ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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覚醒!赤龍帝の力!

「オラァッ!」

 

 

 

村上が生み出した薔薇人間を片づけていくが、薔薇人間の数は一向に減らない

 

 

 

「無駄だ。『生ける薔薇の死体(リビング・ローズ)』は薔薇のゾンビ。殴ろうが蹴ろうが決して倒れず、斬っても分裂して甦る」

 

 

 

村上は高みの見物をしながらワインを飲む

 

 

 

新や一誠にとっては非常にムカつく光景だ

 

 

 

「くっそぉ!倒しても倒してもキリが無いぞ!」

 

 

 

「斬ったら数を増やしてしまうだけに厄介過ぎるね」

 

 

 

「しかも、こっちには負傷者が3人もいる」

 

 

レイナーレ逹は村上にやられて満身創痍の状態

 

 

 

新は(何故か)堕天使を守護しながら薔薇のゾンビを蹴散らしている

 

 

 

「しっかし、お前らも災難だな。あんな奴を仲間に引き込んだ挙げ句、裏切られて敵にされちまうとは。流石に同情するぜ」

 

 

 

「う、五月蝿いわね!」

 

 

 

「後ろから来てるぞ」

 

 

 

「えっ……?っ!」

 

 

 

堕天使3人も、光の槍で薔薇ゾンビを攻撃するが―――――槍が突き刺さっても倒れる事はない

 

 

 

一誠逹の顔にも疲れの色が出てくる

 

 

 

「君達は実に愚か極まりないな。素直に命乞いをし、私と同じ闇人になるか………。忠実なしもべとして働けば良いものを」

 

 

 

「うるせー!誰がてめぇなんかに!」

 

 

 

一誠は薔薇ゾンビの頭部らしき花に左拳を叩き込むと、花はグシャッと嫌な音を立てた

 

 

 

「………?何だ?さっきまでと手応えが違う?」

 

 

 

頭部がひしゃげた薔薇ゾンビはピクピクと体を痙攣させ、地面に突っ伏す様に倒れた

 

 

 

その様子を見た新は、試しに薔薇ゾンビの花を爪で斬る

 

 

 

すると、同じように薔薇ゾンビの活動が停止した

 

 

 

「そうか、花だ!頭みたいになってる花を潰せ!そうすればこいつらは死ぬ!」

 

 

 

「それは良かった。それなら苦労せずに済むよ。小猫ちゃん!」

 

 

 

「……了解」

 

 

 

新の助言を受けた祐斗と小猫

 

 

 

祐斗は剣で頭部を斬り落とし、小猫は拳や蹴りで頭を砕く

 

 

 

死体から吸った血を噴き出しながら倒れる薔薇ゾンビは、次第に数を増していく

 

 

 

「クックックッ。『生ける薔薇の死体(リビング・ローズ)』の短所を早くも見つけてしまったか。確かに頭部である花を破壊すれば活動を停止してしまう――――――――だが」

 

 

 

村上が手から数十輪の薔薇を出して、神父の死体と薔薇ゾンビの死体に投げつける

 

 

 

死体に刺さった薔薇が、新たなな薔薇ゾンビとなった

 

 

 

「死体がある限り『生ける薔薇の死体(リビング・ローズ)』が絶える事はない。どちらにせよ、無駄な足掻きだ」

 

 

 

殆ど焼け石に水だった

 

 

 

薔薇ゾンビを殺しても、投げられた薔薇が血を吸って新たな薔薇ゾンビとなる

 

 

 

術者である村上を倒さないと薔薇ゾンビは永遠に消えない

 

 

 

新は少し殺り方を変える事にした

 

 

 

「死体の血を吸って生み出されるなら―――――その元が無くなればどうなる?」

 

 

 

新は掌に溜めた魔力で炎を作り、2体の薔薇ゾンビに放つ

 

 

 

炎に包まれた薔薇ゾンビは花からボロボロと崩れた

 

 

 

「やっぱりな。焼き殺せば奴等は復活しないし、薔薇ゾンビを作れば作る程、死体の血は減っていき、いずれ尽きる!」

 

 

 

「本当だ!新!そのまま炎で攻撃してくれ!」

 

 

 

新は一誠の言葉を了承して、炎で薔薇ゾンビを焼き払っていく

 

 

 

死体も巻き添えを喰ってしまうが、この状況では死体も焼いた方が得策

 

 

 

薔薇ゾンビは死人の血を吸って作られるモノ

 

 

 

死体を全て焼けば、村上はもう薔薇ゾンビを作れない筈

 

 

 

