ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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第5章ラストです


勝者、面会、帰省

レーティングゲーム終了後

 

結果はリアス陣営の勝利で幕を閉じた

 

しかし、リアス陣営はギャスパー、ゼノヴィア、アーシア、一誠と半数を取られてしまい、ゲームに圧倒的と言われていたグレモリー眷属は評価を下げてしまった

 

特に開始早々ギャスパーを失った事と、赤龍帝(せきりゅうてい)の力を宿した一誠がやられた事に上は評価を下げた

 

初勝利を収めたものの、腑に落ちない結果となってしまった

 

新は現在、一誠が転送された病室へ向かっている

 

その途中で誰かを待っている様子でいる鎧を着た銀髪女性の姿が目に入った

 

「……?誰だあれ?結構俺好みの女だな」

 

品定めしていると、銀髪の女性が新に気づき近づいてくる

 

「あなたが闇皇(やみおう)の蝙蝠ですね?はじめまして」

 

「あ、これはどうもご丁寧に。しかし、あんたは何者だ?俺はあんたみたいな綺麗な女と面識は無い筈なんだが」

 

「き、綺麗……?わ、私が、ですか……?」

 

「あぁ、ストレートの銀髪も顔立ちも、体のラインも俺好みで申し分無いぜ?なんか気に障ったか?」

 

銀髪の女性は(うつむ)き、体がプルプルと震え出す

 

新が下から顔を窺ってみると、女性は何故か大粒の涙を溢れさせていた

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁんっ!その様な言葉……今まで生きてきて、初めて言われましたぁぁぁぁぁっ!」

 

「うぉわあっ!?いきなりビックリさせんな!で、あんた名前は?」

 

女性は涙と鼻水を拭い、自己紹介を始めた

 

「ぐすっ……すみません。取り乱してしまいました。私はヴァルハラ神族にお仕えする戦乙女(ヴァルキリー)のロスヴァイセと申します。今日は挨拶に伺いました。また後程」

 

ロスヴァイセと名乗った女性はお辞儀をしてその場を去った

 

新は一誠が転送されたであろう病室のドアをノックする

 

「はーい、どうぞ」

 

一誠の声を確認し、ドアを開けて中に入る

 

「よぉ一誠、リアス」

 

「新。どうだった?ソーナと戦った感想は」

 

リアスに聞かれた新は、両手を腰に当てて答える

 

「純粋に強かったぜ。戦略も申し分無かった」

 

「そう……ね。私も気付けなかったわ……」

 

「ま、そう気を落としなさんな。『(キング)』と言えど完璧じゃねぇのは誰だって同じだ」

 

「新、お前にも見せてやりたかったよ。俺の新必殺技を」

 

怪訝そうに首を傾ける新に、一誠は新必殺技の活躍を話し始めた

 

一誠の新必殺技―――――その名も『乳語翻訳(パイリンガル)

 

女性の胸の声を聞くと言う何ともバカみたいな技である

 

新が屋上に向かった後、一誠達は椿姫率いるシトリー眷属3人と対峙し、『乳語翻訳(パイリンガル)』でソーナの居所を見破ったらしい

 

新は『乳語翻訳(パイリンガル)』の全貌を聞いて、空いた口が塞がらなかった………

 

新も自分の新技『暗黒捕食者(ダーク・グリード)』の説明をしたところ、一誠は尊敬し、リアスに嘆息された

 

「イッセー、今言った技はゲーム時には封印よ」

 

「えぇぇぇぇぇぇっ!?部長!何で俺だけなんですかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「だって、女性悪魔と戦えなくなってしまうでしょう?新のは自分の思考で何とか変えられるけど、イッセーのは女性限定だもの。だから禁止」

 

一誠は酷く落ち込むが、新が「実戦なら使い放題じゃねぇか」と耳打ちした瞬間に元気を取り戻した

 

「けど、やっと1勝したわ」

 

「そうだけどよ、こっちも一誠やアーシア、ゼノヴィア、ギャスパーと半分も取られちまったんだ。いくら強力な眷属がいても本番で力を発揮出来なくちゃ意味が無い。勝つ時もあれば負ける時もあるって事が分かったんじゃねぇか?」

 

「ええ……でも、朱乃と小猫、2人がこの試合で自身の壁を越えてくれた。こんなにも喜ばしい事はないわ」

 

修行時にも悩みを抱えていた2人が封じていた力を使った

 

