「おっぱいメイド喫茶希望です!」
「却下」
一誠が出した意見はリアスに見事却下される
この日の部活動は学園祭で催す予定の出し物についてだった
なかなか決まらず、新はイベントなどの催しを考えるのは若干苦手なので、壁にだらしなく
部室の隅でお茶を飲んで会議を静観していたアザゼルが、外の夕暮れを見てボソリと呟く
「……黄昏か」
それを聞いた皆は真剣な面持ちになった
部活終了のチャイムが学園中に鳴り響く
「
『はい!』
「おう!」
アザゼルの言葉に新達は気合いを入れ、決戦の時を迎える
――――――――――
決戦の時刻となった夜
グレモリー眷属はオーディンと日本の神々が会談すると言う都内のとある高級ホテルの屋上にいた
周囲のビルの屋上にはシトリー眷属が各々配置についているが、匙だけはまだ来ていなかった
グリゴリの研究施設で特訓をしているらしい
アザゼルは会談での仲介役のため、オーディンの側におり、その代わりにバラキエルが新達と同じく屋上で待機
ロスヴァイセも既に鎧姿でいる
上空にはタンニーンとワイバーンに乗った渉達が、普通の人間に視認されない術を施して待機中
ヴァーリ達は少し離れた所で待っている
作戦はロキを二天龍とミョルニルを使える新で相対し、フェンリルはグレモリー眷属とヴァーリチーム、渉チームでグレイプニルの鎖を使って動きを止めてから撃破する
1番の決め手であるミョルニルを撃ち込めば倒せる
新は腰にロキ対策必須の武器をぶら下げていた
「――――時間ね」
リアスが腕時計を見ながら呟く
会談がスタートし、後はロキが来るのを待つのみとなった
「小細工なしか。恐れ入る」
ヴァーリが苦笑した直後、ホテル上空の空間が歪んで大きな穴が開いていく
歪みから姿を現したのは|悪神ロキとフェンリル
真正面から、しかも堂々と出てきた
「目標確認。作戦開始」
バラキエルが通信機を通してそう言うと、巨大な結界魔方陣が展開される
ロキは不敵に笑み、抵抗を見せないでいる
やがて、新達は光に包まれ―――――目を開けると、そこは岩肌ばかりの広大な土地だった
戦場となる場所は古い採石場跡地で、現在は使われていない
前方にロキとフェンリルを確認したところで、新は
一誠は
「逃げないのね」
リアスが皮肉げに言うとロキは笑う
「逃げる必要は無い。どうせ抵抗してくるのだろうから、ここで始末した上であのホテルに戻れば良いだけだ。遅いか早いかの違いでしかない。会談をしてもしなくてもオーディンには退場していただく」
「貴殿は危険な考えにとらわれているな」
「危険な考え方を持ったのはそちらが先だ。各神話の協力などと……。元はと言えば、聖書に記されている三大勢力が手を取り合った事から、全てが歪み出したのだ」
「話し合いは不毛か」
バラキエルが手に雷光を纏わせ、10枚もの黒き翼が展開していく
『
『
一誠は
二天龍と
「これは素晴らしい!二天龍と
「ほざいてろ、すぐに墓場に輸送してやる。『
新は
ヴァーリも光の軌道をジグザグに生みながら高速でロキとの距離を詰めていき、一誠も負けじと背中のブーストを噴かす
「赤と白に
ロキは喜びながら魔方陣を展開し、魔術の光を幾重にも放出した
新は神速の槍で貫き、ヴァーリは飛び回って全攻撃を回避
一誠は攻撃をものともせず詰め寄る
『
バリンッ!
一誠の拳打でロキを覆う魔方陣が消滅し、ヴァーリが上空からあり得ない質量の魔力を溜める
「とりあえず初手だ」
ヴァーリの手から発射された北欧魔術らしき攻撃
一誠は瞬時にその場を離れる
攻撃が止んだ後、ロキがいた場所には底の見えない穴が開いていた
「あっぶねぇぇぇっ!この威力が初手かよ!一撃が半端ねぇ……」
「ふはははは!」
高笑いが聞こえてきた方向を向くと、ローブのみがボロボロになったロキが宙に浮いていた
「ヨ◯スケ参上ッ!」
「ぬぅっ!?」
ザシュッ!
縦横無尽に神速移動していた新が、赤い魔力を注いだ槍でロキの死角から背中に傷を付けた
傷を付けたと言っても、精々5センチ程度で大きなダメージには至らない
「ふむ、二天龍も危険だが……やはり
「そりゃどうも。今のは挨拶みたいなもんだ。今度は腹を貫いてやる」
「新!例の秘密兵器は!?」
「おっ、そうだそうだ。すっかり忘れてたぜ」
新は腰に付けていたミョルニルを持ち、魔力を送って
ロキはミョルニルを見て目元をひくつかせた
「……ミョルニルか。レプリカか?それにしても危険な物を手にしている。オーディンめ、それ程までに会談を成功させたいか……ッ!」
「さ〜て、神をも倒せる
背中のジェットを噴射してロキに向かい、ミョルニルを振り下ろした
ドオオオオオオオンッ!
