ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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闇人襲来、『チェス』のメンバー

時間を少し戻し、新と小猫、一誠、リアスがいなくなった会場にて

 

4人がいなくなった事に最初に気づいたのは祐斗だった

 

パーティ会場では魔王サーゼクスの挨拶が開始される寸前で、アーシアとゼノヴィアも不審に思っていた

 

「イッセーくんと新くん、どうしたんだろう?もう魔王さまの挨拶が始まるのに」

 

「それが……イッセーさんはお知り合いの方を見たから挨拶に」

 

「うん。私もそう聞いた。新はいつの間にか、いなくなっていたんだ」

 

「何だろう……嫌な胸騒ぎがしてならない」

 

魔王サーゼクスが舞台に立ち、マイクを手に挨拶をしようとした瞬間―――――事件は起こった

 

 

コォォォォォォ………

 

 

突如床に輝く魔方陣

 

それは誰も見た事が無い紋様だった

 

悪魔達が遠ざかり、青く輝く魔方陣から何者かの声が聞こえてくる

 

『ごきげんよう悪魔の諸君。ここら一帯は少しの間、我々が占拠させてもらったよ』

 

魔方陣から青い光の柱が発生し、光が止むと8人の人影が現れた

 

祐斗達は勿論、サーゼクスもよく知ってる顔ぶれだった

 

「君は……『2代目キング』の……!」

 

蛟大牙(みずちたいが)だ。パーティの最中に済まない」

 

悪魔達が戦慄する

 

全魔族の天敵である闇人(やみびと)――――その重鎮組織『チェス』がパーティに堂々と乱入してきた

 

闇人(やみびと)だと!?」

 

「バカな!警備は何をやっていたんだ!」

 

狼狽(うろた)える悪魔達に大牙はパンパンと静かにさせる様な手拍子を打つ

 

静寂に包まれたのを確認してから、大牙は口を開く

 

「魔王サーゼクス・ルシファー。厳重に警備をしていたつもりだろうが、我々にしてみれば子供が作ったバリケードの様な物だ。もう少し気を引き締めねば、我々闇人(やみびと)には勝てないぞ」

 

「『2代目キング』。魔王である私を狙ったテロ行為と受け取って良いんだね?」

 

「我々がここに来たのはただの挨拶だ。魔王主催のパーティは、我ら『チェス』のメンバーを紹介するのに相応しい機会だと思ったからな。奇襲などと言う姑息な手段は使わん。どうしても戦いたいと言うなら、その者だけかかってくれば良い。無駄に種族を減らすだけだと思うがな」

 

自信満々に言い放つ大牙

 

乱入しておきながら挑発じみた言葉に悪魔達は腹を立てる

 

しかし、サーゼクスは皆を落ち着かせる

 

今、向こうに戦う意思が無いなら無駄な争いをするべきではない……と

 

「少しは利口になったものだ。改めて自己紹介といこう。オレは闇人(やみびと)の『2代目キング』、蛟大牙」

 

次に水色の長髪をした、おしとやかで綺麗な女性が言ってくる

 

「私は『チェス』の『2代目クイーン』を務める、アスカ・シャーベットと申します」

 

「キヒヒッ。ボクは『ビショップ』の神風(かみかぜ)だよ〜。よろしくね〜?」

 

「俺は『ナイト』の神代剣護(かみしろけんご)。腐りきった世を正す、神に成り代わる男だ」

 

神代剣護の名にゼノヴィアは表情を強張(こわばわ)らせた

 

かつての上司が、自分を本気で殺そうとした男が目の前にいる……

 

ゼノヴィアの手が震えを増した

 

次に口を開いたのは忍者装束に身を包んだサングラスの男だった

 

(それがし)は『ルーク』。姓は風魔(ふうま)、名をヤタロウ―――――風魔小太郎(ふうまこたろう)の子孫にござる」

 

風魔小太郎とは戦国時代、北条家に仕えていた忍の軍団、風魔一党の頭領の名前及び伝説と呼ばれた忍者である

 

途絶えた筈の風魔の血が現代に蘇り、闇人(やみびと)の手に渡っていた……

 

「私は『ポーン』の村上京司(むらかみきょうじ)。どうぞお見知りおきを」

 

「村上京司!?あの時死んでいなかったのか!?」

 

現存している村上京司の姿に祐斗達は驚いた

 

人身売買のオークション時、光帝(こうてい)の鎧を纏った八代渉(やしろわたる)に斬られ絶命したと思っていたのだろう

 

動揺せざるを得なかった

 

ギュィィィィィンッ!