朱乃は『雷の巫女』から『雷光(らいこう)の巫女』に、小猫は猫又の力を解放

 

苦い勝利をしても、得るものは大きかった

 

新も少しホッとする

 

コンコン……

 

病室のドアがノックされ、一誠が返事をする

 

現れたのは白いヒゲを生やした隻眼の老人だった

 

「じいさん、誰っスか?」

 

「……っ!?じいさん、何者だ?こんな静かですげぇ気は初めてだ」

 

「わしは北の田舎ジジイじゃよ。闇皇(やみおう)の蝙蝠、お主はちと1人で突っ走り過ぎじゃ。少しは控えておけ」

 

老人がヒゲを擦りながら言う

 

「オーディン様ですね?初めてお目にかかります。私、リアス・グレモリーですわ」

 

「オーディン!?オーディンって、あの北欧神の主神か!?」

 

「えっ!?このじいさん、そんなに偉い神様なの!?」

 

新と一誠は驚きの目をオーディンに向ける

 

北欧神の中で最強と謡われるオーディンが、自分達の眼前にいる事にビビった

 

「サーゼクスの妹じゃな。試合見ておったぞ。お主も精進じゃな。しかし、ううむ……デカいのぉ。観戦中、こればかり見とったぞい」

 

オーディンはリアスの胸をいやらしい目付きで見る

 

その様子に気付いた新と一誠は猛抗議しようとしたが、いつの間にか入室していた銀髪の女性がハリセンでオーディンを叩く

 

「もう!ですから卑猥な目は禁止だと、あれ程申したではありませんか!これから大切な会談なのですから、北欧の主神としてしっかりしてください!」

 

「……まったく、隙の無いヴァルキリーじゃて。わーっとるよ。これから天使、悪魔、堕天使、ギリシャのゼウス、須弥山(しゅみせん)帝釈天(たいしゃくてん)とテロリストや闇人(やみびと)対策の話し合いじゃったな」

 

オーディンが頭を擦りながら半眼で呟く中、新は銀髪の女性が先程会った女性だと気付く

 

「あんたさっきの……確かロスヴァイセ、だったか?」

 

「またお会いしましたね」

 

ロスヴァイセがお辞儀をする

 

「なんじゃお主、闇皇(やみおう)の小僧と会っておったのか?」

 

「はい。オーディン様をお待ちしていた際に」

 

「ほ〜う。お主はこういう男が良いのか?闇皇(やみおう)の小僧はおなごを裸にしてからバリボリ喰うと聞いたぞい?」

 

「チョォットマッタ。どっかおかしくね?バリボリ喰わねぇよ?違う意味では喰うけど」

 

オーディンの言葉を聞いたロスヴァイセは顔を赤くしながら1歩下がった

 

「じょ、女性を裸にしてから食べる……?まさか、あなたが噂に聞くエッチ蝙蝠なんですか!?女性を裸にするなんて不埒です!そういう事は、女性と結婚してからじゃないといけません!非人道的です!」

 

「俺、もう悪魔だから人の道外れてんだけど……?」

 

「ロスヴァイセ、男と言う生き物はみな性欲が盛んなのじゃ。エロエロなのじゃ。相変わらず生真面目で堅いのぉ。そんなじゃから、勇者の1人や2人ものに出来んのじゃ」

 

オーディンが嘆息しながら言うと、ロスヴァイセは瞳を潤ませながら叫んだ

 

「ど、どうせ私は彼氏いない歴=年齢の戦乙女(ヴァルキリー)ですよ!好きで処女やってる訳じゃなぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!私だって、カッコイイ彼氏とエッチな事したいのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!うぅぅ!」

 

ロスヴァイセは自虐し、新に会った時と同じ様に泣き出してしまった

 

その後オーディンは「世は試練だらけじゃが、楽しい事もあるぞい。存分に楽しんで、存分に苦しんで前に進むのじゃ」と言い残してからロスヴァイセと共に病室をあとにした

 

「彼氏いない歴=年齢の処女ヴァルキリーねぇ……」

 

「新?今の女性も狙うつもり?」

 

「まぁな、あれは堕ちたら激しくなりそうだ。男に免疫が無い分、反動が一気に来るだろうな」

 

「あなたって……本当に女性を食べて生きてる様なヒトね……」

 

後に新は『エッチ蝙蝠』だけじゃなく、リアスから『女性喰いの蝙蝠』と言う二つ名を付けられてしまった………

 

