「バルパー・ガリレイ。あなたを滅ぼさない限り、第二、第三の僕達が生を無視される」
「ふん。研究に犠牲は付き物だと昔から言うではないか。ただそれだけの事だぞ?」
「木場ァァァァァッ!フリードの野郎とエクスカリバーをぶっ叩けェェェェェッ!」
一誠が祐斗に向かって激励を送る
「祐斗!お前はリアス・グレモリーの眷属で、俺達の『
「祐斗!やりなさい!自分で決着をつけるの!エクスカリバーを超えなさい!あなたはこのリアス・グレモリーの眷属なのだから!私の『
「祐斗くん!信じてますわよ!」
「……祐斗先輩!」
「ファイトです!」
新、リアス、朱乃、小猫、アーシアからも飛んでくる激励に、祐斗は大きく頷く
「ハハハ!何泣いてんだよ?幽霊ちゃん達と戦場のど真ん中で楽しく歌っちゃってさ。ウザいったらありゃしない。もう最悪。俺的にあの歌が大嫌いなんスよ。聞くだけで玉のお肌がガサついちゃう!もう嫌、もう限界!てめぇを切り刻んで気分を落ち着かせてもらいますよ!この四本統合させた無敵の聖剣ちゃんで!剣護の旦那は邪魔しねぇでくださいませよ?今から悪魔どもをチョンパするんでね!」
「元から邪魔するつもりは無い」
祐斗が一歩出て、同志逹の魂に手を添える
「僕は剣になる。部長、仲間逹の剣となる!今こそ僕の想いに応えてくれ!『
祐斗の
魔の力と聖なる力の融合
神々しい輝きと禍々しいオーラを放ちながら、『
「――――
祐斗は『
その一撃をフリードは受け止めるが、エクスカリバーを覆うオーラが聖魔剣によってかき消される
「ゲッ!本家本元の聖剣を凌駕すんのか!?その駄剣が!?」
「それが真のエクスカリバーならば、勝てなかっただろうね。―――――でも、そのエクスカリバーでは……僕と同志逹の想いは絶てない!」
「チィ!伸びろォォォォォ!」
フリードは舌打ちをして後方に下がり、エクスカリバーを無軌道にうねらせる
これは4本のエクスカリバー……イリナから奪った『
今フリードが使っているのは『
更に先端から枝分かれし、神速で降り注ぐ
『
四方八方から迫ってくる突きを、祐斗は全て防ぐ
「なんでさ!なんで当たらねぇぇぇぇぇぇぇッ!無敵の聖剣様なんだろぉぉ!?昔から最強伝説を語り継がれてきたじゃないのかよぉぉぉぉ!」
フリードの姿に焦りが見え始めた
座って見物をしている剣護は、フリードの醜態に嘆息する
「使い手が殺気剥き出しのバカでは、最強なんて
「クソがァァァァァッ!黙って聞いてりゃ涼しげに見下してんじゃねぇ!なら!こいつも追加でいってみようかねぇぇっ!」
今度は聖剣の先端が消えた
『
しかし、祐斗はそれでもフリードの攻撃を全ていなす
「醜悪だな。ゼノヴィア、俺と話がしたいんだろ?呆けてないで、さっさとフリードを潰したらどうだ」
「「「「っ!?」」」」
ほぼ全員が驚きの表情を見せた
神代剣護は敵の筈……何故、味方を倒せなどと言うのか?
「剣護の旦那!どういうつもりですかいッ!?アンタは俺らを裏切るっつうのかよッ!」
「勘違いするな。誰も仲間になるなんて一言も言ってない。ただ統合させた聖剣が、どの様な力を発揮するか見に来ただけだ」
歯軋りをするフリード
ゼノヴィアはフリードを倒す事を優先させ、左手に聖剣を持ち、右手を宙に広げた
「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」
空間が歪みだし、その中心にゼノヴィアが手を入れる
そして、次元の狭間から1本の剣を引き出した
「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する。デュランダル!」
デュランダルとはエクスカリバーに並ぶほど有名な伝説の聖剣
斬れ味だけなら最強と言われている
「デュランダルだと!?」
「貴様!エクスカリバーの使い手ではなかったのか!?」
バルパーだけでなく、コカビエルも驚きを隠しきれなかった
「残念。私は元々聖剣デュランダルの使い手だ。エクスカリバーの使い手も兼任していたに過ぎない」
デュランダルとエクスカリバーの二刀流にバルパーは顔を強張らせ、剣護は不適な笑みを浮かべる
「バカな!私の研究ではデュランダルを扱える領域まで達してはいないぞ!?」
「それはそうだろう。俺が元いたヴァチカンでも、人工的なデュランダル使いは創れていない。イリナや他の奴らと違って、ゼノヴィアと俺は数少ない天然の聖剣使い。つまり、最初から聖剣に選ばれた者だったんだよ。そしてデュランダルは想像を遥かに超える暴君だ。触れた物質を全て斬り刻む。使用者の言う事もロクに聞かないから、異空間へ閉じ込めておかないと危険極まりない聖剣だ」
「そんなのアリですかぁぁぁ!?ここに来てまさかのチョー展開!クソッタレのクソビッチが!そんな設定いらねぇんだよォォォォ!」
フリードが殺気をゼノヴィアに向け、枝分かれした透明の剣を放つ
ガギィィィィン!
