ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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風魔と2代目クイーン

第3試合が終了して戦績は2勝1敗

 

勝利を手にするには、あと2勝必要となる

 

「見ててスカッとしたぜ、渉」

 

「圧倒しちまったもんな。しかも、あんな隠し技まで持ってたなんてやるじゃねぇか」

 

「うん、ありがとう。でも……ちょっと予想外だったね。また強そうな闇人(やみびと)が増えちゃって……」

 

渉に合わせて全員が『チェス』陣営に視線を向ける

 

ストレイグが死に際に魔銃(マガン)闇人(やみびと)化してしまい、その闇人(やみびと)が『ポーン』の称号を強奪した

 

魔銃(マガン)闇人(やみびと)――――バリー・デスペラードは右手の剣と左手の銃を擦り合わせて新達を(うかが)っている

 

思わぬアクシデントが発生したが、『2代目キング』の大牙は特に気にする素振りを見せなかった

 

「次の組み合わせだ」

 

大牙は指を鳴らし、それを合図にルーレットが回る

 

新は適当なリズムでスイッチを押した

 

グレモリー側はロスヴァイセ

 

『チェス』側は風魔(ふうま)ヤタロウ

 

バトルフィールドは悪霊フィールドになった

 

「次は私ですか。行ってきます」

 

「気張ってこいよ、ロスヴァイセ」

 

新が手を振るとロスヴァイセは静かに頷いてバトルフィールドに転送された

 

転送された場所は周りに古い寺や家屋などがあり、江戸時代を表している様な風景だった

 

『このフィールドでは建造物が崩壊すると悪霊が出現してプレイヤーを無差別に襲ってくる。悪霊の強さは破壊された建造物の大きさに比例しているから注意を払う事を勧めておこう』

 

つまり、派手に戦えば戦う程悪霊が出現して不利になる可能性が生じると言う事である

 

戦闘開始の合図が鳴り、ロスヴァイセがスーツから戦乙女(ヴァルキリー)の鎧姿へ変わる

 

『ルーク』のヤタロウはソッとサングラスを外した

 

「北欧の神に仕えていたヴァルキリーか。貴殿らの力―――――拝見させてもらおう」

 

バサッ!

 

ヤタロウの背中から漆黒の翼が展開され、自身を両翼で包み込む

 

翼が広がると――――そこにいたのは左手に鉤爪を装備し、(カラス)の特質を持った闇人(やみびと)

 

しかし、1ヶ所だけ普通の闇人(やみびと)とは違う点があった……

 

「……ッ!あなた、目が……ッ!?」

 

ロスヴァイセが驚愕するのも無理は無い

 

何故なら――――眼前の闇人(やみびと)の目は既に潰れていたのだから……

 

痛々しい傷痕に触れながらヤタロウが言う

 

「そう、(それがし)は元から目玉が無いのでござる。しかし……目玉が無くとも貴殿を(むくろ)にする事など容易し。いざ参る」

 

ヤタロウが鉤爪をロスヴァイセに向け、ロスヴァイセも戦闘態勢を取る

 

少しの静寂を過ごした直後、ヤタロウはその場から姿を消した

 

「――――ッ!……上!?」

 

ロスヴァイセは気配を察知して上空を見上げる

 

ヤタロウは鉤爪から矢を3発放つ

 

「初手ですか。はぁッ!」

 

ロスヴァイセは防御の魔方陣を展開して矢を防いで攻撃に転じようとしたが、ヤタロウは既に空から姿を消していた

 

「遅い」

 

「後ろに!?」

 

ヤタロウがロスヴァイセの背後から矢を放った

 

ロスヴァイセはギリギリで回避するが矢は思ったより強力で、ヴァルキリーの鎧が少し破損してしまう

 

ヤタロウは左手を上に掲げ、鉤爪に日光を集める

 

「風魔流極意、『閃光空矢射(せんこうからやうち)』ッ!」

 

鉤爪から光を結集させた矢が撃たれ、ロスヴァイセに向かっていく

 

悪魔にとって光は猛毒

 

一撃でも食らえば多大なダメージとなる

 