しかし、本人は好きに呼べば良いと別に気にする事も無かった

 

 

―――――――――――

 

 

「アザゼルさんよぉ、いきなり呼び出して何の用だ?もうすぐで俺達は人間界に帰るんだけど」

 

新は冥界の土産屋でレイナーレ達の土産(酒と温泉の元)を買い終わった後、突然アザゼルに呼び出された

 

レーティングゲーム前にミーティングを行った部屋に輝く魔方陣

 

それは今まで見た事が無かった紋様だった

 

「そうメンドくさがるなよ?お前がいないと話にならねぇんだ」

 

「いったい何処へ行くんだよ?まずそれを教えてくれ」

 

「冥界の牢獄――――――カテレア・レヴィアタンのところだ」

 

新は意味が分からなかった

 

何故わざわざテロリストの身柄が拘束されている場所に行かなければならないと………

 

新はその理由をアザゼルに聞いてみた

 

「実は以前からカテレアに『禍の団(カオス・ブリゲード)』の情報について訊いてるんだが、未だに黙秘を続けてんだよな〜。……そこで理由を訊いてみたんだ」

 

「ふむふむ」

 

「そしたら―――――『闇皇(やみおう)の蝙蝠が来てくれるなら話します』って意地張ってやがるんだ」

 

「ますます意味が分からん……」

 

「とにかく、貴重な情報を聞き出すには新の協力が必要だって事。な?頼むよ」

 

新は顔をしかめながら頭を掻く

 

だが、今は『禍の団(カオス・ブリゲード)』の情報を少しでも多く手に入れるのが先決

 

新は渋々了解した

 

「よっしゃ。じゃあ早速向かうぞ」

 

アザゼルが魔方陣の中に入り、新も続いて足を踏み入れる

 

そして魔方陣が光り輝き、新とアザゼルは部屋から姿を消した

 

 

―――――――――

 

 

冥界のとある牢獄

 

その最奥の独房にカテレア・レヴィアタンがいるらしく、途中の道々には魔力を封じる術式が幾重にも張り巡らされていた

 

「ここから先は魔力を一切使えない。つまり、カテレアもお前も人間並みの力に下がっちまうってこった」

 

「どうりで不快な感じになると思っていたが、そういう事かい。こりゃあ『ビッグロック』よりも厳重だな」

 

2人して最奥の独房に向かってしばらく進んでいくと、見張りが立っている扉の前に着く

 

「こん中にカテレアがいるぞ。『禍の団(カオス・ブリゲード)』のチーム構成やら何やら、出来る限り多くの情報を聞き出してこい」

 

「へいへい」

 

「んじゃ、時間を掛けてゆっくりと―――――な?」

 

最後の意味深な言葉に目を細める新は、扉を開けて独房の中に入る

 

そこの魔力封じの術式はより強力で、新は一瞬目眩を起こしてしまう

 

「ったく、何処にいんだよ。明かりが蝋燭の火数本だけって……懐中電灯くらい寄越せよな」

 

チャプッ………

 

ぶつくさ文句を言ってると、ふいに水音が聞こえてきた

 

その方角を見てみると、湯気が立ち上ってる場所で女性らしき人影が

 

「何をしてんだテロリスト風情が」

 

「――――っ?ようやく来てくれましたね、闇皇(やみおう)の蝙蝠。けれど、あなた方にはプライバシーと言うものが無いのですか?女性の入浴を無断で覗くなんて破廉恥極まりない」

 

「テロリストが独房で風呂入ってる事自体おかしいだろ。何なんだこの独房は」

 

「仕方ないじゃですか。ずっと体を洗えないなんて冗談じゃありません。アザゼルに言って作ってもらいました」

 

要はカテレアの我が儘によって作られた独房らしい

 

普通、捕縛されたテロリストに決定権などは無い筈なのだが………

 

「まぁ、そこは一旦置いておこうか。手っ取り早く本題に入る。『禍の団(カオス・ブリゲード)』の情報を聞かせてもらうぞ」

 

「……良いでしょう。ですが、少し待っていただけます?裸ではお話に気が散ってしまうので、せめてタオルぐらいは巻かせてください」

 

ザパッ………

 

カテレアは湯から上がり、側に置いてあったタオルを体に巻きつける

 

タオルからはみ出る上乳が存在感を強調しており、濡れた太股(ふともも)が色っぽく見える

 

