ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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こだわりVS熱意

放課後のオカルト研究部にて

 

新は休日に遭遇した闇人(やみびと)について、グレモリー眷属+イリナに話をしていた

 

あれ以来、異形の闇人(やみびと)は駒王学園周辺のあちこちで出没し、次々と人を襲っている

 

女性の場合は衣類を、男性の場合は魂を抜き取っているらしい

 

「なんて素晴らし――――いや、許せない野郎だ」

 

「一誠、いくら素晴らしくても相手は闇人(やみびと)だぜ?出現ポイントをまとめてみた。駒王学園周辺の公園や路地裏に廃工場跡など、主に人気の少ない場所に出没している」

 

新は地図を広げ、出現ポイントに赤ペンで印を付ける

 

「次に出現するポイントを予想して、そこに囮を仕掛けるっての1番効果的だと思うんだが……」

 

「女性だと警戒が薄いけど、脱がされるから……ね」

 

リアスが考え込む

 

確かに出現ポイント周辺に女性を配置するのは危険が大き過ぎる

 

しかし、これ以上犠牲者を増やす訳にはいかない

 

やむを得ない選択を迫られていた

 

「……決めた。私が囮になるわ」

 

「ぶ、部長が!?」

 

なんとリアスが自ら囮役に立候補してきた

 

あまりに予想外の展開故に一誠どころか、新さえも驚いた

 

「リアス、良いのか?こう言うのはギャスパーが適役だと思うんだが」

 

「そうですよ部長!仮にギャスパーが脱がされても痛くも痒くもありません!」

 

「ひ、酷いですぅぅぅ!ぼ、ぼ、僕が裸にされても良いだなんてぇぇぇ!も、もしかして……僕のお胸を見たいんですか!?」

 

「「誰が男の裸で喜ぶかッ!」」

 

息ピッタリのツッコミを終えた所で再びリアスが話を切り出す

 

虎穴(こけつ)()らずんば虎子(こじ)を得ずよ。誰かがやらないと、どんどん犠牲者が増えていくわ。何より、私達の町で好き勝手しているのが許せないの。異存は無いわね?」

 

「怖ぇな。流石は『(キング)』様」

 

 

―――――――――

 

 

すっかり日没になった時刻

 

リアスは闇人(やみびと)が出没したポイントを巡回し、新達は隠れて尾行する

 

通信機で連絡を取り合い、闇人(やみびと)が出現したら一気に討伐する手筈である

 

そして人気が少ない公園に差し掛かった時―――――奴が現れた

 

「そこのお姉さん。掃除機は如何ですか?今なら9800円とお買い得ですよ」

 

「間に合ってるわ。それに、闇人(やみびと)と商談する気分じゃないの。出てきて」

 

リアスの呼び掛けで新達が闇人(やみびと)の前に現れる

 

闇人(やみびと)は見回すと、後ろを向いて誰かを呼び掛けた

 

「面倒臭い事になりましたよ、ストレイグさん。悪魔達が出てきちゃいました」

 

「構わねぇよ。寧ろ、出てきてくれた方が実験データを多量に採取出来る」

 

暗闇の中から白い体躯を持った闇人(やみびと)が姿を見せる

 

その正体は『チェス』の『ポーン』、ストレイグ・ギガロプスだった

 

「……ッ!君は冥界のパーティで会った闇人(やみびと)……」

 

「おぉ、あん時の偽善を語った『騎士(ナイト)』か。知らねぇ奴もいるだろうから、教えといてやる。俺は『チェス』の『ポーン』をしているストレイグ・ギガロプス。現役の殺し屋ってところかな?」

 

「やっぱり『チェス』が絡んでやがったか。何が目的なんだ?」

 

新が訊くとストレイグは魔銃(マガン)をくるくる回しながら答える

 

「さぁな。俺は神風から魔銃(マガン)を使いまくる様に言われただけ。強いて言えば、データ採取だな」

 

「その為だけに女の子達を裸に――――ゲフンゲフン!人を襲ったってのか!」

 

