夕暮れになれば空が茜色に染まり、やがて暗がりが世界を侵食する。
それは当たり前で、いつも見る光景。
室内に緊急事態を知らせる警告灯が明暗し、アラートが響く。
その施設は炎上していた。備えられていた計器などの機械から爆炎が吐き出され、今は原型を保っているが化学薬品と混ざりあって大爆発を起こすのは時間の問題だと思われた。
そこはインベスを伴った研究施設であった。解剖実験を行うのではなく、インベスがどごで人類の補助を出来るのか。例えばパソコンに近い装置を使い、人間の代わりに演算などの複雑な作業が行えるのか、細かな金属部品を組み立てる事が出来るのか、などといった事を検証するのがこの施設の目的であった。
現在、人類の人口は減少の一手を辿っており、世界レベルでの問題になっている。特に少子高齢化は顕著で、至る所で学校が廃校になったり合併したというのはよく耳にする話しだ。
若者が減る、という事は後後の世で働き手がいなくなるという事だ。いつだって世界を動かすのは若者の力なのだから、その若者がいなくなるという事は世界が動かなくなるという事と同義である。
だこらこそ、インベスによる人間の代行が可能になれば、少しでも人類に貢献出来るかもしれない。
そんな淡い期待や希望、夢といったものはたった今、炎に飲み込まれていた。
頭から血をながしながら、若き研究者は呆然と顔を上げる。
施設を襲撃し、破壊活動を行った犯人は緋いアーマードライダーだ。
緋い蜜甘果実のような太刀と高ランク戦極ドライバーに配備されている無双セイバーを握り締め、火炎の中で仁王立ちしていた。
その姿は和風デザインの鎧武者であり、情報で目にした事があるアーマードライダー鎧武に酷似している。しかし、その色合いは赤が主となっているからかオレンジ色を基調とした鎧武より、まるで血を浴びたかのような邪悪な印象を植え付けてくる。
「…………インベスとの共存など不可能だ」
緋いアーマードライダーから低い男性の声が響く。それだけで判断するならば40代ほどの男性と予想出来るが、変成器などを使えば声はいくらでも誤魔化せるから正しくはないだろう。
しかし、そんな事よりも若き研究者はこの男の言葉に怒りを抱いた。インベスは人類にとって有効的な存在であり、こちらを手助けしてくれている存在なのだ。
それを化け物と切り捨てたこの緋いアーマードライダーを、若き研究者は黙って見過ごす事など出来なかった。
「彼らは友達だ………! 俺達、人類にとって掛け替えのない………!」
「10年という月日で友達とは泰行だな」
緋いアーマードライダーへ無双セイバーに備わっている銃口をこちらへと向けてくる。
本来、暴走したインベスを鎮圧するために開発された装備だ。人間の身で受ければ無事で済まないのは当たり前として、確実に絶命するであろう。
その時、崩れた瓦礫を吹き飛ばして疾駆してくる影が躍り出た。
「むっ……!?」
それは緋いアーマードライダーを翻弄するように機敏に動き、研究者を守るように立ちふさがった。
それは研究者が親身になってデータを取っていた担当のライオンインベスだ。荒い気性が多いライオンインベスの中では珍しく大人しめな個体で、不向きだと言われている人間の手伝いを拒否する事なく応じてくれる優しいライオンインベスである。
そのライオンインベスが野性の本能を取り戻したかのように敵意を剥き出しにしており、緋いアーマードライダーを睨んでいる。
しかし、それは悪手である。
「っ、よせ! いくらお前でもアーマードライダーの相手は部が悪すぎる!」
上位個体の中でも戦闘力が高いライオンインベスであっても、相手はアーマードライダー。本来、インベスを滅する存在を相手にしてライオンインベスに勝ち目などなかった。
しかし、ライオンインベスはそんな事知った事かと言わんばかりに緋いアーマードライダーへと飛び掛る。
緋いアーマードライダーはライオンインベスを迎え撃とうと構えるが、理性という箍が外れた野性の攻撃に防ぎきれず装甲から火花を散らして後ずさる。
「ふん、獣風情が………ならば、それ相応の扱いをしてやろう」
胸部装甲から吹き出る煙を払い消し、警戒をしたまま構えるライオンインベスを睥睨しながら、緋いアーマードライダーは左手の指を鳴らした。
何時からか、緋いアーマードライダーの背後に白いインベスが控えていた。
インベス、と言っていいのだろうか。白を基調として体躯の左右に音響パイプのようなパーツを付け、まるで従者のように立っているその存在は、研究者ですら見た事のないインベスだ。
「新種のインベス………?」
白いインベスは両手を胸の前で組んでから、まるで決意したように顔を上げた。
そして、
左右のパイプから、音が響いてきた。