「これはこれで良いな」

 

「いやらしい視線ですね……流石はエッチ蝙蝠」

 

「もう何かその名前定着しつつあるから何も言わん。さてと、じゃあまずは……『禍の団(カオス・ブリゲード)』の組織構成について教えてくれ」

 

新はメモ帳とペンを手に持ってカテレアに訊く

 

「まず『禍の団(カオス・ブリゲード)』は3つの組織に分類されています。1つは白龍皇(はくりゅうこう)ヴァーリが率いるヴァーリチーム。彼らは唯一単独での行動を許可された特殊な部隊です。まぁ白龍皇(はくりゅうこう)のスペックを見込んで許可を出したのでしょう。2つ目は私が所属していた旧魔王派―――――現魔王に恨みや不満を抱いた者の集まりです」

 

「あんたレヴィアたん様にすげぇ敵意むき出しだったもんな」

 

「お黙りなさい」

 

殺気のこもった一言を放つカテレアに、新はあと1つの構成組織について訊いた

 

「あと1つは……英雄派と呼ばれています」

 

「英雄派?そいつはどんな集まりなんだ?」

 

「詳しくは分かりません。『禍の団(カオス・ブリゲード)』と言っても、利害が一致しているから手を組んでいるだけの関係ですので、他の組織には干渉する事は殆ど皆無です。ただ、英雄派の特徴は……構成員が人間で統一されていると聞いています」

 

“人間がテロ組織に加入している”

 

その情報に新は複雑そうな表情になった

 

「普通の人間じゃねぇ事は確かだな……察するに、そいつらは神器(セイクリッド・ギア)の所有者か?」

 

「殆どそうですね。中には神滅具(ロンギヌス)を所持している者も」

 

神をも葬る神器(セイクリッド・ギア)――――――神滅具(ロンギヌス)

 

一誠やヴァーリと同種の神器(セイクリッド・ギア)が英雄派の中に存在する……

 

「ふぅん……だが、目的は一緒なんだろ?世界を破滅と混沌に導くだっけ?闇人(やみびと)と大差ねぇな。要は気に入らない奴を殺して自分達が好き勝手に出来る世界を作り上げようとしているだけ。そんな考えは古臭い」

 

「好き勝手に言ってくれますね……もし魔力封じの術式が無かったら、あなたを消し飛ばしていますよ?」

 

「術式があろうが無かろうが、今のあんたじゃ俺には勝てねぇよ。新しい力も覚醒して更に強くなったからな。やるだけ無駄だ」

 

カテレアは憎々しげに舌打ちをする

 

「その英雄派って奴らは、まだ表立った動きを見せていないのか?」

 

「……ええ。まだ特には」

 

「なるほどね……まぁ、今は組織の構成が判明しただけでも儲けだな」

 

「……もう行ってしまうのですか?」

 

新が立ち上がろうとしたところ、カテレアが何故か物欲しげな眼差しで見ている

 

新は何となく美味しそうで嫌な予感がした

 

「……何だ?」

 

「あなたは最低なヒトですね。以前、あれだけ私を辱しめておきながら責任を取らずに帰り、今もまた帰ろうとしている」

 

「何が言いたい?」

 

「悪魔から何かを得るには、相応の対価を払わなければなりません。ですので、偉大なるレヴィアタンの血を引く私に対価を払ってくださいと言っているのです」

 

「捕まってる時点で偉大なるもクソもねぇだろ。……あ〜はいはい。その偉大なるレヴィアタン様は何をお望みで?」

 

「……わ、私と……性交をなさってください」

 

新はうんうんと頷き、カテレアの肩に手を置く

 

カテレアはすぐに始まるのかと思いドキッとしてしまうが――――――

 

「ちょっと待ってろ。アザゼルから頭の薬を貰ってきてやる。出来るだけ即効性のやつをな」

 

「何ですかその憐れみの目は!別に頭がおかしくなった訳ではありません!」

 

「当然だろ。あれだけエロを否定してたお前が、いきなり『セッ◯スしましょう』とか言ってきたらおかしいと思うわ」

 

「そ、それはあなたのせいでもあるんですよ!あなたのせいで……わ、私はすっかりあの感覚を忘れられなくなって、毎日体が疼いてしまうのです……。独房の中で……毎日自分を慰めてばかりで……」

 

カテレアはモジモジしながら自分の胸を揉み、下のアソコを弄る

 