「俺は闇人(やみびと)だぜ?人間や他の種族を痛め付けて何が悪い。理由も必要ねぇだろ。それとも、納得する理由を言ってくれなきゃ嫌だってか?あぁ?」

 

ストレイグは嘲笑の目を向けながら平然と言う

 

「……狂った思想ね」

 

「狂ってんのはお前らとこの世界だ」

 

ストレイグは(てのひら)から氷柱(つらら)を数本出し、それらを空へ放り投げて魔銃(マガン)で撃ち抜く

 

撃ち抜かれた氷柱(つらら)禍々(まがまが)しい闇人(やみびと)に変貌して地上に降り立った

 

「――――ッ!あれは確か、対象を闇人(やみびと)に変異させる銃……」

 

祐斗が憎々しげに言うと、ストレイグは魔銃(マガン)を見せつける

 

「あぁ、神風(かみかぜ)が改良を加えたのさ。今までは生物しか闇人(やみびと)に転生出来なかったが、今度は無機物も闇人(やみびと)に転生させられるんだよ。因みにこの魔銃(マガン)を使って転生させた闇人(やみびと)は力だけなら上級悪魔レベルだ。精々死なずに遊んでやってくれよ?」

 

ストレイグは闇人(やみびと)と言う置き土産をして、この場から消えた

 

新は闇皇(やみおう)、一誠は禁手化(バランス・ブレイク)となって戦闘準備に入る

 

「やれやれ、戦いますか。まぁ良いでしょう。どうせ我々の邪魔をする気でしょうから、今の内に―――――――おぐっ」

 

ドガアァァァァァァンッ!

 

機械の闇人(やみびと)が何らかの攻撃で地面を抉る様に吹っ飛ばされた

 

その正体を確認すると、デュランダルを振った後のゼノヴィアが視界に入る

 

「先手必勝だ」

 

「「ロケットスタート過ぎんだろッ!」」

 

新と一誠の同時ツッコミが炸裂

 

しかし、闇人(やみびと)は前面が少し(へこ)んでいるだけで大きなダメージにはなっておらず、ノズルを杖代わりにして起き上がった

 

「……話をしている途中で攻撃を仕掛けるなんて、マナー違反ですよ。よくも邪魔をしてくれやがりましたね……ぶっ殺しますよ?」

 

冷静な口調に怒りが混ざる

 

闇人(やみびと)から魔力の塊が放たれたのを合図に戦闘が始まった

 

「一誠!俺とコンビであの掃除機を殺るぞ!」

 

「分かった!」

 

グレモリー眷属+イリナは氷柱闇人(つららやみびと)、新と一誠は掃除機闇人(やみびと)の方へ向かう

 

「部長やアーシアのおっぱいをてめぇなんかに見られてたまるか!」

 

一誠は拳を突き出すが、闇人(やみびと)はノズルで払う様に回避して、そのまま左側頭部を打ち抜く

 

体勢を崩された一誠はよろけ、刃物と化したノズルが襲い掛かる

 

「させっかよ!」

 

新はノズルを蹴り上げ、その隙に一誠が腹部に拳を打ち込む

 

「ぐぬぅ……!やりますね。なら、これはどうですか!」

 

「二刀流!?」

 

ノズルが双剣に分かれ、右の剣が新、左剣が一誠の腕に切り傷を付けた

 

一旦距離を取った2人の腕から血が(したた)り落ちる

 

「チッ、遠近両用の武器かよ。掃除機のくせに厄介だな」

 

「舌打ちをしたいのはこちらの方ですよ。まったく、女性を脱がしているだけなのに、何故邪魔をするのか微塵も理解出来ません」

 

「ふざけんな!女の子を裸にするのは俺の専売特許なんだぞ!」

 

一誠の最低な発言に、新は他人事では無いので苦笑するしかなかった

 

すると、闇人(やみびと)がこんな事を一誠に訊いてくる

 

「では訊きましょう。あなたは女性を裸にする技などをお持ちですか?」

 

「当たり前だ!俺が編み出した技、『洋服破壊(ドレス・ブレイク)』は女の子が身に着けている物なら何だって消し飛ばす!こいつを使えば女の子の裸が見放題!どうだまいったか!?」

