ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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連続投稿です!


修行開始、ウェルダンは勘弁してね!

翌朝、新達は広い庭の一角に集まっていた

 

服装は全員ジャージである

 

資料やデータらしき物を持ったアザゼルが口を開く

 

「先に言っておく。今から俺が言うものは将来的なものを見据えてのトレーニングメニューだ。すぐに効果が出る者もいるが、長期的に見なければならない者もいる。ただ、お前らは成長中の若手だ。方向性を見誤らなければ良い成長をするだろう。さて、まずはリアス。お前だ」

 

アザゼルが最初に呼んだのはリアスだった

 

「お前は最初から才能、身体能力、魔力全てが高スペックの悪魔だ。このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になる頃には最上級悪魔の候補となっているだろう。だが、将来よりも今強くなりたい、それがお前の望みだな?」

 

「ええ。もう2度と負けたくないもの」

 

アザゼルの問いにリアスは力強く頷く

 

アザゼルはリアスのトレーニングメニューが記された紙を渡すが、リアスはその内容を見て首を傾げた

 

「……これって、特別凄いトレーニングとは思えないのだけれど?」

 

「そりゃそうだ。基本的なトレーニング方法だからな。お前はそれで良いんだ。全てが総合的にまとまっているから基本的な練習だけで力が高められる」

 

「なるほど。『(キング)』としての資質を向上させる為のトレーニングメニューか」

 

リアスのトレーニングメニューが記された紙を覗いた新が言う

 

アザゼルはその言葉を肯定した

 

「新の言った通り、お前には『(キング)』としての資質が欠けている。『(キング)』は時と場合によっては、力よりも頭脳が求められる。フェニックス家との一戦は見せてもらったが―――――新がキレたのも分かる。他にもリタイヤしていった奴もいるってのに、そいつらに勝ちを持っていくのも『(キング)』の務めだ。お前は戦況を見ずに勝手に投了《リザイン》しやがった。そんなんじゃ、これからのゲームには絶対勝てねぇ。闇人(やみびと)との戦闘なら尚更だ」

 

名目上ゲームと言っても実際は殺し合いの様なもの

 

リアスはフェニックス戦での自分の不甲斐なさを思い出した

 

冷静になって、自分でも情けないと思っているのだろう

 

「次に朱乃」

 

「……はい」

 

朱乃は不機嫌な様子で返事をした

 

父が堕天使の幹部――――――つまり総督アザゼルの部下であるから、それ絡みでアザゼルを苦手と言うか嫌っているらしい

 

「お前は自分の中に流れる血を受け入れろ」

 

「―――――ッ!」

 

ストレートに言われたせいか、朱乃は顔をしかめた

 

「お前のフェニックス家との一戦も、記録した映像で見せてもらったぜ。何だありゃ。本来のお前のスペックなら、敵の『女王(クイーン)』を苦もなく打倒出来た筈だ。何故、堕天使の力を振るわなかった?雷だけでは限界がある。光を雷に乗せ、『雷光(らいこう)』にしなければお前の本当の力は発揮出来ない」

 

朱乃は堕天使の血を引いているので、光の力を使う事が出来る

 

悪魔相手ならそれは効果的

 

更に得意の雷に光を乗せれば威力と速度は格段に上がる

 

しかし、朱乃は複雑極まりない様子だった

 

「……私は、あの様な力に頼らなくても」

 

「否定するな。自分を認めないでどうする?最後に頼れるのは己の体だけだぞ?ツラくとも苦しくとも自分を全て受け入れろ。お前の弱さはお前自身だ。決戦日までにそれを乗り越えてみせろ。じゃなければ、お前は今後の戦闘で邪魔になる。『雷の巫女』から『雷光(らいこう)の巫女』になってみせろよ」

 

アザゼルの言葉に朱乃は応えられなかったが、少なくともやらなきゃいけない事ではある

 

その後も各トレーニングメニューを告げていくアザゼル

 

祐斗は禁手(バランス・ブレイカー)の状態維持を向上+基本トレーニング

 

ゼノヴィアはデュランダルを使いこなす事と、もう1本の聖剣に慣れる特訓

 

もう1本の聖剣が何なのかはまだ教えないらしい

 

ギャスパーは専用の『引きこもり脱出計画!』なるプログラムの実践

 

