ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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新しい眷属

コカビエル襲撃事件から数日経ったある日

 

放課後の部室に顔を出した新と一誠は驚きを隠せなかった

 

何故なら……ゼノヴィアが駒王学園の制服を着て堂々と部室にいたからである

 

「やあ、赤龍帝と闇皇の蝙蝠」

 

「おい。なんで教会側の人間がここに?」

 

新が訊いたその瞬間、ゼノヴィアの背中から悪魔の翼が生えた

 

これには流石に驚く

 

「神がいないと知ったんでね、破れかぶれで悪魔に転生した。リアス・グレモリーから『騎士(ナイト)』の駒をいただいた。デュランダルが凄いだけで私はそこまで凄くなかった様だから、1つの消費で済んだみたいだぞ。で、この学園にも編入させてもらった。今日から高校2年の同級生でオカルト研究部所属だそうだ」

 

「マジかよ、破れかぶれって……」

 

「部長、貴重な駒をいいんですか?」

 

「まぁ、デュランダル使いが眷属にいるのは頼もしいわ。これで祐斗と共に剣士の二翼が誕生したわね」

 

どうやらリアスは細かい点にこだわらないらしい

 

伝説の聖剣使いが味方になれば、戦力の強化は間違いない

 

だが、新はゼノヴィアの上司だった―――――神代剣護の事について聞いてみる

 

「ゼノヴィア、本当に良かったのか?もう後戻りは出来ない上に、上司だった神代剣護は正真正銘の敵だぞ」

 

「……正直言って怖い。剣護さんが教会に対して抱いていた感情、戦っていた時の姿と気迫……優しかった剣護さんはもういないんだな……本気で私を殺そうとしていたし……」

 

悲しげな顔で沈むゼノヴィア

 

新はしまったと言う顔になり、素早く話を切り替えた

 

「と、ところでイリナは?」

 

「あぁ。イリナなら、私のエクスカリバーを合わせた5本とバルパーの遺体を持って本部に帰った。統合したエクスカリバーを破壊してしまったせいか、芯となっている『欠片』の状態で回収した。まぁ、奪還の任務には成功した訳だよ。芯があれば錬金術で再び聖剣に出来る」

 

「エクスカリバーを返すっつーか、教会を裏切って良かったのか?」

 

「一応あれは返しておかないとマズイ。デュランダルと違い、使い手は他に見繕えるからね。私にはデュランダルがあれば事足りる。あちらへ神の不在を知った事に関して述べたら、何も言わなくなったよ。私は神の不在を知った事で異分子になったわけだ。アーシア・アルジェントと同じ……それに、そちらに竜崎新がいるのも眷属になろうと思った理由の1つでもある」

 

異端者はデュランダル使いでも捨てる

 

教会の徹底過ぎる考えを、やはり新は好く事が出来ない

 

自嘲したゼノヴィアが沈黙すると、今度はリアスが語りだす

 

「教会は今回の事で悪魔側―――――つまり魔王に打診してきたそうよ。『堕天使の動きが不透明で不誠実のため、遺憾ではあるが連絡を取り合いたい』―――――と。それとバルパーの件についても過去逃した事に関して自分達に非があると謝罪してきたわ」

 

「遺憾かよ。身勝手な無能の集まりのクセに」

 

「しかし、この学舎(まなびや)は恐ろしいな。ここには魔王の妹がもう一名いるのだもの」

 

この学園に上級悪魔は2人しかいない

 

1人はリアス、もう1人はソーナ・シトリー会長

 

新はリアスに視線を向けると、肯定の意で頷かれた

 

「今回の事は堕天使の総督アザゼルから、神側と悪魔側に真相が伝わってきたわ。エクスカリバー強奪はコカビエルの単独行為。他の幹部は知らない事だった。三竦みの均衡を崩そうと画策し、再び戦争を起こそうとした罪により、『地獄の最下層(コキュートス)』で永久冷凍の刑が執行されたそうよ」

 

「永久冷凍!?ビッグロックよりキツいな……」

 

ビッグロックとは賞金首など、危険視されている犯罪者を収容する施設

 

処刑されるか死ぬまで外に出る事は出来ない、犯罪者にとっては棺桶と呼ばれ恐れられている

 

「近い内に天使側の代表、悪魔側の代表、アザゼルが会談を開くらしいわ。なんでもアザゼルから話したい事があるみたいだから。その時にコカビエルの事を謝罪するかもしれないなんて言われているけれど、あのアザゼルが謝るかしら」

