ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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シトリー眷属戦後半です


リベンジ続編!新VS匙!

「次は私達が出るわ。行くわよ、(もも)

 

「はい。巴柄(ともえ)

 

第2試合、シトリー眷属側から出てきたのは日本刀を使う『騎士(ナイト)』の巡巴柄(めぐりともえ)と『僧侶(ビショップ)花戒桃(はなかいもも)のコンビ

 

新は闇皇剣(やみおうけん)を出し、自らの爪で刀身を研いで待機する

 

『新、これが終わったら分かってるわね?』

 

『新さん?試合が終わったら家でお話がありますのでから、じっくりしっぽり訊かせてもらいますわ♪』

 

新にとって、それは死刑宣告に近い言葉だった……

 

「第2試合、始め!」

 

グレイフィアの声を合図に巡が日本刀を構え、花戒が両手に魔力を蓄積させていく

 

「ん?そっちの花戒とやらは戦わねぇのか?それなら2人出てくる事に意味が無いと思うんだが」

 

「私が桃と一緒に出てきたのには、ちゃんと意味があるわ。桃!」

 

「準備完了よ、巴柄!」

 

呼ばれた花戒が巡の日本刀に魔力を流し込んでいく

 

2人分の魔力を促された日本刀は濃い密度のオーラを揺らめかせる

 

その後、花戒は再び両手に魔力を蓄積して盾の様に形成する

 

「なるほど、攻撃と防御を分担させたか」

 

「じゃあ、行くわよ!」

 

「行きます!」

 

2人がその場を駆け出し、巡は魔力を帯びた日本刀で斬りかかる

 

繰り出された剣戟を闇皇剣(やみおうけん)で防ぐ新

 

そのまま押し返して一太刀を見舞おうとするが、2人の間に割って入った花戒が両手に形成した盾状の魔力でガードする

 

新は一旦飛び退いて左手に魔力の塊を生み出し、花戒に向けて撃ち放つ

 

花戒は向かってきた魔力をズラす様に受け流した

 

「はあっ!」

 

次に彼女は手に持った盾状の魔力をフリスビーの様に投げつけた

 

新は『闇皇紋章(エンブレム)』を発動し、飛んできた魔力を打ち消す

 

そのまま『闇皇紋章(エンブレム)』を地面に打ち付けて爆発させ、フィールドの瓦礫を2人に飛ばした

 

「きゃあっ!」

 

「桃!」

 

花戒はギリギリ回避したが、新は見逃さず2人に追撃する

 

「そろそろやってやるか。『暗黒捕食者(ダーク・グリード)』ッ!」

 

ズオォォォォォッ……!

 

新が周囲を斬る様に剣を振り、発生した闇が巡と花戒を捕まえた

 

「きゃあっ!ま、またこの技!?」

 

「また裸にされちゃう……いやぁ……っ」

 

この時点で最早勝負は着いたと言っても過言では無い

 

新は最後の仕上げに取り掛かった

 

「ほいっと」

 

巡と花戒を自分にしか見えない角度に移動させ、2人の両手を上げさせる

 

左手で刀身を擦って柄に触れると、2人の裸体が展開された

 

花戒の巨乳と巡の美乳がプルプルと揺れる

 

『……ひぐっ』

 

「……え、ナイテル……?」

 

普通なら悲鳴が先なのだが、巡と花戒はいきなり泣き出してしまい、新は思わず困惑する

 

「お願い……もう降参するから、許して……」

 

「ちょ、待った待った待った!分かった!降ろすから!降ろすから待ってろ!」

 

新は2人のマジ泣き姿に焦り地上に降ろす

 

巡と花戒は地上に降りても泣き止まなかった

 

「ソーナ・シトリー様の『騎士(ナイト)』、『僧侶(ビショップ)』、戦意喪失。竜崎新さんの勝利です」

 

グレイフィアは審判(アービター)として勝者の名前を挙げ、新は未だに泣いている巡と花戒を見て狼狽する

 

そこである事を思い出した

 