新の目の前で………

 

「ダメだこいつ、早く薬を射ってやらないと……」

 

「そんな手遅れの人を見る様な目をやめなさい!だから、あなたに責任を取って欲しいのです!」

 

「いやいやいやいや、流石に独房の中でセッ◯スなんてした事ねぇから俺困るんだけど?」

 

「ご心配には及びません。アザゼルにもこの事は一応話していますから扉と鍵は堅牢、最奥ですので音が漏れる事もありません」

 

「アァァァァァザァァァァァァゼェェェェェルゥゥゥゥゥゥッ!」

 

新は超ダッシュで扉へ向かい叩きまくる

 

すると、扉の小窓が開いてアザゼルの目が視界に映った

 

「クソ堕天使!こいつはてめぇの差し金かゴラァ!」

 

「今さら何言ってんだよ。カテレアを脱がして乳揉みまくったクセにぃ。カテレアがどうしてもって言うから汲んであげた訳よ。お前も男なら据え膳食っちまえ☆それまでこっから出さねぇから」

 

「見張りィィィィッ!その男に監禁罪を適用するべきだ!牢にぶちこめぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

「……ぐ、グーグー……」

 

「狸寝入りしてんじゃねぇ!しかもバレバレだろうがぁぁぁぁぁぁぁっ!あっ!コラ!閉めんな!開けろアザゼルゥゥッ!」

 

新は完全に逃げ道を失ってしまった……

 

とりあえずカテレアの所に戻り、不機嫌に座り込む

 

「いい加減覚悟を決めてください……私だって、男性に初めてをあげる覚悟を決めたんですから……」

 

「お前処女だったのか……あ〜もう、良いんだな?」

 

「偉大なる真のレヴィアタンの血を引く私に二言はありません!で、では……お願いします……っ」

 

2人の性交を小窓から眺めたアザゼルは「若いって良いよなぁ……」と1人黄昏ていたりする……

 

 

―――――――――――

 

 

カテレアから『禍の団(カオス・ブリゲード)』の情報を聞き出した翌日、新は帰り支度を終えてグレモリー家私有の列車に向かおうとしていた

 

途中でセラフォルー・レヴィアタンとソーナ率いるシトリー眷属と鉢合わせした

 

彼女らもシトリー眷私有の列車に乗って人間界へ帰るらしいので、丁度良かったから共に駅へ行く事にした

 

「あ〜……やっと人間界へ帰れる。久々に酒でも飲もっと」

 

「竜崎くん?いけませんよ。あなたは高校生なんですから飲酒は控えてください」

 

「生徒会の前で飲酒宣言をするなんて、大した度胸ですね」

 

ソーナ会長と椿姫副会長のメガネがキラリと光る

 

新は欠伸をして「へいへ〜い」と生返事

 

「もうっ、ソーナちゃんは堅すぎるの。新くんもゴメンね?」

 

「いやいや、ソーナ会長らは生徒会だから当然だろうけどさ。冥界に来た時ぐらいは羽目を外した方が良いんじゃねぇの?」

 

「そんな事を言ってると日常生活でも怠け癖がついてしまいます。そうならないように、常日頃から規律正しくしていなければなりません。お姉様もいい加減に竜崎くんから離れてください」

 

「ぶ〜っ。ソーナちゃんったら、新くんにおっぱい見られてもあんまり変わらないのね」

 

セラフォルーから放たれた空気が凍る一言

 

ソーナは湯気を噴きながら顔を真っ赤にし、匙はこの世の物とは思えない形相でグキグキと首を新の方向に向けた

 

「リュウザキ……?オマエ、カイチョウニナニヲシタ……?カイチョウノオッパイヲミタノカ……!?」

 

「おぉっと!?匙の顔がR18指定になってるぅ!?」

 

「お姉様!?こんな場所でいきなりなんて事を言うのですか!?」

 

「つ〜んっ。ソーナちゃんは少し堅すぎるの。そんなんじゃ彼氏なんて出来ないよ?」

 

「今は彼氏がどうとか関係ありません!」

 

ソーナは姉のセラフォルーと口論する中、匙は全身をガクガクと痙攣させながら新を睨んでいた

 

「竜崎ぃ……会長に何をしやがった……?会長のおっぱいを見たのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!?」

 

「セラフォルー様よ!あんた何爆弾落としてくれてんだ!?匙が一誠みたく暴走起こしそうになってる!」

 