光の矢はロスヴァイセに当たらず、建造物を破壊していった

 

「グバアァァァ!」

 

「ゲギャアァァァ!」

 

「……っ!?しまった!悪霊が!」

 

建造物が破壊された事により悪霊が出てきてロスヴァイセに襲い掛かる

 

ロスヴァイセは魔術で悪霊を滅していくが、数が多いせいで苦戦してしまう

 

「ふっ、ならば!」

 

ヤタロウはコレを利用するべく、次々と寺や家屋を破壊して悪霊を解放させていく

 

『ゴギュガアァァァァ!』

 

100体近い数の悪霊が一斉にロスヴァイセに向かう

 

ロスヴァイセは周囲に魔方陣を展開し、魔術の一斉砲撃を行った

 

悪霊を退治しているロスヴァイセに、ヤタロウは死角から近づいて首を掴み地面に叩きつけた

 

「う……ぐっ……!」

 

「安心せよ。苦しませはせぬ……一瞬にて、貴殿の息の根を止めてやろう」

 

ギラリと光る鉤爪

 

ヤタロウは弓を引く様に左手を後ろにやり―――――ロスヴァイセの顔面を突き刺そうとした

 

ドゴッ!

 

ドスッ!

 

「ぐッ!ぬうぅぅ……ッ!」

 

「負ける訳にはいきません!」

 

ロスヴァイセの膝がヤタロウの腹にめり込み、それによって鉤爪の狙いが右にズレて難を逃れた

 

ヤタロウは態勢を建て直すべく飛び退く

 

「女と甘く見てしまっていた。(それがし)の攻撃をここまで(かわ)した者は(かつ)てござらぬ」

 

「私もこんなに防戦を強いられたのは初めてです。それにしても――――随分と卑怯な戦法を取るのですね……。いきなり背後から攻撃したり、悪霊達を利用したりと……」

 

ロスヴァイセの言葉にヤタロウは鉤爪を向けながら答えた

 

「正々堂々と言う見栄など不要。相手を確実に葬る――――それが忍の極意にござる。風魔流極意、大羽紫禁呪炎(おおばしきんじゅえん)ッ!」

 

ヤタロウが両翼を広げ、炎を纏った羽を射出する

 

ロスヴァイセは防御の魔方陣で防いでいく

 

ヤタロウは立ち込める爆煙を利用してロスヴァイセの背後に―――――

 

「それは読めています!」

 

「なぬっ!?」

 

先読みしたロスヴァイセの魔方陣から光の帯が発射され、ヤタロウの左翼を撃ち抜いた

 

左翼が半分以下の大きさになってしまい、ヤタロウは苦痛に顔を歪める

 

「……なるほど。死角を突く(それがし)の戦法に意識を集中させて気配を読み取ったか。敵ながらアッパレでござるな」

 

「すみませんが、一気に勝たせてもらいます!」

 

ロスヴァイセが再び魔術の一斉砲撃の構えを取り、周囲の魔方陣から大量の砲撃を放った

 

妙な事にヤタロウは1歩も動かず、ロスヴァイセが撃った魔術砲撃を食らう

 

辺り一面が爆煙に包まれ、ロスヴァイセは警戒を強めるが―――――――

 

ガシッ!

 

「そ、そんな!正面から!?」

 

「相手を仕留める為なら、腕や翼などくれてやろう」

 

ロスヴァイセの腕を掴んでいるヤタロウの右腕と鉤爪はボロボロ、両翼も殆ど原形を留めていなかった

 

それでもヤタロウは破損した鉤爪をロスヴァイセに向ける

 

「もうこれ以上は戦っても無駄です。降参した方がよろしいのでは――――」

 

「まだ勝負は着いておらぬ。(それがし)の肉体が無くなる時、その時こそが(それがし)の敗北なのだ……ハァァァァァァァァァァァァァァァァ……!」

 

ギュゴォォォォォォォォォォォォ……!

 

鉤爪に大気中の微量な水分を結集させ、ヤタロウは1本の矢を作り上げた

 

「水分で矢を!?マズイ!」

 

(それがし)の勝ちだ!風魔流極意、十方暮鋼崩(じっぽうくれはがねくずし)ッ!」

 

ドシュウゥンッ!

