アカメが斬る!~アカメとクロメの兄~   作:シャラシャラン

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第十五話

 

 

 

 

 

 

 

「これが竜船か!!」

 

 私の前ではタツミが目の前の船の大きさで驚いている。

 竜船、まずこの大運河を作るのに苦労したとか、お兄ちゃんがそんな事を言っていたのを思い出す。この竜船の周りには大勢のひとが集まっており、乗る人は全て富裕層の人たち。それを見上げるのは常に貧しい人である。

 

 タツミが騒いでいる間も私とブラートは警戒を怠らずに周りを見ていた。ブラートは透明化しているので遠慮なく体を動かし周りを見れるが、私はそんな便利な能力は持っていないので無暗やたらに首を動かせない。変に挙動不審になれば疑われるだろう。普段の私なら観察不足で敵を発見することをあきらめているだろうが、お兄ちゃんの言うとおりの三人組を見つけた。私はブラートの横に立ちそれらしき人がいたことを言う。

 

 船が乗れるようになり他の乗客も乗り始めたので一緒に私たちも乗った。チケットを見せて船内に入る。部屋を見つけるが特にこれと言った荷物は無いのですぐに着替える。タツミとブラートは隣の部屋である。……友人としてブラートが何もしないことを祈る。かばんから黒いドレスを取り出す。しかしそのドレスは簡単に脱着できるようになっていてそのドレスの下にはいつもの戦闘服を着ておく。

 着替え終えたので外に出ると着替え終えたタツミが立っていた。隣にいるブラートに八房を渡す。八房は長いので隠そうにも隠せない、お兄ちゃんの村正のようなサイズであればよかったのだが。かわりにいつもより短めの刀を持っておく。しかし臣具でもないので、いざ帝具とぶつかったときはすぐに壊れるだろう。

 

 竜船の広場には多くの人が集まっている。ほとんどが政治家や裕福な家庭の人々である。私とタツミは地方の大商人の娘と息子という設定である。

 タツミはのんきにブラートと一緒に船の端に行き一緒に話しているが、私は面倒くさい男性に絡まれているのでなんとかしてほしい。何が一緒にお話ししませんか?だ、下心が丸見えなんですけど。私が認める男性はお兄ちゃん以外あり得ないから。どうせならドレス姿もお兄ちゃんに見てほしかった。

 適当に追いかけてくる男性を流しつつ、飲み物を取りに行く。この竜船のセレモニーは立食パーティー形式なので自分で食べ物を取らねばいけない。普段の私だった料理に飛びつくだろうがこの後には戦闘が控えている可能性があるのであまり胃の中に物を入れたくない。護衛対象も大丈夫そうだし、ちょっと気を抜こうかな。

 そう思った位時だった。

 

「笛の音?」

 

 私はタツミを探すべく走った。先ほどと変わらず船の端に立って景色を眺めていた。

 

「何してるの、耳栓!」

 

 私はタツミにそう言ってから耳栓をつけるが、それでも音楽は聞こえて来た。これは確実に帝具である。お兄ちゃんの情報通り、軍楽夢想・スクリームだろう。耳栓は意味がないのですぐに外す。脱力感に襲われるがなんとか堪える。他の乗客は次々と倒れていく。

 

「ちょっと痛いけど我慢して」

 

 私はドレスを投げ捨て剣を抜きタツミの腕の表面の皮膚を切る。

 タツミは痛みで飛び上がる。今度は自分の腕を切る。

 

「何すんだよ!?」

「これで脱力感に襲われないでしょ」

「あ、本当だ……」

「準備して。恐らく敵が来るよ」

 

 近場に倒れていた衛兵から剣を奪いタツミの方に投げる。

 そうすると船の奥の方から大きな人が出て来た。大きいという巨体といった感じだ。その背には斧のような物があった。

 お兄ちゃんの情報通り、あれは二挺大斧・ベルヴァーク。私の帝具は今ブラートが持っている。こんなしょぼい刀じゃ一撃も耐えられずに折れてしまう。なんとかせねば。

 

「おいおい。起きてんのかよ、寝てた方がましだぜ?」

「お前が偽物のナイトレイドか」

「お?ってことは本物さんかよ。これは好都合」

 

 相手は何も言わずに構える。

 

「俺は経験値ってものが欲しいんだよ。最強になる為にな!」

「上等!」

「待って」

 