新の予想通り、村上は次なる薔薇ゾンビを作ろうとしなかった

 

 

 

「いくぞ一誠!あのクソ野郎をブッ殺す!」

 

 

 

「おぉっ!」

 

 

 

新と一誠がアーシアを助けるべく駆け出す

 

 

 

村上は一輪の薔薇をサーベルに変えた

 

 

 

「私に勝てるとでも思っているのか?」

 

 

 

「思ってんだよ!」

 

 

 

新も鎧から剣を出し、村上に斬りかかる

 

 

 

サーベルと剣が激突し、火花を散らし合う

 

 

 

「一誠!今の内にアーシアを!」

 

 

 

「サンキュー!新!」

 

 

 

一誠は急いでアーシアの元へ行き、手足の拘束具を解いて彼女を解放する

 

 

 

村上は横目で一誠を見て、不気味な笑いを浮かべる

 

 

 

「イッセーさん!」

 

 

 

「もう大丈夫だ、アーシア!一旦逃げるぞ!」

 

 

 

一誠はアーシアの手を引いて一緒に逃げる

 

 

 

村上は直ぐにサーベルで一誠を突き刺そうとするが、新の剣がサーベルを阻止する

 

 

 

「へっ、残念だな。アーシアは返して貰うぜ?」

 

 

 

新はバカにする様な口調で言うが、何故か村上はまだ笑みを浮かべていた

 

 

 

「お気楽だな」

 

 

 

なんと村上の背中から一際長い薔薇が飛び出した

 

 

 

花を開くと、中央には巨大なトゲが発進準備を控えていた

 

 

 

「っ!?逃げろ一誠!アーシア!」

 

 

 

「もう遅い」

 

 

 

ドシュウンッ!薔薇が一誠に向けて巨大なトゲを発射

 

 

 

新の声に反応した一誠だったが、トゲを避けられそうになかった

 

 

 

その時―――――アーシアが一誠を庇うかの様に突き飛ばし、トゲがアーシアの華奢な体を貫く

 

 

 

「「アーシアァァァァァァァァァァッ!!」」

 

 

 

倒れた少女の傷から血が溢れ出す

 

 

 

村上は隙だらけの新を蹴飛ばす

 

 

 

蹴飛ばされたにも係わらず、新は一誠とアーシアの元へ

 

 

 

「アーシア!アーシア!」

 

 

 

「クソッ!胸を貫かれてる!治療をしねぇと!」

 

 

 

新に治療技術は無い

 

 

 

アーシアを助けるには一刻も早く、この場から脱出するしかなかった

 

 

 

アーシアが一誠と新の手を握る

 

 

 

弱々しい握りで体温も失われつつ、苦しい筈なのにアーシアは微笑みを2人に見せる

 

 

 

「……私、少しの間だけでも……友達ができて……幸せでした……。もし……生まれ変わったら、また友達になってくれますか……?」

 

 

 

「な、何を言ってんだ!そんな事言うなよ!」

 

 

 

「待ってろ!今からあいつをブッ倒して、お前を助けてやるよ!そうすれば、お前は自由になれるんだ!俺達といつでも遊べる様になれるんだぞ!」

 

 

 

必死に呼び掛ける新と一誠

 

 

 

それでもアーシアの力が弱くなっていく

 

 

 

「そうだ!これからいっぱい楽しい所に連れてくぞ!アーシアが嫌だって言っても連れてってやるさ!カラオケだろ!ゲーセンだろ!そうだ、ボウリングも行こうぜ!他にもそうだ、アレだよ、アレ!ほら!」

 

 

 

一誠の目から涙が止めどなく溢れる

 

 

 

「俺らダチじゃねぇか!ずっとダチだ!ああ、そうさ!松田や元浜にも紹介するよ!あいつら、ちょっとスケベだけどさ、すっげぇイイ奴らなんだぜ?絶対にアーシアの友達になってくれる!絶対だぜ!」

 

 

 

「俺も行き付けの酒場に連れてって、マスターや他の仕事仲間も紹介してやる!お前はまだ未成年だけどよ、受け入れてくれる!酒がダメなら牛乳かジュースを飲もう!一緒にマスターと駄弁んぞ!マスターは面白い話をするのが得意なんだ!」

 

 

 

「……きっと、この国で生まれて……イッセーさんと同じ学校に行けたら……」

 

 

 

「行こうぜ!俺達の学校に来いよ!」

 

 

 

「俺もイッセーと同じ学校に通うぞ!アーシア!だから――――――」

 

 

 

アーシアの手が新と一誠の頬を静かに撫でる

 

 

 

