アカメが斬る!~アカメとクロメの兄~   作:シャラシャラン

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勢いにまかせて書いてしまった。

あの姉妹に救いがほしい!と思いました。
そして兄がいたらよさそうと思いました。
結果:この作品


第一話

 

 

 

 

 この世界に生まれて数年。

 現実ってクソだなって思った。

 

 暴力的な父、金を使いまくる母。仕事もせず毎日これだ。

 金?俺が稼いでいる。毎日寝る間も惜しんで働いている。妹たちのためだ。俺が母の買い物のために金を稼いで、父に殴られれば妹たちには手を出さない。これでいいのだ、何があってもアカメとクロメだけには手を出させない。

 

 

 

 しかしこれではまだあのクソ両親のもとにいるほうがよかった。

 

「これからお前らでレースをしてもらう。ゴールした人にはごほうびが待っているぞ、早く来いよ?」

 

 クソ父とクソ母に身を売られた。

 

 あの二人は嬉しそうだった。どうやらかなりの高値だったらしい。

 俺たちを買い取ったのは帝国の人たちだった。なんのためなのか、そんなもの他人に訊かなくてもわかる。恐らくなにかしらの実験台にされるのだろうと思った。しかし現実は違った。

 ここはジフノラ樹海。自殺の名所でもあり冒険者や傭兵の腕試しで有名な所である。この森の中には危険種が数多く存在し、毎日数十人もの人が死ぬのである。

 こんな場所で徒競争。

 

「これを持っていけ」

 

 兵士から支給されたのは薄い羽織というか布切れとナイフ一本だけである。これだけでこの樹海を生き残れというのか、バカげている。

 

「お兄ちゃん……」

 

 俺は後ろでおびえている妹の顔を見る。

 おびえきっている、手は震え俯き地を見ている。

 

「大丈夫だよ」

 

 そんな手を握る。

 

「お兄ちゃんがついているからな」

 

 アカメとクロメは嬉しそうに、希望を得たかのような顔をする。

 しかし現実は過酷だ。子供三人だけでこの森を横断できるのか。

 俺は周りを舐めまわすように見る。他の子供たちには同じ備品が配られている。頼りのない布とナイフ。俺は戦い方を知らないわけではない。武具が揃っていればまともに戦える自信がある。しかしこんなナイフではいつ折れるかわからない。

 ならば数を整えればいい、しかし配られるのは一人一本。

 奪うか、ならば殺すか。

 妹たちのためだ。仕方のないことだ。

 

 

 

 レースが始まった。

 俺は威張っている帝国の軍人とこの企画のリーダーだと思われる人物をにらみゆっくりと歩き出す。周りも決心がついたのか、あきらめたのか、歩き出した。

 ゴールはここから真っすぐ行ったところ、距離にするとかなりある。子供の足では無理だろう。しかしやらなくては。俺は死んでもかまわないが妹は、妹だけは生かさなくては。

 

「いくよアカメ、クロメ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやああああああああああああああああ!!!!」

 

 道中危険種に食われている子供もいた。生きながら足から体まで食われていく感じはどうなのか。俺はそいつからナイフと布だけを奪い遠ざかる。助けを呼ぶ声が聞こえるが無視し、妹の手を引いて走る。

 

「こっちだ!」

「お兄ちゃん!」

 

 アカメが叫ぶ、目の前には食人花がいた。生きたままの子供たちを食べていた。血が飛び散り下半身だけがボトリと落ちて来た。花の周りにはナイフなどが落ちており、それと別に首や腕などの体のパーツが無残にも転がっていた。

 すぐさま手を引き右に曲がり花をさけるように走る。

 

「いやぁっ!」

 

後ろから飛び出て来た狼が飛び出てきてクロメが襲われる。

 

「クロメから離れる!」

 

 ナイフを頭に投げつける。すると同じ狼が何頭も現れた。これでは逃げれない。俺もアカメもクロメもナイフを構える。極力妹たちに敵が行かないように倒す。妹たちを襲うのだ、生かしておく必要性がない。ナイフで首を斬りつける、骨は断てないので首のまわりを斬るようにする。ナイフが使えなくなったら次の敵の足に投げつけ、負傷して動けなくなったところを斬る。

 

「いくぞ!」

 

 数が減ってきたので二人の手を引いて走る。

 全てを相手する必要はない。

 

「走れもうすぐゴールだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お?これは中睦まじく。ゴールだよ坊や」

 

 俺達三人を迎えたのは気持ちの悪い科学者のような人だった。

 奥に連れて行かれそこで治療を受けた。

 体中かすり傷やこすれて血がでていた。これで終わりなのか、何体の危険種を殺したのか。それより訓練も受けてないのにここまで戦えるアカメとクロメにびっくりである。お兄ちゃんちょっと恐ろしくなってきたよ。

 

「試験の結果を発表しよう」

 

 俺たちが休んだでいるテントに入ってきたのは剣を腰にさしたダンディーナおっさんだった。

 

「リュウがNo.7、アカメがNo.8、クロメがNo.9だ。特にリュウお前は逸材だ。負傷した妹をかばいつつここまで戦いながら来るだなんて。特に最後の狼と戦ったときはすごかったぞ」

「見ていたのか」

「ああもちろん。そしてお前たち兄妹は別々の場所で教育を受ける。リュウお前は俺と来い、アカメとクロメは帝都行きだ」

「なに!」

「嫌だ、私はお兄ちゃんとクロメといる!!」

「お姉ちゃん……」

 

「ダメだ」

 