 

三大勢力の代表が一堂に集まる

 

今後の世界に影響が出そうな会談である……

 

「私達もその場に招待されているわ。事件に関わってしまったから、そこで今回の報告をしなくてはいけないの。新、特にあなたは絶対に出ないとダメよ?コカビエルを倒したのは殆どあなたなんだから」

 

「マジでっ!?」

 

リアスの言葉に誰もが驚いた

 

新は苦笑いしながら冷や汗を一筋垂らす

 

「あ、そう言えば聞くの忘れてた。ゼノヴィア、『白い龍(バニシング・ドラゴン)』は堕天使側の戦力なのか?」

 

「そうだ。アザゼルは『神滅具(ロンギヌス)』を持つ神器(セイクリッド・ギア)所有者を集めている。何を考えているかは分からないが、ロクでもない事をしようとしているのは確かだね。『白い龍(バニシング・ドラゴン)』はその中でもトップクラスの使い手。『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部を含めた強者の中でも4番目か5番目に強いと聞く。既に完全な禁手(バランス・ブレイカー)状態。現時点でライバルの赤龍帝よりも断然強い」

 

「一誠、前途多難だな」

 

「あ、あぁ……」

 

ゼノヴィアの視線がアーシアに移る

 

「……そうだな、アーシア・アルジェントに謝ろう。主がいないのならば、救いも愛も無かったわけだからね。すまなかった、アーシア・アルジェント。君の気が済むのなら、殴ってくれても構わない」

 

ゼノヴィアは頭を下げる

 

対してアーシアは聖母の様な微笑を彼女に向ける

 

「……そんな、私はその様な事をするつもりはありません。ゼノヴィアさん、私は今の生活に満足しています。悪魔ですけど、大切なヒトに―――――大切な方々に出会えたのですから。私はこの出会いと、今の環境だけで本当に幸せなんです」

 

アーシアの優しさに新と一誠は泣きそうになった

 

ゼノヴィアは部室をあとにしようとしたが、アーシアに引き止められる

 

「今度の休日、皆で遊びに行くんです。ゼノヴィアさんもご一緒にいかがですか?」

 

「……今度機会があればね。今回は興が乗らないかな。ただ―――――」

 

「ただ?」

 

「今度、私に学校を案内してくれるかい?」

 

「はい!」

 

その後は久しぶりの部活動で談笑した

 

 

―――――――闇人側

 

 

「キヒヒッ。まさか『ナイト』である君を退けるとはね〜♪そんなにヤバかったのかぁい?」

 

「ヤバいなんて物じゃない。アレは危険だ」

 

「恐らく均衡が崩壊した世界だからこそ、新しい力が生まれたのだろう。なかなか興味深い事例だ」

 

「キヒヒッ。楽しみが増えてきたね〜♪そろそろボクも本格的に出てみようかな〜?」

 

 

―――――――新の家

 

 

 

「アザゼル様が来る!?それは本当なのアラタ!?」

 

「た、多分な……?今回の事件について会談を開くらしいんだ」

 

「はぁ……アザゼル様……アザゼル様……」

 

「おい。カラワーナ、ミッテルト。レイナーレがトリップしちまったけど、どうすりゃ良いんだ?」

 

「別にどうもしなくて良いと思う。いつもこうだから」

 

「レイナーレ様のアザゼル様に対する愛は私達も手を焼いてしまうんだ。こうなっては放っておくしかない」

 

「そっか。まぁ良いや」

 

クックドゥドゥ〜♪

 

クックドゥドゥ〜♪

 

レイナーレのトリップ状態を眺めていると、突然チャイムが鳴る

 

「ん?誰だこんな時に?」

 

新が玄関に歩いていき、ドアを開けた

 

「「お兄〜さん♪」」

 

「………っ?」

 

「やあ、竜崎新。突然来てすまない」

 

新の視界に飛び込んできたのはライザーの眷属―――――『兵士(ポーン)』のミラ、双子のイルとネル、『騎士(ナイト)』のカーラマイン、『戦車(ルーク)』のイザベラに雪蘭(シュエラン)と言った面子だった

 

「……うちは押し売り仇討ち等の訪問はお断りしておりますので」

 

バタンッ

 

新は反射的にドアを閉めたが、この後に双子娘のチェーンソーによって無惨にも破壊されてしまった……


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