 

水の矢はロスヴァイセが咄嗟に出した何重もの防御魔方陣を貫いたが、胸部の鎧に少し突き刺さった程度に防がれた

 

ロスヴァイセ本人は後方に飛ばされたものの無傷で済み、体を起こす

 

「はぁ……あ、危なかった……」

 

「本当にそう思うか?」

 

ヤタロウの言葉を不審に思っていると、矢は消え――――胸部の鎧が錆びていく事に気付いた

 

「……っ!?私の鎧が錆びて―――――っ!?」

 

「この水の矢の前では如何なる防御の術も崩し、相手の鎧などの防具を腐敗させ破壊する。貴殿の北欧魔術には打ってつけだ」

 

ヴァルキリーの鎧――――水の矢が刺さった部分は隈無く錆び、簡単に崩れて地に落ちる

 

「新さんやイッセーくんみたいな技じゃなくて良かった……」

 

アンダースーツまでは破壊されておらず、ロスヴァイセは心の底から安堵した

 

しかし、防御の魔方陣が効かないとすれば水の矢を防ぐ手段は皆無

 

ヤタロウは2本目の水の矢を作って構える

 

「さぁ、どうする?最早防御の魔方陣は(それがし)に効かぬぞ」

 

「うっ………」

 

打つ手が無い事に焦りを感じるロスヴァイセ

 

外にいる新はアドバイスを送った

 

『ロスヴァイセ、お前は「戦車(ルーク)」だろ!その特性を考えて戦え!防御だけが取り柄じゃねぇだろ!』

 

「『戦車(ルーク)』の特性……あっ、そうでした!新さん、ありがとうございます!」

 

ロスヴァイセは新の意図を察して拳に魔術のオーラを纏わせる

 

戦車(ルーク)』の特性は攻撃力と防御力の向上

 

戦車(ルーク)』になった事でロスヴァイセの魔術は防御力だけじゃなく、攻撃力も増している

 

「――――っ。突貫するつもりか?無駄な足掻きを」

 

ヤタロウは水の矢と魔力で宙に手裏剣を作り、それらをロスヴァイセに向けて乱射した

 

ロスヴァイセは怯む事なく突き進み、矢を回避し手裏剣を魔術の砲撃で弾きながら距離を詰めていく

 

「先程と気迫がまるで違う……!良かろう、この極意にて貴殿を葬ってしんぜよう!風魔流極意、羽黒大魔砲(はぐろだいまほう)ッ!」

 

ヤタロウは矢と手裏剣を放ち続けながら(くちばし)を開き、不気味なオーラを集結させる

 

黄泉路(よみじ)へ逝けェェェェェェェェェェェッ!」

 

ゴオォォォォォォォォォォォォォォォォッ!

 

大質量の魔力の塊が(くちばし)から撃たれ、ロスヴァイセが大爆発に包まれた

 

爆風で周囲の建造物、出てきた悪霊も消し飛んでいき、周りには木屑と抉れた地面の破片が散乱した

 

「ふぅむ。まさか(それがし)をここまで追い詰めるとはな……女にしては、よくやったと言っておこう」

 

「あなたも最後は正面から来てくれましたね」

 

突如聞こえてきたロスヴァイセの声にヤタロウが慌てて辺りを見回す

 

ロスヴァイセは血を流しながらも、既にヤタロウの眼前でオーラを纏った拳を突き出していた

 

グジャアァッ!

 

ロスヴァイセの拳がヤタロウの顔面を打ち抜き、そのまま(くちばし)ごとひしゃげた頭部が千切(ちぎ)れて地面に落ちる

 

「ま、まさか(それがし)と同じように捨て身の戦法を取るとは……っ!風魔の血は、(それがし)の代で(つい)えるのか……。ロスヴァイセ、と申したか?(それがし)を破ったおなごの顔……是非一目(ひとめ)だけでも見たかったでござる……」

 

そう言い残した後、ヤタロウは安らかに息を引き取った

 

 

―――――――――

 

 

「やりました、新さん!あなたのアドバイスのお陰です!」

 

