ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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新VSカテレア!『蛇神皇(じゃしんおう)の鎧』

場所を新校舎側に戻し、アザゼルと大牙(たいが)が空中で戦っている最中、新は旧魔王派のカテレアと魔力を撃ち合っていた

 

「あんたもしつこいな!いい加減に脱いで乳首を見せろってんだ!」

 

「黙りなさい!その破廉恥極まりない言動を、今すぐ出来なくしてあげます!」

 

このままでは埒が空かないと踏んだ新は、『闇皇(やみおう)の鎧』を展開して闇皇へと姿を変える

 

「それが闇皇―――――あなたの力ですか」

 

「おうよ」

 

更に右手の鎧から闇皇剣(やみおうけん)を出現させ、カテレアに斬りかかる

 

カテレアは防御障壁を前に出してきた

 

1度弾かれるも、2度めは刀身に魔力を込めて障壁を破壊する

 

「……ッ!これが天敵である闇人(やみびと)の作った忌々しい力……!」

 

「お陰で俺は負ける気がしてねぇ!オラァッ!」

 

ビリビリッ!

 

カテレアのドレスの下が少し破け、太股(ふともも)が露出する

 

カテレアは距離を取り、新は刀身を手で研ぎながら佇む

 

「良い脚してんじゃねぇか、旧魔王さまよぉ。次はそのデッケェ乳房を拝ませてもらうぜ」

 

「なるほどね。少々あなたを侮っていました。エッチとはいえ、コカビエルを圧倒した実力は本物の様ですね。なら―――――私もそれなりに対処しましょうか」

 

カテレアは胸元に手を突っ込み、そこから小瓶を取り出した

 

新はそれが何なのか分からず、カテレアは中に入っていた小さな黒い蛇らしき物を呑み込んだ

 

ドンッ!

 

「……っ!?何だ!?魔力が一気に跳ね上がりやがった!?」

 

「カテレア!てめぇ、オーフィスの野郎に何を貰った!?」

 

『2代目キング』と戦いながらアザゼルがカテレアに問いかける

 

「彼は無限の力を有するドラゴン。世界変革のため、少々力を借りました。今の私はあなたとも戦える。闇皇(やみおう)の蝙蝠を倒した後は、サーゼクスとミカエルも倒します。勿論、あなたもです」

 

「さっき飲んだのは、オーフィスって奴から貰った力かよ!(きたね)ぇ手使いやがって!」

 

新は魔力を込めた闇皇剣でカテレアを斬ろうとするが、片腕だけで止められる

 

カテレアは新の腹部に拳を打ち込んで吹っ飛ばす

 

「ゲホッ!ゲホッ!」

 

「どうですか?闇皇(やみおう)の蝙蝠。今の私とあなたでは、力の差は歴然です」

 

「けっ。他人から貰った力を自分の力みたいに言ってんじゃねぇよ。チクショウ、リアスから『プロモーション』の許可貰っとけば良かった……」

 

新は腹を押さえながら舌打ちをする

 

今この場にリアスはいない……

 

『プロモーション』を行うには主のリアスから承認を貰わなければならない

 

新は不利な状況に「ちょっとやべぇな……」と、一言発した時―――――体にドクンッと力が流れてきた

 

「新!無事か!」

 

「新、『プロモーション』の許可を出したわ。待たせてごめんなさいね」

 

「……ッ!一誠、リアス!それにヘタレヴァンパイアも」

 

ギャスパーは一誠の背中に隠れて現状にビクビクしており、一誠はカテレアをエロい目で見ていた

 

「いやらしい視線を感じるわ。闇皇(やみおう)の蝙蝠と同じ子ね。―――――その子が赤龍帝(せきりゅうてい)なのですか、ヴァーリ?」

 

「あぁ、残念ながらそうだよ。本当に残念な宿主なんだ」

 

ヴァーリと言う名に戦慄を覚える一同

 

何故テロリストとヴァーリが親しげに話しているのか……?