「あの、グレイフィアさん。由良と仁村が何処に行ったか知ってます?」

 

「お二人なら奥の更衣室で着替えております」

 

「そっか。よし」

 

新は背中のマントを取り外して巡と花戒に渡し、2人は新の行動にキョトン顔になる

 

「……っ?どういう事ですか……?」

 

「貸してやるよ。これから休憩に入るみたいだし、次の試合が始まるまで時間があるからな。それまで貸すから、早く着替えてこい」

 

「……ありがとうございます。やっぱり竜崎くんって、変な人ですね。あの時と同じです……。私や、憐耶(れや)、副会長を裸にしたのに着替えを持ってきてくれたり……」

 

「前にも言った筈だ。マジ泣きしてる女をいじめる程、俺は腐れ外道じゃねぇって」

 

巡と花戒は顔を朱に染めて、渡されたマントで裸体を隠しながら更衣室へ向かった

 

休憩時間終了後、由良、仁村、巡、花戒が着替えを終えて戻って来る

 

「あの、これ……ありがとうございました」

 

「ゴメンね……私達が泣いちゃったから、何だか気を遣わせちゃったみたいで……」

 

「気にすんな。俺がやってる事だから」

 

新はマントを取って所定の位置に戻り、再び闇皇(やみおう)になる

 

「次は私達ですね。行きますよ、憐耶」

 

「はいー。頑張りますー」

 

長刀(なぎなた)を携えて出てきたのは生徒会副会長にしてシトリー眷属『女王(クイーン)』の真羅椿姫(しんらつばき)と『僧侶(ビショップ)』の草下憐耶(くさかれや)

 

椿姫はメガネをキラリと光らせている

 

「次は椿姫副会長か。なら、ちぃとばかし本気出すか」

 

新は肩をぐるぐる回す

 

「第3試合、始め!」

 

椿姫は長刀を構え、新は『進化する昇格(エボルシオン・プロモーション)』を使って『僧侶(ビショップ)』形態に昇格

 

闇皇(アーク・カイザー)()魔導銃僧侶(ウィザルドバスター・ビショップ)』に変異した

 

「また新しい力を手に入れましたか。さっきの破廉恥な技を使わないつもりですか?」

 

「なぁに、こいつの力も少しは使いこなさないといけねぇからな」

 

新は闇皇銃(やみおうじゅう)と両肩の銃口を椿姫に向ける

 

「おそらく遠距離型の姿……私の神器(セイクリッド・ギア)、『追憶の鏡(ミラー・アリス)』を警戒しているようですね。相性が良いとは思えないのですが?」

 

「ま、それはお楽しみって事で!」

 

新はマントを翼に変えて上昇し、椿姫に魔力の弾丸を撃ち放つ

 

椿姫は最小限の動きで回避、憐耶は結界を張って防ぐ

 

「遠距離で私を倒せる程、甘くはありませんよ」

 

「流石『女王(クイーン)』。冷静且つ少ない動きで攻撃を避けたか。ま、こいつの本領発揮はこれからだぜ」

 

「私だってちゃんと特訓しましたよー」

 

闇皇銃(やみおうじゅう)と両肩キャノンの銃口が黒い魔力を帯びていく

 

「一気に高密度の魔力を撃ちますか。しかし、それで私の『追憶の鏡(ミラー・アリス)』は破れませんよ?」

 

「そいつはどうかな!くらえェッ!」

 

3つの魔力の帯が椿姫と憐耶に向かっていくが、椿姫は直ぐ様『追憶の鏡(ミラー・アリス)』を出現させる

 

「『追憶の鏡(ミラー・アリス)』、跳ね返しなさい!」

 

「残念!曲がれェッ!」

 

新の意思が通じた様に放たれた黒い魔力の帯が『追憶の鏡(ミラー・アリス)』を避けて椿姫と憐耶に向かう

 

「――――こんな事がっ!?」

 

「あっ――――またエッチな予感が……」

 