「見事なパンチだったぜ、ロスヴァイセ」

 

新がロスヴァイセの頭を優しく撫でると、ロスヴァイセは頬を赤く染めて照れた

 

すると、小猫が間に割り込んで新の手を握る

 

「……ロスヴァイセさん。先輩からのナデナデは私の特許です」

 

「す、少しくらい良いじゃないですか!小猫ちゃん!」

 

2人の『戦車(ルーク)』が睨み合っているにも(かか)わらず、ルーレットは回り出す

 

「新、今度は俺に押させてくれ。どうしても――――俺はあの『2代目クイーン』のお姉さんと戦いたい!」

 

「別に構わねぇけどさ、必ず選ばれるとは限らねぇよ。それに、あの『2代目クイーン』……。な〜んか嫌な予感がしてならねぇ」

 

新は用心深く『2代目クイーン』をマークし、アスカ・シャーベットは再び微笑みを見せる

 

一誠は気合いを入れてスイッチを押した

 

グレモリー側――――兵藤一誠

 

『チェス』側――――アスカ・シャーベット

 

「ぃよっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!願いが通じたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「マジで!?すげぇ!で、バトルフィールドは?」

 

バトルフィールド――――棺桶フィールド

 

『棺桶フィールド……?』

 

不気味過ぎるフィールドに全員が口を揃えて言った

 

しかし、一誠のテンションは最高潮に達している

 

「イッセー、あと1回勝てば私達の勝ちよ。思いっきりいきなさい!」

 

「はい、部長!行ってきまーすっ!」

 

選ばれた2人が棺桶フィールドに転送される

 

その名の通り――――巨大な棺桶が2つある以外、何も無いフィールドだった

 

『2代目キング』の大牙からルール説明が告げられる

 

『この棺桶フィールドでは、先に相手を棺桶に入れた方が勝ちだ。逆に言えば、相手を棺桶に入れない限り勝負は終わらない。よって、相手を殺してから入れても構わないぞ』

 

「あ、相手を殺してでも棺桶に……物騒なルールだな。ま、今の俺は負ける気がしねぇけど。グフフッ♪」

 

一誠が気味悪い笑みを浮かべるには理由がある

 

それは――――絶対に勝てる自信があるからだ

 

洋服破壊(ドレス・ブレイク)』と『乳語翻訳(パイリンガル)』、この2つを使えば"女性相手"なら確実に勝利出来る

 

一誠は籠手を出してカウントを始める

 

「初めまして。あなたが赤龍帝(せきりゅうてい)さんですね?私は『チェス』の『2代目クイーン』を務めるアスカ・シャーベットと申します」

 

「アスカさんか。俺はリアス・グレモリーの『兵士(ポーン)』、兵藤一誠です!悪いけど速攻で勝たせてもらいますよ!」

 

Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Balance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!!!』

 

籠手が強い輝きを放ち、一誠は禁手(バランス・ブレイカー)状態となる

 

そして一気に勝負を仕掛けた

 

「いくぜ、『乳語翻訳(パイリンガル)』ッ!さあ、アスカさんのおっぱいちゃん!これから何をするつもりなのか聞かせてちょうだい!」

 

謎の空間が『2代目クイーン』アスカを包み込み、一誠にしか聞こえないおっぱいの声が流れてくる

 

『とりあえず、しばらくは様子を見ましょう』

 

相手が攻撃する素振りを見せない事に一誠は疑問符を浮かばせた

 

乳語翻訳(パイリンガル)』は完璧に決まった筈……

 

「どうしました?赤龍帝(せきりゅうてい)さん」

 

一誠は首を振って考えるのをやめた

 

様子を見る――――つまり、仕掛けて来ないなら一気に決めるべきだと結論付けた

 

相手を油断させる様にトコトコ歩いていく一誠

 

そして、アスカ・シャーベットの肩に触れた

 

「『洋服破壊(ドレス・ブレイク)』ッ!」

 

バババッ!