不快とも、心地良さも感じられない。いや、そもそも人間の歌かどうかも危うい。歌と辛うじて判断出来たのは、何やら言語のようなものも一緒に流れてきたからだが、研究者には理解出来ない羅列だった。
「…………何?」
そして、変化が訪れる。
あれだけ怒り狂っていたライオンインベスが戦意を収め、大人しくなっているのだ。
いや、大人しくなったのではない。
ライオンインベスは白いインベスの前まで歩み寄ると、頭を垂れるように膝まづいた。
まるで服従を誓うように。
「なっ、一体何故…………!」
獣はより強い者に付き従う。しかし、ライオンインベス自体がその連鎖において上位に位置しているはずだが、本のでこの白いインベスの強さを察したというのか。
突然の変化に研究者は驚くが、それを理解する機会は永遠に訪れない。
白いインベスが指示するように顎を示すと、のろりとライオンインベスが振り返り研究者を睨みつけてくる。
この瞬間、研究者はインベスの恐怖を直接感じた。今まで研究者として、検証の為に携わってきた存在が、どれほど恐ろしい存在だったのか、ようやく理性ではなく本能が受け止めたのだ。
「ま、待てよ……ずっと、ずっと一緒だったじゃねぇかよ………!」
のしり、のしりとゆっくり近付いてくる元友達に、震える声で呼び掛ける。
しかし、ライオンインベスは止まらない。その爪で狙った獲物を切り裂く為に、ゆっくりと追い詰めていく。
「所詮、不可能なのだ。人類とインベスが共存するなんてな」
研究者が最後に聞いた言葉は、今までの彼の人生を否定する言葉だったが、思い浮かべた感情は肯定の思いだった。
人類とインベスは共存出来ない。
だとしたら、彼らは一体何の為に歩み寄っているのだろうか。
その問いかけるに答える者は、誰もいない。
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「うわぁー…………」
隣で感嘆の声を上げる高坂穂乃果に、葛葉コウタも同意するように息を飲んだ。
飛行機に乗ってから6時間ほどか。飛行機は大きな問題もなく目的地に到着し、μ'sとチーム鎧武の面々はその島へと降り立った。
そこは海外でありながら海外ではない、不思議な人工島。
ユグドラシルコーポレーションが運営しているリゾート人工島、イーヴィングル。テレビでもCMなどしばしば流れている為、それなりに知名度の高いこの島が今回の合宿の舞台である。
東京都23区と同等ほどの広さを持つこじんまりとした人工島は、半分がリゾート地でもう半分はユグドラシルの研究施設という二面を持っており、日夜至る所にインベスが活動をしている。
こうして感動している一同の前は車が行き交うターミナルでは観光客の案内をインベス達が行っており、インベス用にわざわざ作られたのか黒いハットを被って接客を行っていた。
「良かったな、海未。海外は海外でも日本語がちゃんと通じる所で」
コウタが隣にいる園田海未に声を掛けると、喜んでいいのか残念がるべきなのか困った表情を浮かべた。
海外と聞いてかなりの警戒心を顕にしていた海未だが、急遽予定が変更となりこのリゾート地になったと聞いて飛び跳ねて喜んでいたのをコウタは知っている。
目的地が変更になったのは、顧問の呉島タカトラの都合であった。何でも新ロックビークルを開発した責任者が土壇場で場所をイーヴィングルに変更したのだという。
おかけでたかとらはてんやわんやで、そこに加えて南ことりの忘れ物騒動である。流石に行きの飛行機内で寝入ってしまうのも仕方のない事であろう。
「まずは宿泊する予定の施設やね」
「確か別荘を丸々使うのよね」
「早く行って、荷物とかまとめたい所だけど………」
東條希、矢澤にこ、絢瀬絵里の3年生組がきょろきょろと見回すが、ある一点を見て心配そうな表情を浮かべる。
「うーあー………」
「アキト、大丈夫………?」
「はい、自販機でお水買ってきたよ」
「まさか、アキトが飛行機に弱いなんてねぇ」
そこにはベンチにうなだれている啼臥アキトと、それを介抱する幼馴染の星空凛と小泉花陽。意外そうな顔をする西木野真姫がいた。
飛行機で大きな問題はなかったが、小さなもんだならばあった。それがアキトの飛行機酔いだ。
音乃木坂学院の生徒ではないアキトだが、凛の提案と説得により雑用係として今回の合宿に参加してくれたが、飛行機に乗る事自体が初めてだったらしく、緊張のあまりグロッキーしたようである。
「すまねぇ………みんなをサポートするはずの俺がこんな事に………」
「ミッチ遅いねぇ。タカトラ先生もまだかなー」
学校では保険委員という立場からかぐだーとなっているアキトの様子を見ながら、ことりが人混み溢れる空港ロビーを眺める。
イーヴィングルに到着するなり、待ち構えていたかのようにユグドラシル社員がタカトラに何かを報告し、弟の呉島ミツザネを連れてどこかへ行ってしまった。