予想だにしなかった銃撃に椿姫と憐耶は対処出来ず、黒い魔力に飲み込まれてしまった

 

新が行った銃撃の軌道変化にシトリー眷属及びモニタールームにいる大半が驚愕した

 

黒い魔力が消えると、椿姫と憐耶の衣類も全て消えていた

 

「――――っ。きゃあっ!まさか、こんな隠し球を……撃った魔力を曲げるなんて……」

 

「練習した甲斐があったぜ。一直線じゃ、カウンターで簡単に跳ね返されちまうから、どうしても変則的な動きを加えたかったんだ」

 

「それにしても……女性を裸にする様な行為をやめるつもりは無いのですか?」

 

「これじゃあ服がいくらあっても足りないよぉ……っ」

 

「やめるつもりはねぇよ?これが俺だからな。あんたらみたいに綺麗で良い体を拝むのに必要だし」

 

性欲に忠実な新の言葉に椿姫と憐耶は頬を朱に染める

 

「……エッチ」

 

「副会長!これに着替えてください!」

 

由良と巡が駆け寄って椿姫と憐耶に代わりの服を差し出す

 

2人は服を受け取り、椿姫は何やら熱を帯びた視線で新を見つめる

 

「ん?どうした?」

 

「……ッ!い、いえ……何でもありません。あまりジロジロ見ないで……恥ずかしいから……」

 

 

―――――――――

 

 

そして迎えた第4試合

 

新の最後の相手は匙

 

ハッキリ言って強敵である事は間違いない

 

黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)』ヴリトラの魂を宿した神器(セイクリッド・ギア)4つを全て結合し、ヴリトラの意識を覚醒させている

 

更にソーナのキスが賞品になっている―――――厳密には、セラフォルーの独断で賞品にされている故、匙にとって絶対負ける訳にはいかない試合である

 

「竜崎……お前には絶対に負けねぇぞ。会長のファーストキスを奪われてたまるか」

 

「言うようになったな?チェリーの童貞。悪いが勝負は勝負だ。こっちも殺す気でいかせてもらうぜ。死んでも恨むなよ?」

 

「第4試合、始め!」

 

グレイフィアの合図と同時に匙は『女王(クイーン)』に『プロモーション』し、新も『進化する昇格(エボルシオン・プロモーション)』で最凶の『女王(クイーン)』形態――――『闇皇(アーク・カイザー)()極限破滅女帝(オーバーカタストロフ・エンプレス)』になった

 

新は挨拶代わりに右腕を横薙ぎに振る

 

風圧と衝撃が匙及び後ろにいたシトリー眷属を襲う

 

「きゃあっ!え、服が切れてる!?」

 

「片腕を振り下ろしただけでこの衝撃……!?彼のスペックはいったいどこまで上がると言うの……!?」

 

匙は腕にラインを束ね、交差させて防ぐが……勿論無傷で済む訳が無い

 

初撃で匙の両腕は既に血に染まっていた

 

「ぐうぅぅっ……!いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

「どうした匙。今のはただの衝撃波だぜ?こんなんで倒れる奴じゃねぇだろ」

 

「あ……当たり前だッ!」

 

匙の足下に黒い炎が出現し、新の足に絡み付く

 

「こいつは――――熱くはねぇが、動きを封じる炎だったよな?」

 

「ああ、そうだ!こいつもオマケでくらえ!」

 

匙の左腕からラインが伸び、新の右腕に絡まる

 

これは『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』の能力だろう

 

「動きを封じた上で、お前の魔力を根こそぎ奪ってやる!」

 

「言ったな?何があっても離さねぇんだな?」

 

挑発的な言動の後、新は全身から凶悪なオーラを発した

 

魔力を吸い取るラインが繋がっている状況でこの行動は一見すれば自殺行為に等しい筈……

 

「ああ!このラインは死んでも離さな――――ぐっ!?がぶあぁっ!」

 

突然、匙が苦しみを訴えながら血を吐き出す

 