しかし、ゼノヴィアの一撃で透明となっていたエクスカリバーが砕かれた
「やはり、所詮は折れた聖剣。デュランダルどころか、俺のデスカリバーの相手にもならないな」
「マジかよマジかよマジですかよ!伝説のエクスカリバーちゃんが木っ端微塵の四散霧散ッ!?これは酷い!かぁーっ!折れた物を再利用しようなんて思うのがいけなかったのでしょうか!?」
殺気の弱まったフリードに祐斗が一気に詰め寄る
祐斗の聖魔剣はエクスカリバーを砕き―――――――
「見ていてくれたかい?僕らの力は、エクスカリバーを超えたよ」
砕いた勢いでフリードを斬り払った
祐斗は天を仰ぎ、聖魔剣を強く握り締める
「せ、聖魔剣だと……?あり得ない……。反発し合う2つの要素が混じり合うなんて事はある筈がないのだ……」
表情を強張らせるバルパー
祐斗は聖魔剣をバルパーへ向けて斬り込もうとする
「バルパー・ガリレイ。覚悟を決めてもらう」
「……そうか!分かったぞ!聖と魔、それらを司る存在のバランスが大きく崩れているとするならば説明はつく!つまり、魔王だけではなく神も―――――」
ザンッ!
何かに思考が達したバルパーの首がはねられた
切り口から噴き出る鮮血……
地に転がる首……グラウンドに倒れる死体……
流れ出る血が赤い水溜まりを作っていく……
「バルパー。悪いが、その説明は俺がやらせてもらう。その方が奴らは大きな絶望を味わうからな。特にゼノヴィアは……。あと聖剣の研究だが、俺達から見れば役に立たない。年寄りはあの世で隠居していろ」
バルパーを殺したのは神代剣護だった
デスカリバーに付着した血を払い、新逹の方を見る
「剣護さん!あなたはいつから……そんな平気で人を殺すようになったんですか!あなたは誰よりも神を信仰していた!何故堕天使と手を組んだのですか!?」
ゼノヴィアが剣護に問う
剣護はデスカリバーを肩に乗せて話を始める
「昔の俺は今のお前と同じだったよ。聖剣の才能を見出だされて、ヴァチカンに仕えて、毎日毎日神を信じて人を救っていた。最初は心地良い物だった……だが、人々は俺達を便利な道具としか見ていなかった」
剣護の話に怒気が混ざり始める
「次第に人の目が変わってきた事に気付いた。"聖職者だから私達を助けてくれる"、"神に仕えてるから人を救って当然"、そんな視線が俺の本心を揺るがせた。こんな事で良いのかってな……それでも俺は神に祈った。いつかこのツラい視線が消えます様にと―――――だが、そんな事は無理だった。神なんざ、いなかったからな」
「……どういう事?」
リアスが怪訝そうに聞くと、コカビエルが大笑いする中で剣護は話を続ける
「お前逹が知らないのも無理はない。この真相は一部の者と、闇人の間でしか語られていなかったからな。教えてやろう。先の三つ巴戦争で四大魔王だけじゃなく、神も死んだ」
剣護の言葉に、殆ど全員が信じられないと言う様子を見せた
「知らなくて当然だ。神が死んだなどと、誰に言える?人間は神がいなくては心の均衡と定めた法も機能しない不完全な者の集まりだぞ?我ら堕天使、悪魔さえも下々にそれらを教える訳にはいかなかった。何処から神が死んだと漏れるか分かったものじゃないからな。三大勢力でもこの真相を知っているのはトップと一部の者逹だけだ」
説明に参加したコカビエルに対し、剣護が待ったをかける様に話す
「数年前、このデスカリバーを作ったガキが教えてくれたよ。神はもういないと言われた当初は、勿論信じられなかったさ。だが、奴はその時―――――俺の目の前で『
デスカリバーを自分の前に掲げ、炎を発する
「そこで俺は悟った。"奴らの言う通り、この世に神なんていない"、"神は俺達が生まれる前からいなかった"と。つまり……俺達はいる筈もない幻にすがり付いて、祈りと命を捧げていた愚かな生物だったんだよ」
「……ウソだ。……ウソだ」
力が抜けてうなだれるゼノヴィア