予定では到着してから早々、簡単な基礎体力トレーニングを行うはずだったのだが、ただでさえずれ込んでいる時間が無くなっていく一方だ。
「お、俺としてはもう少し休ませて貰えるとありがたい………」
「もう、横になった方がいいよー。ほら、膝貸してあげるから」
ポンポン、と膝を叩いてほら、寝なよと言うかのようにする凛に、アキトの表情が顔色が悪いながらも固まる。
それはつまり、男子の憧れ。膝枕という奴ではないか。
普段なら飄々として受け流していたアキトも、余力のない今では甘えるかどうか判断に迷っているようである。
「い、いや………いいって。そんなの適当に座ってれば………」
「はいはい、アキト君強がらないの」
弱気で自分を出さない花陽がアキトの頭を掴むと、半ば強引に凛の膝へと寝かせた。流石のアキトも反撃する余裕すらなかったのか顔を赤くすると、観念したように腕で目元を覆って大人しくなる。
「…………コウタ君、羨ましいの?」
それを見ていると、ふと隣で穂乃果が問い掛けてくる。その目はジト目を通り越して何やらゴミを見るかのように見てくるのを見て、コウタは困ったように眉を潜めた。
「そんなんじゃ………いや、まぁ確かに羨ましいと言えば羨ましいけどさ…………」
「羨ましいんじゃないんですか…………やっぱり男の子ですね」
苦笑を浮かべると海未はふと、少し離れたベンチを見やってぽつりと。
「………………してあげましょうか?」
「えっ? 何て……………」
「な、何でもないです…………」
何を言ったのか聞こえなかったのでコウタが聞き返すと、海未は顔を赤くして目をそらす。穂乃果も穂乃果でつまらなそうな顔をするので、その意味がわからず首を傾げるしかなかった。
「あれ、そういえばカイトは…………?」
ふと、先ほどから姿が見えないツンデレコミュ障こと九紋カイトの事を思い出し、周りを眺めてみると少し離れた所にある売店に立っているのを認める。
思わず気になったの近付いてみると、何やらパンフレットでも読んでいるからか、珍しくかなり近寄っても気付く気配はない。
「……………何読んでんだ?」
「むっ……………何でもない」
コウタが声を掛ける事でようやく気付いたカイトは、慌てて読んでいたパフレットを棚に戻す。しかし、コウタの目にはしっかりとそのパフレットの編集者の名前が映っており、思わず笑ってしまった。
「お前………それ、お姉さんの……」
「あいつらには黙っていろ」
言い聞かせるように言ってカイトは去っていく。あいつら、というのは当然、μ'sの事だろう。
コウタはそのパンフレットを取り出し、軽く流し読みしてみる。どうやらイーヴィングルについての事であり、グルメやお土産などをまとめたパンフレットのようだ。
その編集者には、九紋とある。自社出版の雑誌だからか下の名前は記載されていないが、それがカイトの姉である事は明白である。
カイトの姉。コウタやミツザネは実際に顔を合わせた事は片手で数えるくらいしかなく、話しではタカトラと同期で姉のアキラとは昼休みに食事など行くほど仲が良いと聞く。
そんな姉の事を、カイトは嫌っている。家庭環境においてはコウタも苦労した方だが、カイトもなかなかに複雑だ。それが原因かは知らないが、カイトは姉を嫌っている。
しかし、μ'sの面々に秘密、というのは嫌っているから、という理由でない事をコウタは知っている。数回しか会った事がないコウタやミツザネにも強烈な印象を受け付けたあの女性がμ'sと出くわせば、どうなるかなど簡単に予想が付いた。
「……………そういや、姉ちゃんと同じユグドラシルの広報部だったよな……………まさかな」
九紋姉の強烈さはタカトラとて知っている。今回の合宿の事を露見させたりしていないはずだ。
そう自分に言い聞かせて、コウタはパンフレットを棚に戻しみんながいるベンチへ戻る。すると、離れていた隙にミツザネが戻ってきていたらしく、コウタの姿を認めると少しだけ立腹したように頬を膨らませた。
「コウタさん。勝手に歩かないで下さい。迷子センターまで行くのは嫌ですよ、僕」
「えぇー、独断行動していたのはカイトなんだけど…………」
理不尽な物言いにカイトを見やると、知った事かとそっぽを向いてる。その隣では今のやりとりを見て希が苦笑し、絵里が呆れたように肩を竦めている。
「もう、とにかく行くわよ。公共モノレールで移動するから、他の観光客に迷惑をかけないでね」
「モノレール? バスとかじゃないのか?」
自分のカバンを待ちあげながら絵里の言葉に首を傾げる。これだけの大所帯で荷物っが移動となると、バスかタクシーで移動した方が楽な気がする。というか、予定ではユグドラシルの方でマイクロバスを用意して貰いタカトラが運転する手筈だったが。