 

新は白龍皇(はくりゅうこう)も『禍の団(カオス・ブリゲード)』の一員だと理解出来た

 

まばゆい輝きを放ちながら白龍皇(はくりゅうこう)がカテレアの(かたわ)らに降り立つ

 

「おいおい、『白い龍(バニシング・ドラゴン)』さんよぉ。てめぇも『禍の団(カオス・ブリゲード)』の仲間だってのか」

 

「君からはそう見えるかい?俺はあくまで協力するだけだ。魅力的なオファーを受けてね。『アースガルズと戦ってみないか?』―――――コカビエルを本部に連れ帰る途中でこんな事を言われたら、自分の力を試してみたい俺では断れない。アザゼルはヴァルハラ―――――アース神族と戦う事を嫌がるだろう?戦争嫌いだものな」

 

「……チッ。俺もやきが回ったもんだ。身内がこれとはな……」

 

「ただ強い者と戦う為だけに生きる者か。愚かな考えだ……そんな奴に限って強者なのが更に悲しい」

 

空中で戦っていたアザゼルと大牙も降りてきた

 

一誠は現状を全く理解出来ずにいる

 

「……なぁ、新。なんでアザゼルとヴァーリはあんなに険悪なんだ?つーか、あの男と姉ちゃん誰だよ?」

 

「何処からどう説明すれば良いのか迷うな……まず、あのカテレアって女とヴァーリは『禍の団(カオス・ブリゲード)』で、そこにいる男は闇人(やみびと)の『2代目キング』だ」

 

「なっ……!?さっき神風が言ってた『2代目キング』ってのが、こいつなのか……!?」

 

「会うのは初めてだな、赤龍帝(せきりゅうてい)、グレモリー嬢。オレが闇人(やみびと)を統べる組織『チェス』のトップにして『2代目キング』の蛟大牙だ」

 

大牙は緊迫した状況を全く意に介さず、一誠とリアスに挨拶をする

 

組織のトップが戦いの最中に、しかも敵にも挨拶をしてくる事態に少し驚く一誠

 

その近くでアザゼルとヴァーリは話を続ける

 

「ヴァーリ。俺はお前に『強くなれ』と言ったが、『世界を滅ぼす要因だけは作るな』とも言った筈だ」

 

「関係ない。俺は永遠に戦えれば良いだけだ」

 

「……そうかよ。いや、俺は心のどこかでお前が手元から離れていくのを予想していたかもしれない。―――――お前は出会った時から今日まで強い者との戦いを求めていたものな」

 

「今回の下準備と情報提供は白龍皇(はくりゅうこう)ですからね。彼の本質を理解しておきながら放置しておくなど、あなたらしくない。結果、自分の首を絞める事となりましたね」

 

カテレアがアザゼルを嘲笑する

 

ヴァーリは自身の胸に手を当て、更に驚くべき事実を明かす

 

「俺の本名はヴァーリ。―――――ヴァーリ・ルシファーだ」

 

「ル、ルシファー!?今ルシファーって言わなかったかッ!?」

 

「死んだ先代の魔王ルシファーの血を引く者なんだ。けど、俺は旧魔王の孫である父と人間の母との間に生まれた混血児。―――――『白い龍(バニシング・ドラゴン)』の神器(セイクリッド・ギア)は半分人間だから手に入れたものだ。偶然だけどな。でもルシファーの真の血縁者でもあり、『白い龍(バニシング・ドラゴン)』でもある俺が誕生した。運命、奇跡と言う物があるなら、俺の事かもしれない。―――――なんてな」

 

ヴァーリの背中から光の翼と共に、悪魔の翼が幾重にも生え出した

 

「嘘よ……。そんな……」

 

流石のリアスも驚かざるを得なかった

 

しかし、アザゼルは肯定する

 

「事実だ。もし冗談の様な存在がいるとしたら、こいつの事さ。俺が知っている中でも過去現在、おそらく未来永劫においても最強の白龍皇(はくりゅうこう)になる」

 

「冗談の様な存在か……甘いな、アザゼル」

 

突如、新がそんな事を言い出した

 

いったい何がおかしいのか、アザゼルは片眉を上げた

 

「こっちにも冗談の様な存在がいるぜ」

 

「それは君の事を言うつもりかい?」

 

「違う。それはこの―――――兵藤一誠だッ!」

 

「え?俺?」

 

新がビシッと一誠を指差す

 

皆が理解出来ないまま、新は何故一誠を指名したのか話し始める

 

「良いか?よく聞け。この兵藤一誠は過去現在、そして未来永劫においても――――――最弱の赤龍帝(せきりゅうてい)だ!どうだまいったか!」

 

「「「「「「………?」」」」」」

 

「だってそうだろ!戦い方はド素人でエロいだけが取り柄!魔力の才能も皆無!更に神器(セイクリッド・ギア)の力でする事と言ったら、殆どが女を裸にする等のエロ関係!ハーレム目指してるとか言ってる割に全くモテやしない!女子更衣室を覗くも逃げ遅れてタコ殴りにされる!極めつけは……アザゼルの部下の女堕天使に、初デートの後に殺された!俺はここまで不憫過ぎる男を見た事がないッ!」

 

ブワッ!

