ラブ鎧武!   作:グラニ

5 / 68


カイトの愛用漫画。


週刊少年なんたらに掲載されていた明治剣客浪漫譚。これに登場する全身包帯剣士の弱肉強食という信念にカイトは強く心打たれ、世界の真理と心に刻んだ。






4話:アーマードライダー ~アンチμ'sの洗礼、男爵の黄槍~

 

 

前回までのラブ鎧武!は………

 

 

1年同士での帰りの途中、寄った店で凛と花陽の幼馴染・啼臥アキトと出会い、凛と花陽、アキトと猫にあった話しを聞いて、昔のような関係になりたいけど、素直になれない凛。

 

その矢先、町の表通りでインベスが暴れているという連絡を受け、ミツザネは凛の案内で表通りへ走る。

 

そこで奮闘する鎧武に加勢するべく直った戦極ドライバーでアーマードライダー龍玄へと変身し、見事にインベス達を殲滅に成功。

 

しかし、撃ち漏らしたインベスが凛を襲う。それを救い出したのはコウタ達よりも前からこの街を救うために戦ってきたアーマードライダー・デュークだった。

 

見たことない弓、ソニックアローを使い圧倒的な力でインベスを撃破したデュークを不審なまなざしで見るミツザネと頼もしいやつがいるなというコウタ。

 

ゲネシスドライバーという存在しないはずのベルトを所有するデュークを警戒するあまり戦闘になるが、その歴然とした力の差に鎧武と龍玄は完膚なきまでに敗北する。

 

しかし、敵対する意思はないと確認出来たコウタ達一行。しかし、アーマードライダーデュークとは一体何者なのだろうか。

 

オープンキャンパスが近づいているさなかで新たな謎が生まれるμ'sだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

オープンキャンパスを2日後に控えた音ノ木坂学園。廃校になるか否かはこのオープンキャンパスでのアンケート結果で決まるという大切な時期。

 

放課後、共学化の試験のために女子校に転入してきた葛葉コウタと九紋カイトは生徒会室にいた。2人の前では生徒会役員の絢瀬絵里と東條希がせわしなく動いている。

 

「μ'sの練習以外にも生徒会の仕事があるなんて大変だよなぁ」

 

「まぁね。でも、学校の存続には入学希望者を募るだけじゃなくて、学校内部もどうにかしないといけないから」

 

「特に、明後日はオープンキャンパスやからね。今のうちに仕上げられるモノは仕上げとかないと」

 

コウタのぼやきに書類に目を通しながら答える2人。へぇ、と他人事のようにその仕事をコウタが見ていると、カイトは壁に背中を預け、不機嫌そうな表情で大きくため息を吐いた。

 

「いい加減、オレ達を呼んだ理由を言え。生徒会などというクソ面倒な事に入れという勧誘なら帰るぞ」

 

「あー、そういう事ならなぁ。あ、でも力仕事ならなんでもするぜ!」

 

ぐっと力瘤を作るマネをするコウタに、希は微笑を浮かべる。それを見てイヤな予感を覚えるカイト。

 

「ほな、遠慮なく」

 

希はそう言って絵里を見やると、彼女は頷いて一枚の書類を見せてくる。

 

「…………電球。風船。屋上清掃具………なにこれ?」

 

受け取った書類に書かれている内容を読み上げて、困惑の顔を浮かるコウタ。見出し欄には物品補修依頼書とあり、、表の中にそれぞれと必要個数が記入されている。

 

「それね、破損した物品類の修理を学校に依頼するものなの」

 

「フン。そんなもの、そう書いてあるまんまだろう。下らない要件なら帰る」

 

絵里の言葉にカイトはつまらなそうに言うと、背中を離して帰ろうとした。

 

「あぁ、待って待って。まだ始まったばかりやん。早漏な男は女の子にモテへんよ?」

 

希の言葉に、カイトがぶふっと吹き出し振り向く。その表情はコウタが見た事がないくらいに真っ赤であり、狼狽えているのが目に見える。

 

「ば、ばばばばばっ。女がそういう事を言うもんじゃない!」

 

「………そこまで狼狽えるモンか?」

 

初めて見る友人の一面に首をかしげるコウタ。真っ赤にしながらカイトはコウタへ詰め寄った。いつもの不機嫌さは吹き飛び、余裕のない態度だ。

 

「き、貴様はおかしいと思わないのか!? 女があんな破廉恥な言葉を使うんだぞ!?」

 

「お前は明治の人間かよ!? いや、確かに女子校で聞くような言葉じゃねぇけど、希もそこらへんは知ってるだろ。わしわしとセクラハしてるし、あの身体でレズだろ。多分」

 

「ねぇ、早漏って何?」

 

「んー? エリチは知らんでえぇんやでー」

 

親友の純情さにうんうんと頷いた希望は、今度は数枚の写真を見せてくる。そこにあるのは破損した掃除道具などで、どうやらこの修理報告書に書かれている物品を写したものらしい。

 

そこでコウタは違和感を感じる。これらは確かに壊されているが、そのやり方が人間とは思えないのだ。掃除道具の箒は真っ二つに折られて、バケツは底が綺麗にくり取られている。他にも電球は粉々に砕かれ、風船にいたっては膨らんだ所を割っただけというのではなく、ほとんど原型がない。近くに風船という紙が写っていなければ風船とは思わなかっただろう。

 

「これ、どうやって壊れたんだ? 悪戯にしてはやり過ぎのような……」

 

「それな、きっとインベスの仕業やねん」

 

ようやくそこで、絵里と希の言わんとしている事をコウタとカイトは気付いた。

 

「そのインベスをオレ達……いや、葛葉に倒してもらうという算段か」

 

「それは最終手段やけど、概ね合ってかな」

 

コウタとカイトは顔を見合わせる。今の話しだと校内に問題を起こすインベスを倒して欲しいというニュアンスなのだが、どうやら違うらしい。

 

「はっきりと言ったらどうだ。回りくどいぞ」

 

「もう、カイトはほんま早漏やなぁ」

 

何だろう、この人が言うと違和感ない。そう思いつつも再び顔を真っ赤にして怒り出すカイトが面白いので何も言わないコウタは、もう一度書類を見通した。

そして、ふと疑問が浮かんだ。

 

「何で掃除道具とか風船なんだ? 普通、窓ガラスとかじゃね」

 

その発言にカイトははっとなり、希はにやりと笑う。

 

「カイトよりコウタの方がお利口さんやね」

 

その点を指摘して欲しかったらしく、希はコウタの頭をわしわしと撫でてくる。

 

このインベスの目的が悪戯なのだとしたら、もっと派手な事をするだろう。その方が生徒は混乱するし、わざわざ屋上や校舎内に侵入する必要もない窓ガラスの方が簡単だ。

 

しかし、それは外部からの、という大前提がある。この手の問題は大抵外部の人間がやる事なので、てっきりそうだとコウタもカイトも決めつけてしまっていた。

 

しかし、外部ではない。

 

「まさか、ウチの生徒の仕業?」

 

「………オレ達を疑っているのか」

 

コウタとカイトは一瞬だけ警戒を強める。こういった悪戯は男子が真っ先に疑われるのが世の常というべきか、疑うとしたら不良っぽいコウタとカイトが上げられる。

 

