「……こ、ここは……?」
気が付いた時、新は目の前が真っ暗で何か柔らかいものを感じていた
「ダ、ダメですよ……こんな所で恩を返せだなんて……」
か細い女性の声
顔を上げて確かめてみると、先程救出裸のディオドラ『
「……っ?お前、なんでここにいるんだ?」
「『
周りを見ると、他のディオドラ眷属達も土埃だらけで体を起き上がらせていた
新は痛む体に鞭を打ち、飛び起きてリアス達を探す
すぐに見つかったが、他の皆もボロボロになっていた
「おい、しっかりしろ」
「うぅん……あ、新?無事だったのね?」
「何とかな」
少しすると朱乃達が体を起こしてくる
全員の無事を確認したが………問題は一誠だった
「――――ッ!そうよ、イッセー!イッセーは!?」
リアスが辺りを見回すと、遥か先にいる
鎧からプスプスと黒煙を立ち上げている……
雷獣を貫いたものの、完全に打ち消す事は出来ずまともに浴びてしまったのだろう
「あ〜……クソッ。買ったばかりのカプリンチョが、ぜ〜んぶ無くなっちゃったよ……最悪」
底冷えさせられる声が聞こえてきた
"そんなバカな……!"
誰もがそう思った
しかし、
「シャルバっちはどうでも良いよ……チッ。クソ悪魔のクソドラゴンが……ボクのカプリンチョを消し飛ばすなんてさ〜、ムッカツクなぁ?ムカつくなムカつくなムカつくなムカつくなムカつくなムカつくなムカつくなムカつくなムカつくな!ムカつくよなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
怒りを
全身が鎧のような皮膚になり、腕や足が
腰から
腹が裂けて凶暴な牙を生やした口が現れ、自身の顔が3本角の獣の様な頭部に変質し、右隣から獅子を、左隣からはユニコーンを
フリードの
「何なんだよアレ……全部メチャクチャじゃねぇか……!」
「……ボクは
「自分をそこまで改造するなんて……まともじゃないわ……!」
リアス達は神風の自己改造に戦慄する
神風は気にせず
ただ歩いているだけなのに、1歩1歩踏む度に地面が揺れる
「
ギュビュウッ!
ガシャアァァァァァンッ!
神風が巨体に似合わぬスピードで距離を詰めて、
神風はゆっくり手を離し、今度は全ての腕が拳を作り上げた
「お前のせいでさ〜……カプリンチョがぁ〜……全部消し飛んだの……どうしてくれるんだよォォォォォォォォォォォォォォッ!」
ドゴッ!ガゴッ!バギッ!グシャッ!
巨大な10本の腕が
異常過ぎる力にリアス達は恐怖にまみれて怯えた
新は何とか動こうとするが、魔力を使い果たしてしまったので思うように動かない……
「キャハハハハハハハッ!クソドラゴンの
神風の拳で
このままでは一誠が死んでしまう……が、リアス達の体が動いてくれない
まるで拒絶反応を起こすように………
「動いて……!動いてよ……!私の体なのに、どうして動かないのよ……!?」
神風は拳を止めて
そして掴んだままリアス達の所に歩み寄り、
「それは本当に恐怖している証拠だよ。人間だろうと悪魔だろうと、恐怖にまみれたら頭では分かっていても体が動かないものなんだよ。つまり、ボクの実力が上だと……自分達じゃ勝てないと本能が理解してるって事。ま、そんな事はどうでも良いや」
神風は
徐々に力を入れていき、地面に深くめり込ませていく
「クソッ……!魔力を使い果たしたせいで動けねぇ……!」
「グレモリーのお姉さん。そこでガタガタ震えながら見といてね?今からお姉さんの大事な下僕の
「やめて……やめてェェェェェェェェェェッ!」
リアスが吐き出した涙混じりの叫びに聞く耳を持たず、神風は思いっきり足を振り上げた……その刹那―――――
「おやめなさい」
ドォォォォォォンッ!