「兄さん、急にユグドラシルに呼ばれてバスでの移動が出来なくなったんです。だから、モノレールで…………」
「えー、タクシーの方がいいよー」
歩くのが面倒です、とありありと顔に書いてある穂乃果が愚痴を零すと、ミツザネが未だに膝枕されているアキトを見やった。
「タクシーはアキトと凛さん、花陽さんに使ってもらいます。あの調子のアキトを連れて歩くのは難しいですから…………」
「夕飯で名誉挽回しちゃる…………」
うぅ、と手を上げて気合いを入れるアキトを宥めるように凛は「はいはい、わかったにゃー」と、その手を掴んで降ろさせる。普段のやりとりではアキトが凛をおちょくる場面が多いだけに、立場が逆転しているその風景が新鮮だった。
「ちなみに、イーヴィングルには定期的に回っているバスはないんです。リゾート地には自家用車を持ち込んだり、レンタカーで移動する人ばかりだから、バスがあると返って邪魔になっちゃうんですよ」
元々、リゾート地というのはお金持ちが訪れる場所であり、本来はそういった客層に向けて作られている。お金持ちとなれば自家用車は当たり前で、よしんは自分達に免許などなくても専属の運転手を雇うのは簡単な事。実際、イーヴィングルには運転手をレンタル出来るサービスも行っており、定期的にバスを設けるとクレームになりかねない、という事であった。
だから、車のない人向けにモノレールを作ったのだという。そこから見れる景色は素晴らしいもので、上手く事が運んだらしい。
ミツザネの社内事情を聞いてなるほどなー、とコウタ達は頷く。
「あ、ちなみに島内ならロックビークル使い放題ですから、バイクなどで行くっていう手も………」
「運転出来ませんよ………」
ミツザネの冗談とわかりつつも、ツッコミを入れてしまう海未に皆が笑いを零す。
「さて、そういう訳ですからアキトの事をお願いしますね」
ミツザネは凛を見やってから、花陽へと視線を移した。
「花陽さん」
「何で凛を見たのにかよちんっ!?」
「任せて、ミッチ」
「かよちんまで!?」
「あぁ……あんなに引っ込み思案で人見知りだったかよちんがこんなに逞しくなって……………」
人の大勢いる中で、微笑ましい視線を送られながらμ'sの夏合宿は始まった。
モノレールを乗り継いで貸別荘に辿りついた一同は、一先ず荷物を置いて各部屋を回る一同。
1つにつき3人が寝れる部屋ではうみほのりんとコウタがわいわいと騒ぎ、台所では遅れてやって来たアキりんまきにこことカイトが厨房を見て驚き、リビングではのぞえりぱなミツザネがこれからの練習について話し合う。
そして、ひと段落ついたおやつ頃、練習着に着替えた一同は玄関口へと集まり、いざ練習を始めようとなったのだ。
にこほのコウタのみが水着で。
「これから軽く練習をしましょう!」
「いや、軽くってレベルじゃないよ!?」
壁に張り出された海未作成の練習メニューを見て、思わず穂乃果が吠える。
ランニング5kmに各筋肉トレーニング10時0分回を時間が許す限り、など尋常ではないトレーニングばかり。
しかし、発案者である海未は爛々と目を輝かせて、壁紙を指さす。
「ここ最近、基礎体力トレーニングが減っている気がするんです」
「そりゃぁ、タカトラさんが来てからダンスとかステップに集中してるからな 」
元チーム鎧武創設メンバーの1人だったタカトラがμ'sのダンスコーチになってからというものの、コウタの言う通りメニューはダンスに関連するものが増えて行った。
というのも、ただでさえ多忙なタカトラの時間を割いて貰っている訳なのだから、自分達でも出来る基礎体力トレーニングなどを見てもらうのは勿体無い為、それらは早朝練習かタカトラが来るまでの繋ぎとなってしまうのだ。
もちろん、トレーニングを疎かにしてしまい体力が落ちました、などというのはアイドルにあるまじき事なので各自自主練をしているだろう(3馬鹿は怪しい)が、それでも不足していることに違いはない。
違いはない、のだが。
「…………いくらなんでもこれは、なぁ」
コウタのぼやきに同意するかのように水着組が頷く。
ランニング10km、腕立て腹筋20セット、精神統一に発生、ダンスレッスンに遠泳10km。さらび2日目にはその1.5倍ときた。
鬼か、と流石のコウタも思わずにはいられない練習量である。コウタにはこなせる自信はあるが、他のメンツが終われば倒れる自信がある。
いくら廃校阻止の為とはいえ、ここで倒れられたりしてはタカトラの責任問題だ。
「た、耐えられるかしら………」
「大丈夫です! 熱いハートがあれば! Start your engineです!」
いや、無理だろう。
絵里でさえ顔が引き攣る内容を嬉々として語る海未を尻目に、コウタは遥かに付き合いが長いはずの穂乃果とことりへ目配りする。
お前らの親友だろ、何とかしろ。
無理だよ、そんなの!