ミョルニルの一撃はロキに避けられ、地面に巨大なクレーターを作っただけだった
「……っ?何だ?雷出ねぇじゃん。おっかしいな……ウンともスンとも言わねぇ」
「ふははは。残念だ。その
「マジで……?俺、心当たりがあり過ぎるわ……あいたたたたた〜」
純粋な心―――――つまり、この場にいる3人にミョルニルは使えないと言う事らしい……
「そろそろ、こちらも本格的な攻撃に移ろうかッ!行け!我が
ロキがフェンリルに指示を出した瞬間、リアスが手を挙げた
「にゃん♪」
それを新、一誠、ヴァーリ以外の仲間達が掴み、フェンリルの方へ投げつける
ダークエルフによって強化された鎖はフェンリルに巻き付いていき、対象物を捕獲した
「景気付けだよ!祐希那!フェンリルを動けなくなる程に凍らせて!アリスはそのサポートを!」
「心得たのだ!水流よ!」
「任せて!『
ドバシャアァァァァァッ!
パキィィィィィィィンッ!
アリスの両手から放たれた水流がフェンリルと周囲を濡らし、祐希那の
神をも殺す狼は巨大な氷の造形物と化した
「――――フェンリル、捕縛完了」
バラキエルがそう言い、新はミョルニルをロキに向ける
「へっ、フェンリルは封じたぜ?後はお前だけだな、ロキ」
「仕方無い。スペックは劣るが―――――出てこい!スコルッ!ハティッ!」
ロキが両腕を広げて叫ぶと、2つの歪みが生じて灰色の獣が2匹出てきた
オオオオオオオオオンッ!
オオオオオオオオオンッ!
「何だと!?フェンリル・ツインズ!?」
2匹の新たなフェンリルにヴァーリ以外の全員が驚きの顔となった
「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて、フェンリルと交わらせた。その結果生まれたのがこの2匹だ。親よりも多少スペックは劣るが、牙は健在だ。充分に神、そして貴様らを葬れるだろう」
「畜生!聞いてねぇよ!ミドガルズオルムもそんな事は言ってなかったぞ!?」
「一誠!文句言ったところでどうにもならねぇよ!」
「さあ、スコルとハティよ!父を捕らえたのはあの者達だ!その牙と爪で喰らい千切るが良いっ!」
ロキが2匹の子フェンリルに指示を出した
1匹はヴァーリチームの方へ、もう1匹はグレモリー眷属の方へ向かっていく
「祐希那!アリス!そっちは任せたよ!フェリス!ロコ!あのフェンリルを止めに行こう!」
「オッケー!」
「了解であります!」
ワイバーンから降りた渉は『
1匹の子フェンリルが牙を向けて噛み付こうとするが、渉の
「おぉい!?子フェンリルの牙を真っ正面から受けたぞ!平気なのか!?」
「心配は無用です。
ズシャッ!
「せーのぉっ!」
ブゥンッ!
ドガアァァッ!
フルスイングされた
その拍子で子フェンリルの口から離れ、空中を回転しながら落ちてきた
「す、すげぇ……!あの化け物と互角に渡り合ってる……!」
「やるじゃねぇか、渉。一誠!俺達も負けてらんねぇぞッ!」
「チッ。なら、ついでだ。こいつらの相手もしてもらおうか」
そう言ったロキの足元の影が広がり、影から体が細長いドラゴンが複数現れる
それを見たタンニーンが憎々しげに吐いた
「ミドガルズオルムも量産していたかッ!」
「マジかよ!しかも5体!」
量産型のミドガルズオルムが一斉に炎を吐くが、タンニーンの火炎で全て吹き飛ばされる
ヴァーリチームとグレモリー眷属も子フェンリル達と死闘を演じていた
バラキエルが極大の
一方で黒歌がもう1匹の子フェンリルの足元をぬかるみに変えて動きを封じ、
そんな時だった……
「きゃあっ!」
「うぐっ!」
「祐希那!アリス!」
量産ミドガルズオルムの1匹が祐希那とアリスを吹き飛ばし、親フェンリルを捕らえている氷と鎖を破壊していく
「マズイ!ここはお願いします!ワイバーン!」
グオォォォォォォンッ!
渉の呼び掛けに応えたワイバーンが祐希那とアリスを掴んで救出
解放された親フェンリルは周りを見渡し獲物を探す
そして風を切りながら移動し―――――――
バグンッ!
「ぐはっ!」
フェンリルの牙が白銀の鎧ごとヴァーリの体を貫いた
「ふははははっ!まずは
「ヴァーリッ!畜生が!」
一誠がヴァーリを救出するべく突貫していくが、前足の爪で鎧を切り裂かれた
「ごふっ!痛えぇぇえ……ッ!」
傷を押さえる一誠
新はすぐに向かいたかったが、ロキが放つ魔術攻撃のせいで救出に行けない
「ふはははは!
「こんのクソ神がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
怒りに震える新と支給されたフェニックスの涙を傷口にかける一誠
ヴァーリはフェンリルに噛まれたまま、新と一誠に話し掛ける
「……兵藤一誠、竜崎新……ロキと、その他はキミと
ヴァーリの言葉を耳にしたロキが笑う
「ふははははははっ!どうやってだ!既に瀕死ではないか!強がりは
「――――
ヴァーリがロキを睨むと同時に、鎧の各宝玉が七色に輝き始めた
「我、目覚めるは――――」
〈消し飛ぶよっ!〉
〈消し飛ぶねっ!〉
「覇の
〈夢が終わるっ!〉
〈幻が始まるっ!〉
「無限を妬み、
〈全部だっ!〉
〈そう、全てを捧げろっ!〉
「我、白き龍の覇道を極め――――」
「「「「「「「「「「
ヴァーリは唱えた
二天龍により封じられし力を………
『