「ようやく動ける様になったか、一誠」
「新?いったい何があったんだよ?」
新は一誠に現状を簡単に説明し始めた
話によれば、旧校舎にいるギャスパーが拉致され、無理矢理『
周囲を見渡すと、動ける者と停まっている者に別れていた
サーゼクス、セラフォルー・レヴィアタン、グレイフィア、ミカエルとアザゼルは動いており、ヴァーリはアザゼルの命で先程外へ向かった
そして他で動けるのはリアスと新、一誠に祐斗、そしてゼノヴィア
後の部員は全員停められている
「イッセーは
「それはともかく。部長、何があったんですか?」
「テロだよ」
一誠の質問に、リアスより先にアザゼルが言った
外を見ると魔術師みたいな連中が攻撃している光景が視界に飛び込む
外に行ったヴァーリが蹴散らすも、魔方陣の中から同じ様な魔術師の軍勢がどんどん出てくる
「ギャスパーはテロリストの武器にされている……。何処で私の下僕の情報を得たのかしら……。しかも、大事な会談をつけ狙う戦力にされるなんて……!これ程侮辱される行為も無いわっ!」
リアスは全身から紅色のオーラを迸らせながら怒りを
「因みにこの校舎を取り囲んでいた堕天使、天使、悪魔の軍勢も全部停止させられているようだぜ。まったく、リアス・グレモリーの眷属は末恐ろしい限りだ」
「他人事みたいに言ってんじゃねぇよ。何とかならねぇのか?」
新の質問にアザゼルは首を横に振るだけだった
「無理だな、学園全体を囲う結界を解かないと俺達は外に出られない。だが、結界を解いたら人間界に被害が出るかも知れないだろ?」
「……確かに、下手に暴れても相手側の思う壺になっちまうだけだ。それなら暫く籠城して敵の親玉が出るのを待つしか無いって事か」
「と言うより、我々首脳陣は下調べ中で動けない。だが、まずテロリストの活動拠点となっている旧校舎からギャスパーくんを奪い返すのが目的となるね」
サーゼクスが言うと真っ先にリアスが名乗り出る
「お兄さま、私が行きますわ。ギャスパーは私の下僕です。責任を持って私が奪い返してきます」
「言うと思ったよ。妹の性格ぐらい把握している。しかし、旧校舎までどう行く?この新校舎の外は魔術師だらけだ。通常の転移も阻まれる」
サーゼクスの問いにリアスは「『キャスリング』を使います」と進言してきた
『キャスリング』とはチェスのルールの1つ、1手で『
つまり旧校舎に残っている未使用の『
しかし、相手はテロリストなので何を仕掛けてくるか分からない上に転移出来る定員はあと1人
誰がギャスパーの救出に向かうか決めあぐねていると――――一誠が挙手してきた
「サーゼクスさま、俺を行かせてください。ギャスパーは俺の大事な後輩です。俺も助けに行かせてください」
その後、一誠はアザゼルから
新は外の魔術師軍勢に1度眼を通してからアザゼルに訊く
「アザゼル。あのテロリスト共はいったい何者なんだ?」
新の質問にアザゼルは答えた
「『
聞き慣れない単語に疑問符を浮かべる新と一誠を他所にアザゼルは更に続ける
「組織名と背景が判明したのはつい最近だが、それ以前からもうちの副総督シェムハザが不審な行為をする集団に目をつけていたのさ。そいつらは三大勢力の危険分子を集めているそうだ。中には
「その者達の目的は?」
「破壊と混乱。単純だろう?この世界の平和が気に入らないテロリストだ。しかも最大級に
アザゼルの話に一誠以外の全員が絶句した
「……そうか、彼が動いたのか。『
「ヴァーリが言ってた不動の存在ってのは、そいつの事だったのか」
『そう、オーフィスが「
声と同時に会議室の床に魔方陣が展開される
見た事のない魔方陣だったが、サーゼクスは舌打ちをする
「そうか。そう来るわけか!今回の黒幕は―――――グレイフィア、リアスとイッセーくんを早く飛ばせ!」
グレイフィアは一誠とリアスを隅に移動させ、小さな魔方陣を出す
「一誠、リアス!あのヘタレヴァンパイア――――ギャスパーを必ず取り戻して来いよ!」
「ああ、分かってる!」「新も気を付けて」
それぞれの一言の後に一誠とリアスは旧校舎に転送されていった
新は目の前の事態に備えて戦闘体勢を取る
会議室に現れた魔方陣を見て、サーゼクスは苦虫を噛み潰した様な表情をした
「――――レヴィアタンの魔方陣」
