アカメが斬る!~アカメとクロメの兄~   作:シャラシャラン

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第十二話

 

 

 

 

 

 

 

 あいつと初めて会ったのは小さな町だった。

 帝国軍の凄腕暗殺者が私を狙っているという情報が入ったのだ。

 そして情報通り私を狙いに来た。かなり強いらしいので私直々に戦いに行った。しかし到着したときには仲間がやられていた。一瞬で仲間の体がバラバラになった。確実に帝具もち、これは用心してかからねば。

 

「俺を革命軍に入れてくれ」

 

 私の言ってきた。

 この状況でそんなことが言えるのか。ただのバカなのか、それとも本当に革命軍に入りたいのか。しかし信用できない。

 

「そうだなぁ。例えば将軍級の敵を倒してくるとかな。無理っぽいけどな」

 

 私はそんな事を言った。

 半分冗談だった。いくらなんでもこんな少年に将軍級の首を持ってくるなど無理であろう。しかし彼は違った、「わかった」そう言って去って行った。彼の強さを見る限り、入隊しても問題ない強さだった。私は引きとめようとしたが、彼が剣を抜いた瞬間消えた。

 そして次の日、彼は帝国でも強い部類に入るゴズキ将軍の首を一部の帝具を持って帰ってきた。私は驚いた、後で話を聞くと妹が二人いるのでこの二人の為にも帝国にはいれなかったらしい。斬るのなら腐った国を、私は彼を向かいいれた。

 

 彼は武力的な面のみならず、知識的な面と戦略的な面で私を助けてくれた。

 彼は何でも知っていた。地理からその現地民のマナーなど何から何まで知っていた。武器や食べれる物、兵士の効率的な訓練方法まで知っていた。彼が革命軍に来てから、革命軍の一般兵士の活躍が見られるようになり、戦士率もかなり下がった。彼は革命軍の中でも英雄的な目で見られるようになり、彼を慕うものも多い

 しかし中身はただの兄である。

 彼はただの兄である。彼自身が行っていた。どこに帝具を持ち幅広い知識を持ったお兄ちゃんがいるんだと私は笑いながら言った。

 私はその時始めて彼の過去を聞いた。非道な親、生存困難のテスト、暗殺部隊での出来事。なにもかも全て妹の為に生きて戦って来た。彼はそう言った。私は彼の人生が大変だったのだと、彼の人生は全て妹の為にあったという事を知った。なぜか知らないが彼の人生は自分のために何かをしたという事が一切感じられなかった。私はその時に聞いたんだ。

 

「おまえは何の為に生きているんだ?」

 

 もちろん妹以外でだ、 私は最後にそう付け足して言った。

 彼は何も言わずに黙りこんだ。何も言わずほほ笑んだ。

 

「俺は妹たちの為に生きている。それが以外何もないよ」

 

 本当に馬鹿な兄だ。

 しかしそれはそれでちゃんとした理由なのだろう。

 家族の為に生きる、これ以上ないぐらい正当な理由である。

 

 

 

 私たちがナイトレイドとして活動し始めた時だった。

 

 革命軍として働いていたロクゴウ将軍が殺された。

 私はこの知らせを聞きすぐに彼の元へと急いだ。

 彼は首を切られて死んだらしい。部屋の窓が割られており、帝国軍の暗殺者の仕業であると言われた。

 悲しかった。ロクゴウ将軍は私は帝国軍の将軍として働いていたときの同僚であった。非常に気さくで明るい人物だった。何度も手合わせをしてお互い切磋琢磨し、実力をのばしていた。そんな友人が死んだ。悲しまずにはいられなかった。しかしナイトレイドのボスとして常に強くふるまわねばならない。ボスとはそういうものであると思ったからだ。

 

 

 

 

 私はアジトの屋根の上に座り酒を飲んでいた。透明な液体が月と私の暗い顔を映し出す。

 

「思い出酒か?」

 

 リュウだった。

 彼も屋根の上でお酒を飲むつもりだったらしく、盃と酒瓶を手にしている。私の隣に座りお酒を注ぎ始めた。お互いしばらく無言だったが、ぽつぽつと生きていた頃のロクゴウ将軍について話し始めた。彼も将軍を知っていたらしく、私が知らぬ彼を知れた気がする。話していく内に涙があふれて来た。

 ボスとして泣いてはいけないのに、涙が落ちて来た。

 堪えねば、ボスとして配下の者に示しがつかない。

 

「泣いてもいいんじゃねぇのか?」

「え?」

「泣いてもいいじゃねぇか。友人が死んだ時は誰だって悲しいんだ。俺もお前と一緒で一人の友人を亡くしたんだ。泣かずにはいられない」

 

 普段表情があまり変わらない彼が静かに涙をこぼした。

 

「ボスとして強くありたいのなら、別にそれでも構わない。でも今ここには俺しかいないし。だから泣いてもいいんじゃねぇのか?」

 

 

「泣いて、涙をこぼして、笑顔に戻ろうぜ。皆心配してんだよ」

 

 私は本当に涙を止められなくなった。

 彼に抱きつき胸の中で泣いた。

 

「今だけ胸を貸してやるから。好きなだけ泣け」

 

 

 

 

 

 私は普段強くあろうとする。

 それがボスだと思うからだ。

 

 でも、彼の前では少しぐらい本音を言ったり、弱音を吐いたりしている。

 彼の前(好きな人)では正直なりたいのだ。

 

 だってそれが本当の私だから。

 

 

 

 

 

 

 




ちょっとしたナジェンダさんの心情回。

彼女の恋はどう転がるのか?

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