「……私のために泣いてくれる……もう、何も……ありがとう……」

 

 

 

頬を触れていた手がゆっくりと落ち――――――アーシアは2人の目の前で逝った

 

 

 

「……何でだよ。何でだよ……!?何でこんな良い女が、死ななきゃなんねぇんだぁああああああっ!」

 

 

 

新が涙を流しながら天に向かって叫ぶ

 

 

 

祐斗も小猫も、儀式に加担しようとした堕天使3人も苦い表情をしていた

 

 

 

「なあ、神様!神様、いるんだろう!?悪魔や天使がいるんだ!神様だっているんだよな!?見てるんだろう!?この子を連れて行かないでくれよ!頼む!頼みます!この子は何もしてないんだよ!ただ、友達が欲しかっただけなんだよ!ずっと俺達が友達でいます!だから、頼むよ!この子にもっと笑って欲しいんだ!なあ、頼むよ!神様!」

 

 

 

一誠は天へ訴えかけるが勿論応じてはくれない

 

 

 

パチ……パチ……パチ……パチ……パチ……パチ……

 

 

 

一定の間隔で手を鳴らす村上

 

 

 

「くだらない演説をどうもありがとう。滑稽を通り越して笑いが込み上げてくるぞ。しかし、アーシア・アルジェントも実にバカな事をしてくれた。下等な悪魔を庇って死ぬなど―――――――愚の骨頂だ」

 

 

 

村上が冷淡な態度で物言わなくなったアーシアを見下す

 

 

 

さっきまでアーシアを貴重な存在だと言っていたのが嘘のようだ

 

 

 

「だがまぁ、彼女は良い死体となってくれた。その血肉がどんな赤を作ってくれるか………非常に興味がある。何せ現役のシスターだったからなぁ」

 

 

 

青い薔薇を持ちながら近づいてくる村上

 

 

 

新と一誠はアーシアを後ろに優しく置き、近づいてくるゲス野郎を睨む

 

 

 

「その汚い口を閉じろコラ」

 

 

 

「おや?君達は興味が無いのか?今まで味わった事の無い、シスターの血肉で色が変わる薔薇の姿に………もっとも、闇人に転生させたかったのだが仕方無いか。彼女自らが愚かな選択をしてしまったから」

 

 

 

「うるせぇよ。闇人とか、愚かな選択とか、そんなもの、この子には関係なかったんだよ!」

 

 

 

「いいや、関係あった。アーシア・アルジェントは神器(セイクリッド・ギア)を身に宿した選ばれた存在」

 

 

 

「……それでも静かに暮らせたはずだ。普通に暮らせたはずだ!」

 

 

 

一誠の言葉に村上はただ嘲笑うだけだった

 

 

 

「そんなもの出来る訳が無いだろう。神器(セイクリッド・ギア)は他の者から見れば異質な力。それを持つ者は何処の世界でも、何処の組織でも爪弾きにされる運命だ。ならば、我々と同じ闇人になった方が彼女にとって幸せだったのだよ」

 

 

 

「だったら、俺が。いや……俺達が、アーシアの友達として守った!」

 

 

 

「守った?いったい誰を守ったと言うんだ?現実から目を背けたつもりか。アーシア・アルジェントは死んだのだよ。お前達は彼女を守れなかった!それが現実だ!」

 

 

 

「………。知ってるよ。だから、許せないんだ」

 

 

 

「あぁ、俺も自分とテメェを許せねぇ……!」

 

 

 

2人はアーシアを殺した村上を許せなかった

 

 

 

アーシアを守れなかった自分達を許せなかった

 

 

 

「返せよ―――――――アーシアを返せよォォォォォォォッ!」

 

 

 

Dragon(ドラゴン) booster(ブースター)!!』

 

 

 

一誠の叫びに応えるように、神器(セイクリッド・ギア)が動き、宝玉が眩い輝きを放つ

 

 

 

「村上、俺は―――――俺達はテメェをブッ殺す。覚悟しやがれぇぇぇぇぇっ!」

 

 

 

新から激しいオーラが解き放たれ、全身に鎧が展開されていく

 

 

 

開いた翼を彷彿させる肩、背中を守護する漆黒のマント、エメラルド色に光る目、全てを噛み砕きそうな口

 

 

 

新は禍々しい異形の蝙蝠へと変貌した

 

 

 

「竜崎くんの姿が!?」

 

 

 

「………少し怖いです」

 

 

 

祐斗と小猫は新の変貌ぶりに驚き、禍々しさに恐怖する

 

 

 

「おのれ……忌まわしき男が再び――――――目の前に現れた様な感覚だ」

 

