ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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鬼髪師アスカ・シャーベット

「し、式神?『星宙(そら)の巫女』って?」

 

「では、まずはこの子から。(さそり)座の式神、ソード!」

 

選ばれた宝玉以外の宝玉が消え、その宝玉から蠍の外見と刀を持った式神が姿を現す

 

「オイラはソード!蠍座の式神だ――――って!(あね)さん!?なんで裸になってるんすか!?」

 

「あ、これですか?これはそこにいる赤龍帝(せきりゅうてい)さんが」

 

「何だとぉっ!?テメェコラ!よくも姐さんを!刺し身にしてやっから覚悟しやがれい!」

 

ソードと名乗る式神の刀が紫に変色し、(しずく)を垂らす

 

雫が地面に落ちると、音を立てて穴を開けた

 

「地面が溶けた!?まさか毒か!?」

 

「その通り!オイラの毒は何でもかんでも溶かす!テメェの鎧だって3秒でドロドロにしてやんよ!」

 

ソードがダッシュして毒が染み込んだ刀を横薙ぎに振るう

 

一誠は間一髪でかわすが、毒の液体が付着した部分は見事に溶ける

 

「げっ!」

 

「オラオラァ!」

 

ソードの刀を避けても、飛び散る毒の液体が鎧を溶かしていく

 

一誠は危険を感じて遠距離から攻撃を繰り出す事にした

 

「ドラゴンショットォッ!」

 

一誠のドラゴンショットがソードに命中し、ソードは煙を上げながら地面を転がる

 

「くっそぉ!姐さん、一旦引き下がらせてもらいますよ!次の式神でボコボコにしてやってくだせぇ!」

 

ソードは元の宝玉に戻ってアスカの体内に帰還

 

アスカは次なる式神を召喚する

 

「次はこの子達。双子座の式神、ジェミニ!」

 

今度は1本角の赤い怪人と1本角の青い怪人が出てきた

 

「僕はジェミニ・ザ・ボルケーノ!」

 

「俺はジェミニ・ザ・フロスト!双子の兄弟で俺が兄貴だ!」

 

ハイテンションに自己紹介をした後、2人はアスカの方を向く

 

「わあ!ご主人様が裸だ!どうしようフロスト!今すぐ犯したいよ!」

 

「落ち着けボルケーノ!俺だって犯したいんだ!」

 

「自分達を召喚した人の前で何言ってんだ!?」

 

一誠は思わずツッコミを入れてしまった

 

「コラッ。そんな下品な言葉はダメでしょ?めっ」

 

「「ゴメンなさ〜い」」

 

アスカがチョンとジェミニ兄弟の頭を叩く

 

ジェミニ兄弟が一誠の方を向いて気合いを入れ直した

 

「よーし!ご主人様にもっと褒めてもらうために、あの赤いのをやっつけちゃおうよ!」

 

「おう!俺達の攻撃でやっつけてやろうぜ!」

 

弟が炎のレーザー、兄が氷のレーザーを一誠に放つ

 

一誠は背中のブーストを噴かして上空に逃れるが、既に頭上にはジェミニ兄弟が先回りしていた

 

「合体!ハイブリッド・ジェミニ!」

 

兄弟が手を合わせると、体が細かなパーツに分解されて1体の怪物――――右半身が炎、左半身が氷に覆われた式神と化した

 

「なっ!何だありゃ!?」

 

「特大パンチを食らえェェェェェェェェェェェッ!」

 

バゴォッ!

 

ハイブリッド・ジェミニの両拳が一誠の腹に打ち込まれ、一誠は血反吐(ちへど)を吐きながら地面に落下した

 

ジェミニはソードと同じ様に宝玉に戻ってアスカの体内に入る

 

赤龍帝(せきりゅうてい)さん。降伏した方が良いですよ?私とジェミニの攻撃をまともに受けてしまっては立てないでしょう」

 

アスカが降伏を勧めるも、一誠は痛む体に鞭打って起き上がる

 

「ゲホゲホッ!た、確かに凄い力だ……。こんな凄い力を持っているのに、なんで闇人(やみびと)と組む必要があるんだ!なんで他の種族を平気で殺す様な奴らと一緒に行動してるんだ!」

 

一誠は怒気を含ませながらアスカに訊く

 

アスカは一拍置いてから答えた

 