海未ちゃん、脳細胞がトップギアどころか振り切っちゃってるよぉ。
目線だけで会話を交わし、どうにかこの地獄メニューを変えられないかという作戦を模索する。
ふと、思いついたのか穂乃果が言い出した。
「海は!?」
「………………私ですが?」
「違うよ、海!」
穂乃果はずびしっ、と背後にある大海原を指さす。
タカトラの計らいか偶然か、貸別荘の目の前にはなんと海があるのだ。部屋からも海の景色を眺める事が出来るので、沈む夕陽に照らされる景色はまた格別なものであろう。
が、そのような雅にはやる気スイッチにより紙一重というかもはや完全に向こう側へ行ってしまっている海未は、にこりと笑ってメニュー表の遠泳を指さした。
「ふふふっ、穂乃果ったら目が節穴なんですか? きっちりとここにあるじゃないですか。ほら」
そういう事じゃねぇ。
喉元まで出かかった突っ込みを飲み込んで、、コウタはやんわりと言う。
「な、なぁ………もうおやつ時だし、あんま過酷なのはだな………………」
「何を言っているのですか、コウタ! 私達は合宿に来ているのですよ?」
確かに正しいのだが、このままでは本当に過酷なメニューに突入してしまいそうなのでコウタは静観を貫いているカイトとミツザネへ振り向いて助けを呼んだ。
「おい、カイトとミッチから言ってやってくれよ」
「って、言われましても…………」
「海未の意見は正しい。貴様らも含め、オレ達は遊びに来ているのではないんだぞ」
「まさかの敵増援!?」
この裏切り者、という目でカイトを睨むにこだが、向けられた本人はどこ吹く風である。
「海未ちゃん、いくらなんでもこの量は今からだと無理だと思うんや」
「そうね。倒れてしまったら元も子もないわ」
希と絵里の言葉にうんうんと頷くほのにこコウタ。流石に年長者から言われてはエンジンが回っていた海未の思考にもブレーキが掛かる。
「それに、ネットCMに使う曲のPVもせっかくだし作ろうって話しだったし、これから撮影しちゃいましょう? その為に水着を持って来たんだしね」
合宿に来る前に約束していた新型ロックビークルのCMに用いる曲に加えて、まきうみことのμ's重要3人衆はもう2曲拵えて来たのだ。
そのうちの1つ、『mermaid festa vol.1』は夏いえば海で海と言えば水着でしょう、という欲望丸裸なコウタの意見で『水着』を使ったPVとなったのである。
映像のコンセプトは海である事に間違いはないのだが、兼ねてよりセンターを希望していたにこの懇願により彼女が抜擢されたのだ。さらにミツザネの提案によりストーリー性を持たせる意味合いもあり、音乃木坂学院でも多少の映像を撮ってあり、残すは水着で戯れているシーンとダンスシーンを残すのみとなっているのだ。
つまり、一番完成させやすいmermaid festa vol.1からやっていこう、という事である。
「………わかりました。では、これは夕食後にする、という事で」
「えっ………ご飯後にするの…………」
まだ諦めていない海未に絶句する穂乃果とにこにご愁傷様、と同情の目を向けながらコウタはカイトとミツザネを見やる。
視線を向けられたカイトとミツザネはわかっている、と言わんばかりに腕を組むのと頷くことで返事をしてくれた。
「ならば10分後に再び集合だ」
「じゃあ、カメラとか持ってきますね」
オープンキャンパス以降、映像関連の撮影においてカメラ担当はコウタ、音響はミツザネ、総合的な目でみる監督的な立ち位置はカイトと、それぞれ役割分担をしていた。
アーマードライダーとしての戦いにμ'sが力を貸してくれているのだから、コウタ達もダンス指導など意外でも協力しついな、という考えた結果である。
「よーし、皆で水着に着替えてあそぶぞー!」
「やっぱり目的はそれですか………」
穂乃果に呆れる海未だが、その表情はどこか満更ではなく存外彼女も楽しみにしていたようだ。
かく言うコウタも当然、楽しみにしていたので着替えに戻っていくメンバーには失礼して、穂乃果とにこと共に砂浜へと飛び出した。
「ここからは俺達のステージだぁぁぁ!!」
やはり肌を露出させると開放的になるらしく、コウタは楽しげに叫んだ。
貸別荘で割り振られた部屋でアキトはただ1人、窓に肘をついて外の景色を眺めていた。
外の砂浜ではμ'sとチーム鎧武のメンバーがPV撮影という名の遊びを満喫している。
当然、コウタや穂乃果に一緒に行こうと誘われたが、飛行機酔いが若干残っているのとこれから夕飯の買出しに行かなければならない事を考えて、今は体力回復に努めたかったので断ったのである。
それに、きっとアキトがいれば凛が思いっ切り笑顔で遊べないだろう。
「………はぁ」
「隋分と背中が寂しげだな」
掛けられた言葉にアキトは嘆息して答える。
「そりゃ、俺だって凛達と遊びたかったって」
アキトが振り向くと、ベッドに腰掛けているスーツ姿のサガラが愉快そうに笑った。
「純情だな、少年よ。素直に遊びに行けば良かったものを」
「ふざけろよ」