 

「イッセー、敵に自慢する技じゃないでしょう……」

 

リアスが氷柱闇人(つららやみびと)に滅びの力を撃ちながら嘆息する

 

一誠の熱弁を聞いた掃除機の闇人(やみびと)は、バカにする様な笑い声をあげた

 

「では質問を変えましょう。その技を使わずに、女性を裸にする場合はどうしますか?」

 

「えっ?そ、それは……まず上着を脱がして、次にスカート→靴下→ブラを取っておっぱいを拝み、最後にパンツだ!」

 

「一誠、自分の性癖を暴露して恥ずかしくねぇのか?ま、俺も脱がすの大好きだが」

 

「なるほど、あなたは全裸が好きなのですか。『同志』と言いたいところですが――――(こだわ)りが浅いですね」

 

「何だと!?ブラジャー→パンツを脱がすのが基本だろ!」

 

「脱がす順番ではなく、“脱がした後”がですよ。確かに女性の全裸は美しいですが、それだけに(こだわ)っていては未熟なんですよ。ホッ」

 

ズイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!

 

掃除機闇人(やみびと)のノズルが吸引を始める

 

狙いは―――――アーシアだった……

 

アーシアのパンティと靴下以外の衣類は全て吸い込まれ、アーシアの乳房(おっぱい)が丸見えとなった

 

「いやっ!」

 

「アーシア!今日も良いおっぱいですッ!」

 

アーシアはすぐに胸を隠し、直視した一誠は鼻血を噴く

 

掃除機闇人(やみびと)は恥じらうアーシアを指差しながら、何やら説明を始めた

 

「見てみなさい。恥ずかしがって胸を隠すと、おっぱいが寄せられて更なるボリュームを増すのです。小さくても大きくてもおっぱいの魅力がアップします。更にパンティは言わば、人格の象徴。彼女の純白の下着は清純さを表しています。女性によって下着は千差万別、十人十色(じゅうにんといろ)です。清純さから色っぽさ、幼さにワイルドさ、下着1枚でその全てを知る事が出来ます。そして靴下、これを残す事で女性の脚線美を極限まで引き立てるのです。全裸にも魅力があるように、パンティと靴下を残してこその魅力も見えてくると言う訳なのですよ。がっついて全裸にするのは男性として、まだまだ未熟な証拠です」

 

掃除機闇人(やみびと)の演説が終了する

 

パンツ+靴下着用の魅力を思い知らされた一誠はワナワナと震え出す

 

「パ、パンティと靴下を残してこその魅力……!?た、確かに今のアーシアは全裸の時より可愛く見えてしまう……!手で隠して寄せられたおっぱいもボリュームが増しているし、靴下が只でさえ綺麗なアーシアの脚を、更に綺麗に魅せている……!ま、負けた……!俺は浅はかな男だったのか……」

 

「イッセー!?どうして落ち込んでるの!?」

 

「クソッ!この掃除機、女の裸に対する答弁だけで一誠の心を折りやがった!かなりデキるぞ!」

 

「ええっ!?そうなの!?

 

部の中で比較的常識人な祐斗も流石に目が飛び出す程驚き、一誠の鎧の宝玉が徐々に輝きを弱めていく

 

神器(セイクリッド・ギア)は所有者の想いの強さで威力を増すのだが、一誠は心を折られてしまって力を発揮出来ず、立ち直れずにいる

 

掃除機の闇人(やみびと)は追い討ちをかける様にノズルを女性陣に向けた

 

「あなたをパンティと靴下着衣の魅力に沈めてあげましょう」

 

ズイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!

