新達が辿り着いたのは最深部にある神殿
その内部に入っていくと、前方に巨大な装置らしきものが姿を現す
巨大な円形型の装置で、あちこちに宝玉が埋め込まれており、怪しげな紋様と文字が刻まれていた
「アーシアァァァァアアアアッ!」
一誠が叫ぶ
装置の中央にはアーシアが張り付けられていた
「やっと来たんだね」
「ちゃんと来てくれたようだな」
装置の横からディオドラと村上が姿を現す
一誠は
「……イッセーさん?」
一誠の声を聞いてアーシアが顔を向けた
彼女の目元は腫れ上がっており、尋常じゃない量の涙を流したと思える程に目が赤くなっていた
「ディオドラ。てめぇ、アーシアに事の
新が先程フリードが語った事について訊くと、ディオドラはニンマリと微笑む
「うん。全部アーシアに話したよ。ふふふ、キミ達にも見せたかったな。彼女が最高の表情になった瞬間を。全部、僕の手のひらで動いていたと知った時のアーシアの顔は本当に最高だった。ほら、記録映像にも残したんだ。再生しようか?本当に素敵な顔なんだ。教会の女が堕ちる瞬間の表情は、何度見てもたまらない」
アーシアがすすり泣き、村上は手に持ったグラスのワインを飲む
「ディオドラ・アスタロト、君は本当に欲深い男だ。しかし、アーシア・アルジェントにはまだ希望が残っている。それがリアス・グレモリーとその眷属。特に
「本当は堕天使の女――――レイナーレを殺し、僕の駒を与える予定だったんだ。けど、
「黙れ」
一誠の口から普段発せられない様な低い声音が出た
新もアーシアを
2人の我慢が限界に達しようとしているにもかかわらず、ディオドラは下劣極まりない言動を止めない
「アーシアはまだ処女だよね?僕は処女から調教するのが好きだから、
「黙れェェェェェェェェェッ!」
『
一誠の中で怒りが弾け飛び、2分と経たずに
新も全身に溜めた魔力を解放し、エメラルド色の目を強く光らせる
「ディオドラァァァァァァァァァッ!てめぇだけは!絶対に許さねぇッ!」
「ディオドラ、村上。てめぇらは怒らせる相手を間違えたな。遺言があったら、今の内に唱えておけやッ!一誠!俺は村上をぶっ殺す!お前はディオドラをぶっ殺せ!」
「言われなくても分かってらぁ。部長、皆、絶対に手を出さないでください」
「新、イッセー。全員で倒すわ――――と言いたいところだけれど、今のあなた達を止められそうもないわね。手加減してはダメよ」
リアスは最高の一言を発してくれた
一方でディオドラは楽しげに高笑い、全身からドス黒いオーラを出していた
「アハハハハ!凄いね!これが
一誠は背中の噴出口から火を噴かして瞬間的に距離を詰め、ディオドラの腹に強烈な拳を鋭く打ち込んだ
「……がっ」
「ほう、速いな」
村上が感心してる間にディオドラの体はくの字に折れ曲がり、口から血と共に内容物を吐き出した
「さて、一誠の方は問題ねぇわな。お前はどうする?村上」
新が拳を向けながら言うと、村上は軽く跳んで眼前に着地
「……っ?何なんだそいつは?」
「これか?これは先程デュランダル使いが消滅させた『
村上が手を地面に向けて魔方陣を展開する
そこから現れたのはリアスと朱乃の攻撃によって黒焦げにされた碧眼ブロンドヘアーの『
ディオドラと戦っている一誠以外の全員が村上を訝しげに見る
「まずはこの魂から蘇生させるとしよう。『
村上が光の球体に魔力を流し込むと、4つの球体は次第に人の―――――女性の形を成していき、ディオドラの『
――――全裸で――――
「ん……。っ?ここは何処……?私達、死んだ筈じゃ―――――ッ!きゃあっ!な、なんで裸なのっ!?」
「いやぁっ!でも、どうして……?」
「私の術で復活させてやったのだよ。ほら、君達も起きたまえ」
村上が倒れているディオドラの『
「うぅん……。こ、ここは何処なんですか?あ、あなたは……」
「単刀直入に言うよ。君達にもう1度チャンスを与えよう。私と共にリアス・グレモリーと眷属を殺すのだ」
村上の言葉にディオドラ眷属6人が一斉に顔を向けるが、新の気迫と先程倒された恐怖に体を震わせる
「む、無理です……!あんな強い悪魔達に勝てる筈がありません……!」
『
村上はその様子を見て嘆息した
「困ったな。それならば―――――コレを使うしかないようだ」
村上が取り出したのは禍々しい形をした銃の様な道具
新は真っ先に訊いた
「おい。その銃はいったい何なんだ?」
「あぁ、これは私と
村上の言葉に一誠以外の全員、そしてディオドラ眷属6人は絶句した
村上が『
「い、いやぁっ……!お願いだから、やめて……!」
「安心したまえ。すぐに他の5人も仲間にしてやる」
ドォンッ!