今度はアキトが嘲笑し、外を見やる。
そこでは楽しそうに笑う面々がいるが、そこである2人の男女の距離は縮まらない。
コウタとことり。ヘルヘイムの森でアーマードライダーデュークが、アキトが襲撃してしまった2人だ。
「他人の恋路を邪魔した俺に、自分の恋路を進む資格なんかねぇよ………」
そう。
ことりの想いを破壊し、その未来を閉ざしてしまった己などには。
それからしばらくして、アキトは再び沈黙となり窓から吹いてくる風に当てられていた。
ぼぅっとして、時間だけが過ぎていく。
やがて。
「……………ふぃー」
アキトは息をついて伸びをすると身体の節々からパキパキ、と骨が鳴る音がする。それほど長い時間外をながめていたつもりはないが、思いの外思考に耽っていたらしい。
壁に掛けられている数字と黒い針だけのシンプルな時計を見ると、長針は5を示し、短針は2を示している。つまり丁度17時。この島に辿りついてから結構な時間が経っていた。
「いけね………」
そろそろ夕飯の支度をせねば。そも、アキトがこの合宿に付いてきた主な目的はμ's達のサポートであり、事食事に関しては手抜きなど許されないのだ。手抜きするつもりなど微塵もないが。
タカトラから聞いた話しでは貸別荘から一番近いスーパーであってもロックビークルなどの交通手段を使わなければならない距離であり、さらに20分ほどの時間を費やするらしい。
「って、まだいたのかよ…………」
「黄昏ているお前の背中、というのもなかなか珍しいからな」
最後の会話したときと寸分たがわぬ姿でいるサガラに、アキトはジト目を向ける。
「…………また面倒事を持ち込んだのかよ」
「持ち込んだんじゃない。勝手に舞い込んできたんだ」
サガラの言葉にアキトは押し黙る。それはつまり、面倒事があるという事であり、嫌な汗が背中を駆けるのを感じる。普段の応対ならば嬉々として高みの見物としゃれ込むのだが、今回ばかりは無関係で通す訳にはいかないからだ。
そもそも、このサガラという男は胡散臭さの塊で、とりあえず楽しければオルオッケーという捻くれた性を持っている。しかし、外来それらを前もって警告するという事はない。突然舞い降りた笑いの神ならぬ災いの神にあたふたと狼狽する人間を見て楽しむのが本質だからだ。
人は最初から構えて物事に立ち向かうよりも、突然の悲劇に立ち向かう瞬間の方がより強く輝くものである。
そのサガラが警告する、という事はもしかしたらかなり危険な面倒事なのかもしれない。つまり、現状のコウタ達の力では太刀打ちするのが難しい、ということになる。
「まぁ、どんな壁であろうと俺は見守るだけだ。それが面白ければ、なおさらな」
「ちょっと待て、不穏な言葉置いて消えるのかよ!? おい!」
すぅぅ、と幽霊の如く消えていくサガラに怒りを投げ付けながら、アキトは頭を抱える。どうしてこう、面倒事が次から次へと舞い込んでくるのだろうか。
ふと、下の階から楽しげな声が聞こえてくる。どうやら戻ってきたらしく、タイミングが良いのでアキトは部屋を出る。
この貸別荘は部屋を出ればリビングを一望出来るような作りになっており、見れば水着から着替えたのか凛達がぐでーっと疲れた姿を晒していた。
「あっ、アキト君もう大丈夫なのー?」
アキトに気付いたのか穂乃果が手を振りながら聞いてくる。
「まぁ、かなり休みましたからね。ところでミッチ、まだ動けるか?」
「うん、余裕だけど………」
撮影に使ったらしいカメラを丁寧に仕舞いながらミツザネが首を傾げるのを見て、アキトはロックビークルを掲げた。
「晩御飯の買出しに行きたいんだ。場所わからないし、量も量なだけに荷物持ちを頼みたいんだ 」
ちなみに、こういう場面で速攻手を上げてきそうな凛は遊びの疲れからかソファーで横になって寝息を立てている。
風邪を引かないように花陽が苦笑しながらタオルケットを掛けてこちらを見上げてきた。
「私も行こうか?」
「かよちんには米を磨ぐ作業を任せます。今日は皆大好きカレーのよ………」
アキトが言い終わる前に、花陽は持っていたタオルケットを凛に放り投げて厨房へと入っていく。
相変わらずお米の話題となると人が変わる。二重人格なのではないか、というのはもっぱらの噂である。
「ほな、ウチがお供しようかな」
その時、人手が無くなったと判断したのか手を上げたのは意外な事に希だった。
予想外な人物にアキトとミツザネは顔を見合わせて目を丸くする。
「希さんが………?」
「うん、人手が必要やろ?」
「そりゃ、まぁ………」
確かに荷物持ちには人手がいるし、どの道運ぶのはロックビークルで座席の下に収まらなければ抱えるしかないのだが、インベスを乗せての2人乗りは禁止されているので、誰かに来て貰う必要はあったが。
「ほな、真姫ちゃんも行こう?」
「私?」
希に手を握られたのは、ツンデレ嬢の真姫 だった。真姫自身も予想外だったようで驚いたように目を丸くする。
「構わないやろ?」
「そうっすね。じゃあ2人にお願いするか」