しかし、絵里は苦笑しながら否定した。

 

「違うわ。決して2人を疑ってる訳じゃないの……その悪戯された物品類ね、この学校でよく使うのはμ'sなのよ」

 

その言葉にコウタは目を見開いて驚き、カイトはそういう事かと納得する。

 

早くもネタバレした絵里に、希はぷくぅと頬を膨らませた。

 

「もう、エリチ言うの早いやん」

 

「時間もそう残されていないんだから、ちゃっちゃっと済ませちゃうわよ」

 

希を呆れつつも、絵里は真剣な表情で言う。

 

「私達ね、これらはμ'sを快く思っていない生徒の仕業だと思ってるの」

 

「………それはアンチファンって事か?」

 

コウタの言葉に、一瞬ではあるが絵里の瞳が揺れる。

 

何事においてもアンチというものは存在する。それがファンという、ものが付き添うとのなら当然だ。

 

しかし、我が校のために人気を獲得しようと日々頑張っているμ'sに、校内からアンチがいるというのはそれなりにショックなものだ。

 

「………覚悟はあったんだけどね。まさか、校内からなんてね」

 

「遠回しにしか否定する事の出来ない人間など弱者でしかない。気にする必要もない」

 

カイトが相変わらずの物言いに、絵里は少しだけ視線を逸らしてて目元を拭った。

 

「女の子はね。カイトみたいな豪快な考え方は出来ないのよ」

 

「あー、カイトがエリチを泣かしたー」

 

「なっ、ちっ、違う! 勝手にそいつが泣いただけで……」

 

再び狼狽えるカイト。どうやらカイトと希は相性が悪いらしい。

 

「これは、カイトにウチらの名前を呼んでもらわんと泣き止まないかもしれへんなー」

 

確かにカイトは他者を苗字で呼ぶ。付き合いの長いコウタでさえ葛葉呼びで、唯一例外なのが呉島ミツザネとタカトラだ。

 

「ふ、巫山戯るな! それと今は関係ないだろう!」

 

「うぇーん。えりちー、カイトが名前で呼んでくれへんよー」

 

「うぇーん。コウタ、どうしよー」

 

絵里までもが悪巫山戯を始め、振られたコウタは肩を竦めてカイトを見やる。

 

「呼んでやれよ。じゃないと話しが進まねぇ」

 

「巫山戯るな! オレがどうしてそんな……」

 

女子の名前呼びを渋るなんて小学生かよ、お前は。

 

コウタはそうツッコミたかったが激昂の矛先こちらに来たら面倒なので言わないでおく。

 

「とにかく、そのアンチの生徒を見つけるのを手伝えって事か?」

 

「せやね。で、一応相手はインベスで悪さをするんやから、万が一のためにアーマードライダーの力を借りたいんや。まぁきっと、ここの生徒やから分別はあるんやろうけど、泊まり込みで調査するならコウタとカイトを同行させろ、ってタカトラ先生が」

 

「………泊まり込みだと?」

 

カイトが聞き返すと、嘘泣きを止めた希はあっけらかんとした感じで頷いた。

 

「どうやら犯人は夜中の間に犯行を行っているようなの。だから泊まり込みで調査したいって理事長に相談したら、その日タカトラ先生が宿直するからって」

 

絵里の言葉にコウタは息をつく。そういう大切な事は人を介してではなく直接言って欲しいものだ。

 

もっとも、特に予定らしい予定もないのでコウタとしては受けても問題はなかった。

 

「俺はいいけど、カイトは?」

 

「断る。そんな面倒な事、何故俺がしなければならない。弱者の振る舞いをいちいち気にする方がおかしい」

 

予想通りの答えに絵里と希は顔を見合わせ苦笑した。

 

「そう言うと思った。ちゃんとカイトにも利益はあるで」

 

そう言って希はどういう訳か胸元のリボンをしゅるりと外す。その動きが艶かしく、コウタは思わずごくりと生唾を飲んだ。

 

「希。いつまでやってるのよ」

 

「テヘッ」

 

絵里にぺしりと後頭部を叩かれて、希はぺろりと舌を出して笑う。その仕草で冗談だと理解したコウタは軽くズッコケる。

 

「紛らわしいっての」

 

「おやおやぁ? コウタ君ちょいと期待してもうた?」

 

「言ってろ」

 

期待してました、などとは言えずにコウタは腕を組んでそっぽを向く。

 

「もう……ごめんなさいね、さっきからおちょくってばかりで。希なりに人との距離を測ろうとしているのよ。男の子とのコミュニケーションなんて久々だから」

 

「ちょ、エリチ!?」

 

内心を言い渡された希はぼっと羞恥で顔を赤くする。そこには先程のような妖艶なお姉さんはなく、少し見栄を張っていた女の子がいた。

 

そのギャップに可愛らしさを感じ、コウタは思わず苦笑する。

 

「で、オレの利益とはなんだ」

 

「タカトラ先生がユグドラシルから貴方の戦極ドライバーを取ってきてくれるそうよ」

 

その言葉に驚くカイトは、待ちかねたように獰猛そうな笑みを浮かべた。

 

たったそれだけの言葉だけでカイトにとって、この仕事は価値のあるものになったのだ。

 

「いいだろう。お前達のくだらない仕事につき合ってやる」

 

「なるほど。カイトはツンデレやね」

 

「勘違いするな。オレの力を試すためだ。貴様たちの為ではない」

 

まさしくツンデレの発言をするカイトに三人は顔を見合わせて苦笑した。

 

ぽんと手を叩いて希が言った。

 

「ほなら、今夜の10時にアイドル研究部部室に集合やね」

 

「ちゃんと校内に人がいないって状況を作るから、一旦ウチに帰るのよ。私達はまだ生徒会の仕事があるから」

 

「わかった」

 

絵里の言葉に頷き、コウタとカイトは生徒会から退出した。

 

放課後の人気のない廊下に出た2人は並んで歩く。

 

ふと、何気ない感じでコウタが呟いた。

 

「………珍しいな。お前が乗るなんて」

 

「フン、戦極ドライバーのテストが出来るのだ。慣らしは早い方がいい」

 

そう言ってのけるカイトだが、コウタは少し違和感を感じている。

 

九紋カイト。ここに来る前から力、強さに異様なこだわりを見せていた男だが、それもここに来てからずいぶん丸くなった気がする。

 

以前なら立ち塞がるモノは力ずくで破壊し、我を通すようなものだったのだが。

 

「……何だ?」

 

コウタの視線に気付いたカイトは、怪訝そうな顔をする。

 

「カイトって、随分と丸くなったよな。なんつーか、無闇に喧嘩腰にならなくなったというか」

 

「フン。ただ闇雲に戦いをしても無意味なのだと悟った。それだけだ」

 

カイトはそう言ってバナナロックシードを取り出し、見つめる。

 

「オレにとって、力とは自分を肯定するものだった。所詮この世は弱肉強食……強ければ生き、弱ければ死ぬ。それがこの世の摂理だと」

 

「それ。お前が好きな漫画キャラの台詞だよな」

 