 

「次は俺の番だZE()It's(イッツ) Show(ショー) Time(タイム)!!」

 

三ツ又槍の様なエレキギターを豪快に鳴らしているのは、魔人態(まじんたい)であろう姿をした異形の存在

 

額から伸びる巨大な2本の角に金色の目

 

胸部には化け物の様な口を(かたど)ったアーマーに、翼の様な両肩

 

悪魔のごとき黒い体躯は禍々しさを放つが、その者の行動に拍子抜けとなった

 

「HEY!HEY!HEY!俺は『ポーン』の阿久津野大庵(あくつのだいあん)ZE()!ダイアンって呼んでくRE()!」

 

独特過ぎる口調とエレキギターの音で、真剣な空気が台無しになってしまったが……大牙は然程気にしていない様子でいた

 

最後も同じく、魔人態(まじんたい)らしき姿をした白い異形の闇人(やみびと)

 

氷の如く冷たそうな青い目を持ち、両肩には爪のような武器が生えている

 

「俺は『ポーン』のストレイグ・ギガロプス。まぁ、しがない殺し屋ってところだな」

 

これで『チェス』のメンバー全員が名乗りを終えたのだが……神風が挙手してきた

 

「どうした『ビショップ』?」

 

「いやさぁ。このまま帰っちゃうのはボク的に納得がいかないんだよね〜。乱入してまでやる事がただの自己紹介で終わっちゃうとか……何か嫌なんだよねぇ」

 

不機嫌そうな顔つきで吐き捨てる神風

 

そして頭に電球マークを出現させ、何かを(ひらめ)かせた

 

「そうだっ。新しく『チェス』に加わった『ポーン』2人の力をクソ悪魔共に見せつけてやろうよ♪このままイベント無しで帰るのは逆にシラケるし。うん、そうしよう!勿論オッケーだよね?」

 

Yeah(イエー)!俺の相棒のギター『エレク』で会場を熱狂させてやるZE()!」

 

「悪魔を痛めつけられるなら大歓迎だ」

 

新参者の『ポーン』2人は神風の提案に乗り、戦闘体勢に入る

 

大牙は神風の自分勝手振りに腰と額に手を当てて嘆息した

 

「ちょっと待て!さっきまで戦う気は無いって言ってたクセに何なんだよ!」

 

神風の煽りに猛反論する者がいた―――――匙だった

 

「キヒヒッ。活きの良さそうなクソ悪魔がいるね〜♪ボクの言う事に何か文句でもあるのかい?」

 

「あるに決まってんだろ!闇人(やみびと)ってのはお偉いさんの言う事を1つも守れない種族だってのか?」

 

「キヒヒッ。クソ悪魔の分際でなかなか言うね〜?別に良いでしょ。『キング』だって文句言ってこないんだし。大丈夫だよ、今日は殺したりしないから♪もしかしてビビっちゃったかな〜?」

 

「だ、誰がビビってるだと!?」

 

「落ち着きなさい、サジ」

 

見下す言動に匙は激昂してしまうが、挑発に乗ってはいけないとソーナ会長が手で制止する

 

神風はそれを面白くなさそうな目で見ていた

 

「な〜んかちょっとムカつくな……ストレイグ。あのメガネのお姉さんにヤっちゃって」

 

「ほぅ。良いんだな?」

 

ストレイグと呼ばれた白い闇人(やみびと)は両腕に巨大な爪型の武器を出現させ、掌から氷柱が飛び出す

 

その照準はソーナ会長だった

 

「――――ッ!会長!」

 

匙はソーナ会長に向かって飛んでくる氷柱を全て弾いたが――――――

 

「主を守る『兵士(ポーン)』ってか?良いねぇ、隙だらけで」

 

ガゴォッ!

