「いやー!帝都最高ぉぉお!!」
やばい結構金減った。これは大至急金が必要だな。
俺はすっかり薄くなった財布を見る。かなり買ったな、あいつ俺が買うって言ってから一切の迷いを捨てたな。俺は何か買えただろうか。しかし日常服が増えたのは良いだろう。戦闘服で街をうろつくわけにはいかない。
「今日はありがとねレイ!」
「問題ないけど、しばらくは自費で頑張ってくれよ」
「もちろん!この為にお金をためてたからね!」
そう言って厚みがある財布を見せてくる。
それだったら自分で買ってくれよと言いたかったが、
「買ってもらった服大事にするね!」
まぁ。これも男の甲斐性だろう。
チェルシーも喜んでいるし、よしとするか。
俺達二人は何も考えず手をつなぎ街を歩く。なんだか自然だな、気付いたら手を握っているし、本物の夫婦みたいだな。
しばらく歩いているとちらしを発見した。
あのエスデス主催の武芸試合だった。優勝者にはお金がもらえるとか。そう言えばそんな事言っていたな。どうせだから後でラバックの隠れ家に行ってこの情報渡しておこうか。
「ちょっと寄りたい所がるんだが」
「どこ?」
「隠れ家」
そのまま手を引き歩く。
本屋に行くと、ラバックだけいた。俺は軽く手を振る。ラバックも俺に気付き手を振る。
「久しぶりだな。元気か?」
「まぁな。リュウも元気そうでよかったよ。あとチェルシーだよな?」
「えぇそうよ」
「変わったな。あと嬉しそうだn」
言い終わる前にラバックが殴られる。綺麗な右ストレートだ。
なにがそんなに嬉しいのか、聞きたかったが俺もラバックのようにはなりたくなかったので言わなかった。
そのままラバックにはり紙を渡し説明する。
興味があるなら行ってきてもいいし、どうせだったらタツミに行かせろと言った。あいつの経験にもなるし、なにより賞金が得れる。村への仕送りの足しにでもなるだろう。
ラバックは張り紙を受け取った。
「それじゃあまたな」
「任務がんばれよ。それとたまには帰って来いよ」
「わかってるよ」
「……妹たちのこと聞かないのか?」
ラバックに言われて気付く。そういえばまったくと言っていいほどアカメとクロメを気にかけていなかった。大丈夫だと信頼しているからか、それとも今は――――
「まじで戻ってきてくれよ。最近クロメがすんごい目をしてるんだよ」
「アカメは大丈夫なのか?」
「問題ないよ」
クロメがおかしくなってるのか。そこまで依存していたか?
でも一度報告とチェルシーの紹介がてらアジトに戻るのもいいな。
「一段落してから戻るよ。今は武芸会でも見てるよ。皆によろしく言っておいてくれよ」
「じゃあな」
お互い手を振りあう。短い間だったがなんだか懐かしい気持ちになった。妹たちも元気?でやっているようだし。今は任務に集中しようかな。
こちら側には変身能力を持った帝具を保持しているチェルシーがいるんだ。それに俺の速度を合わせれば見つけられずに警備隊の詰め所に潜入し破壊する事もたやすい。まさに最強のと言ってもいいと思う。しかし正面衝突での戦闘となった場合、俺は戦えるがチェルシーは無理だろう。それだけはなんとしてでも避けなければ。そのためにも今は設定を忠実に守り演技をして帝都に残らなければ。
チェルシーの手をもう一度握りなおす。
これ以上仲間を死なせない。
彼女を死なせない。
「どうしたの?」
「いや何にも」
ただただ彼女の手を強く握って街を歩いた。
手を握って歩く二人の後姿を見て。
ラバック「……この光景をクロメちゃんには見せれないな……」
やったねたえちゃん!修羅場確定だよ!