「それは――――私が『クイーン』の力に選ばれてしまったからです。お話によると、『初代クイーン』の力は自ら他種族の女性を選抜し、その人を『2代目クイーン』にするそうなんです。ですから、選ばれた以上は『2代目クイーン』を務めないといけません。それに―――――」

 

再び一拍置いた後、アスカは屈託の無い微笑みで答えた

 

「私は闇人(やみびと)こそが、世界から争いを無くす事が出来る種族だと思っています。だって、力を見せて私達に勝てない事を理解させてあげたら――――争うなどと言う考えは誰も起こせないでしょう?」

 

ゾクッ…………

 

一誠は言葉では表せないような寒気を感じた

 

“争いを無くす為に闇人(やみびと)といる”

 

その考えに誰もが戦慄を覚えた……

 

「今、最も力があるのは闇人(やみびと)です。その闇人(やみびと)と共に争いを考えている人達を打ち負かしていけば、いずれ争いは無くなります。私は平和な世を作る為に生まれたのです」

 

「そんな考え……理解出来ねぇよ!争いを無くしたいのは俺達だって同じだ!」

 

「でも、それには力が必要です。何者にも負けない力が……あなたはそれをお持ちですか?」

 

一誠は直ぐに答えられなかった

 

今の自分には絶対勝てると言う様な力が無い

 

新やヴァーリ、渉など一誠より強い実力を持つ者は多々存在する

 

「それでも、それでも俺は部長達と一緒に戦うんだ!『禍の団(カオス・ブリゲード)』や闇人(やみびと)から人間界、冥界、天界も守らなくちゃいけないんだ!」

 

「心構えは認めましょう。牡牛座の式神、タウラス!」

 

3つめの宝玉から金色の牛の怪物が出現し、荒い鼻息を鳴らす

 

「ブモモオォォォォォォォォォォォォッ!」

 

地震を起こしながら突っ込んでくる化け物牛に対抗するべく、一誠はブーステッド・ギアで力を溜める

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!!!』

 

倍増させた力を拳に集めてグッと握り締め、突進してくるタウラスに全力の拳打を突き出した

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

ドガアァァァァァァァァァァァァァァンッ!

 

凄まじい衝撃音の直後、一誠は地面を抉りながら飛ばされ、タウラスは折れた角を押さえて泣き喚く

 

タウラスもアスカの体内へ戻っていった

 

「まさかタウラスが力負けするとは思っていませんでした……。パワーだけなら1番であるこの子を……なかなかのパワーをお持ちですね。では次」

 

アスカがまた別の宝玉から式神を召喚する

 

「山羊座の式神、カプリコーン!」

 

宝玉から出てきたのは―――――杖をつきながらプルプルと震え、長いアゴヒゲを生やしたヤギの老人だった……

 

「いてて……んっ?何あれ?ヨボヨボの爺さん?」

 

「お〜……久しぶりじゃのう〜……アスカちゃんや〜……」

 

「お爺様、出番ですよ」

 

「そうかそうか〜……ワシの出番かの〜……。若いの……ワシは山羊座の式神、カプリ………………………………コーンじゃ」

 

「なんで今タメを作った?しかも長ぇ!」

 

独特過ぎるキャラに一誠はついていけそうになかった

 

「あの、爺さん?あんまり無理しない方が良いんじゃないか?」

 

「ワシを年寄り扱いするでない。こう見えてもまだ8327億9651万4892歳じゃぞ。まだまだ若造には負けておらんぞい……」

 

「歳取り過ぎだろ!年齢からして負けそうな予感がするんだけど!?」

 

「な〜にを言うか。ワシは山羊座の式神、カプリコー……………………………………………ンじゃっ!」

 

「またタメを作った!しかも、なんで力強く!?」

 

カプリコーンは1歩1歩とゆっくり歩き、少し進んだ所で足を止める

 

「ふい〜……どうも最近疲れるのが早いのう……」

 

「爺さん、やっぱり無理しない方が……」

 

「ま〜たワシを年寄り扱いするか。仕方無いのう……………………………………………………フンッ!」

 

ボコボコボコッ!