 

その瞬間、アスカ・シャーベットの服が下着ごと消し飛び、綺麗な裸が目の前に現れた

 

白みを帯びた美麗な裸体に弾むおっぱい、モデルの如くくびれた腰、瑞々しい張りのお尻に一誠は盛大に鼻血を噴かした

 

「――――――っ?」

 

 

「おおっ!結構おっぱい大きい!そして脳内に保存しました!アハハハハハハ!この技の前ではどんな女性も裸になるのだ!」

 

グレモリー側の殆どが嘆息する中、一誠はトドメにドラゴンショットを撃とうとした――――だが……

 

ガシッ

 

「…………え?な、なんで恥ずかしがらないの!?アスカさん、あんた裸になってるんだぞ!?」

 

『―――――っ!?』

 

全員が目を飛び出させた

 

普通なら裸にされた女性は戦意を喪失する筈なのだが……『2代目クイーン』のアスカは裸体を隠す事もせずにドラゴンショットを撃とうとした一誠の手を掴んで転がした

 

その後、自分の現状を観察する

 

「不思議な技ですね。女性に一切のダメージを与えず、洋服だけを消し飛ばす技ですか。確かに大抵の女性は戦うどころじゃありませんね」

 

「か、隠さないだと!?普通の女の子なら『キャーッ!』とか、『イヤーッ!』って言って裸を隠すのに……全く隠さない……!?」

 

一誠は信じられない光景を目にしながらも、鼻血だけはしっかり出していた

 

「ア、アスカさん?あんた恥ずかしくないの?裸なんだぞ?スッポンポンの丸裸!おっぱいもお尻も丸見えなんですよ!?」

 

「まぁ多少恥ずかしいですけど、大丈夫ですよ?」

 

一誠はかつてない歓喜とショックを同時に受けた

 

裸でも大丈夫、『洋服破壊(ドレス・ブレイク)』が効かない女性が存在した……

 

一誠は思わず後ずさる

 

「そ、そんな……そんなバカな……!俺の完璧なコンボが破られた……」

 

『お、おい一誠!ショック受けてる場合じゃねぇだろ!』

 

『イッセー!しっかりしなさい!』

 

『イッセーさん!しっかりしてください!』

 

ショックに打ちのめされてた一誠に必死で呼び掛ける3人

 

一誠はハッと我に返って立ち上がった

 

「そうだ!逆に考えれば、俺はおっぱいもお尻も見放題じゃないか!お姉さんに隠す気が無いって事は、このまま拝み続けても問題は――――っ?」

 

一誠がアスカの裸を眺めようとした矢先、彼女の水色の長髪が急速に伸びている事に気付く

 

「では、お返しに」

 

微笑むアスカの髪の毛が巨大な拳となって一誠を壁まで殴り飛ばした

 

「ガハッ!な、何だ今のは……!?鎧が欠けたぞ……!?」

 

一誠の腹部の鎧が瀬戸物みたいに割れて破片が落ちる

 

アスカ・シャーベットは元の髪の毛に戻し、露出している胸と下を髪の毛で包む

 

最低限の箇所だけ衣服代わりの髪の毛で覆い隠した

 

「これなら、赤龍帝(せきりゅうてい)さんも気にしないで済みますよね」

 

「な、何なんだ……!髪の毛が生き物みたいに動いて、デカい拳になったり……体にまとわりついたり……」

 

『そうか!分かったぞ一誠!その女の正体が!』

 

新が一誠に向かって叫ぶ

 

『その女はおそらく――――鬼髪師(きはつし)だ!』

 

鬼髪師(きはつし)?」

 

聞き慣れない単語に一誠及びグレモリー陣営がざわめく

 

『新、何なの?その鬼髪師(きはつし)って?』

 

『簡単に言えば、陰陽師(おんみょうじ)の一種だ。自らの毛髪を武器やらに変化させる特異な陰陽師。それが鬼髪師(きはつし)だ……。それに陰陽師の(たぐい)なら式神(しきがみ)も持っている可能性が――――』

 

「ご名答です」

 

アスカが円を描く様に手を回すと、12の宝玉が出現する

 

「黄道十二星座の力を持つ式神を操る女性陰陽師――――『星宙(そら)の巫女』。私はその最後の1人です」

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