アーシアは神器(セイクリッド・ギア)の範囲拡大および回復のオーラを飛ばせるようになる基本トレーニング

 

身体と魔力の向上も兼ねているが、メインは神器(セイクリッド・ギア)の強化にある

 

「次は小猫」

 

「……はい」

 

小猫はこの日、何故か気合いの入った様子でいた

 

最近までは調子が悪そうだったのに、今日は妙に張り切っていた

 

「お前は申し分ない程、オフェンス、ディフェンス、『戦車(ルーク)』としての素養を持っている。身体能力も問題無い。だが、リアスの眷属には『戦車(ルーク)』のお前よりもオフェンスが上の奴が多い」

 

「……分かっています」

 

ハッキリ言うアザゼルの言葉に小猫は悔しそうな表情を浮かべていた

 

「リアスの眷属でトップのオフェンスは現在新だ。その次に木場とゼノヴィア。禁手(バランス・ブレイカー)聖魔剣(せいまけん)、聖剣デュランダル、更には闇人(やみびと)が作った『闇皇(やみおう)の鎧』と凶悪な兵器を有してやがる。ここにイッセーの禁手(バランス・ブレイカー)が入ると――――――」

 

アザゼルの言う通り、新や祐斗、ゼノヴィアのパワーはこの中でもズバ抜けている

 

特に新は『進化する昇格(エボルシオン・プロモーション)』を持っており、1つは目覚め、あと3つの形態が覚醒を待ち望んでいる

 

「小猫、お前も他の連中同様、基礎の向上をしておけ。その上で、お前が自ら封じているものを晒け出せ。朱乃と同じだ。自分を受け入れなければ大きな成長なんて出来やしねぇのさ」

 

「…………」

 

アザゼルの言葉に小猫は一気に消失してしまった

 

新は小猫自身が封じている力について気になった

 

そして目を見た……

 

自身が封じている力に恐怖を抱いてるようだ……と新は悟る

 

一誠は元気付けようと小猫の頭を撫でようとしたが、新に止められる

 

新は無言で首を振って、手を引っ込めさせた

 

「さて、最後はイッセーと新だ。お前らは……ちょっと待ってろ。そろそろなんだが……」

 

空を見上げたアザゼル

 

それにつられて新と一誠も見上げると、巨大な何かが猛スピードで向かってきた

 

彼らの眼前に現れたのは――――――

 

「―――――ドラゴン!」

 

「そうだ、イッセー。こいつはドラゴンだ」

 

「アザゼル、よくもまあ悪魔の領土に堂々と入れたものだな」

 

「ハッ、ちゃんと魔王様直々の許可を貰って堂々と入国したぜ?文句でもあるのか、タンニーン」

 

「タンニーン……それがこのドラゴンの名前か。"担任"から(もじ)ってんのか?それとアザゼル。まさかとは思うが……このドラゴンが俺達の?」

 

「あぁ。こいつがお前らの先生だ」

 

「「ええええええええええええええええっ!?」」

 

新と一誠は揃って絶叫した

 

「ドラゴンとの修行は昔から実戦方式だ。目一杯鍛えてもらえ」

 

「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇぇっ!おまっ、こんな大怪獣と戦えってのか!?」

 

「心配すんなって。ちゃんと手加減してくれっから」

 

「「マジで?」」

 

「あぁ。ただし新、お前はダメだ」

 

サラサラサラサラサラサラ………

 

新はショックで粉末状になった

 

しかし、すぐに復活して不敵な笑みを浮かべる

 

「クックックックッ……」

 

「おっ?どうした、やる気になったか?」

 

新は突如、闇皇(やみおう)に姿を変えて飛び上がる

 

タンニーンの目線の高さまで飛んだ新は、そこから高速回転しながら地面へ降り――――――

 

「手加減してくだせぇぇぇぇぇっ!お願ぇしますだぁぁぁぁぁっ!ドラゴンの旦那ァァァァァッ!」

 

見事な土下座を決めた(笑)

 

一誠達はズッコケ、アザゼルは腹を抱えながら大爆笑した

 

「新ァァァァァッ!その姿になって何情けない事してんだァァァァァッ!」

 

