ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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6章編ラストです!


アポカリュプスと暗躍する陰謀

 

「うーん。あれ?何がどうなったんだ?なんで体のあちこちが痛いんだ?」

 

恐慌状態に陥った新が九分九厘落ち着いた後、一誠が目を覚ました

 

記憶がない分は祐斗から説明を受けたが、やっぱり覚えておらず

 

アーシアも無事でゼノヴィアに抱きつかれている

 

「兵藤一誠。無事だったようだな」

 

「ああ、なんだか、世話になっちまったようだな」

 

「ま、たまには良いだろう。それよりもそろそろだ。空中を見ていろ」

 

新と一誠が(いぶか)しげに空を見ていると―――――

 

バチッ!バチッ!

 

空間に巨大な穴が開き、そこから巨大な何かが姿を現す

 

「よく見ておけ、兵藤一誠。あれが俺が見たかったものだ」

 

空中をとてつもなく巨大な生物――――真紅のドラゴンが雄大に泳いでいく

 

「『赤い龍』と呼ばれるドラゴンは2種類いる。1つはキミに宿るウェールズの(いにしえ)のドラゴン――――ウェルシュ・ドラゴン。赤龍帝(せきりゅうてい)だ。白龍皇(はくりゅうこう)もその伝承に出てくる同じ出自のもの。だが、もう1体だけ『赤い龍』がいる。それが『黙示録』に記されし、赤いドラゴンだ」

 

「『黙示録』っつーと、アポカリプスか?」

 

闇皇(やみおう)の言う通り。『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッド。『真龍』と称される偉大なるドラゴンだ。自ら次元の狭間に住み、永遠に飛び続けている。今回、俺達はあれを確認する為にここへ来た。レーティングゲームのフィールドは次元の狭間の一角に結界を張ってその中で展開している。今回、オーフィスの本当の目的もあれを確認する事だ。シャルバ達の作戦は俺達にとって、どうでも良い事だった」

 

「もしかして、あれを倒す事がお前の目標か?」

 

新が訊くと、ヴァーリが真っ直ぐな瞳で言った

 

「俺が最も戦いたい相手―――――『D×D(ドラゴン・オブ・ドラゴン)』と呼ばれし『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッド。俺は『真なる白龍神皇』になりたいんだ。赤の最上位がいるのに、白だけ1歩前止まりでは格好がつかないだろう?だから、俺はそれになる。いつか、グレートレッドを倒してな」

 

ヴァーリは自身の夢を語る

 

テロ組織に身を置いているのもグレートレッドと言うドラゴンを倒すためだった

 

「グレートレッド、久しい」

 

新達のすぐ近くに黒髪黒ワンピースの少女が立っていた

 

「……っ?誰だあのチビッ娘?さっきまでいなかったぜ」

 

ヴァーリがその少女を確認して苦笑した

 

「――――オーフィス。ウロボロスだ。『禍の団(カオス・ブリゲード)』のトップでもある」

 

「なっ!『禍の団(カオス・ブリゲード)』のトップ!?あれがか!?」

 

驚きを隠せない新

 

オーフィスは指鉄砲の構えで撃ちだす格好をした

 

「我は、いつか必ず静寂を手にする」

 

その直後、アザゼルとタンニーンが降ってくる

 

「先生、おっさん!」

 

「おー、イッセー。元に戻ったようだな。新がブチキレてボコボコにするもんだから怖かったが、お前ならあの歌やで『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』から戻るかもなんて思っていた。アーシアの乳を吸いたいって考えで禁手(バランス・ブレイカー)に至った大馬鹿野郎だからな。あの歌の作詞をした甲斐があったぜ」

 

「アザゼル!俺はあの修業ん時以上に殺意が沸いた事はねぇッ!何してくれてやがんだ!俺がどんだけ恥をかいたか分かってんのかゴラァッ!」

 

「スマン新。お前は女に対して色々経験済みなもんでな、名義を勝手に使わせてもらった」

 

新はアザゼルに対して特大の殺意を浴びせた

 

アザゼルとタンニーンは空を飛ぶグレートレッドに視線を向ける

 

「懐かしい、グレートレッドか」

 

「タンニーンも戦った事あるのか?」

 

「いや、俺なぞ歯牙にもかけてくれなかったさ」

 

タンニーンでも相手にならないドラゴン……

 

余程強さがあるのだろう……

 

「久しぶりだな、アザゼル。クルゼレイ・アスモデウスは倒したのか?」

 

「ああ、旧アスモデウスはサーゼクスが片付けた。……まとめていた奴らが取られれば配下も逃げ出す。シャルバ・ベルゼブブの方もイッセーが『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』で片付けたみたいだしな」

 

「お兄さまは?」

 

「結界が崩壊したからな。観戦ルームに戻ったよ」

 

アザゼルがオーフィスに言う

 