 

新の熱弁……と言うか、ただの悪口にリアスは苦笑いし、他の皆は号泣した

 

「イッセー先輩!とてもかわいそうですぅぅぅぅ!」

 

「すまねぇなぁ、赤龍帝(せきりゅうてい)……」

 

「なんて可哀想なんでしょう……」

 

「お前も苦労していたんだな……」

 

「可哀想可哀想言うなーッ!そんな哀れみの視線を向けないで!つーか新!お前はただ俺の悪口を言っただけじゃねぇか!」

 

白龍皇(はくりゅうこう)の真相が発覚したんだから、負けずに一誠の事実を語らないと。あ、そうそう。あとこいつはチェリーボーイ」

 

「俺が童貞だって事までバラすなァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

一誠は恥ずかしい事をバラされ、地面に両手をつきながら泣いた

 

「―――――とまぁ、時間稼ぎは無駄だろうからやめといて」

 

「時間稼ぎ!?稼げてねぇよっ!つーか俺が恥をかいただけじゃねぇかっ!」

 

新は一誠の怒声を無視して、カテレアに剣先を向ける

 

「……はっ!哀れんでいる場合ではありませんでしたね。闇皇(やみおう)の蝙蝠、あなたはまだ私と戦えると思っているのですか?」

 

「あぁ、思っているとも。そして―――――あんたの裸体と乳首も拝む気でいるんだよッ!『進化する昇格(エボルシオン・プロモーション)』ッ!『騎士(ナイト)』ッ!」

 

闇皇剣(やみおうけん)闇皇槍(やみおうそう)に形を変え、槍を手に取る新

 

そして剣柄だった蝙蝠の顔が、エンブレムとなって胸部に装着

 

両の腕、肩、足から刃物が隆起し、漆黒のマントがジェットウイングに変わる

 

背中にブースターが出現し、新は『闇皇の神速槍騎士(アーク・カイザー・ジェットスピア・ナイト)』に変貌を遂げた

 

「おっしゃあ!満を持して降臨したぜ!」

 

「ハハハッ!本当にデタラメな力だなこりゃ!」

 

「『闇皇(やみおう)の鎧』の進化……神、魔王不在の世界が産んだ奇跡と言うものか」

 

アザゼルと大牙は各々の感想を述べ、ヴァーリは顎に指を当てて興味津々に見る

 

「確かに規格外の力ですね……。しかし、私は偉大なる真のレヴィアタンの血を引く者!カテレア・レヴィアタン!あなたごとき下級悪魔に負けはしない!」

 

カテレアの体を青黒いオーラが包み込む

 

新も背中のブースターを最大出力で起動させ、槍を構える

 

カテレアが猛スピードで飛び出すと同時に、新も飛び出して槍の連続攻撃を放つ

 

ドォォォォンッ!

 

特大の轟音が響き、新は地面に(わだち)を刻みながら後ろに下がる

 

一方、カテレアは1歩も引き下がらずに立っていた

 

「……うぐっ!」

 

カテレアが腹につけられた傷を右手で押さえる

 

どうやら素早過ぎる攻防戦を制したのは、新の方だった様だ

 

「ふぅ〜……旧魔王を相手に上々ってところだな」

 

「……何を言っているのです?まさか、この程度の傷をつけたくらいで勝った気に―――――」

 

パラララララララ……ッ

 

話す途中でカテレアの服が細かな破片と化し、見事な裸体と乳房、乳首が公開された

 

「……っ!?こ、これは!?」

 

「うおぉぉおおっしゃぁぁぁぁあああッ!おっぱいぃぃぃぃぃぃいいいいッ!」

 

一誠は歓喜の絶叫を上げ、カテレアは左手で露出した胸を隠す

 

「どうだ?そんな状態でまだ戦えるってのか?やめときな。いくら旧魔王でも、万全じゃなくなったあんたに勝ち目はねぇよ」

 

「くっ……まさかここまでとは。しかし―――――ただではやられません!」

 

カテレアは胸を隠していた左手を離し、その腕を触手の様に変化させ、新の槍を持つ腕に巻きつける

 

その直後、カテレアの体に怪しげな紋様が浮かび上がった

 

「あれは、自爆用の術式だわ!」

 

「じ、自爆!?あんた正気かよッ!?」

 