 ダンディーなおっさんは指をならした。すると兵士がテントの中になだれ込んできた。兵士たちはアカメとクロメを抑えた。俺と妹が離れ離れになるだと?ダメだ、しかも帝都行きだなんて。あんな場所に行ったら何をされるか、妹とたちを連れていかせるか。

 俺は医療用の器具が入っているとことからガーゼなどを切るハサミを手に取る。それで俺を抑えに来た兵士の咽を突く。そして後ろにいた兵士も同様に斬り殺す。

 

「ゴズキ様!」

「おいおい穏やかじゃねぇな」

「当たり前だ。妹たちを連れて行こうとしたのはお前だ」

「それでも俺が決めたんだよ。兄弟や姉妹は別々にするってよ、依存されると困るんだよ」

「俺たちは依存していない。だから一緒にしてくれ」

「だめだな。依存していないって言ってるくせに一緒にしてくれっておかしいだろ」

 

 俺は唇をかむ。バカだった、俺が。

 俺は地面に頭をこすりつけ土下座をする。

 

「お願いします!妹を、アカメとクロメを連れていかないでください。何だってしますから、お願いします」

「ほぅ」

 

 目を強くつむる。こんなお願い無理に決まっている、しかし言ってみなければわからない事もある。どんなつらい事だって耐えてやる、だから神様お願いします。こいつらだけは。

 

「ちょっとこっちに来い」

「え」

 

 俺は首を掴まれ外に放り投げられる。

 傷口が地面と当たり痛い。ってかかなり飛んだぞ俺。

 

「このテストはな。国の悪を殺す暗殺者を作る為に必要なことなんだよ。わかるか?殺しってのは大変なんだよ。でもお前が強かったら、一人で何人分もの働きをしてくれるのなら、ちょっとは考えるぜ」

 

 おっさんはナイフと呼ぶには大きく剣を呼ぶのには小さな剣を投げて来た。

 

「この剣は帝具つってな「知ってます」そうかい。名は村正、『一瞬万斬』村正だ。所有者のスピードと身体能力を異常なほど上げるとても切れ味が良い剣だ」

 

 切れ味がいいのはわかった、ちょっと投げただけなのに刃が堅く乾いた地面に刺さり柄が見えるぐらいまで刺さっている。これが帝具、本屋で見た最強の武器。

 

「しかし問題があってな。この剣は所有者を選ぶんだよ。間違えてその剣を掴んでしまったら終わりだ、苦しみそして死ぬ。そこでお前に一ついい話がある」

 

 おっさんは俺の近くに歩み寄り髪を鷲掴みにし引っ張る。俺は痛みに呻きながらおっさんのお顔を見る。

 

「もしお前がこの剣を持ち、所有者になったら考えてやるぞ?お前ら三人が一緒にいるって話ィ、やってみねェか?」

 

 こいつ、完全に遊んでいやがる。これが帝都の軍人か、腐っている。おっさんは俺の頭を離し遠ざかる。俺は体を起こし目の前の地面にめり込んでいる剣を見る。帝具は所有者を選ぶ。本屋に乗っていたとおりである。適合率が悪いと拒絶反応が出て、使用者を死に至らしめる。

 

「お兄ちゃん!」

 

 絶叫にも似た声。俺はテントの方を見る。アカメとクロメが泣いていた。涙の理由はわかる。俺がこの帝具に適合しなくて死ぬのが嫌なんだろう。しかしこの地獄のテストを逃すにはいかない。

 ゆっくりと前に進む。全ての音が遠のいていく感覚になった。左の方ではこもっているが、二人が泣き叫んでいるのがわかる。でもこれを試さないと、お前らにはもっとつらい未来が待っているんだ。それだけは兄として許せない。

 

 今までも守ってきたんだ、これからもずっと守ってやるんだ。

 

 剣を引き抜く。

 

 すると痛み、いや何かが流れ込んできた。

 記憶だった。過去の適合者たちの無残な記憶。人を切り殺し、自分も悲惨な死を遂げた記憶。死べてが流れ込んでくる。

 ……これはつらい。しかし叫ばずにただひたすら耐える。まだ記憶は続く。

 俺はこうはならない、俺は生き残るんだ、俺は妹たちの為に生き残るんだ、

 

 だから――――

 

 

 

 

 

 だから、俺に黙ってついてこい村正!!

 

 

 

 

 

 痛みが引いていく。

 

「ぐっ、はぁ!……はぁ、はぁ」

「ほぉこれはこれは、すげぇなおい!」

「どうだ……耐えてやったぞ。これでどうだ!だから」

「わかったよ」

 

 俺は目をつむり安堵して膝から崩れ落ちる

 これで――――

 

 何かに反応したのか、目を開けると迫ってくる刀。そして狂気的な笑顔を浮かべているおっさん、嘘をついたのか。

 普段の俺だったらなすがままに斬られているだろう、しかし今は違った。

 俺はその刀を村正で弾きおっさんの首にあてる。

 

「マジで速ぇな。それ」

「え?」

 

 自分でも何をしたのかわからなかった。そう思っただけなのに気付いたら体が動きこうなったいた。所有者のスピードを上げるとはこのことだったのか。

 

「うし合格だ。お前はこの帝具の所有者になったわけだ。約束通りお前ら三人を同じにしてやる」

 

 俺はその言葉を訊き安心した。

 本当に安心したのか、俺はそのまま深い眠りへと落ちた。

 最後に聞いたのは、

 

「でもリュウだけは倍以上に働いてもらうからな約束通りにな」

 

 

 

 

 

 

 




第一話はこれだけで。
アカメが斬る!零 の話になります。
しばらくは零の話ですから、ボスやレオーネ好きの人は少々お待ちください。

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