ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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あり得ない共闘

「い、今……何が起こったんだ……?」

 

「強い魔力同士がぶつかって、視認出来なくなる程の強い閃光を産んだみてぇだな」

 

一瞬の出来事、アザゼルと大牙(たいが)は互いに武器の切っ先を向けている

 

大牙が細剣(サーベル)を左手でビンッと弾いた直後……アザゼルの左腕が吹き飛び、身に纏っていた鎧が砕け散った

 

「なかなかの技術であり、オレにかすり傷を付けた功績として、核である宝玉だけは破壊しないでおいた。また試したい時は、いつでも来い。真っ向から受けてやる」

 

「チッ。底知れねぇ野郎だな、闇人(やみびと)ってのは……。人工神器(セイクリッド・ギア)も……まだまだ研究と改良の余地があるな」

 

アザゼルは悔しそうに宝玉を握り締めて膝をつく

 

堕天使総督を一撃で退けた……

 

闇人(やみびと)のトップ、『2代目キング』の力に一誠は震えを止める事が出来なかった

 

そして夜空から白い鎧を着たヴァーリが降りてくる

 

「さすが闇人(やみびと)のトップ。アザゼルを簡単に退(しりぞ)けるとは。今度は俺と戦って欲しいな」

 

白龍皇(はくりゅうこう)とやら。今の貴様ではオレと戦うにはまだ浅い」

 

「戦う気が無いと?はぁ……。運命ってのは残酷だな」

 

突然ヴァーリが変な事を言い出した

 

「俺の様に魔王プラス伝説のドラゴンみたいな思いつく限り最強の存在がいる反面、そちらの様にただの人間に伝説のドラゴンが憑く場合もある。いくらなんでもこの偶然は残酷だと俺は思うな。ライバル同士のドラゴン神器(セイクリッド・ギア)とはいえ、所有者2名の間の溝はあまりに深過ぎる」

 

一誠を指差すヴァーリ

 

更に話が続けられる

 

「キミの事は少し調べた。父は普通のサラリーマン。母は普通の専業主婦で、たまにパートに出ている。両親の血縁は全くもって普通。先祖に力を持った能力者、術者がいた訳でもない。もちろん、先祖が悪魔や天使に関わった事もない。本当に何の変哲も無い。キミの友人関係も特別な存在ではない。キミ自身も悪魔に転生するまで極普通の男子高校生だった。―――――ブーステッド・ギア以外、何も無い」

 

「ヴァーリ、お前何が言いたいんだ?」

 

「つまらないな。あまりにつまらな過ぎて、キミの事を知った時は落胆よりも笑いが出た。『あぁ、これが俺のライバルなんだ。参ったな』って。せめて親が魔術師ならば、話は少しでも変わったかもしれないが……。そうだ!こう言う設定はどうだろうか?キミは復讐者になるんだ!」

 

ヴァーリの言っている意味が分からない

 

だが、次の言葉で一誠も新も理解出来た

 

「俺がキミの両親を殺そう。そうすれば、キミの身の上が少しは面白い物になる。親を俺の様な貴重な存在に殺されれば晴れて重厚な運命に身を委ねられると思わないか?うん、そうしよう。どうせキミの両親は今後も普通に暮らし普通に老いて、普通に死んでいく。そんなつまらない人生よりも俺の話した設定の方が華やかだ!な?」

 

あまりにも自分勝手な言い草

 

自分が戦いたいが為に一誠の両親を殺すと言っている

 

ヴァーリに向かって発した言葉は―――――

 

「「殺すぞ、この野郎」」

 

怒りを通り越した殺意の一言だった

 

流石の新もヴァーリの自分勝手ぶりに殺意をむき出しにした

 

 

 

「てめぇ、頭に(うじ)でも湧いてんのかコラ。そんなくだらねぇ理由で親を殺すだぁ?」

 

「……殺す?俺の父さんと母さんを?なんで、てめぇなんかの都合に合わして殺されなくちゃいけないんだよ。貴重だとか運命だとか、そんなの知るかよッ!」

 

ギュゥンッ!ザシュッ!