「だが、オレもそれが真理だと思っていた。そして、それは今も変わりはしない」

 

だがな、と区切ったカイトはバナナロックシードを強く握り締めた。

 

「オレはお前と戦い。力とは、強さとは相手を一方的に打ちのめすとのではない事を知った。それは強さの一面でしかなく、何かに耐える、自ら厳しい道を選ぶ。それも強さなのだと理解した」

 

「だから、耐え忍ぶμ'sに協力しようって? わざわざネットからアイドル調のダンス動画を見て勉強してくるくらいなら普通に協力してやればいいのに」

 

コウタは知っている。カイトが他のスクールアイドルの動画からダンスを学んでいる事を。それはμ'sがオープンキャンパスで必ず成功させるという確信があるからだ。

 

「素直じゃねぇの」

 

「当たり前だ」

 

そこでカイトはコウタへ振り向き、柔和な笑みを浮かべる。

 

「オレはツンデレだからな」

 

「自分で言うツンデレこそ面倒なものはねぇよな」

 

呆れつつもコウタは苦笑して、2人は突き当たりで別れた。

 

カイトはこっそりとしたアイドルの研究のため、コウタはμ'sの練習を見るために。

 

2人は左右に別れる。出会った当初から2人は同じ道を歩いた事はすくない。

 

しかし、心の奥底では確信している。

 

今、目指しているとのは一緒なのだと、

 

2人が持つロックシードが、その意思を反映させているかのように強く輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

###########

 

 

 

 

 

 

 

予定通りの時間。

 

裏門にてコウタとカイト、絵里と希は集まり夜の校舎を見上げていた。

 

「準備はいいぜ」

 

「待て」

 

カイトは腕を組んで、背後にいる少女に問い掛けた。

 

「何故、貴様がいる。矢澤」

 

下手をしたら中学生ほどに見間違われるかもしれないほどの低身長に黒髪のツインテール。

 

3年生にしてアイドル研究部の部長、矢澤にこがいつものあざといポーズをしてそこにいた。

 

「何よ? 我が部の部室を使うんだから、部長が立ち会うのは当然でしょ」

 

「ごめんなー。協力してもらうにあたって、どうしても同行させろ言うから」

 

ふんとない胸を貼るにこと、謝るために若干前かがみになる希。

 

その同じ動きであるはずなのに、悲しいかな揺れない震源地と揺れる震源地。

 

コウタとカイトが思わずため息を漏らしてしまうのは仕方のないものだった。

 

「あぁっ!? 今、どこでため息ついた!?」

 

「やっぱ男の子やねー」

 

「能書きはいい。さっさと始めるぞ」

 

弄られると察したのか、カイトはバナナロックシードを取り出して絵里へ言う。

 

しかし、呼びかけられた絵里はどういう訳か返事がなく、夜の校舎を見つめている。

 

「エリチ……?」

 

その様子に不審感を感じた希も問い掛けると、ビクッと肩を震わせて振り向いた。

 

「な、何っ?」

 

「いや、さっさと行こうぜ。明日も学校なんだからよ」

 

コウタが言うと、絵里はどこか自信なさげに頷く。まるで何かに怯えているような仕草に、コウタは思わず首を傾げた。

 

「どうしたよ? 絵里が言い出したんだろ」

 

「う、うん……」

 

「……………ははぁーん」

 

にやりと笑ったにこは、ばっと校舎を指さした。

 

「あーっ、校舎に人魂が……」

 

「ひゃーっ!?」

 

ばっと絵里はロックシードを構えたカイトへ抱き着く。普段の彼女からは考えられないような姿である。

 

「………エリチ、怖いん?」

 

「うぅっ……」

希の言葉にこくりと頷く絵里は、生徒会長やμ'sの練習時には見られない女の子を思わせる姿だった。

 

「あっはっは! あの絵里がお化けが怖いなんてねー」

 

「にこっち、エリチを苛めたアカンよ」

 

悪戯を思い付いた子供のように笑うにこに、希は注意するように額へデコピンをした。

 

その姿は悪戯をした子供を叱る母親である。

 

「おい、離れろ」

 

「あっ、ごめんなさい……」

 

苛立ったようなカイトの声色に、絵里は慌てて離れる。しかし、夜の校舎の不気味さには勝てないのか心細そうだ。

 

「カイト。俺が変わるから、はい」

 

コウタはそう言って、カイトと絵里の手を掴むと、無理矢理互いを絡ませた。

 

「なっ、葛葉!?」

 

「コウタ君!?」

 

咄嗟の事で2人はばっと離れた。コウタは作戦失敗とでも言うように肩を竦める。

 

「ほら、ホラー映画とかでこいうので落ち着くシーンあるだろ」

 

「コウタ。それ、微妙に違うわよ」

 

「………くだらない事をしてないで、さっさとするぞ」

 

はいはい、とコウタはオレンジロックシードを開錠してインベスを召喚した。

 

大きな角が特徴なシカインベスがコウタのバディインベスであり、アーマードライダーとして初めて倒したインベスでもある。

 

シカインベスは召喚された時点でコウタの意思を汲み取り、閉じられた正門を背にするように跪いて両腕を組んで差し出した。

 

コウタは助走も付けずにシカインベスへと飛びかかり、組んだ両腕に足を乗せる。

 

そして、シカインベスが腕力にものを言わせて、コウタの身体を高く飛ばした。その高さは正門など簡単に飛び越え、おまけにと言わんばかりに身を捻るというパフォーマンス付きで着地した。

 

「前から思ってたけど、コウタって運動神経抜群よね。凛といい勝負なんじゃない?」

 

「えー、凛と同等かよ。絶対俺の方が上な自信あるんだけど」

 

男の子が女の子より運動神経が下回っていると言われて喜ぶ者などいない。

 

正門を学校側から開けて心外そうに言うコウタに、希は可笑しそうに笑った。

 

「よし、凛にダンス勝負を仕掛けよう」

 

「はいはい。それは今度にして、今は……」

 

そう言って制してくるあたり、やはり希は母親のように感じる。しかし、コウタはその思いを振り払った。

 

相手は1つしか年の変わらない先輩であり、仲間なのだ。どんなに母親を失って久しいからといって、仲間をそんな目で見る訳にはいかない。

 

「あっ……!」

 

その時、にこが声をあげた。再び脅かすつもりだろう、と絵里は、頬を引きつらせながらも精一杯のどや顔を披露した。

 

「ふ、ふん……同じ手は喰らわないわよ、にこ」

 

「そうじゃない! 屋上にいるあれ、インベスじゃない!?」

 

にこの指摘に、その場にいた全員が屋上を見上げた。そこには1体のインベスと、その召喚した者らしき影がある。

 

何をしているかまではわからないが

、あまりいい予感はしなかった。

 

「なろっ……!」

 

コウタは戦極ドライバーを取り出して腰に装着すると、開錠していたオレンジロックシードのスライドシャックルを閉じ、再び開錠した。

 

「変身!」

 

 

『オレンジ!』

 

 

頭上にクラックが出現しシカインベスが飛んで還り、入れ替わるようにしてオレンジアーマーパーツが出現する。

 