村上は涙を混じらせた懇願を嘲笑い、引き金を引いてディオドラ『
残った5人は眼前の恐怖から逃げようとしたが、背中に1発ずつ弾丸を食らってしまう
次第に弾丸を撃ち込まれたディオドラ眷属の6人に異変が起こる
「あ、ああぁぁ……!いや……!助けて……イヤァァァァァァァァアアッ!」
バリバリバリッ!
ディオドラの『
『
"酷い"―――――村上の所業はその一言に尽きた
「中途半端に人間の姿が残ってしまったか。まぁ良い。彼女達は失敗作になってしまったが、また改良すれば済むだけの話だ」
「失敗作ですって……?村上京司ッ!あなたはどこまで命を
リアスや他の皆が激昂するのも無理なかった
しかし、村上はその言葉をただ嘲笑う
「フハハハハハハッ!下劣だと?お前達が言えた義理か?悪魔も醜い欲望を晒け出して生きているではないか!ディオドラ・アスタロトが良い例だ!彼は実に素晴らしい!自分の欲望に忠実だからな!欲しい物の為にはどんな手段も使う!私も同じ事をしたまでだ!自らの欲望に従う事の何が悪い!欲望は我ら
「―――――ッ!この……外道ッ!あなたは村上京司と言う名の皮を被った、下劣極まりない化け物よッ!」
「貴様ら悪魔も同じ化け物だろうが!その化け物が化け物に説教か!これは傑作だ!笑いの最優秀賞が取れるぞ!フハハハハハハッ!」
バカにするかの様に大きく哄笑をあげる村上に、リアス達は怒りを抑えられなかった
特に新は………
「村上ィッ!てめぇ!生かしてはおけねぇっ!ぶっ殺してやる!」
「ハッハッハッ!その台詞は彼女達を殺してから言いたまえ!」
彼女達は自分で止める事が出来ず、自由が効かないまま涙を流すしかなかった
「チクショウ!こんなにやりづらい相手はねぇぞ!」
「もういや……こんな化け物の姿に……」
「お願いです……私達を殺して……っ」
ディオドラの眷属達は自分達の醜い姿に耐えられず、新に殺害を依頼する
だが、新はそれを拒絶した
「何バカな事言ってやがるんだ!自分から殺してくれなんて言うんじゃねぇ!」
「だけど!こんな醜い姿じゃ生きていけない……!」
「私達はもう化け物ですから、遠慮する必要は……」
「そんなの、そんなの悲し過ぎるだろうが!ぐわぁぁぁぁっ!」
新は大蛇の尻尾攻撃を脇腹に食らい、リアス達の横の壁に激突する
「新!もう黙って見ていられないわ。残念だけど、彼女達を―――――」
「ま、待て……!まだ俺はくたばっちゃいねぇ!ここは俺がやる!」
新は剣を杖代わりに立ち上がり、刀身に黒い魔力を流す
「一か八かの賭けだ……!『
「あなた正気なの!?そんな無茶をして、何が起こるか分からないのよ!?」
リアスは新のトンでもなく無謀な考えに激昂するが、新はやめるつもりなど毛頭無かった
「悪いなリアス。俺は女の――――女が助けを求めて流す涙を見ちまったら、放っておけねぇ
ズオォォォオオオオッ!