 

一誠の横を、何かが風を斬りながら通り過ぎ、空に浮かんでいるヴァーリの左肩に突き刺さる

 

一誠と新が後ろを見ると、目を疑う光景があった

 

蛇神皇(じゃしんおう)―――――『2代目キング』の大牙が、細剣(サーベル)の刃をチェーン状に伸ばしていた

 

ヴァーリの左肩を貫いたのは―――――闇人(やみびと)のトップの持つ剣だった

 

「ぐっ……!何の真似だ『2代目キング』?キミは戦いに参加しないって言ってたんじゃなかったのか?」

 

白龍皇(はくりゅうこう)。貴様のあまりにも身勝手な言動に失望した。運命に身を委ねられる?つまらない人生?それを決めるのは、貴様ではなく当人だ」

 

大牙はドスを効かせた声音で白龍皇(はくりゅうこう)ヴァーリに向かって言う

 

一誠と新は状況を理解出来ず、ただ黙って見ているしか出来なかった

 

「俺が戦う目的は、闇人(やみびと)こそが魔族の頂点に君臨する事を冥界、天界、人間界に認知させる為だ。無駄な戦いを重ね続ければ自惚(うぬぼ)れと破滅を招く。貴様のように娯楽の為だけに戦うと言うゲスな思考には、反吐(へど)が出る」

 

反吐(へど)が出る?キミだって神と先代魔王達に父親の『初代キング』を封印されたんだろう?その復讐の為に戦っていたんじゃ――――――」

 

「だから貴様は浅はかだと言った。父さん―――――『初代キング』は三大勢力と人間を見くびり過ぎたから封印されてしまったんだ。強大な力を持っておきながらな。それは自己責任だ。オレが復讐しなければならない義理など、どこにも無い。オレはオレのやり方で戦い、闇人(やみびと)を頂点に導く。ただそれだけだ」

 

大牙がヴァーリの肩を貫いていた剣を引き抜き、一誠と新にトンでもない案を提示する

 

赤龍帝(せきりゅうてい)闇皇(やみおう)。一時的だが協定を結ぼう。白龍皇(はくりゅうこう)に己の浅はかさを思い知らせてやる必要がある」

 

「「えっ!?」」

 

その場にいる全員が驚いた

 

全魔族の敵のトップが、一時的な協定を求めてきた

 

だが、これは千載一遇のチャンスでもある

 

「あ、あんたは敵じゃなかったのか?」

 

「勘違いをするな。一時的な協定と言った筈だ。オレはお前達の敵だが……今だけは協力しよう。白龍皇(はくりゅうこう)の存在が気にくわなくなった」

 

「ハ、ハハッ……!トンでもねぇ奴が加勢してくれるとは……一誠。ここは『2代目キング』の提案に乗ってやろうじゃねぇか。俺も白龍皇(はくりゅうこう)が気に入らねぇ。この場でぶっ殺してやる」

 

一瞬迷ったが、一誠は一時的な協定に同意した

 

この瞬間―――――赤龍帝(せきりゅうてい)闇皇(やみおう)の蝙蝠、蛇神皇(じゃしんおう)のチームと言うおそらく最凶の組み合わせが誕生した

 

「ハハハハハハッ!今日は最高の1日になりそうだ!赤龍帝(せきりゅうてい)闇皇(やみおう)だけでなく、闇人(やみびと)の『2代目キング』と同時に戦えるなんて!こんな刺激的な戦いは初めてだよ!」

 

白龍皇(はくりゅうこう)ヴァーリは歓喜に満ち溢れていた

 

一誠は空にいるヴァーリに向かって怒号を飛ばす

 

「ヴァーリ!てめぇだけは許さない!てめぇなんぞに、俺の親を殺されてたまるかよォォォォォォォッ!」

 

Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Over(オーバー) Booster(ブースター)!!!!』

 

籠手が赤く強大なオーラを解き放ち、一誠は『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』を装着した

 

本来なら犠牲を払わないと装備出来ないのだが、事前にアザゼルから特製のリングを貰っており、その作用のお陰で犠牲を払わずに済んだ

 