「レヴィアタン?レヴィアたん様はここにいるじゃねぇか」
「ヴァチカンの書物で見た事があるぞ。あれは旧魔王レヴィアタンの魔方陣だ」
ゼノヴィアがそう呟く
まだ魔王の血を引く者が残っていたと言う事だ
そして魔方陣から1人の女性が現れた
胸元が大きく開かれ、深いスリットも入ったドレスに身を包んでいる
新と一誠好みの女性だ
「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」
「先代レヴィアタンの血を引く者。カテレア・レヴィアタン。これはどういう事だ?」
サーゼクスの問いにカテレア・レヴィアタンは挑戦的な笑みを浮かべて言う
「旧魔王派の者達は殆どが『
なんと旧魔王派の一族がテロ、クーデターに賛同している様だ
「新旧魔王サイドの確執が本格的になった訳か。悪魔も大変だな」
アザゼルは他人事の様に笑う
普通はそんな余裕をかましている場合ではない
「カテレア、それは言葉通りと受け取って良いのだな?」
「サーゼクス、その通りです。今回のこの攻撃も我々が受け持っております」
「クーデターか……カテレア、何故だ?」
「サーゼクス、今日この会談のまさに逆の考えに至っただけです。神と先代魔王がいないのならば、この世界を変革すべきだと、私達はそう結論付けました」
彼女を含めた旧魔王派は和平を認めず、神の不在を知った上でクーデターを起こしている
しかも、平和とは真逆の考えも述べている
「オーフィスの野郎はそこまで未来を見ているのか?そうとは思えないんだがな」
アザゼルの問いかけにカテレアは息を吐く
「彼は力の象徴としての、力が集結するための役を担うだけです。彼の力を借りて1度世界を滅ぼし、もう1度構築します。新世界を私達が取り仕切るのです」
そこまで和平が嫌なのか?と新は腕を組みながらカテレアを見る
「……天使、堕天使、悪魔の反逆者が集まって自分達だけの世界、自分達が支配する新しい地球を欲した訳か。それのまとめ役が『ウロボロス』オーフィス」
それって
新はカテレアの、旧魔王派の考えが
「カテレアちゃん!どうしてこんな!」
セラフォルーの叫びにカテレアは憎々しげな睨みを見せる
「セラフォルー、私から『レヴィアタン』の座を奪っておいて、よくもぬけぬけと!私は正統なるレヴィアタンの血を引いていたのです!私こそが魔王に相応しかった!」
「カテレアちゃん……。わ、私は!」
「セラフォルー、安心なさい。今日、この場であなたを殺して、私が魔王レヴィアタンを名乗ります。そして、オーフィスには新世界の神となってもらいます。彼は象徴であれば良いだけ。あとの『システム』と法、理念は私達が構築する。ミカエル、アザゼル、そしてサーゼクス。あなた達の時代は終えて――――ぃやんっ」
カテレアが話してる途中で急に矯声をあげた
何故かと言うと、論説してる間に気配を消した新がカテレアの背後に回り、彼女の胸元に両手を突っ込んで乳房を揉んでいたからである
これこそ新流の技、『驚愕!誰にも気づかれずに女性のおっぱいを揉みしだいていたの術!』である
この他にもまだまだ技があるが、どこまで登場するかは誰にも分からない
そんな事はさておき、新がカテレアの乳房を揉んでいる状況に全員が目を見開いていた
「なっ!?何をしているんですかッ!」
カテレアが顔を真っ赤にして魔力の弾を放つが、新は直前に回避してカテレアと対峙する
「悪いな。話が長くなりそうだし、あんたらの考えがくだらな過ぎるから強制的に終わらせた」
カテレアは胸を押さえながら新を睨む
「あなたが『
「ハハハッ!和平交渉の現場をブチ壊したテロリストさんから、そんな言葉が出てくるとはな」
新は笑いながら膝を叩く
その態度にカテレアの怒りが蓄積される
「それにさっきから話を聞いていれば、世界を1度壊すだの、その後でもう1度構築するだの、考え方がアホ過ぎて笑っちまうよ。オマケに組織のトップから力を借りるとか、あんたが今やらかそうとしてるのは世界の変革なんかじゃねぇ。いじめられっ子が親を連れてきて、いじめっ子に仕返しをしようとしてる様なモンだ。そんな簡単な事にも気づかないで力説してるあんたを見てると、抱き締めてやりたくなる程可哀想に思えてくるぜ」
ドォォォンッ!バキバキッ!