「うるせぇボケェェェェェェッ!相手はドラゴンなんだぞ!?誰だって土下座するわぁっ!しかも、一誠は手加減してくれっから良いじゃねぇかぁっ!俺なんかハナッからフルパワー!殺意MAXで最大(マキ○マム)ドライブ、リミット破壊(ブ○イク)されちまうんだぞぉぉぉぉっ!間違いなく死ぬわァァァァァッ!」

 

新は一誠の首を掴んでガクンガクン揺らしまくる

 

タンニーンは笑いながら新に向かって言う

 

「お前さんはリアス嬢の眷属の中じゃ、おそらく最強クラスに匹敵している。普通に手加減しては力が上がらんのだよ。全力でやるが、死なない様にだけはしといてやるさ。『闇皇(やみおう)の蝙蝠』」

 

「差別だ!格差社会に百言物申す!一誠にもフルパワーで攻撃するべきだ!」

 

「お前それこそふざけんなよっ!俺だったら間違いなく死んでるわぁぁぁぁっ!」

 

「んなもん知るかァァァァァッ!俺だけ貧乏クジ引くなんて真っ平だ!」

 

タンニーンは言い争っている新と一誠をむんずと捕まえ、離陸体勢に入る

 

「リアス嬢、あそこに見える山を貸してもらえるか?こいつらをそこへ連れていく」

 

「えぇ。鍛えてあげてちょうだい」

 

「部長ォォォォォォッ!勝手に話を進めないでェェェェェッ!」

 

「こいつと心中なんざしたくねェェェェェッ!死ぬならせめて、朱乃やゼノヴィアとセッ◯スさせてくれェェェェェッ!あと、出来たらリアスとも」

 

「ダメよ」

 

「あらあら。新さんったら欲張りですわね」

 

「新。必ず生きて帰ってきてくれ」

 

リアス、朱乃、ゼノヴィアは笑顔で手を振って見送る

 

「部長ォォォォォォッ!」

 

「2人とも、気張りなさい!」

 

タンニーンが空へ飛び上がる

 

一誠はジタバタしながら、新は魂が抜けた様な状態で墓場―――――もとい修業場となる山へ連れ去られていった………

 

 

――――――――――

 

 

ドゴォォォォォオオオオオオオンッ!

 

新と一誠が修行場となる山に連れていかれて数日が経過したある日、容赦なく襲ってくる火炎が爆音を響かせる

 

ドドォォォォオオオオオオオオオンッ!

 

「うわぁぁぁぁああんっ!」

 

「ほーら、赤龍帝(せきりゅうてい)の小僧。もっと素早く避けんと灰になるぞ」

 

「チキショウがァァッ!」

 

逃げ回る一誠と勇猛果敢に挑む新

 

しかし、今の新は『闇皇(やみおう)の鎧』の装着箇所を制限されており、一部分しか展開出来ない

 

その為に1発でも攻撃をくらえばお陀仏である

 

ドゴォッ!

 

新は動き回りながらもタンニーンの顔面に鎧の拳を当てていく

 

ドラゴンの鱗は普通の鎧よりも硬く、生半可な攻撃ではビクともしない

 

闇皇(やみおう)の小僧は成長が早いな。最初は逃げ回ってばかりだったが、今では頻繁に攻撃に転じてきている」

 

「それでもまだドラゴン様には敵わないけど――――なっ!」

 

バゴォォォオオオオオオオオオオンッ!

 

火の息を回避しながら隙を見て攻撃を打ち込む様になっている新に対し、一誠は相変わらず逃げ隠れしていた

 

新は一旦樹木や岩などを利用して隠れ、息を殺しながら一誠の背後に回る

 

岩陰に隠れている一誠に近づき、頭を鷲掴みにする

 

「――――っ!?あ、新ッ!?」

 

「一誠……俺は死ぬ気でドラゴンのオッサンに挑んでるっつうのに、逃げ隠れたぁいかんなぁ?だから、逝ってこいやァァァァァッ!」

 

「ぎゃぁぁぁぁあああああああっ!鬼畜ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」

 

一誠は新に思いっきり投げ飛ばされ、タンニーンの火のブレスが容赦無く襲い掛かる

 

ドゴォォォォォオオオオオオオンッ!