 

気合いを入れた瞬間――――なんとヤギの老人が一気に筋肉ムキムキのマッスルボディになり、一誠の目が飛び出した

 

無論、外で見ているグレモリー陣営も………

 

「どうじゃ?これで少しは若く見えるかいのう?」

 

「何だ今のミラクルは!?しかも口調までガラリと変わっちまってる!」

 

カプリコーンは一誠に膨れ上がった自慢の筋肉を見せつけて杖をくるくると振り回す

 

「さてと、若造。ワシが稽古をしてやるから存分にかかってくるが良い。なぁに、手加減ぐらいはしてやるわいのう」

 

「言ったな!こっちだって手加減はしねぇぞ!」

 

一誠はブーストを噴かしてダッシュし、カプリコーンの顔面に拳をぶち込んだ

 

しかし、カプリコーンは微動だにしないどころか―――――鼻血すら出ていなかった……

 

「フォッフォッフォッ。これでMAXかいのう?まだまだ痒いわい」

 

「げっ!嘘だろっ!?」

 

狼狽する一誠にカプリコーンは杖で突きまくる

 

一誠は何とか杖の攻撃を回避しようと動くが、それを見破っているかの様にカプリコーンは突きをヒットさせる

 

「ほぉれい!フルスイングじゃわいのうっ!」

 

バキッ!

 

フルスイングした杖が一誠の首に叩き込まれ、一誠は一瞬意識を失う

 

「がっ……!――――ッ!うぐあぁ!いってぇぇぇぇ……ッ!」

 

「ま〜だまだじゃわいのう。アスカちゃんや、後は任せるぞい」

 

カプリコーンは宝玉に戻りアスカの体内へ還る

 

「では、そろそろお開きにしましょうか」

 

「……っ!?ふ、2つも!?」

 

アスカが2つの宝玉を前方に出現させる

 

2体の式神を呼び出されては流石に敵わないと察した一誠はすぐに阻止しようとする―――――が、今までのダメージが一誠を妨害する

 

「や、やべぇ……!体が思う様に動かねぇ……!」

 

「ラストはこの子逹です。水瓶座の式神、コーラル!乙女座の式神、ヴァルゴ!」

 

アスカが2つの宝玉を頭上に浮かせ出現させたのは――――水が入った壺を持つ半裸の綺麗な女性と、天使のコスチュームに身を包んで翼を生やした可愛らしい少女だった

 

「ふおぉぉぉぉぉっ!どっちも好みのタイプだ!このお姉さんと女の子になら―――――」

 

「虐殺ガール、ヴァルゴちゃん!け〜んざんっ☆」

 

「虐殺ガール!?名前怖い!やっぱ嫌だ!死にたくない!」

 

一誠はヴァルゴの名乗りを聞いて戦闘態勢を維持

 

すると、水瓶座の式神コーラルが前に出てくる

 

「随分と傷だらけね、坊や。いらっしゃい、お姉さんが癒してあげるわ」

 

「は〜い♪」

 

『ちょっとイッセー!敵の誘いに易々と乗ってどうするのよ!』

 

『イッセーさん!ダメですぅ!』

 

リアスとアーシアの制止は虚しく空振り、一誠は呆気なくコーラルの側まで近寄った

 

「じゃあ、いくわよ?」

 

ポコポコポコポコ………!

 

壺に入っている水が気泡を弾けさせ、湯気まで出していく

 

その事に気付いた一誠は恐る恐る訊いた

 

「あ、あの……なんでソレから湯気が……?今から何をかけるおつもりで?」

 

「――――熱湯よ♪」

 

ザバアァァァァァッ!

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!アッチィィィィィィィィィィィィッ!癒されるどころか更にダメージがァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

壺いっぱいの熱湯をぶっかけられた一誠は全身を擦りながらのたうち回る

 

「坊やは煮沸消毒をご存知じゃなくて?」

 

「煮沸消毒はこんなやり方じゃない!癒してくれるって言ったのに騙されたチキショウ!」

 

「ラストはヴァルゴちゃん、いっきま〜す!ヴァルゴちゃんステッキ〜♪」

 

乙女座の式神ヴァルゴが手に出現させたのは―――――ステッキの成分が皆無と言えるトゲトゲのバットだった

 

トゲ付きバットを見た一誠の脳内で警報が鳴り響く

 

「見るからに痛そうな武器だ!あんなの絶対くらいたくない!」

 

「ヴァルゴちゃんのマジカル処刑!お歌に合わせていくよ〜♪月曜日は隕石落ちて〜♪」

 

ドドドドドォォォォンッ!

 

隕石の大群が一誠に激突

 

「火曜〜日はマグマにダイブ〜♪」

 

ドパアァァァァァァンッ!