特に断る理由はなく、アキトは希に頷いて下の階に降りてコウタを見やる。
「で、何かついでに買ってくるものはあります?」
「んー、特には思い付かないかな。お菓子とかもどうせ穂乃果ちゃんあたりが持ってきてるだろうし」
「ちょっ、コウタ君何でバラしちゃったの!?」
「穂乃果…………」
再び痴話喧嘩を始める3人をまたやってるよ、的な目で見てアキトは同じように苦笑している絵里を見やる。
「取り敢えず何か欲しいのあったら連絡下さい。間に合えば買っておくんで」
「えぇ、お願いね」
見れば準備が出来たらしいミツザネと希、真姫を連れてアキトは外に出るとロックビークルを起動する。
ローズアタッカーからヘルメットを2人分取り出し、ミツザネを見やった。
「どっちがどっちを乗せる?」
「お2人に任せます」
ロックビークルを運転出来るのはアキトとミツザネのみで、当然希と真姫はその後ろに乗る訳だが、どちらもスクールアイドルが出来るほどの美少女なのだ。2人乗りをする、という事は密着せざる得ない訳で、2人は凛やにことは違ってそれはもうご立派なお山を2つ持っている。
つまりは、どちらかが爆弾を抱えなければならない、という事だ。
爆弾というのはμ's随一のバストサイズを誇る希だ。あんにものを押し付けられながら運転に集中出来るはずなく、さらには希の人柄もあって大人なお姉さんに対応が慣れていないアキトとしては大問題であった。
「ほなら、ウチがアッキーとお供しようかな」
「えっ、アッキー………?」
ニックネームで呼ばれた事などなかったので、アキトは思わず驚いた反応をしてしまう。確かに希はにこの事をにこっちと呼んだり、絵里の事をエリチと呼んだりとニックネームや愛称を付ける事がある。しかし、それは3年生空いてのみであって、穂乃果や凛達に対しては「ちゃん付け」で呼んでいる。
なので、μ'sのメンバーやミツザネ達ならいざ知らず、まさかアキトがニックネームを付けられるとは思わなかったのだ。純粋に珍しいな、という新鮮さが先走った。何分、名字か名前かで呼ばれてきた人生である。
「うん、アキト君やからアッキー。嫌?」
「い、いや……初めてニックネームで呼ばれたんで………」
別段、不快な気分はない事は確かでアキトはローズアタッカーに跨る。
希はヘルメットの付け方わかるだろうか、と一瞥してみると器用に自分で被っていた。おそらくカイトから教わったのだろう。
相方達を見ると、ミツザネの説明で四苦八苦しながらも真姫がヘルメットを被れたようだ。
「んじゃ、案内所よろしくー」
「わかってるよ。真姫さん、しっかり掴まってて下さいね」
「わ、わかったわ……」
真姫が少し上ずった声で返事をしてくる。どうやら初めてのツーリングで緊張しているらしく、普段強がっている真姫の弱い部分にアキトは気付かれないように苦笑する。
準備が整ったので2人はバイクを発進させた。
ミツザネの先導でやって来たスーパーは思っていた以上の大型店舗であり、その駐車場には多くの車が止まっている。夏休みという大型連休もあってか大人から子供まで溢れかえっており、その中にはアキト達のような若人の姿は少ない。
入口近くまで走ってからアキト達は降りてロックビークルをシードモードに戻す。こういう収納出来るというロックビークルは、やはり便利なものだ。
「さて、何を買うん?」
「今晩はカレーに麻婆豆腐を作ろうかと。あと、明日の午後はミッチ達は新型ロックビークル関連で抜けるんだろ? だから、ちょっと行儀悪いけどサンドイッチでも作ろうかと。なのでそれらの材料も買っちゃおうかと」
「張り切ってるわね」
買い物カートの上下にカゴを入れるアキトを見てか、真姫が苦笑しながら言う。
「あぁ、何たって4泊5日って長いようであっという間の合宿だからな。料理洗濯掃除くらいでしか皆の力になれないんだ………張り切ってるってもんさ」
アキトにはミツザネのように音楽に精通している訳でも、タカトラのようにダンスを踊れる訳でも、コウタのように派手なステージの演出を提案する事が出来る訳ではない。
ただ、μ'sの凛と花陽の幼馴染みというだけで9人に何かしら直接的な力になれない。それがアキトの現状だった。
そこへ合宿への誘い。もちろん、店の為に行けないと言ったのも事実だが、やはり今回自分の力が必要だ、と言ってくれた時は素直に嬉しかった。
μ'sの、凛の力になれる。それだけでアキトがやる気を出すには充分理由だ。
これは誰にも。凛や花陽はもちろん、ミツザネや父である仁にも言っていない事だが、アキトは初代μ'sw………穂乃果、海未、ことりの3人のみのライブをしているネット映像を見た事があるのだ。
たまたま携帯電話で適当な動画を流しながら売上の集計をしようとして、新着の欄の一番上にあったので開いたのである。そこの再生数は『1』。つまり、アキトが初めての動画視聴者となったのだ。
なかなか悪くない動画で、最後に人気投票みたいのがあったので投票したが、まさか凛と花陽が加入してここまで深く関わる事になるとは思っていなかった。