 

隙を突いたストレイグの掌打(しょうだ)が匙の顔面を地面に叩きつけた

 

「サジッ!」

 

「弱いな。こんな掌打(しょうだ)すらかわせねぇとか。ま、お前の血と泣き声で気分を晴らさせてもらおう――――――おっ?」

 

ガキィィィンッ!

 

ストレイグの爪が誰かの攻撃を防ぐ

 

「君って卑怯な闇人(やみびと)だね。流石に嫌気が差してきたよ」

 

「お前が噂に聞いた聖魔剣(せいまけん)の使い手か。悪魔がそんな偽善を語るとは驚いたぜ」

 

祐斗の聖魔剣(せいまけん)とストレイグの爪が火花を散らし合い、2人は距離を取る

 

「お前もなかなかの血と泣き声を見せてくれそうだ」

 

HEY(ヘイ)HEY(ヘイ)HEY(ヘイ)!俺も燃えてきたZE()!」

 

シャー………

 

2本角を生やした黒い闇人(やみびと)は自前のギターから刀剣を取り出す

 

どうやら『エレク』と呼ばれる三ツ又槍型のギターは仕込み刀も備わっているようだ

 

妖しい色の刀身を持った剣は濃い禍々しさを放つ

 

「いくZE()Rock'n Roll(ロックンロール)!」

 

ダイアンは剣と三ツ又槍で突いて、祐斗に魔力の斬撃を飛ばしまくる

 

祐斗は聖魔剣(せいまけん)で全ての斬撃を弾き返す

 

YAH(ヤー)!お前スッゲーNA()!全部防いでるZE()!なら、こいつはどうDA()!?」

 

黒い闇人(やみびと)は仕込み刀を戻し、エレキギターを弾いて衝撃波を生み出す

 

豪快な音は祐斗だけじゃなく、周りの悪魔達にも被弾してしまう

 

祐斗は地面から聖魔剣(せいまけん)を幾重にも出し、壁の様な遮断物を作って防御した

 

「チッ。あいつ、少しは周りにも気を配れっての」

 

ストレイグは飛び退いて大牙達がいる魔方陣へ

 

エレキギターの出す衝撃波は敵味方問わず襲い掛かり、周囲のテーブルも破壊していく

 

大牙はそろそろ潮時かと『ルーク』の風魔ヤタロウに指示を出す

 

「『ルーク』。『ポーン』を止めてくるんだ」

 

「御意に」

 

『ルーク』が一瞬で姿を消し、ダイアンの腕を押さえる

 

「おっ?何だYO()?」

 

「『キング』のご指示で貴殿を止めに来た。引き上げ命令でござる」

 

「マジDE()?もう帰るのKA()?まぁ、命令だったら仕方ねぇKA()……OK」

 

命令通りにギターを止めて魔方陣へ戻っていく

 

青い光に包まれながらも、大牙はサーゼクスの方を向く

 

「魔王サーゼクス。我々は必ず全魔族の頂点に立つぞ。闇人(やみびと)こそが全世界を統べるに相応(ふさわ)しい魔族と言う事を証明する」

 

『チェス』が魔方陣によって姿を消していく

 

一時の静寂に包まれ、ストレイグにやられた匙が目を覚ました

 

主の前で不甲斐ないところを見せてしまい、匙は悔しさにまみれてパーティ会場の床を拳で叩く

 

魔王主催のパーティは闇人(やみびと)の乱入によって急遽中止と形で幕を閉じた……




今回登場した2人の『ポーン』なんですが、黒い方は仮面ライダーアーク+カプリコーンゾディアーツ、白い方は仮面ライダーレイが元ネタとなっております。

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