何が起きたのかさっぱり理解出来ない面々

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!な、何なんだこの力は……っ!?体が、爆発しそうだ……ッ!ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

匙は思わずラインを切り離して腕を押さえる

 

よく見ると、左腕に無数の傷が浮かび上がって血が滲み出ていた

 

「匙、確かにお前の『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』は強力だ。相手の力を吸い取る能力、この炎もかなり強い。けどよ、物事には限度ってもんがある。お前は勝つ為に俺の魔力を吸い取ろうとしたんだろうが、この『女王(クイーン)』形態は悪神(あくしん)ロキを一方的に倒しちまった力だ。いくら吸い取ろうとしても、肉体が耐えられなきゃ意味を成さねぇ。お前の肉体が俺の魔力に耐えられなかったんだろうな」

 

新は両肩の銃口を炎に向け、吸収の魔力で炎を吸い込む

 

左腕を(かざ)し、装着している盾が凄まじい音を立てながら回転し始める

 

「オォォォォォォォオッ!」

 

新がそのまま左拳を突き出すと、回転している盾から炎の竜巻が発生して匙を飲み込んだ

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

竜巻の中で不規則に飛ばされる匙

 

上昇してから一気に降下し、炎の竜巻は匙ごと地面に激突した

 

やがて炎の竜巻が止み、(えぐ)り掘られた地面と血まみれでボロボロの匙が中で横たわっていた

 

「……がはっ!ゴホゴホッ!な、なんてパワーだよ……!兵藤と、レベルが全然違う……!」

 

「どうする?まだ続けるか?」

 

「お、俺は……俺は!会長の『兵士(ポーン)』なんだ!冥界での一戦で、赤龍帝(せきりゅうてい)の兵藤をリタイヤに追い込めた!ライバルの兵藤と並ぶ事が出来たんだ!次は――――竜崎!今度はお前を超えてみたい!お前とも並んでみたいんだ!だから――――まだ倒れたくない!」

 

匙は激痛に苛まれている全身を起こして黒い炎を拳に纏わせる

 

新は匙の決意を受け止め、拳を握り締めた

 

「いくぞぉぉぉぉぉっ!竜崎ィィィィィィィィィィィィィィィィッ!」

 

ドガアァッ!

 

匙の黒い炎を纏った拳が新の顔面にヒットする

 

新は拳を握り締めたまま、1歩も動かずに匙の拳を受けた

 

その一撃は鎧を通り越して生身に響き、兜の隙間から血が垂れる

 

「……良いじゃねぇか。強い拳で」

 

「竜崎……?なんで避けようともしなかった!?」

 

「本気で打ち出す拳を避けたら失礼だと思ったからだよ。昔はそんな事、微塵も考えてなかったけどよ……。一誠からお前との話を聞かされたら、避ける訳にはいかねぇよ。だが――――俺の拳はもっと痛いぜ?しっかり受け止めろォッ!」

 

新は匙の顔面に拳を打ち込み、匙は壁に深くめり込んでしまった……

 

これで新の勝利が確定した……誰もがそう思った時――――

 

「ま……まだ、まだ……ッ!」

 

壁から抜け出し、フィールドに降り立つ匙

 

彼はまだ戦意を消していなかった……

 

顔中から血が流れ落ち、足取りは覚束(おぼつか)ない

 

何より……彼の眼は鋭く真っ直ぐに新を捉えていた……

 

そしてその場を駆け出し、握り締めた拳を突き出してくる

 

「竜崎ィィィィィッ!」

 

「何だ、匙?」

 

「1つ聞かせろッ!お前は――――(あるじ)さまのおっぱいを揉んだのかッ!?女の人のおっぱいはマシュマロみたいに柔らかいのかッ!?女の人の体は崩れないプリンの如くと言うのはマジなのかッ!?」

 

突然飛んできた変な質問に新は吹きかけるが、「あぁ、マジだ」と答える

 

匙は攻撃の手を休めず吼えた

 

