これ小説って呼べるのか?
タツミがナイトレイドに加わってからそれなりに日がたった。
この前はマインと一緒に任務に向かい見事大臣の身内イヲカルを殺した。本当にこいつは新人なのか。前世は暗殺者でしたとかないだろうな。
これは期待できるぞ。
「今回の目標は帝都で噂になっている通り魔だ」
しかし調子がいいのも今回までだ。
今回のターゲットは首切りザンク。
俺が集めた情報では元牢獄の処刑人で、首を切りすぎて中毒になったらしい。これはひどい。そして注目すべきところは、こいつが帝具持ちであることである。
タツミに帝具の説明をした後二人一組で行動することがきめられた。
新人はアカメと組むらしい。アカメがいるなら安心だろう。相手が帝具ならこちらも帝具で応戦しなくては。
ちなみに俺は、
「えへへへへ、おにーちゃん♡」
クロメである。
暗闇の中、女の子が全身真っ黒の男性に後ろから抱きついている。なんなのかこの状況は、ヤンデレ彼女に追い詰められている男性主人公か?
相も変わらずクロメは俺にべったりである、いや昔よりひどくなったと思う。アカメは兄離れができてきてると思う。昔ほど兄貴の俺にべったりではない。(悲しくなんてない)しかしクロメはひっついてくるし、未だに布団の中に入ってくる。さすがに兄として兄離れしてくれと言いたくなる。
実際に一度言ったが、
「私の自由だもん!」
と返された。もう無理だと察した。
任務を開始してからしばらく経つ。
あれもしかして俺の方には来ないんじゃ、もしかして他の奴らの所かな?
「クロメ何か聞こえるか?」
「うーん。戦闘音」
「もうちょっと早く言え。どこだ?」
「お姉ちゃんの方」
俺はクロメを無理やり引きはがし村正を完全に抜いた。
アカメならば大丈夫だろうが、妹は気になる。兄の性である。
俺は屋根の上に着地する。公園で棒立ちの妹が斬られそうになっていた。
「アカメ!見えているのは幻だ!惑わされるな!」
「…………」
このままではアカメが!!
俺はなんとか力を振り絞り立ち上がろうとするが、先ほどの戦闘でのダメージが予想以上に多かったのか立ち上がれなかった。このままではアカメが斬られてしまう。
「おいうちの妹に何してんだよ」
この声は、
「リゅ――!」
救世主の名前を呼ぼうとした時だった。
ザンクの腕が落ちた。ザンクも何が何だか分からない顔をしていたが、リュウさんの顔を見た瞬間絶望の色へと染まっていった。リュウさんは振り向きザンクの方を向く。なにかするかと思えば今度は体中から血を吹き出し、
「その首、俺がもらう」
リュウさんが首を斬りおとした。
一瞬だった、何が起こったのかもわからなかった。ただそこにはリュウさんが立っていた。空から飛んで来たと思ったらザンクが斬り刻まれた。目に見えないほどの速さ、これがアカメとクロメの兄き。
「つえぇ……」
俺の口からはそんな言葉が漏れた。
「アカメ」
「ぅぁ、兄さん」
「大丈夫か?」
「……うん。ちょっと惑わされた」
「帝具だからな仕方ないさ」
俺はアカメの上に手をのせてなでる。
気に病むことなんかない。俺も幻視を見せられたらわかっていてもためらってしまう。お前がへこむ理由なんてないさ。
「タツミもよくやったな。恐らくだけど途中まで戦っていたんだろ?」
「は、はい」
「ならよくやった。帝具回収してさっさと撤収するぞ:
五視万能・スペクテッド獲得。
とりあえずリュウが強いってことだけ、
うんただそれだけ。ザンクはその糧。
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