何者かが放った魔力弾が神風の振り上げた足――――――正確には
「イッテーッ!脛痛い!脛痛い!弁慶痛いぃぃぃぃぃぃっ!誰だよ邪魔するのは!?」
神風は魔力弾が降ってきた方角を向く
すると、上空から女性らしき人影が降りてきた
優しげな瞳をした水色の長髪の女性
その人物に祐斗は見覚えがあった……
「あ、あなたは確か『チェス』の―――――」
「お久しぶりです、グレモリーの皆さま方。初めましての方もいらっしゃると思いますので、名乗らせていただきます。私の名前はアスカ・シャーベット。『チェス』の『2代目クイーン』を務める者です」
なんと現れた女性は冥界のパーティ時に襲撃してきた
神風は直ぐ様、不機嫌な形相で『クイーン』に詰め寄る
「ちょっと『クイーン』!せっかく今チョー良い場面だったのに、なんで邪魔すんのさ!?」
「もう勝負は着いています。意識の無い人をこれ以上叩く必要はありません。だから止めました」
「甘い!甘いよ『クイーン』!そんな平和主義紛いの考えじゃ、他の種族をつけ上がらせるだけなんだよッ!今ここでグレモリーの主戦力の
「……神風くん?」
底冷えさせられる声を発し、神風や新達を戦慄させた
「言う事を聞いてください。じゃないと――――怒りますよ?」
ゾクッ………
アスカ・シャーベットの目は恐ろしい程に冷たく感じるものだった
新とリアス達は直視していないにもかかわらず、体に震えが生じた
「……わ、分かったよ。やめれば良いんでしょ?やめれば」
神風が
すると髪の
「分かってくれて何よりです。神風くんは良い子ですね」
「そりゃ分かるよ。今はとりあえず、『クイーン』を怒らせたくないからさ……ってか、どうして『クイーン』がここに?」
「ちゃんと分かってくれたなら私も怒りません。それと新しく入った黒い『ポーン』の方が来て欲しいとご連絡がありまして」
黒い『ポーン』とは、おそらく一誠の親友であるダイアンの事だ
神風は不機嫌な形相で舌打ちをする
「では、帰りますよ。グレモリーの皆さま方。またお会いしましょう」
アスカ・シャーベットが手を空に向けると空間に穴が開き、神風の手を引っ張って穴の中に飛び込んでいった
2人が入った後、空間に開けられた穴が徐々に閉じて無くなる
「アスカ・シャーベット……『2代目クイーン』……か。何か今までとは違う雰囲気を出してたな……」
女好きの新でさえ、アスカ・シャーベットに恐怖を感じたのだから、彼女の実力は相当なものの筈
しばらくすると、ボコボコに痛めつけられた一誠が四つん這いで起き上がる
辺りをキョロキョロと見回し、天に向かって悲哀に包まれた咆哮をあげた
自我を失ってもアーシアを失った悲しみだけは残っている
ディオドラ、村上、シャルバ、神風もおらず、戦いは終わった筈なのに鎧が解除されない
新達はどうすれば良いのか分からず、ただ咆哮を見ているしかなかった
「困っているようだな?」
誰かの声が聞こえ、再び空間に裂け目が生じる
そこから出てきたのは
新達は戦闘態勢を取ろうとするが、先程『2代目クイーン』の気に当てられたせいで体が動かない
だが、ヴァーリは手を前に出して言った
「やるつもりはない。見に来ただけだ。
』を。と言っても、あの姿を見るに中途半端に『
「……この状態、元に戻るの?」
「完全な『
そんな話をしている中、美猴が見知った少女を抱えて歩み寄る
美猴から渡された少女はアーシアだった
「アーシア!」
「アーシアちゃん!」
リアスと朱乃を始め、皆がアーシアのもとに集まる
気絶しているようだが、息はしていた
この事態に皆が涙を流す
「けど、どうしてだ?」
「私たちがちょうどこの辺りの次元の狭間を探索してましてね。そうしたら、この少女が次元の狭間に飛んできたのですよ。ヴァーリが見覚えがあると言いまして、ここまで連れてきたのです。運が良かったですね。私達が偶然その場に居合わせなかったら、この少女は次元の狭間の『無』にあてられて消失していくところでした」
偶然とはいえ、アーシアが無事に戻ってきた事に変わりはない
ゼノヴィアはアーシアを大事そうに抱きかかえ、嬉し涙を流した
「じゃあ、後は一誠だけか」
「アーシアの無事を伝えればあの状態を解除出来るかしら」
「危険だ、死ぬぞ。ま、俺は止めはしないが。そうだな……何か彼の深層心理を大きく揺さぶる現象が起これば何とかなりそうだが……」
「おっぱいでも見せれば良いんじゃね?」
横で頭を掻いていた美猴が言う
新は「それしか無いのか……?」と顎に指を添えてリアス達の方を見やった
「ただ、あの状態ではな。ドラゴンを鎮めるのはいつだって歌声だったが……」
「あ〜……そうか……。それに
「あるわよぉぉぉぉ!」
新の言葉を遮って飛んできたのは、転生天使の紫藤イリナだった
―――――――――
飛んできたイリナは、何やら立体映像機器をリアスに渡した
イリナの話によると、サーゼクスとアザゼルが用意した秘密兵器らしい
「よく分からないけれど、お兄さまとアザゼルが用意したのなら、効果が見込めるかもしれないわね」
リアスが映像機器を下に置いてボタンを押すと、空中に映像が映し出される
『おっぱいドラゴン!はっじっまっるよー!』