闇皇(やみおう)の蝙蝠!この状態になった私を殺そうとしても無駄です!私と繋がれている以上、私が死ねばあなたも死ぬように強力な呪術も発動します!」

 

「チックショウ!犠牲覚悟で俺を殺す気か!古臭い手だが、効果は抜群だ!」

 

「イッセー、ギャスパー!距離を取るわよ!このままでは自爆に巻き込まれる!」

 

「でも、部長!新はどうするんですか!?このままだと新は―――――」

 

「良いからさっさと離れろ!俺はそんな簡単にくたばったりはしねぇ!早くしやがれ!」

 

「……ッ!絶対死ぬなよ!新!」

 

一誠達は急いで距離を取り、リアスが防御障壁を何重にも展開する

 

アザゼル、ヴァーリ、大牙も爆発に巻き込まれないよう空を飛んだ

 

新は巻きつかれた触手を槍で切ろうとするが、なかなか切れない

 

「無駄です。その触手は私の命を吸った特別製。切れませんよ」

 

「最後に聞くぞ?本当に自爆する気か?」

 

「その力は思った以上に危険な代物ですからね。『闇皇(やみおう)の鎧』を破壊出来ればそれで良し。破壊出来なくても、宿主であるあなたを殺せば問題ありません」

 

「はぁ……あんた、良い乳首してんのに。残念だな」

 

カラン……

 

新は槍を投げ捨てた

 

自ら武器を捨てた事にカテレアは疑問を抱く

 

「……この技だけは使わないだろうと思ってたが、仕方ねぇよな」

 

新は全ての指の関節をコキコキた鳴らし、カテレアに向かって飛び出した

 

放たれる魔力の弾を回避しつつ進み、カテレアの眼前に来たところで両手を構える

 

「攻撃ですか?私が少し念じれば、すぐにも自爆出来ると言うのに」

 

「だったら、そんな暇を与えない程骨抜きにするだけだ!くらえッ!超絶秘技!『絶頂させる手(エクストリーム・ハンド)』ォォォォォォォッ!」

 

超高速により無数に見える手が、カテレアの首筋、鎖骨、脇の下、おっぱい、乳首、腰、尻、太股(ふともも)など――――――あらゆる性感帯を刺激していく

 

「はひゃぁんっ!な、何なんですか……!?身体中を、手が……!ひぃぃっ!や、やめてっ……!そこはらめぇっ!ぁぁんっ!いやぁっ!はうあっ……はふぅんっ……!ぃぃんっ!やめ、なさい……!やめてぇ……!おかしく、なりゅう……!あひぃっ!そ、そこは……!あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああんっ!」

 

あちこちを(いじ)られたカテレアは体を反らして絶頂に達する

 

力を練れなくなり、さっきまで浮かび上がっていた自爆の紋様が消えた

 

触手も普通の腕に戻り、カテレアは膝からペタリと崩れ落ちる

 

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……み、見たか。これが俺の封印していた秘技『絶頂させる手(エクストリーム・ハンド)』だ。両手を高速で動かし、女の性感帯と言う性感帯、全てを1秒間で100回刺激して骨抜きにする技だ。以前俺はこの技をやり過ぎて、相手を精神崩壊寸前まで追い詰めてしまった事があった。それ以来使わない事を誓って封印していたんだが、背に腹は代えられなかった……カテレア・レヴィアタン。今のあんたは少し動くだけでも、そよ風が吹くだけでも感じる程の敏感肌になった。更に『騎士(ナイト)』形態で使ったから効果は数十倍。もう戦えねぇよ」

 

「あっ……あぁぁんっ……!ま、まだ……まだ終わってなどはふぅんっ……!こ、この私がひにゃんっ……偉大なる、レヴィアタンの血ぃぃぃぃんっ!だ、ダメ……!少し動いただけで……い、イっちゃう……!」

 

動こうとしても動けないカテレア

 

新はそんなカテレアに背を向けて、一誠達の所へ歩いていく

 

「お、お前……なんて素晴らしい―――――いや、恐ろしい技を持ってるんだ……」

 

「確かに、アレは酷いわね……出来れば今後も封印しておいて欲しいわ」

 

「使うのはごく(まれ)だ。何しろ俺がチョー疲れる……」

 

「ハハハハハハハハッ!ヒィッ……!ヒィッ……!は、腹が痛過ぎて堪えきれねぇ……!」

 

「笑い過ぎだアザゼル!」

 