 

広範囲を巻き込む吸引が発生し、氷柱闇人(つららやみびと)を倒し終えたリアス、朱乃、小猫、ゼノヴィア、イリナ、ロスヴァイセのパンティと靴下以外の衣類が全て吸い込まれた

 

「――――あっ」

 

「あらあら」

 

「……変態!」

 

「んっ?」

 

「イヤァッ!エッチ!」

 

「きゃあっ!ま、また……!」

 

眼前に広がるパンティと靴下を残された女性陣の裸体市場

 

一誠はそれを見て鼻血だけでなく、口からも血を吐き出した

 

「ゴブアァッ!」

 

「おぉいっ!?そこまでダメージ!?」

 

新も驚愕してしまい、一誠の鎧が徐々に解除されていく

 

「ダ、ダメだ……女の子の裸に対するこだわりが違い過ぎる……!」

 

「気を落とすな一誠!お前はそんな簡単に諦める男じゃねぇだろ!?」

 

「無駄ですよ。パンティと靴下着衣の魅力を思い知った彼は、2度と立てないでしょう。女性の裸に対する(こだわ)りと魅力に気付けなかったのが、彼の敗因です。さて、そろそろ魂を抜き取ってしまいましょうか」

 

闇人(やみびと)が吸引ノズルを一誠に向けて歩み寄る

 

新は自分がやるしかないと剣を取り出して切っ先を向けた

 

「イッセーさん!負けないでください!」

 

背後から飛んでくる激励

 

アーシアが恥ずかしがりながらも一誠に声援?を送っていた

 

「イッセーさん!自分を見失わないでください!もっと自信を持ってください!」

 

「ア、アーシア……」

 

アーシアの激励を受けた一誠は自分を取り戻し、鎧を修復させながら立ち上がる

 

「……そうだ。アーシアの言う通りだ。相手のこだわりがどうであろうと、俺は俺のこだわりを貫く!俺は―――――女の子を脱がす時は全裸が良いんだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

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一誠の想いに宝玉が輝きを放ち、何重にも音声を響かせる

 

闇人(やみびと)は膨大な魔力を察して後退し、吸引ノズルを向ける

 

「立ち直ってしまいましたか。しかし、私の吸引力を侮ってはいけません。如何なる力でも吸い込んであげましょう!」

 

「くらえぇぇぇっ!ドラゴンショットォォォォォォォォォォォォォッ!」

 

ズバアァァァァァァァァァァァァァァァンッ!

 

一誠の手から高密度のドラゴンショットが撃ち放たれる

 

闇人(やみびと)は負けじとドラゴンショットを吸引していく

 

「イッセーのドラゴンショットを吸い込んでいる!?」

 

「なかなか高密度の魔力ですね。ですが、私のサイクロンジェットクリーナーで見事に吸いきってみせましょう!」

 

「負けてたまるかァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

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一誠は籠手の音声を更に響かせ、ドラゴンショットのパワーを極限にまで倍増させた

 

次第に闇人(やみびと)が背中に背負っている貯蔵タンクに亀裂が入っていく

 

「……っ!?バカな!私のタンクが許容量を超えようとしている!それ程までに、彼の女性の裸に対する(こだわ)りが強さを取り戻したと言うのですか!?」

 

タンクの亀裂が広がり、ドラゴンショットの勢いは衰えないどころか、どんどん倍増していく

 

「いっけェェェェェェェェェェェェェェェェッ!」

 

気合いと共にタンクが崩壊し、闇人(やみびと)は赤い閃光に包まれていった……

 

ドラゴンショットが止み、一誠は鎧を解除する

 

僅かな肉体だけとなった闇人(やみびと)が一誠を見上げる

 

「どうやら、私の(こだわ)りよりもあなたの熱意の方が上だった様ですね……完敗ですよ」

 

「あんたも強かったし、良いこだわりを持っていたぜ」

 

「ククッ、あなたの様な人には、もう少し違う形で会いたかったですよ……。最後に1つだけ、下着姿の女性を脱がす時……ブラジャーから取りますか?」

 

「ああ、俺はブラジャー→パンツ派だ」

 

「……私もですよ。『同志』」

 

サー………

 

最後の(こだわ)りを伝えた闇人(やみびと)は砂と化した

 

一誠はその砂に合掌する

 

「……強かったな、こいつは」

 

「あぁ、そして後ろの皆は大体こう思ってるだろう。酷い戦いだったと……」

 

一誠の中で新しい友情が芽生え、闇人(やみびと)に抜き取られた魂は元の持ち主に戻り、事件は無事解決した


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