「オーフィス。各地で暴れ回った旧魔王派の連中は退却及び降伏した。――――事実上、まとめていた末裔共を失った旧魔王派は壊滅状態だ」

 

「そう。それもまたひとつの結末」

 

オーフィスは特に驚く様子も無く言った

 

1つの派閥が消えたのに痛くも痒くも無いと言った様な感じである

 

「お前らの中であとヴァーリ以外に大きな勢力は人間の英雄や勇者の末裔、神器(セイクリッド・ギア)所有者で集まった『英雄派』だけか」

 

「『英雄派』……。カテレアが教えてくれた組織の名前か」

 

新は以前、アザゼルに連れられてカテレアが投獄されている牢に行き、そこで『禍の団(カオス・ブリゲード)』の情報を聞いていたので、名前くらいは知っている

 

「さーて、オーフィス。やるか?」

 

アザゼルが光の槍をオーフィスに向けるが、オーフィスは(きびす)を返した

 

「我は帰る」

 

どうやら戦う気は無いらしい

 

新と一誠はホッと胸を撫で下ろした

 

闇皇(やみおう)の蝙蝠」

 

「ん?どわっ!?な、何だよ?」

 

オーフィスがいつの間にか新の足元にいて、新を見上げながら言う

 

「『闇皇(やみおう)の鎧』、特異。倒した闇の力、奪い取れる」

 

「倒した闇の力を奪い取る?どういうこった?」

 

新はその意味をさっぱり理解出来なかった

 

そんな新にオーフィスは更に衝撃的な事を言う

 

「気を付ける。『初代キング』、目覚めつつある」

 

『――――っ!?』

 

全員がその言葉に驚愕した

 

『初代キング』とは闇人(やみびと)の王であり、悪魔、天使、堕天使の三大勢力を滅ぼそうとした張本人

 

その邪悪過ぎる存在が封印から解かれようとしているらしい……

 

オーフィスの言葉に真っ先に反応したのはアザゼルだった

 

「オーフィス!それはいったいどういう事なんだよ!あの『初代キング』が封印から解かれるのか!?」

 

「いずれ、分かる」

 

オーフィスは意味深な言葉を言い残して消え去っていった

 

ヴァーリ達も退散しようと聖王剣(せいおうけん)使いが作った次元の裂け目に入ろうとしていた

 

「兵藤一誠。――――俺を倒したいか?」

 

「……倒したいさ。けど、俺が超えたいものはお前だけじゃない。同じ眷属の木場も超えたいし、ダチの匙もダイアンも――――新も超えたい。俺には超えたいものがたくさんあるんだよ」

 

「俺もだよ。俺もキミ以外に倒したいものがいる。闇皇(やみおう)の蝙蝠や闇人(やみびと)の『2代目キング』もそれに入ってる。おかしいな。現赤龍帝(せきりゅうてい)と現白龍皇(はくりゅうこう)は宿命の対決よりも大切な目的と目標が存在している。きっと、今回の俺とキミはおかしな赤白ドラゴンなのだろう。そういうのもたまには良い筈だ。――――だが、いずれは」

 

「ああ、決着つけようぜ。部長のおっぱいを半分にされたら一大事だからな」

 

一誠が拳をヴァーリに向けて言い放った

 

「木場祐斗くん、ゼノヴィアさん。私は聖王剣(せいおうけん)の所持者であり、アーサー・ペンドラゴンの末裔。アーサーと呼んでください。いつか、聖剣を巡る戦いをしましょう。では」

 

聖王剣(せいおうけん)使いが自分の名前を紹介し、先頭で次元の裂け目に入る

 

「やっぱりキミは面白い。強くなれよ、兵藤一誠」

 

「じゃあな!おっぱいドラゴン!闇皇(やみおう)の!それとスイッチ姫!」

 

「なっ!何よその呼び名は!」

 

謎の呼び名―――――スイッチ姫に新は肩をビクッと反応させた

 

「へへっ、良い呼び名だろ!この呼び名は今さっき闇皇(やみおう)と大笑いしていた時に思い付いた名前だ!『スイッチ』は闇皇(やみおう)の、『姫』を付けたのは俺だぜぃ?」

 

ヴァーリと美猴も次元の裂け目へと消えていった

 

新も大事にならない内にその場から立ち去ろうとしたが、リアスと目が合ってしまった……

 

「………新。ちょっと待ちなさい」

 

「マチマセンッ!」

 

新は超ダッシュで逃げる様に―――――と言うか逃げた

 

しかし、それを逃がさない(リアス)

 

「コラッ!待ちなさい新ァァァァァァァァァッ!」

 

「ヒィィィィィッ!怖ェェェェェェェェッ!」

 

リアスが般若の形相―――――もとい、般若その物の顔をしながら魔力込みの足で新を追い掛ける

 