 敵に真正面から飛び込もうとするタツミの襟をつかむ。

 本当に馬鹿なのか。敵の正面から進むなど。それよりタツミは弱いのだ。

 

「私がやるわ」

 

 剣を構える。狙うのはブラートの到着。

 相手も私たちをナイトレイドと知っているから警戒は最大限しているだろう。あの大きい斧で攻撃され当たったら最後、体が真っ二つになろうだろう。ならば当たらないように動く。速く、誰よりも速く動く。

 地面を蹴りそこそこ速い速度で走る。あほらしいが正面から切り込もうとする。敵は斧を振り上げ私にたたきつけようとしてくるが、非常に遅い。速度を一瞬でマックスに引き上げ後ろを取る。私に当たるはずだった斧は看板を破壊しめり込む。相手も私が消えた事に驚いたのだろう。そのまま背後から斬る。しかし浅い、こんな刀では人間を一刀両断することは難しいか。

 すぐに距離をとると、お今度は斧を二つに分裂させ、こちらに投げて来た。すぐにしゃがみ回避するが後ろにはタツミがいた。タツミも私の真似をして回避するが、斧はブーメランのように曲がりこちらに戻ってきた。斧はタツミの脚を掠り飛んでいく。どうやら飛ばした斧には追尾機能があるらしい。

 タツミはしばらく斧に追いかけられて何か閃いたのか、敵に向かって走り出した。どうやら自分を追いかけている斧を惹きつけて敵に当てるらしい。あ、敵がむっちゃ勝利を確信した顔をしている。さすがに助けに入ろうかな、と思った時。

 

「バカヤローーーーー!!」

 

 ブラートがタツミに綺麗なアッパーを当てた。

 

「お前バカか!!あんな勝利確信した奴に突っ込む奴がいるか!!ちゃんと相手を見ろ!!」

 

 怒っていた。

 あれほど観察眼を養えと言っていたのに、まったく周りを見ていなかったタツミを怒ったのだろう。ブラートはこちらを見ると八房を投げて来た。私はそれを掴みいつもの右腰にさした。

 ブラートはインクルシオを呼び出し鎧を装備した。

 装備をした途端斧をもった男と他二人が飛び出してきた。恐らく、いや絶対に三獣士だろう。これで全員か。ブラートは三人同時の攻撃をよけて飛び、小さな女性を蹴り飛ばす。すぐに空中で老いた男性を蹴り飛ばす。さいごに着陸前に槍で斧を持っていた男性を縦に斬る。

 私はすぐに叩きつけられた女性の心臓を八房で貫く。この笛使いは戦闘の邪魔になる、先に仕留める。次に私は叩きつけられた老人の心臓を貫いた。極力帝具持ちは私のコレクションに加えたい。そうすれば大きな戦力になる。

 

「終わったな」

「うん、簡単だね」

 

 次に骸人形がちゃんと動くかどうかを試した。傷も無く問題なさそうだ。特に笛持ちの方は戦力として大きい。これはいい、本当に良い。お兄ちゃんに頭をなでられるかもしれない。

 

「なぁクロメ」

「なぁに?」

「その爺さん。殺してやってくれねぇか?」

「え?」

「その人。俺の帝国時代の時の上司でな、世話になった人なんだよ」

 

 ブラートからの珍しいお願いだった。このおじいさんは確か帝具を一つ持っていたはずだけど、あったこの指輪か。何もかもお兄ちゃんが教えてたとおりである。正直言って別に骸人形を増やす必要はない、それになりに間に合ってるし一人ぐらいなら問題ない。

 

「いいよ。帝具は回収するし」

「ありがとよ」

 

 ブラートはほほ笑み、インクルシオのカギを取り出した。ゆっくと剣を上げそして振り下ろした。老人は血を吹き出しながら倒れた。

 少し悲しそうな表情をしていた。

 

 

 

 要人警護の任務、完了。

 ナイトレイド死者0

 

 

 

 

 

 

 

 

 





誰も死にませんでした!!
クロメちゃんがいるんだもん。
戦闘は結構さくっとしました。
普通死ぬときって、さくっと死ぬからね。

そしてクロメちゃんは新しい骸人形をゲット!
しかしリヴァ将軍は死なせました。
友として骸人形にはさせたくなかったのでしょう。





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