神器(セイクリッド・ギア)は単純で強い想い程、力の糧となる。兵藤一誠の怒りは純粋な程お前に向けられているのさ。―――――真っ直ぐな者、それこそドラゴンの力を引き出せる真理の1つ』

 

「そうか。そう言う意味では俺よりも彼の方がドラゴンと相性が良い訳だ」

 

ヴァーリが自分の鎧――――『白龍皇(ディバイン・ディバイディング)()(スケイルメイル)』に宿っているアルビオンと会話する

 

一誠は背中の噴射口を開き、新も闇皇槍(やみおうそう)を握って飛行準備をする

 

「だが!頭が悪いのはどうだろうか!兵藤一誠!キミはドライグを使いこなすには知恵が足りな過ぎる。それは罪だよ」

 

「さっきからベラベラ俺が分からない事を言ってんじゃねぇぇぇぇぇっ!」

 

「そう!それこそバカと言う奴なんだ!」

 

一誠、新、大牙は揃って空中へ飛び出し、ヴァーリも顔をマスクで覆って戦闘態勢になる

 

一誠はタックルをかますが軽やかに避けられる

 

だが、まだ新と大牙が残っている

 

「オォォォォラァァァァァァァァァァッ!」

 

新が全身隆起した刃をヴァーリに向かって撃ち放つ

 

ヴァーリはこの攻撃も避けようとしたが、大牙が繰り出すチェーン状の剣戟によって阻まれ、全身に刃が突き刺さる

 

一誠は体勢を立て直し、アスカロンで斬りかかる

 

しかし、振り回すだけの剣ではヴァーリに当てる事が出来ない

 

「ぐっ……!やっぱり3対1じゃ、ちょっとキツいかな!」

 

ヴァーリが無限に近い数の魔力弾を放ってくる

 

一誠は腕を交差してガード、新は神速の槍で貫き崩し、大牙はチェーン状にした剣で全て切り裂いていく

 

蛇神(じゃしん)の牙に沈め」

 

大牙は剣をチェーン状から通常に戻し、上空に掲げる

 

細剣(サーベル)が青い魔力に包まれ、ヴァーリに向かって突き出される

 

剣から魔力で形成した巨大な蛇がヴァーリに襲い掛かっていく

 

「速い!」

 

ヴァーリは光の盾を展開するが、蛇のオーラは難なく盾を破壊してヴァーリの左肩に食らいついた

 

「今だ一誠!」

 

「おぉっ!」

 

一誠が勢い良く飛び出し、蛇を引き剥がそうとしているヴァーリに向かっていく

 

「ドライグ!収納しているアスカロンに力を譲渡だッ!」

 

『承知ッ!』

 

Transfer(トランスファー)!!』

 

一誠の左手に力が譲渡され、アスカロンを収納した籠手でヴァーリの顔面に拳を入れる

 

すると、龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)の威力が発揮され―――――『白龍皇(ディバイン・ディバイディング)()(スケイルメイル)』が呆気なく壊れ、ヴァーリは地面に叩きつけられた

 

「こ、これが龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)の威力!?相手の鎧が紙みたいじゃねぇか!」

 

一誠の力が抜け始め、地上へ落下していく

 

新と大牙もゆっくりと降り立ち、一誠のもとへ向かう

 

「一誠!大丈夫か!?」

 

「へへっ……。1発殴れてスカッとしたぜ」

 

「しかし、どうする?先程破損した奴の鎧はもう復活しているぞ?」

 

大牙の言う通り、大破した筈のヴァーリの鎧が再び元の状態に戻っていた

 

しかも一誠の禁手(バランス・ブレイカー)状態は制限時間付き

 

時間内でヴァーリを倒すのは至難の業だ

 

「チッ。俺もさっきの戦いで響いたか、そろそろ足が笑ってきやがった……どうしたものか―――――んっ?こいつは……」

 

新の視界にある物が映り込んだ

 

それは先程の攻撃によって破損した白龍皇(はくりゅうこう)の宝玉だった

 

宝玉を手に取った新は、恐ろしい事を閃いた……

 

「一誠。確か神器(セイクリッド・ギア)は想いに応えて進化するんだよな?」

 