 

「ひぃぃぃぃぃっ!死ぬ!死ぬ!殺されるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」

 

「まったく、逃げ回ってばかりではいつまで経っても修行にならないだろう。ほら、少しは闇皇(やみおう)の小僧を見習って反撃してこい」

 

「無理っスよ!あんた強すぎだもん!もしかしてヴァーリより強いんじゃないの!?」

 

「まあ、パワーだけなら魔王級とはよく言われる」

 

「無理ィィィィィィッ!魔王級のドラゴンって何!?ドラゴンってだけでもバケモノなのに、魔王級なんて相手に出来る訳ないでしょォォォォォォッ!」

 

闇皇(やみおう)の小僧は3日で攻撃を仕掛けてきたぞ。お前もそれぐらいの根性を見せてみろ」

 

「新は人間時代からバケモノと殺り合ってんだよ!しかも、悪魔に転生してからもバカみたいに強くなってるし!俺をあんなバグ野郎と一緒にしないでェェェェェッ!」

 

ピキッ………

 

一誠の発言に新は青筋を浮かべ、自分に課せられた制限を無視して闇皇(やみおう)になる

 

「ドラゴンのオッサン……今から俺も一誠をイジメてやる。本物のイジメってヤツを見せてやらぁ」

 

「ほう。どんなものか見せてもらおうか」

 

「えっ!?あ、新!?冗談だろ!?」

 

新は冗談抜きのMAXパワーで赤い魔力を両手に集中させていき………

 

「殺しはしねぇけど―――――死ねコラァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

流星群の如き魔力を一誠に撃ち放った

 

「ぎゃぁぁぁぁあああああああっ!マジで撃ちやがったァァァァァァァァッ!」

 

ドドドドドドドドドォォォォォォォォォォォンッ!

 

山の木々が次々と破壊され、大自然の光景が次々に焼け野原と化していく

 

新の所業にタンニーンは笑うしかなかった

 

そこへヒョコッとアザゼルが顔を出してくる

 

「おー、やってんな。どうよ?」

 

 

 

「見ての通り、闇皇(やみおう)の小僧が赤龍帝(せきりゅうてい)の小僧をイジメている」

 

 

―――――――――

 

 

「うみゃい!うみゃいよぉぉぉおおおっ!」

 

「ムグムグ……ん〜、美味(うめ)ぇなぁ〜♪流石リアスと朱乃だ。疲れた体に染み渡っていくぜ」

 

一誠はリアス、アーシア、朱乃の3人が作った差し入れのおにぎりを涙を流しながら食べ、新は両手に持ちながら舌鼓(したつづみ)を打つ

 

「しかし、ハハハハ。数日見ない間に多少は良いツラになったな」

 

「ふざけんな!死ぬよ!俺死んじゃうよ!このドラゴンのおっさんメチャクチャ強いよ!ドラゴンの戦いを教えてくれるって言っても実力が開き過ぎてて話にならねぇぇぇぇっ!」

 

ご飯粒を飛ばしながら号泣する一誠

 

確かに魔王級のドラゴンだから実力は雲泥の差であろう

 

「それと新!新まで一緒に攻撃してくるんだもん!これ以上耐えられねぇよ!殺す気で隕石みたいな魔力を飛ばしてきたんだぞ!?俺、ドラゴンのおっさんと新に殺されちゃいますって!童貞のまま死にたくないっス!」

 

「アホか一誠。タンニーンのオッサンが本気出してたら、俺達は今頃灰になってるだろ。まぁ、俺は死なない程度かつ殺す気でお前に撃ってるけどな」

 

「あれのどこが死なない程度だよ!?連続で撃ったり!超デケェ魔力を撃ったり!地面から撃ってきたり!明らかに殺す気満々でやってるじゃねぇかぁっ!」

 

新は泣きわめく一誠を無視して、水筒のお茶を飲む

 

お茶を飲み干した後、ある事をアザゼルに訊き始める

 

「なぁアザゼル。あの時、ヴァーリが何か呪文みたいなものを唱えようとしていたんだが、あれは何だったんだ?」

 

「あぁ、『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』の事か」

 

「『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』?」

 

「もしかして、禁手(バランス・ブレイカー)の更に上とか?」

 