ドライブベイにオレンジロックシードをはめ込みスライドシャックルを押し込んで、法螺貝の待機音が鳴り響く中、カッティングブレードをスラッシュした。

 

 

『ソイヤッ! オレンジアームズ! 花道オンステージ!!』

 

 

オレンジアーマーパーツを被り、コウタは鎧武への変身を完了させる。

 

「ちょ、ちょっとコウタ! いきなし喧嘩腰はまずいって……!」

 

「フン、どうやらそんな悠長な事は言っていられないようだぞ?」

 

そう言ってカイトが指をさすと、講堂へと向かって行くインベスの姿があった。

 

「なっ、もう1体!?」

 

「まさか、μ'sが関わったモノ全て壊す気!?」

 

驚く絵里とにこを他所に、カイトは鎧武の腰から下げられてある無双セイバーを勝手に抜き取った。

 

「葛葉、貴様は講堂へ行け。屋上へはオレが行く」

 

「まさか生身で戦う気!? 危険過ぎるよ!」

 

インベスと生身で戦う。カイトは平然と言ってのけるが、その行為は希が関西弁を忘れてしまうほどに馬鹿げたものだ。

 

インベスに傷付けられると、その傷口からヘルヘイムの植物細胞が入り込み侵食され、植物と化してしまうのだ。近年は研究が進んだのでかすり傷程度なら治療は可能になったが、やはり怪我をしない事に越した事はない。

 

つまり、生身で戦うなど自殺行為にしかならないのだ。

 

しかし、カイトは戦う気満々で無双セイバーを軽く振り回し感触を確かめた。

 

「攻撃を受けなければ問題ない。タカトラから連絡が入らない以上、今ある手札で最善を尽くすしかあるまい」

 

「リスクが高すぎると言っているの!」

 

カイトに詰め寄り言い合う絵里。しかし、そんな事をしてる間にもインベスは移動している。

 

仕方ない、と鎧武は大橙丸をカイトへ向けて告げた。

 

「ヘマすんなよ、カイト。もしもの時は介錯してやる」

 

「貴様と違って間抜けではないのでな。貴様こそ誤って講堂を壊すなよ」

 

「………やべぇ。大丈夫って断言出来ねぇぞ」

 

「コウタ!?」

 

これから戦うというのに、2人はいつも通りの会話を飛ばす。

 

詰め寄る絵里に、鎧武は肩を竦める。

 

「こいつは言い出したら聞かないし、確かに今はそれが一番だ。皆はカイトが無茶しないように、一緒に屋上に行ってくれ」

 

「けど……」

 

命の危険がある。その現実に躊躇うのは当然の反応だ。ましてや3人はスクールアイドルをやっているとしても、ただの女子高生である。

 

しかし、時間は待ってはくれない。インベスが講堂の中に入っていくのを見た鎧武はカイトと頷き合うと講堂へと走り出した。

 

「あっ、ちょ、コウターっ!」

 

希の制止の声が聞こえてくるが、鎧武は止まらない。

 

講堂へと入り視線を巡らせると、インベスは講堂のステージに立っていた。何をするつもりなのかはわからないが、その両腕の爪をいつでも振り下ろせるように構えている。

 

「ステージを壊す気か!? させるかよ!」

 

鎧武は力強く跳躍し、インベスの背後に立つ。

 

その音で気付いたらしいインベスは、身体を震わせるとその姿を上級インベスへと進化させた。

 

「さぁて、大橙丸1つだけど……」

 

唯一の刀である大橙丸を構え、己を鼓舞するように叫んだ。

 

「ここからは俺のステージだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2手に別れた鎧武とカイトを見て、絵里はにこに言い放つ。

 

「にこはコウタの方に行ってくれる!?」

 

「ハァ!? 何でよ!?」

 

「コウタの方にも犯人がいるかもしれないでしょ!」

 

今回の目的は調査であり、戦いではない。ちゃんと話しをして説得し、もしもの時にコウタ達を連れてきたというのに。

 

すでに走り出したカイトを追いかけるため、絵里と希は校舎へと入る。「明日なんか奢りなさいよーっ!」と叫んでいたにこも、コウタを追って講堂へと行ったようだ。

 

「やっぱり、連れてきたのは失敗したかしら……」

 

「エリチ、今はそんな事言ってる場合やないで」

 

後ろをついてくる希の言葉に歯噛みする。今は自分のミスを嘆くよりもカイトを追い掛けて止めなくてはならない。

 

彼もアーマードライダーなのだからそれなりの実力を持っているかもしれないが、生身の人間がインベスに勝てる訳ないのだ。

 

「タカトラ先生とも連絡つかないし……」

 

先程からメールを飛ばしているのだが一向に返信が来ない。走りながらも携帯を取り出して確認してみるも、やはりメールはない。

 

呉島タカトラはコウタ達と一緒に赴任してきた唯一の男性教師であると同時に、ユグドラシルにおいて重要な役職であるらしい。ほとんど学校におらず、授業をしている所もない。

 

それだけ多忙の身ならば、会議などが長引いているのかもしれなかった。

 

「とにかく、相手をなんとか説得して納めるわ。戦いなんてもってのほか!」

 

「……上手くいくとえぇけど」

 

不穏な希の呟きを無視した絵里は予め開けておいたアイドル研究部の窓から中に入った。

 

すると、中は椅子などが乱雑に倒されており、おそらくカイトが鬱陶しげにはじき飛ばしたのだろう。

 

無双セイバーで斬り裂かなかっただけマシと思うべきか。

 

廊下に出て屋上まで一気に駆け上がると、前を走るカイトの後ろ姿を発見した。どうやら途中で校舎内で迷ったらしく、時折「くっ、屋上はどっちだ!?」と唸っている。

 

「カイト!」

 

絵里が呼ぶと、カイトは足を止めて振り返る。そして、苛立ったように舌打ちをした。

 

「屋上へはどう行けばいい?」

 

「カイト、戦ってはダメよ。私達の目的はあくまでも校舎の破損を阻止、その理由を聞き出す事なのよ」

 

「貴様は甘い。インベスを出している時点で対話に応じるはずがない」

 

インベスで犯罪をする事は出来ない。

 

それは一般的に配られているロックシードでは、インベスゲーム外では小さい妖精のような姿でしか召喚出来ないのだ。

 

それを犯罪に使えるくらいの大きさ、実体化させて召喚を可能にするのがエナジーロックシードである。

 

つまり、先程見えたインベスはエナジーロックシードで召喚されたという事になる。手に入れるだかで非合法なのに、さらにそれで違反を犯すというのはよほどの想いがあるからなのだろう。

 

だから対話の余念はない。そう言うカイトにも一理ある。

 

しかし、だからと言って相手は同じ学校の生徒だ。最初から疑って掛かりたくはなかった。

 

「それでもよ。どうしても戦いから始めるというのなら、今からタカトラ先生に連絡して貴方の戦極ドライバーは持ってこないように言うわ」

 

カイトはその言葉に眉を顰める。彼は戦極ドライバーのテストのつもりで協力しているのだから、戦極ドライバーが手に入らない事態は避けたいはずだ。

 

やがて、舌打ちをすると無双セイバーを逆手に持って踵を返す。

 