「……っ?一応そうだけど、どうしたんだ?それに、その宝玉……」

 

「ヴァーリの鎧から飛び出した1つだ。こいつを―――――お前の右手に移植しちまえ♪」

 

一誠は絶句した

 

新に相反するドラゴンの力を取り込めと言う前代未聞の荒事を提案された

 

「どうせお前は時間が経てば倒れちまうんだ。だったらその前に、奴をぶっ殺せる力を手にしてみたいとは思わねぇか?」

 

「け、けどよ……そんな事が出来るのか!?」

 

「出来るとは言い切れないが、出来ないとも言い切れない。僅かな可能性があるならやってみる価値はある!違うか?」

 

「……分かった。やってやろうじゃねぇか!それで目の前のクソ野郎を超えられるならなッ!」

 

一誠は新から宝玉を受け取り、右手の甲に存在する赤龍帝(せきりゅうてい)の宝玉を叩き割った

 

「『白い龍(バニシング・ドラゴン)』!アルビオン!ヴァーリ!もらうぜ、お前の力!」

 

一誠は白龍皇(はくりゅうこう)の宝玉を右手の甲に埋め込んだ

 

右手からオーラが発生し、一誠の右半身を包み込んだ刹那―――――

 

「うがあああああああああああああああああああああああああああああッ!」

 

身体中に形容し難い激痛が走る

 

「ぬがあああああああああああ!ああああああああああああああああああああああああッ!」

 

「――――ッ!まさか、白龍皇(はくりゅうこう)の力を取り込む気か!?無謀過ぎる!死ぬぞ!」

 

大牙も事態に気付いて怒声を上げる

 

ヴァーリも新の提案、一誠の行動に驚きを隠せなかった

 

『ドライグよ、我らは相反する存在だ。それは自滅行為に他ならない。こんな事でお前は消滅するつもりなのか?』

 

『アルビオンよ!お前は相変わらず頭が固いものだ!我らは長きに(わた)り、人に宿り争い続けてきた!毎回毎回同じ事の繰り返しだった』

 

『そうだ、ドライグ。それが我らの運命。お互いの宿主が違ったとしても戦い方だけは同じだ。お前が力を上げ、私が力を奪う。神器(セイクリッド・ギア)をうまく使いこなした方がトドメを刺して終わりとなる。今までもこれからも』

 

『俺はこの宿主―――――兵藤一誠と出会って1つ学んだ!バカを貫き通せば可能になる事がある、とな!』

 

「俺の想いに応えろォォォォォォォッ!」

 

Vanishing(バニシング) Dragon(ドラゴン) Power(パワー) is(イズ) taken(テイクン)!!』

 

一誠の右手が真っ白なオーラに包まれ、白い籠手が出現した

 

「で、出来た……!」

 

「やったな一誠。こいつは差し詰め、『白龍皇の籠手(ディバイディング・ギア)』ってところだな」

 

『あり得ん!こんな事はあり得ない!』

 

自分の力が取り込まれた事にアルビオンが驚愕の声音を出す

 

新はそれに対して笑う

 

「可能性の勝利だ。俺達の仲間が聖と魔の融合をして、聖魔剣(せいまけん)を創り出した。それは神がいない為にバランスが崩れているから、実現可能になったんだよ。ま、チョイと無謀だったがな」

 

「無謀にも程があるぞ。死んでいないにしろ、確実に寿命を縮ませた」

 

「良いよ。俺は1万年も生きるつもりは無いさ。やりたい事は山程あるから、最低でも1000年は生きたいけどな」

 

「……ふっ。今までこんな奴は見た事が無い」

 

パチパチパチ……ッ

 

ヴァーリが拍手をする

 

「面白い。なら、俺も少し本気を出そう!俺が勝ったら、キミの全てとキミの周りにある全ても白龍皇(はくりゅうこう)の力で半分にしてみせよう!」

 

Half(ハーフ) Dimension(ディメンション)!』

 

宝玉から音声が流れ、まばゆいオーラに包まれたヴァーリが木々へ手を向ける

 

すると、木々が一瞬で半分の太さになってしまった

 