「匙、ソーナだけじゃなく、私達も竜崎新くんに裸を見られてしまいました」

 

「副会長ォォォォォッ!余計な油を注ぐなァァァァァァァッ!」

 

椿姫副会長は悪戯な笑みを浮かべ、匙は更に全身をガクガク震わせて新に詰め寄った

 

「竜崎ぃィィィィィィィィッ!俺はなぁ!俺はなァァァァァァァッ!おっぱいなんてまだ1度も見た事ねぇんだぞォォォォォッ!触った事もねぇんだぞォォォォォッ!それを、それをお前は自由気ままにィィィィィィィィィッ!しかもぉ!会長だけじゃなく、椿姫副会長のおっぱいも見ただとォォォォォッ!?」

 

「私だけじゃない。由良、巡、花戒、草下も竜崎新くんに裸を見られました」

 

「殺しィィィィィィィィィッ!」

 

匙は魔力を迸らせて新に殴り掛かるが、逆に魔力弾で吹き飛ばされてしまう

 

「椿姫副会長!あんたゲームの事を根に持ってるのか!?」

 

「あなたが破廉恥な事をするからですよ。自業自得です。これに懲りたら、2度とあの様な事はしないでください」

 

「だが断る!」

 

「迷い無く言いましたね……だから『エッチ蝙蝠』と言う名前を付けられてしまうんですよ?」

 

「構わねぇよ。男がエロいのは自然の摂理。椿姫副会長もそんなんじゃ、彼氏が出来た時に長続きしませんぜ?」

 

言われた途端に椿姫はソーナと同じくらい顔を真っ赤にした

 

「おっと、もう発車時間ギリギリじゃねぇか。んじゃ、急ぐわ。リベンジしたかったらいつでも言ってくれや」

 

新はそれだけ言い残して帰りの列車に乗った

 

「ねぇねぇソーナちゃん、椿姫ちゃん。皆は新くんにリベンジ申し込みたいの?」

 

「……そうですね。いずれ彼との再戦をしたいものです」

 

「このまま彼に勝てずにいるのは後味が悪いですので……」

 

「フフッ。じゃあ、その時はお姉ちゃんに言ってね?いつでも手伝ってあげるから☆」

 

 

―――――――――

 

 

帰りの列車の中、新は窓の景色を眺めながら座っている

 

右には朱乃が腕にしがみつきながら熟睡しており、左にはゼノヴィアが頭を新の肩に寄せながら眠っている

 

行きと殆ど変わりない状況だった

 

ただ1点だけ違うのは……

 

「にゃん♪」

 

ほぼ無表情だった小猫が満面の微笑みを見せながら、新の膝に座っていた

 

猫耳をピコピコ動かしながら

 

リアスから聞いた話によると、これは猫又の副作用らしい

 

「しっかしまぁ、あの小猫がこんな可愛い顔をしてくれるとは予想外だ」

 

「にゃにゃん♪」

 

ドフッ!小猫は笑顔で新の鳩尾にタックルするように抱きついた

 

いくら可愛くても『戦車(ルーク)

 

バカ力は健在だった

 

「ちょっ、タンマ小猫……鳩尾はやめろ。リバースしちまう……」

 

こうして冥界での生活は終わり、新逹は人間界へ戻ってきた

 

地下ホームに着き、新は腰を数度回し、一誠は背伸びをする

 

ふと、一誠がアーシアに振り返ってみると、アーシアは謎の優男に言い寄られていた

 

「アーシア・アルジェント……。やっと会えた」

 

「あ、あの……」

 

「おいおいおい!アーシアに何の用だ!」

 

一誠はすぐに2人の間に入る

 

新は優男の顔を見て思い出す

 

「お前、ディオドラ・アスタロトって奴じゃねぇか?確か、現ベルゼブブが出た家の」

 

「……あ、思い出した。若手悪魔の会合でいた!」

 

そう、ディオドラ・アスタロトは過去にアーシアが助けた悪魔

 

アーシアが教会を追放される切っ掛けとなった悪魔だった

 

「アーシア、僕はキミを迎えに来た。会合の時、挨拶出来なくてゴメン。でも、僕とキミの出会いは運命だったんだと思う。僕の妻になって欲しい。僕はキミを愛しているんだ」

 

ディオドラ・アスタロトは一誠達の目の前でアーシアに求婚した




長くなりましたが5章終了です!次回から第6章に移ります!

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