アザゼルは腹を抱え、大爆笑しながら転げ回っており、ヴァーリと大牙は唖然としていた

 

「ま、まぁ……これでひとまず邪魔される要素が1つ消えたな。堕天使総督」

 

気を取り直した『2代目キング』が再びアザゼルと対峙する

 

「ゴホゴホッ!そ、そうだったな。さて、俺達も闇皇(やみおう)の蝙蝠に負けねぇくらいの盛り上がりを見せてやるか」

 

アザゼルは笑みを浮かべ、懐から1本の儀式剣を取り出した

 

「……?それは何だ?」

 

「俺は生粋の神器(セイクリッド・ギア)マニアでな。マニア過ぎて自分で製作したりする事もある。レプリカ作ったりな。まぁ、殆どの物が屑でどうしようもないが、神器(セイクリッド・ギア)を開発した神は凄い。俺が唯一、奴を尊敬するところだ。―――――だが、甘い。『神滅具(ロンギヌス)』と『禁手(バランス・ブレイカー)』なんて言う神と魔王、世界の均衡を崩せるだけの『バグ』を残したまま死んじまったんだからな。ま、だからこそ神器(セイクリッド・ギア)は面白いんだけどよ」

 

短剣が幾つものパーツに別れ、アザゼルはある言葉を発した

 

禁手化(バランス・ブレイク)……ッ!」

 

一瞬の閃光が辺りを包み、光が止むと―――――アザゼルは黄金の全身鎧(プレート・アーマー)を身に付けていた

 

姿はまるで金色のドラゴン

 

背中から漆黒の翼を展開させた

 

「『白い龍(バニシング・ドラゴン)』と他のドラゴン系神器(セイクリッド・ギア)を研究して作り出した、俺の傑作人工神器(セイクリッド・ギア)だ。『堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)』、それの擬似的な禁手(バランス・ブレイカー)状態―――――『堕天龍(ダウン・フォール・ドラゴン)()(アナザー・アーマー)』だ」

 

「長ったらしい名前だな」

 

「いや、そう言う問題じゃないだろ!ってか、突っ込むところが違うぞ!?」

 

一誠が大牙に突っ込みを入れる

 

大牙は普通の者より、少し観点がズレている傾向があるみたいだ

 

『あれは正確な禁手(バランス・ブレイカー)ではない』

 

「……っ?どういう事だ、ドライグ?」

 

神器(セイクリッド・ギア)をバースト状態にして強制的な覚醒をしているんだろう。一種の暴走だ。あれでは戦闘後に神器(セイクリッド・ギア)が壊れる。人工神器(セイクリッド・ギア)とやらを使い捨てで使用する気か?』

 

使い捨てとはいえ、ドラゴンの力を有する神器(セイクリッド・ギア)を開発するなど並大抵の事ではない

 

アザゼルの開発力に新も一誠も驚きを隠せなかった

 

「へへっ。『黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)』ファーブニルを人工神器(セイクリッド・ギア)に封じて、二天龍―――――『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』と『白い龍(バニシング・ドラゴン)』の神器(セイクリッド・ギア)を模してみたが、今のところは成功ってとこか」

 

「なるほど、素晴らしいな。その開発力は実に惜しい。良い物を見せてもらった……。オレも褒美として見せてやろう。『闇皇(やみおう)の鎧』よりも前に開発した―――――『キング』の象徴を」

 

大牙の体から青い魔力のオーラが放出され、巨大な蛇の形となる

 

蛇型のオーラは大牙を飲み込むように覆い被さり、強い閃光を放つ

 

そこには白銀色の鎧を着た『2代目キング』が立っていた

 

王を強調する王冠を模した頭部と両方の肩当て

 

蛇の形をした籠手が両腕に備わり、サファイアの様な青い眼光

 

威風堂々と佇む姿は―――――まさに王と呼ぶに相応しかった

 

「これがオレの所持する『蛇神皇(じゃしんおう)の鎧』だ。初期型だが、オレはこっちの方が馴染み深い」

 

「ヒュウッ♪イカすじゃねぇか『2代目キング』さんよぉ。早いとこおっ始めるか!」

 

「急くのは良くないぞ」

 

大牙は籠手から細剣を出現させ、フェンシングの様な構えを取る

 

アザゼルも槍を構えて対峙する

 

緊迫させられる空気の中―――――閃光がその場にいた全員の視界を遮った




2代目キングの鎧はキバに登場するサガがモデルです。……と言うかまんまサガにしちゃいました

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