「ならば見せてもらおうか。葛葉以上に甘い貴様の戯言が、どこまで通用するのかを」

 

そう言って歩き出したカイトの背中に、希は言った。

 

「さっきのインベスがいた屋上、こっちの階段やで?」

 

「…………さっさと案内しろ」

 

決め切れなかったからか若干恥ずかしそうに言うカイトの姿は、これから命のやりとりをしようとしていた人間のするものではなかった。

 

絵里は横を通り過ぎて希の後を追うカイトの背中を見つめる。

 

自分が甘い事を言っているのはわかる。自分が思っている以上に世界とは残酷であり、優しくはないことも理解している。

 

それでも戦わずに出来るなら、その方がいい。アーマードライダーにとっての戦いというのはアイドルの戦いとは別で痛いのだから。

 

「エリチー。早く来ないとカイト君が勝手に喧嘩売ってしまうよー?」

 

少し離れた所から言ってくる希にはっとなり駆け足で合流する。

 

階段を登ればいつも練習で使っている屋上だ。いつもと違うのは夜のため暗いという事と、そこにはインベスがいるという事だ。

 

「いい? 私が言うまで戦ってはダメよ?」

 

「フン」

 

絵里の言葉に不機嫌そうな顔をするカイトだが、絵里は構わずドアを開けた。

 

開けた先には、上級インベスを従えた少女がいた。音ノ木坂学院の制服は当然として、黒い髪を腰まで伸ばしてリボンで結っていた。

 

その後ろ姿を見た時、絵里と希は驚愕のあまり足を止めてしまった。

 

「嘘……貴方が、物品を壊してたの………?」

絵里の嘯きで気付いたのか、彼女はこちらへと振り返った。

 

「あらあら、絵里じゃないの。こんな夜更けまで生徒会活動? 精が出るわね」

 

「知り合いか?」

 

カイトが尋ねてきたので、希が返す。

 

「堀部真央ちゃん……って、カイト君もクラスメートやん」

 

堀部真央。絵里や希、カイトと同じクラスに所属する3年生であり、かつては絵里と生徒会長の座を争った中でもある。結果として絵里が僅差で取ったのだが、その彼女は他の役職に就く事なく生徒会からは離れていった。

 

真面目の3文字を現したような少女がこんな事をしているというのも驚きだったが、それよりも彼女が向けてくる憎悪の瞳の法学部驚きは強い。

 

「フフッ、私がこんな事をするのが意外かしら?」

 

「真央……どうして?」

 

嘲笑する真央に絵里が尋ねると、彼女はその瞳を強く向けてくる。

 

「どうして? 理由は簡単……μ'sが気に入らないからよ」

 

「気に入らないって……どうして? 私達は学校存続のために活動したるのよ?」

 

「そのせいで学校はインベスの集団に襲われ、何より共学化の道を辿る事になったのよ?」

 

っ、と絵里は何も言えなくなった。

 

μ'sのせいで共学化する。この事に懸念を覚えたのはメンバー全員であり、いつかはぶつけられるであろうとは思っていた言葉だ。

 

「真央ちゃん。それは可笑しいんとちゃう?」

 

そこで希が1歩前に出て言った。

 

「インベスが襲ってきたのは音ノ木坂学院の廃校が目的の政治家の暴走。μ'sも共学化も関係ない……それにあの時、コウタ君やタカトラ先生がいなかったら、被害は広がっていた……下手したら怪我人も出たかもしれなかったんよ?」

 

「それでも共学化になった事に変わりはないわ。μ'sのせいで……」

 

ぎりっと歯噛みした真央は、カイトを真っ直ぐ睨む。

 

「音ノ木坂学院は女子校よ……今までも、ずっとずっと! 男子なんて悍ましいモノが来ていい所じゃないのよ! 美しい花園に汚物が放り投げられたような気分だわ」

 

「どうしてそこまで男の子を嫌うの?」

 

カイトにだけ向ける瞳だけは、憎悪と敵意に満ちていた。それほどまでに男を嫌っている理由がわからなかった。

 

しかし、それより先にカイトが前に出て無双セイバーを構えた。

 

「フン。大方、昔付き合っていた男に二股かけられ、それで男嫌いになった、とう所か」

 

「っ……!」

 

それは図星だったらしく真央の表情が強ばる。それを見たカイトは、苛立ち気に舌打ちをかます。

 

「当たりか……男を嫌う理由にはなっても、ここまで過激な事をする理由になりはしないな」

 

「何よ………アンタに何がわかるっていうのよ!? どうせアンタもそうでしょ! 絵里も希も身体目当てで、すぐに玩具のように使い捨てるんでしょう!?」

 

真央の言葉に反射的に絵里と希は身を引いてしまうが、カイトは気にした様子もなく敵を見据えたまま言う。

 

「貴様は弱いな。共学化が嫌なら即座に理事長に言えばいい。それだけでオレ達はすぐに立ち去る……そう説明があったはずだ」

 

カイトの言葉に、絵里ははっとなる。彼等が来た翌日に、もし共学化に不平がある者は申し出るように、という通達はされている。

 

しかし、真央はそんな事を言った事はない。それが意味するのは。

 

「気付いているのだろう? 自分の言っている事が単なる我が儘でしかなく、この程度で共学化を却下出来るはずなどないと」

 

「……うるさい」

 

「貴様はどうしようもない苛立ちを、μ'sにぶつけている

ただのガキだ。自分から行動する事の出来ないただの我が儘娘だ!」

 

「うるさい、うるさいうるさい!」

 

半乱狂になった真央がエナジーロックシードを構えると、それが合図になったかのように控えていたインベスがぐわりと動き出した。

 

「カイト! ダメッ!」

 

絵里の叫び虚しくインベスの爪とカイトが振り上げた無双セイバーがぶたかり、体勢を崩したのはカイトだ。

 

崩した身体を無理矢理動かし無双セイバーで追撃しインベスを斬りつけるが、皮膚を斬り裂く事は出来ず転がってその場から離れる。

 

「カイト!」

 

「下がっていろ、邪魔だ」

 

名前を呼ぶ絵里に焦る事なく切り返し、カイトはインベスを睨む。まだ個別へと進化していないのにダメージを与える事も出来ず、腹正しい事この上ない。

 

「タカトラめ……どこで油を売っている」

 

ぼやきながら迫ってくるインベスの攻撃を無双セイバーで上手く受け流す。真っ向から受ければ腕が折れたりするのは必須で、流して衝撃を回避する以外に道はなかった。

 

「っ、真央やめて! 同じ生徒が争う必要なんてないはずよ!?」

 

「黙りなさい! 生徒会という身でありながらアイドルに身を売った売女がっ!」

 

何とか説得しようと絵里が叫ぶも、真央が聞く耳持たずインベスの攻撃を強める。

 

そして、ついに捌ききれなくなったカイトが吹き飛び、その際に無双セイバーが手から離れて屋上から消えていく。

 

「っ、カイト!!」

 

「エリチ!」

 

駆け寄ろうとした絵里の身体を抱き締めるように希が止めてくる。彼女とて駆け寄りたいだろうに、しかしそれをやらないのは邪魔にしかならないと理解しているからだ。

 

