン】

 天蠍宮の名を冠するゾディアック。黒に近い澱んだ灰色の外皮、その表面に複数の眼球。頭部が異常なほど大きく、また無数の触手を備え、二足歩行で進む巨人。全長およそ400m。

 里見蓮太郎の撃ち放った『天の梯子』を頭部に受け、脳髄を消失。撃破される。

 

【タウルス】

 金牛宮の名を冠するゾディアック。その外見は不明。『オッサン』に連れられる形で、美ヶ月樹万が一度発見している。

 ガストレアの中ではほとんど見られない、集団を形成して移動を繰り返す習性を持つ。タウルスが滅ぼした国は相当数に昇り、『無敵』とまで称されて恐れられていた。

現在は、序列一位のイニシエーターによって撃破されている。

 

【ヴァルゴ】

 処女宮の名を冠するゾディアック。姿も特性も不明。

 序列二位のイニシエーターによって撃破されている。

 

【ドラコ】※本作オリジナル

 黄道十二星座に属さない、異質なゾディアック。その外見から、黄道南極に位置する竜座の名称が取られた。

 ガストレア大戦中、突如として同時多発的に現れ、世界に破壊の限りを齎したゾディアック。その行動を一時的に停止させた謎のガストレア。

 サハラ砂漠に前触れなく出現し、日本の打ち上げた人工衛星からの熱源探知反応を以て偶然捉えられた。外見は岩山のような鋭く頑強な体表に、まるで天を衝かんとばかりに伸びる不揃いの二本角が際立った特徴。観測時は四本足で地上に立っていたとされる。

 当時の記録によると、出現から間もなく『ドラコ』は苛立たし気に唸り、突如として咆哮を上げた。その衝撃波は地球を五周半に渡り駆け抜け、当時観測していた人工衛星はこの直後に地球軌道上で空中分解、サハラ砂漠は常軌を逸した暴風と破壊で地表の砂と岩石が九割方消滅。当時豪雨に見舞われていたとされるトルコやウクライナ、エジプト近傍の国々は、衝撃波により曇が分散し、快晴となっている。また、周囲に数万体ほどいたガストレアはソニックブームにより残らず死滅した。

 それから間もなく、ドラコ除く11体のガストレアは丸一日間に渡って行動を停止し、それ以降も動きは鈍っていることが確認された。タウルス、ヴァルゴが高位序列のイニシエーターによって撃破されたのも、この後である。

 『ドラコ』は咆哮を上げた後、忽然と地上から姿を消している。僅かの間ではあるが、人工衛星が記録した映像を各国の研究機関が精査した結果、深海1000m以上の水圧にも耐えられること、そして地球内部の上部マントル層の熱にも耐えられるという結果が出ていることから、いずれかの場所に潜んでいるとされる。

 

 

 

 

・モデル・アンノウン

 人類が現在まで明らかにできなかった、世に存在していながら未だに確認されていない生物の因子、それの総称。未確認生物因子。

 当然記録などは一切皆無なため、どのような特徴を持つのか、どのような能力を持つのかは、その因子を持つイニシエーターの力を実際に見て判断するよりほかない。

 確認されているのは非常に強力な能力ばかりで、超高位序列者が多く宿すと考えられる。

 


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