映像に映し出されたのは
そして一誠のもとに子供達が集まって―――――
『おっぱい!』
一誠と子供達のダンスが始まり、宙にタイトルと歌詞が表示されたのだが―――――全員の目玉が飛び出した……(特に新が)
な ん だ こ れ は
「おっぱいドラゴンの歌」
作詞…アザ☆ゼル
作曲…サーゼクス・ルシファー
ダンス振り付け…セラフォルー・レヴィアたん
作詞材料提供者…竜崎新(笑)
「なんで俺の名前載ってんのォォォォォォォォォッ!?しかも(笑)って何だァァァァァァァァァァッ!?」
とある国の隅っこに
おっぱい大好きドラゴン住んでいる
お天気の日はおっぱい探してお散歩だ☆
ドラゴン ドラゴン おっぱいドラゴン
もみもみ ちゅーちゅー ぱふんぱふん
いろいろなおっぱいあるけれど
やっぱり おっきいのが一番大好き
おっぱいドラゴン 今日も飛ぶ
全員が呆気に取られていた
これはおそらく冥界テレビ局で一誠だけ別撮りで撮影したものだろう
「作詞と作曲した奴!何してやがんだァァァァァァァァァァッ!だいたい俺こんなもん提供しとらんわァァァァァァァァァァッ!」
「……新くん、これは……?」
「知らねぇッ!全く知らねぇェェェェェェェッ!濡れ衣だァァァァァァァァァァッ!俺はこんなもん――――――」
「……うぅ、おっぱい……」
一誠が頭を抱えながら言語を発した
新はそれを見て、何かがトンだ………
「ケヘヘヘヘヘッ……そうかい、そうかい……。お前らがそうするなら、もうヤケクソだ……。イリナァァァァァァァァァァッ!」
「は、はぃぃぃっ!」
新の怒号にイリナは背筋を伸ばして返事する
「流せェェェェェェェッ!もっと曲を流せェェェェェェェッ!こうなりゃ逝くところまでとことん逝けェェェェェェェッ!」
「は、はい!任されました!」
再び映像機器の再生ボタンが押された
※すみませんが、ここからは歌を省略させていただきます
「うぅ、おっぱい……もみもみ、ちゅーちゅー……ず、ず、ずむずむ……いやーん……ポチッと」
新の精神は限界に達し、前に出ようとしたヴァーリを手で制する
「どうした?
「…………………………………………コロス」
「ちょ、ちょっと新くん!?」
「こんのクソボケドラゴンがァァァァァァァァァァッ!俺に恥をかかせやがってェェェェェェェッ!てめぇの血はァッ!何色だァァァァァァァァァァッ!」
怒りを爆発させる新は
その後も、マウントポジションを取って魔力込みの拳、掌打、鉄槌などでフルボッコにしていく
「……祐斗先輩。今の新先輩、凄く怖いです」
「うん……僕もそう思ってるよ。さっきの神風や『2代目クイーン』よりも怖いね……」
一誠を殴っている新は兜の口が大きく開いており、鎧が返り血で染まっていく
やがて一誠はピクリピクリと痙攣するだけとなり、鎧が強制解除されて新に引きずられていく
新が向かった先は―――――リアス
鮮血を浴びまくった新は彼女の眼前に立ち、引きずっていた一誠の足を放す
リアスが恐る恐る訊いてみた
「あ、新……大丈夫……?」
「アァ?大丈夫?何がだ?俺は至って冷静だぜ。何も変わっちゃいないし、何も変わっていない。いつもと同じ様に一誠のアホみたいなおっぱい嗜好に呆れておっぱいの道におっぱいはあらずとか何とか言ってる間にブチキレてマウントポジションのフルボッコおっぱいしてたら夜おっぱい時におっぱいをおっぱいしておっぱいしていたら何が何なのか訳が分からなくなっておっぱいにおっぱいはおっぱいでおっぱいのおっぱいがおっぱいだって言っちまってる俺自身にまたムカっ腹が立っちまったァァァァァッ!」
度重なる心労によって新の精神は再び憤慨を取り戻してしまい、ギロリと一誠の方に視線を向けた
「やっぱりもう2、3発ぐらい殴っておこうか――――フルパワーで」
「新、落ち着いて!これ以上は見てられない!」
「じゃあ教えてくれよォ。どうやったら俺の怒りは治まるんだ?もうこいつを殴る蹴る潰すしか思い付かねぇんだヨォォォォォォォォ……ッ!」
理不尽とも言える新の問いにリアスは冷や汗を流す
すると、朱乃が近付いていき――――
「リアス、ちょっと失礼」
「え?あ、朱乃?あなた何を――――」
バッ!プルルンッ……
朱乃は背後からリアスの制服の胸元を広げた
ブラジャーごと掴んでいたのでリアスの美麗なおっぱいが解放される
一瞬、事態を理解出来なかったが……暫くして目を丸くする
「ひゃあ!?ちょ、ちょっと朱乃!?」
「リアス、今はジッとしてて。新さんを落ち着かせる為ですわ。さあ新さん、心を鎮めて下さい」
「…………………………スマン」
リアスのおっぱいと乳首を見た事で新は落ち着きを取り戻し、トボトボと歩き去っていった
歌が何度目かのサビに突入した所でヴァーリが新に訊く
「……リアス・グレモリーの胸はお前と兵藤一誠の制御スイッチか何かなのか?」
「お前、それは酷い言い草だろ!」
「良いんだよ孫悟空……!ヴァーリ……!もう笑うだけ笑ってくれ……!フヒェヒェヒェヒェヒェヒェヒェ……!(泣)」
自虐に陥ったのか、新は美猴と共に爆笑する(新は泣きながら)
こうして一誠はおっぱいドラゴンとなった……