「ちくしょぉぉおおおおおおっ!お前らはいつもそうだ!兵藤はアーシアさんのおっぱいを揉んだって言うし、竜崎は主さまだけじゃなく学園中の女子のおっぱいを揉んだって聞かされてよぉぉおおおおおおっ!」

 

「……何か話に尾ビレ背ビレ付いてねぇか?」

 

匙はラインをフィールドのブロックに接続し、力の限り振り回す

 

一斉に向かってくるブロックに対して、新は右足に翼型のオーラを纏い――――蹴りで粉砕した

 

粉々になったブロックの雨が降り注ぐ中、匙が突っ込んで黒炎の拳を新の腹に打ち込む

 

新は込み上げてきた血の塊を吐き捨てた

 

「俺だって、俺だって揉んでみたいんだよぉぉおおおおおおっ!乳房すら見た事無いんだぞ!乳首なんて一生拝めるか分からないんだ!それを!それをお前らは自由気ままに見やがってぇぇぇぇぇぇぇっ!同じ時期に『兵士(ポーン)』になったってのに……なんでこうも違うんだよぉぉおおおおおおっ!」

 

「自由気ままにって……さっきのは?」

 

「見えなかったんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!皆に目を塞がれて見えなかったんだよぉぉおおおおおおっ!」

 

嫉妬やら羨望やらを交えた魂の叫びを発する匙は遂に悔し涙を垂れ流す

 

「でもな!1番はおっぱいじゃない!先生だ!先生なんだよ!俺は先生になるんだ!先生になりたいんだ!その為に俺は兵藤に勝った!夢に1歩踏み出せたんだ!次は!次はお前に勝ちたい!お前に勝って!もう1歩踏み出すんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

自身の夢を吠え続ける匙

 

彼の尋常ならざる覚悟を理解した新は左腕の盾を捨て、オーラを高める

 

「そこまでの覚悟を聞かされた以上、俺もそれに応えねぇとな」

 

冷徹な声音の直後、新は『闇皇紋章(エンブレム)』を発動した

 

地面を滑るように匙の背後へ移動し、匙を引き寄せ拘束する

 

赤黒い電撃をその身に浴び、苦痛に表情を歪ませる

 

その間、新は右手に赤いオーラを集めて構える

 

「こいつは俺からの敬意だ。しっかり受け止めろォッ!」

 

新は地面を蹴ってその場を駆け出し、オーラの(たぎ)った拳に力を入れる

 

距離が近付いた瞬間、反発の力で匙の体を前方に飛ばした

 

「――――ヘル・クラッシュッ!」

 

ドゴォッ!

 

新の強烈な拳打が寸分の狂い無く匙の腹に深々と食い込んだ

 

匙は後方に思いっきり吹き飛ばされ、再び『闇皇紋章(エンブレム)』に叩き付けられる

 

「が……ッ!」

 

今の匙はもはや戦える状態ではない……

 

肋骨は砕け、指や腕はあらぬ方向にねじ曲がり、歯も足も折れている……

 

そんな状態になっても匙は諦めの色を微塵も出さなかった……

 

これには流石の新も畏怖せざるを得ない

 

「……やれやれ、恐ろしい気迫だな」

 

最後の一撃とばかりに新は両足に大質量のオーラを(たぎ)らせる

 

翼型のオーラを纏った凶悪な蹴りが匙に狙いを定めた

 

「――――バースト・エンドォォォォォォォォォォォォッ!」

 

ミサイルの如く飛び出した新の両足は匙の腹に直撃

 

そのまま連続で蹴りを食らわせ続け、紋章を破壊しながら壁に大激突した

 

明らかにやり過ぎとも取れる攻撃に言葉を失う面々

 

立ち込める粉塵が晴れると……まず新が姿を見せた

 

沈黙したままゆっくりと歩き去っていく

 

「匙、それが俺からの激励だ。本気で夢を叶えたいなら、本気で俺を超えてみたいと思うなら――――もっと強くなれ」

 

匙に労いの言葉を贈る新

 