剣から発せられた闇が変異させられたディオドラ眷属を捕らえ、
だが、制御不能となった
「ぐあぁぁぁぁっ!うっ……!ぎぃぃぃぃぃっ……!さ、流石に無謀過ぎたか……!けど、ここで逃げたら男が廃れるよなぁっ!『プロモーション』ッ!『
新は『
魔力に特化した駒の力で『
彼は痛みを紛らわせるように絶叫を口から放った
「オォォォォォォォオオオアァァァァァァァアアアアアアアアアッ!」
「まさか失敗作共の魔力を吸い取るつもりか?つくづく間抜けな男だな!そんな失敗作共を救って何の意味がある!手っ取り早く殺せば良いものを!やはり君達悪魔共の思考は狂っているな!フハハハハハハッ!」
新の行いに村上は哄笑をあげるが、新は聞く耳を持たずに魔力を吸い続ける
「女としての生き方をてめぇに奪われたこいつらを……このまま死なせてたまるか!無謀だろうが何だろうが、俺はこいつらを助けるんだァァァァァァァァァァァッ!」
ゴォォォォォオオオオッ!
新から凄まじい質量の魔力の柱が噴き上がり、ディオドラ眷属6人にある
「――――っ!?バカな!失敗作共の魔力が……
異変に気付いた村上は驚きの表情を見せる
リアス達も新の魔力の質に気付いた
"また進化するのではないか?"と………
「……ッ!おいおい。土壇場でキテくれるとはな……!だが、今はこいつらを元に戻してくれよッ!」
ギュオォォォォォオオオオオオオッ!
吸収速度を上げる新
ディオドラ眷属達は化け物の肉体から、元の女性の肉体へ戻っていく
「嘘……私達、元に戻れたの!?」
「夢じゃないわ……!紛れもなく元の体よ!」
「あ、ありがとうございます!なんてお礼を言ったら良いか……!」
裸である事を気にせず、ディオドラ眷属達は新に近づく
新は自分達が入ってきた神殿の入り口を指差す
「今は危ねぇから、この場から逃げな。ずっと先にお前達の仲間の『
「はい……。このご恩はいつかきっとお返します」
ディオドラの『
信じ難い事態を目撃した村上は怒りに身を震わせる
「ふざけるな……ふざけるなァァァァァァァァァァァッ!貴様ら悪魔共に負ける私ではないのだよ!
村上は
咆哮をあげると周囲の壁に亀裂が生じる
「さ〜て、新しく覚醒した力をお披露目してやるか!『
新が叫ぶと、
蝙蝠の顔が銃口となった武器を掴むとマントが分離し、蝙蝠の顔を象ったキャノンとなって両肩に現れ、更に胸部には両翼型のプレートが装着される
新の3つ目の覚醒形態が降臨した
「これが『
新が銃口を村上に向け、先程吸収した魔力を
村上は全身から茨を出して突っ込んでくる
「この私が付け焼き刃の力に負けると思っているのかッ!串刺しとなって死ぬが良いッ!」
銃口の蝙蝠の目が強く光り、新は叫びながら引き金を引いた
「フルバーストォォォォォォォォォォォッ!」
ズビィィィィィィィィィィィイイイイイイイッ!
銃口からあり得ない程巨大な魔力のレーザーが放出され、
高密度、高出力のレーザーに村上の肉体は崩壊していく………
「ぐあぁぁぁぁぁぁああああああっ!何故だ!何故なんだ!何故私が負けねばならないっ!?私は
その肉体は僅かな頭部以外、完全に消滅していった………