絵里とて邪魔にしかならないのはわかっている。しかし、このままではカイトがやられてしまう。自分達の思い付きのせいで、誰かが傷つく。

 

それだけは嫌だ。

 

そんな絵里の想いに反して、インベスはカイトに近付くと爪を研ぎ、思い切り振り上げた。

 

「ハァッ!」

 

その時、絵里の描く絶望を打ち砕くように、外から舞い上がる白い影があった。

 

「タカトラ先生!」

 

それを一目でアーマードライダー斬月と判断した絵里の叫びは、まさしくヒーローの出番を待ち侘びた子供のソレと同じであった。

 

斬月はその声に応えるように、無双セイバーのバレットスライドを引いて銃弾を装填すると、ブライトリガーを引いた。

 

ムソウマズルからエネルギー弾が放たれ、カイトを襲おうとしていたインベスに命中する。有効なダメージを与える事は出来なかったが、怯んだその隙にカイトはその場から離れる。

 

「フン、遅かったじゃないか」

 

「会議の合間を縫ってきたんだ。それに、お目当てのモノはあるさ」

 

そう言って斬月は、同じタイプの戦極ドライバーをカイトへ差し出した。

 

それを待ちかねたといわんばかりの笑顔で受け取ったカイトは、迷う事なく腰に装着した。

 

「カイト……」

 

立ち上がった際に少し揺らめいたからか、絵里が心配そうに声を漏らす。

しかし、カイトは凶悪な笑みを絶やさずにお気に入りでもあるバナナロックシードを構えた。

 

「変身」

 

 

『バナナ!』

 

 

開錠すると共に頭上にバナナアーマーパーツが出現し、斬月は少し距離を置く。

 

バナナロックシードを指先でくるりと回し、ドライブベイにセットしてスライドシャックルを押し込むと、西洋を思わせるようなファンファーレが待機音として鳴り響く。その音も鎧武や斬月と同じで己を鼓舞しているようだった。

 

カイトはカッティングブレードをスラッシュし、両手を広げた。

 

 

『カモンッ!』

 

 

するとバナナが頭にすっぽりと嵌り、カイトの身をスーツが包み込んでゆっくりと前へ歩き出した。

 

「えぇっ!? 歩くのめっちゃシュール………てか、バナナ!? バナッ!? バナナァッ!?」

 

「バロンだっ!!」

 

 

『バナナアームズ! ナイトオブスピアー!!

 

 

アーマーが展開され、カイト……否、アーマードライダーバロンが姿を現す。西洋の騎士を思わせる姿に、右手に握られているのは薙ぎ払う事に特化した日本槍よりも突きに重きを置いた所謂ランスのデザインをしたバナスピアーが握られていた。

 

「あれが……カイトの………」

 

「ふ、フン! そんなのコケ脅しよ! バナナとかダサいし!」

 

威圧に押され気味なのか、真央が震えた声で叫ぶ。その昂る気持ちに呼応するようにインベスの姿が上の個別体、ビャッコインベスとなる。

 

しかし、バロンは臆する事なくバナスピアーを構え、ゆっくりと腰を押した。

 

「ま、まるで牙〇やね……」

 

希がごくりと息を呑んで言った。この緊張下の中でそんな事が言える親友が正直羨ましかった。

だが、次の瞬間。バロンの姿が掻き消えたかも思うと、ビャッコインベスと擦れ違うようにバナスピアーを振るい、振り返りざまに突き付けた。

 

「らぁっ!」

 

気合いとともに放たれた突きは、ビャッコインベスの身体を悠々と吹き飛ばし、フェンスをへこました。

 

「なっ、なんて突きなんや……」

 

「当然だ。オレがる〇剣をマネて練習した〇突に死角はない」

 

「ねぇ、それギャグのつもり!? ギャグのつもりなの!?」

 

希の呟きに悪ノリを始めたバロンに、色々と耐え切れなくなった絵里が突っ込む。バロンはまだしも、何故希までも余裕な態度でいられるのだろうか。

 

次々とビャッコインベスが立ち上がり立ち向かい、バロンが突きで弾き返す。もはや戦いですらない、ただの弱い者イジメがそこにはあった。

 

「………何よ……何よ何よ何よ! 所詮男なんて力を振るって女を押さえ付ける野蛮な人間じゃない! そんなに強い自分を見せつけたいの!? そんなに強い自分に酔いたい訳!?」

 

ビャッコインベスが劣勢になり、叫びを増す真央。

その叫びにはただ男が嫌いなというだけでなく、どこか悲痛な色な混じっていた。

 

「どうせそうよ……男なんて、強さを自慢して、非力な女である私を…………」

 

「……………貴様は1度でも、戦ったのか」

 

ビャッコインベスを切り払いながら、バロンが言う。

 

「えっ………?」

 

「貴様は先ほどから言い訳ばかり。貴様がどんな男と付き合っていたかは知らないが、ただ黙って唇を噛み締めていただけなのか」

 

ビャッコインベスから意識を外さないようにしつつも、バロンの視線は真央へと向けられていた。

 

「この世界は弱肉強食。弱ければ死に、強ければ生きる。受けおりだが、それは少なくとも世界の一面であることに違いはない。戦わない者に生きる資格などない」

 

「な、戦うなんて……私が暴力で勝てる訳ないじゃない!」

 

「勝てる訳わけないと言って逃げているならば、貴様にμ'sやオレ達をどうこう言ういわれはない」

 

再び攻撃をしてくるビャッコインベスをバナスピアーの柄尻で叩き落とすバロン。もはや勝敗は見えていた。

 

「μ'sは戦っている。廃校を阻止しようと……素人だらけの中でも必死にな。葛葉にミツザネもそうだ。皆を守るためと甘ったれた事を言っているが、それでも戦っている……対して貴様は何だ? 戦う事すらせず、ただ言葉を並べるだけ………貴様みたいのを何ていうか知ってるか?」

 

バロンは止めを刺すかのようにカッティングブレードに手をかけた。

 

「強者でも弱者でもない……ただの屑だ!」

 

「………ああああァァァッ!!」

 

悲鳴にも似た慟哭が、真央の口から放たれる。同時にビャッコインベスの身体に刻まれた紋様のようなモノが輝きだし、それらの光は両腕の爪へと集まる。

 

まるで最後の一撃といわんばかりに膨らむ力は、戦いの素人でもある絵里と希でも感じれるほどだ。

 

その威圧から守るように斬月がメロンディフェンダーを掲げてくれる。

 

ビャッコインベスが爪を振るうのと、バロンがカッティングブレードを1回スラッシュするのはほぼ°えじだった。

 

 

『カモンッ! バナナ・スカッシュ!!』

 

 

振られた詰めからエネルギーが斬撃の波となってバロンへ飛ぶ。

 

バロンはエネルギーが収束したバナスピアーを構え、向かってくるエネルギー波に突きを放つ。

 

一撃でエネルギー波を砕き、さらに数擊の突きを放った後、横一文字に薙ぎ払った。全ての攻撃にバナナを思わせる剣閃が走り、ビャッコインベスは火花を散らして爆散した。

 

爆散により屋上の一部が散らばるが、絵里と希は斬月によって守られているため影響はない。

 