 

地面からマグマが噴き出し、一誠が呑み込まれる

 

「水曜日は津波を受けて〜♪木曜日はサボテンリンチ〜♪」

 

何処からともなくやって来た津波が一誠を壁に叩きつけ、人型のサボテン軍団が針だらけの腕と脚でフルボッコに

 

「金曜日はジェ◯ソン襲来♪土曜〜日は岩石落とし♪」

 

ギュガガガガガガガガッ!

 

ゴゴゴゴゴゴォォォォッ!

 

巨大な仮面男の2枚刃チェーンソーで前面を斬られ、大量の岩石が頭上から落下

 

一誠はもう血だらけのグロッキーとなっていた………

 

「………もう、俺のライフは――――――」

 

「日曜日はお日様ビーム♪」

 

ズビイィィィィィィィッ!

 

ヴァルゴの頭上で輝く太陽が巨大な熱線を放射し、一誠の倒れている場所が大爆発を起こした

 

虐殺のフルコースを召し上がった一誠は最早虫の息……グレモリー陣営はその惨状に表情を強張らせていた

 

「お疲れ様です。もう勝負は着いたようなものですから、お戻りください」

 

「は〜い☆」

 

「お言葉に甘えて」

 

2体の式神がアスカの体内へ帰り、アスカは黒煙をあげている一誠にゆっくりと近付いていく

 

「では、棺桶に入れさせていただきます。よいしょっ」

 

髪の毛を伸ばして一誠を持ち上げ、棺桶に移動しようとする

 

『イ、イッセー!起きなさい!イッセー!』

 

『イッセーさん!起きてください!』

 

呼び掛けも効かず、敗北へのカウントダウンが迫っていく

 

新はこれしかないと思い、一誠に向かって叫んだ

 

『一誠!よく聞け!もし、この試合に勝ったら―――――アーシアが乳首を吸わせてくれるらしいぞッ!』

 

『―――――――っ!?』

 

新が出したトンでもない提案にグレモリー眷属全員は目が飛び出しそうなぐらい驚愕し、一誠の身に奇跡が起こった………

 

「アーシアの――――――おっぱいィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!乳首ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!」

 

「えっ?」

 

ズバズバッ!

 

一誠が驚愕の復活を遂げ、籠手から聖剣アスカロンを伸ばしてアスカの髪の毛を切る

 

脱出した一誠は即座に叫んだ

 

「新!本当なのか!?マジなのか!?マジでアーシアがおっぱいを吸わせてくれるのか!?」

 

『あぁ、マジだ(笑)』

 

「ぃよっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!アーシアのおっぱいを吸うぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!!!!!』

 

一誠のスケベな想いに籠手も連続で音声を発する

 

アスカは切られた髪の毛を再生させた

 

「これが噂のおっぱいドラゴンの力ですか。凄いですね、おっぱいで瀕死の状態から復活なんて聞いた事ありません」

 

「それが俺の強みです」

 

「ふふっ。では、その敬意を評して……一撃で終わらせてあげましょう」

 

アスカが微笑みながら宣言する

 

一誠は力を倍増させ続け、最大出力のドラゴンショットを備える

 

「アーシアのおっぱいを吸うため、一気に決めさせてもらうぜ!」

 

「元気が良いですね。では――――」

 

アスカが右手に高密度の魔力を纏わせ距離を詰めていく

 

一誠はカウンターの要領で待ち構え、ドラゴンショットを撃ち出そうとした

 

『ボディ狙いか!なら、カウンターでドラゴンショットを―――――っ!?』

 

一誠がドラゴンショットを撃とうとした瞬間、アスカが急激に身を低くして突っ込んできた

 

狙いはボディではなく――――――

 

「失礼」

 

ゴキィィィィィンッ!

 

一誠の股間だった……

 

「Φ☆<┣◆*÷℃仝≡ызο∽◇……!」

 

『………………………』

 

試合を見ていた全員が固まり、一誠は泡を吹いてうつ伏せに倒れた

 

『あ、新くん……もし彼女と当たって、アレを食らわされたらおしまいだよ……』

 

『祐斗、今は言わないでくれ……只でさえ腹をフォークで抉られてる気分なんだ……』

 

アスカが髪の毛で倒れた一誠を持ち上げ、棺桶に入れる事に成功

 

第5試合は『2代目クイーン』アスカ・シャーベットの勝利に終わった


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