その言葉が聞こえていたのか、匙はボロボロになりながらも真っ直ぐな眼で新を捉え続けた……

 

「ソーナ・シトリー様の『兵士(ポーン)』、戦闘不能!竜崎新の勝利です!」

 

 

――――――――――

 

 

「ソーナ会長、セラフォルー様」

 

「竜崎くん……」

 

新は試合終了後、匙が運び込まれた医療ルームの前でソーナとセラフォルーに出くわす

 

最凶の『女王(クイーン)』形態で鬼畜を通り越した攻撃を打ち込んでしまったから相当なダメージになっている筈

 

心配で様子を見に来たのだった

 

「それで、匙は?」

 

「今は眠っています。2、3日安静にすれば直に目が覚めるそうです」

 

「そっか……。すまねぇ事をしちまった……。あれ、ただの虐殺にしか見えなかったろ?」

 

「いえ、今サジはとても安らかな表情をしていました。竜崎くんが自分の出した本気に応えてくれたのが、嬉しかったのでしょう」

 

ソーナが微笑む

 

新も匙の様子を聞いて安堵した

 

「ねぇねぇ、ソーナちゃん♪忘れてな〜い?新くんとのチュー☆」

 

『あ………』

 

セラフォルーの言葉で2人は忘れていた事を思い出してしまった

 

―――優勝賞品、ソーナとのキス―――

 

「ソーナ会長、嫌なら別に――――」

 

「い、いいえ!サジだって竜崎くんと本気でぶつかったのですから……!わ、私も……んちゅ……」

 

ソーナは顔を真っ赤にして新の両頬を押さえ、唇を合わせた

 

「んっ……んちゅ、ちゅぱ……くちゅるっ、ちぅ……」

 

初々しいキスではなく、舌を絡めるキスに新は興奮してソーナの水着のブラを外す

 

「ひゃんっ……!ダ、ダメよ竜崎、くん……キスだけって……!ぁんっ……」

 

「あ、悪い。つい興奮して……」

 

「……本当に竜崎くんはエッチですね」

 

「う〜っ、ソーナちゃん大胆!私だって、んちゅ〜っ☆」

 

セラフォルーも新とキスを交わし、口内で舌を絡める

 

「ちゅむ……んちゅぱ……くちゅっ、はむっ……ぢゅう……はぁ〜、新くんとのチュー……気持ち良い。クセになっちゃう☆」

 

「良いんすか?セラフォルー様まで」

 

「良いの良いの♪私だって新くんとチューしたかったもん☆」

 

「ハハッ……そうすか。まぁ、キスは貰ったんで失礼」

 

新は一礼してからその場を去っていった……

 

「ねぇ、ソーナちゃん。キスしたから今度は新くんとエッチしちゃう?」

 

「……ッ!お姉さま!?何を―――――」

 

「好きになっちゃったでしょ?新くんの事☆お姉ちゃんなんだから、それくらい分かるよ☆」

 

「……はい。私は彼が―――――竜崎くんが好きです」

 

「やっぱり♪新くんって節操無いけど、時々優しいから惚れちゃう娘もいるよね〜☆」

 

 

――――――――竜崎家

 

「ちゅむ……ちゅぱちゅぷぅ……っ、はむ……れろぉ……。はあ……、朱乃、交代よ」

 

「ちゅぷるっ、ちゅむ……れろぢゅぅ……ちゅぱくちゅ、れろぉ……うふふ、新さん?まだまだキスしてくださいね?」

 

「リアスさん、朱乃さん……そろそろ口が痛くなってきたんすけど……」

 

「休憩は認めないわよ?」

 

「やーですわ。ソーナ会長とキスした分以上のキスをしないと気が済みませんわ」

 

「新、私もキスするぞ……ちゅむ、ちゅるっ……ちゅぱぁ……ぁふ……ちゅぷぴちゃ……じゅるるっ」

 

新はリアスと朱乃とゼノヴィアから寝るまでキスをされ続け、翌朝に唇が筋肉痛を起こしたと言う……


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