絵里と希が次に見た光景は、膝をつく真央とその前に立つバロンというものだった。

 

「………………真央」

 

「………わた、しは……!」

 

粉々に砕けたエナジーロックシードを握り締める真央に、絵里はどう接していいかわからかった。

 

「そうやって俯くだけでは何も変わらん。赤の他人であるオレに怒りさえ沸かないのなら、貴様は救いようのない屑だ」

 

その瞬間、真央は顔を上げて近くにあった破片を握り、振り上げた。

 

アーマードライダーに変身していれば破片など意味のないモノだ。

 

しかし、バロンは展開したキャストパットを閉じ、変身を解除した。

 

「カイト!?」

 

アーマードライダーとしての加護を失ったカイトの頭に、破片が直撃した。ゆらりと彼の身体が揺れ、頭部から血が流れ出す。

 

「あっ………」

 

初めて人を怪我させたからか、真央の顔が青くなる。

 

しかし、カイトは笑う。

 

「そうだ。それが戦うという事だ。覚悟があれば、弱者であってもいずれ強者になる。廃校を受け入れるならば、それに耐えるのもまた強さだ」

 

そう言って手を差し伸べる。

 

「いつでも受けて立つ。戦う気かまあるならかかって来い!?」

 

前につんのめったカイトが振り向くと、割と本気で怒っている絵里と希がいた。

 

「何カッコつけてるのよ!?」

 

「血が出てるやん! 何で無茶しとるん!?」

 

絵里と希は脇を持ってずるずると引き摺る。何故、彼は血を流してまで戦うという事にこだわるのか、少しだけ理解した気がした。

 

戦いとはアーマードライダーのように剣を交えるだけではない。

 

アイドルとして人気を競い合うために、踊る事もまた戦いなのだ。

 

少なくとも、九紋カイトにとっては。

 

しかし、だからといって怪我をしていい事にはならない。

 

なので。

 

「タカトラ先生、保健室を開けて下さい。応急処置をします」

 

「せっかくの屋上がボロボロやん! 明日と当日の練習どうしたらえぇねん!」

 

「なっ、離せ! 当たってる、当たってるから!」

 

次々と矢継ぎ早しに言葉を交わす3人を見て、変身を解いたタカトラはやれやれと肩を竦めて呆然となっている真央を見やった。

 

「お前も来い、堀部。バイヤーの事を教えてもらう」

 

そう声をかけると、彼女は肩を震わせ始めた。怒られるという恐怖とは違う感情が込み上げてきているようだ。

 

「…………九門カイト」

 

やがて真央は、呪詛の言葉を………

 

「ステキ!」

 

吐き出さなかった。

 

「待って、私の王子様ぁー!」

 

タカトラを無視して駆けていく現役女子高生の後ろ姿を見届け、タカトラは仰々しく息を吐いた。

 

「これが若さか」

 

何やらジジ臭い台詞を吐き、ふと校庭の方で光が弾けたのが見えた。

 

「あちらも終わったか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡る。

 

鎧武を追い掛けて講堂にはいったにこは、突然前から出てきた鎧武とインベスに驚愕して離れた。

 

「ちょ、コウタ!?」

 

「離れてろ、にこ!」

 

鎧武は殴りかかってくるセイリュウインベスを大橙丸で受け止めるが、威力を殺し切れずに吹き飛ぶ。

しかし、上手く講堂の外に誘導する事には成功したようで、セイリュウインベスは校庭へ逃げて行く鎧武を追いかけて行った。

 

「また走るのね……」

 

「苦戦しているようだな」

 

また追いかけるのか、と肩を竦めているにこに声をかける者がいた。

 

振り返ると、そこには戦極ドライバーを腰に装着した呉島タカトラがいた。確かカイトに戦極ドライバーを渡すのだと言っていた事を思い出した。

 

「タカトラ先生!」

 

「矢澤。葛葉にこれを渡せ」

 

そう言ってタカトラが差し出したのはパイナップルをモチーフにしたロックシードだ。

 

にこが受け取るとタカトラはメロンロックシードを掲げて呟く。

 

「変身」

 

 

『メロン』

 

 

 

開錠とともにアーマーパーツが出現し、ロックシードをドライブベイにセットしてカッティングブレードをスラッシュした。

 

 

『ソイヤッ! メロンアームズ! 天、下、御、免!!』

 

 

 

タカトラはアーマードライダー斬月と変身し、にこを見やる。

 

「あいつは任せたぞ」

 

「えっ、ちょ、任せたって言われても………!」

 

にこの抗議に答える事なく、斬月は跳躍して屋上へと向かって行った。

 

しばらく伸ばした手を弄ぶようにしていたが、遠くから鎧武がやられる音が響き、にこはそちらへと駆ける。

 

校庭では鎧武が苦戦を強いられていた。大橙丸を振るうがセイリュウインベスの皮膚は硬いらしく、火花を散らして刀は弾かれ、体勢を崩した所に一撃を受けていた。

 

「ぐわぁっ!?」

 

強烈な一撃で鎧武は吹き飛び、その手から大橙丸を手放してしまう。

 

「コウタ!」

 

駆け寄ろうとしてくるにこを安心させようとしたのか、鎧武はカッティングブレードを1回スラッシュした。

 

 

『ソイヤッ! オレンジ・スカッシュ!!』

 

 

鎧武の右脚にオレンジの果汁のようなエネルギーが集まっていき、跳躍してキックを放つ。

しかし、大橙丸をもってしてもダメージを与えられなかったセイリュウインベスの皮膚には、鎧武の必殺のキックをも防ぎ、逆に無防備となった身体に一撃を受けてしまう。

 

「コウタッ!」

 

「っくぅ……くそっ、パインがあればあんなの……」

 

そのぼやきに声を上げる事なく、にこは先程受け取ったパインロックシードを投げた。

 

鎧武の頭に当たり手に収まったのを見て、驚いたようににこを見やった。

 

「お前………」

 

「タカトラ先生からよ。負けんじゃないわよ、ヒーロー!」

 

そう言うにこに笑いかけ、鎧武はパインロックシードを開錠した。

 

 

『パイン』

 

 

ドライブベイのオレンジロックシードを外し、パインロックシードをセットしスライドシャックルを閉じカッティングブレードをスラッシュした。

 

 

『ソイヤッ!』

 

 

オレンジのアーマーパーツが果実モードに戻ると高速回転を始め、鎧武はそれをセイリュウインベスにぶつける。

 

そして、パインアーマーパーツが鎧武の頭に落ちて展開した。

 

 

『パインアームズ! 粉砕デストロイ!!』

 

 

展開が終了すると、新しい鎧武の姿がそこにはあった。黄色を基調とし、右手には鎖が伸びてパイナップル型の鉄球の様な武器、パインアイアンが握られている。

 

「さぁて、ぶっ潰すぜ!」

 

鎖を持ち扱えなさそうなパインアイアンを器用に振り回し、セイリュウインベスにぶつける。斬るのとは違う衝撃に、今度はセイリュウインベスは吹き飛ぶ。

 

「っしゃぁっ! やっぱ硬い奴にはこいつだよな」

 