新も足に魔力を注ぎ、リアスを撒くまでリアル鬼ごっこが続いた……

 

オーフィスが言っていた"『闇皇(やみおう)の鎧』は倒した闇の力を奪い取れる"と言う言葉を気にする暇も無いまま………

 

 

―――――――――

 

 

「ヴァーリ、幹部連から連絡入った。シャルバの野郎、瀕死だけど生きてやがったぜぃ」

 

「そうか、美猴(びこう)。何にせよシャルバは急ぎ過ぎた。徹底抗戦を唱え、現魔王派に追放された先人達も急ぎ過ぎた。――――目先の怨恨だけで動くから滅ぶ」

 

「旧魔王派の奴ら、お前さんをトップに入れたいとさ。どうすんの?」

 

「今のポストで充分だと伝えてくれ。これ以上、前魔王の血族としての役職を増やしたくない」

 

「あーあ、旧魔王派、これでほぼ瓦解だわ。他の派閥とか闇人(やみびと)が台頭してくんぜ、こりゃ」

 

「カテレア、クルゼレイ、シャルバ。――――お前達は嫉妬深過ぎだ。誇りある前魔王の血族として生きるのなら、その生き方も誇り高くするべきだった」

 

「で、赤龍帝(せきりゅうてい)んとこの癒しの姉ちゃんを助けた理由は?お前らしくもねぇし」

 

「――――気紛れだ。それだけの事さ」

 

 

―――――――――――――

 

 

「シャルバ・ベルゼブブの策が落ちたよ。白龍皇(はくりゅうこう)ヴァーリも上に立たないってさ」

 

「そうかそうか。『禍の団(カオス・ブリゲード)』旧魔王派は殆ど終わりって事だ。ま、うちのところにいる『絶霧(ディメンション・ロスト)』の使い手が手を抜いたのが悪かったな」

 

「よく言うよ。そう命じたくせに。で、どうする?そろそろ英雄と勇者の末裔の集まりである僕達英雄派も事を起こすかい?――――曹操(そうそう)

 

「さーて、どうするか。――――今は人材集めの方が楽しいんだけどね」

 

「初代と同じだね。でも近い将来必ず動かなければいけなくなるよ。あなたに宿っている物がそれを許さないから。その最強の神滅具(ロンギヌス)――――」

 

「――――『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』か。この矛先にあるのは、()か、それとも――――」

 

「ねーねー、曹操」

 

「どうしたジャンヌ?」

 

「一足先に会いたい子を見つけちゃったの。だからぁ、会いに行っちゃって良いかな?この子♪」

 

「これは……噂に聞いた闇皇(やみおう)の蝙蝠――――竜崎新か。確か竜崎総司の息子だったな」

 

「竜崎総司と言えば、闇人(やみびと)の王である『初代キング』を悪魔、天使、堕天使と共に封印した唯一の人間だったよね?凄いな。彼もある意味英雄と呼ばれる存在だよ」

 

「ジャンヌ。この男がどうかしたのか?」

 

「ふふっ。お姉さん好みの可愛い子なんだもん♪引き込みたいと思わない?」

 

「まぁ、竜崎総司も英雄に近いからな。しかし、珍しいな。お前が男に興味を持つとは」

 

「そうなのよ。お姉さんをこんなにキュンキュンさせたこの子、絶対欲しいわ。………ちゅっ♪」

 

 

―――――――――

 

 

「そうか。『禍の団(カオス・ブリゲード)』と村上京司(むらかみきょうじ)が繋がっていたのか……」

 

「うん。まぁ、村上さんはグレモリーのお姉さん達に殺られちゃったんだけどね。以前からコソコソやってたみたいだよ」

 

「『チェス』の一員が減ってしまったのは痛手だが……村上は欲に走り過ぎた。冷たいかもしれないが、当然の(むく)いだ。欲望しか見てないから身を滅ぼす」

 

「キヒヒッ。正論を述べるね〜『2代目キング』♪」

 

「しかし、『禍の団(カオス・ブリゲード)』旧魔王派が潰れたのも好都合だ。邪魔になりそうな危険因子は1つでも確実に潰していこう。『ビショップ』、いつもの様に人材集めをよろしく」

 

「OK〜♪」

 

スタスタスタ…………

 

「……あ〜あ。ホンッッッッットつまんないよね〜、『2代目キング』のやり方は……。まぁ良いや。アレが『キング』の立場でいられるのも今だけなんだし。やっぱり(おさ)に相応しいのは『初代キング』だよね〜。さ・て・と、封印解読に魔銃(マガン)の改良、それとボク専用の神器(セイクリッド・ギア)製作……忙しくなるかも。キヒヒッ♪」




ようやく6章まで終わりました……。長い……ッ!でもまだまだ半分にも達していません(泣)クジケズガンバルゾー!次回から第7章に突入します!

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