カテレアの放った魔力の弾が新に直撃
新はテーブルを巻き込みながら壁に激突し、壊れたテーブルの瓦礫に埋もれた
「新くん!」
「新!き、貴様ァッ!」
祐斗とゼノヴィアが叫び、激昂したゼノヴィアは再びデュランダルを空間から引きずり出す
カテレアは侮蔑の目で吐き捨てる
「たかが下級悪魔の分際で私に意見した報いです。もう少し礼儀と言う物を
「―――――ほらな。世界を壊すと言っておきながら、たった1人の悪魔さえ壊せてねぇ」
瓦礫の中から新が出てきた
しかも、彼の右腕には『
魔力の弾が直撃する瞬間、鎧の腕で攻撃を防いでいたのだろう
新は木屑を取り払いながら瓦礫を出た
「直撃を受けても平気だなんて……!やはりあなたは我々にとって危険因子の様ですね!」
「危険因子ぃ?それは平和な世界を壊そうとしてるお前らの方だろ。それに『レヴィアタン』の座を奪われたのは自分の実力不足だからじゃねぇの?ヒステリーも大概にしとけって。そんなくだらねぇ事をしてる暇があったら、さっさとエロいドレスを脱いで、俺に乳首を見せてれば良いんだよ」
「……っ!どこまで私を愚弄するのですか……!その上、なんて破廉恥な言動を……!」
「ハーハッハッハッハッハッハッハッハ!」
突然アザゼルが腹を抱えながら、大声で笑い始めた
「
「アザゼル……!あなたまで私を愚弄しますか……!」
激怒したカテレアから魔力のオーラが迸る
その直後に会議室の窓際全域が吹き飛んだ
突然の出来事に新達はおろか、カテレアも驚愕する
窓を破壊した張本人は宙に浮いていたのだが、そいつの正体に更に驚愕してしまう
「……っ!てめぇは―――――『2代目キング』の!?」
「
そこにいたのは現
『2代目キング』こと蛟大牙だった……
「ほう。お前が封印された『初代キング』の息子って奴か。カテレアといい、次から次へとゾロゾロやって来やがって……お前らも世界を壊すとか言いに来たのか?」
「
大牙は当然の事を言うようにカテレアとは違う考えを述べる
「あなたは何者です?邪魔をする様なら、あなたから殺しますよ?」
「別に今は邪魔などしない。オレは今日、ただ
「
そこでアザゼルが問いかける
「はっ?今さっき俺達を殺すって言ってなかったか?」
「確かに言ったが、クーデターを起こされてる現状では
アザゼルの問いを否定し、今だけは邪魔しない事を宣言した『2代目キング』
それを聞いたアザゼルはニヤケながらカテレアに言い放つ
「お前なんかよりも、そいつの方がマシな考えをしてやがるぜ」
「何ですって!?」
「丁度良い。せっかくだ『2代目キング』。暇潰しに俺と遊ばねぇか?
「……堕天使総督から戦いの誘いを受けるとは光栄だな。良いだろう」
アザゼルが黒い翼を広げて飛び立とうとする
「
「そっちこそ期待しといてくれよ。すぐにあの女の裸を拝ませてやる」
「ハハッ!精々死ぬなよ!」
アザゼルが破壊された窓から空中へ飛び立ち、『2代目キング』と激しい攻防戦を繰り広げ始めた
「待ちなさいアザゼル!私を無視するつもりですかッ!」
「おっと。あんたの相手は俺だぜ?それとも立ち向かう勇気が無いのか?」
新はカテレアを挑発し、カテレアは再び魔力のオーラを迸らせる
「どうやら堕天使総督より先に、あなたを殺した方が良いみたいですね……」
「言ってな!あんたの乳首を拝ませてもらうぜ!旧魔王派のレヴィアタン様よぉっ!」