上機嫌になった鎧武は立て続けにパインアイアンを振るう。前に使っていたという事もあって扱いは上手く、武器に振り回される事なく攻撃していく。

 

「相手によって相性があるんだ……」

 

その戦いは流暢で、にこは思わず呟く。それは恐怖などではなく感嘆するもので、それほどに鎧武の戦いはどこか画面を切り取ったようなさかいめがある気がしたのだ。

 

「さぁて、そろそろフィニッシュといくか」

 

ボコボコと殴られたセイリュウインベスの皮膚は可哀想なくらい罅割れており、動きも緩慢になってきていた。

 

鎧武はカッティングブレードを1回スラッシュし、パインアイアンを上空へ放り投げて自身も続くように跳躍した。

 

 

『ソイヤッ! パイン・スカッシュ!!』

 

 

鎧武がパインアイアンを蹴ると、それはセイリュウインベスの頭にすっぽりと嵌る。鎧武自身もそれをマーキングにするかのように、キックを放った。

 

「セイハァァッ!!」

 

気合いとともなキックが命中し、エネルギーの余波がパインの身が弾ける。

 

鎧武が着地して振り向くと、そこにはセイリュウインベスの姿はなく、ガッツポーズしてから変身を解いた。

 

「やったな、にこ!」

 

「何か危なかったように思えるんだけど?」

にこに駆け寄ってハイタッチしたコウタに、にこは苦笑する。

 

ともあれ、今回の件は終わった事に安堵に、にこはない胸を撫で下ろすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カイト達と合流したコウタとにこは、カイトに引っ付いている真央に目が点になった。

 

「………どういう事なの」

 

「知るか」

 

鬱陶しそうにしているカイトだが、何度も振り払おうとしても離れないので諦めたらしい。

 

絵里と希もどうしたらいいかわからず苦笑を浮かべており、とにかくといった感じで絵里がコウタとカイトに言う。

 

「2人とも、今日はありがとう。結局戦いになって、色々壊れちゃったけど……感謝してるわ」

 

「……次は壊さないよう気をつけます」

 

悪気があったわけでもやられそうだったのだから不可抗力ではあるが、戦闘により校庭が少し抉れ、カイトに至ってはよりによってμ'sの練習場所である屋上を豪快に壊したらしい。

 

「さて、後の事は俺がやる。葛葉、九門。4人を家まで送って行け。堀部からは今度改めて聴取する」

 

「はい」

 

罪を犯したという事から、真央の表情は暗くなる。

 

それを安心させるように、タカトラは言った。

 

「きちんと錠前ディーラーの事を話してくれれば、学校側に報告するつもりはない」

 

「先生。それって脅迫じゃないですか? 」

 

呆れる絵里に、いけしゃあしゃあとタカトラは答えた。

 

「取引だ。この程度、子供の悪戯の範疇で収まるからな……錠前ディーラーは星の数ほどいる。なりふりかまっていられないんだ」

 

錠前ディーラー。

 

本来、市場に出回る事のないようなロックシードを売り捌く禁断の商人。

 

幾度なく戦いをして、結局捕まえる事が出来なかった奴ら。

 

「あいつらは絶対に捕まえる。放っておくわけにはいかない」

 

決意めいたコウタの言葉に、タカトラは頷く。

 

その時、携帯に着信があり、コウタは携帯のメールを見た。

 

差出人は目の前にいるタカトラだ。

 

 

送り届け次第、宿直室に集合。

 

 

その文面に目を細めつつも、顔色は変えない。わざわざメールにしたのは、絵里達には知られたくないからだ。

 

 

 

ついに4人のアーマードライダーが揃い、オープンキャンパスが目前に控えた音ノ木坂学院。

 

しかし、そこで起きる戦いがよもやあんな事になるとは、この時は誰にも予想出来たりはしない。

 

ある男を除いては。

 

 

 

 

 

九紋カイトが所有するロックシード

 

 

・バナナ

 

・ローズアタッカー

 

 

 

 

 

次回のラブ鎧武!は…………

 

 

 

「明日のステージは、俺達が守るぜ!」

 

不安がるμ's達を励ますコウタ。

 

 

 

「世界中の人々がコウタさんや穂乃果さんみたいに単純バカばっかりなら……きっとこんな事にならないで済んだんだろうな」

 

バカにしつつもコウタと穂乃果を尊敬しているミツザネ。

 

 

 

 

「さぁ、始めようぜ。滅茶苦茶にしてやるからよ………」

 

『マツボックリアームズ! 一撃インザシャドゥ!!』

 

強襲する悪意、初瀬ことアーマードライダー黒影。

 

 

 

 

「これは、私達μ'sが9人になって初めての曲。始まりの曲です! 聞いて下さい………”僕らのLIVE 君とのLIFE”!」

 

μ'sのスタートを切るライブに全力を出すため、彼女たちは笑顔で踊る。

 

 

 

 

「あいつらのステージがLIVE(踊り)なら、俺のステージはLIFE(戦い)だ!」

 

気合いを込めて戦場を踊るアーマードライダー鎧武。

 

 

 

 

「さぁ、今度は俺達が滅茶苦茶にしてあげるよ」

 

そして始まる。想定していたシナリオの中で最悪のモノが。

 

 

 

 

次回、ラブ鎧武!

 

5話:僕らのLIVE 君とのLIFE ~松傘の野獣~

 

 

 





バロンの初変身と生徒会の話しでした。

アニメではありませんでしたけど、μ'sに対してアンチファンが存在しない、というのはどうなんだろうなー、と。いくら音ノ木坂学院のためでもそのせいで他のスクールアイドルがー、みたいな感じで。

アイドルという人気を集める世界なら、好き嫌いで応援するか否かを決めるシビアな世界だと思うので。そこへ女子校が急きょ男子校になった影響、というのも描いてみました。

牙○やるろ○ネタに関しては、バロンの構えを見てて似てるなーって思ったのと、カイトが読んだらあのお方絶対好きになるだろうとドンピシャだったためつけてみました。以降もこのネタを使うかは…………まぁ、その時の気分次第で。

鎧武のアームズチェンジは、それぞれミッチとカイトから送られたのでやりました。鎧武ってフォームチェンジを序盤にやるんですよねー。あ、ウィザードも最初から出来てましたか…………

ちなみにバロンと龍玄のアームズチェンジは1期のうちではやりません。はい、構成だけなら2期最終まで出来てます。頭の中だけですが。


次回はやっとオープンキャパスで僕君です。アニメだと9人になってすぐだったのに、えらい時間がかかりましたwww
今後もこれくらい時間をかけていこうかと思います。

オープンキャパスで登場する初瀬ちゃんと策士(笑)さん。前もって言っておきます。
どちらも原作のような無能ではなく、下手をしたら作中最強コンビとなるかもしれません。いえ、それも自分の物語次第ですが…………

また、長い戦闘描写などのため、かなり「無理やりなご都合主義」がてんこ盛りとなっております。筋の通った物語にしてはつもりですが、読者様の中には「それは違うんじゃないか」という方もいるかもしれません。
ここはおかしくないか? などありましたら、ぜひアドバイスをお願いします!

次回もぜひ、よろしくお願いします!




▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。