今まで神に仕える事を使命として生きてきたから、神は存在しないと言われて生き甲斐を失うのも無理はなかった
「神がいない事実を知った時、俺の中で今まで耐えてきた物が崩れた。人の奇異な視線を我慢してきたと言うのに、毎日毎日何の為に祈ってきた?何の為に人を救ってきた?と自分自身に質問を繰り返していく内に、奴はこう言った……"神がいないなら、自分が神に成り代われば良い"とな」
「神代剣護、まさか自分が神に代わる為に……教会を、ゼノヴィアやイリナを裏切って闇人側についたってのか?」
剣護は迷いなく、その言葉を肯定する
「俺達は人を救える力を持った救世主。神がいなくなっただけで機能しなくなり、
剣護の自分勝手とも言える演説が終わる
神がいないから自分が神に代わり、神=自分が崇められる世界を作る
そんな事で彼はゼノヴィアやイリナ、教会全てを裏切ったのだ
剣護の話が終了した直後に、コカビエルも話し始める
「正直に言えば、もう大きな戦争など故意にでも起こさない限り再び起きない。それだけ、どこの勢力も先の戦争で泣きを見た。お互い争い合う大元である神と魔王が死んだ以上、戦争継続は無意味だと判断しやがった。アザゼルの野郎も戦争で部下を大半亡くしちまったせいか、『二度めの戦争はない』と宣言する始末だ!耐え難い!耐え難いんだよ!一度振り上げた拳を収めるだと!?ふざけるなッ!あのまま継続すれば、俺達が勝てたかもしれないのだ!それを奴はッ!闇人の王を封印しておきながら!人間の
コカビエルは憤怒の形相で強く持論を語る
事の真相は予想以上に衝撃を与えた―――――特にアーシアは……
「……主がいないのですか?主は……死んでいる?では、私達に与えられる愛は……」
アーシアの疑問に剣護が答える
「神の愛?守護?そんな物は最初から存在しない。神は既にいないんだからな。聞いた話によれば、天使ミカエルが神の代わりをして天使と人間をまとめているとか。生温い」
剣護は卑下するように吐き捨てるが、今度は口元を吊り上げて笑う
「まぁ……神がいなくなった事だけには感謝しといてやろう。聖と魔のパワーバランスを司る神と魔王がいなくなったお陰で、お前逹は聖魔剣とやらを作る事が出来た挙げ句、俺のエクスカリバーもデスカリバーに進化した」
聖魔剣が誕生したのも、邪聖剣に改造出来たのも偶然ではなかった
神がいないからイレギュラーな現象が起きた
何とも皮肉な話である
剣護の言葉を聞いたアーシアはショックで崩れ落ちた
「アーシア!アーシアしっかりしろ!」
「神代剣護ォ……テメェ、イカれてやがる……ッ!」
「普通の考えを持つ者に神が務まる訳無いだろ?丁度良い。見せてやろう―――――邪聖剣の本当の力を」
剣護は邪聖剣の柄に付いている十字架を外す
金色に輝く十字架の中央には、菱形の宝玉が埋められている
剣護は十字架を顔に装着した
十字架から黒いオーラが放出され、剣護の全身を包み込んでいく
数秒後―――――金色の十字架を備えた兜、胸部に輝く太陽のエンブレム、漆黒の鎧を纏った戦士が降臨した
「――――っ!?何だあれは!?」
「俺に宿ってる『闇皇の鎧』と同じ力……!?」
「違う。こいつはお前の『闇皇の鎧』をベースに開発された鎧。『
見せびらかす様に腕を広げる剣護
デスカリバーの剣先を、未だ
「そんなにショックかゼノヴィア?神がいない事に。自分のしてきた行動が無駄だった事に絶望したか?安心しろ。今すぐ死んだ神に会わせてやる――――――『
デスカリバーから炎に包まれた隕石が放たれる
ゼノヴィアはとても戦える状態ではない
新は隕石とゼノヴィアの間に割って入り、隕石を止める
「ぬがぁぁぁぁああああっ!い、今までの技と威力がぁっ……!」
「当然だ。『
新を痛めつけていた隕石が消えた刹那――――――
ザシュッ!
炎の邪聖剣が新の胸を貫いた……
剣護が装着した鎧なんですが……イメージはそのまま仮○ライダーイクサです