 

Boost(ブースト)!!』

 

 

 

一誠の力が増し、拳を固めて殴ろうと突っ込む

 

 

 

「うおおおおおおお!」

 

 

 

村上は一誠の拳を楽に回避し、その際に膝を腹に食い込ませる

 

 

 

「がはっ!」

 

 

 

「おぉおおおおおおっ!」

 

 

 

新は左の爪で村上を攻撃するが、村上は上空に飛び上がって回避

 

 

 

「逃がすかぁっ!」

 

 

 

両手から放たれた魔力が村上に炸裂

 

 

 

村上の肩から血が飛び散る

 

 

 

村上が掌を上に向け、薔薇の花びらが刃となって2人に襲い掛かる

 

 

 

「ちぃっ!」

 

 

 

「ぐぁああああああああっ!」

 

 

 

新はマントを広げてガードしたが、一誠はまともにくらってしまう

 

 

 

一誠の身体中から血が噴き出し、激痛が全身を駆け巡る

 

 

 

「こんなもの!あの子が!アーシアが苦しんだものに比べたら何だってんだよ!」

 

 

 

Boost(ブースト)!!』

 

 

 

赤い籠手から再び声が発せられる

 

 

 

「おかしいな。下等な悪魔はまだ立てるのか?普通なら、いつ倒れても不思議ではないのに」

 

 

 

「あー、痛ぇよ。チョー痛ぇよ。だがなぁ、今はそんなのどうでもいい位、テメェがムカついてんだよぉっ!」

 

 

 

Explosion(エクスプロージョン)!!』

 

 

 

籠手の宝玉が今までにない強い輝きを見せる

 

 

 

その魔力の波動は敵どころか、味方も驚愕させた

 

 

 

「何だ?一誠の魔力の波がより強くなった?スゲェ……!今のこいつは、上級クラスに匹敵してんぞ!」

 

 

 

「……?どういう事だ?あの少年の神器(セイクリッド・ギア)は、力を倍にするただの『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』の筈だ。何故この様な強い魔力を放つ?……まさか……!」

 

 

 

流石の村上も爆発的に膨れ上がった一誠の魔力に驚いていた

 

 

 

「思ったより危険な存在だと認識出来た。特に悪魔の少年、君は我々にとって大きな障害になるやもしれん!だから――――――死んでもらうぞ!」

 

 

 

村上は全身から花びらを頭上に舞わせ、巨大な怪物を生成する

 

 

 

花びらに牙みたいな突起物が生え、中央に存在する目玉が新と一誠を凝視する

 

 

 

ヨダレが地面に一滴落ちると、その箇所から煙が立ち上がる

 

 

 

「こいつの唾液は強力な酸で出来ていてね。獲物をあっという間に溶解してしまうのだよ。2人仲良く餌になってくれたまえ!『巨躯の薔薇(ギガント・ローズ)』!」

 

 

 

村上の手が「奴等を喰え」と指示を出す

 

 

 

巨大な薔薇は大口を開けて新と一誠を喰らおうとする

 

 

 

新は剣に最大級の魔力を流し、刀身を左手で擦る

 

 

 

「一誠!まだ我慢しとけよ?こいつを消したら、ありったけの力で奴をブッ飛ばせ!」

 

 

「分かってる!この一発だけは、絶対に外さねぇ!」

 

 

 

巨躯の薔薇(ギガント・ローズ)』がすぐそこまで来た瞬間、剣の刀身が赤と黒の魔力に包まれ、更に魔力自体が巨大な刀身を作っていく

 

 

 

「うおおおおおおおっ!」

 

 

 

横薙ぎの斬撃、その一撃で『巨躯の薔薇(ギガント・ローズ)』は上下に分断されたのち、大きな音を立てて沈黙した

 

 

 

「バカな!」

 

 

 

ガシッ!村上の手が一誠に掴まれる

 

 

 

絶対に逃がさない、一誠の頭にはその言葉しかなかった

 

 

 

そして左腕の籠手が力を解放し、拳を作る

 

 

 

新も魔力を右拳に集中させ、構えを取る

 

 

 

「やはりそうか……!下等悪魔、貴様の力は―――――――」

 

 

 

「「ブッ飛べクソ野郎ォォォォォォォォォッ!!」」

 

 

 

ドゴッ!双方の拳が憎き化け物の顔面を打ち抜き吹っ飛ばす

 

 

 

村上は大きく吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられた

 

 

 

壁が崩壊し、瓦礫の山が築き上げられる

 

 

 

そして2人は口を揃えて言った

 

 

 

「「ざまーみろ」」


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