「マジで半分にしやがった!あの野郎の力、やっぱ反則―――――ん?半分?周りも半分?……ッ!」

 

新は白龍皇(はくりゅうこう)の能力を考察して、ある事に気づいた

 

それを一誠に報告してみる

 

「一誠。今見せたヴァーリの能力、お前にも分かりやすい様に説明しよう」

 

「おっ、何だ?」

 

「あの能力は周囲の物を全て半分にしていく力だ。つまり、白龍皇(はくりゅうこう)が本気を出したら―――――リアスやアーシアの乳も半分にされちまうんじゃないか?」

 

「…………………」

 

一誠は首だけを動かしてリアスとアーシアへ視線を向ける

 

おっぱい が 半分 に なる?

 

部長 の おっぱい が 半分 に なる?

 

アーシア の おっぱい が 半分 に なる?

 

「ふ」

 

「ふ?」

 

「ふざけんなァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

一誠の怒りが大爆発♪

 

「貴様ァァァッ!部長のォォォォ!アーシアのォォォォ!おっぱいを半分の大きさにするつもりかァァァァァァァアアアアアアアアアアアッ!!」

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!』

 

「許さねぇッ!絶対にてめぇだけは許さねぇッ!ぶっ倒してやるッ!ぶっ壊してやるッ!ヴァーリィィィィィィィィィィィィッ!」

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!!!』

 

爆発的に増大された一誠の魔力によって地面が大きく抉れていき、新はその光景を見て大爆笑した

 

「ブッハッハッハッハッハッハッハ!すげぇ!一誠の魔力が一気に跳ね上がりやがった!」

 

「アァァァァァァラタァァァァァァァァァァァッ!」

 

一誠が急に新を呼んだ

 

新はビクッと反応する

 

「な、何だよ?」

 

「ヴァーリは周囲の物を全て半分にしていくって言ったよなァァァァァァァッ!?部長のおっぱいだけじゃなく、朱乃さんのおっぱいも!アーシアのおっぱいも!ゼノヴィアのおっぱいも!小猫ちゃんのおっぱいも!いや、全ての女の子のおっぱいも半分にされる!お前はそれで良いのかァァァァァァァッ!?」

 

新は脳内に思い浮かべた

 

おっぱいのサイズを半分にされた女性達の姿を……

 

結果―――――――――

 

 

「良い訳ねぇだろがァァァァァァァアアアアアアアアアアアッ!!」

 

新の怒りも大爆発♪

 

「おっぱいのサイズってのは自ら変えるモンだ!それを無理矢理半分に変える!それは全世界を敵に回す大罪だゴラァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

「そうだ!部長達のおっぱいに手を出してみろッ!2度と転生出来ないぐらい徹底的に破壊してやらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!この半分マニアがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

2人の絶叫で夜空が割れた

 

「……今日は驚く事ばかりだ。まさか、女の乳房でここまで力が爆発するとは。今まで見た事が無いぞ」

 

大牙は2人のテンションについていけなかった……

 

「「『2代目キング』ゥゥゥゥゥゥゥッ!」」

 

「――――っ!?」

 

「お前も一緒にヴァーリをぶっ倒すぞォォォォッ!」

 

「特大の一撃を奴にぶつけやがれェェェェッ!」

 

大牙はあまりの迫力に言葉を発せず、コクリと頷くしか出来なかった

 

一誠と新は今までに無かった超スピードでヴァーリに向かって飛び出した

 

一誠は光速で動き回るヴァーリを難なく捕まえ、新も右拳を固める

 

「これは部長おっぱいの分!」

 

「リアスおっぱいの分!」

 

2人は揃ってヴァーリの腹に一撃を入れた

 

Divide(ディバイド)!!』

 

同時に移植したばかりの一誠の力が発動し、ヴァーリの力を半分にする

 

「ぐはっ!」

 

吐瀉物を口から吐き出すヴァーリ

 

体勢を立て直す(いとま)も無く……新が背後から神速膝落としを顔面に炸裂させた

 

「朱乃おっぱいの分!」

 

ヴァーリの兜が完全に破壊された

 

「これは成長中のアーシアおっぱいの分!」

 