だから、μ'sの『最初のファン』であるアキトが9人とその仲間達の力になりたいと思うのは、何ら不思議ではない。
例え『役目』があったとしても、凛と花陽とこうして再び巡り合わせてくれてμ'sは応援したいのだから。
さて、そういう理由で意気揚々と買い物をする為に進むアキトだが、そこで現実とぶち当たる訳である。
金がない訳ではない。流石はユグドラシルの重鎮とも言うべきか、タカトラからはこの島でμ'sとチーム鎧武の事に使うのらミツザネと一緒に好きなだけ使え、とフリーパスのような物を渡されている。
もちろん、無駄遣いをする気はない。これはある意味で音乃木坂学院のアイドル研究部の部費から出ているなのかもしれないのだから、本来なら部外者が持っていていい物ではない。が、何故か満場一致でアキトが持つ事に賛成されてしまい、アキトが財布係となってしまったのだ。
「……………なんじゃこりゃ……」
アキトは絶句したように呟き、隣の希でさえもあまりの現実に言葉が出ないようだ。
対して、ミツザネと真姫はアキト達が言葉を失っている理由がわからないようで首を傾げた。
「どうしたの?」
「こいつは喧嘩売ってるのか………」
わなわなと肩を震わせてアキトは陳列されているジャガイモを手に掴む。どこにでもありそうなジャガイモだが、おそらく丁寧に育てられてここに陳列しているのだろう。農家さんの日々努力のけっしょ、まさしく子供と称しても相違ないはず。
それはわかる。わかる、のだが。
「何や………この値段は…………!」
希が瞳を震わせて値札を見やる。
ジャガイモ、1個400円。
「袋ならまだわかる………いや、わかりたくもないけど納得出来る要素はある…………だけど、これは俺達庶民を馬鹿にしているのか………!」
「400円て、今晩の夕飯1人分が作れるやない………!」
「そんなに………?」
真姫が思わずぼやくと、くわりと庶民派2人が振り向いてくる。
「真姫ちゃん、それはウチらへの宣戦布告と見なしたで」
「えっ………」
「おい、ミッチ。インベスに島で一番安いスーパー調べさせるぞ。手伝え」
「いやいや、皆さんを待たせてるし。それにお金ならきちんとユグドラシルから出すから気にしなくても………」
「このブルジョアが………!」
ぐぬぬ、とアキトは歯噛みしてしてしまう。かなり馴染んでいるので忘れがちになるが、ミツザネと真姫はどちらもお金持ちだ。箱入り、というレベルではないにしろ世間知らずな所があるのは確かだ。
ならば、金銭感覚が多少異なっていても仕方がない。
とは言え、いくらお金が使い放題だとしても節約出来る所は節約せねば。それが庶民派というものだ。
「行くぞ、次のスーパーだ!」
「えっ、ちょっ………」
ミツザネの返答を待たずしてアキトは走り出す。
目指すは食材を安く売っているスーパー。調理を始める前から料理人の戦いは始まっているのであるっ!!
茜色に染まった浜辺で、少女が落ちていく陽を眺めていた。
白いワンピース姿に大きな白い帽子。まるで穢れを知らない純粋な存在が、闇夜に染まる世界を見つめる。
その瞳に映るのは赤い世界。
赤い。
紅い。
緋い。
夕日に照らされての赤い世界であるはずなのに、そこに違う赤い色が混じっているのは何故だろうか。
潮風に乗って、鉄の匂いが漂ってきた。
啼臥アキトが所持するロックシード
・レモンエナジー
・バナナ
・ローズアタッカー
次回のラブ鎧武!は……………
「ミッチ、未成年飲酒は違法やで。それをお店に返してこなければ………わかるやろ…………?」
「…………………………………………………………………………」
庶民の味を求めて走り回った先で、4人が手に入れたものとは!?
「希、何で私を選んだ訳?」
「んー? 別にー。ただ、真姫ちゃんって面倒なタイプだなーって」
希が真姫の手を引いた、その理由。
そして、帰り道の途中で4人は純粋無垢な白い少女と出会い、インベスの大軍に襲われる。
「元々、君に渡すつもりだった! 今、君が変身するんだ! アーマードライダーに!」
「む、無理を言うなよ! 俺はただのラーメン屋の息子だぞ!? 戦いなんて出来る訳ないだろ!?」
希と真姫の危機に、アキトは。
危機を救うべく現れたのは、緋い鎧武。
『ブラッドオレンジ!』
次回、ラブ鎧武!
26話:緋の鬼人 ~白と緋~
ついに突入しました夏合宿編。本格的スタートです。
アニメのようなはしゃぐ少女達を描く………のはカットしました。うん、なんというかあそこに3人が混じってもそこまで特別な事はしないかなーって。
さて、今まで各話のサブタイトルには何かしらの曲名を使っていたのですが、今回はそれを外しました。なんだか合いそうな曲名が見つからなかったので………
さてさて、大きな転機になる予定の夏合宿。そこで出会う敵とは……
次回もお楽しみにください!
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