「いや、禁手(バランス・ブレイカー)の上は存在しない。神器(セイクリッド・ギア)の究極は禁手(バランス・ブレイカー)だ。だがな、魔物の類を封印して神器(セイクリッド・ギア)にしたものがいくつかあってな。それらには独自の制御が施されている。お前のブーステッド・ギアとヴァーリのディバイン・ディバイディングもその例だ」

 

「独自の制御……平たく言えば、『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』は暴走みたいなもんか?」

 

新の問いにアザゼルは頷く

 

「あぁ、酷いぐらいのな。本来、神器(セイクリッド・ギア)は強力に制御されていて、その状態から力を取り出して宿主が使えるようにしている。だが、赤龍帝(せきりゅうてい)白龍皇(はくりゅうこう)神器(セイクリッド・ギア)の場合はそれを強制的に一時解除し、封じられているパワーを解放する……それが『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』だ。一時的に神に匹敵する力を得られるが――――リスクも大きい。寿命を大きく削り、理性を失う……。言うなれば、力の亡者と化した者だけが使う呪われた戦い方だ。イッセー、お前は絶対に真似するな」

 

アザゼルは真剣かつ憂いを含んだ目で一誠に忠告を出した

 

一誠は今後の修行に耐えられるかどうか不安になる

 

新は岩に頬杖をつきながら、残ったおにぎりを(むさぼ)

 

「さてと、新。ちょっと話があっから、向こうに来てくれないか?」

 

「……っ?話?」

 

アザゼルは新を呼んで少し離れた場所へ移動を開始した

 

そして改まった様子で口を開く

 

「お前、朱乃の事どう思う?」

 

「朱乃か……言うまでもなく良い女だ。俺が初めて自分から惚れた女だからな」

 

新が迷い無く言うと、アザゼルは安堵したかのように頷いた

 

「そうか。俺はな、ダチの代わりにあいつを見守らないといけない部分もあってな」

 

「あぁ、確かバラキエルはアザゼルの部下だったっけ?」

 

「バラキエルは配下ってよりはシェムハザと同じ大昔からの仲間さ。ダチだ、ダチ。よく一緒になってバカをやったもんだ。で、気づけば俺の周りは妻子持ちばかりでさ」

 

「話から察するに、シェムハザも既婚者か。先を越されてばかりなんだな?」

 

「……俺には女なんていくらでもいるから良いんだよ」

 

どうやらアザゼルにとって、婚期に関する話は禁句(タブー)のようだ

 

「まぁ、それはともかく、俺は朱乃の事が気になるのさ。バラキエルや朱乃にとってみれば余計なお世話かもしれないがな。朱乃の事、お前に任せられるかもなんて思ってる。お前は良い女なら来る者拒まずだが、周囲の信頼も得てきている。ある意味イッセーに近い才能だな」

 

「ハッ、アザゼル。俺を誰だと思ってやがる?今まで俺は、欲しい女は全て手に入れてきたんだ。俺を慕ってくれる女は、誰だろうと守り通す。例え敵でもな」

 

新は当然のように言う

 

実際、敵だったレイナーレ達も今は新の仕事仲間、ライザーの眷属達とも良好な関係になっている

 

新は欲深いが、守りたいものは死んでも守ると豪語する男だ

 

アザゼルはクスッと小さく笑う

 

「よし。朱乃に関してはお前にも任せる。それよりも―――――問題は小猫か」

 

「小猫?小猫がどうかしたのか?」

 

「どうにも焦っている―――――と言うよりも、自分の力に疑問を感じているようだ。俺が与えたトレーニングを過剰に取り組んでてな、今朝倒れた」

 

「はぁっ!?倒れた!?」

 

悪い報せに新は声を荒らげた

 

「怪我はアーシアに治療してもらえるが、体力だけはそうはいかん。特にオーバーワークは確実に筋力などを痛めて逆効果だ。ゲームまでの期間が限られているのだから、それは危険だ」

 

「オーバーワークか……小猫の奴、いったい何やってんだか……」

 

「さて、行くか。新とイッセーを1度連れ返せと言われたんでな。1度グレモリーの別館に戻るぞ」

 

「連れ返せ?誰に言われたんだ?リアスか?」

 

「―――――の母上殿だ」

 

そう言われ、新と一誠は一旦屋敷へ戻る事になった


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