一誠が手刀でヴァーリの背中の噴出口を破壊する

 

「ゼノヴィアおっぱいの分!」

 

新はヴァーリを上空へ蹴り上げ、更に背中へ肘鉄を食らわす

 

「続けて小猫のロリおっぱいの分!」

 

「ガハッ!」

 

吐血するヴァーリの腹に大牙のチェーン状に伸びた剣が突き刺さる

 

一誠と新はヴァーリの頭上に飛ぶ

 

一誠はタックルの構えを取り、新は両足を揃えて翼型のオーラを展開する

 

「そしてこれが!」

 

「巨乳、貧乳、美乳を含めた!」

 

「全ての女の子の!」

 

「「おっぱいの分だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっ!」」

 

一誠のタックルと新の両足蹴りが同時に炸裂!

 

地面に落下していくヴァーリに更に追い打ちをかける大牙

 

後ろを向き、チェーン状に伸びた剣を肩に乗せて指で弾く

 

その瞬間、突き刺した箇所から大爆発が起きた

 

特大の3連撃をくらったヴァーリは膝をガクガクと震わせながら、なんと笑っていた

 

「ハハッ……、ハハハハハハッ……!面白い、面白いぞ……!彼らになら『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』を見せる価値がある……!」

 

「どうだヴァーリ!全ての女の子の苦しみを理解しやがれ!この半分マニアがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「まだまだ痛めつけ足りねぇんだよゴラァ!今の内に遺書を書いとけやァァァッ!」

 

一誠と新の怒りはまだ完全に治まっていなかった

 

すると、ヴァーリは呪文の様な言葉を唱え始めた

 

「『我、目覚めるは、()(ことわり)に―――――』」

 

『自重しろヴァーリッ!我が力に翻弄されるのがお前の本懐か!?』

 

アルビオンが怒りながらヴァーリを止めようとする

 

一誠と新はお構い無しにトドメの一撃を放とうとしたが、その間に三国志の鎧を着た男が入り込んできた

 

「ヴァーリ、迎えに来たぜぃ」

 

美猴(びこう)か。何をしに来た?」

 

「それは酷いんだぜぃ?相方がピンチだっつーから遠路はるばるこの島国まで来たってのによぅ?他の奴らが本部で騒いでるぜぃ?北の田舎アース神族と一戦交えるから、任務に失敗したのならさっさと逃げ帰ってこいってよ?カテレアはミカエル、アザゼル、ルシファーの暗殺に失敗したんだろう?なら監察役のお前の役目も終わりだ。俺っちと一緒に帰ろうや」

 

話し込むヴァーリと美猴(びこう)

 

そこで大牙が―――――

 

「ほう。闘戦勝仏(とうせんしょうぶつ)の末裔か」

 

新が驚きを見せながら訊く

 

闘戦勝仏(とうせんしょうぶつ)?まさか……西遊記の孫悟空(そんごくう)か!?」

 

「えええええええええええええええっ!?」

 

一誠はさっきまでの怒りが吹っ飛ぶくらい驚いた

 

「正確には孫悟空(そんごくう)の力を受け継いだ猿の妖怪と言うべきか。(ほとけ)になる筈の妖怪が『禍の団(カオス・ブリゲード)』とやらに入っているとは」

 

「俺っちは仏になった初代と違うんだぜぃ。自由気ままに生きるのさ。俺っちは美猴(びこう)。よろしくな、赤龍帝(せきりゅうてい)闇皇(やみおう)、『2代目キング』」

 

美猴(びこう)は手元に(こん)を出現させ、地面に突き立てる

 

地面に黒い闇が広がり、ヴァーリと美猴(びこう)を沈ませていく

 

一誠は逃がすまいと捕まえようとするが、神器(セイクリッド・ギア)が強制解除された上に激しい疲労が襲う

 

一瞬とはいえ、強大な力を爆発させれば体力と魔力は空になる

 

それだけ無茶を重ねた一誠の肉体は地面に倒れた

 

新も力を使い過ぎたため、激しく息切れをする

 

そして白龍皇(はくりゅうこう)は孫悟空と共に闇の中へと消えていった……


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